説明

棚受け用ダボ

【課題】家具などの収納空間の側壁に設けられた下孔に打ち込んで固定するダボ支持体1に対し、棚受けとなるダボ本体2を回転操作により出退移動させることができるようにする。
【解決手段】ダボ本体2は、その外周面に雄ねじ用突起20aを備えると共に前端に回転操作部7を備え、ダボ支持体1内には、前記ダボ本体2の雄ねじ用突起20aが嵌合する雌ねじ溝21aが設けられ、ダボ本体2を正逆回転操作することにより、ダボ本体2が、ダボ支持体1の前端から突出する棚受け位置とダボ支持体1に収納される退入位置との間で出退移動するように構成された棚受け用ダボにおいて、ダボ支持体1が、軸心方向の前側筒状部材8と後側筒状部材9とに2分割され、この前後両筒状部材8,9が互いに固定されることにより、当該前後両筒状部材8,9の軸心方向に対面する周方向の端面間で前記雌ねじ溝21aが形成された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具などの収納空間の側壁に設けられた下孔に打ち込んで固定する棚受け用ダボに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の棚受け用ダボとして、従来のように収納空間の側壁に設けられた下孔に打ち込まれる打ち込み部分と当該側壁から突出する棚受け部分とが一体に構成されたものではなく、前記棚受け部分を前記打ち込み部分に対して出退移動自在に構成することが、例えば非特許文献1によって提案されている。
【非特許文献1】特願2003−067474 この非特許文献1に開示された棚受け用ダボは、外周面に抜け止め用段部が形成されたダボ支持体と、このダボ支持体に組み込まれたダボ本体とから成り、ダボ本体は、その外周面に雄ねじ用突起を備えると共に前端に回転操作部を備え、ダボ支持体内には、前記ダボ本体の雄ねじ用突起が嵌合する雌ねじ溝が設けられ、ダボ本体を正逆回転操作することにより、ダボ本体が、ダボ支持体の前端から突出する棚受け位置とダボ支持体に収納される退入位置との間で出退移動するように構成されたものであるが、具体的には、ダボ支持体の内周面に雌ねじ溝を形成するために、当該ダボ支持体を軸心に沿って直径方向に二つ割りに構成するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような非特許文献1に開示された棚受け用ダボの具体構成では、ダボ支持体を構成する2つの部材それぞれの内周面に螺旋状の雌ねじ溝を形成する関係から、当該雌ねじ溝の断面形状に制約が生じ、断面矩形の深い雌ねじ溝を形成することが実質的に困難であり、ダボ本体の出退移動を強力且つ円滑に行わせることができるねじ機構を構成することが非常に難しいものであった。また、二つ割り構造のダボ支持体を構成する2つの部材間で雌ねじ溝をその長さ方向に接続させることになるので、この接続箇所に僅かな段差が生じても、ダボ本体側の雄ねじ用突起の移動が円滑に行われなくなる。換言すれば、ダボ本体を回転操作により出退移動させるときの動作が円滑に行われなくなる恐れもあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得る棚受け用ダボを提供することを目的とするものであって、その手段を後述する実施形態の参照符号を付して示すと、埋め込み用ダボ支持体1と、このダボ支持体1に組み込まれたダボ本体2とから成り、ダボ本体2は、その外周面に雄ねじ用突起20aを備えると共に前端に回転操作部7を備え、ダボ支持体1内には、前記ダボ本体2の雄ねじ用突起20aが嵌合する雌ねじ溝21aが設けられ、ダボ本体2を正逆回転操作することにより、ダボ本体2が、ダボ支持体1の前端から突出する棚受け位置とダボ支持体1に収納される退入位置との間で出退移動するように構成された棚受け用ダボにおいて、ダボ支持体1が、軸心方向の前側筒状部材8と後側筒状部材9とに2分割され、この前後両筒状部材8,9が互いに固定されることにより、当該前後両筒状部材8,9の軸心方向に対面する周方向の端面間で前記雌ねじ溝21aが形成された構