説明

植物中のカロチノイド蓄積の増強

本発明は、ポリヌクレオチド、及び種子のカロチノイド含量を増大させる方法における該ポリヌクレオチドの使用に関する。具体的には、本発明は、ポリヌクレオチドであって:(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域を含む、ポリヌクレオチドを提供する。開示されたポリヌクレオチドは、高含量の有色カロチノイドを含むイネ種子の製造に使用するのに特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特に組換えDNA技術に関する。より具体的には、本発明は、植物中、特に前記植物の種子中のカロチノイド蓄積を高めることを可能にする改善されたポリヌクレオチドを提供することに関する。本発明はまた、このポリヌクレオチドを含む植物材料、植物及び種子、具体的にはイネ材料、イネ植物及びイネ種子を提供する。
【背景技術】
【0002】
カロチノイドは、生合成前駆体イソペンテニルジホスフェートに由来する8つのイソプレン単位を縮合することによって形成された40-炭素(C40)イソプレノイドである。命名法により、カロチノイドは基本的に2つのクラス、つまりカロチンとキサントフィルとに分類される。植物中のこれらの本質的な機能は、色素体の光合成装置における光酸化的損傷に対する保護である。これに加えて、カロチノイドは光合成中の集光に関与し、光合成反応中心の一体的成分を形成する。カロチノイドは、植物ホルモン・アブシジン酸の直接前駆体である。カロチノイド生合成の一部を図1に示す。
【0003】
プロビタミンA活性を有するカロチノイドは、ヒトの食事の必須成分である。加えて、カロチノイドが豊富な食事は、多数の深刻な医学的状態が発生するのを防止できることを示唆する有力な証拠も挙がっている。これらの医学的状態は、特定の癌(特に肺及び前立腺)、黄斑変性、白内障、心臓血管疾患を含む。カロチノイドはまた、免疫調節効果、例えばUV誘発型免疫抑制の低減効果を有することが報告されている。カロチノイドは、有害な反応性酸素種、例えば一重項酸素の効率的な抑制体として作用し、これにより抗酸化剤特性を有することができる。
【0004】
世界の人口が増加するのに伴って、栄養価が高く、健康的で、美味であり、また見た目にも魅力的な食品の生産が引き続き必要である。
【0005】
カロチノイド生合成経路に関与する遺伝子を植物中に一般的に挿入することは、国際公開第00/53768号パンフレットに開示されている。米国特許第6,429,356号明細書には、crtB遺伝子の挿入を介して、改変された脂肪酸、トコフェロール及びカロチノイド組成物を有する植物及び種子を生成する方法が記載されている。本発明は特に、植物材料中に挿入されると、少なくとも前記材料に由来する植物の種子中に、驚くほど多量のカロチノイド蓄積を可能にする改善されたポリヌクレオチドを提供する。より具体的には、本発明は、植物材料中で発現されると、少なくとも前記材料に由来する植物の種子中に、驚くほど多量のカロチノイド蓄積を可能にするヌクレオチド配列の特定の組み合わせを提供する。
【0006】
本発明によれば、ポリヌクレオチドであって:(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域を含む、ポリヌクレオチドが提供される。
【0007】
本発明はさらに、ポリヌクレオチドであって:(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トマト(Lycopersicon種)又はトウガラシ(Capsicum種)又は細菌に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域を含む、ポリヌクレオチドを提供する。
【0008】
別の実施態様の場合、前記カロチン・デサチュラーゼは、Streptomyces; Staphylococcus; Synechocystis; Rhodobacter; Paracoccus; Erwinia;及びXanthophyllomycesから誘導することができる。別の実施態様の場合、前記カロチン・デサチュラーゼは、フィトエン・デサチュラーゼである。別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、これが細菌から誘導可能であるときに、Streptomyces; Staphylococcus; Synechocystis; Rhodobacter; Paracoccus; Erwinia;及びXanthophyllomycesから誘導することができる。本発明の別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、Zea mays又はOrzya sativaから得ることができる。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、Lycopersicon esculentum又はCapsicum anuumから得ることができる。
【0009】
別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼはZea mays又はOrzya sativaから得ることができる。更に別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、SEQ ID NO:10; 11; 12及び13として示された群から選択された配列を含むか、この配列によって構成されるか、又はこの配列から成る。別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、SEQ ID NO:14として示されたタンパク質をコードする配列を含むか、この配列によって構成されるか、又はこの配列から成る。別のフィトエン・シンターゼ・コード配列は、当業者に知られたデータベースから入手することもできる。例えばこれらの配列は、EMBL Databaseにおいて、受託番号AY024351、AK073290、AK108154及びAY078162で示された配列である。
【0010】
さらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼはLycopersicon esculentum又はCapsicum anuumから誘導されるか、これから得ることができるか、これから得られる。さらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼはSEQ ID NO:15又はSEQ ID NO:16を含むか、この配列によって構成されるか、又はこの配列から成る。
【0011】
さらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは細菌由来のCrtB遺伝子から誘導されるか、これから得ることができるか、これから得られる。特定の実施態様の場合、前記CrtBは、Shewmaker他(1999) Plant J. 20:401-12に示されたCrtB配列を含むか、この配列によって構成されるか、又はこの配列から成る。本発明の別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼをコードする配列及び/又は細菌由来のフィトエン・シンターゼをコードする配列は、Erwinia種、より具体的にはErwinia uredovoraに由来する。さらに別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼは、Erwinia uredovora由来のCrtI遺伝子である。さらに別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼは、SEQ ID NO:18又はSEQ ID NO:19として示された配列を含むか、この配列によって構成されるか、又はこの配列から成る。
【0012】
本発明はさらに、前記プロモーターがグルテリン1・プロモーター及びプロラミン・プロモーターから選択され、そして前記転写終止領域がNos; CaMV 35S及びPotP1-II転写終止領域から選択される、上記ポリヌクレオチドを提供する。前記グルテリン1・プロモーター及びプロラミン・プロモーターは、イネから分離することができる。特定の実施態様の場合、前記プロモーターはSEQ ID NO:20又は21として示された配列を含む。別のプロモーターは、Brassica napus由来のnapin遺伝子に由来するプロモーター、及び種子の内胚乳中に通常発現される遺伝子に由来するその他のプロモーターを含む。別の転写終止領域は、アルファ-チューブリンの遺伝子のターミネーター領域を含む(欧州特許出願公開第652,286号明細書)。プロモーター調節配列と関連して、プロモーターと、タンパク質をコードする配列との間に位置するその他の調節配列、例えば転写又は翻訳エンハンサー、例えば国際公開第87/07644号パンフレットに記載されたタバコ・エッチ・ウィルス(TEV)翻訳アクチベーターを使用することも同様に可能である。
【0013】
本発明はさらに、カロチン・デサチュラーゼをコードする配列、及びフィトエン・シンターゼをコードする配列は、さらに、色素体標的配列を含む、上記ポリヌクレオチドを提供する。特定の実施態様の場合、色素体標的配列は、Pisum sativum由来のリブロース・ビスホスフェート・カルボキシラーゼ小サブユニット(RUMBISCO Ssu)に由来する。別の実施態様の場合、前記RUBISCO Ssu色素体標的配列は、CrtI由来の前記カロチン・デサチュラーゼ遺伝子の翻訳開始点に対して5'側に配置されている。さらに別の実施態様の場合、前記RUBISCO Ssu色素体標的配列は、CrtB由来の前記フィトエン・シンターゼ遺伝子の翻訳開始点に対して5'側に配置されている。さらに別の実施態様の場合、前記色素体標的配列は、前記フィトエン・シンターゼ及び/又は前記カロチン・デサチュラーゼに対して異種である。さらに別の実施態様の場合、前記色素体標的配列は、前記フィトエン・シンターゼ及び/又は前記カロチン・デサチュラーゼに対して自系である。「異種」とは、異なる源に由来することを意味し、またこれに対応して「自系」とは、生物又は組織レベルではなく遺伝子レベルで、同じ源に由来することを意味する。さらに別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼと連携する色素体標的配列は、これとは異種であり、フィトエン・シンターゼと連携する色素体標的配列は、これと自系である。さらに別の実施態様の場合、色素体標的配列は、種子のアミロプラスト内のカロチノイドの蓄積を可能にする。
【0014】
本発明はさらに、前記カロチン・デサチュラーゼをコードする配列及び/又は前記フィトエン・シンターゼをコードする配列がさらにイントロンを含む、上記ポリヌクレオチドを提供する。特定の実施態様の場合、前記イントロン領域は、プロモーター領域と、カロチン・デサチュラーゼ/フィトエン・シンターゼをコードする領域との間に配置される。別の実施態様の場合、前記イントロン領域は、プロモーター領域と色素体標的配列との間に配置される。さらに別の実施態様の場合、前記イントロン領域は、前記カロチン・デサチュラーゼ及び/又は前記フィトエン・シンターゼをコードする配列の上流に配置される。さらに別の実施態様の場合、前記イントロンは、トウゴマ植物のカタラーゼ遺伝子に由来する第1遺伝子のイントロンに由来する。さらに別の実施態様の場合、前記イントロンは、トウゴマ植物由来のカタラーゼ遺伝子の第1イントロンに由来する。さらに別の実施態様の場合、前記イントロンは、SEQ ID NO:22として示された配列を含む。さらに別の実施態様の場合、イントロンは、トウモロコシ・ポリユビキチン遺伝子のイントロンである。
【0015】
本発明はさらに、カロチン・デサチュラーゼをコードする前記配列が、フィトエン・シンターゼをコードする前記配列に対して5'側に配置されている、上記ポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
本発明はさらに、フィトエン・シンターゼをコードする前記配列が、カロチン・デサチュラーゼをコードする前記配列に対して5'側に配置されている、上記ポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
本発明はさらに、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択された配列を含む、上記ポリヌクレオチドを提供する。本発明の特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択された配列から成る。本発明の別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:1を含むか、又はSEQ ID NO:1から成る。本発明のさらに別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:2を含むか、又はSEQ ID NO:2から成る。本発明のさらに別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:3を含むか、又はSEQ ID NO:3から成る。本発明のさらに別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:4を含むか、又はSEQ ID NO:4から成る。本発明のさらに別の実施態様の場合、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:6を含むか、又はSEQ ID NO:6から成る。本発明はさらに、SEQ ID NO:7; 8;及び9として示された群から選択された配列を含むか、又はこの配列から成る、上記ポリヌクレオチドを提供する。
【0018】
本発明はさらに、6 x SSC、0.01% SDS及び0.25%のスキムミルク粉末を含有する溶液中約65℃の温度で、前段落記載のポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、続いて0.2 x SSC及び0.1% SDSを含有する溶液中で同じ温度ですすぎが施される、配列の相補体であるポリヌクレオチド配列であって、前記ポリヌクレオチド配列が、カロチン・デサチュラーゼをコードする領域と、フィトエン・シンターゼをコードする別の領域とを依然として含み、そして前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して増量したカロチノイドを生成する、ポリヌクレオチド配列を提供する。或いは当業者ならば、下記ハイブリッド形成条件、すなわち0.1 % SDSを含有する0.3強度クエン酸緩衝生理食塩水中で60℃〜65℃の温度でハイブリッド形成した後、続いて0.1 % SDSを含有する0.3強度クエン酸緩衝生理食塩水中で同じ温度ですすぎを行い、続いて、このように同定されたポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して増量したカロチノイドを生成することを確認する条件を選択することもできる。当業者はまたさらに、「高ストリンジェント」条件であるとも考えられるハイブリッド形成条件を選択することもできる。本発明の特定の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して60倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明の別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して100倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して150倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して200倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して250倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して300倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して350倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して400倍以上増量したカロチノイドを生成する。本発明のさらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して500倍以上増量したカロチノイドを生成する。
