説明

根菜類収穫機

【課題】 複数本の根菜類の収穫物であっても、残葉処理がスムーズに行える根菜類収穫機を提供すること。
【解決手段】 圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置3から作物を引き継いで肩揃え搬送装置12で肩揃えされた作物の茎葉部を切断装置13で切断し、茎葉部を切断された作物を受けて搬送しながら、残葉処理装置35(コンベア36とローラ37からなる)で処理してから選別搬送装置7により収容部材6に入れる根菜類収穫機であり、複数設けた装置35に順番に作物を移動させることにより、一つの装置35に多数の作物が集中することを防止できるので、作物から切り残された残葉が確実に除去されるため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減され、複数の装置35で残葉処理中の作物同士がぶつかり合うことを防止できるので、接触の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が損なわれることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンジンなどの根菜類収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2に記載される根菜類収穫機は、圃場に植生する根菜の茎葉部を挟持して引き抜き、根菜の根菜本体部を吊下げた状態で後側上方に搬送して圃場から引き上げる左右一対の引抜搬送ベルトと、該引抜搬送ベルトの挟持個所より下側の茎葉部を導入して根菜本体部の上昇を規制しながら後方に案内する肩揃え無端帯と、該肩揃え無端帯に導入された個所より上側の茎葉部を挟持して後方に搬送する左右一対の茎葉搬送ベルトと、茎葉搬送ベルトで搬送される途中で茎葉部を切断する茎葉切断手段と、前記茎葉搬送ベルトと前記茎葉切断装置とを駆動する動力の伝動部を内装した伝動ケースとを設けた構成である。
【0003】
このように構成した根菜類収穫機は、引抜搬送ベルトを有する引抜搬送装置、肩揃え無端帯を有する肩揃え装置、茎葉搬送ベルトを有する茎葉搬送装置及び茎葉切断装置とによって、圃場に植生する根菜をその茎葉部を挟持して引上げ、そして、搬送中に茎葉部の切断個所が揃うように肩揃えして茎葉部を切断して根菜部分を収穫する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−199912号公報
【特許文献2】特開2009−268357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1及び2に記載の根菜類収穫機は、1つの残葉処理装置で茎葉部を切断されたニンジンなどを受け、ニンジンなどに残る残葉を残葉処理ローラで処理して搬送コンベアに移動させているため、短時間に何本ものニンジンなどが残葉処理装置に落下してくると、残葉処理ローラにニンジンなどが接触せずに搬送コンベアに搬送されてしまい、後工程で作業者が手作業で残葉を除去しなければならず、作業能率が低下する問題がある。
【0006】
例えば、数本のニンジンなどが残葉処理ローラに接触していると、接触できないニンジンなどが必ず生じる。ニンジンなどの引抜作業速度を速くすればするほど接触できないニンジンなどが増える。さらにこれに加えて、選別中に補助作業者が残葉を除去していると、問題のある他のニンジンなどを見落としてしまい、ニンジンなどの洗浄後や選別後に問題(傷、変形、極小等)のあるニンジンなどを手作業で取り除かねばならず、作業能率や選別精度が低下する問題がある。
【0007】
本発明の課題は複数本の根菜類の収穫物であっても、残葉処理がスムーズに行える根菜類収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は次の解決手段で解決される。
すなわち、請求項1記載の発明は、走行車体(2)の左右一側に圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(3)と、該引抜搬送装置(3)から作物を引き継いで搬送する肩揃え搬送装置(12)と、該肩揃え搬送装置(12)で肩揃えされた作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(13)と、該茎葉切断装置(13)で茎葉部を切断された作物を受けて搬送しながら残葉を処理する残葉処理装置(35)と、該残葉処理装置(35)から作物を受けて搬送する選別搬送装置(7)と、該選別搬送装置(7)からの作物を受けて収容する収容部材(6)を載置する載置部(17)を設けた根菜類収穫機において、
残葉処理装置(35)を複数配置して複数の残葉処理装置(35)に順番に作物を移動させる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、複数の残葉処理装置(35)は、左右一側に作物を搬送する第1残葉処理装置(35a)と左右他側に作物を搬送する第2残葉処理装置(35b)とからなり、茎葉切断装置(13)は左右一対の第1切断部材(切断刃)(13a)及び第2切断部材(切断刃)(13b)からなり、左右一側の第1切断部材(切断刃)(13a)の下部に作物を左右他側に移動させる多角形状の第1押出回転体(押出ディスク)(15a)を配置し、左右他側の第2切断部材(切断刃)(13b)の下部に作物を左右一側に移動させる多角形状の第2押出回転体(押出ディスク)(15b)を配置し、第1押出回転体(押出ディスク)(15a)と第2押出回転体(押出ディスク)(15b)の多角形突出部の位相をずらして配置したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機である。
【0010】
請求項3記載の発明は、引抜搬送装置(3)の搬送経路の下方に第1残葉処理装置(35a)と第2残葉処理装置(35b)の搬送始端部を配置し、第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)の搬送始端部上に作物を第1または第2残葉処理装置(35a,35b)のどちらかに移動させる振分カバー(16)を配置し、第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)の機体前側に選別搬送装置(7)を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機である。
【0011】
請求項4記載の発明は、第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)を、作物を搬送する第1及び第2残葉処理コンベア(36a,36b)と該第1及び第2残葉処理コンベア(36a,36b)との間にそれぞれ残葉を挟んで取り除く第1及び第2残葉処理ローラ(37a,37b)で構成し、第1及び第2残葉処理ローラ(37a,37b)を機体前側ほど左右間隔が広くなるように配置し、第1残葉処理コンベア(36a)及び第1残葉処理ローラ(37a)の作動速度を、第2残葉処理コンベア(36b)及び第2残葉処理ローラ(37b)の作動速度よりも高速に設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜類収穫機である。
