説明

柔らかな外側遷移部および負硬度勾配を伴うゴルフボールコア

【課題】圧縮特性、フィーリング、スピン特性の独特の組み合わせを可能にするゴルフボールの提供。
【解決手段】塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、カバー層とを有するゴルフボールである。最外遷移部がコアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、全般的にはコアを伴うゴルフボールに関し、より具体的には、表面の硬度が中心の硬度と等しいか小さい単一層のコアを伴うゴルフボールに関する。
【0002】
この出願は2008年3月14日の出願に係る米国特許出願第12/048,665号の部分継続出願であり、これは2007年7月3日の出願に係る米国特許出願第11/772,903号の部分継続出願である。
【背景技術】
【0003】
ソリッドゴルフボールは典型的にはカバーにより封入されたソリッドコアから製造され、ソリッドコアおよびカバーの双方は複数の層を有して良く、例えば、二重コアはソリッドセンタおよび外側コア層を具備し、また多層カバーは内側層を有する。一般的に、ゴルフボールコアおよび/またはセンタは熱硬化性ゴム、典型的にはポリブタジエンをベースにした組成物から構築される。コアは、通常、加熱され、架橋されて、所定の特性、例えば、より大きな、あるいはより小さな圧縮を実現し、これはボールのスピンレートおよび/またはより良好な「フィーリング」に影響を与える。これらの特徴や他の特徴は種々の技量のゴルファーの要望に応じて微調整されてよい。ゴルフボールの製造業者の観点からは、コアが幅広い特性、例えば、弾力性、耐久性、スピン、および「フィーリング」を実現することが望まれる。これにより、製造業者は、種々のレベルの技量に適合させた多くの種々のタイプのゴルフボールを製造して販売できるからである。
【0004】
従来、多くの単一コアゴルフボールは、コアの表面からコアの中心へと向かって硬から柔となる、慣用的な硬度勾配を伴う。特許文献は、ゴルフボールを横切って硬い表面から柔らかい中心に至る硬度勾配を検討する多数の文献を含む。
【0005】
米国特許第4,650,193号(Molitor等、特許文献1)は、硬化可能なエラストマーのスラグを硬化修正剤で表面処理して、この後、スラグをコアに成型して、コアの表面層に硬度勾配をもたらすことを検討している。この処理は、異なる組成の2つの領域をコアにもたらすと主張されており、第1の部分は、硬く、弾力性がある、コアの中央部分であり、これは未処理のままであり、第2の部分は、柔らかく、変形しやすい、コアの外側層であり、これはコア修正剤により処理されている。コアの2つの「層」すなわち領域は相互に一体であり、この結果、柔らかな表面から硬い中心への勾配の効果が実現される。
【0006】
米国特許第3,784,209号(Berman等、特許文献2)は柔から硬への硬度勾配を全般的に開示している。この「209」特許は、「混合した」エラストマーからなるコアを用いた非均一な成型ゴルフボールを開示している。非硬化の中央の球が、相性がよいけれども異なる非硬化のエラストマーで包囲される。エラストマーの2つの層は同時に硬化剤に露呈されて、相互に一体になり、これにより混合されたコアを形成する。このコアの中心は、外側層より大きな第1のエラストマー材料の密度を伴い、より硬い。この製造方法の欠点の1つは、第1のエラストマーを形成し、その後、第2のエラストマーを形成し、さらにその後に、2つを一緒に成型するという、時間を浪費するプロセスということである。
【0007】
他の特許は、柔らかな「表皮」を実現する表面処理を受容するコアを検討している。ただし、これらのコアの内部の部分は未処理であるので、これらは、慣用的なコアと類似する硬い表面から柔らかい中心という勾配を伴う。例えば、米国特許第6,113,831号(Nesbitt等、特許文献3)は全般的に慣用的なコアおよびこのコアの周りを包む別個の柔らかい表皮を開示している。この柔らかい表皮は、成型プロセスの間にストリームに母材スラグを露呈して最大成型温度がストリーム設定温度を超えるようにし、さらに、成型中に発熱成型温度を制御して形成される。この表皮は、球状コアの径方向において最も外側の1/32インチから1/4インチを有する。米国特許第5,976,443号および同第5,733,206号(ともにNesbitt等、特許文献4、5)は成型の前にスラグの表面に水の霧を付与して柔らかな表皮を形成することを開示している。主張されるところによれば、水は、コア表面の架橋を遅らせ、これにより、硬い中央の部分の周りにさらに柔らかな表皮を形成し、これによって、コアの圧縮を柔らかにする。
【0008】
さらに、多くの特許が多層ゴルフボールコアを開示しており、ここでは、コア層の各々が異なる硬度を伴い、これにより1のコア層から他のコア層に至る硬度勾配を形成する。
【0009】
しかしながら、表面から中央にいくに従って柔から硬になる勾配(「負」の勾配)を伴う単一層コアを実現すること、また、そのようなコアを廉価かつ効率よく製造する方法を実現することが依然として望まれる。そのような特性を有するコアによれば、ゴルフボール設計者は、圧縮、「フィーリング」、およびスピンの独特の組み合わせを伴う製品を製造できる。
【特許文献1】米国特許第4,650,193号明細書
【特許文献2】米国特許第3,784,209号明細書
【特許文献3】米国特許第6,113,831号明細書
【特許文献4】米国特許第5,976,443号明細書
【特許文献5】米国特許第5,733,206号明細書
【発明の開示】
【0010】
この発明は、塊部(ボリューム)、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部(遷移ボリューム)を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、カバー層とを有するゴルフボールであって、最外遷移部がコアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するものに向けられている。
【0011】
好ましい実施例では、遷移部は、コア体積の最外の5%から40%、より好ましくは、コアの体積の最外の10%から30%、最も好ましくは、コアの体積の最外の10%から20%を有する。遷移部の厚さは典型的には0.65mmから2.5mm、好ましくは、0.75mmから1.9mm、より好ましくは1mmから1.5mmである。
【0012】
コアの外側表面の硬度は幾何中心の硬度より1ショアCから10ショアC小さく、より好ましくは幾何中心の硬度より1ショアCから5ショアC小さい。遷移部は内側部分を有し、遷移部内の硬度は、内側部分から外側部分に遠ざかる方向に、少なくとも2ショアC/mm、より好ましくは、少なくとも3ショアC/mm、最も好ましくは、少なくとも4ショアC/mmで減少する。カバー層は好ましくは、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、またはポリ尿素−ウレタンから製造される。
【0013】
この発明は、また、塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、カバー層と、単一のコアおよびカバー層の間に配された中間層とを有するゴルフボールであって、最外遷移部がコアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するものに向けられている。
【0014】
1実施例において、中間層はアイオノマー性材料から製造される。他の実施例において、カバー層は好ましくは、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、またはポリ尿素−ウレタンから製造される。
【0015】
この発明は、さらに、塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一の内側コアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、この単一の内側コアの回りに配され負の硬度勾配または正の硬度勾配を伴う外側コア層と、内側カバー層と、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそのハイブリッドを有する外側カバー層とを有するゴルフボールであって、最外遷移部が内側コアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、内側コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、内側コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するものに向けられている。好ましい実施例では、内側カバー層はアイオノマー性材料から製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明のゴルフボールは、単一層(ワンピース)ゴルフボール、および多層ゴルフボール、例えばコアおよびコアを包囲するカバーを具備するゴルフボールを含んでよいけれども、好ましくは、ソリッドセンタ(内側コアとしても知られている)、および外側コア層を有してなるコア、内側カバー層、ならびに外側カバー層から製造される。もちろん、コアおよび/またはカバー層のいずれかが複数の層を含んでよい。好ましい実施例において、コアは内側コアおよび外側コアから製造され、内側コアおよび外側コア層は、各要素の外側表面からその最も内側の部分(すなわち、内側コアの中心または外側コア層の内側表面)へと、径方向の内側へ「柔から硬」の硬度勾配(「負」の硬度勾配)を伴うけれども、コア要素の間の硬度勾配の方向や組み合わせを変更した代替的な実施例も想定できる(例えばセンタ中で「負」の勾配でありながら、外側コア層で「正」の勾配、あるいはその逆)。
【0017】
コアのセンタは、1または複数の中間および/またはカバー層により包囲された、液体充填または空洞の球であってもよく、あるいは、張力を加えられた弾性材料をその周囲に巻き付けたソリッドまたは液体センタであってよもよい。これら代替的なセンタの周りに配された任意の層がこの発明のコアの硬度勾配(すなわち「負」)を伴ってよい。カバー層は単一層、または、例えば、複数の層、具体的には内側カバー層および外側カバー層から形成されてよい。
【0018】
先に簡単に検討したように、この発明のコアでは、硬度勾配は、内側コア(または外側コア層)の表面での硬度測定値、および内側コアの中心へ径方向に、典型的には2mmの増分で行われる硬度測定値により定義される。ここで使用されるように、用語「負」および「正」は、測定対象の要素の最も内側の部分(例えば、ソリッドコアまたは二重コア構造における内側コアの中心;コア層の内側表面;その他)の硬度値を、測定対象の要素の外側表面(例えば、ソリッドコアの外側表面;二重コアにおける内側コアの外側表面;二重コアにおける外側コア層の外側表面、等)の硬度値から引いた結果を指す。例えば、ソリッドコアの外側表面の硬度値が中心より小さい(すなわち、表面が中心より柔らかい)ならば、硬度勾配は「負」の勾配と見なされる(小さな数−大きな数=負の数)。この発明のコアはゼロまたは負の硬度勾配を伴うことが好ましく、より好ましくは、ゼロ(0)および−10の間であり、最も好ましくは0および−5の間である。
【0019】
この発明は、より具体的には、コアの最外表面、例えば、単一コアの外側表面、または二重コア構造における外側コア層の外側表面に柔らかな「表皮」(すなわち遷移部(遷移ボリューム))を生成することに向けられている。表皮すなわち遷移部は個別の層ではなく、コアの残りの部分と異なる硬度特性を伴う単一のコアの一部であり、コアはすべて同一の組成物から製造される。
【0020】
「表皮」は典型的には表面から約0.001インチから約0.100インチ、より好ましくは約0.010インチから約0.030インチの範囲にあるコアのボリュームとして形成される。最も好ましい実施例では、単一または多層コアは母材の表面を硬化修正材料でコーティングすることにより母材として処理される。硬化修正材料は溶液の形態、例えば液体、分散材、または溶媒中のスラリーであってよい。適切な溶媒は、これに限定されないが、水、炭化水素溶媒、極性溶媒、および可塑剤を含む。液体を採用するならば、水が好ましい。最も好ましい実施例では、自由流状の比較的小さな粒子サイズの粉末を母材に均一にコーティングを行うのに採用する。
【0021】
好ましくは、層はコアまたはコア層であるけれども、代替的な実施例では、ジエンゴム組成物、好ましくはポリブタジエンゴムを有するカバーまたはカバー層(内側または外側カバー層)でもある。
【0022】
処理用の硬化修正材料は、これに限定されないが、酸化防止剤、硫黄含有化合物、例えばペンタクロロチオフェノールまたはその金属塩、軟化用アクリレートモノマーまたはオリゴマー、および柔らかな粉末化した熱可塑性樹脂、例えば、エチルビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、および極低弾性アイオノマーを含む。好ましい硬化修正材料はフェノール含有酸化防止剤、ヒドロキノン、および「柔軟化・高速化」剤(ソフト・アンド・ファスト・エージェント)、例えば、有機硫黄化合物、無機硫黄化合物、およびチオフェノール、具体的にはペンタクロロチオフェノール(PCTP)およびPCTPの金属塩、例えばZnPCTO、MgPCTP、DTDS、および米国特許第6,458,895号、同第6,417,278号、および同第6,635,716号、ならびに米国特許出願公開第2006/021586号に開示されているものであり、かかる特許文献の内容は参照してここに組み入れる。代替的には、熱可塑性または熱硬化性粉末、例えば低分子量ポリエチレン、エチレンビニルアセテート、エチレンコポリマーおよびターポリマー(すなわちNUCREL(商標)、エチレンブチルアクリレート、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−コポリマー(すなわちシリコーン−ウレタン)、PEBAX(商標)、HYTREL(商標)、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、シリコーン、およびMicromorph(商標)材料、例えば、米国特許出願公開第11/690,530号、および同第11/690,391号に開示されるものであり、この特許文献の内容は参照してここに組み入れる。
【0023】
1つの特に好ましい実施例において、ポリブタジエンゴムの母材が酸化防止剤含有粉末でコーティングされ、その後、350〜360°Fの温度で11分間成型されて単一コアを形成する。得られたコアの直径は約1.580インチであり、その幾何中心の硬度は約60ショアCから約80ショアC、好ましくは、約65ショアCから約78ショアC、最も好ましくは、約70ショアCから約75ショアCである。中心点から約8mmの距離の硬度は、約75ショアCから約77ショアCであり、中心点から14mmでは約73ショアCから約75ショアCであり、中心点から18mmでは約80ショアCであり、中心点から25mmでは約85ショアCであり、中心点から30mmでは約90ショアCである。コアの中心点から約31mmから約40mmの点では柔らかな「表皮」の硬度は、約60ショアCから約80ショアC、好ましくは、約65ショアCから約75ショアC、最も好ましくは約68ショアCから約74ショアCであり、ゼロ、最も好ましくは負(すなわち約−30から0、より好ましくは約−15から0、最も好ましくは約−10から0)の全体の硬度(中央から表面に測定したもの)をもたらす。典型的には、この例のコアのAtti圧縮は約70であり、125ft/sの入力速度で測定したときのCORは約0.800である。好ましいAttiコア圧縮は110以下であり、好ましくは100以下であり、より好ましくは約90以下であり、最も好ましくは80以下である。
【0024】