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、具体的には請求項2に記載のように、ダボ支持体1の前側筒状部材8は、ダボ本体1を出退移動自在に支持する内径の前端側肉厚部分10とこれより内径が大きな後端側薄肉部分11とから構成すると共に、この両者間の段差部で前記雌ねじ溝21aのダボ支持体前端側の側面12aを形成し、ダボ支持体1の後側筒状部材9は、前記前側筒状部材8の前端側肉厚部分10と同一内径で前記後端側薄肉部分11に内嵌固定される円弧状壁部15と、前記前側筒状部材8の後端側開口を閉じる底板部16とから構成すると共に、前記円弧状壁部15の先端面で前記雌ねじ溝21aのダボ支持体後端側の側面17aを形成させることができる。
【0006】
また、ダボ支持体1の前側筒状部材8と後側筒状部材9との固定方法は、接着など如何なる手段であっても良いが、例えば請求項3に記載のように、前記前側筒状部材8の後端側薄肉部分11に被係止孔13を設けると共に、前記後側筒状部材9の円弧状壁部15の外周面に、前記被係止孔13に嵌合して抜け止めとなる係止用突起部18を突設し、前側筒状部材8に後側筒状部材9を内嵌させたときに前記係止用突起部18が前記被係止孔13に係合して、両者が抜け止め状態で結合されるように構成することができる。
【0007】
また、前側筒状部材8に後側筒状部材9を内嵌させたときに両者間で雌ねじ溝21aを形成するものであるから、後側筒状部材9は前側筒状部材8に対し周方向に関して一定の位相で内嵌させる必要があり、両者の周方向位相がずれると両者間で正常に雌ねじ溝21aを形成することができなくなるので、請求項4に記載のように、前記前側筒状部材8の後端側薄肉部分11の後端内周面には、後方に開放された回り止め用凹部14を形成すると共に、前記後側筒状部材9の底板部16の外周面には、前記回り止め用凹部14に嵌合する回り止め用突起部19を設けて、回り止め用凹部14に対する回り止め用突起部19の嵌合により、前側筒状部材8に後側筒状部材9を一定の周方向位相でのみ内嵌させることができるように構成するのが望ましい。
【0008】
更に、請求項5に記載のように、前記雌ねじ溝21a,21bは、それぞれがほぼ180度の範囲で連続し且つ軸心に対し対称に位置する2つの領域に分けて構成し、ダボ本体2には、前記2つの雌ねじ溝21a,21bのそれぞれに嵌合する2つの雄ねじ用突起20a,20bを軸心に対し対称に突設させることができる。
【0009】
また、請求項6に記載のように、前記雌ねじ溝21aには、ダボ本体2が前記棚受け位置から後退移動するときの前記雄ねじ用突起20aの後退移動に抵抗を与える狭幅部22aを形成したり、請求項7に記載のように、前記雌ねじ溝21aには、ダボ本体2が前記退入位置から前進移動するときの前記雄ねじ用突起20aの前進移動に抵抗を与える狭幅部23aを形成することができる。
【0010】
更に、請求項8に記載のように、前記ダボ本体2は、前記棚受け位置にあるときにダボ支持体1から突出する領域を細く形成し、この細くなった先端部2bに筒状弾性材25を外嵌装着することができる。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の本発明に係る棚受け用ダボによれば、ダボ本体を回転操作することで当該ダボ本体をダボ支持体に対して収納された退入位置と進出した棚受け位置との間で出退移動させることができるのであるが、本発明の構成によれば、ダボ本体側の雄ねじ用突起が嵌合する雌ねじ溝を、ダボ本体の出退移動軸心の方向に2分割された前側筒状部材と後側筒状部材との間で形成させるものであるから、当該雌ねじ溝を深さの十分にある矩形断面形状に構成することが極めて容易である。また、ダボ本体側の雄ねじ用突起が嵌合する周方向螺旋状の雌ねじ溝の途中に当該雌ねじ溝をその長さ方向に接続する継ぎ目が生じない。従って、ダボ本体の出退移動を強力且つ円滑に行わせることができるねじ機構を容易に構成することができる。
【0012】