【0012】
請求項5記載の発明は、茎葉切断装置(13)の下方に機体前後方向に作物を搬送する残葉処理コンベア(36a,36b)を配置し、茎葉切断装置(13)を左右一対の第1及び第2切断部材(切断刃)(13a,13b)で構成し、左右一側の第1切断部材(13a)の下部に作物を左右一側に移動させる多角形状の第1押出回転体(押出ディスク)(15a)を配置し、左右他側の第2切断部材(13b)の下部に作物を左右他側に移動させる多角形状の第2押出回転体(押出ディスク)(15b)を配置し、第1押出回転体(15a)と第2押出回転体(15b)の多角形突出部の位相をずらして配置し、第1押出回転体(15a)によって左右一側に移動させられた作物の残葉を処理しながら搬送する第1残葉処理ローラ(37a)と、第2押出回転体(15b)によって左右他側に移動させられた作物の残葉を処理しながら搬送する第2残葉処理ローラ(37b)を配置し、残葉処理コンベア(36a,36b)の後部下方を通過する機体左右他側から左右一側に作物を搬送する選別搬送装置(7)を配置したことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機である。
【0013】
請求項6記載の発明は、第1残葉処理ローラ(37a)及び第2残葉処理ローラ(37b)を搬送終端側ほど左右間隔が広くなるように配置し、第2残葉処理ローラ(37b)の搬送終端側に駆動力を伝動する駆動伝動装置(51)を配置し、第1残葉処理ローラ(37a)と第2残葉処理ローラ(37b)の搬送始端側に一対の伝動部材(ベベルギア、ベベルギア)(42a,42b)を配置し、一対の伝動部材(ベベルギア、ベベルギア)(42a,42b)の周囲を覆う平面視菱形の振分ケース(43)を設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機である。
【0014】
請求項7記載の発明は、第1残葉処理ローラ(37a)及び第2残葉処理ローラ(37b)を平行に配置し、第1残葉処理ローラ(37a)の長さよりも第2残葉処理ローラ(37b)の長さを短くしたことを特徴とする請求項5記載の根菜類収穫機である。
【0015】
請求項8記載の発明は、残葉処理コンベア(36a,36b)と選別搬送装置(7)は、互いに上下間隔を空けて配置したことを特徴とする請求項5または7記載の根菜類収穫機である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、複数設けた残葉処理装置(35)に順番に作物を移動させることにより、一つの残葉処理装置(35)に多数の作物が集中することを防止できるので、作物から切り残された残葉が確実に除去されるため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0017】
また、複数の残葉処理装置(35)で残葉処理中の作物同士がぶつかり合うことを防止できるので、接触の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が損なわれない。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、第2残葉処理装置(35b)側に第1押出回転体(13a)が作物を移動させながら第1切断部材(13a)が作物を切断し、第1残葉処理装置(35a)側に第2押出回転体(13b)が作物を移動させながら第2切断部材(13b)が作物を切断するので、作物を二つの残葉処理装置(35a,35b)に振り分けることができ、作物から切り残された残葉が確実に除去されるため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0019】
また、多角形状の第1押出回転体(15a)と第2押出回転体(15b)の位相をずらして配置することにより、作物を一本ずつ交互に第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)に送り出すことができるので、作物が移動時にぶつかり合うことが防止され、作物の商品価値が損なわれない。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(3)の搬送経路の下方に第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)の搬送始端部を配置し、この搬送始端部上に振分カバー(16)を設けたことにより、第1及び第2押出回転体(15a,15b)に作物が押し出されず、下方に移動することがあっても、作物を第1または第2残葉処理装置(35a,35b)のどちらかに確実に移動させることができるので、搬送始端部同士の間に作物が滞留することがなく、作業能率が従来より向上する。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、請求項1から3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第1及び第2残葉処理ローラ(37a,37b)を、機体前側ほど左右間隔が広くなる配置としたことにより、第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)から選別搬送装置(7)に作物が移動する場所を離間させることができるので、移動の際に作物同士がぶつかり合って傷付くことを防止できるので、作物の商品価値が損なわれない。
【0022】
また、第1残葉処理コンベア(36a)及び第1残葉処理ローラ(37a)の作動速度を、第2残葉処理コンベア(36b)及び第2残葉処理ローラ(37b)の作動速度よりも高速に設定したことにより、第1残葉処理装置(35a)から選別搬送装置(7)に移動する作物を選別搬送装置(7)の搬送上手側で且つ機体前側に移動させることができると共に、第2残葉処理装置(35b)から選別搬送装置(7)に移動する作物を選別搬送装置(7)の搬送下手側で且つ機体後側に移動させることができるので、いっそう作物同士がぶつかり合うことが防止され作物の商品価値が損なわれることがない。
【0023】
さらに、作物が選別搬送装置(7)の機体前側と機体後側に位置することにより、選別搬送装置(7)で搬送中の作物を選別する場合、作物同士が密集することを防止できるので、作業者が作物を見分けやすくなり、作業能率や選別精度が従来より向上する。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、機体前後方向に作物を搬送する残葉処理コンベア(36a,36b)で受けた作物を、第1残葉処理ローラ(37a)で左右一側に移動させるとともに、第2残葉処理ローラ(37b)で左右他側に移動させる構成としたことにより、作物を二つの経路に振り分けながら残葉処理を行うことができるので、作物から切り残された残葉が確実に除去されるため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が従来より向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0025】
