説明

枠組体における部分複合フレーム装置

【課題】主フレームに対し、副フレームを着脱可能に一体化する複合フレーム装置を提供する。
【解決手段】左右両縦フレーム5の上下両端に連結ブロック12を固着し、連結ブロックを上下フレーム6に嵌入することにより矩形に組み立てられる枠組体Pにおいて、少なくとも一の縦フレームは、前記連結ブロックを介することにより上下フレームと直接連結される主フレーム1aと、それに室内側からの押し込みで着脱可能に一体化される副フレーム1bとからなる部分複合フレーム1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アルミ等の押出形材からなる枠組体に関する。詳しくは、枠組みの少なくとも一のフレームが枠組みに直接関与している主フレームとそれに着脱可能に一体化されるフリーな副フレームとからなっている部分複合フレーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミ等の押出形材は、例えばサッシ窓枠、それに納まる障子や網戸等の建具をはじめとして様々な用途に枠組体として利用される。そして、一般的には、単一形状の押出形材により枠組みがなれるが、生産の合理化を図るために時には各フレームを異なる二つの押出形材の組合せとして複合される。しかし、従来これは二つの枠組体を合体することによるものであった。
【0003】
従来のこのような複合化は、二つの押出形材を断面形状により係合させ枠組体どうしの一体化により一本として保持することから、矩形の全体の複合であって、部分複合ではなかった。例えば、サッシ窓枠についてみると、建物躯体の開口部に納まる主枠と、外へ張り出す突出枠との複合として複合化が実現されていた。したがって、枠組体の一フレームについて、例えば、縦フレームについて主フレームとフリーな副フレームとの複合化(この明細書では「分離可能な複合化」と称することにする)とすることはできなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この出願人においては、枠組体の一のフレームについて「分離可能な複合化」とすることが非常に有利な場合があることに着眼した。つまり、分離できる自由となり得る副フレームに様々な機能性を持たせることの有利さの発見である。これを一つの例で次に述べてみる。
【0005】
本出願人においては、ネットの開閉網戸を提供するために数多くの研究と実験を重ねてきた。その初期の段階では、一の縦フレーム(框)にネットの巻取り/巻戻し用の巻取軸を内装して、ネットを開くときには、それに巻き取ることにより縦フレームにネットを都合良く収納できるようにしていた。
【0006】
この段階では、巻取軸が縦フレームの中に軸着されているから、ネットを掃除するために巻取軸を取り外すときには、縦フレームは枠組みのままにして巻取軸を単独に分離する必要があった。この軸の脱着操作は殊に高所では容易ではなかったが、重なる研究の末、副フレームに巻取軸を軸着することでネットの掃除がやりやすくなることわかってきた。
【0007】
この発明は、上記の経緯で開発してきたもので、押出形材からなる枠組体において、一の又は一対のフレームについて、「分離可能な複合化」をなすとともに、主フレームと副フレームとの一体化が安定しており、しかも、副フレームの着脱が容易である枠組体における部分複合フレーム装置を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明は、左右両縦フレームの上下両端に連結ブロックを固着し、連結ブロックを上下フレームに嵌入することにより矩形に組み立てられる枠組体において、少なくとも一の縦フレームは、前記連結ブロックを介することにより上下フレームと直接連結される主フレームと、それに室内側からの押し込みで着脱可能に一体化される副フレームとからなる部分複合フレームであって、前記連結ブロックの基端部を主フレームの端面部基板として盤状に形成する一方、副フレームの上下両端に端面部基板の下にスライド可能に接合する結合ブロックを固着し、端面部基板には抜孔を設けるとともに、その室内側縁から室外側へ逃げ角にやゝ下向きに傾斜する弾性変形可能な逆止片を結合ブロックの押し入れを許容するように突設し、連結ブロックには、逆止片が下向きで嵌まる幅の凹部を設けるとともに、室内側にのみ開口する溝形にその凹部を形成し、凹部の開口より進んだ奥端に、主フレームに対する副フレームの嵌め込みにより逆止片の下向きの先端が一旦持ち上がってから落ち込むことにより、その先端に脱出不能に掛止する段差を設けてあって、さらに、この枠組体には、凹部にその室内側開口から差し込むことにより逆止片を段差から押し上げる板状であって、凹部の溝深さにほゞ等しい厚みのキーを付属して備えてあることを特徴とする枠組体における部分複合フレーム装置を提供する。