【0019】
「対照同類種子」という用語は、本発明によるものとほぼ同様の種子ではあるものの、本発明によるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含有しない種子に関する。典型的には、対照同類種子は、形質転換されていない、同じ又は同様の植物種の種子を含むことになる。本発明によるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含む種子の増大したカロチノイド含量は、前記種子と、国際公開00/53768号パンフレットの図4のプラスミドAにおいて示されたTDNAを含む種子とを比較することにより、実証することもできる。前記パンフレットにおける種子の場合、フィトエン・シンターゼ(psy)はラッパズイセン(Narcissus pseudonarcissus)に由来する。典型的には、このような比較は、比較されるべき種子が同じ又はほぼ同様の植物種を有している場合に行われる。具体的な実施態様の場合、本発明によるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含む種子は、国際公開00/53768号パンフレットの図4のプラスミドAにおいて示されたTDNAを含む種子{フィトエン・シンターゼ(psy)はラッパズイセン(Narcissus pseudonarcissus)に由来する}と比較して、3倍以上のカロチノイド量を含有する。さらに別の実施態様の場合、本発明によるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含む種子は、国際公開00/53768号パンフレットの図4のプラスミドAにおいて示されたTDNAを含む種子{フィトエン・シンターゼ(psy)はラッパズイセン(Narcissus pseudonarcissus)に由来する}と比較して、4倍以上、又は5倍以上、又は6倍以上、又は7倍以上、又は8倍以上、又は9倍以上、10倍以上、又は15倍以上、又は20倍以上、又は30倍以上、又は40倍以上、又は50倍以上のカロチノイド量を含有する。
【0020】
本発明はさらに、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり3μg以上のレベルでカロチノイドを生成する、上記ポリヌクレオチド配列を提供する。別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり4μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり5μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり6μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり7μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり8μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり9μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり10μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり11μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり12μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり13μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり14μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり15μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり20μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり25μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり30μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり35μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり40μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり45μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり50μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり55μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり60μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり65μg以上のレベルでカロチノイドを生成する。特定の実施態様の場合、カロチノイドの量は、前記種子の内胚乳乾燥重量1g当たりのμgとして計算される。
【0021】
本発明はさらに、6 x SSC、0.01% SDS及び0.25%のスキムミルク粉末を含有する溶液中約65℃の温度で、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択された配列から成るポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、続いて0.2 x SSC及び0.1% SDSを含有する溶液中で同じ温度ですすぎが施される、配列の相補体であるポリヌクレオチド配列であって、前記ポリヌクレオチド配列が、カロチン・デサチュラーゼをコードする領域と、フィトエン・シンターゼをコードする別の領域とを依然として含み、そして前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の80%以上に達するカロチノイドを生成する、ポリヌクレオチド配列を提供する。別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の85%以上に達するカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の90%以上に達するカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の95%以上に達するカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の100%以上に達するカロチノイドを生成する。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:1として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:2として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:3として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:4として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:6として示されたポリヌクレオチドを含む。
【0022】
前記ポリヌクレオチド配列を含む種子のカロチノイド含量を、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子と比較するとき、種子はほぼ同じ種の植物に由来することが好ましい。前記ポリヌクレオチド配列を含む種子のカロチノイド含量を、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子と比較するとき、種子は、前記ポリヌクレオチド又は前記ポリヌクレオチド配列の存在を除けば、ほぼ遺伝学的に同一の植物に由来することがさらに好ましい。前記ポリヌクレオチド配列を含む種子のカロチノイド含量を、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子と比較するとき、種子は、同じ環境成長条件下で成長させられた植物に由来することがさらに好ましい。
【0023】
本発明はさらに、6 x SSC、0.01% SDS及び0.25%のスキムミルク粉末を含有する溶液中約65℃の温度で、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択された配列から成るポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、続いて0.2 x SSC及び0.1% SDSを含有する溶液中で同じ温度ですすぎが施される、配列の相補体であるポリヌクレオチド配列であって、前記ポリヌクレオチド配列が、カロチン・デサチュラーゼをコードする領域と、フィトエン・シンターゼをコードする別の領域とを依然として含み、そして前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の80%以上に達するカロチノイドを生成する、ポリヌクレオチド配列を提供する。前記ポリヌクレオチド配列を含む種子のカロチノイド含量を、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子と比較するとき、種子はほぼ同じ種の植物に由来することが好ましい。前記ポリヌクレオチド配列を含む種子のカロチノイド含量を、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子と比較するとき、種子は、前記ポリヌクレオチド又は前記ポリヌクレオチド配列の存在を除けば、ほぼ遺伝学的に同一の植物に由来することがさらに好ましい。
【0024】
特定の実施態様の場合、配列表に記載された配列とのハイブリッド形成(提供された条件下)に基づいて同定される、本発明によるポリヌクレオチド配列は、配列表における配列によって提供されるのと同じタンパク質をコードする。別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチド配列は、配列表における配列によってコードされたタンパク質と同じ又は同様の機能を有するタンパク質をコードしてよい。さらに別の実施態様の場合、本発明によるポリヌクレオチド配列によってコードされたタンパク質は、配列表における配列によってコードされたタンパク質と比較して、アミノ酸置換及び/又は欠失を含む。さらに別の実施態様の場合、アミノ酸置換は「保存的」置換である。「保存的」置換は、アミノ酸が広範囲にわたって同様の化学特性を有するアミノ酸と置換されることを意味するものとする。具体的には、「保存的」置換は以下の群:(i)アラニンとグリシン;(ii)トレオニンとセリン;(ii)グルタミン酸とアスパラギン酸;(iii)アルギニンとリシン;(iv)アスパラギンとグルタミン;(v)イソロイシンとロイシン;(vi)バリンとメチオニン;及び(vii)フェニルアラニンとトリプトファンのアミノ酸間で行うことができる。
【0025】
本発明はさらに、植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子が、天然型同類種子中に存在するよりも高いレベルでカロチノイドを生成する、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を提供する。本発明はさらに、植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、形質転換されていない同類種子中に存在するものよりも高いレベルでカロチノイドを生成する、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を提供する。
【0026】
特定の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、リコペン;アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアキサンチン;ベータ-クリプトキサンチン;アンテラキサンチン;ビオラキサンチン;及びネオキサンチン、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、リコペン;アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアキサンチン;ベータ-クリプトキサンチン、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアキサンチン;ベータ-クリプトキサンチン、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、少なくともフィトエン及びベータ-カロチンを含む。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、少なくともベータ-カロチンを含む。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドはベータ-カロチンである。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、有色カロチノイドである。
【0027】
本発明はさらに、前記種子がイネ種子である、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を提供する。本発明の特定の実施態様の場合、種子がそれらのカロチノイド含量に関して分析される前に、種子が調製される。この調製は、例えばイネ種子に関しては、「脱穀」及び「研磨」を含むことができる。さらにこのような調製は、ヒトによる消費用には通常は意図されない、種子と関連する植物部分を除去することを伴ってよい。
【0028】
種子中のカロチノイドの量は、当業者によく知られた利用可能な技術を用いて測定することができる。このような技術の一例としては、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)分析及び分光測光法が挙げられる。
【0029】
本発明はさらに、選択マーカーをコードする領域をさらに含む上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を提供する。特定の実施態様の場合、前記選択マーカーは、マンノース-6-ホスフェートイソメラーゼ遺伝子を含む。別の特定の実施態様の場合、使用される選択マーカーは、Positech(登録商標)選択システムに基づくマンノース-6-ホスフェートイソメラーゼ遺伝子である。具体的な実施態様の場合、前記選択マーカーは、欧州特許/出願公開EP 0896 063及びEP0 601 092に記載された選択マーカーである。或いは、使用された選択マーカーは具体的には、カナマイシン、ハイグロマイシン又はゲンタマイシンに対する抵抗性を付与する。別の好適な選択マーカーは、除草剤、例えばグリフォセート系除草剤(例えば米国特許第5510471号明細書、又は国際公開第00/66748号パンフレットに記載されているようなEPSPS遺伝子)に対する抵抗性、又は毒性、例えばユーチピンに対する抵抗性を付与する遺伝子を含む。他の選択形態、例えばホルモン系選択システム、例えばHiroyasu Ebinuma他,1997. PNAS 第94巻,第2117-2121頁のマルチ・オート・トランスフォーメーション(MAT)システム;蛍光タンパク質、βグルコロニダーゼを使用する視覚的選択システム;及び任意のその他の選択システム、例えばキシロース・イソメラーゼ及び2-デオキシグルコース(2-DOG)も利用可能である。
【0030】
本発明はさらに、特定の植物種における発現に関して最適化されたコドンである、本発明によるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を提供する。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列は、イネ(Orzya種)又はトウモロコシ(Zea種)における発現に関して最適化されたコドンである。このようなコドン最適化は当業者にはよく知られており、下記表は、イネ及びトウモロコシに対応する植物優先コドンの一例を示す。
【0031】
【表1】

【0032】
本発明はさらに、上述のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。本発明の特定の実施態様の場合、前記ベクターは、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む。本発明の特定の実施態様の場合、前記ベクターは、SEQ ID NO:7; 8;及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、前記ベクターは、細菌中の前記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列の複製を可能にする。
【0033】
本発明はさらに、植物発現ベクターである上記ベクターを提供する。
【0034】
本発明の特定の実施態様の場合、上記配列をコードするフィトエン・シンターゼ及び/又は前記カロチン・デサチュラーゼの翻訳開始部位の周囲の配列は、「Kozak」が優先されるように修飾することができる。このことが意味するところは、当業者によく知られている。当業者によく知られたKozakコンセンサス配列の例は、cagcc(atg)又はagcc(atg)を含む。上記配列をコードするフィトエン・シンターゼ及び/又は前記カロチン・デサチュラーゼはさらに、特定の細胞内小器官における保持を可能にする配列を含むこともできる。
【0035】
本発明の別の観点において、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、又はベクターを植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法が提供される。
【0036】
本発明はさらに、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択された配列を含むポリヌクレオチドを植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法を提供する。本発明の具体的な実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して60倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して100倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して150倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して200倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して250倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して300倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して350倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して400倍以上増量したカロチノイドを含有する。別の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して500倍以上増量したカロチノイドを含有する。
【0037】
本発明はさらに、前記種子が前記種子の内胚乳1g当たり3μg以上のレベルでカロチノイドを含有する上記方法を提供する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり4μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり5μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり6μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり7μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり8μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり9μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり10μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり15μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり20μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり25μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり30μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり35μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり40μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり45μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり50μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり55μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり60μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。特定の実施態様の場合、前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり65μg以上のレベルでカロチノイドを含有する。
【0038】
本発明はさらに、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、上記ポリヌクレオチド配列を植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の80%以上に達するカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法を提供する。別の実施態様の場合、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の85%以上に達するカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の90%以上に達するカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の95%以上に達するカロチノイドを生成する。さらに別の実施態様の場合、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の100%以上に達するカロチノイドを生成する。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:1として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:2として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:3として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:4として示されたポリヌクレオチドを含む。特定の実施態様の場合、ポリヌクレオチド配列は、上述のような種子のカロチノイド含量のパーセンテージを提供し、比較される種子は、SEQ ID NO:6として示されたポリヌクレオチドを含む。
【0039】
本発明はさらに、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択された配列を含むポリヌクレオチドを植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法を提供する。特定の実施態様の場合、前記方法によって得られた種子は、対照同類種子と比較して50倍以上増量したカロチノイドを含有する。
【0040】
本発明はさらに、前記種子が前記種子の内胚乳1g当たり3μg以上のレベルでカロチノイドを含有する上記方法を提供する。
【0041】
本発明はさらに、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、上記ポリヌクレオチド配列を植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の80%以上に達するカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法を提供する。
【0042】
本発明はさらに、増大させられるカロチノイドがリコペン;アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアキサンチン;ベータ-クリプトキサンチン;アンテラキサンチン;ビオラキサンチン;及びネオキサンチン、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される、上記方法を提供する。別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、リコペン;アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアキサンチン;ベータ-クリプトキサンチン、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアキサンチン;ベータ-クリプトキサンチン、又はこれらの組み合わせから成る群から選択される。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、少なくともフィトエン及びベータ-カロチンを含む。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、少なくともベータ-カロチンを含む。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドはベータ-カロチンである。さらに別の実施態様の場合、増大させられるカロチノイドは、有色カロチノイドである。
【0043】
上述のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列又はベクターは、当業者によく知られた植物形質転換技術によって植物材料中に挿入することができる。このような技術の一例としては、粒子媒介性バイオリスティック形質転換、Agrobacterium媒介性形質転換、プロトプラスト形質転換(任意にはポリエチレングリコールの存在における);ポリヌクレオチド又はベクターを含む培地中での植物組織、細胞又はプロトプラストの超音波処理;全能植物材料中へのポリヌクレオチド及び/又はベクターのマイクロ挿入(任意には周知の炭化ケイ素「ホイスカー」技術を採用)、エレクトロポレーションなどが挙げられる。本発明の特定の実施態様の場合、本明細書中に開示された実施例に記載された方法に従って、イネ植物材料が形質転換される。特定の実施態様の場合、使用されるAgrobacteriumは、AgrobacteriumのTDNA領域内の高い類似度を有する配列間の組換え可能性を低減するように修飾されている菌株である。さらに、国際公開第99/01563号パンフレット、米国特許第6,265,638号、同第5,731,179号及び同第5,591,616号の各明細書に言及されているような技術及び要素を、形質転換法の一部として採用することができる。
【0044】
本発明はさらに、上記方法によって得られる、又は得ることができる種子を提供する。特定の実施態様の場合、前記種子はイネ種子である。別の実施態様の場合、前記種子はトウモロコシ種子である。
【0045】
本明細書全体を通して、「種子」は「穀粒」と相互に置き換えることができる。具体的には、「種子」は、可食種子又は種子部分、具体的には種子内胚乳を意味する。
【0046】
本発明はさらに、全段落に記載された種子を含む植物を含む。
【0047】
本発明はさらに、上述のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、又はベクターを含む植物又は植物材料を提供する。特定の実施態様の場合、前記植物又は植物材料はイネ植物又はイネ植物材料又はトウモロコシ植物又はトウモロコシ植物材料である。さらに別の実施態様の場合、本発明の植物又は植物材料は、スイカ、メロン、マンゴー、大豆、綿花、タバコ、甜菜、アブラナ、カノーラ、亜麻、ヒマワリ、ジャガイモ、トマト、アルファルファ、レタス、トウモロコシ、小麦、サトウモロコシ、ライ麦、バナナ、オオムギ、カラスムギ、芝草、飼草、サトウキビ、トウガラシ、エンドウ豆、フィールド・ビーン、イネ、マツ、ポプラ、リンゴ、モモ、ブドウ、イチゴ、ニンジン、キャベツ、タマネギ、柑橘類、穀類又は木の実植物、又は任意のその他の園芸作物から成る群から選択される。特定の実施態様の場合、前記植物はイネ植物である。
【0048】
本発明はさらに、カロチンをレチノイドに変換することができる酵素をコードする遺伝子をさらに含む、本発明による植物又は種子を提供する。このような遺伝子の一例は、国際公開第01/48162号パンフレット及び/又は同第01/48163号パンフレットに記載されたβ-カロチン・ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子である。
【0049】
本発明はさらに、昆虫抵抗性及び/又は耐性;線虫抵抗性及び/又は耐性;除草剤抵抗性及び/又は耐性;改善されたストレス抵抗性及び/又は耐性;薬学的活性を有する物質;及び任意のその他の所望の農学的形質から成る群から選択された形質を提供するポリヌクレオチドをさらに含む、本発明による植物を提供する。
【0050】
本発明はさらに、植物中のイソプレノイド生合成及び/又はカロチノイド蓄積をさらに高めるのを可能にするポリヌクレオチドをさらに含む、本発明による植物を提供する。特定の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチドは、植物中のイソプレノイド生合成及び/又はカロチノイド蓄積をさらに高めるのを可能にする転写因子を提供する。
【0051】
本発明はさらに、植物中の色素体を増大させるのを可能にするポリヌクレオチドを含む、本発明による植物を提供する。特定の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチドは、当業者によく知られた、カラス麦又はシロイヌナズナに由来するPhyAを含む。別の実施態様の場合、前記ポリヌクレオチドは、当業者によく知られた、トマトに由来するHp1又はHp2遺伝子を含む。
【0052】
本発明はさらに、SEQ ID NO:1〜9として示された群から選択された配列を含む植物材料を同定することができる分子マーカーを提供する。この分子マーカーはSEQ ID NO:1〜9から成る群から選択された配列の約25個以上の隣接ヌクレオチドを含む。
【0053】
本発明はさらに、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、本発明による植物材料を同定する方法を提供する。当業者に良く知られている、配列表に挙げられた配列に基づいたパラメーターを用いて、好適なプライマーを設計することができる。当業者ならば核酸抽出技術に精通しており、試験試料が一旦分離されると、当業者によく知られた技術を用いて、本発明による配列の存在に関してその試料試験を分析することができる。これらの技術の一例としては、PCR、RAPIDS、RFLP及びAFLPが挙げられる。
【0054】
本発明はさらにキットを提供し、このキットは、試験試料を得る手段と、前記試験試料内部における本発明の配列の存在を検出する手段とを含む。試験試料のカロチノイド含量を試験するのに適したキットを生成することもでき、そしてこれを任意には、前文に記載したキットの構成要件と組み合わせることができる。
【0055】
本発明の別の観点において、カロチノイド含量が増大させられた種子を製造する方法において、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列又はベクターが使用される。特定の実施態様の場合、本発明は、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を製造するために、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを使用する。
【0056】
本発明の別の観点において、カロチノイド含量が増大させられた種子を製造する方法において、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列又はベクターを使用する。特定の実施態様の場合、本発明は、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を製造するために、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを使用する。
【0057】
本発明の別の観点において、前記ポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチド配列又は前記ベクターを含む植物を製造する方法において、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列又はベクターが使用される。
【0058】
本発明の別の観点において、前記ポリヌクレオチドを含む植物を製造する方法において、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを使用する。
【0059】
本発明の別の観点において、前記ポリヌクレオチドを含む植物を製造する方法において、SEQ ID NO: 7; 8及び9として示された群から選択されたポリヌクレオチドを使用する。
【0060】
本発明の別の観点において、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む第1ポリヌクレオチド;及び、(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む第2ポリヌクレオチドを、植物材料中に挿入し、そして(c)前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法が提供される。
【0061】
本発明の別の観点において、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む第1ポリヌクレオチド;及び、(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii) トマト(Lycopersicon種)又はトウガラシ(Capsicum種)又は細菌に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む第2ポリヌクレオチドを、植物材料中に挿入し、そして(c)前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法が提供される。
【0062】
特定の実施態様の場合、前段落の工程(a)は、工程(b)の前に行われる。特定の実施態様の場合、前段落の工程(b)は、工程(a)の前に行われる。さらに別の実施態様の場合、プロモーター、前記カロチン・デサチュラーゼをコードする配列、フィトエン・シンターゼをコードする配列、及びターミネーター領域は、配列表に示された配列に由来する。さらに別の実施態様の場合、前記カロチン・デサチュラーゼは、Erwinia種に由来するCrtI遺伝子である。さらに別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼは、SEQ ID NO:18又はSEQ ID NO:19として示された配列を含むか、又はこの配列から成る。別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼはトウモロコシ又はイネに由来する。さらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼはトウモロコシ又はイネから得られる。さらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、SEQ ID NO:10; 11; 12及び13として示された群から選択された配列を含むか、又はこの配列から成る。
【0063】
本発明の別の観点において、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含むポリヌクレオチドを含む第1植物;及び、(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii) トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含むポリヌクレオチドを含む別の植物を交雑させ;そして(c)こうして交雑された植物の雌性親から種子を収穫し;そして(d)前記種子を成長させることにより、別の種子を含む植物を作出し、そして対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する前記別の種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法が提供される。
【0064】
本発明の別の観点において、種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含むポリヌクレオチドを含む第1植物;及び、(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii) トマト(Lycopersicon種)又はトウガラシ(Capsicum種)又は細菌に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含むポリヌクレオチドを含む別の植物を交雑させ;そして(c)こうして交雑された植物の雌性親から種子を収穫し;そして(d)前記種子を成長させることにより、別の種子を含む植物を作出し、そして対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する前記別の種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法が提供される。
【0065】
さらに別の実施態様の場合、プロモーター、前記カロチン・デサチュラーゼをコードする配列、フィトエン・シンターゼをコードする配列、及びターミネーター領域は、配列表に示された配列に由来する。さらに別の実施態様の場合、前記カロチン・デサチュラーゼは、Erwinia種に由来するCrtI遺伝子である。さらに別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼは、SEQ ID NO:18又はSEQ ID NO:19として示された配列を含むか、又はこの配列から成る。別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼはトウモロコシ又はイネに由来する。さらに別の実施態様の場合、前記フィトエン・シンターゼは、SEQ ID NO:10; 11; 12及び13として示された群から選択された配列を含むか、又はこの配列から成る。
【0066】
本発明の別の観点において、(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列、又は、トマト(Lycopersicon種);トウガラシ(Capsicum種);トウモロコシ(Zea種);イネ(Orzya種)から成る群から選択された植物に由来するカロチン・デサチュラーゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii) 細菌に由来する、又はトマト(Lycopersicon種);トウガラシ(Capsicum種);トウモロコシ(Zea種);イネ(Orzya種)から成る群から選択された植物に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域;及び(c)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii) 細菌に由来する、又はトマト(Lycopersicon種);トウガラシ(Capsicum種);トウモロコシ(Zea種);イネ(Orzya種)から成る群から選択された植物に由来する、ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(ZDS)をコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含むさらに別の領域を含む、ポリヌクレオチドが提供される。特定の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼ及びフィトエン・シンターゼは、トウモロコシ(Zea種)に由来し、そしてゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(ZDS)は、トウガラシ(Capsicum種)に由来する。別の実施態様の場合、カロチン・デサチュラーゼ及びフィトエン・シンターゼは、トウモロコシ(Zea種)から得られ、そしてゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(ZDS)は、トウガラシ(Capsicum種)から得られる。
【0067】
上述のポリヌクレオチドを使用して、上記ハイブリッド形成条件に基づいて、類似機能を提供するポリヌクレオチド配列を同定することができる。ゼータ-カロチン・デサチュラーゼを含むこれらのポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド配列は、上記方法と同様に、種子のカロチノイド含量を増大させる方法に使用することもできる。
【0068】
本発明の別の観点において、(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列、又は、トマト(Lycopersicon種);トウガラシ(Capsicum種);トウモロコシ(Zea種);イネ(Orzya種)から成る群から選択された植物に由来するカロチン・デサチュラーゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii) トマト(Lycopersicon種);トウガラシ(Capsicum種);トウモロコシ(Zea種);イネ(Orzya種)から成る群から選択された植物又は細菌に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iv)細菌に由来する、又はトマト(Lycopersicon種);トウガラシ(Capsicum種);トウモロコシ(Zea種);イネ(Orzya種)から成る群から選択された植物に由来する、ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(ZDS)をコードするヌクレオチド配列と、(v)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含むポリヌクレオチドが提供される。
【0069】
本明細書に記載された領域のうちのいずれかを、タンパク質を分離することができる自己プロセシング・ポリペプチド、例えば米国特許第5,846,767号明細書に記載された自己プロセシング・ポリペプチド、又は任意の類似機能を果たす要素を提供する領域によって分離することができる。或いは、領域は、タンパク質配列を分離することができる外部要素の標的部位として作用する配列によって分離することもできる。或いは、ポリヌクレオチドは、数多くのタンパク質機能を含むポリタンパク質を提供することもできる。本発明の別の実施態様の場合、ポリタンパク質のタンパク質はタンデム式に配列されてよい。当業者に明らかなように、このようなポリタンパク質をコードするポリヌクレオチドが生成されると、このようなポリタンパク質は、本明細書中に記載された単一のプロモーターを使用することによって発現させることができる。
【0070】
本明細書中に記載されたポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド配列は、当業者によく知られた技術を用いて単離し、そして構成することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、標準的なポリヌクレオチド合成装置を用いて合成することができる。このような合成ポリヌクレオチドを合成し、次いでライゲートすることにより、本発明によるより長いポリヌクレオチドを形成することができる。ポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド配列は、前記配列を含有する他のコンストラクト/ベクターから分離し、次いで別のコンストラクト/ベクター中に挿入することにより、本発明による配列を生成することもできる。配列は、配列表内に提供された配列情報を用いて、ライブラリ、例えばcDNA及びgDNAから分離し、これにより、前記ライブラリから前記配列を同定する目的で、好適なプローブ/プライマーを形成することもできる。配列が一旦単離されたら、これらを集成して、本発明によるポリヌクレオチド及びポリヌクレオチド配列を形成することができる。本発明による配列を使用して、上記ハイブリッド形成条件に従って同類配列を同定することもできる。このような同類配列を同定する際には、当業者は、配列表内に示された配列の成分部分のうちの1つ又は2つ以上から成る同類配列を同定し、続いて、配列表内に示された配列の配置状態と類似の同類配列を集成することを望む。例えば、フィトエン・シンターゼ遺伝子だけをコードする領域を修飾することが望ましい場合がある。修飾されたフィトエン・シンターゼをコードする配列が同定されたら、この配列を使用して、配列表内に示された配列のうちの1つに、フィトエン・シンターゼ・コード配列を置換することもできる。或いは、修飾されたフィトエン・シンターゼを新しい配列の形成に使用することができ、この場合、全ての成分部分は、フィトエン・シンターゼを除いて配列表内の配列と同じである。別の例では、成分の全てを修飾し、次いで、修飾された成分のそれぞれを、配列表の配列、例えばプロモーター-イントロン-標的配列-カロチン・デサチュラーゼ-ターミネーター-プロモーター-イントロン-(標的配列)-フィトエン・シンターゼ-ターミネーターと同じように配置する。修飾度は、上記条件下で配列表内の配列とハイブリッド形成する、こうして修飾された配列の能力に影響を与えることになる。
【0071】
本発明はさらに、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含む植物を提供する。特定の実施態様の場合、前記植物はイネ又はトウモロコシ植物である。
【0072】
本発明の別の観点において、プロモーターが組織優先及び/又は器官優先である、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列が提供される。特定の実施態様の場合、プロモーターは、果実における優先的な発現を可能にする。別の実施態様の場合、前記プロモーターは、果実中の高い発現を可能にする。さらに別の実施態様の場合、前記果実はバナナ果実である。本発明の別の観点において、ポリヌクレオチドであって:(a)(i)果実優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び(b)(i)果実優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域を含む、ポリヌクレオチドが提供される。さらに別の実施態様の場合、果実のカロチノイド含量を増大させる方法であって、(a)(i)果実優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び(b)(i)果実優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域、を含むポリヌクレオチドを植物材料中に挿入し、そして前記材料から果実含有植物を再生し、そして、対照同類果実よりも高いレベルのカロチノイドを含有する果実を同定することを含む、果実のカロチノイド含量を増大させる方法が提供される。本発明はさらに、上述のフィトエン・シンターゼ・コード配列とカロチン・デサチュラーゼ・コード配列を含むポリヌクレオチドであって、これらの配列は、果実優先発現、又は組織又は器官優先発現を可能にするプロモーターと作用可能に連結されている。このような好適なプロモーターは、当業者によって同定することができる。
【0073】
本発明の別の観点において、除草剤抵抗性及び/又は耐性である植物の製造方法において、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を使用する。
【0074】
本発明のさらに別の観点において、除草剤抵抗性及び/又は耐性である植物の製造方法であって、上記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を植物材料内に挿入し、そして、前記材料から形態的に正常な植物を再生することを含む、除草剤抵抗性及び/又は耐性である植物の製造方法が提供される。本発明のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含有する植物の除草剤抵抗性及び/又は耐性は、対照同類植物と比較することができる。対照同類植物という用語は、本発明による植物とほぼ同様であるが、しかし本発明によるポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含有することはない植物に関する。典型的には、対照同類植物は、天然型又は形質転換されていない、同じ又は同様の植物種から成る植物を有することになる。
【0075】
本発明の別の観点において、SEQ ID NO:13として示された配列を含むポリヌクレオチドが提供される。特定の実施態様の場合、SEQ ID NO:13として示された配列から成るポリヌクレオチドが提供される。本発明はさらに、SEQ ID NO:14として示されたタンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と87%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と90%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と91%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と92%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と93%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と94%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と95%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と96%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と97%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と98%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。本発明はさらに、SEQ ID NO:13として示された配列と99%以上の同一性を有するポリヌクレオチド配列を提供し、前記配列はやはりフィトエン・シンターゼをコードすることになる。
【0076】
本発明は、SEQ ID NO:14として示された配列を有するタンパク質、又はSEQ ID NO:14と82%以上の同一性を有する変異体を提供し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と85%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と90%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と91%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と92%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と93%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と94%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と95%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と96%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と97%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と98%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体は、SEQ ID NO:14と99%以上の同一性を有し、前記変異体はやはりフィトエン・シンターゼ活性を提供する。さらに別の実施態様の場合、前記変異体をコードするポリヌクレオチドが提供される。フィトエン・シンターゼ活性は、変異体タンパク質が、SEQ ID NO:14として示されたタンパク質と同じ又は同様の機能を有することを意味する。タンパク質の配列同一性のパーセンテージは、比較ウィンドウ上で任意にアラインさせられた2つの配列を比較することにより測定される。比較ウィンドウ内のアミノ酸配列部分は、2つの配列の最適なアラインメントに対応する初期基準配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(すなわちギャップ)を含むことがある。パーセンテージは、同一のアミノ酸残基が両配列内で発生する位置の数を測定して、マッチ位置の数を出し、マッチ位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割算し、そしてその結果に100を掛算することにより配列同一性のパーセンテージを出すことによって計算される。比較のための最適な配列アラインメントは、周知のアルゴリズム、例えばAltschul, Stephen F., Thomas L. Madden, Alejandro A. Schaffer, Jinghui Zhang, Zheng Zhang, Webb Miller,及びDavid J Lipman(1997), "Gapped BLAST及びPSI-BLAST: a new generation of protein database search programs", Nucleic Acids Res. 25:3389-3402のコンピュータ実行によって行うこともできる。ポリヌクレオチド配列間のパーセンテージ配列同一性の計算を可能にするアルゴリズムも、当業者に利用可能である。変異体は、特に同類置換によって、SEQ ID NO:14として示されたタンパク質とは異なることがある。このような同類置換は上述されている。
【0077】
次に、下記図面及び配列表を参照しながら、下記非限定的な実施例によって本発明を説明する:
SEQ ID NO:1 = 12423 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-Psy(トウモロコシ-gb)-nos
SEQ ID NO:2 = 12421 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-Psy(トウモロコシ-E1B)-nos
SEQ ID NO:3 = 12422 = Glu-SSU-crtI-Nos-Glu-Psy(トウモロコシ-E1B)-nos
SEQ ID NO:4 = 12424 = Glu-SSU-crtI-Nos-Glu-Psy(トウモロコシ-gb)-nos
SEQ ID NO:5 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-Psy(トウモロコシ)-nos
SEQ ID NO:6 = 11586 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-Psy(イネ)-nos
SEQ ID NO:7 = 7651 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-Psy(トウガラシ)-nos
SEQ ID NO:8 = 7650 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-Psy(トマト)-nos
SEQ ID NO:9 = Glu-Cat-SSU-crtI-Nos-Glu-Cat-SSU-Psy(crtB)-nos
SEQ ID NO:10 = フィトエン・シンターゼgb(トウモロコシ)
SEQ ID NO:11 = 上記SEQ ID NO:5由来のフィトエン・シンターゼ(トウモロコシ)
SEQ ID NO:12 = フィトエン・シンターゼE1B(トウモロコシ)
SEQ ID NO:13 = フィトエン・シンターゼ(コメ)
SEQ ID NO:14 = フィトエン・シンターゼ(コメ)タンパク質
SEQ ID NO:15 = フィトエン・シンターゼ(トウガラシ)
SEQ ID NO:16 = フィトエン・シンターゼ(トマト)
SEQ ID NO:17 = フィトエン・シンターゼ(Erwinia crtB)
SEQ ID NO:18 = SEQ ID NO:1-4に使用されるカロチン・デサチュラーゼ(Erwinia crtI)
SEQ ID NO:19 = カロチン・デサチュラーゼ(Erwinia crtI)
SEQ ID NO:20 = グルテリン種子優先プロモーター
SEQ ID NO:21 = プロラミン種子優先プロモーター
SEQ ID NO:22 = カタラーゼ遺伝子由来のイントロン
SEQ ID NO:23 = 輸送ペプチド(小サブユニットRubisco)
SEQ ID NO:24 = ノパリン・シンターゼ遺伝子由来の転写終止領域
SEQ ID NO:25 = 35S CaMV由来の転写終止領域
SEQ ID NO:26 = ジャガイモ由来プロテイナーゼ・インヒビター由来の転写終止領域
SEQ ID NO:27 = カロチン・デサチュラーゼ(トマト)
SEQ ID NO:28 = カロチン・デサチュラーゼ(トウガラシ)
SEQ ID NO:29 = カロチン・デサチュラーゼ(トウモロコシ)
SEQ ID NO:30 = カロチン・デサチュラーゼ(イネ)
SEQ ID NO:31 = ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(トマト)
SEQ ID NO:32 = ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(トウガラシ)
SEQ ID NO:33 = ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(トウモロコシ)
SEQ ID NO:34 = ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ(イネ)
SEQ ID NO:35〜38 = プライマー
Glu = グルテリン種子優先プロモーター
Pro = プロラミン種子優先プロモーター
Cat = カタラーゼ遺伝子のイントロン
SSU = 輸送ペプチド(小サブユニットRubisco)
CrtI = Erwinia由来のカロチン・デサチュラーゼ
Pds = カロチン・デサチュラーゼ(起源はカッコ内に示す)
Psy = フィトエン・シンターゼ(起源はカッコ内に示す)
Zds = ゼータ-カロチン・デサチュラーゼ
Pds =フィトエン・デサチュラーゼ
Nos = ノパリン・シンターゼ遺伝子由来の転写終止領域
35S term = 35S CaMV由来の転写終止領域
PotP1-II term =プロテイナーゼ・インヒビター形ジャガイモ由来の転写終止領域
【実施例】
【0078】
Sambrook他(1989)「Molecular cloning: A laboratory Manual」第2版、Cold Spring Harbour Lab. Pressに従って、一般的な分子生物学法を行う。
【0079】
1.0 植物バイナリー・ベクターの構築
EMBLデータベース上に挙げられているように、下記遺伝子配列の基準を提供する。このデータベースは、European Bioinformatics Institute(Patricia Rodriguez-Tome, Peter J. Stoehr, Graham N. Cameron及びTomas P. Flores, "The European Bioinformatics Institute(EBI) databases", Nucleic Acids Res. 24:(6-13), 1996, www.ebi.ac.uk)によって維持され、配信されている。
【0080】
植物形質転換ベクター全てのクローニングのために、pUC系ベクターpPRP0117(図2)を使用した。このベクターは、イネ・グルテリン遺伝子のヌクレオチド-806〜+33をプロモーター(Y00687)として含有し、また、ATG配列を除去するように改変されたトウゴマ由来のカタラーゼ-1遺伝子の第1イントロンと、gusコード領域と、nosターミネーターとを含有する。pPRP0117をNco1及びSfi1で消化することによりgusコード配列を除去し、そしてカロチノイド・フィトエン・シンターゼ遺伝子又はフィトエン・デサチュラーゼ遺伝子のコード領域と置換するか、或いは、pPRP0117をNco1及びPac1で消化することにより、gus::nosカセットとしてgusコード配列を除去し、そして下記のようなカロチノイド・コード領域/nosターミネーター融合体で置換した。
【0081】
1.1 pPRP0117 +crtIベクターの構築
細菌フィトエン・デサチュラーゼCrtI(D90087)及びnosターミネーターに融合されたエンドウ豆リブロース・ビスホスフェート・カルボキシラーゼの小サブユニット(SSU)(X00806)のシグナル・ペプチドのカセットを、pPRP0117のNco1及びPac1部位内にクローニングした。コンストラクト7651, 7650及び11586内のcrtI配列は、クローニング目的でNotI制限部位を内蔵するために、最初のATGの後に挿入された9つのヌクレオチド(3つのアラニン)を余分に有した。
【0082】
1.2 pJH0104HygCrtIバイナリー・ベクターの構築
SgfI Gt::イントロン::SSUcrtI::nosカセットを、バイナリー・ベクターpJH0104+HygのPacI部位(抗生物質選択のためのハイグロマイシン抵抗性遺伝子を含有)中にクローニングすることにより、コンストラクトpJH0104HygSSUCrtIを提供した。
【0083】
1.3 トウガラシpsy + crtIコンストラクト7651
カタラーゼ・イントロン及びトウガラシpsy(X68017)を、両配列とオーバーラップするプライマーを用いたPCRによって別個に増幅し、次いで組換えPCRによって融合し、そしてpPRP0117のEcoRI及びSfiI部位内にクローニングした。Gt::イントロン::トウガラシpsy::nosカセットをSgfI消化によって回収し、これをpJH0104HygCrtIのPacI部位内にクローニングすることによりコンストラクト7651をもたらした。
【0084】
1.4 トマトpsy + crtIコンストラクト7650
カタラーゼ・イントロン及びトマトpsy(Y00521)を、両配列とオーバーラップするプライマーを用いたPCRによって別個に増幅し、次いで組換えPCRによって融合し、そしてpPRP0117のEcoRI及びSfiI部位内にクローニングした。Gt::イントロン::トマトpsy::nosカセットをSgfIによって回収し、これをpJH0104HygCrtIのPacI部位内にクローニングすることによりコンストラクト7650をもたらした。
【0085】
1.5 イネpsy + crtIコンストラクト11586
polyA mRNAをイネ葉(Asanohikari)から抽出した。イネpsy cDNAの第1鎖を、アンチセンス・プライマー5' cgtcggcctgcatggccctacttctggctatttctcagtg 3'(SEQ ID NO:35)を使用して合成し、次いでこのアンチセンス・プライマー及びセンス・プライマー5'ctgtccatggcggccatcacgctcct 3'(SEQ ID NO:36)を用いたPCR増幅によって、cDNAを得た。これをNco1及びSfiIで消化し、そしてpPRP0117中にクローニングした。Gt::イントロン::イネpsy::nos断片をバイナリー・ベクターpJH0104Hygに転移させた。HindIII/PacI Gt:: イントロン::SSUcrtI::nosカセットを平滑末端形成し、そしてpJH0104HygコメpsyベクターのPme1部位内にクローニングすることにより、コンストラクト11586を提供した。
【0086】
1.6 トウモロコシpsy(E1B) + crtIコンストラクト12421
polyA mRNAをトウモロコシ葉から抽出した。トウモロコシpsy (「E1B」と称される配列)cDNAの第1鎖を、アンチセンス・プライマー5' cgatggcctgcatggccctaggtctggccatttctcaatg 3'(SEQ ID NO:37)を使用して合成し、次いでこのアンチセンス・プライマー及びセンス・プライマー5'taggataagatagcaaatccatggccatcata 3'(SEQ ID NO:38)を用いたPCR増幅によって、cDNAを得た。これをNco1及びSfiIで消化し、そしてpPRP0117系ベクターのNco1及びSfi1部位中にクローニングした。Gt::イントロン::トウモロコシpsy::nosカセットを、HindIII/Pac1消化によって回収し、そしてこれを、Gt::イントロン::SSUcrtI::nosカセットを含有するバイナリー・ベクター内にクローニングすることにより、コンストラクト12421を提供した。
【0087】
1.7 トウモロコシpsy(E1B) + crtIコンストラクト12422
pPRP0117主鎖(上記12421のコンストラクトに由来)内のGt::イントロン::トウモロコシpsy::nosカセットを有するベクターを、イントロンの側面について制限酵素で消化し、続いてベクターの再ライゲーションにより、カタラーゼ・イントロンを除去した。Gt::トウモロコシpsy::nosカセットをHindIII/Pac1消化によって回収し、そしてこれを、Gt:: SSUcrtI::nosカセットを含有するバイナリー・ベクター内にクローニングすることにより、コンストラクト12422を提供した。
【0088】
1.8 トウモロコシpsy + crtIコンストラクト12423
Y1トウモロコシpsy(U32636)cds配列を、それぞれ5'及び3'末端で付加されたNco1及びSfi1制限部位で合成した。これをpPRP0117系ベクターのNco1及びSfi1部位内にクローニングした。Gt::イントロン::トウガラシpsy::nosカセットをHindIII/Pac1消化によって回収し、そして、Gt::イントロン::SSUcrtI::nosカセットを含有するバイナリー・ベクター内にクローニングすることにより、コンストラクト12423を提供した。
【0089】
1.9 トウモロコシpsy + crtIコンストラクト12424
pPRP0117主鎖(上記12423の構造に由来)内のGt::イントロン::トウモロコシpsy::nosカセットを有するベクターを、イントロンの側面について制限酵素で消化し、続いてベクターの再ライゲーションにより、カタラーゼ・イントロンを除去した。Gt::トウモロコシpsy::nosカセットをHindIII/Pac1消化によって回収し、そしてこれを、Gt::SSUcrtI::nosカセットを含有するバイナリー・ベクター内にクローニングすることにより、コンストラクト12424を提供した。
【0090】
2.0 植物形質転換のためのベクターの構築
Agrobacteriumを利用する植物形質転換のためのベクターを提供する時には、本発明による配列を単一TDNA領域の境界領域間に挿入することが好ましい。当業者によく知られた方法に従って、且つ/又は本明細書中に開示された方法によって、Agrobacteriumを形質転換することができる。
【0091】
3.0 イネの形質転換
Hiei他(1994 The Plant Journal, 6(2), 271-282)によって発表されたプロトコルに基づく。極めて重要な修飾は、標準的なバイナリー・ベクターと組み合わせて超毒性菌株を使用することを伴う。
【0092】
基本的な手順は次の通りである:
成熟したイネ種子(Asanohikari)を脱穀し、1分間にわたって70%エタノールによって、続いて30分間にわたって4%次亜塩素酸ナトリウム + Tweenによって表面滅菌する。次いでカルス誘導培地(CIM)(N6塩、N6ビタミン、30 g/l スクロース、1 g/l カゼイン加水分解物、2 mg/l 2,4-D、pH5.8、4 g/l Gelrite)上に、種子を播種し、そして30℃の暗所内に置く。3週間後、胚形成カルスを分離し、そしてCIM上にプレーティングし、そして同じ条件下で置く。同時に、カナマイシン(50 mg/l)を含むLBプレート上に接種材料を広げることにより、Agrobacterium培養物(AGL1菌株及びバイナリー)を樹立する。3日後、Agrobacteriumをプレートからかき取り、AA1 + AS(AA塩、B5ビタミン、AAアミノ酸、68.5 g/l スクロース、36 g/lグルコース、0.5 g/l カゼイン加水分解物、100 μM アセトシリンゴン, pH 5.2)中で、600 nmにおける光学濃度0.1まで再懸濁する。胚形成カルスに10分間にわたってAgrobacterium溶液を接種し、その後、R2COMAS(R2 Micro塩、1/2 R2 Macro塩、B5ビタミン、20 g/l スクロース、10 g/l グルコース、1 g/l カゼイン加水分解物、2 mg/l 2,4-D、100 μM アセトシリンゴン, pH 5.2)のプレート上にカルスを広げ、そして26℃の暗所内に置いた。3日後、カルスを選択培地(N6塩、N6ビタミン、30g/l スクロース、1g/l カゼイン加水分解物、2 mg/l 2,4-D、300 mg/l Timentin、50 mg/l ハイグロマイシン、4 g/l Gelrite、pH5.8)上に移し、そして30℃の明所内に置いた。以下の工程の全ては同じ成長条件(明、30℃)下で発生する。3週間後、推定上のトランスジェニック・カルスを、前再発生培地(N6塩及びビタミン、30g/l スクロース、1g/l カゼイン加水分解物、1 mg/l 2,4-D、300 mg/l Timentin、50 mg/l ハイグロマイシン、6 g/l Gelrite、pH5.8)上に移す。2週間後、良品質胚形成カルスを再生培地(N6 Micro、1/2 N6 Macro塩、N6ビタミン、AAアミノ酸、20 g/l スクロース、1 g/l カゼイン加水分解物、0.2 mg/1 NAA、1 mg/1 キネチン、50 mg/l ハイグロマイシン、pH 5.8、Gelrite 6g/l)上に移す。3週間後、再生する小植物を発根培地(1/2 MS塩、1/2 B5ビタミン、10 g/l スクロース、25 mg/l ハイグロマイシン、pH 5.8、8 g/l ミクロ寒天)に継代培養する。2週間後、頑丈な根系を有する小植物を土壌(50% John Innes #3、50% 泥炭、26℃、16時間の明期)に移し、植物が定着するまでこれにフリースを被せる。
【0093】
4.0 イネ形質転換体内のカロチノイドの分析
成熟時に収穫された種子から、カロチノイドを抽出する。TR-200 Electromotion Rice Huskerを用いて種子を脱穀し、次いでPearlestポリッシャー(Kett)で1分間にわたって研磨する。白色種子又は変色種子をいずれも除去し、そしてGlen Creston 8000 Mixer/Millを使用して2分間にわたって、0.5 gの試料を粉砕する。この方法によって、全部で1gの粉砕された材料/植物を得ることができる。粉末の2 x 0.5g部分を抽出する前に、これを十分に混ぜ合わせることができる。次いで、回収物の定量化のために、標準化合物を試料に添加することができる。使用することができる標準化合物は、アスタキサンチン及びエキネノンである。試料を1 mlの水と水和し、そして数秒間にわたってボルテックスを使用して混合する。次いで、6 mlのアセトンを添加し、そして試料を2分間にわたって超音波処理する。試料を3500 rpmで5分間にわたって遠心分離する。上澄みをデカントし、そして試料を3mlのアセトンでさらに2回にわたって再抽出し、各抽出間に超音波処理/遠心分離工程を反復する。超音波処理/遠心分離工程を含めて、2 mlのtert-メチルブチルエーテルによる1抽出を行い、そして1試料の全ての上澄みを一緒にプールする。各抽出物の総容積をアセトンで14mlに調節し、そして遠心分離工程を繰り返す。各試料の2mlのアリコートを、窒素ガス流のもとで乾燥するまで蒸発させる。これらのアリコートを75 μlのエチルアセテート中に再溶解し、5〜10秒間にわたってボルテックスにかけ、次いで琥珀色HPLC挿入バイアルに移す。バイアルを直ちに密封し、HPLC分析の前に3500 rpmで再び遠心分離する。
【0094】
HPLC定量化は、各参照標準に対応して見極められた応答ファクターに基づく。調製され溶解された参照照準の全濃度は、発表されたモル吸光係数に基づいて、及び/又は、1cm経路長(A1%1cm)を用いて1%濃度の溶液に関して測定された吸光度に基づいて、分光光度法で測定される(参照:Britton G., Liaanen-Jensen S.及びPfander H. P.(1995) Carotenoids: Spectroscopy 第1B巻、第57-62頁、Birkhauser Verlag、Basel、ISBN 3-7643-2909-2)。それぞれの標準原液に対して、主成分の純度をHPLCによって測定する。参照標準を入手できない成分、例えば種々のcis異性体に関しては、β-カロチンの参照標準に対応する応答ファクターを用いて定量結果を表す。
【0095】
【表2】

【0096】
【表3】

【0097】
【表4】

【0098】
5.0 カロチノイドのHPLC定量化の結果:
コンストラクト11586(上記1.5に記載されたコンストラクト)で形質転換されたイネ植物に関する結果
【0099】
【表5】

【0100】
【表6】

【0101】
6.0 イネの形質転換-コンストラクト12421、12422、12423及び12424(それぞれ実施例1.6, 1.7, 1.8及び1.9に記載されたコンストラクト)を含むAgrobacteriumを用いたイネの形質転換のために用いられる方法。
【0102】
この実施例の場合、トランスジェニック植物を作出するために、イネ(Oryza sativa)を使用する。種々のイネ品種を使用することができる(Hiei他、1994, Plant Journal 6:271-282; Dong他、1996, Molecular Breeding 2:267-276; Hiei他、1997, Plant Molecular Biology, 35:205-218)。また、下記種々の培地成分を濃度変化させるか又は置換することもできる。胚形成応答を開始し、且つ/又は、MS-CIM培地(MS基礎塩、4.3 g/L;B5ビタミン(200 x)、5 ml/L;スクロース、30 g/L;プロリン、500 mg/L;グルタミン、500 mg/L;カゼイン加水分解物、300 mg/L;2,4-D(1 mg/ml)、2 mg/L;1N KOHでpHを5.8に調節;Phytagel, 3 g/L)上で培養することにより、成熟胚から培養物を樹立させる。培養応答の初期段階における成熟胚又は樹立した培養系列に、所望のベクター構造を含有するAgrobacterium菌株LBA4404を接種し、そしてこれと共培養する。固形YPC培地(100 mg/Lスペクチノマイシン及びその他の適切な抗生物質)上のグリセロールストックから、Agrobacteriumを2日間にわたって28℃で培養する。Agrobacteriumを液状MS-CIM培地中に再懸濁する。Agrobacterium培養を0.2〜0.3のOD600まで希釈し、そしてアセトシリンゴンを最終濃度200 μMまで添加する。溶液とイネ培養とを混合する前に、Agrobacteriumをアセトシリンゴンで誘導する。接種のために、培養を細菌懸濁液中に浸漬する。細菌懸濁液を除去し、接種済培養を共培養培地上に置き、そして2日間にわたって22℃でインキュベートする。次いで、チカルシリン(400 mg/L)を有するMS-CIM培地に、培養を移すことにより、Agrobacteriumの成長を阻害する。PMI選択マーカー遺伝子(Reed他、In Vitro Cell. Dev. Biol.-Plant 37:127-132)を利用する構造のために、7日後に、炭水化物源としてマンノースを含有する選択培地(2% マンノース、300 mg/L チカルシリンを含むMS)に培養を移し、3〜4週間にわたって暗所内で培養する。次いで、抵抗性コロニーを再生誘発培地(2,4-D非含有、0.5 mg/L IAA、1 mg/L ゼアチン、200 mg/L チメンチン、2% マンノース及び3% ソルビトールを含むMS)に移し、そして14日間にわたって暗所中で成長させる。次いで、増殖するコロニーを再生誘発培地の更なるラウンドに移し、そして明るい成長室に移動する。再生された芽を2週間、GA7-1培地(ホルモン非含有の、2%ソルビトールを含むMS)に移し、次いで、これらが十分に大きくなり十分な根を有するようになったら、温室に移動する。植物を温室内の土壌に移植し、成熟するまで成長させる。
【0103】
7.0 実施例6.0に従って形質転換された植物に関する、カロチノイドの抽出/定量化法
(a)試料を40秒間にわたって1600rpmで、Geno/Grinderにおいて粉砕する。
(b)代表量の均質化試料(0.1 g)を適切な抽出容器(例えば2 mlの遠心分離管)内に計量供給する。試料重量を記録する。
(c)試料を水(200 μl)で水和し、約2〜3秒間渦流処理し、次いで約10分間にわたって静止させておく。
(d)試料にアセトン(1.2 ml)を添加する。
(e)5分間にわたって試料を超音波処理する。
(f)3分間にわたって6000 rpmで試料を遠心分離し、次いで上澄みを別の適切なサイズの管に移す。
(g)工程(d)〜(f)を繰り返し、前の抽出物と合体させる。
(h)tert-ブチルメチルエーテル(400 μl)を用いて工程(d)〜(f)を繰り返し、アセトン抽出物と合体させる。
(i)合体された抽出物の全てを適切なサイズの管内に移し、そしてこれを窒素ガス流のもとで乾燥するまで蒸発させる。
(j)2mlのエチルアセテート + 0.5 % BHT中に試料を再溶解させ、5〜10秒間にわたって渦流処理又は超音波処理し、次いでHPLC分析前に5分間にわたって3500 rpmで遠心分離する。
(k)全ての試料に関して分光光度計上で、波長450 nmにおける吸収を測定し、そして、総カロチノイド濃度をε値124865に基づいて計算する。
【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
【表9】

【0107】
【表10】

【0108】
【表11】

【0109】
【表12】

【0110】
上記参照した実施例及び本明細書中に記載した配列表及び図面によって、本発明を説明してきたが、本発明の範囲内に含まれる改変形及び変更形を実施できることは明らかである。
【0111】
【表13】

【0112】
【表14】

【0113】
【表15】

【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】GGPP(ゲラニルゲラニルジホスフェート)から出発するカロチノイド生合成経路の一部。
【図2】コンストラクトpPRP0117。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリヌクレオチドであって:
(a)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)カロチン・デサチュラーゼをコードする細菌由来のヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む領域;及び
(b)(i)種子優先発現を可能にするプロモーターと、(ii)トウモロコシ(Zea種)又はイネ(Orzya種)に由来する、フィトエン・シンターゼをコードするヌクレオチド配列と、(iii)転写終止領域とを、作用可能に連結した構成成分として含む別の領域
を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
該カロチン・デサチュラーゼをコードする該配列が、Erwinia種に由来する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記プロモーターが、グルテリン1・プロモーター及びプロラミン・プロモーターから選択され、そして前記転写終止領域が、Nos; CaMV 35S及びPotP1-II転写終止領域から選択される、請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
カロチン・デサチュラーゼをコードする該配列、及びフィトエン・シンターゼをコードする該配列は、さらに、色素体標的配列をコードする配列を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記領域及び/又は前記別の領域がさらにイントロンを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
SEQ ID NO:1; 2; 3; 4;及び6として示された群から選択された配列を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
6 x SSC、0.01% SDS及び0.25%のスキムミルク粉末を含有する溶液中約65℃の温度で、請求項6に記載のポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、続いて0.2 x SSC及び0.1% SDSを含有する溶液中で同じ温度ですすぎが施される、配列の相補体であるポリヌクレオチド配列であって、前記ポリヌクレオチド配列が、カロチン・デサチュラーゼをコードする領域と、フィトエン・シンターゼをコードする別の領域とを依然として含み、そして前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して増量したカロチノイドを生成する、ポリヌクレオチド配列。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して60倍以上増量したカロチノイドを生成する、請求項7に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項9】
前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、対照同類種子と比較して350倍以上増量したカロチノイドを生成する、請求項7に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項10】
前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり10μg以上のレベルでカロチノイドを生成する、請求項7に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項11】
前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、前記種子の内胚乳1g当たり15μg以上のレベルでカロチノイドを生成する、請求項7に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項12】
6 x SSC、0.01% SDS及び0.25%のスキムミルク粉末を含有する溶液中約65℃の温度で、請求項6に記載のポリヌクレオチドとハイブリッド形成し、続いて0.2 x SSC及び0.1% SDSを含有する溶液中で同じ温度ですすぎが施される、配列の相補体であるポリヌクレオチド配列であって、前記ポリヌクレオチド配列が、カロチン・デサチュラーゼをコードする領域と、フィトエン・シンターゼをコードする別の領域とを依然として含み、そして前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の80%以上に達するカロチノイドを生成する、ポリヌクレオチド配列。
【請求項13】
前記ポリヌクレオチド配列が植物材料中に挿入されると、前記材料から再生された植物の種子は、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドを含む種子のカロチノイド含量の100%以上に達するカロチノイドを生成する、請求項12に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項14】
前記種子がイネ種子である、請求項7から13までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド配列。
【請求項15】
さらに、選択マーカーをコードする領域をさらに含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列。
【請求項16】
前記選択マーカーが、マンノース-6-ホスフェートイソメラーゼ遺伝子を含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列。
【請求項17】
特定の植物種における発現に関して最適化されたコドンである、請求項1から16までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列。
【請求項18】
前記植物種がイネ(Orzya種)である、請求項17に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列。
【請求項19】
ベクターであって、請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列を含むベクター。
【請求項20】
種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、又は請求項19に記載のベクターを植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法。
【請求項21】
種子のカロチノイド含量を増大させる方法であって、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択された配列を含むポリヌクレオチドを植物材料中に挿入し、そして前記材料から種子含有植物を再生し、そして、対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を同定することを含む、種子のカロチノイド含量を増大させる方法。
【請求項22】
前記種子は、対照同類種子と比較して60倍以上増量したカロチノイドを含有する、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記種子は、対照同類種子と比較して350倍以上増量したカロチノイドを含有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり10μg以上のレベルでカロチノイドを含有する、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項25】
前記種子は、前記種子の内胚乳1g当たり15μg以上のレベルでカロチノイドを含有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記カロチノイドが、リコペン;アルファ-カロチン;ルテイン;ベータ-カロチン;ゼアンチン;アンテラキサンチン;ビオラキサンチン;及びネオキサンチン又はこれらの組み合わせから選択される、請求項20から25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
請求項20から26までのいずれか1項に記載の方法によって得られる種子。
【請求項28】
イネ種子である、請求項27に記載の種子。
【請求項29】
請求項27又は28に記載の種子を含む植物。
【請求項30】
請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、あるいは請求項19に記載のベクターを含む植物又は植物材料。
【請求項31】
イネ植物又はイネ植物材料である、請求項30に記載の植物又は植物材料。
【請求項32】
トウモロコシ植物又はトウモロコシ植物材料である、請求項30に記載の植物又は植物材料。
【請求項33】
さらに、昆虫抵抗性及び/又は耐性;線虫抵抗性及び/又は耐性;除草剤抵抗性及び/又は耐性;改善されたストレス抵抗性及び/又は耐性;薬学的活性を有する物質;並びに任意のその他の所望の農学的形質から成る群から選択された形質を提供するポリヌクレオチドをさらに含む、請求項29から32までのいずれか1項に記載の植物。
【請求項34】
増大したカロチノイドを含有する種子を製造する方法における、請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、あるいは請求項19に記載のベクターの使用。
【請求項35】
対照同類種子よりも高いレベルのカロチノイドを含有する種子を製造するための、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドの使用。
【請求項36】
前記ポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチド配列、又は前記ベクターを含む植物を製造する方法における、請求項1から18までのいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド配列、あるいは請求項19に記載のベクターの使用。
【請求項37】
前記ポリヌクレオチドを含む植物を製造する方法における、SEQ ID NO:1; 2; 3; 4; 5及び6として示された群から選択されたポリヌクレオチドの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−521107(P2006−521107A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505998(P2006−505998)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001241
【国際公開番号】WO2004/085656
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(501008820)シンジェンタ リミテッド (33)
【Fターム(参考)】