第2の特に好ましい実施例は、内側コアおよび外側コア層から製造されたツーピースコアである。内側コアはここに説明したように「処理」されても、されなくてもよいけれども、好ましくは、外側コア層は柔らかな外側「表皮」を形成するように処理される。1実施例において、柔らかな内側コアは比較的硬い外側コア層により包囲される。内側コアの外側径は好ましくは約1.0インチであり、その中心点の硬度は約55ショアCから約60ショアCであり、その外側表面の硬度は約75ショアCから約80ショアCである。外側コア層の改質された「表皮」の表面硬度は約60ショアCから約80ショアC、より好ましくは約65ショアCから約75ショアC、最も好ましくは約68ショアCから約74ショアCである。好ましい全体の勾配は負からゼロであり、最も好ましくは負(すなわち約−30から0、より好ましくは約−15から0、最も好ましくは約−10から0)である。
【0025】
他の実施例は、塊部(ボリューム)、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部(遷移ボリューム)を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、カバー層とを有するゴルフボールである。その最外遷移部はコアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成する。
【0026】
遷移部は、コア体積の最外の5%から40%、より好ましくは、コアの体積の最外の10%から30%、最も好ましくは、コアの体積の最外の10%から20%を有する。遷移部の厚さは典型的には0.65mmから2.5mm、好ましくは、0.75mmから1.9mm、より好ましくは1mmから1.5mmである。
【0027】
コアの外側表面の硬度は幾何中心の硬度より1ショアCから10ショアC小さく、より好ましくは幾何中心の硬度より1ショアCから5ショアC小さい。遷移部は内側部分を有し、遷移部内の硬度は、内側部分から外側部分に遠ざかる方向に、少なくとも2ショアC/mm、より好ましくは、少なくとも3ショアC/mm、最も好ましくは、少なくとも4ショアC/mmで減少する。カバー層は、好ましくは、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、またはポリ尿素−ウレタンから製造される。
【表1】

【0028】
代替的な実施例は、塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、カバー層と、単一のコアおよびカバー層の間に配された中間層とを有するゴルフボールである。その最外遷移部は、コアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成する。中間層はアイオノマー性材料から製造される。他の実施例において、カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、またはそのハイブリッドから製造される。
【0029】
二重コアの実施例は、塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一の内側コアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、この単一の内側コアの回りに配され負の硬度勾配または正の硬度勾配を伴う外側コア層と、内側カバー層と、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそのハイブリッドを有する外側カバー層とを有するゴルフボールを含む。その最外遷移部は内側コアの外側表面および幾何中心の間に配され、この遷移部がコアの外側表面と合致する外側部分を具備し、内側コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、かつ、内側コアの外側表面の硬度および最外遷移部内の硬度の双方が幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成する。好ましくは、内側カバー層はアイオノマー性材料から製造される。
【0030】
この発明で使用されるコアの調合は、コバルト−、ニッケル−、リチウム−、またはネオジミウム−触媒処理され、最も好ましくはCo−、またはNd−触媒処理され、そのムーニー粘度が約25から約125、より好ましくは約30から約100、最も好ましくは約40から約60である、高シスポリブタジエンゴムを好ましくはベースにする。非ポリブタジエンゴム、例えば、スチレンブタジエンゴム、トランス−ポリイソプレン、天然ゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、低シスポリブタジエンゴム、またはトランスポリブタジエンゴムのより小さな量をポリブタジエンゴムにブレンドしてよい。コエージェント、例えば亜鉛ジアクリレートまたは亜鉛ジメタクリレートが典型的には約0pphから約60pph、より好ましくは約10pphから約55pph、最も好ましくは約15pphから約40pphのレベルだけ存在する。過酸化物または過酸化物ブレンドも典型的には約0.1pphから約5.0pph、より好ましくは約0.5pphから約3.0pphの量だけ存在する。酸化亜鉛も約5pphから約50pphだけ存在して良く、酸化防止剤も約0pph、約0.1pphから約5.0pph、より好ましくは約0.5pphから約3.0pphだけ存在する。
【0031】
他の実施例は任意の個数のコア層および勾配の組み合わせを含み、ここではコアの少なくとも1つの層の表面が上述のように「処理」される。
【0032】
スクラップ自動車タイヤリグリンド(細かな粉末形態)も、未架橋または部分的に架橋されて、そのため、ポリブタジエンと反応することが可能な他の粉末状のゴムと同様に、この発明の柔らかな外側「表皮」を形成するのに十分である。十分に架橋されたゴムも、依然として、ポリブタジエン基体と十分に相性がよく固着し(反応は最小限であるが)、十分の良好な結合を形成する。
【0033】
他の潜在的な表面柔軟化すなわち硬化修正剤は、これに限定されないが、硫酸化油脂(fats)、ナトリウム塩、アルキレート化芳香族スルホン酸、置換ベンゾイドアルキルスルホン酸、ジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールのモノアリールおよびアルキルエーテル、アルキルホスフェートのアンモニウム塩、ナトリウムアルキル硫酸塩、硫酸メチルオレエートのモノナトリウム塩、カルボキシレート化電解質のナトリウム塩を含む。他の適切な材料は、ジチオカルバメート、例えば、亜鉛ジメチルジチオカルバメート、亜鉛ジエチルジチオカルバメート、亜鉛ジ−n−ブチルジチオカルバメート、亜鉛ジアミルジチオカルバメート、テルリウムジエチルジチオカルバメート、セレニウムジメチルジチオカルバメート、セレニウムジエチルジチオカルバメート、鉛ジアミルジチオカルバメート、ビスマスジメチルジチオカルバメート、カドミウムジエチルジチオカルバメート、およびこれらの混合物を含む。
【0034】
この発明のゴルフボールを製造する方法は種々のステップおよびオプションを含む。典型的には、バンバリタイプのミキサまたは同様のものを用いてポリブタジエンゴム組成物を混合する。ゴム組成物は押し出し物として押し出され予め定められた形状、例えば、円筒形状に切り出され、これを典型的には「母材」(プレフォーム)と呼ぶ。未硬化のポリブタジエン組成物を有する母材はつぎに少なくとも1つの硬化修正(禁止)剤、液体、溶媒によるコーティングのために準備処理され、この材料は先に説明した。好ましい硬化修正剤はここでは酸化防止剤、硫黄含有化合物、亜鉛メタクリレート、亜鉛ジメタクリレート、柔軟化用アクリレートモノマーまたはオリゴマー、柔軟な粉末化された熱可塑性樹脂、フェノール含有酸化防止剤、またはヒロドキノンを有し、最も好ましくは酸化防止剤を有する。
【0035】
1実施例において、2以上の硬化修正剤が連続して使用される。この実施例では、好ましい組み合わせは、酸化防止剤のような第1の硬化修正剤と異なる酸化防止剤または過酸化物のような第2の硬化修正剤を含む。相溶化剤および/または結束層を組み込んでも良い。さらに2段階の浸漬またはロール(硬化修正材料中で)を採用して順次的に第1および第2の酸化防止剤、または、酸化防止剤および過酸化物を供給してよい。
【0036】
オプションとして、母材のコーティングに先立って、未硬化の母材を粗い球に形状付け、あるいは常温成型してもよい。コーティングは種々の態様で実行して良く、これに限定されないが、ローリング、スプレイ、浸漬、または粉掛けを含む。コーティングは均一でも不均一でもよいけれども、好ましくは均一である。
【0037】
未硬化、未コーティングの母材はオプションとして予め定められた温度に予め定められた時間だけ加熱して良く、その温度は予め定められた硬化温度よりも実質的に低く、これにより、硬化修正材料を母材内に拡散、浸透、移動、その他、母材内に移すように作用させ、あるいは、代替的には、任意の溶媒を蒸発させ、または母材を乾燥させる(コーティングが液体形態で行われる場合)。2つの硬化修正材料を採用する場合には、この時間は完成のために起こるいずれの反応も可能にするためにも望ましい。
【0038】
未硬化のコーティング済の母材は、つぎに、予め定められた温度および時間で硬化せれ、また成型され、架橋したゴルフボールコアを製造する。先に詳述したように、このコアでは、外側表面は第1の硬度を伴い、幾何中心は第1の硬度より大きな第2の硬度を伴い、「負」の硬度勾配を形成する。複数のカバー層のうちのいずれが「負」の勾配のコアの回りに形成されても良く、これに限定されないが、その層は外側コア層、内側カバー層、および外側カバー層を含む。
【0039】
硬化されたコアはつぎに典型的には芯無し研磨されコアが均一な球状となり、その表面が粗面化され、ざらつき加工され(textured)、後続の層がより接着しやすいようにされる。芯無し研磨の前、または後に、コアを、プラズマ放電、コロナ放電、シラン、または塩素処理で処置してよく、これにより例えば接着特性が助長される。
【0040】
とくに好ましい方法は、ポリブタジエン組成物を押し出して円筒形の押し出し物を形成するステップ、押し出し物を切断して未硬化のポリブタジエン母材を形成するステップ、第1の酸化防止剤を有する硬化修正材料で母材を均一にコーティングするステップ、コーティングされた母材を硬化して、第1の硬度を伴う外側表面と第1の硬度よりも大きな第2の硬度を伴う幾何中心とを具備して負の硬度勾配を実現する、架橋されたコアを形成するステップ、硬化されたコアを芯無し研磨して、表面の粗面度が増大した均一な球状のコアを形成するステップ、内側カバー層を均一な球状のコアの回りに形成するステップ、および内側カバー層の回りに外側カバー層を形成してゴルフボールを製造するステップとを含む。
【0041】
好ましくは、コア層(内側コアまたは外側コア層)は、少なくとも1つの熱硬化性ベースゴム、例えば、ポリブタジエンゴムを含む組成物から製造され、これは少なくとも1つの過酸化物および少なくとも1つの反応性コエージェントにより硬化され、これは不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸の金属塩、非金属コエージェント、またはこれらの混合物であってよい。好ましくは、適切な酸化防止剤が組成物中に含まれる。オプションの柔軟化・高速化剤(およびしばしばシス・ツー・トランス触媒)、例えば有機硫黄または金属含有有機硫黄か棒物もコア調合に含ませてよい。
【0042】
当業者に知られている他の含有物を用いて良く、これに限定されないけれども、密度調整フィラー、処理助剤、可塑剤、発泡剤また起泡剤、硫黄促進剤、および/または非過酸化物ラジカル源を含むと理解できる。
【0043】
ベースの熱硬化性ゴムは他のゴムおよびポリマーとブレンドしてよく、典型的には、天然ゴムまたは合成ゴムを含む。好ましいベースゴムは、少なくとも40%、好ましくは80%より多くの、さらに好ましくは90%より多くのシス構造を伴う1,4−ポリブタジエンである。
【0044】
所望のポリブタジエンゴムの例は、LANXESS社から商業的に入手可能なBUNA(商標)CB22およびBUNA(商標)CB23;日本国、東京のUBE Industry社から商業的に入手可能なUBEPOL(商標)360LおよびUBEPOL(商標)150LおよびUBEPOL−BRゴム;オハイオ州アクロンのGoodyear社から購入可能なKINEX(商標)7245;Dow Chemical社から商業的に入手可能なSE BR−1220およびTAKTENE(商標)1203G1、220、および221;Polimeri Europa社から商業的に入手可能なEuroprene(商標)NEOCIS(商標)BR40およびBR60;およびJapan Synthetic Rubber社から商業的に入手可能なBR 01、BR 730、BR 11、およびBR 51;PETROFLEX(商標)BRNd−40;およびKarbochem社から商業的に入手可能なKABOCHEM(商標)ND40、ND45、およびND60を含む。
【0045】
ベースゴムはムーニー(Mooney)粘度が大きな、または中くらいのゴム、またはそのブレンドを有してもよい。「ムーニー」単位は、生すなわち非加硫のゴムの可塑性を測定するのに採用する単位を指す。ムーニー単位の可塑性は、任意のスケールで測定された、100°Cの温度のゴムを含み、1分に2回転する容器中のディスクに加わるトルクと等しい。ムーニー粘度の測定はASTM D−1646に規定されている。
【0046】
ムーニー粘度の範囲は好ましくは約40より大きく、より好ましくは約40から約80の範囲であり、さらに好ましくは約40から約60の範囲である。ムーニー粘度がより大きなポリブタジエンゴムを用いてもよい。ただし、ポリブタジエンの粘度が、高粘度のポリブタジエンが詰まったり、その他、製造機械に悪影響を与えるレベルに至らないことを条件とする。粘度が65ムーニーより小さなポリブタジエンはこの発明に採用可能であると理解できる。
【0047】
この発明の1実施例において、中間から高ムーニー粘度のポリブタジエン材料で製造したゴルフボールコアは、ボールの硬度を増大させることなく、大きな弾力性(したがって、距離が大)を実現する。そのようなコアは柔らかく、すなわち、圧縮が約60より小さく、より具体的には約50−55の範囲である。圧縮が約30から約50の範囲のコアも、かかる好ましい実施例の範囲内である。
【0048】
適切な中位、または高いムーニー粘度のポリブタジエンの商業的なリソースは、Bayer AG CB23(Nd触媒)およびShell 1220(共触媒)を含み、前者は50辺りのムーニー粘度を伴い、硬度に線型菜ポリブタジエンである。望ましいときには、ポリブタジエンは、当業界で知られている他のエラストマー、例えば他のポリブタジエンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、および/またはイソプレンゴムと混合してコアの特性を修正してもよい。エラストマーの混合物を用いるときには、コア組成物中の他の成分の量は典型的にはエラストマー混合物の総量の100重量部に基づく。
【0049】
1実施例において、ベースゴムはNd触媒ポリブタジエン、希土類触媒ポリブタジエンゴム、またはこれらのブレンドを有する。望ましいときには、ポリブタジエンは、当業界で知られている他のエラストマー、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、および/またはスチレンブタジエンゴムと混合してコアの特性を修正してもよい。他の適切なベースゴムは熱硬化性材料、例えば、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ハロブチルゴム、水素化ニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、およびシリコーンゴムを含む。
【0050】
