説明

栽培用光反射シート

【課題】植物の栽培のために光を反射する栽培用光反射シートであって、省資源性が高く、優れた光反射性、保温性、柔軟性を有し、薄肉かつ軽量で敷設作業性に優れ、害虫の駆除に有効な栽培用光反射シートを提供する。
【解決手段】内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂発泡体または多孔体からなる栽培用光反射シートとする。この場合、上記気泡または気孔の平均気泡径または平均気孔径は、光の波長以上で50μm以下であることが好ましい。また、シートの厚さは100μm以上、比重は0.7以下、光の拡散反射率は85%以上であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマルチングに使用され、果物、野菜、穀物、生花等の植物の栽培のために光を反射する栽培用光反射シートに関し、さらに詳述すると、省資源性が高く、優れた光反射性、保温性、柔軟性を有し、薄肉かつ軽量で敷設作業性に優れ、害虫の駆除に有効な栽培用光反射シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、農業用資材分野では、農作物の促成に重要な役割を果たす保温・断熱・光反射シートが開発されている。特に、近年は農業生産の安定や収穫時期の調整のため、果樹栽培や野菜栽培などでのハウス栽培が盛んになっており、これらのシートへの需要が急増している。ところが、近年、ハウス栽培や農業資材で使用された使用済の上記シートが増え続けており、回収作業なども行われているが、環境負荷のより少ないシートへの転換が必要になってきた。
【0003】
前述のハウス栽培では、農業用塩化ビニルシートなどで栽培区画を覆うため、覆われた塩化ビニルシートなどにより、太陽光が農作物に届きにくい。したがって、塩化ビニルシートなどにアルミニウムなどの金属を蒸着することにより太陽光を反射させ、農作物の成長を促進する光反射シートが幅広く使用されている。
【0004】
しかしながら、アルミニウムなどの金属材料を用いた光反射シートは、光の全反射率は十分高いが、拡散反射が少ないため、反射光が目に眩しく感じるという問題がある。加えて、アルミニウムなどの金属材料は熱反射が多く、農作物の温度が極度に上がりすぎ、農作物を痛める問題もある。そこで、表面にシボやクレープ加工などを施し、眩しさを抑える方法などが、特許文献1で提案されているが、このような光反射シートは、上記加工により、元々低い拡散反射率がさらに低下するといった問題があった。
【0005】
そこで、特許文献2〜6に開示されたシートのように、光反射性の白色の樹脂層を設け、熱反射を抑え、反射光を拡散光とさせるといったことが提案されている。しかしながら、光反射性の樹脂層は保温性がなく、柔軟性にかけ、大面積の区域に敷設する際には重く、敷設作業性が悪いばかりか、薄肉化した場合には光反射性が落ちるため、省資源性に劣るといった問題点があった。これらの特許文献によると、断熱層などとの複合シートや多層シートもあるが、これらは異なる素材を積層した複合材であるため、薄肉化が困難で、使用済みとなった場合に回収量が増えたり、リサイクルが困難になったりするなど、環境負荷が大きくなる問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−86881号公報(農業用光反射シート)
【特許文献2】特開平10−84793号公報(農業用温度コントロールシート)
【特許文献3】特開平10−290635号公報(農業用遮熱シート)
【特許文献4】特開2001−1440号公報(農業用光反射シート)
【特許文献5】特開2001−61357号公報(遮光シート及び使用方法)
【特許文献6】特開2003−333940号公報(光反射性マルチシート及びその使用方法)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、省資源性が高く、優れた光反射性、保温性、柔軟性を有し、薄肉かつ軽量で敷設作業性に優れ、害虫の駆除に有効な栽培用光反射シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記のような問題を解決するために種々検討を行った結果、微細気泡または微細気孔を有するプラスチック製シートが栽培用光反射シートとして有効であることを見出した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、植物の栽培のために光を反射する栽培用光反射シートであって、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂発泡体または多孔体からなり、厚さが100μm以上、比重が0.7以下であることを特徴とする栽培用光反射シートを提供する。