【0009】
枠組体における部分複合フレーム装置を上記のように構成したから、主フレームに対する副フレームの一体化は、逆止片の先端に凹部の段差が掛かっていることにより引き出し不能にロック状態の安定性が確保され、また、キーを凹部に差し込み逆止片を段差から外して容易にロック解除できる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、この発明は、押出形材からなる枠組体において、一の又は一対のフレームについて、「分離可能な複合化」をなすことに成功したもので、主フレームと副フレームとの一体化がロックにより安定しており、しかも、副フレームの着脱については、一体化するには副フレームを主フレームに押し込めばよく、また、外すときにはキーを凹部に差し込むだけでロック解除できるというように、操作性が極めて容易であるという優れた効果がある。
【0011】
また、請求項2および3によれば、開閉網戸に実施してネットの掃除が極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の枠組体における部分複合フレーム装置を模式的に示す枠組体の正面図である。
【図2】この発明を開閉網戸に実施した一例を示すサッシ窓枠の横断面図である。
【図3】同縦断面図である。
【図4】図2についてこの発明の要部を拡大して示す横断面図であって、副フレームの分離状態を一点鎖線で示す説明図である。
【図5】この発明に係るロック固定装置を示す複合フレームの上端部の斜視図である。
【図6】同部を分離した状態で示す斜視図である。
【図7】ロック固定装置について示す、図5のA−A線矢視位置においての断面図であって、(イ)図はロック状態を示し、(ロ)図は解除状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明において、枠組体Pの一又は一対の縦フレーム1について、主フレーム1aと副フレーム1bとからなる「分離可能な複合化」をなしたもので(図1)、それにロック固定装置4,4が構成される。以下では、開閉網戸の枠組体Pにおいて実施した例を示した。つまり、一の縦フレームが部分複合フレーム1であって、それが、枠組体Pの枠組みに直接係わる主フレーム1aと、それに着脱可能に一体化(ドッキング)する副フレーム1bとからなるもので、副フレーム1bがネットNの収納ケーシングとして使用される実施例である。
【0014】
実施例の場合、副フレーム1bは、巻取軸30でネットNを収納する機能フレームであって、主フレーム1aに対して安定してドッキング状態を保持するよう上下にロック固定装置4,4が装備され、キー5によりそれを解除できるようになっている。
【0015】
しかしながら、この発明は、副フレーム1bをこの機能に限定されるものではなく、様々な機能を付与すべく開発が可能である。さらに、網戸ばかりでなく障子、さらにはサッシ窓枠においても何らかの機能を付与するために実施することが可能である。なお、ロック固定装置4は、上下両端に設けることは必ずしも要しなく、上端にのみ設けることもある。その場合は、下端を止める何らかの手段を設けることが望ましい。
【実施例1】
【0016】
図2ないし図7は、この発明を開閉網戸に実施した場合を示し、その主体としての枠組体Pの一縦フレームが主フレーム1aと副フレーム1bとからなる部分複合フレーム1となっている。つまり、枠組体Pは、主フレーム1aと他方の縦フレーム5及び上下フレーム6,6とから枠組みされる。その枠組みの手法として、主フレーム1aと縦フレーム5には各上下両端に連結ブロック12,12がビス止めして固着される。
【0017】
また、副フレーム1bの上下両端には連結ブロック12,12に対する結合ブロック8,8が固着され、連結ブロック12と結合ブロック8との関係においてロック固定装置4,4が構成される。これはキー5によりロックが解除される構造である。
【0018】
開閉網戸の枠組体Pは、サッシ窓枠Wに嵌め殺し様に一体に固定してそれに嵌着される。一方、サッシ窓枠Wは、それぞれ同一押出形材からなる左右縦枠9,9及び上下枠10,10とからなり、外付けとして外へ半分が突出する幅であり、図示しない辷出障子が仕切壁11よりも外側に装着される。20は建物躯体の開口部木枠であり、それに太ビス14によりサッシ窓枠Wが固定される。16は外壁である。
【0019】