熱可塑性エラストマー(TPE)は、これをベースの熱硬化性ゴムと混合して、コア層または非硬化のコア層ストックの特性を修正してもよい。これらPTEは、天然または合成ゴム、または高トランス−ポリイソプレン、高トランス−ポリブタジエン、または任意のスチレンブロックコポリマー、例えば、スチレンエチレンブタジエンスチレン、スチレン−イソプレン−スチレン等、メタローセンまたは他のシングルサイト触媒ポリオレフィン、例えばスチレン−オクテン、またはエチレン−ブテン、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含み、これは例えばシリコーンとのコポリマーを含む。この発明の熱硬化性ゴムと混合して適切な他のTPEは、ポリエーテルアミドコポリマーを有すると考えられる、PEBAX(商標)、ポリエーテルエステルコポリマー、熱可塑性ウレタンを有すると考えられる、HYTEL(商標)、およびスチレンブロックコポリマーエラストマーを有すると考えられる、KRATON(商標)を含む。上述のTPEまたはTPUのいずれもグラフト化に適切な官能基を含有し、マレイン酸または無水マレイン酸を含む。
【0051】
付加的なポリマーをベースゴムにオプションとして組み入れてもよい。かかる例は、これに限定されないが、熱硬化性エラストマー、例えばコアリグリンド、熱可塑性加硫物、コポリマー性アイオノマー、ターポリマー性アイオノマー、ポリカーボネート、ポリアミド、コポリマー性ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリアリーレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、衝突改質ポリフェニレンエーテル、高衝突ポリスチレン、フタル酸ジアリルポリマー、スチレン−アクリロニトリルポリマー(SAN)(オレフィン改質SANおよびアクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリルポリマーを含む)、スチレン−マレイン酸無水物コポリマー、スチレンコポリマー、官能性スチレンコポリマー、官能性スチレンターポリマー、スチレンターポリマー、セルロースポリマー、液晶ポリマー、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリ尿素、およびポリシロキサンまたはこれら種のメタローセン触媒ポリマーである。
【0052】
この発明の範囲内の組成物の付加的なポリマー材料として用いて好適なポリアミドは、つぎのようにして取得された樹脂を含む。(1)として、(a)ジカルボン酸例えば蓚酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を(b)ジアミン例えばエチレンジアミン、テトラエチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、またはデカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルアミンまたはm−キシリレンジアミンで宿重合する。(2)として、環状ラクタム例えばイプシロンカプロカクタム、またはオメガラウロラクタムを開環重合する。(3)として、アミノカルボン酸例えば6−アミノカプロン酸、9−アミノカプロン酸、11−アミノカプロン酸または12−アミノカプロン酸を宿重合する。または、(4)として、環状ラクタムをジカルボン酸およびジアミンで共重合する。適切なポリアミドの具体的な例は、NYLON6、NYLON66、NYLON610、NYLON11、NYLON12、コポリマーNYLON、NYLONMXD6およびNYLON46である。
【0053】
適切な過酸化物開始剤は、ジクミルペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン;2,2’−ビス(t−ブチルペルオキシ)−ジ−イソ−プロピルベンゼン;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート;t−ブチルペルベンゾエート;ベンゾイルペルオキシド;n−ブチル−4,4’−ビス(ブチルペルオキシ)バレレート;ジ−t−ブチルペルオキシド;または2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、ラウリルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α−αビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロプロピルベンゼン、ジ(2−tブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシドを含む。好ましくは、ゴム組成物は、ゴム100重量部に対して約0.25から約5.0重量部(phr)の過酸化物を含み、より好ましくは0.5phrから3phr、最も好ましくは0.5phrから1.5phrの過酸化物を含む。最も好ましい実施例においては、過酸化物は約0.8phrの量だけ存在する。過酸化物のこれらの範囲は、過酸化物が100%活性であり、存在するかもしれないいずれのキャリアも考慮していないという仮定の下で与えられる。多くの商業的に入手可能な過酸化物はキャリア化合物とともに販売されるので、活性の過酸化物の実際の存在量を計算しなければならない。商業的に入手可能な過酸化物開始剤は、Cropton(Geo Specialty Chemicals)から入手可能なDICUP(商標)ファミリのジクミルペルオキシド(DICUP(商標)R、DICUP(商標)40CおよびDICUP(商標)40KE)を含む。類似の開始剤は、AkroChem、Laxess、Flexsys/Haewick、およびR.T. Vanderbiltから入手できる。他の商業的に入手可能で好ましい開始剤はAkzo NobelからのTRIGONOX(商標)265−50Bであり、これは1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、およびジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンである。TRIGONOX(商標)過酸化物はキャリア化合物とともに販売される。
【0054】
適切な反応性コエージェントは、これに限定されないが、ジアクリレート、ジメタクリレート、およびモノメタクリレートの金属塩を含み、この発明に使用して好適なものは、金属が亜鉛、マンガン、カルシウム、バリウム、錫、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ジルコニウム、およびビスマスであるものである。亜鉛ジアクリレート(ZDA)が好ましいけれども、この発明はこれに限定されない。ZDAはゴルフボールに大きな初期速度を付与する。DZAは種々の純度グレードであってよい。この発明の目的を実現する上では、ZDA中に存在するステアリン酸亜鉛の量が少なければZDA純度が大きくなる。約10%未満のステアリン酸亜鉛を含有するZDAが好ましい。さらに約4−8%のステアリン酸亜鉛しか含有しないZDAがより好ましい。適切な商業的に入手可能な亜鉛ジアクリレートはSartmer社から入手できるものを含む。利用可能なZDAの好ましい濃度は約10phrから約40phrであり、より好ましくは約20phrから約35phrであり、最も好ましくは約25phrから約35phrである。具体的な好ましい実施例において、反応性コエージェントは約29phrから約31phrの量だけ存在する。
【0055】
単独で、または上述のものと組み合わせて利用してよい付加的な好ましいコエージェントは、これに限定されないが、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、その他を含む。コエージェントが室温で液体の場合には、有利なことに、これら化合物を適切なキャリア上に分散させてゴム混合物への一体化がより容易になることが、当業者には理解できるであろう。
【0056】
酸化防止剤は、エラストマーの酸化破壊を阻止し、および/または酸素ラジカルによって助長される反応を阻止する化合物である。この発明に利用できるいくつかの例示的な酸化防止剤は、これに限定されないが、キノリン型酸化防止剤、アミン型酸化防止剤、およびフェノール型酸化防止剤を含む。好ましい酸化防止剤はR.T.VanderbiltからVANOX(商標)MBPCとして利用可能な2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)である。他のポリフェノール性酸化防止剤はVANOX(商標)T、VANOX(商標)L、VANOX(商標)SKT、VANOX(商標)SWP、VANOX(商標)13、およびVANOX(商標)1290を含む。
【0057】
適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、アルキレン−ビス−アルキル置換クレゾール、例えば4,4’−メチレン−ビス(2,5−キシレノール);4,4’−エチリデン−ビス−(6−エチル−m−クレゾール);4,4’−ブチリデン−ビス−(6−t−ブチル−m−クレゾール);4,4’−デシリデン−ビス−(6−メチル−m−クレゾール);4,4’−メチレン−ビス−(2−アミル−m−クレゾール);4,4’−プロピリデン−ビス−(5−ヘキシル−m−クレゾール);3,3’−デシリデン−ビス−(5−エチル−p−クレゾール);2,2’−ブチリデン−ビス−(3−n−ヘキシル−p−クレゾール);4,4’−(2−ブチリデン)−ビス−(6−t−ブチル−m−クレゾール);3,3’−4(デシリデン)−ビス−(5−エチル−p−クレゾール);(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン;(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル)(2−エチル−3−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン;(3−メチル−5−ヒドロキ−6−t−ブチルフェニル)(2−ヒドロキシ−4−メチル−5−デシルフェニル)−n−ブチルメタン;(2−ヒドロキシ−4−エチル−5−メチルフェニル)(2−デシル−3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)ブチルアミルメタン;(3−エチル−4−メチル−5−ヒドロキシフェニル)−(2,3−ジメチル−3−ヒドロキシ−フェニル)ノニルメタン;(3−メチル−2−ヒドロキ−6−エチルフェニル)−(2−イソプロピル−3−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)シクロヘキシルメタン;(2−メチル−4−ヒドロキ−5−メチルフェニル)(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−エチルフェニル)ジシクロヘキシルメタン;その他を含む。
【0058】
他の適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、置換フェノール、例えば、2−タート−ブチル−4−メトキシフェノール;3−タート−ブチル−4−メトキシフェノール;3−タート−オクチル−4−メトキシフェノール;2−メチル−4−メトキシフェノール;2−ステアリル−4−n−ブトキシフェノール;3−t−ブチル−4−ステアリロキシフェノール;3−ラウリル−4−エトキシフェノール;2,5−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール;2−メチル−4−メトキシフェノール;2−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メトキシフェノール;2−t−ブチル−4−ドデシルオキシフェノール;2−(1−メチルベンジル)−4−メトキシフェノール;2−t−オクチル−4−メトキシフェノール;メチルガレート;n−プロピルガレート;n−ブチルガレート;ラウリルガレート;ミリスチルガレート;ステアリルガレート;2,4,5−トリヒドロキシアセトフェノール;2,4,5−トリヒドロキシ−n−ブチロフェノール;2,4,5−トリヒドロキシステアロフェノール;2,6−ジタート−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジタート−オクシル−4−メチルフェノール;2,6−ジタート−ブチル−4−ステアリルフェノール;2−メチル−4−メチル−6−タート−ブチルフェノール;2,6−ジステアリル−4−メチルフェノール;2,6−ジラウリル−4−メチルフェノール;2,6−ジ(n−オクチル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(n−ヘキサデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルウンデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルヘプタデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(トリメチルヘキシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1,1,3,3−テトラメチルオクチル)−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−タートブチル−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−(1−メチルウンデシル)−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−(1,1,3,3−テトラメチルオクチル)−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−n−オクタデシル−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−n−オクチル−4−メチルフェノール;2−メチル−6−n−オクタデシル−4−メチルフェノール;2−n−ドデシル−6−(1−メチルヘプタデシル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;2,6−ジ(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール;2,6−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール;2−(1−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;および関連する置換フェノールを含む。
【0059】
より適切な酸化防止剤は、これに限定されないが、アルキレンビスフェノール、例えば、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2−ブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−ブチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−ブチリデンビス(4−t−ブチル−6−メチルフェノール);2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);4,4’−エチレンビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−t−ブチル−6−フェニルフェノール);2,2’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン;2,2’−イソプロピリデンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);エチレンビス(ベータ−ナフトール);1,5−ヒドロキシナフタレン;2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−プロピルフェノール);4,4’−メチレンビス(2−プロピル−6−t−ブチルフェノール);4,4’−エチレンビス(2−メチル−6−プロピルフェノール);2,2’−メチレンビス(5−メチル−6−t−ブチルフェノール);および4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)を含む。