【0010】
本発明の栽培用光反射シートは、微細気泡または微細気孔により、光反射性が未発泡樹脂に比べて大幅に向上することに加え、発泡体または多孔体であるために軽量で敷設作業が容易である。また、発泡化または多孔化によりシートの柔軟性が改善されるため、敷設箇所に合わせてフレキシブルに形状を変形させることができる利点を有している。
【0011】
本発明の栽培用光反射シートは、微細気泡または微細気孔を有することが特徴であり、粗大な気泡または気孔では光反射特性は向上しない。また、微細気泡または微細気孔であるために栽培用光反射シートを薄肉化することができ、さらに柔軟性を高めることができるだけではなく、発泡化または多孔化と薄肉化による資源の有効利用も可能である。
【0012】
本発明の栽培用光反射シートは、気泡または気孔が微細であるため、薄肉化しても反射率の低下が少ない。これは、薄肉化しても気泡または気孔が微細であるため、シートの断面方向には光を反射するための気泡または気孔が存在するためである。通常の発泡体または多孔体では気泡または気孔が大きすぎるために元々光反射性に劣るが、薄肉化すると、光を反射するための発泡層または多孔層が少なくなり、透過する光が増えるため、光反射特性の低下を防ぐことができない。
【0013】
また、本発明の栽培用光反射シートは、光反射性および断熱性の両方を1層で得ることができ、光反射層と断熱層を別々に設ける必要がないため、リサイクル性に優れている。
【0014】
さらに、本発明の栽培用光反射シートは、高い反射率を保ったまま農作物に光を拡散反射できることから、農作物の促成に適しているばかりではなく、害虫の駆除にも優れている。すなわち、本発明の栽培用光反射シートは、高度に拡散反射した光によって害虫が撹乱されるなどの効果により、農作物への被害を抑える効果が従来技術より優れている。
【発明の効果】
【0015】
以上のことから、本発明によれば、省資源性が高く、優れた光反射性、保温性、柔軟性を有し、軽量で敷設作業性に優れ、害虫の駆除に有効な栽培用光反射シートを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明において、栽培用光反射シートを形成する材料としては、限定されるものではないが、光の拡散反射率が85%以上、より好ましくは87%以上の熱可塑性樹脂発泡体または多孔体のフィルムまたはシートを好適に使用することができる。特に好ましいのは、内部の平均気泡径または平均気孔径が光の波長以上で50μm以下の微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂発泡体または多孔体のフィルムまたはシートである。ここで、光の波長とは、360〜830nmをいう。上記平均気泡径または平均気孔径は、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
【0017】
本発明において、上記光の拡散反射率とは、光の入射束に対する拡散反射束の比をいい、自記分光光度計により400〜1200nmの波長域で測定し、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%とし、その相対値として求めた値をいう。自記分光光度計としては、例えばUV−3100PC(島津製作所社製商品名)を使用することができる。
【0018】
本発明において、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビフェニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコールなどの汎用樹脂、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、超高分子量ポリエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、フッ素樹脂などのエンジニアリングプラスチック、またはこれらの共重合体もしくは混合物などが挙げられる。
【0019】
上記熱可塑性樹脂中には、シートの光反射性および発泡性または多孔性に影響を及ぼさない範囲で、気泡化核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、滑剤、防鼠剤、害虫駆除剤などの各種添加剤を配合してもよい。これらの添加剤の配合量は、得られる製品の特性を考慮して決定されるが、5重量%以下が好ましい。また、これらの添加剤を含有した塗布層をシートに塗布して形成してもよい。