尚、請求項2に記載の構成によれば、ダボ支持体の前側筒状部材内にダボ本体を後側から挿入した後、当該前側筒状部材の後端側開口を閉じるように後側筒状部材を前側筒状部材の後側から内嵌させた状態で、前後両筒状部材を接着など適当な方法で固定して一体化することにより組み立てることができ、前後両筒状部材を同心状に一体化することが容易であると共に、ダボ外周面全体が前側筒状部材で構成されることになるので、十分な強度を有するダボを容易に構成できる。
【0013】
上記の請求項2に記載の構成を採用する場合、請求項3に記載の構成によれば、前側筒状部材内に後側筒状部材を内嵌させるだけで両者が抜け止め状態で結合されるので、接着や他の止め具を併用しなければならない場合と比較して、ダボの組み立てが極めて容易に行え、大幅なコストダウンを図ることができる。また、請求項4に記載の構成によれば、前側筒状部材に後側筒状部材を一定の周方向位相でのみ内嵌させることができるので、所期通りの精度を有する雌ねじ溝を備えたダボの組み立てが極めて容易に行える。
【0014】
更に、請求項5に記載の構成によれば、回転操作によりダボ本体を軸方向に円滑に出退移動させることができるダボを構成することができる。また、請求項6に記載の構成によれば、ダボ本体が棚受け位置から振動などで不測に後退移動することのないダボを構成することができ、請求項7に記載の構成によれば、ダボ本体が退入位置から振動などで不測に前進移動してダボ支持体から突出することのないダボを構成することができる。
【0015】
また、請求項8に記載の構成によれば、筒状弾性材が外嵌装着されたダボ本体を備えた、例えばガラス製棚板を支持するのに好適なダボを、ダボ本体の取り替えだけで構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1及び図2において、1は埋め込み用ダボ支持体、2はダボ支持体1に出退移動自在に内嵌されたダボ本体である。埋め込み用ダボ支持体1は、外周面に、軸心方向の断面形状が鋸刃状の抜け止め用突条部3と、周方向複数箇所で前記抜け止め用突条部3を軸心方向に切り欠いて形成した回り止め用凹溝部4とを備えたもので、図2に仮想線で示すように、棚板を架設する収納空間の側壁板5に設けられた、前記抜け止め用突条部3の最小径とほぼ同一内径の下孔に打ち込んで埋設されるものである。ダボ本体2は、その前端面2aにねじ回しなどの回転操作用工具の差し込み溝6から成る回転操作部7を備えたもので、図1Aに示すように、その前端面2aがダボ支持体1の前端面1aとほぼ面一になる退入位置と、図1Bに示すように、その前端面2aがダボ支持体1の前端面1aから所要量だけ突出する棚受け位置との間で出退移動することができる。
【0017】
ダボ支持体1は、図3に示すように、前側筒状部材8と後側筒状部材9との2部品から構成されている。前側筒状部材8は、図3、図4、及び図6に示すように、前記抜け止め用突条部3と回り止め用凹溝部4とを外周面に備えたもので、ダボ本体2を出退移動自在に支持する内径の前端側肉厚部分10と、これより内径が大きな後端側薄肉部分11とから構成されている。前端側肉厚部分10と後端側薄肉部分11との間の段差部は、互いに軸心に対して対称に位置する周方向2つの、それぞれほぼ180度の範囲で螺旋状に傾斜するねじ溝前側面12a,12bを形成している。また、後端側薄肉部分11には、図3及び図6Bに示すように、直径方向の2箇所において半径方向に貫通する矩形の被係止孔13が設けられると共に、その後端開口部の内周には、図4及び図6Bに示すように、後方に開放された回り止め用凹部14が直径方向の2箇所において設けられている。
【0018】