【0060】
適切な酸化防止剤は、さらに、これに限定されないが、アルキレントリフェノール、例えば、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−エチル−5’−ブチルベンジル)−4−メチルフェノール;および2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メプロピルベンジル)−4−メチルフェノールを含む。
【0061】
酸化防止剤は典型的には約0.1phrkら約5phrの量だけ存在し、好ましくは、約0.1phrから約2phr、さらに好ましくは、約0.1phrから約1phrの量だけ存在する。具体的な好ましい実施例においては、酸化防止剤は約0.4phrの量だけ存在する。
【0062】
代替的な実施例において、酸化防止剤は、本件発明のコアの硬度勾配が確実に負になることを保障する量だけ存在しなければならない。好ましくは、酸化防止剤は、約0.2phrから約1phr、より好ましくは約0.3phrから約0.8phr、最も好ましくは約0.4phrから約0.7phrだけ、コア層(内側コアまたは外側コア層)の調合に加えられる。好ましくは、100%活性として計算されたときに、約0.25phrから約1.5phrの過酸化物がコアの調合に加えられて良く、より好ましくは約0.5phrから約1.2phr、最も好ましくは約0.7phrから約1.0phrが加えられてよい。ZDAの量は、製造される誤ブルボールの所望の圧縮、スピンおよびフィーリングに適合するように可変してよい。硬化養生は約290°F(143°C)から約335°F(168°C)、より好ましくは約300°F(149°C)から約325°F(163°C)の温度範囲を伴って良く、ストックは少なくとも約10分から約30分の間その温度に保持される。
【0063】
この発明の熱硬化性組成物はオプションの柔軟化・高速化剤を含んでもよい。ここで使用されるように「柔軟化・高速化剤」(soft and fast agent)は、柔軟化・高速化剤なしに準備した場合に較べて、コアを1)一定のCORの下でより柔らかく(より小さな圧縮)し、または2)等しい圧縮でより大きなCORを伴うようにする、任意の化合物またはそれらのブレンド、または任意の組み合わせを意味する。好ましくは、この発明の組成物は約0.05phrから約10.0phrの柔軟化・高速化剤を含有する。1実施例において、柔軟化・高速化剤は約0.05phrから約3.0pr、好ましくは約0.05phrから約2.0phr、より好ましくは約0.05phrから約1.0phrの範囲で存在する。他の実施例では、柔軟化・高速化剤は約2.0phrから約5.0pr、好ましくは約2.35phrから約4.0phr、より好ましくは約2.35phrから約3.0phrの範囲で存在する。代替的な高濃度の実施例では、柔軟化・高速化剤は約5.0phrから約10.0pr、より好ましくは約6.0phrから約9.0phr、最も好ましくは約7.0phrから約8.0phrの範囲で存在する。最も好ましい実施例では、柔軟化・高速化剤は約2.6phrの量だけ存在する。
【0064】
適切な柔軟化・高速化剤は、これに限定されないが、有機硫黄または金属含有有機硫黄化合物、無機硫黄化合物、第VIA族の化合物、またはこれらの混合物を含み、有機硫黄化合物は、モノ、ジ、およびポリスルフィド、チオール、またはメルカプト化合物を含む。柔軟化・高速化剤化合物は、有機硫黄化合物おおび無機硫黄化合物のブレンドであってもよい。
【0065】
この発明の適切な柔軟化・高速化剤は、これに限定されないが以下の一般式を有するものを含む。
【化1】

【0066】
式中、R〜Rはいずれの順番であってもよく、C〜Cアルキル基;ハロゲン基;チオール基(−SH)、カルボキシレート基;スルホネート基;、及び水素であってよく、また、ペンタフルオロチオフェノール;2−フルオロチオフェノール;3−フルオロチオフェノール;4−フルオロチオフェノール;2,3−フルオロチオフェノール;2,4−フルオロチオフェノール;3,4−フルオロチオフェノール;3,5−フルオロチオフェノール;2,3,4−フルオロチオフェノール;3,4,5−フルオロチオフェノール;2,3,4,5−テトラフルオロチオフェノール;2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール;4−クロロテトラフルオロチオフェノール;ペンタクロロチオフェノール;2−クロロチオフェノール;3−クロロチオフェノール;4−クロロチオフェノール;2,3−クロロチオフェノール;2,4−クロロチオフェノール;3,4−クロロチオフェノール;3,5−クロロチオフェノール;2,3,4−クロロチオフェノール;3,4,5−クロロチオフェノール;2,3,4,5−テトラクロロチオフェノール;2,3,5,6−テトラクロロチオフェノール;ペンタブロモチオフェノール;2−ブロモチオフェノール;3−ブロモチオフェノール;4−ブロモチオフェノール;2,3−ブロモチオフェノール;2,4−ブロモチオフェノール;3,4−ブロモチオフェノール;3,5−ブロモチオフェノール;2,3,4−ブロモチオフェノール;3,4,5−ブロモチオフェノール;2,3,4,5−テトラブロモチオフェノール;2,3,5,6−テトラブロモチオフェノール;ペンタヨードチオフェノール;2−ヨードチオフェノール;3−ヨードチオフェノール;4−ヨードチオフェノール;2,3−ヨードチオフェノール;2,4−ヨードチオフェノール;3,4−ヨードチオフェノール;3,5−ヨードチオフェノール;2,3,4−ヨードチオフェノール;3,4,5−ヨードチオフェノール;2,3,4,5−テトラヨードチオフェノール;2,3,5,6−テトラヨードチオフェノール;及びこれらの亜鉛塩であってよい。好ましくはハロゲン化した有機硫黄化合物はペンタクロロチオフェノールであり、これは純粋な形態で市場から入手可能であり、又はペンタクロロチオフェノールを45パーセント(2.4部のPCTPに相当する)付加した硫黄化合物を含むクレイをベースとするキャリヤであるSTRUKTOL(登録商標)の商標名で入手可能である。STRUKTOL(商標)はオハイオ州ストウのStruktolCompanyofAmericaから商業的に入手可能である。PCTPは商業的にカリフォルニア州サンフランシスコのeChinachemから純粋な形態で入手可能であり、サンフランシスコのeChinachemから塩の形態で入手可能である。最も好ましくは、ハロゲン化した有機硫黄化合物はペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩であり、これはサンフランシスコのeChinachemから商業的に入手可能である。
【0067】
この発明を参照する際にはここで使用されるように、用語「有機硫黄化合物」は、炭素、水素およびイオウを含有する任意の化合物を称し、ここで、硫黄は少なくとも1個の炭素に直接に結合する。ここで使用されるように、用語「イオウ化合物」は、元素状イオウ、高分子イオウ、またはこれらの組合せである化合物を意味する。さらに、「元素状イオウ」はSの環構造体を称し、「高分子イオウ」は元素状イオウに対して少なくとも1個の追加のイオウを含む構造体であることを理解すべきである。
【0068】
柔軟化・高速化剤の付加的に適切な例(これはシス−トランス触媒とも考えられる)は、これに限定されないが、ジフェニルジスルフィド;4,4’−ジトリルジスルフィド;2,2’−ベンズアミドジフェニルジスルフィド;ビス(2−アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(4−アミノフェニル)ジスルフィド;ビス(3−アミノフェニル)ジスルフィド;2,2’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2 ’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(2−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(3−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(4−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(5−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1 ’−ビス(6−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(7−アミノナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(8−アミノナフチル)ジスルフィド;1,2’−ジアミノ−1,2’−ジチオジナフタレン;2,3’−ジアミノ−1,2’−ジチオジナフタレン;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−イオドフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド;ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(2−シアノフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ニトロフェニル)ジスルフィド;ビス(2−ニトロフェニル)ジスルフィド;2,2’−ジチオベンゾイックエチル;2,2’−ジチオベンゾイックメチル;2,2’−ジチオ安息香酸;4,4’−ジチオベンゾイックエチル;ビス(4−アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(2−アセチルフェニル)ジスルフィド;ビス(4−ホルミルフェニル)ジスルフィド;ビス(4−カルバモイルフェニル)ジスルフィド;1,1’−ジナフチルジスルフィド;2,2’−ジナフチルジスルフィド;1,2’−ジナフチルジスルフィド;2,2’−ビス(1−クロロジナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(1−ブロモナフチル)ジスルフィド;1,1’−ビス(2−クロロナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(1−シアノナフチル)ジスルフィド;2,2’−ビス(1−アセチルナフチル)ジスルフィド等の;またはこれらの混合物がある。好ましい有機イオウ化合物は、ジフェニルジスルフィド、4,4’−ジトリルジスルフィド、または2,2’−ベンズアミドジフェニルジスルフィド、またはこれらの混合物である。より好ましい有機硫黄化合物は、4,4’−ジトリルジスルフィドである。他の実施例において、金属含有有機硫黄化合物をこの発明に従って使用してよい。適切な金属含有有機硫黄化合物は、これに限定されないが、ジエチルジチオカルバメート、ジアミルジチオカルバメート、およびジメチルジチオカルバメートのカドミウム、銅、鉛、およびテルリウム類似体、またはこの混合物である。
【0069】
硫黄または金属を含まない、適当な置換または無置換の芳香族有機成分は、4,4’−ジフェニルアセチレン、アゾベンゼン、またはこれらの混合物を含むが、これらに制限されない。該芳香族有機基は、好ましくはそのサイズにおいて、C〜C20なる範囲にあり、またより好ましくはC〜C10なる範囲にある。適当な無機硫化物成分は、硫化チタン、硫化マンガン、および鉄、カルシウム、コバルト、モリブデン、タングステン、銅、セレン、イットリウム、亜鉛、錫、およびビスマスの類似の硫化物を包含するが、これらに限定されない。
【0070】
また、置換または非置換芳香族有機化合物も柔軟化・高速化剤である。適切な置換または非置換芳香族有機成分としては、限定するものではないが、式(R−R−M−R−(Rを有する成分があり、式中、RおよびRは、各々、水素、または置換または非置換のC〜C20線状、枝分れまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、または単環、多環または縮合環のC〜C24芳香族基であり;xおよびyは、各々、0〜5の整数であり;RおよびRは、各々、単環、多環または縮合環のC〜C24芳香族基から選ばれ;Mは、アゾ基または金属成分である。RおよびRは、各々、好ましくはC〜C10芳香族基から選ばれ、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、ベンズアミドおよびベンゾチアジルから選ばれる。RおよびRは、各々、好ましくは、置換または非置換のC〜C10線状、枝分れまたは環状のアルキル、アルコキシまたはアルキルチオ基、またはC〜C10芳香族基から選ばれる。R、R、RまたはRが置換されている場合、その置換基としては、1種以上の以下の置換基があり得る:ヒドロキシおよびその金属塩;メルカプトおよびその金属塩;ハロゲン;アミノ、ニトロ、シアノおよびアミド;エステル類、酸類およびその金属塩を含むカルボキシル;シリル;アクリレート類およびその金属塩;スルホニルまたはスルホンアミド;およびホスフェート類およびホスファイト類。Mが金属成分である場合、Mは、当業者に入手し得る任意の適切な元素状金属であり得る。典型的には、金属は、遷移金属であるが、好ましくは、テルルまたはセレニウムである。上記シス−トランス−変換触媒中に含ませ得る。1実施例において、芳香族有機化合物は、金属を実質的に含まず、他方、他の実施例において、芳香族有機化合物は、金属を完全に含まない。
【0071】
柔軟化・高速化剤は、また第VIA族成分を含むこともできる。元素硫黄および重合体硫黄は、例えばオハイオ州、シャルドンのElastochem社から、市販品として入手できる。硫黄触媒化合物の例は、PB(RM−S)−80元素硫黄およびPB(CRST)−65重合体硫黄を含み、これら各々は、Elastochem社から入手できる。「TELLOY」という商品名のテルル触媒の例および「VANDEX」という商品名のセレン触媒の例は、各々RT Vanderbilt社から市販品として入手できる。
【0072】
他の適切な柔軟化・高速化剤は、これに限定されないが、ヒドロキノン、ベンゾキノン、キンヒドロン、カテコール、およびレソルシノールを含む。
【0073】
ヒドロキノン化合物は、つぎの化学式で表される化合物およびその水和物から選択される。
【化2】

【0074】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0075】
他の適切なヒドロキノン化合物の例は、これに限定されないが、ヒドロキノン;テトラクロロヒドロキノン;2−クロロヒドロキノン;2−ブロモヒドロキノン;2,5−ジクロロヒドロキノン;2,5−ジブロモヒドロキノン;テトラブロモヒドロキノン;2−メチルヒドロキノン;2−t−ブチルヒドロキノン;2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン;および2−(2−クロロフェニル)ヒドロキノンハイドレートを含む。
【0076】
より適切なヒドロキノン化合物はつぎの化学式で表される化合物およびその水和物を含む。
【化3】

【0077】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、カルボキシルの金属塩;アセテートおよびそのエステル;ヒドロキシ;ヒドロキシの金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0078】
適切なベンゾキノン化合物はつぎの化学式で表される化合物およびその水和物を含む。
【化4】

【0079】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0080】
他の適切なベンゾキノン化合物は、つぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化5】