【0020】
より具体的には、上記熱可塑性樹脂発泡体または多孔体のフィルムまたはシートとして、熱可塑性ポリエステルの押出シートに炭酸ガスを高圧下で含浸させた後、加熱し発泡させたシートで、内部の平均気泡径が50μm以下であるポリエステル系発泡シート(例えば、古河電気工業株式会社製のMCPET(登録商標))を使用することができる。その他、同様に内部の平均気泡径が50μm以下であるシクロポリオレフィン系発泡シートを使用することができる。
【0021】
上記熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシートを製造する方法は特に限定されない。ただし、量産性を考慮すると、例えば以下のような方法を用いることが好ましい。すなわち、熱可塑性ポリエステルのシートとセパレータとを重ねて巻くことによりロールを形成し、このロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステルシートに不活性ガスを含有させ、さらに不活性ガスを含有させた熱可塑性ポリエステルシートを常圧下で加熱して発泡させる、という方法が用いられる。この方法では、上記ロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステルシートに不活性ガスを含有させる前に、上記ロールに有機溶剤を含有させてもよい。
【0022】
以下、本発明の光反射シートを製造する方法の一例として、上記熱可塑性ポリエステルシートを用いる場合について詳細に説明する。
【0023】
(1)まず、熱可塑性ポリエステルシートとセパレータとを重ね合わせて巻くことによりロールを形成する。ここで用いられるセパレータは、不活性ガスや必要に応じて用いられる有機溶剤が自由に出入りする空隙を有し、かつそれ自身への不活性ガスの浸透が無視できるものであればいかなるものでもよい。セパレータとしては、特に樹脂製不織布または金属製の網が好適である。樹脂製不織布としては、ポリオレフィン系樹脂またはナイロン系樹脂からなるものが好適である。また、ポリエステル系樹脂からなる不織布でも、繊維が延伸されており不活性ガスが浸透しにくくなっているものであれば、好適に使用できる。金属製の網としては、一般的にワイヤークロスと呼ばれ、平織、綾織、平畳織、綾畳織などの織り方で縦線と横線とが直角方向に編まれているものが好ましい。材質は鉄、銅、アルミ、チタンまたはこれらの合金などが適用可能であるが、価格、寿命を考慮するとステンレス鋼がより好適である。一方、熱可塑性ポリエステルシートは無延伸であることが好ましい。これは、熱可塑性ポリエステルシートが延伸されていると、ガスが十分にシート内に浸透しないため、目的とする発泡シートが得られなくなるためである。
【0024】
シートに有機溶剤を含有させると、熱可塑性ポリエステルシートの結晶化度を30%以上にすることができる。この結果、シートの剛性が増大してシート表面にセパレータの跡が残存しにくくなるとともに、不活性ガスの浸透時間を短縮できる。なお、セパレータの種類によってはシート表面にセパレータの跡が残存しないこともあるので、有機溶剤を含有させる処理は必ずしも必要なわけではない。ただし、ガス浸透時間の短縮の観点からは有機溶剤を含有させる処理を実施することが好ましい。
【0025】
樹脂シートの結晶化度を上げるために用いられる有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトン、酢酸、ジオキサン、m−クレゾール、アニリン、アクリロニトリル、フタル酸ジメチル、ニトロエタン、ニトロメタン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、取り扱い性および経済性の観点からアセトンがより好ましい。
【0026】
ロールに有機溶剤を含有させる方法としては、有機溶剤中にロールを浸漬する方法、またはロールを有機溶剤の蒸気中に保持する方法が用いられる。後者の方法は、前者の方法と比較して有機溶剤の使用量が少量でよく、しかも熱可塑性ポリエステルシートに添加された添加剤の溶出がほとんどないという点で優れている。
【0027】
ロールを有機溶剤に浸漬する方法では、処理時間は室温で数時間から十数時間であれば十分であり、それ以上長時間にわたって処理しても樹脂中の有機溶剤の含有量はそれほど増加しない。ロールを有機溶剤の蒸気中に保持して有機溶剤を含有させるときの処理時間は、発泡させる樹脂の種類、シートの厚さによっても異なる。例えば、室温、大気圧においてアセトン蒸気で飽和している密閉容器にポリエチレンテレフタレートからなるロールを入れてアセトンを浸透させる場合、シートの厚さが0.6mmであれば処理時間は24時間以上、0.9mmであれば48時間以上であれば十分である。このような処理により、樹脂中のアセトンの含有量は4〜5重量%となる。