後側筒状部材9は、図3、図6、及び図7に示すように、前側筒状部材8の前端側肉厚部分10の内径と同一内径で且つ前側筒状部材8の後端側薄肉部分11に丁度内嵌させ得る外径の円弧状壁部15と、前記前側筒状部材8の後端開口部(後端側薄肉部分11の後端開口部)を閉じる底板部16とから構成されたもので、円弧状壁部15の先端面が、前側筒状部材8の内側の周方向2つのねじ溝前側面12a,12bと一定空間を隔てて対向する、それぞれほぼ180度の範囲で螺旋状に傾斜する周方向2つのねじ溝後側面17a,17bを形成している。また、この後側筒状部材9には、そのねじ溝後側面17a,17bが前記ねじ溝前側面12a,12bと一定空間を隔てて対向する位置まで当該後側筒状部材9を前側筒状部材8にその後端開口部から挿入したとき、前記被係止孔13に嵌合して抜け止めとなる、軸心方向断面が鋸刃状の係止用突起部18と、前記回り止め用凹部14に嵌合する直径方向2つの回り止め用突起部19とが、それぞれ直径方向2箇所に設けられている。
【0019】
ダボ本体2は、図3、図5、及び図6に示すように、その前端面2a側が底部となる有底円筒状のもので、外周面の後端近傍位置の直径方向2箇所には、雄ねじ用突起20a,20bが軸心に対して対称に突設されている。
【0020】
上記構成において、ダボ本体2をその前端面2a側からダボ支持体1の前側筒状部材8内に、その後端開口部側から挿入し、当該ダボ本体2の直径方向2つの雄ねじ用突起20a,20bを前側筒状部材8の内側のねじ溝前側面12a,12bそれぞれに当接させた状態で、ダボ支持体1の後側筒状部材9を前側筒状部材8にその後端開口部から挿入し、被係止孔13に係止用突起部18を嵌合させると共に回り止め用凹部14に回り止め用突起部19を嵌合させることにより、ダボ支持体1を組み立てると同時に当該ダボ支持体1内にダボ本体2を組み込むことができる。組み立てられたダボ支持体1は、後側筒状部材9の後端面(底板部16の外側面)と前側筒状部材8の後端環状面(後端側薄肉部分11の後端環状面)とが面一になり、前側筒状部材8の内側のねじ溝前側面12a,12bと後側筒状部材9の先端のねじ溝後側面17a,17bとの間で、ダボ本体2の外側の雄ねじ用突起20a,20bが嵌合する直径方向2つの雌ねじ溝21a,21bが、軸心に対し対称形に形成される。尚、ダボ本体2の外側の雄ねじ用突起20a,20bは、円柱状ピンのようなものであっても良いが、図示の実施形態では、上記のようにして形成される直径方向2つの雌ねじ溝21a,21bに沿って螺旋状に延びる適当長さの突条から構成されている。
【0021】
上記のように組み立てられた棚受け用ダボは、図2Bに仮想線で示すように、側壁板5に設けられた下孔にダボ支持体1を打ち込んで埋設するときなど、ダボ支持体1から突出する棚受け位置にあるダボ本体2が邪魔になるようなときは、ダボ本体2を、その回転操作部7とねじ回しなどの工具を利用してねじ込み方向に回転操作することにより、ダボ支持体1側の雌ねじ溝21a,21bとこれに嵌合するダボ本体2側の雄ねじ用突起20a,20bとの間のねじ送り作用により、回転するダボ本体2をダボ支持体1内に軸心方向に退入移動させることができる。このダボ本体2の退入移動により、雌ねじ溝21a,21bの後端に雄ねじ用突起20a,20bが達して、またはダボ本体2の後端面がダボ支持体1の後端内側面(後側筒状部材9の底板部16の内側面)に当接して、ダボ本体2の退入移動が制止されたとき、図1Aに示すように、当該ダボ本体2の前端面2aがダボ支持体1の前端環状面(前側筒状部材8の前端環状面)と面一になる退入位置に達しているように構成されている。
【0022】
側壁板5に設けられた下孔に打ち込まれたダボ支持体1は、下孔内周面に対する抜け止め用突条部3の食い込みにより抜け止め状態に固定されると共に、回り止め用凹溝部4に対する下孔内周面の食い込みにより回転不能に固定される。而して、係る状態のダボ支持体1に対してダボ本体2を図1Bに示す棚受け位置まで突出させ、ダボ本体2のダボ支持体1から突出する部分を棚受けとして使用するときは、ダボ本体2を、その回転操作部7とねじ回しなどの工具を利用してねじ戻し方向に逆回転操作することにより、ダボ支持体1側の雌ねじ溝21a,21bとこれに嵌合するダボ本体2側の雄ねじ用突起20a,20bとの間のねじ戻し作用により、逆回転するダボ本体2をダボ支持体1から軸心方向に突出移動させることができる。このダボ本体2の突出移動により、雌ねじ溝21a,21bの前端に雄ねじ用突起20a,20bが達して、ダボ本体2の突出移動が制止されたとき、図1B及び図6Aに示すように、当該ダボ本体2の前端面2aがダボ支持体1から所定量だけ突出する棚受け位置に達しているように構成されている。