サッシ窓枠Wの縦枠18は、室内側の端部において、枠外側への段差13を設けるととともに、段差13で低くなった位置にさらに低く凹部となる蟻溝15が設けられ、蟻溝15に太ビス14の頭部が納められる。これでビス14が頭を没して木枠20に螺入されることで、副フレーム1bの引き出しにビス14が支承となっていない。また、蟻溝15には、キャップ材17が嵌着され、これが縦枠18とその内面で面一であるので、副フレーム1bはストレートに主フレーム1aから引き出すことができる。しかし、サッシ窓枠Wの各隅角にL字形のコーナー化粧部材19が被着されており、その厚みが面一よりも突出しているから、副フレーム1bの操作時にはこのコーナー化粧部材19は取り外される。
【0020】
開閉網戸は、枠組体Pの中にネットNが開閉可能に張られ、スプリングの弾力に抗して一方の縦フレーム5側へ引き(磁石で自動的に止められる)、スプリングの弾力で巻取軸30に巻き取られるように、ネットNの端にスライド取っ手26が取り付けられ、上下フレーム6,6にスライダー28,28でスライド可能に係合している。また、ネットNを巻き取る側の主フレーム1aには、副フレーム1bが着脱可能に組み込まれているが、開き口を常時封じておくために、これには開閉カバー27が軸支される。副フレーム1bに内装される巻取軸30には、ネットNが巻き取られるように、主フレーム1aと副フレーム1bは、その方向へ開口する断面L字形の形状となっている。
【0021】
主フレーム1aは、サッシ窓枠Wの縦枠18の板状部分と仕切壁11との間に安定して丁度納まるL字形の形材であって、板状部分に沿った室内側端には傾斜した段差により縦枠18から持ち上がる係止片29が形成され、係止片29とその近くに形成した突起31との間が止ビス33の頭部が納まる皿溝35として形成される。また、L字形の隅角と、仕切壁11に接合する部分の先端とにビスポケット38,38を設けてある。この主フレーム1aは、木枠14との離反箇所でそれに突き当たることなく前記止ビス33を縦枠18に深く螺入することにより強固に固定される。
【0022】
主フレーム1aの上下両端にある連結ブロック12,12は、主フレーム1aの上下両端に嵌着される端面部基板12aと、上下フレーム6,6に嵌入される挿入片12bとがプラスチックで一体成形されたもので、端面部基板12aが前記ビスポケット38,38に螺入するビス38a,38aにより主フレーム1aに固定される。また、挿入片12bには逆止爪41が突設されているので、これを上下フレーム6,6に嵌入すると、逆止爪41の掛かりで離脱不能に結合される。
【0023】
主フレーム1aに対しては、その両端面部基板12a,12aの間に副フレーム1bが差し込まれることで複合して組み付けられる。このロック状態を確保するために、ロック固定装置4,4が構成されるが、その構成の一つとして、端面部基板12aに抜孔44を設けるとともに、その縁から逆止片45が室外側へ向けて少し傾斜して突設される。この逆止片45は、弾性により上に変形可能であって抜孔44がこの変形を受け入れる。このロック構造についてはさらに後記する。
【0024】
副フレーム1bは、主フレーム1aの内側に沿ってほゞL字形に形成された形材であるが、上下両端が結合ブロック8,8で封じられており、室内側の先端に開閉カバー27の支軸42がビスポケット形に形成され、L字形の内角部と枠側先端にビスポケット48,48が設けられる。連結ブロック12,12は、ビス48a,48aにより副フレーム1bに止められる。また、側面には主フレーム1aの係止片29の下に入るL字形の係合片50が突設される。主フレーム1aに対して副フレーム1bは、係止片29との結合の他、ビスポケット38,48との圧接結合によっても保持される。
【0025】
開閉カバー27は、副フレーム1bの開閉口を開閉するように断面L字形の形材であって、その一端に主フレーム1aの支軸45に嵌まるビスポケット形の軸受部46が形成される。
【0026】
なお、上下結合ブロック8,8の間において巻取軸30が図示しないコイルスプリングにより巻き方向に回転付勢されており、これについては、巻取軸30のコイルスプリングの弾発力を調整する装置が装備される。49がドライバー操作可能なその調整摘みである。
【0027】