【0028】
なお、予めロールに有機溶剤を含有させてシートの結晶化度を高めた場合には、不活性ガスを多量に含有させることにより結晶化度を高める必要がなくなるので、不活性ガスの浸透時間を短くすることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレートシートに二酸化炭素を60kg/cmで浸透させる場合、シートの厚さが0.6mmならば浸透時間は1時間以上、0.9mmならば2時間以上で十分である。
【0029】
また、ロール状のシートを有機溶剤に浸漬した場合には、次の工程の前に、シートを別に用意したセパレータとともに巻き直して新たにロールを作製してもよい。
【0030】
(2)次に、以上のようにして形成されたロールを高圧力容器内に入れ加圧不活性ガス雰囲気中に保持して熱可塑性ポリエステルシートに発泡剤となる不活性ガスを含有させる。不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどが挙げられる。これらのうち、二酸化炭素は熱可塑性ポリエステル中に多量に含有させることができる点で好ましい。不活性ガスの浸透圧力は30〜70kg/cm、さらに50kg/cm以上とすることが好ましい。不活性ガスの浸透時間は1時間以上とし、より好ましくは飽和状態になるまでガスを浸透させる。飽和状態になるまでのガス浸透時間およびガス浸透量は、発泡させる樹脂の種類、不活性ガスの種類、浸透圧力およびシートの厚さによって異なる。例えば、ポリエチレンテレフタレートシートに二酸化炭素を60kg/cmで浸透させる場合、シートの厚さが0.6mmならば浸透時間は24時間以上、0.9mmならば96時間以上とすることが好ましい。このような条件では、樹脂中の二酸化炭素の含有量は6〜7重量%となる。
【0031】
(3)さらに、高圧力容器からロールを取り出し、セパレータを取り除きながら、不活性ガスを含有する熱可塑性ポリエステルシートだけを加熱することにより発泡させる。この際、高圧力容器から取り出した後、発泡させるまでの時間を調整することにより、得られる発泡体の比重を調整できる。
【0032】
具体的には、この時間が長いほど比重の大きな発泡体が得られる。発泡時の加熱温度は、その樹脂のガラス転移点以上融点以下に設定される。加熱手段としては、熱風循環式発泡炉、オイルバス、溶融塩バスなどが挙げられるが、取り扱い性の観点から熱風循環式発泡炉を用いることが好ましい。熱風循環式発泡炉における発泡条件は、例えば発泡温度を240℃程度とし、発泡時間が1〜5分となるような線速度に設定する。その後、炉から出た発泡シートを150℃以上に温度調整した熱成形ロールに巻き取り、これを冷却することにより熱可塑性ポリエステル発泡体からなる所望の光反射シートを得る。
【0033】
また、上記熱可塑性樹脂発泡体または多孔体のフィルムまたはシートの他の好ましい例として、フィラーを含有する熱可塑性樹脂のフィルムまたはシートであって、フィラーを核として多数のボイドが形成されている多孔性フィルムまたはシートが挙げられる。この場合、上記フィラーを含有する熱可塑性樹脂のフィルムまたはシートは、フィラーを含有する未延伸フィルムまたはシートを成形し、この未廷伸フィルムまたはシートを延伸することにより、フィラーを核として多数のボイドを形成した多孔性延伸フィルムまたはシートであることが好ましい。
【0034】
本発明の栽培用光反射シートの厚さは、100μm以上、特に100〜3000μmであることが好ましい。柔軟性、拡散反射率を高める点においては、200〜2000μmであることがより好ましい。厚さが2000μmを超えると柔軟性が低下することがあり、200μmより薄いと拡散反射率が低下することがある。
【0035】
また、本発明の栽培用光反射シートの比重は、0.7以下、特に0.05〜0.7であることが好ましい。比重が0.05未満であると発泡体製造時に表面平滑性や表面外観が損なわれることがあり、0.7を超えると発泡していない樹脂部分における光吸収や光反射シートの透明化による光透過などにより光損失が大きくなるため拡散反射率が低下することがある。
【0036】
本発明の栽培用光反射シートは、高反射率を持つことが特徴であるが、さらに薄肉化することで、用途によっては必要な透過光を増やし、所望の反射率に調整することもできる。この場合でも、未発泡の樹脂シートに比べ、反射率が高いため、より薄肉化することができ、材料を使用する量を減らすことができ、環境負荷を下げることができる、さらには、本発明の栽培用光反射シートは、排水性を付与するために孔を設けたり、畑の畝の形状に合わせて、折り曲げ加工したりするなどの二次加工を行うこともできる。