また、多角形状の第1押出回転体(15a)と第2押出回転体(15b)の位相をずらして配置することにより、作物を一本ずつ交互に第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)に送り出すことができるので、作物が移動時にぶつかり合うことが防止され、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0026】
さらに、機体左右他側から左右一側に作物を搬送する選別搬送装置(7)を残葉処理コンベア(36a,36b)の後部下方を通過させて配置したことにより、第1及び第2残葉処理ローラ(37a,37b)で処理された作物同士がぶつかることなく引き継ぐことができるので、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0027】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、第1残葉処理ローラ(37a)及び第2残葉処理ローラ(37b)を搬送終端側ほど左右のローラ(37a,37b)同士の間隔が広くなるように配置したことにより、作物が選別搬送装置(7)に引き継がれる位置を確実に離間させることができるので、移動の際に作物同士がぶつかり合って傷付くことを防止できるので、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0028】
また、第2残葉処理ローラ(37b)の搬送終端側に駆動力を伝動する駆動伝動装置(51)を設け、第1残葉処理ローラ(37a)と第2残葉処理ローラ(37b)の搬送始端側に一対の伝動部材(42a,42b)を設けて駆動力を伝動する構成としたことにより、駆動伝動装置(51)が作物の搬送を妨げることがなく、作業能率が従来より向上する。
【0029】
そして、一対のローラ(37a,37b)の搬送始端部の周囲を覆う平面視菱形の振分ケース(43)を設けたことにより、第1及び第2押出回転体(15a,15b)に作物が押し出されず、下方に移動することがあっても、作物を第1または第2残葉処理装置(35a,35b)のどちらかに確実に移動させることができるので、搬送始端部同士の間に作物が滞留することがなく、作業能率が向上する。
【0030】
請求項7記載の発明によれば、請求項5記載の発明の効果に加えて、第1残葉処理ローラ(37a)と、第1残葉処理ローラ(37a)よりも短い第2残葉処理ローラ(37b)を平行に配置したことにより、作物が選別搬送装置(7)に移動する位置を前記第1残葉処理ローラ(37a)と第2残葉処理ローラ(37b)との間で互いに離間させるため、移動の際に作物同士がぶつかり合って傷付くことを防止できるので、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0031】
請求項8記載の発明によれば、請求項5又は7記載の発明の効果に加えて、残葉処理コンベア(36a,36b)と選別搬送装置(7)が上下間隔を空けて配置されているので、残葉処理コンベア(36a,36b)と選別搬送装置(7)の間に作物が詰まって動かなくなることを防止できるので、こうした作物を取り除く必要が無く、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例の根菜類収穫機の左側面図を示す。
【図2】図1の根菜類収穫機の平面図を示す。
【図3】図1の根菜類収穫機の平面図(図3(a))と背面図(図3(b))を示す。
【図4】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図(図4(a))と背面図(図4(b))を示す。
【図5】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図(図5(a))と背面図(図5(b))を示す。
【図6】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図(図6(a))と背面図(図6(b))を示す。
【図7】本発明の他の実施例の根菜類収穫機の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1に本発明の実施の形態の根菜類収穫機の左側面図を示し、図2に図1の根菜類収穫機の平面図を示す。なお、本明細書では根菜類収穫機の前進方向を前方向、後退方向を後方向、前進方向に向かって左、右をそれぞれ左方向、右方向という。
【0034】
図1、図2に示す根菜類収穫機により、根菜類としてニンジンなどを収穫する場合について説明する。本実施例の根菜類収穫機は、走行用の左右の一対のクローラ1a,1bを装備した走行車体2の左側方に、掘り起こして収穫した根菜類の茎葉を挟持して後側斜め上方に搬送して圃場から根菜類を引き抜き搬送する挟持搬送装置3を設け、走行車体2の右側方に収穫した根菜類を収容するコンテナ6まで搬送する搬送コンベヤ7を設けた根菜類収穫機である。
【0035】
前記左右のクローラ1a,1bのうち挟持搬送装置3を設けたクローラ1aの前方位置であって、走行車体2の前部に接地輪9を取り付けてあり、この接地輪9は上下動可能な構成である。また、挟持搬送装置3の始端部下方位置に土中を進行して土をほぐすソイラ8を設けている。
【0036】
さらに、走行車体2の前部低位置に走行ミッション装置10(図2)を設け、該走行ミッション装置10から左右両側に延長して設けているホイールシャフトの駆動スプロケット11に、左右一対のクローラ1a,1bを巻回して走行可能に構成している。そして、前記走行ミッション装置10は、走行車体2に搭載しているエンジン(図示せず)に伝動可能に連結して、図示しない変速装置、サイドクラッチ、サイドブレーキ等を内装して、前記クローラ1a,1bを作動させる構成としている。
【0037】
また、走行車体2は、左右の中間位置の前部に操縦座席4を配置して設け、その左側から後部、更には右側のスペースを利用して、挟持搬送装置3、縦引起し装置28、横引起し装置29や一連の処理搬送装置である肩揃えベルト12、葉茎切断装置(回転刃)13、排葉ベルト14、搬送コンベヤ7、コンテナ6を載置するコンテナ台17などを配置してニンジンなどの収穫機を構成している。
【0038】
縦引起し装置28には多数の引起しラグ28aを設け、引起しラグ28aが前後方向に周回し、作物の左右方向に垂れている茎葉を引き起こすよう構成している。横引起し装置29には多数の引起しラグ29bを設け、その前方に分草具29aを設けている。分草具29aで作物の分草をした後、左右方向に周回する引起しラグ29bで圃場から植生して垂れている作物の茎葉を引き起こすよう構成している。
【0039】