ロック固定装置4,4については、結合ブロック8,8の上面に、端面部基板12a,12aの前記の逆止片45,45が弾力で落ち込むように、それと同じ程度の溝幅の凹部47を設けるとともに、それを室内側に開口する幅広い溝形に形成してある。そこで、主フレーム1aに副フレーム1bを押し込むと、逆止片45が弾力に抗して持ち上げられるが、そのとき一旦抜孔44に入ってから復帰することで凹部47の段差47aに引っ掛かる。その引っ掛かりで副フレーム1bが抜けないロック状態となる(図5,図7(イ))。しかし、板状キー51を凹部47に差し込むと、それが逆止片45を抜孔44へ持ち上げ、これで逆止片45の先から段差47aがはずれるので、ロック状態が解除され(図7(ロ))、こうして副フレーム1bを取り外すことができる(図6)。なお、キー5を差し込みやすく、凹部47の底面には少し傾斜がかけられている。
【0028】
図4は、副フレーム1bの組み付け状態を実線で、取り外した状態を二点鎖線で示したものである。スライド取っ手26は、この取り外しに応じるようになっている。つまり、スライダー28,28が連結ブロック12,12の挿入片12b,12bの下を通り抜け、主フレーム1aからも外れ、副フレーム1bとコンパクトに並列になり(図4)、これでネットNやスライド取っ手26が一端に集合する。
【0029】
サッシ窓枠Wについて、前記した仕切壁11は、左右縦枠9,9と上枠10に突設されるが、下枠10については、開閉網戸を受ける逆L字形の受部片14が突設される。そして、受部片14には、辷出障子を開閉するハンドル52が取り付けられる。
【符号の説明】
【0030】
P 枠組体
W サッシ窓枠
N ネット
1 部分複合フレーム(縦フレーム)
1a 主フレーム
1b 副フレーム
5 縦フレーム
6 上下フレーム
8 結合ブロック
11 仕切壁
12 連結ブロック
12a 端面部基板
14 太ビス
15 蟻溝
17 キャップ材
18 縦枠
27 開閉カバー
29 係止片
30 巻取軸
33 止ビス
43 スライドキャップ
44 抜孔
45 逆止片
47 凹部
47a 段差
50 係合片
51 キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右両縦フレームの上下両端に連結ブロックを固着し、連結ブロックを上下フレームに嵌入することにより矩形に組み立てられる枠組体において、少なくとも一の縦フレームは、前記連結ブロックを介することにより上下フレームと直接連結される主フレームと、それに室内側からの押し込みで着脱可能に一体化される副フレームとからなる部分複合フレームであって、前記連結ブロックの基端部を主フレームの端面部基板として盤状に形成する一方、副フレームの上下両端に端面部基板の下にスライド可能に接合する結合ブロックを固着し、端面部基板には抜孔を設けるとともに、その室内側縁から室外側へ逃げ角にやゝ下向きに傾斜する弾性変形可能な逆止片を結合ブロックの押し入れを許容するように突設し、連結ブロックには、逆止片が下向きで嵌まる幅の凹部を設けるとともに、室内側にのみ開口する溝形にその凹部を形成し、凹部の開口より進んだ奥端に、主フレームに対する副フレームの嵌め込みにより逆止片の下向きの先端が一旦持ち上がってから落ち込むことにより、その先端に脱出不能に掛止する段差を設けてあって、さらに、この枠組体には、凹部にその室内側開口から差し込むことにより逆止片を段差から押し上げる板状であって、凹部の溝深さにほゞ等しい厚みのキーを付属して備えてあることを特徴とする枠組体における部分複合フレーム装置。
【請求項2】
枠組体は、ネットが開閉可能に張られる開閉網戸の枠体であって、サッシ窓枠にその中間に内向して突設される仕切壁に添えて嵌着されており、その枠組体の一端に設けられる部分複合フレームにおいて、主フレームと副フレームとが互いに重なるL字形断面であって、副フレームにはネットを巻取り/巻戻しする巻取軸が内装され、また、副フレームには巻取軸を封じる開閉カバーが開閉可能に軸支されていることを特徴とする開閉網戸の枠組体における部分複合フレーム装置。
【請求項3】
サッシ窓枠の縦枠に、室内側の端部において内向で外側へ凸の蟻溝を形成し、蟻溝に太ビスの頭部を納めることにより、建物躯体の木枠に蟻溝をねじ止めし、蟻溝の凸で木枠から縦枠が離反されたサッシ窓枠の取り付け方であって、その離反部分において主フレームが止ビスで縦枠に固着され、主フレームに室内側の先端に段差で持ち上げ状に係止片を形成し、副フレームには、その係止片の下に入るL字形断面の係合片を突設し、前記蟻溝にキャップ材が嵌着され、係止片がその外面に沿って脱出するように、縦枠と面一にキャップ材の嵌着がなされていることを特徴とする請求項2記載の開閉網戸の枠組体における部分複合フレーム装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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