【0037】
本発明の栽培用光反射シートは、例えばマルチング用シートとして使用することができるが、これに限定されるものではなく、植物の栽培のために植物に対して光を反射させる用途であればどのような用途でも使用することができる。
【0038】
本発明の栽培用光反射シートを使用し得る栽培対象植物としては、特に限定はないが、ウリ科、ナス科、マメ科、バラ科、アブラナ科、キク科、セリ科、アカザ科、イネ科、アオイ科、ウコギ科、シソ科、ショウガ科、スイレン科、サトイモ科の野菜、キク科、バラ科、サトイモ科、ナデシコ科、アブラナ科、イソマツ科、リンドウ科、ボマノハグサ科、マメ科、ボタン科、アヤメ科、ナス科、ヒガンバナ科、ラン科、リュウゼツラン科、ミズキ科、アカネ科、ヤナギ科、ツツジ科、モクセイ科、モクレン科、サクラソウ科、シュウカイドウ科、シソ科、フウロソウ科、ベンケイソウ科、キンポウゲ科、イワタバコ科、サボテン科、シダ類、ウコギ科、クワ科、ツユクサ科、パイナップル科、クズウコン科、トウダイクサ科、コショウ科、タカトウダイ科、ユキノシタ科、アカバナ科、アオイ科、フトモモ科、ツバキ科、オシロイバナ科の切り花類、あるいは鉢物類の花卉、バラ科、ブドウ科、クワ科、カキノキ科、ツツジ科、アケビ科、マタタビ科、トケイソウ科、ミカン科、ウルシ科、パイナップル科、フトモモ科の果樹、藻類などが挙げられる。
【0039】
さらに詳しく例示するならば、キュウリ、メロン、カボチャ、ニガウリ、ズッキーニ、スイカ、シロウリ、トウガン、ヘチマ、キンシウリ、トマト、ピーマン、トウガラシ、ナス、ペピーノ、シシトウ、エンドウ、インゲンマメ、ササゲ、エダマメ、ソラマメ、シカクマメ、サヤエンンドウ、サヤインゲン、フジマメ、イチゴ、トウモロコシ、オクラ、ブロッコリー、カイワレダイコン、クレソン、コマツナ、ツケナ、レタス、フキ、シュンギク、食用ギク、セルリー、パセリー、ミツバ、セリ、ネギ、ワケギ、ニラ、アスパラガス、ホレンソウ、オカヒジキ、ウド、シソ、ショウガ、ダイコン、カブ、ワサビ、ラディシュ、ルタバカ、コカブ、ニンニク、ラッキョウ、レンコン、サトイモ等の野菜、アスター、ローダンセ、アザミ、ナデシコ、ストック、ハナナ、スターチス、トルコキキョウ、キンギョソウ、スィートピー、ハナショウブ、キク、リアトリス、ガーベラ、マーガレット、ミヤコワスレ、シャスターデージー、カーネーション、シュツコンカスミソウ、リンドウ、シャクヤク、ホウズキ、リオン、ダリア、カラー、グラジオラス、アイリス、フリージア、チューリップ、スイセン、アマリリス、シンビジューム、ドラセナ、バラ、ボケ、サクラ、モモ、ウメ、コデマリ、キイチゴ、ナナカマド、ミズキ、サンシュ、サンダンカ、ブルバディア、ヤナギ、ツツジ類、レンギョウ、モクレン、シラネリア、ディモルホセカ、プリムラ、ペチュニア、ベゴニア、リンドウ、コリウス、ゼラニュウム、ペラルゴニューム、ロケヤ、アンスリューム、クレマチス、スズラン、セントポーリア、シクラメン、ラナンキュラス、グロキシニア、デンドロビューム、カトレア、ファレノプシス、バンダ、エビデンドラム、オンシジウム、シャコバサボテン、カニバサボテン、クジャクサボテン、カランコエ、ネフロレピス、アジアンタム、タニワタリ、ポトス、ディフェンバキヤ、スパティフラム、シンゴニューム、オリヅルラン、シエフレラ、ヘデラ、ゴムノキ、ドラセナ、コルジリネ、ブライダルベール、アナナス類、カラテヤ、クロトン、ペペロミヤ、ポインセチア、ハイドランジア、フクシア、ハイビスカス、ガーデニア、ギョリュウバイ、ツバキ、ブーゲンビレア、ボタン等の花卉、ニホンナシ、モモ、オウトウ、スモモ、リンゴ、プルーン、ネクタリン、アンズ、ラズベリー、ウメ、ブドウ、イチジク、カキ、ブルーベリー、アケビ、キウィフルーツ、パッションフルーツ、ビワ、ウンシュウミカン、マーコレット、レモン、ユズ、仏手柑、ハッサク、ブンタン、花ユズ、キンカン、セミノール、イヨカン、ネーブルオレンジ、アンコール、ノバ、日向夏、ライム、スダチ、カボス、晩白柚、タンカン、マンゴー、パインアップル、グアバ等の果樹、あるいは藻類などである。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでない。
【0041】
(実施例1〜5)