挟持搬送装置3は、左右一対の挟持ベルト3aを備え、挟持ベルト3aの始端部側と終端部側をそれぞれ左右の駆動プーリ3b、3cに巻回して構成している。そして、挟持搬送装置3は走行車体2の左側において、搬送始端部を前方低位置の地面近くに臨ませ、搬送終端部を後方高部に位置させて、側面視において傾斜状態に設け、駆動プーリ3b、3cから挟持ベルト3aを伝動する構成としている。本実施例の場合、縦引起し装置28と横引起し装置29を備えた挟持搬送装置3は、後部を走行車体2に一体として接続し、後方下方に向けて延長した機体フレーム30に強固に連結支持し、機体フレーム30の後端部を回動支点とし、機体フレーム30を上下回動して昇降自在に調節し、挟持ベルト3aの搬送始端部が上下方向に移動して、前記搬送始端部の高さ位置を調節できる構成である。
【0040】
そして、挟持搬送装置3は、搬送始端部において、左右一対の挟持ベルト3aでニンジンなどの葉茎部の基部(ニンジンなど果肉部の肩に近い部分)を挟持して、走行車体2の前進作用と挟持搬送装置3の上方への搬送力とによってニンジンなどを圃場面から引き抜きながら、吊り下げ状態で上方及び後方に搬送して収穫する構成としている。また、挟持搬送装置3は、図2の平面図で分かるように、一側(左側)のクローラ1aの上方に位置し、図1の側面図に示したように、上記クローラ1aの前端部より前方下方に延長して圃場面に接近させて構成している。
【0041】
そして、一対のソイラ(掘起し刃)8は、上記左右一対の挟持ベルト3aの搬送始端部分の下方において、その挟持ベルト3aが挟持する土中のニンジンなどの両側に位置させるように左右一対設けられ、その先端部は周辺土壌を抱き込んで振動する形状にして、その後部は横軸に支持して振動するように架設している。この場合、ソイラ8は、振動器20からクランクロッド21aと揺動アーム21bを介して振動動力が伝達される構成としている。
【0042】
つぎに、上記根菜類収穫機の作用について説明する。
まず、根菜類収穫機はエンジンを始動して、上述した収穫作業の開始にあたり、オペレータはソイラ8側にあるクローラ1aの前方位置に軸架している接地輪9(図1)を下降操作して接地し、作業を開始する。走行車体2の回転各部を駆動しながら挟持搬送装置3の掘り取り高さ(引き抜き位置)を予め設定し、クローラ1a,1bを伝動して走行車体2を圃場内で前進させながらニンジンなどの収穫作業を開始する。この場合、ソイラ8は挟持搬送装置3と一体に下降して、先端部分が土中に陥没することになる。
【0043】
そして、圃場に植えられているニンジンなどは、前部で地面に接するような低い位置から前進方向に突出して上方へ回転している縦引起し装置28の作用圏内に達した葉茎部分が倒伏状態から上方に誘導案内され、更に、横引起し装置29の作用を受けて引き起こされる。続いて、ソイラ8は、土中で振動を続けながら走行車体2の前進につれてニンジンなどの側部に達し、周囲の土壌を振動によって柔らかくし、引き抜き易い状態にして、そのニンジンなどを挟持搬送装置3の挟持ベルトの始端部が挟持して、上方へ引き抜き作用をする。
【0044】
このようにして、ニンジンなどは左右一対の挟持ベルト3aに挟持されて上方に搬送され、肩揃えベルト12に達して持ち換えられ、後方に搬送方向が変更され、タッピングベルト26に達して受け継ぎ搬送されながら、葉茎切断装置13によって葉茎と果肉部とが切断される。切断された茎葉は排葉シュータ42で機外に排出される。
【0045】
そして、落下したニンジンなど(果肉部)は残葉処理コンベア36で、果肉部に残葉があれば残葉処理作用を受けた後、搬送コンベヤ7上に供給される。ニンジンなどは、搬送コンベヤ7上を搬送される過程で座席27に座った補助作業者(選別作業者)によって不良品の選り分けが行われ、搬送コンベヤ7の終端部から良品のみがコンテナ6に充填される。
【0046】
また、選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aによる作物搬送終端部には作物を振り分けるベルトコンベア式の振分搬送装置31が配置されている。該振分搬送装置31はコンテナ台17の上方に、該コンテナ台17の長手方向に沿って配置されている。そして振分搬送装置31の内部には複数の可動式の仕切板32が配置され、該仕切板32は搬送コンベヤ7により搬送されてくるニンジンなどを受け取ると振分搬送装置31の可逆可動式のベルトコンベアでコンテナ6に向けてニンジンなどを搬送する。このときベルトコンベア上にある可動式の仕切板32の配置方向に応じてニンジンなどを収容するコンテナ6を選択することができる。
【0047】
なお、前記仕切板32を振分搬送装置31の搬送方向に対して所定の傾斜角度を付けて配置した回転可能なローラ(図示せず)とすることで、ニンジンなどが振分搬送装置31のベルトコンベアと仕切ローラとの間を搬送される途中で再度残葉処理が可能となる。
【0048】
図2の全体平面図と図3(a)の残葉処理装置部分の平面図と図3(b)の残葉処理装置部分の背面図に示すように、ベルト36a,36bとローラ37a,37bからなる残葉処理装置35a,35bを2つ並列配置して、2つの残葉処理装置35a,35bに順番に作物を移動させる構成とした。
【0049】
また、2つの残葉処理装置35a,35bの内の一つは左右一側(機体外側)に作物を搬送する第1残葉処理装置35aであり、左右他側(機体内側)に作物を搬送する第2残葉処理装置35bが設けられており、切断装置も2つの残葉処理装置35a,35bに対応させて左右一対の切断刃(第1切断刃13a及び第2切断刃13b)を設けている。
【0050】
また、左右一側の第1切断刃13aの下部に作物を左右他側に移動させる多角形状の第1押出ディスク15aと左右他側の第2切断刃13bの下部に作物を左右一側に移動させる多角形状の第2押出ディスク15bを設け、第1押出ディスク15aと第2押出ディスク15bの多角形の突出部の位相を互いにずらして配置している。
【0051】
前記第1押出ディスク15aと第2押出ディスク15bの多角形の突出部の位相を互いにずらして配置することで、ニンジンなどを左右交互に飛ばすことができる。また、前記2つの押出ディスク15a,15bの位相はニンジンなどの株間一本分とする。
【0052】
上記2つの残葉処理装置35a,35bに順番に作物を移動させることにより、一つの残葉処理装置35a又は35bに多数の作物が集中することを防止できるので、作物から切り残された残葉が確実に除去される。そのため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が従来より向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0053】
また、残葉処理中のニンジンなどの作物同士がぶつかり合うことを防止できるので、接触の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が損なわれない。
【0054】
さらに、搬送方向の異なる第1及び第2残葉処理装置35a,35bを設け、茎葉切断装置13の第1切断刃13aと第2切断刃13bをそれぞれ第2残葉処理装置35b側に作物を移動させる第1押出ディスク15aと第1残葉処理装置35a側に作物を移動させる第2押出ディスク15bとで構成したことにより、作物を二つの残葉処理装置35a,35bに振り分けることができるので、作物から切り残された残葉が確実に除去されるため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が従来より向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0055】