【0081】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、カルボキシルの金属塩;アセテートおよびそのエステル;ヒドロキシ;ヒドロキシの金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0082】
適切なキンヒドロンは、つぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化6】

【0083】
ここで、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;カルボキシルの金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;、アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0084】
他の適切なキンヒドロンは、上述の化学式を有するものである。ただし、R、R、R、R、R、R、RおよびRの各々は、カルボキシルの金属塩;アセテートおよびそのエステル;ヒドロキシ;ヒドロキシの金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0085】
適切なカテコールはつぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化7】

【0086】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0087】
適切なレソルシノールはつぎの化学式で表される1または複数の化合物およびその水和物を含む。
【化8】

【0088】
ここで、R、R、RおよびRの各々は、水素;ハロゲン;アルキル;カルボキシル;その金属塩およびそのエステル;アセテートおよびそのエステル;ホルミル;アシル;アセチル基;ハロゲン化カルボニル;スルホおよびそのエステル;ハロゲン化スルホニル;スルフィノ;アルキルスルフィニル;カルバモイル;ハロゲン化アルキル;シアノ;アルコキシ;ヒドロキシおよびその金属塩;アミノ;ニトロ;アリール;アリールオキシ;アリールアルキル;ニトロソ;アセトアミド;またはビニルである。
【0089】
フィラーもコアの熱硬化性組成物に付加して組成物の密度を上方または下方に調整してよい。フィラーは、典型的には、タングステン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、金属、金属酸化物および塩、リグリンド(リサイクルしたコア材料であって典型的には約30メッシュの粒子に粉砕したもの)、高ムーニー粘度ゴムリグリンド、トランス−リグリンドコア材料(リサイクルしたコア材料であって、ポリブタジエンの高trans−アイソマーを含むもの)等を含む。trans−リグリンドがあるときは、trans−アイソマーの量は好ましくは約10%から約60%の間である。本発明の好ましい例では、コアは、約95%を超える内容量のcis−アイソマーを有するポリブタジエンと、フィラーとしてのtrans−リグリンド材料(すでに硫化されている)を含む。任意の粒子サイズのtrans−リグリンドコア材料で十分であるが、好ましくは、約125μm未満である。
【0090】
ゴルフボールの1部または多数の部分に添加するフィラーは、典型的には、レオロジー特性および混合特性に影響を与える処理助剤または化合物、密度調整用フィラー、引き裂き強度または強化用フィラー等を含む。フィラーは一般に無機物であり、適切なフィラーは多数の金属又は金属酸化物を含み、例えば酸化亜鉛及び酸化スズ、ならびに硫酸バリウム、硫酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、クレイ、タングステン、炭化タングステン、シリカのアレイ、及びこれらの混合物を含む。フィラーは種々の発泡剤又はブローイング剤を含むこともでき、当業者はこれらを容易に選択することができる。フィラーはポリマー、セラミック、金属で含んでよく、ガラスの微小球はソリッドでも空洞でもよく、充填しても充填しなくてもよい。フィラーも典型的にはゴルフボールの1部又は複数部分に添加されてその密度を調整し、均一なゴルフボール標準に適合させる。フィラーを使用してセンタ又は特別なボールのための少なくとも一つの追加的な層の質量を調整することもでき、例えば質量が小さいボールはスイング速度が小さい競技者に好ましいものである。
【0091】
タングステン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、金属、金属酸化物および塩、リグリンド(リサイクルしたコア材料であって典型的には約30メッシュの粒子に粉砕したもの)のような材料も適切なフィラーである。
【0092】
ポリブタジエンおよび/または任意の他のベースゴムまたはエラストマーシステムも、発泡処理され、あるいは、空洞の微小球または硬化処理中に設定温度で拡張する拡張可能微小球を充填して、任意の低比重レベルにしてよい。他の含有成分、例えば、硫黄促進剤、具体的には、テトラメチルチウラム、ジ、トリ、またはテトラスルフィド、および/または金属含有有機硫黄促進剤を本発明に従って使用してもよい。適切な金属含有有機硫黄促進剤は、これに限定されないが、ジエチルジチオカルバメート、ジアミルジチオカルバメートおよびジメチルジチオカルバメートまたはこれらの混合物の、カドミウム、銅、鉛、およびルテニウム類似体を含む。他の含有成分、例えば処理助剤、具体的には、脂肪酸および/またはその金属塩、処理オイル、染料および顔料、ならびに、当業者に周知の他の添加物をこの発明によりそれらが用いられる目的を達成するのに十分な量だけ使用しても良い。
【0093】
以下の表2に説明される調合および硬化サイクルに基づいて多数のコアが製造され、そのコア硬度値が以下の表3に報告される。
【表2】

(*)VANOX MBPC:R.T.Vanderbiltから入手可能な2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
(**)TRIGONOX 265−50B:Akzo Nobelから入手可能な非活性キャリア上で50%活性な1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンの混合物
(***)Perkadox BC−FF:Akzo Nobelから入手可能なジクミルペルオキシド(99%−100%活性)
(+)SR−526:Sartomerから入手可能なZDA
【表3】

【0094】
コアの表面硬度は、コアの対抗する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。コアは曲面なので、表面硬度が読み取られる前にコアをデュロメータインデンタの真下に中心づけられるようにコアを扱う必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータをすべての硬度測定に用い、最大の読みが得られた後1秒後に硬度の読みを取得するように設定した。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし自動スタンドの基部に取り付け、デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
【0095】
コアの硬度勾配測定を準備するために、内部直径がコアの直径より若干小さい半球状のホルダ中にコアをやさしく押し込み、コアがホルダの半球部分に静止して保持され、同時にコアの幾何中心面が露出されるようになす。コアは摩擦によりホルダ中に固定され、切断および研磨ステップ中に動かないようにする。ただし、摩擦が過剰でなくコアの自然な形状が変形しないようになす。コアの分離線がホルダの頂部とおよそ平行になるようにコアを固定する。コアを固定する前にコアの直径をこの配位に対して90°で測定する。また、ホルダの底からコアの頂部までの距離を測定して将来の較正のための基準点を得る。コアの露出された幾何中心の若干上で、コアがこのステップ中にホルダ内で動かないようにしながら、帯ノコまたは他の適切な切断ツールを用いて、大まかに切断する。ホルダ内に依然として保持されているコアの残りの部分が表面研磨機のベース板に固定される。露出されている「粗い」コア表面が平滑で平坦な表面に研磨され、コアの幾何中心が現れるようにし、この幾何中心はホルダの底からコアの露出表面までの高さを測定して検証できる。これによりコアのオリジナルの高さのちょうど半分が、+−0.004インチの範囲内で除去されたことを確実にする。
【0096】
コアをホルダ内に保持して、コアの中心を芯出し定規で見いだし、注意して印付けし、この中心印で硬度を測定する。コアの中心から任意の距離での硬度測定を、中心から径方向外側に伸びる線を引き、中心からの距離を典型的には2mmの増分で測定し、印付けすることにより行う。幾何中心を通る面の上ですべての硬度測定が実行されても、コアは依然としてホルダの中にあり、その配位が乱されないようにし、測定面がホルダの底に常に平行になるようにする。コア上の任意の予め定められた点からの硬度差は、平均表面硬度から適切な基準点、例えば単一ソリッドコアについてはコアの中心の硬度を差し引いて計算し、中心より柔らかいコア表面が負の硬度勾配を有するようになす。
【0097】
表1および表2を参照すると、例1において、表面が中心硬度より10ショアCだけ小さく、コア中で最も大きな硬度の点より12ショアCだけ小さい。例3において、表面が中心硬度より5ショアCだけ小さく、コア中で最も大きな硬度の点より8ショアCだけ小さい。例2において、中心および表面の硬度値は等しく、コア中で最も柔らかい点は表面より10ショアCだけ小さい。
【0098】
表1に提示されるこの発明の例においては、硬化温度は305°F(152°C)から320°F(160°C)まで変化し、硬化時間は11から16分まで変化する。例1および例2のコア組成物はどう膣であり、硬化サイクルだけが変更されている。例3においては、酸化防止剤量は例1おより例2と同一であるけれども他の成分ならびに硬化サイクルが変更されている。さらに、酸化防止剤の開始剤に対する比が、例1および例2と例3では、0.50から0.57へと変化する。
【0099】
開始剤に対する酸化防止剤の比はコアの表面硬度を制御する1つの要素である。表2に示されるデータから、硬度勾配は、これに限定されないが、少なくとも、酸化防止剤および過酸化物の量、それらの比、および硬化サイクルに左右されることがわかる。酸化防止剤を多くすると、所望の圧縮を実現するためにその分多くの過酸化物開始剤が必要となることに留意されたい。
【0100】
比較例1のコアは、その組成が表2に示され、硬化温度350°F(177°C)及び硬化時間11分の通常のコアサイクルを用いて硬化された。この発明のコアは、305°F(152°C)、14分、315°F(157°C)、11分の硬化サイクルを用いて製造された。これらコアの硬度勾配が測定され、以下の観察を行える。比較例のコアについては、予測したとおり、硬い表面から柔らかい中心という通常の勾配が明瞭に見いだすことができる。この発明のコアの勾配はお互いに実質的に同一の形状をとる。
【0101】
この発明の好ましい実施例において、表面におけるコアの硬度は中心におけるコアの硬度とたかだかほぼ同一であるか、あるいはこれより小さい。さらに、コアの中心硬度はコア中の最も硬い点でなくてよいが、すべての場合、これが少なくとも表面と同じかより硬いことが好ましい。さらに、コア中のいずれにあろうと最も小さな硬度が表面にある必要がない。いくつかの実施例において、最も小さな硬度値がコア表面の外寄り6mm内にある。ただし、表面硬度が依然として中心の硬度と等しいか、あるいは小さい限り、コア内の最も小さな硬度値が表面、または中心を除く、表面からの任意の点にあってよい。この発明においてはコアまたはコア層を通じて調合が同一であり、好ましい表面硬度を得るためになんら表面処理を施していない点に留意されたい。
【0102】
この発明のゴルフボールは種々の異なる慣用的なカバー材料(中間層および外側カバー層の双方)から製造してよいけれども、好ましいカバー材料は、これに限定されないが、以下のものを含む。
(1)ポリウレタン、例えば、ポリオールまたはポリアミンおよびジイソシアネートまたはポリイソシアネートおよび、/またはそれらのプレポリマーから準備されたもの、ならびに、米国特許第5,33,4673号、同第6,506,851号に開示されているもの。
(2)ポリ尿素、例えば、米国特許第5,484,870号および同第6,835,794号に開示されているもの。
(3)ウレタンまたは尿素セグメントを含む、ポリウレタン−尿素ハイブリッド、ブレンドまたはコポリマー。
適切なポリウレタン組成物は、少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つの硬化剤との反応生成物を含む。硬化剤は、例えば、1または複数のポリアミン、1または複数のポリオール、またはこれらの組み合わせを含んでよい。ポリイソシアネートは1または複数のポリオールと組み合わせてプレポリマーを形成しても良い。これは、上述の少なくとも1つの硬化剤と組み合わされる。このように、ここで説明されるポリオールは、ポリウレタン材料の1または双方の要素として適切である。すなわち、プレポリマーおよび硬化剤の一部として使用して好適である。適切なポリウレタンは米国特許出願公開第2005/0176526号に説明されており、その内容は参照してここに組み入れる。
【0103】
当業者が入手可能ないずれのポリイソシアネートもこの発明に従って使用するのに適切である。ポリイソシアネートの例示は以下を含むがこれに限定されない:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(“MDI”);ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状MDI;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(“H12MDI”);p−フェニレンジイソシアネート(“PPDI”);m−フェニレンジイソシアネート(“MPDI”);トルエンジイソシアネート(“TDI”);3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート(“TODI”);イソホロンジイソシアネート(“IPDI”);ヘキサメチレンジイソシアネート(“HDI”);ナフタレンジイソシアネート(“NDI”);キシレンジイソシアネート(“XDI”);p−テトラメチルキシレンジイソシアネート(“p−TMXDI”);m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(“m−TMXDI”);エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;シクロヘキシルジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート(“HDI”);ドデカン−1,12−ジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート(“TMDI”);テトラセンジイソシアネート;ナフタレンジイソシアネート;アントラセンジイソシアネート;トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート;ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン;及びこれらの混合物。ポリイソシアネートは、1以上のイソシアネート基、例えばジイソシアネート、トリイソシアネートおよびテトライソシアネートを有するものとして、当業者には知られている。好ましくは、ポリイソシアネートは、MDI、PPDI、TDI、又はこれらの混合物を含み、より好ましくはポリイソシアネートはMDIを含む。本明細書で使用する用語「MDI」は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリマーMDI、カルボジイミド変性液状MDI、及びこれらの混合物を意味し、かつさらに使用したジイソシアネートが「低遊離(low free)モノマー」であることができるとは「遊離」モノマーの量が低いイソシアネート基であること、典型的には遊離モノマー基の量が約0.1%より低いことを当業者が理解すると理解すべきである。「低遊離モノマー」ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、低遊離モノマーMDI、低遊離モノマーTDI、及び低遊離モノマーPPDIである。