厚さの異なるポリエチレンテレフタレート(PET)シート(C−0312グレード、ユニチカ(株)製)と、セパレータとしてオレフィン系不織布(FT300グレード、日本バイリーン(株)製)とを用意した。PETシートとオレフィン系不織布とを重ねて、PETシートの表面同士が接触する部分がないように巻いてロールを作製した。このロールを容器に入れ、室温、大気圧においてアセトン蒸気中に48時間保持した後、ロールを容器から取り出した。このロールを高圧力容器に入れ、60kg/cmの炭酸ガスを2時間浸透させた。次に、高圧力容器からロールを取り出し、オレフィン系不織布のセパレータを取り除きながらPETシートだけを240℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分になるように連続的に供給して発泡させることにより、表1に示す厚さ、比重、平均気泡径を有する発泡PETシートを作製した。このとき、ロールを高圧力容器から取り出してから発泡させるまでの時間を調整することにより、発泡PETシートの比重を調整した。
【0042】
(比較例1〜3)
実施例1〜5と同様な方法により、厚さ、比重、平均気泡径の異なる発泡PETシートを作製した。
【0043】
得られた実施例および比較例の発泡PETシートについて、比重、平均気泡径および拡散反射率を測定した。また、トマト畑で野菜の根元に発泡PETシートを敷き、トマトの生育状態を観察した。これらの結果を表1に示す。具体的な測定方法および評価方法は以下の通りである。
(比重)
比重は、水中置換法により測定した。
(平均気泡径)
平均気泡径は、シートの断面のSEM写真を撮影し、一定断面積内に含まれる気泡の径を測定して平均化することにより求めた。
(拡散反射率)
拡散反射率は、自記分光光度計(UV−3101C:島津製作所製)により400〜1200nmの波長域で測定した。なお、表1においては、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%として、各々の光反射シートの拡散反射率を相対値で示している。
(生育状態)
生育状態の良・不良は下記の基準で判断した。
良好・・・枝葉、幹、根の伸長が順調である状態を良好であるとする。
不良・・・枝葉、幹、根の伸長が順調でない状態を不良であるとする。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示されるように、実施例1〜5では、発泡シートの厚さは180μm〜1700μm、比重は0.1〜0.67、平均気泡径は8〜15μmの範囲内にあり、拡散反射率は400〜1200nmの範囲の波長でいずれも85%を超えていることがわかる。また、実施例1〜5の発泡シートを栽培用光反射シートとして用いると、トマトの生育状態が良いことがわかる。また、翌年度の生産においても樹勢などに問題がないことがわかった。このように、実施例1〜5の発泡シートは、栽培用光反射シートとして好適に使用できることが確認された。
【0046】
一方、比較例1では、主に発泡シートの厚さが薄いために、拡散反射率が85%未満となり、同様に比較例2では、さらに比重が大きすぎるために、拡散反射率がより低下していることがわかる。また、比較例3では、平均気泡径が大きいために、拡散反射率が低下していることがわかる。比較例1〜3の場合、このように拡散反射率が低くなるため、実施例に比べて、トマトの生育状態が劣ることがわかる。比較例1〜3は発泡体に関する例であるが、もちろん、未発泡の樹脂シートのみでは、さらに拡散反射率が低く、トマトの生育状態が劣ることは言うまでもない。
【0047】
以上の実施例と比較例からわかるように、本発明における栽培用光反射シートは、50μm以下の微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂からなり、その発泡シートの厚さが100μm以上、比重は0.7以下を満たしているために、拡散反射率が85%以上の優れた光反射特性を持ち、栽培用光反射シートとして好適に用いることができる。したがって、本発明によれば、薄肉で、高い拡散反射率を有するため、使用する樹脂の量を減らすことができ、環境負荷の低い栽培用光反射シートを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の栽培のために光を反射する栽培用光反射シートであって、内部に微細な気泡または気孔を有する熱可塑性樹脂発泡体または多孔体からなり、厚さが100μm以上、比重が0.7以下であることを特徴とする栽培用光反射シート。
【請求項2】
前記気泡または気孔の平均気泡径または平均気孔径は、光の波長以上で50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の栽培用光反射シート。
【請求項3】
光の拡散反射率が85%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の栽培用光反射シート。