また、多角形状の第1押出ディスク15aと第2押出ディスク15bの位相をずらして配置して、しかもその位相のずれをニンジンなどの株間1本分とすることにより、作物を一本ずつ交互に第1及び第2残葉処理装置35a,35bに送り出すことができるので、作物が移動時にぶつかり合うことが防止され、作物の商品価値が損なわれない。
挟持搬送装置3の搬送経路の下方に第1残葉処理装置35aと第2残葉処理装置35bの搬送始端部を配置し、第1残葉処理装置35a及び第2残葉処理装置35bの搬送始端部上に作物を第1または第2残葉処理装置35a,35bのどちらかに移動させることができる断面が円弧形状の振分カバー16を配置している。また、第1残葉処理装置35a及び第2残葉処理装置35bの機体前側に選別搬送装置7を設けた。前記振分カバー16は軟質材料から構成しており、第1残葉処理ローラ37a及び第2残葉処理ローラ37bの間にニンジンなどが嵌り込まないようにしている。
【0056】
前記挟持搬送装置3の搬送経路の下方に第1残葉処理装置35a及び第2残葉処理装置35bの搬送始端部を配置し、この搬送始端部上に円弧状の振分カバー16を設けたことにより、第1押出ディスク15a及び第2押出ディスク15bにニンジンなどの作物が押し出されず、下方に移動することがあっても、作物を第1または第2残葉処理装置35a,35bのどちらかに確実に移動させることができるので、搬送始端部同士の間に作物が滞留することがなく、作業能率が従来より向上する。
【0057】
また、本実施例の第1及び第2残葉処理装置35a,35bは作物を搬送する第1及び第2残葉処理コンベア36a,36bと、該第1及び第2残葉処理コンベア36a,36bとの間に残葉を挟んで取り除く第1及び第2残葉処理ローラ37a,37bで構成されているが、第1及び第2残葉処理コンベア36a,36bと、残葉を挟んで取り除く第1及び第2残葉処理ローラ37a,37bは左右外側に向けて、それぞれ緩やかに下向きに傾斜配置されている。
【0058】
第1及び第2残葉処理コンベア36a,36bは互いに反対方向である図3の矢印aと矢印bの方向に移動し、また第1及び第2残葉処理ローラ37a,37bは第1及び第2残葉処理コンベア36a,36bの上流側から搬送されるニンジンなどが該ローラ37a,37bと第1及び第2残葉処理コンベア36a,36bとにより挟み込まれる方向に回転しているのでニンジンなどの残葉が前記挟み込み時に取り除かれる。
【0059】
また、第1残葉処理ローラ37a及び第2残葉処理ローラ37bを機体前側ほど左右間隔が広くなるように、平面視で逆「ハ」の字型に配置し、第1残葉処理コンベア36a及び第1残葉処理ローラ37aの作動速度を、第2残葉処理コンベア36b及び第2残葉処理ローラ37bの作動速度よりも高速に設定してもよい。
【0060】
この場合は、第1及び第2残葉処理ローラ37a,37bを、機体前側ほど左右間隔が広くなる配置としたことにより、第1及び第2残葉処理装置35a,35bから選別搬送装置7に作物が移動する場所を離間させることができるので、移動の際にニンジンなどの作物同士がぶつかり合って傷付くことを防止できるので、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0061】
このように、右と左へニンジンなどを搬送する第1及び第2残葉処理装置35a,35bを設けて左右方向に飛ばした2組のニンジンなどは別々に、しかし同時に選別搬送装置7のコンベアで処理できる。このように2つの残葉処理装置35a,35bの1つあたりのニンジンなどの処理能力は単一の残葉処理装置を用いる場合に比べて約1/2とすることができるので、残葉処理コンベア36a,36bの搬送速度を上げること無く、2倍の速度でニンジンなどの掘取り作業を行うことができる。
【0062】
また、機体前方へ逆「ハ」の字状に開いた2つの残葉処理ローラ37a,37bにより残葉やゴミを機体左右へ振り分け、ニンジンなどの作物は機体前方へ送る構成であるので、作物とその他の物を分別することができる。
【0063】
また、逆「ハ」の字状に配置された残葉処理ローラ37a,37bの後端側にローラ駆動用ベベルギヤ18等を内蔵したギヤケース18a(図3には図示していない。図4参照)を設けており、該ギヤケース18aが機体後方へ抜けようとするニンジンなどのガードを兼ねる。
【0064】
前記残葉処理コンベア36a,36bのベルト上面および残葉処理ローラ37a,37bは左右外側に向けてそれぞれ下向きに傾斜している。そのため切断後のニンジンなどの残葉処理コンベア36a,36b上への落下距離が小さい。また、残葉処理コンベア36a,36b上から選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aへの落下距離も小さくなる。このようにして、機体傾斜時の搬送を正常にする。左右分割された残葉処理コンベア36a,36bの前方向に選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aを設ける。
【0065】
また、第1残葉処理コンベア36a及び第1残葉処理ローラ37aの作動速度を、第2残葉処理コンベア36b及び第2残葉処理ローラ37bの作動速度よりも高速に設定したことにより、第1残葉処理装置35aから選別搬送装置7に移動する作物を矢印c方向に向けて選別搬送装置7の搬送上手側で且つ機体前側に移動させることができると共に、第2残葉処理装置35bから選別搬送装置7に移動する作物を選別搬送装置7の搬送下手側で且つ機体後側に移動させることができるので、いっそう作物同士がぶつかり合うことが防止され、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0066】
さらに、ニンジンなどの作物が選別搬送装置7の機体前側と機体後側に位置することにより、選別搬送装置7で搬送中の作物を選別する場合、作物同士が密集することを防止できるので、作業者が作物を見分けやすくなり、作業能率や選別精度が従来より向上する。
【0067】
図4(a)には別実施例の残葉処理装置部分の要部平面図と図4(b)には図4(a)の要部背面図に示すように、左右の残葉処理コンベア36a,36bによる残葉などのゴミの搬送は機体左右方向に向けて行うが、機体左方向の外側には機体内側に向けて傾斜面を有するシュータ46を配置しておく。これは機体右外側はニンジンなどの既掘側であるので、ゴミなどをそのまま圃場上に落としても良いが、機体左外側はニンジンなどの未掘側であるので、ゴミはシュータ46を経由してクローラ1a,1b側に落とす必要があるためである。
【0068】
残葉処理されたニンジンは選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aで矢印c方向(機体進行方向に対して横方向)に搬送されるので、ニンジンなどは機体の左側から右側へ流れるが、選別搬送コンベア7aは左右の残葉処理コンベア36a,36bの出口の両方をカバーする単一の構成であるので、一対の残葉処理コンベア36a,36bで処理したニンジンなどを一箇所の出口やコンテナ(フレコンバッグ)6へ投入することができる。