【0023】
即ち、図6Cに示すように、それぞれほぼ180度の範囲にわたって延びる雌ねじ溝21a,21bは、これら各雌ねじ溝21a,21bの前後両端部間の軸心方向距離Lがダボ本体2の棚受け位置と退入位置との間の出退移動距離と等しくなるように構成されているのである。更に、図6Cに示すように、各雌ねじ溝21a,21bの前端部には、ダボ本体2が棚受け位置から後退移動するときの雄ねじ用突起20a,20bの後退移動に抵抗を与える狭幅部22a,22bを設けると共に、各雌ねじ溝21a,21bの後端部には、ダボ本体2が退入位置から前進移動するときの雄ねじ用突起20a,20bの前進移動に抵抗を与える狭幅部23a,23bを設けることができる。これら狭幅部22a〜23bは、雌ねじ溝21a,21bを形成するねじ溝前側面12a,12bとねじ溝後側面17a,17bとの内、少なくとも何れか一方から雌ねじ溝21a,21b内に突出する突起部24を設けて構成することができるが、図示の実施形態では、ねじ溝後側面17a,17bのみから雌ねじ溝21a,21b内に突出する突起部24を設けて狭幅部22a〜23bを構成している。
【0024】
上記のような狭幅部22a〜23bが設けられている場合、ダボ本体2を回転させて退入位置または棚受け位置に切り換えるとき、当該ダボ本体2が退入位置または棚受け位置に達する直前に雄ねじ用突起20a,20bが狭幅部22a〜23bを通過するときの抵抗による抵抗感を操作者に与えることができ、この抵抗感を感じた後、少し力を入れるようにダボ本体2を更に回転させることにより、ダボ本体2を確実に退入位置または棚受け位置まで到達させることができる。そして退入位置または棚受け位置に達したダボ本体2は、狭幅部22a〜23bを乗り越えた位置にあるので、多少の振動を受けても自然に反対の位置方向に回転しながら移動することはなくなる。従って、退入位置または棚受け位置にあるダボ本体2を反対の位置方向に回転移動させるときは、雄ねじ用突起20a,20bが狭幅部22a〜23bを通過するときの抵抗に打ち勝つだけの回転操作力をダボ本体2に与えれば良い。
【0025】
尚、ダボ支持体1を構成する前側筒状部材8と後側筒状部材9とは、内端部どうしが互いに軸心方向に嵌合して両者が同心状に接続されるように構成しても良い。また、上記実施形態では、ダボ支持体1の全長と等しい長さの前側筒状部材8の内側に後側筒状部材9が内嵌するように構成したが、前側筒状部材8をダボ支持体1の全長より少し短くし、この前側筒状部材8に内嵌した後側筒状部材9の後端フランジ部が前側筒状部材8の後端外側に当接するように構成しても良い。勿論、この逆に、後側筒状部材9の内側に前側筒状部材8が内嵌するように構成することもできる。また、後側筒状部材9の底板部16は、必須のものではなく、省くこともできる。
【0026】
図8に示す変形例では、ダボ本体2の、棚受け位置にあるときにダボ支持体1から突出する領域を細くし、この細くなった先端部2bにゴムなどから成る筒状弾性材25を外嵌装着している。このような構成によれば、ガラス製の棚板の支持に好適な棚受けダボを、筒状弾性材25を備えたダボ本体2に交換するだけで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】A図はダボ本体が退入位置にある状態での全体の斜視図、B図はダボ本体が棚受け位置にある状態での全体の斜視図である。
【図2】A図は全体の正面図、B図はダボ本体が棚受け位置にある状態での全体の側面図である。
【図3】棚受けダボを分解した状態の側面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【図5】A図は図3のB−B矢視図、B図はA図のC−C線断面図である。
【図6】A図はダボ本体が棚受け位置にある状態での全体の縦断側面図、B図は図3の一部横断平面図、C図はねじ機構を説明する展開説明図である。