【0104】
少なくとも一つのポリイソシアネートは約14%より少ない未反応のNCO基を有することが必要である。好ましくは該少なくとも一つのポリイソシアネートは約8.0%以下のNCO、より好ましくは約7.8%以下、最も好ましくは、約7.5%以下のNCOを有し、慣用的には、約7.2または7.0または6.5%のNCOのNCOレベルが用いられる。
【0105】
当業者が利用可能ないずれのポリオールも、この発明に従って使用するのに適している。ポリオールの例は、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素添加した誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びポリカーボネートポリオールである。好ましい実施例では、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。その例は、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(「PTMEG」)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合及び置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。好ましくは、この発明のポリオールはPTMEGを含む。
【0106】
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリエステルポリオールが含まれる。適切なポリエステルポリオールは、これに限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(ヘキサメチレンアジーペート)グリコール;及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合、又は置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。
【0107】
他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカプロラクトンポリオールが含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されないが、1,6−ヘキサンジオール−開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、PTMEG開始ポリカプロラクトン、及びこれらの混合物である。炭化水素鎖は飽和又は不飽和の、又は置換又は未置換の芳香族及び環状基を有することができる。
【0108】
さらに他の実施例では、この発明のポリウレタン材料にポリカーボネートポリオールが含まれる。適切なポリカーボネートは、これに限定されないが、ポリフタレートカーボネート及びポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコールである。炭化水素鎖は飽和又は不飽和結合、又は置換又は未置換芳香族及び環状基を有することができる。1実施例では、ポリオールの分子量は約200〜約4000である。
【0109】
ポリアミン硬化剤もこの発明のポリウレタン組成物中に使用して好適であり、製品ボールの耐切断性、耐剪断性、および耐衝撃性が改善することがわかっている。好ましいポリアミン硬化剤は、これに限定されないが、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びこのアイソマー;3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン及びこのアイソマー、例えば3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン、4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(“MCDEA”);ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;N,N’−ジアルキルジアミノジフェニルメタン;p,p’−メチレンジアニリン(“MDA”);m−フェニレンジアミン(“MPDA”);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロアニリン)(“MOCA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(“MDEA”);4,4’−メチレン−ビス−(2,3−ジクロロアニリン)(“MDCA”);4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン;2,2’−3,3’−テトラクロロジアミノジフェニルメタン;トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエート;及びこれらの混合物である。好ましくはこの発明の硬化剤は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及びそのアイソマー、例えばバトンルージュのアルバマール社(Albermarle Corporation of Baton Rouge,LA)から入手可能なEthacure(登録商標)300である。適切なポリアミン硬化剤は第1及び第2アミンの両者を含み、好ましくは、その分子量は約64〜約2000の範囲である。
【0110】
少なくとも一つのジオール、トリオール、テトラオール、又はヒドロキシ末端硬化剤を上述のポリウレタン組成物に添加することができる。適切なジオール、トリオール、及びテトラオール基は以下を含む:エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;低分子量ポリテトラメチレンエーテルグリコール;1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;レゾルシノール−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;ヒドロキノン−ジ−(β−ヒドロキシエチル)エーテル;及びこれらの混合物である。好ましいヒドロキシ−末端硬化剤は1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}ベンゼン;1,4−ブタンジオール、及びこれらの混合物である。好ましくは、ヒドロキシ−末端硬化剤の分子量は約48〜約2000の範囲である。ここで、分子量は、絶対重量平均文四郎であり、当業者が理解するとおりのものである。
【0111】
ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤の両者は、一又は複数の飽和、不飽和、芳香族、及び環状基を含むことができる。さらに、ヒドロキシ末端及びアミン硬化剤は一又は複数のハロゲン基を含むことができる。ポリウレタン組成物を硬化剤のブレンド又は混合物によって製造することができる。しかしながら所望の場合には、ポリウレタン組成物を単一の硬化剤で製造することができる。
【0112】
この発明の好ましい実施例において、カバー層、特に外側カバー層を形成するのに使用する飽和ポリウレタンを注型可能な熱硬化性及び熱可塑性ポリウレタンの両者から選択することができる。
【0113】
この実施例において、この発明の飽和ポリウレタンは芳香族基又は部分を実質的に含まない。この発明に使用して好適な飽和ポリウレタンは、少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーおよび少なくとも1つの飽和硬化剤の反応生成物である。ポリウレタンプレポリマーは少なくとも1つのポリオールおよび少なくとも1つの飽和ジイソシアネートの反応生成物である。当技術分野で周知のとおり、触媒を採用して硬化剤およびイソシアネートおよびポリオールの反応を促進させても良い。
【0114】
使用可能な飽和のジイソシアネートは、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(「HDI」);2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネートを含む。最も好ましい飽和ジイソシアネートは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートである。
【0115】
この発明で使用するのに適した飽和ポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール及びポリ(オキシプロピレン)グリコールである。適切な飽和ポリステルポリオールは、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリカーボネートポリオール及びエチレンオキシドでキャップしたポリオキシプロピレンジオールである。この発明で有用な飽和ポリカプロラクトンポリオールは、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン;トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、およびポリテトレメチルエーテルグリコール開始ポリカプロラクトンである。最も好ましい飽和ポリオールはPTMEG及びPTMEG開始ポリカプロラクトンである。
【0116】
適切な飽和硬化剤は、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、プロピレングリコール;トリメタノールプロパン;テトラ−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン;シクロヘキシルジメチロールのアイソマーのアイソマー及び混合物、シクロヘキサンビス(メチルアミン)のアイソマーのアイソマー及び混合物;トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)シクロヘキサン;イソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、1−メチル−2,4−シクロヘキシルジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イミド−ビス−プロピルアミン、ジアミノシクロヘキサンのアイソマーのアイソマー及び混合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、及びジイソプロパノールアミン。最も好ましい飽和硬化剤は1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキシルジメチロール及び4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
【0117】
代替的には、他の適切なポリマーは、部分的にまたは十分に中和されたアイオノマー、メタローセン、または他のシングルサイト触媒ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、非アイオノマー性熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレンブロックコポリマー(例えばスチレン−ブタジエン−スチレン)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン等、およびこれらのブレンドを含む。熱硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素はこの発明のゴルフボールの外側カバー層として適切である。
【0118】
さらに、ポリウレタンをポリ尿素材料に替えて、またはブレンドしてよい。ポリ尿素は、明らかにポリウレタン組成物と異なるが、ゴルフボール部品に用いられるときには所望の空力特性や美観特性をもたらす。ポリ尿素ベースの組成物は好ましくはその性質上飽和である。
【0119】
特定の理論に拘束されるものではないが、ポリウレタンプレポリマー中の長鎖ポリオールセグメントを長鎖ポリエーテルジアミンオリゴマーソフトセグメントで置換してポリ尿素プレポリマーを形成することにより、せん断性、切断性及び反発弾性が改良され、かつ他の成分に対する接着性が改良されると、現在考えられている。したがって、この発明のポリ尿素組成物はイソシアネートと硬化剤により架橋されたポリアミンプレポリマーとの反応生成物からなる。例えば、この発明のポリ尿素ベースの組成物は、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリエーテルアミンと、少なくとも1つのジオール硬化剤または少なくとも1つのジアミン硬化剤とから準備されてよい。
【0120】
当業者に利用可能な全てのポリアミンが、このポリ尿素プレポリマー中に使用して好適である。ポリエーテルアミンはとくにプレポリマー中で好適である。ここでは、用語「ポリエーテルアミン」は、ポリエーテル主鎖の末端に結合した第1アミノ基を含むポリオキシアルキレンアミンを少なくとも意味する。しかしながら、イソシアネートとアミンの反応が早く、かつ多くの尿素生成物が不溶性であることから、ジアミンとポリエーテルアミンの選択は、ポリ尿素プレポリマーの形成を可能にするものに限られる。1実施例では、ポリエーテル主鎖は、テトラメチレン、プロピレン、エチレン、トリメチロールプロパン、グリセリン、及びこれらの混合物に基づく。
【0121】
適切なポリエーテルアミンは、これに限定されないが、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(エチレンオキシド末端オキシプロピレン)エーテルジアミン、トリエチレングリコールジアミン、プロピレンオキシドをベースとするトリアミン、トリメチロールプロパンをベースとするトリアミン、グリセリンをベースとするトリアミン、及びこれらの混合物である。1実施例では、プレポリマーを製造するために使用するポリエーテルアミンはJEFFAMINE(商標) D2000(Huntsman社製、オースチン、テキサス)である。
【0122】
ポリ尿素プレポリマーに使用するポリエーテルアミンの分子量は約100〜約5000の範囲にある。1実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約230又はそれより大きい。他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約4000又はそれより小さい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約600又はそれより大きい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約3000又はそれより小さい。さらに他の実施例では、ポリエーテルアミンの分子量は約1000〜約3000であり、より好ましくは約1500〜約2500である。ポリエーテルアミンの分子量が低いと固形ポリ尿素を形成しがちであるので、大きい分子量のオリゴマー、たとえばJEFFAMINE D2000が好ましい。
【0123】