【0069】
ここで残葉処理コンベア36a,36bおよび残葉処理ローラ37a,37bの駆動系は機体後端側に配置して、ニンジンなどの流れを妨げないようにする。
【0070】
また、左右の残葉処理コンベア36a,36bの搬送速度をそれぞれ変えて、選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aに対するニンジンなどの受渡し位置を機体前後方向で変える構成として良い。
例えば左側残葉処理コンベア36aの搬送速度を右側残葉処理コンベア36bの搬送速度より遅くすることで、左側残葉処理コンベア36aから選別搬送コンベア7aに移るニンジンなどが右側残葉処理コンベア36bより比較的近くへ運ばれるのに対して、比較的速い搬送速度の右側残葉処理コンベア36bからは比較的遠くへ運ばれるので、選別搬送コンベア7a上では上記2つのニンジンなどがぶつかり合うことがなく、2列で搬送されるので、人手により選別搬送コンベア7aに上のニンジンを整頓しながら搬送させる手間がない。
【0071】
選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aの機体前後方向の幅はニンジンなどの最長のもの(約300mm)の約1.5倍程度とする。(幅方向にずらしたニンジンなどの幹(太い部分)のみがずれれば良く、選別搬送コンベア7aの機体前後方向の幅をあまり広くすると選別者が複数人必要となる。
【0072】
図5(a)の残葉処理装置部分の要部平面図と図5(b)の残葉処理装置部分の要部側面図に示す実施例の根菜類収穫機は、茎葉切断装置13の下方に矢印a,b方向に移動して、機体前後方向にニンジンなどの作物を搬送する一対の残葉処理コンベア36a,36bを配置し、茎葉切断装置13を左右一対の第1切断刃13a及び第2切断刃13bで構成し、左右一側の第1切断刃13aの下部に作物を左右他側に移動させる多角形状の第1押出ディスク15aを配置し、左右他側の第2切断刃13bの下部に作物を左右一側に移動させる多角形状の第2押出ディスク15bを配置する。また、第1押出ディスク15aと第2押出ディスク15bの多角形の突出部の位相をずらして配置している。
【0073】
さらに第1押出ディスク15aによって左右一側に移動させられた作物の残葉を処理しながら搬送する第1残葉処理ローラ37aと第1残葉処理コンベア36aの間に巻き込みながら残葉を取り除く処理をしながら搬送し、また第2押出ディスク15bによって左右他側に移動させられたニンジンなどの作物を第2残葉処理ローラ37bと第2残葉処理コンベア36aの間に巻き込みながら残葉を取り除く処理をしながら搬送する。
【0074】
上記図5に示す実施例の根菜類収穫機では、機体前後方向に作物を搬送する残葉処理コンベア36a,36bで受けた作物を、第1残葉処理ローラ37aで左右一側に移動させると共に、第2残葉処理ローラ37bで左右他側に移動させる構成としたことにより、ニンジンなどの作物を二つの経路に振り分けながら残葉処理を行うことができるので、作物から切り残された残葉が確実に除去されるため、後工程で残葉を手作業で取り除く必要が無く、作業能率が従来より向上すると共に作業者の労力が軽減される。
【0075】
また、多角形状の第1押出ディスク15aと第2押出ディスク15bの位相をずらして配置することにより、ニンジンなどの作物を一本ずつ交互に第1残葉処理装置35a及び第2残葉処理装置35bに送り出すことができるので、ニンジンなどの作物が移動時にぶつかり合うことが防止され、ニンジンなどの作物の商品価値が損なわれることがない。
【0076】
さらに、機体左右一側から左右他側にニンジンなどの作物を矢印c方向に搬送する選別搬送装置7を残葉処理コンベア36a,36bの後部下方を通過させて配置したことにより、第1残葉処理ローラ37a及び第2残葉処理ローラ37bで処理されたニンジンなどの作物同士がぶつかることなく引き継ぐことができるので、ニンジンなどの作物の商品価値が損なわれることがない。
【0077】
また、残葉処理コンベア36a,36bの後部下方を通過する機体左右一側から左右他側(矢印c方向)にニンジンなどの作物を搬送する選別搬送装置7を設けているので、残葉処理されたニンジンは選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aからコンテナ6に向けて搬送される。
【0078】
図5(a)に示すように、残葉処理コンベア36a,36bから選別搬送コンベア7aへのニンジンなどの受け渡しは、選別搬送コンベア7aの位置がカッタ13a,13bに対して比較的後方寄りに配置できるので、残葉処理コンベア36a,36bの左右から選別搬送コンベア7aへ引き継ぐのに有利である。
【0079】
また、矢印c方向に流れる選別搬送コンベア7aが一対の残葉処理ローラ37a,37bで処理されたニンジンなどを合流搬送する構成、すなわち、残葉処理ローラ37a,37bに対して選別搬送コンベア7aは下方に配置される構成であり、右側の残葉処理コンベア36bで処理したニンジンなどを該残葉処理コンベア36b下の空間を利用して、左側残葉処理コンベア36aから送られてくるニンジンなどと選別搬送コンベア7a上で合流させることができる構成である。従って、右側の残葉処理コンベア36bから選別搬送コンベア7aに送られるニンジンなどは左側に移動させることにより、ニンジンの回収部は1つで良いことになる。
【0080】
残葉処理コンベア36a,36bの後端位置は選別搬送コンベア7aの後端位置に対して十分後方に設けているので、残葉処理コンベア36a,36bで処理してニンジンなどから取り除かれた残葉などのゴミは機体外部に落下して、選別搬送コンベア7aに載ることがない。
【0081】
図5に示すように、左右の残葉処理ローラ37a,37bを機体前側ほど接近し合い、機体後側に向かうほど離間するように配置したことにより、落下してきたニンジンは左の残葉処理ローラ37aまたは右の残葉処理ローラ37bのいずれか一側に沿って相互に離間する方向に案内されるので、左右の残葉処理ローラ37a,37bの左右間を通過してニンジンなどが機外に排出されることがなく、ニンジンなどの残葉処理の作業能率が向上する。
【0082】
なお、左右の残葉処理ローラ37a,37bの前端部が最も接近し合う場所には、左右の残葉処理ローラ37a,37bの搬送方向に沿う、平面視菱形の振分ケース43を設けると、残葉処理ローラ37a,37bの前側端部にニンジンなどが接触しても傷付くことが防止されるので、ニンジンなどの商品価値が損なわれることがない。
【0083】
また左右の残葉処理ローラ37a,37bの駆動系は、右残葉処理ローラ37bの機体前方側に接続する駆動伝動装置51から得られた駆動力を左右の残葉処理ローラ37a,37bの「ハ」の字状の頂点部分に設けたベベルギア42a,42bを使って左残葉処理ローラ37aに伝達する構成である。また、前記ベベルギア42(42a,42b)を収納した振分ケース43自体が左右残葉処理ローラ37a,37bの先端間の隙間をふさぐ機能を兼ねている。
【0084】