【図7】A図はダボ支持体を構成する後側筒状部材の正面図、B図はA図のD−D線断面図、C図はA図のE−E線断面図である。
【図8】A図は変形例を示す全体の斜視図、B図は同縦断側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 埋め込み用ダボ支持体
2 ダボ本体
3 抜け止め用突条部
4 回り止め用凹溝部
6 回転操作用工具の差し込み溝
7 回転操作部
8 前側筒状部材
9 後側筒状部材
10 前端側肉厚部分
11 後端側薄肉部分
12a,12b ねじ溝前側面
13 被係止孔
14 回り止め用凹部
15 円弧状壁部
16 底板部
17a,17b ねじ溝後側面
18 係止用突起部
19 回り止め用突起部
20a,20b 雄ねじ用突起
21a,21b 雌ねじ溝
22a〜23b 雌ねじ溝の狭幅部
24 突起部
25 筒状弾性材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み用ダボ支持体と、このダボ支持体に組み込まれたダボ本体とから成り、ダボ本体は、その外周面に雄ねじ用突起を備えると共に前端に回転操作部を備え、ダボ支持体内には、前記ダボ本体の雄ねじ用突起が嵌合する雌ねじ溝が設けられ、ダボ本体を正逆回転操作することにより、ダボ本体が、ダボ支持体の前端から突出する棚受け位置とダボ支持体に収納される退入位置との間で出退移動するように構成された棚受け用ダボにおいて、ダボ支持体が、軸心方向の前側筒状部材と後側筒状部材とに2分割され、この前後両筒状部材が互いに固定されることにより、当該前後両筒状部材の軸心方向に対面する周方向の端面間で前記雌ねじ溝が形成されている、棚受け用ダボ。
【請求項2】
ダボ支持体の前側筒状部材は、ダボ本体を出退移動自在に支持する内径の前端側肉厚部分とこれより内径が大きな後端側薄肉部分とを有するもので、この両者間の段差部で前記雌ねじ溝のダボ支持体前端側の側面が形成され、ダボ支持体の後側筒状部材は、前記前側筒状部材の前端側肉厚部分と同一内径で前記後端側薄肉部分に内嵌固定される円弧状壁部分と、前記前側筒状部材の後端側開口を閉じる底板部とから成るもので、前記円弧状壁部分の前端面で前記雌ねじ溝のダボ支持体後端側の側面が形成されている、請求項1に記載の棚受け用ダボ。
【請求項3】
前記前側筒状部材の後端側薄肉部分には被係止孔が設けられ、前記後側筒状部材の円弧状壁部分の外周面には、前記被係止孔に嵌合して抜け止めとなる係止用突起部が突設されている、請求項2に記載の棚受け用ダボ。
【請求項4】
前記前側筒状部材の後端側薄肉部分の後端内周面には、後方に開放された回り止め用凹部が形成され、前記後側筒状部材の底板部の外周面には、前記回り止め用凹部に嵌合する回り止め用突起部が設けられている、請求項2または3の何れかに記載の棚受け用ダボ。
【請求項5】
前記雌ねじ溝は、それぞれがほぼ180度の範囲で連続し且つ軸心に対し対称に位置する2つの領域に分けられ、ダボ本体には、前記雌ねじ溝の2つの領域それぞれに嵌合する2つの雄ねじ用突起が軸心に対し対称に突設されている、請求項1〜4の何れかに記載の棚受け用ダボ。
【請求項6】
前記雌ねじ溝には、ダボ本体が前記棚受け位置から後退移動するときの前記雄ねじ用突起の後退移動に抵抗を与える狭幅部が形成されている、請求項1〜5の何れかに記載の棚受け用ダボ。
【請求項7】
前記雌ねじ溝には、ダボ本体が前記退入位置から前進移動するときの前記雄ねじ用突起の前進移動に抵抗を与える狭幅部が形成されている、請求項1〜6の何れかに記載の棚受け用ダボ。
【請求項8】
前記ダボ本体には、前記棚受け位置にあるときにダボ支持体から突出する領域が細く形成され、この細くなった部分に筒状弾性材が外嵌装着されている、請求項1〜7の何れかに記載の棚受け用ダボ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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