先に簡単に述べたように、アミンとイソシアネートとの反応が早いために、多くのアミンはイソシアネートとの反応に不適切である。特に短鎖のアミンは早く反応する。しかしながら、1実施例において、立体障害を有する第2ジアミンはプレポリマーで使用するのに適している可能性がある。いずれの特定の理論に束縛されるものではないが、高度の立体障害を有するアミン、例えば窒素原子に結合した第3ブチル基を有するアミンは、障害がないか又はその程度が低いアミンより反応速度が遅くなると考えられる。例えば、4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン(CLEARLINK(商標) 1000)は、イソシアネートと組み合わせてポリ尿素プレポリマーを製造するのに適している可能性がある。
【0124】
当業者が利用可能ないずれのイソシアネートも、ポリ尿素プレポリマー中に使用して好適である。本発明で使用するイソシアネートは、分子当たり2又はそれより多いイソシアネート(NCO)基を有する脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、これらのいずれかの誘導体、及びこれらの化合物の組合せを含む。イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低級遊離イソシアネート、及びこれらの混合物であることができる。イソシアネートを含む反応性の成分はいずれのイソシアネート官能性単量体、二量体、三量体、又はこれらの多量体付加物、プレポリマー、疑似プレポリマー、又はこれらの混合物を含むことができる。イソシアネート官能性化合物は、モノイソシアネート又は2又はそれより多いイソシアネート官能基を含むポリイソシアネートを含むことができる。
【0125】
適切なイソシアネートを含む成分は以下の一般式を有するジイソシアネートを含む:O=C=N−R−N=C=O、式中Rは好ましくは約1〜約20の炭素原子を含む環状、芳香族、又は直鎖若しくは分岐した炭化水素部分である。ジイソシアネートはさらに一又は複数の環状基又は一又は複数のフェニル基を含むこともできる。多環式基又は芳香族基が存在する場合、環状基又は芳香族基の間のスペーサーとして、約1〜約10の炭素原子を含む直鎖及び/又は分岐した炭化水素が存在することができる。ある場合には、環状基又は芳香族基は2−、3−、及び/又は4−位、又はオルト−、メタ−及び/又はパラ−位においてそれぞれ置換されていてもよい。置換した基は、これに限定されないが、ハロゲン、第1、第2、又は第3炭化水素基、又はこれらの混合物である。
【0126】
この発明で使用することができるジイソシアネートの例は、これに限定されないが、2,2’−、2,4’−、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含む置換した及び異性体混合物;3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート;トルエンジイソシアネート;ポリマーMDI;カルボジイミド−変性液状4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート;パラ−フェニレンジイソシアネート;メタ−フェニレンジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’−及びトリフェニルメタン−4,4”−トリイソシアネート;ナフチレン−1,5−ジイソシアネート;2,4’−、4,4’−、及び2,2−ビフェニルジイソシアネート;ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート;MDIとPMDIの混合物;PMDIとTDIの混合物;エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,3−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチル−シクロヘキシレンジイソシアネート;2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;1,2−、1,3−、及び1,4−フェニレンジイソシアネート;芳香族脂肪族イソシアネート、例えば1,2−、1,3−、及び1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート;パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート;いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、及びこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、及びこれらの混合物;上記のイソシアネート及びポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;及びこれらの混合物である。
【0127】
この発明で使用することができる飽和ジイソシアネートの例は、これに限定されないが、エチレンジイソシアネート;プロピレン−1,2−ジイソシアネート;テトラメチレン−ジイソシアネート;テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;オクタメチレンジイソシアネート;デカメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;ドデカン−1,12−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;シクロブタン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;メチル−シクロヘキシレンジイソシアネート;2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;2,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネート;1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート;イソシアネートメチルシクロヘキサンイソシアネート;1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン;イソシアネートエチルシクロヘキサンイソシアネート;ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート;4,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;2,4’−ビス(イソシアネートメチル)ジシクロヘキサン;イソホロンジイソシアネート;HDIのトリイソシアネート;2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネートのトリイソシアネート;4,4 ’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;及びこれらの混合物を含む。芳香族脂肪族イソシアネートも光安定な物質を製造するために使用することができる。これらのイソシアネートの例は以下を含む:1,2−、1,3−、及び1,4−キシレンジイソシアネート;メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI);パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI);いずれかのポリイソシアネートの三量化したイソシアヌレート、例えばトルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、及びこれらの混合物;いずれかのポリイソシアネートの二量化したウレジオン、例えばトルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、及びこれらの混合物;上記のイソシアネート及びポリイソシアネートから誘導した変性したポリイソシアネート;及びこれらの混合物である。さらに、芳香族脂肪族イソシアネートを、本発明の目的にために、先に挙げた飽和イソシアネートのいずれかと混合することができる。
【0128】
イソシアネートとポリエーテルアミンのポリ尿素プレポリマーにおける未反応のNCO基の数を変化させて、反応の速度、得られた組成物の硬度等の因子を制御することができる。例えば、イソシアネートとポリエーテルアミンのポリ尿素プレポリマーにおける未反応のNCO基の数を約14%より小さくすることができる。1実施例では、ポリ尿素プレポリマーは約5%〜約11%の未反応のNCO基を有し、より好ましくは約6%〜約9.5%の未反応のNCO基を有する。1実施例では、未反応のNCO基の割合は約3%〜約9%である。代替的には、未反応のNCO基の割合は約7.5%又はそれより低く、より好ましくは約7%又はそれより低い。他の実施例では、未反応のNCO基の割合は約2.5%〜約7.5%、より好ましくは約4%〜約6.5%である。
【0129】
生成された状態で、ポリ尿素プレポリマーが、プレポリマーの約10重量%から約20重量%の遊離イソシアネートモノマーを含んでもよい。この結果、1実施例では、ポリ尿素プレポリマーから遊離イソシアネートモノマーを除去しても良い。例えば、除去後、プレポリマーは1%またはそれ未満の遊離イソシアネートモノマーを含むことになる。他の実施例では、プレポリマーは約0.5重量%または逸れ未満の遊離イソシアネートモノマーを含んでよい。
【0130】
ポリエーテルアミンを追加のポリオールとブレンドしてコポリマーを形成し、これを過剰のイソシアネートと反応させてポリ尿素プレポリマーを製造することもできる。1実施例では、コポリマーの約30重量%より少ないポリオールを飽和ポリエーテルアミンとブレンドする。他の実施例では、コポリマーの約20重量%より少ない、好ましくはコポリマーの約15重量%より少ないポリオールを、飽和ポリエーテルアミンとブレンドする。当業者に利用可能ないずれかの飽和ポリオール、例えばポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素ポリオール、他のポリオール、及びこれらの混合物が、本発明に従ってブレンドするのに適している。これらのポリマーの分子量は約200〜約4000であることができるが、約1000〜約3000であることができ、より好ましくは約1500〜約2500であることができる。
【0131】
ポリ尿素組成物を、ポリ尿素プレポリマーを単一の硬化剤またはそのブレンドで架橋して製造することができる。この発明で使用する硬化剤は、好ましくは、アミン−末端硬化剤、より好ましくは第2ジアミン硬化剤であり、これにより、組成物が単一の尿素結合のみを含むようになる。1実施例では、アミン−末端硬化剤の分子量は約64又はそれより大きい。他の実施例では、アミン−末端硬化剤の分子量は約2000又はそれより小さい。上述のとおり、所定のアミン−末端硬化剤を互換性のあるアミン−末端凝固点降下剤またはその混合物により改質してもよい。
【0132】
適切なアミン−末端硬化剤は、これに限定されないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン;2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;2−メチルペンタメチレン−ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド−ビス−プロピルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;4,4’−メチレンビス−(2−クロロアニリン);3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジエチルチオ−2,6−トルエンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン及びその誘導体;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ベンゼン;N,N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン;トリメチレングリコール−ジ−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート;4,4’−メチレンビス−(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン);4,4’−メチレンビス−(2,6−ジエチルアニリン);メタ−フェニレンジアミン;パラ−フェニレンジアミン;シクロヘキシルジメトール;及びこれらの混合である物。1実施例では、アミン−末端硬化剤は4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンである。
【0133】
適切な飽和アミン−末端硬化剤は、これに限定されないが、エチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン;テトラヒドロキシプロピレンエチレンジアミン;2,2,4−及び2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン;4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン;4,4 ’−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン;1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン);ジエチレングリコールジ−(アミノプロピル)エーテル;2−メチルペンタメチレン−ジアミン;ジアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;プロピレンジアミン;1,3−ジアミノプロパン;ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチルアミノプロピルアミン;イミド−ビス−プロピルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン;イソホロンジアミン;トリイソプロパノールアミン;及びこれらの混合物である。さらに、上記のポリエーテルアミンのいずれかを、ポリ尿素プレポリマーと反応させる硬化剤として使用することができる。
【0134】
ゴルフボールのセンターおよび任意の層は高度に中和されたポリマー(「HNP」)から製造できる。HNPの酸部分は、典型的にはエチレンを塩基にしたアイオノマーであり、好ましくは約70%より多く、より好ましくは約90%より多く、最も好ましくは少なくとも約100%中和されている。HNPも第2のポリマー成分とブレンドすることができ、この成分を、酸基を含む場合は、従来法に従って、本発明の有機脂肪酸(organic fatty acids)によって、又は両者によって中和することができる。第2のポリマー成分は、部分的に又は完全に中和されていてもよく、好ましくはアイオノマーコポリマー及びアイオノマーターポリマー、アイオノマー前駆体、熱可塑性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ尿素、熱可塑性エラストマー、ポリブタジエンゴム、バラタ、メタローセンで触媒したポリマー(グラフト化したもの及びグラフト化していないもの)、単一サイトポリマー、高結晶性酸ポリマー、カチオン性アイオノマー、等を含む。HNPポリマーの材料硬度は、典型的には、約20および約80ショアDの間であり、曲げ弾性率は約3,000psiおよび約200,000の間である。
【0135】
この発明の1実施例では、HNPは、アイオノマーおよび/またはその酸先駆体であり、これは、好ましくは完全にまたは部分的に有機酸コポリマーまたはその塩により中和されている。酸コポリマーは好ましくはα−オレフィン、例えばエチレン、C3−8 α,β−エチレン不飽和カルボン酸、例えばアクリルまたはメタクリル酸コポリマーである。これらはオプションとして軟化モノマー、例えばアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートを含有してよい。ただし、アクリル基は1から8個の炭素原子を具備する。
【0136】