選別作業者およびフレコンデッキ(コンテナ台)17は機体右側に備えられているので、機体左側や後方の張り出しが少ないレイアウトとすることで収穫機全体をコンパクトな構成にすることができる。
また、一対の残葉処理コンベア36a,36bの下端と選別搬送コンベア7aの上部との隙間を十分に設けることで、万一、前記隙間に作物などが詰まった場合の詰まり解消のための作業や掃除作業が簡単に行える。
【0085】
さらに残葉処理コンベアユニットと選別搬送コンベアユニットのそれぞれが独立して脱着可能な構成とすることで、この装置のメンテナンスが簡単に行える。
ニンジンなどの割れが多い収穫シーズンには、切断刃13a,13bの下にある押出ディスク15a,15bを外して残葉処理ローラ37a,37bにニンジンなどを当てることなく、割れを防ぎながら搬送が可能となる。
【0086】
図6の平面図に示す実施例の根菜類収穫機の残葉処理装置35では、機体前後方向(矢印a,b方向)にニンジンなどの作物を搬送する残葉処理コンベア36a,36bの作物搬送方向に対して約45度の角度で傾斜させた方向に第1残葉処理ローラ37aと第2残葉処理ローラ37bを平行に配置した構成を示す。
【0087】
図6から明らかなように、第2残葉処理ローラ37bよりも第1残葉処理ローラ37aを長くして配置することで、ニンジンなどの作物が選別搬送装置7に移動する位置を第1残葉処理ローラ37aと第2残葉処理ローラ37bとの間で互いに離間させることができ、移動の際にニンジンなどの作物同士がぶつかり合って傷付くことを防止できるので、作物の商品価値が損なわれることがない。
【0088】
このとき残葉処理コンベア36a,36bと選別搬送装置7の上下間隔を空けて配置したので、残葉処理コンベア36a,36bと選別搬送装置7の間にニンジンなどの作物が詰まって動かなくなることを防止でき、残葉処理コンベア36a,36bと選別搬送装置7の間に詰まったニンジンなどの作物を取り除く必要がなく、ニンジンなどの収穫作業がはかどる。
【0089】
平行に長さを変えて配置した2本の残葉処理ローラ37a,37bは、それぞれのローラ37a,37bの前面で残葉などのゴミ取りを行うことができる。また、選別搬送装置7の選別搬送コンベア7aは機体の左側から右側(矢印c方向)へ流れる横搬送方式とし、2本の残葉処理ローラ37a,37bの前端は前後方向で同じ位置に配置し、後端は左右方向で同じ位置となるように設ける。
このようにすると、選別搬送コンベア7aの前後方向幅に対して2本の残葉処理ローラ37a,37bのそれぞれで処理したニンジンなどの引き継ぎ位置が異なるので、ニンジンなどの作物同士のぶつかりが少なく、割れにくい。
【0090】
残葉処理ローラ37a,37bの駆動は残葉処理ローラ37a,37bの出口側に設けた出口側伝動ケース40上に駆動モータ39を配置している。該駆動モータ39から動力を受けて回転する駆動スプロケット41aと従動スプロケット41bとこれらのスプロケット41a,41bに掛け渡される伝動チェーン41cが出口側伝動ケース40に内装されている。駆動スプロケット41aと従動スプロケット41bの回転軸の下部にはベベルギヤ(図示せず)が取り付けられており、該べべルギヤと残葉処理ローラ37a,37bの出口側端部に設けられたベベルギヤ(図示せず)がそれぞれ噛合している。こうして残葉処理ローラ37a,37bは駆動モータ39の動力で回転する。
【0091】
また、残葉処理ローラ37a,37bの入口側にも入口側伝動ケース44が配置されており、該入口側伝動ケース44内には駆動スプロケット45aと従動スプロケット45bとこれらのスプロケット45a,45bに掛け渡される伝動チェーン45cが設けられ、該スプロケット45a,45bには図示しないベベルギヤが配置され、それぞれのベベルギヤは残葉処理ローラ37a,37bの入口側端部に設けられたベベルギヤ(図示せず)と噛合している。そのため、残葉処理ローラ37a,37bの駆動力によりスプロケット45a,45bと伝動チェーン452cが連動する。
また、一対の残葉処理ローラ37a,37bの前後端の支持部である入口側伝動ケース44と出口側伝動ケース40はニンジンなどが通過する空間を確保するために上下方向に支えるアーチ式とする。
【0092】
また、選別搬送コンベア7aの選別開始点は残葉処理コンベア36a,36bの下に隠れる配置とすることで、残葉処理コンベア36a,36bと選別搬送コンベア7aの間に空間部が生じないため、残葉処理コンベア36a,36bと選別搬送コンベア7aの空間部に引き継がれるニンジンなどが落下してしまうことが防止され、落下したニンジンなどを拾い集める作業が不要となり、作業者の労力が軽減されると共に落下の衝撃でニンジンなどが傷付くことが防止され、ニンジンなどの商品価値が損なわれることがないという利点がある。
【0093】
また、左右一対設けた押出ディスク15a,15bは、左右で有効直径を変えることで、左右の押出ディスク15a,15bによる作物の飛ばし方を変えて、より押出ディスク15a,15bの頭からローラ37a,37bへ向くようにする。また、機体右側の押出ディスク15bよりも機体左側の押出ディスク15aの有効値を大きくすることで、押出ディスク15aによる作物の飛ばす距離を大きくすることができる。
【0094】
また押出ディスク15a,15bの平面視で多角形状とした突出部(多角形状のコーナ部)の数または位相を変えて、左右の残葉処理ローラ37a,37bに向かうニンジンなどを飛ばす割合または方向に偏りを持たせ、左右の残葉処理ローラ37a,37bのどちらか一方に、より多くのニンジンなどが向かうようにすることもできる。
また、機体左側の長いローラ37aの側へより多くのニンジンなどを搬送することで能率的に処理できる。
【0095】
図7に示す実施例の根菜類収穫機の残葉処理装置部分の要部平面図は、機体前後方向に作物を搬送する残葉処理コンベア36a,36bの作物搬送方向に対して約45度の角度で傾斜させた方向に比較的長い第1残葉処理ローラ37aと該第1残葉処理ローラ37aの長手方向に直交する方向に長手方向を配置した比較的短い第2残葉処理ローラ37bとからなる構成を備えている。図7から明らかなように、左右の残葉処理ローラ37a,37bをそれぞれが前後方向に「逆Yの字」となるように配置した構成である。
【0096】
左右の残葉処理ローラ37a,37bの前記「逆Y字型」の合流部には隙間Aを設け、第1残葉処理ローラ37aは2つの残葉処理コンベア36a,36bを合計した横幅いっぱいに傾斜配置し、第2残葉処理ローラ37bで処理しても、選別搬送コンベア7a上にゴミが排出されない構成としている。前記隙間Aは想定されるニンジンなどの全長分以上の空間を設けているので前記隙間A付近の合流部でニンジンなどが詰まることはない。
【0097】
また、この構成では選別搬送コンベア7aの前後に、ニンジンなどの選別作業を行なう選別作業者が入り込むことのできる空間部が形成されるので、残葉処理コンベア36a,36bから排出されてくるニンジンなどを少なくとも2人の選別作業者で選別することができ、ニンジンなどの収穫量が多いときでもニンジンなどのサイズや形状、傷の有無等を確認して選別することができ、選別精度が図3等の構成に比べて大幅に向上する。
【0098】
図2に示す座席27は搬送コンベヤ7の側方(後方)に補助作業者が座るために設けられており、搬送コンベヤ7上を送られてくるニンジンなどを補助作業者が目視によって不良品を選り分けて、前述のようにコンテナ台17上のコンテナ6に良品を収穫する構成としている。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、根菜類収穫機として例えばニンジン以外の根菜などの収穫作業にも利用し得る。
【符号の説明】
【0100】
1a,1b クローラ 2 走行車体
3 挟持搬送装置 3a 挟持ベルト
4 操縦席 5 収穫根菜類処理装置
6 コンテナ 6’ 仕分コンテナ
7 選別搬送装置 7a 選別搬送コンベア
8 堀起し刃(ソイラ) 8a 棒状体
8b プレート 8c 掘起こし板
9 接地輪 10 走行ミッション装置
11 駆動スプロケット 12 肩揃えベルト
13 葉茎切断装置 13a,b 切断刃
14 排葉ベルト 15 押出ディスク
16 振分カバー 17 コンテナ台
18 ローラ駆動用ベベルギヤ 18a ギヤケース
20 振動器 21a クランクロット
21b 揺動アーム 23 根菜下部切断装置
24 案内杆 26 タッピングベルト
27 座席 28 縦引起し装置
28a 引起しラグ 29 横引起し装置
29a 分草具 30 機体フレーム
31 振分搬送装置 32 仕切板
35 残葉処理装置 36 残葉処理コンベア
37 残葉処理ローラ 38a,38b 側壁面
39 駆動モータ 40 出口側伝動ケース
41a,41b スプロケット 41c,45c チェーン
42a,42b ベベルギヤ 43 振分ケース
44 入口側伝動ケース 45a,45b スプロケット
46、48 シュータ 50 置台
51 駆動伝動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)の左右一側に圃場から作物を引き抜き搬送する引抜搬送装置(3)と、該引抜搬送装置(3)から作物を引き継いで搬送する肩揃え搬送装置(12)と、該肩揃え搬送装置(12)で肩揃えされた作物の茎葉部を切断する茎葉切断装置(13)と、該茎葉切断装置(13)で茎葉部を切断された作物を受けて搬送しながら残葉を処理する残葉処理装置(35)と、該残葉処理装置(35)から作物を受けて搬送する選別搬送装置(7)と、該選別搬送装置(7)からの作物を受けて収容する収容部材(6)を載置する載置部(17)を設けた根菜類収穫機において、
残葉処理装置(35)を複数配置して複数の残葉処理装置(35)に順番に作物を移動させる構成としたことを特徴とする根菜類収穫機である。
【請求項2】
複数の残葉処理装置(35)は、左右一側に作物を搬送する第1残葉処理装置(35a)と左右他側に作物を搬送する第2残葉処理装置(35b)とからなり、
茎葉切断装置(13)は左右一対の第1切断部材(13a)及び第2切断部材(13b)からなり、
左右一側の第1切断部材(13a)の下部に作物を左右他側に移動させる多角形状の第1押出回転体(15a)を配置し、
左右他側の第2切断部材(13b)の下部に作物を左右一側に移動させる多角形状の第2押出回転体(15b)を配置し、
第1押出回転体(15a)と第2押出回転体(15b)の突出部の位相をずらして配置した
ことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
引抜搬送装置(3)の搬送経路の下方に第1残葉処理装置(35a)と第2残葉処理装置(35b)の搬送始端部を配置し、
第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)の搬送始端部上に作物を第1または第2残葉処理装置(35a,35b)のどちらかに移動させる振分カバー(16)を配置し、
第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)の機体前側に選別搬送装置(7)を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
第1及び第2残葉処理装置(35a,35b)を、作物を搬送する第1及び第2残葉処理コンベア(36a,36b)と該第1及び第2残葉処理コンベア(36a,36b)との間にそれぞれ残葉を挟んで取り除く第1及び第2残葉処理ローラ(37a,37b)で構成し、
第1及び第2残葉処理ローラ(37a,37b)を機体前側ほど左右間隔が広くなるように配置し、
第1残葉処理コンベア(36a)及び第1残葉処理ローラ(37a)の作動速度を、第2残葉処理コンベア(36b)及び第2残葉処理ローラ(37b)の作動速度よりも高速に設定したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の根菜類収穫機。
【請求項5】
茎葉切断装置(13)の下方に機体前後方向に作物を搬送する残葉処理コンベア(36a,36b)を配置し、
茎葉切断装置(13)を左右一対の第1及び第2切断部材(13a,13b)で構成し、
左右一側の第1切断部材(13a)の下部に作物を左右一側に移動させる多角形状の第1押出回転体(15a)を配置し、
左右他側の第2切断部材(13b)の下部に作物を左右他側に移動させる多角形状の第2押出回転体(15b)を配置し、
第1押出回転体(15a)と第2押出回転体(15b)の多角形突出部の位相をずらして配置し、
第1押出回転体(15a)によって左右一側に移動させられた作物の残葉を処理しながら搬送する第1残葉処理ローラ(37a)と、第2押出回転体(15b)によって左右他側に移動させられた作物の残葉を処理しながら搬送する第2残葉処理ローラ(37b)を配置し、
残葉処理コンベア(36a,36b)の後部下方を通過する機体左右他側から左右一側に作物を搬送する選別搬送装置(7)を配置した
ことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項6】
第1残葉処理ローラ(37a)及び第2残葉処理ローラ(37b)を搬送終端側ほど左右間隔が広くなるように配置し、第1残葉処理ローラ(37a)の搬送終端側に駆動力を伝動する駆動伝動装置(51)を配置し、第2残葉処理ローラ(37b)と第2残葉処理ローラ(37b)の搬送始端側に一対の伝動部材(42a,42b)を配置し、一対の伝動部材(42a,42b)の周囲を覆う平面視菱形の振分ケース(43)を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項7】
第1残葉処理ローラ(37a)及び第2残葉処理ローラ(37b)を平行に配置し、
第1残葉処理ローラ(37a)の長さよりも第2残葉処理ローラ(37b)の長さを短くしたことを特徴とする請求項5記載の根菜類収穫機。
【請求項8】
残葉処理コンベア(36a,36b)と選別搬送装置(7)は、互いに上下間隔を空けて配置したことを特徴とする請求項5または7記載の根菜類収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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