酸コポリマーをE/X/Yコポリマーと記載することができ、ここでEはエチレン、Xはα,β−エチレン系不飽和カルボン酸、かつYは柔軟化コモノマーである。好ましい態様では、Xはアクリル酸又はメタクリル酸であり、YはC1−8アルキルアクリレート又はメタクリレートエステルである。Xは好ましくはポリマーの約1〜約35重量%、より好ましくはポリマーの約5〜約30重量%、最も好ましくはポリマーの約10〜約20重量%の量で存在する。Yは好ましくはポリマーの約0〜約50重量%、より好ましくはポリマーの約5〜約25重量%、最も好ましくはポリマーの約10〜約20重量%の量で存在する。
【0137】
具体的な酸含有エチレンコポリマーは、これに限定されないが、エチレン/アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/イソ−ブチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/イソ−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/n−ブチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルメタクリレート、エチレン/アクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート、および、エチレン/アクリル酸/n−ブチルメタクリレートである。好ましい酸含有エチレンコポリマーは、エチレン/メタクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/メチルアクリレート、エチレン/アクリル酸/エチルアクリレート、エチレン/メタクリル酸/エチルアクリレート、および、エチレン/アクリル酸/メチルアクリレートコポリマーである。最も好ましい酸含有エチレンコポリマーは、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/エチルアクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/メチルアクリレートコポリマーである。
【0138】
アイオノマーは、典型的には、金属カチオン例えばLi、Na、Mg、K、Ca、またはZnにより中和される。十分な有機酸または有機酸の塩を、適切な塩基とともに、酸コポリマーまたはアイオノマーに添加することにより、アイオノマーが、加工性を損なうことなく、金属カチオンに対してよりかなり多くのレベルまで中和される。好ましくは、酸部分は約80%以上中和され、好ましくは90−100%中和され、最も好ましくは100%中和される。ただし、加工性を損なわない。これは、α,β−エチレン系不飽和カルボン酸コポリマーを例えば有機酸または有機酸の塩とともにメルトブレンドし、その後、十分な量のカチオン源を添加してすべての酸部分(酸コポリマーおよび有機酸の酸部分を含む)の中和レベルを90%を越えて(好ましくは100%を越えて)増大させることにより達成される。
【0139】
この発明の有機酸は、脂肪族、モノ−またはマルチ−官能性(飽和した、不飽和の、又は多不飽和の)有機酸である。これらの有機酸の塩も使用することができる。本発明の有機酸の塩は、バリウム、リチウム、ナトリウム、亜鉛、ビスマス、クロム、コバルト、銅、カリウム、ストロンチウム、チタン、タングステン、マグネシウム、セシウム、鉄、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、又はカルシウムの塩、脂肪酸の塩、特にステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸又はこれらの二量化した誘導体の塩を含む。本発明の有機酸及び塩は相対的に非移行性(常圧下でポリマーの表面にブルーミングを生じないこと)でありかつ非揮発性(メルトブレンドに必要な温度で蒸発しないこと)であることが好ましい。
【0140】
この発明のアイオノマーは、また、より慣用的なアイオノマーでよく、すなわち金属カチオンで部分的に中和されても良い。酸コポリマーの酸部分は、カチオン、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、錫、亜鉛、アルミニウムまたはこれらの混合物により、約1から約100%、好ましくは、少なくとも約40から約100%、より好ましくは、少なくとも約90から約100%中和され、アイオノマーを生成する。
【0141】
好ましい実施例において、この発明の単一層コアは2つのカバー層に包囲され、内側カバー層の厚さは約0.01インチから約0.06インチ、より好ましくは約0.015インチから約0.040インチ、最も好ましくは約0.02インチから約0.035インチであり、当該内側カバー層は、ショアD硬度が約55より大きく、より好ましくは約60より大きく、最も好ましくは約65より大きな部分的にまたは十分に中和されたアイオノマーから製造される。この実施例において、外側カバー層の厚さは約0.015インチから約0.055インチ、より好ましくは約0.02インチから約0.04インチ、最も好ましくは約0.025インチから約0.035インチであり、しかも、その硬度が約ショアD60以下、より好ましくは約55以下、最も好ましくは約52以下でなければならない。内側カバー層は外側カバー層より硬くする必要がある。この実施例において、外側カバー層は部分的または十分に中和されたアイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのブレンドを有する。最も好ましい外側カバー層は鋳造可能または反応性射出成型されたポリウレタン、ポリ尿素、またはこれらのハイブリッドであり、そのショアD硬度が約40から約50のものである。最も好ましい内側カバー層材料は、亜鉛、ナトリウム、またはリチウムで中和されたアイオノマーを有する部分的に中和されたアイオノマー、例えば、SURLYN(商標)8940、8945、9910、7930、7940またはこれらのブレンドで、ショアD硬度が約63から約68の者である。
【0142】
他の多層カバー、単一コアの実施例において、外側カバーおよび内側カバー層の材料および厚さは同一であるけれども、硬度範囲が反転されている。すなわち外側カバー層は内側カバー層より硬い。
【0143】
代替的な好ましい実施例において、ゴルフボールは、ディンプル表面を具備し、その表面硬度が中心の硬度以下である(すなわち負の硬度勾配)ワンピースゴルフボールである。好ましくは、ワンピースボールの直径は約1.680インチから約1.690インチ、その重量は約1.620オンス、そのAtti圧縮は約40から120、そのCORは約0.750〜約0.825である。
【0144】
好ましいツーピースボールの実施例において、負の硬度勾配を伴う単一層コアが、ショアD硬度が約20から約80、より好ましくは約40から約75、最も好ましくは約45から約70の単一層のカバー材料に封入され、熱可塑性または熱硬化性ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリエーテル−アミドまたはポリエステル−アミド、部分的または十分に中和されたアイオノマー、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンコポリマー、例えばエチレン−ブチルアクリレートまたはエチレン−メチルアクリレート、ポリ(エチレンメタクリル酸)コ−およびターポリマー、メタローセン触媒ポリオレフィン、極性基官能性ポリオレフィン、およびこれらのブレンドを有する。ツーピースの実施例において好ましいカバー材料は、硬度が約50から約70ショアDのアイオノマー(通常のもの、またはHNP)である。ツーピースの実施例において他の好ましいカバー材料は熱可塑性または熱硬化性のポリウレタンまたはポリ尿素である。好ましいアイオノマーは、エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸のコポリマーを有し酸含有量が少なくとも16から約25重量パーセントである高酸アイオノマーである。この場合、比較的堅固な高酸のアイオノマーによりもたらされるスピンの減少が、スピンを増大させる負の勾配のコアによりある程度相殺される。コアの直径は約1.0インチから約1.64インチ、好ましくは約1.30インチから約1.620インチ、最も好ましくは約1.40インチから約1.60インチであってよい。
【0145】
他の好ましいカバー材料は鋳造可能、または反応性射出成型可能なポリウレタン、ポリ尿素、またはポリウレタン/ポリ尿素のコポリマーまたはハイブリッドを有する。好ましくは、このカバーは熱硬化性であるけれども、熱可塑性であってもよく、そのショアD硬度は約20から約70、より好ましくは約30から約65、最も好ましくは約35から約60である。水蒸気バリア層、例えば米国特許第6,632,147号、同第6,932,720号、同第7,004,854号、および同第7,182,702号に開示されているものをカバー層およびコアの間にオプションとして採用する。これら特許文献は参照してここに組み入れる。
【0146】
ここに示した実施例のいずれもいずれの既知のディンプル数およびパターンを伴ってよいけれども、ディンプルの好ましい数は252から456であり、より好ましくは330から392である。ディンプルは先行技術に開示された任意の幅、深さ、およびエッジ角度を伴って良く、パターンは異なる幅、深さおよびエッジ角の複数のディンプルを有してよい。かかるパターンの分離線構造は、直線でも、互い違いの波状の分離線(SWPL:Staggered Wave Parting Line)でもよい。最も好ましくはディンプル数が330、332、または392であり5から7のディンプル寸法を伴い。分離線がSWPLである。
【0147】
これら実施例のいずれにおいても、単一層コアを2またはそれ以上の層からなるコアに置き換えてよい。ただし。少なくとも1つのコア層が負の硬度勾配を伴う。
【0148】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0149】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【0150】
ここに説明した発明の事例的な実施例はこの発明の好ましい実施例を満たすことは明らかであるが、種々の変更や他の実施例を当業者が想到できることを理解されたい。そのような変更の例は上述した数値の若干の変更を含む。したがって、上述の数値および特許請求の範囲の数値がそのような数値を含み、また上述した、また特許請求の範囲に記載した値に近似され、また非常に接近した値を含む。したがって、特許請求の範囲は、そのような変更や他の実施例をすべてカバーするように意図されており、この発明の精神およびスコープの範囲に入ると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、
カバー層とを有し、
上記最外遷移部が上記コアの上記外側表面および上記幾何中心の間に配され、上記遷移部が上記コアの上記外側表面と合致する外側部分を具備し、上記コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、
かつ、上記コアの上記外側表面の硬度および上記最外遷移部内の硬度の双方が上記幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するゴルフボール。
【請求項2】
上記遷移部は、上記コアの体積の最外の5%から40%を有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記遷移部は、上記コアの体積の最外の10%から30%を有する請求項2記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記遷移部は、上記コアの体積の最外の10%から20%を有する請求項3記載のゴルフボール。
【請求項5】
上記遷移部の厚さは0.65mmから2.5mmである請求項1記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記遷移部の厚さは0.75mmから1.9mmである請求項5記載のゴルフボール。
【請求項7】
上記遷移部の厚さは1mmから1.5mmである請求項6記載のゴルフボール。
【請求項8】
上記コアの上記外側表面の硬度は上記幾何中心の硬度より1ショアCから10ショアC小さい請求項1記載のゴルフボール。
【請求項9】
上記コアの上記外側表面の硬度は上記幾何中心の硬度より1ショアCから5ショアC小さい請求項8記載のゴルフボール。
【請求項10】
上記遷移部は内側部分を有し、上記遷移部内の硬度は、上記内側部分から外側部分に遠ざかる方向に、少なくとも2ショアC/mmで減少する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項11】
上記遷移部は内側部分を有し、上記遷移部内の硬度は、上記内側部分から外側部分に遠ざかる方向に、少なくとも3ショアC/mmで減少する請求項10記載のゴルフボール。
【請求項12】
上記遷移部は内側部分を有し、上記遷移部内の硬度は、上記内側部分から外側部分に遠ざかる方向に、少なくとも4ショアC/mmで減少する請求項11記載のゴルフボール。
【請求項13】
上記カバー層は、アイオノマー、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、またはポリ尿素−ウレタンを有する請求項1記載のゴルフボール。
【請求項14】
塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一のコアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、
カバー層と、
上記単一のコアおよび上記カバー層の間に配された中間層とを有し、
上記最外遷移部が上記コアの上記外側表面および上記幾何中心の間に配され、上記遷移部が上記コアの上記外側表面と合致する外側部分を具備し、上記コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、
かつ、上記コアの上記外側表面の硬度および上記最外遷移部内の硬度の双方が上記幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するゴルフボール。
【請求項15】
上記中間層はアイオノマー性材料を有する請求項14記載のゴルフボール。
【請求項16】
上記カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−尿素、またはそれらのハイブリッドを有する請求項14記載のゴルフボール。
【請求項17】
塊部、外側表面、幾何中心、および、外側表面に隣接する最外遷移部を具備する単一の内側コアであって、実質的に均一な組成物から製造されたものと、
上記単一の内側コアの回りに配され負の硬度勾配または正の硬度勾配を伴う外側コア層と、
内側カバー層と、
ポリウレタン、ポリ尿素、またはそのハイブリッドを有する外側カバー層とを有し、
上記最外遷移部が上記内側コアの上記外側表面および上記幾何中心の間に配され、上記遷移部が上記コアの上記外側表面と合致する外側部分を具備し、上記内側コアの体積の最外の45%またはそれ未満を有し、
かつ、上記内側コアの上記外側表面の硬度および上記最外遷移部内の硬度の双方が上記幾何中心の硬度より小さく、負の硬度勾配を形成するゴルフボール。
【請求項18】
上記内側カバー層はアイオノマー性材料を有する請求項14記載のゴルフボール。

【公開番号】特開2009−233335(P2009−233335A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−78067(P2009−78067)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(390023593)アクシュネット カンパニー (155)
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY