説明

植物掘り起し装置

【課題】
煙草抜根機において、堀起した煙草の残幹から泥を落しながら後方へ円滑に排出する排出装置を提供する。
【解決手段】
駆動装置80の左右両側から下方に延出している伝動ケース27と支持部材の間に左右方向の回転軸回りに回転する堀起し体24を設け、駆動装置80の下方で且つ堀起し体24の上方部位には堀起し体24により掘り起こされた煙草の残幹に接触する紐状体95を左右方向に所定間隔毎に垂下して設け、紐状体95の下方部位で且つ堀起し体24により後方部位に煙草の残幹を受けて後方へ排出する排出体98を後下がり傾斜状に設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作物の収穫後に圃場に残される、残幹や残根等を圃場から掘り起こす植物掘起し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の植物掘起し機には、トラクタ等の作業車両から駆動力を受けて回転する掘起し体で、作物の残幹や残根を畝から掘り起こして機体後方の畝上に排出するものが存在する。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−271835号公報
【特許文献2】特開2009− 11248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された植物掘起し装置では、残幹や残根を畝から掘り起こして機体の後方に排出することはできるものの、幹の下部や根部に付着した土を殆ど落とすことができず、畝上で天日乾燥を行なう場合、乾燥するまでの時間が長くなってしまうという問題がある。
【0005】
そして、この付着した土を人手で落とそうとすると作業者の労力が増加し、また土と共に落とされる根部の切れ端が土中で再生し、連作障害を引き起こし得る菌類やウィルスの発生源となる問題がある。
【0006】
また、従来の植物掘起し機では、ある程度丈の長い残幹であれば、掘起し回転体の回転と上部のガイド板が機体後方に排出される姿勢を規制するので、畝上には倒伏した姿勢で放出されるものの、丈の短い残幹は上部のガイド板に接触せずに機体後方に排出されることがあり、根部から畝上に着地し、そのまま再び圃場に根付いてしまい、再び掘起し装置で掘り起こさねばならなくなる問題がある。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、駆動装置(80)の左右両側から下方に延出している伝動ケース(27)と支持部材との間に左右方向の回転軸回りに回転する堀起し体(24)を設け、該駆動装置(80)と堀起し体(24)の上部で且つ機体後側に堀起し体(24)で掘り起こした植物に接触する複数の接触体(95)を機体左右方向に所定間隔毎に垂下して設け、該接触体(95)の下方で且つ堀起し体(24)の後方に植物を受けて後方へ排出する排出体(98)を後下がり傾斜姿勢で設けたことを特徴とする植物堀起し装置とした。
【0009】
請求項2の発明は、前記接触体(95)を鎖状部材(95a)で構成し、該鎖状部材(95a)の下端部に鎖状部材(95a)よりも大径の輪体(96)を取り付けたことを特徴とする請求項1記載の植物堀起し装置とした。
【0010】
請求項3の発明は、前記堀起し体(24)の堀起し部の左右方向中央部に大径の排土部材(100)を傾斜状に設けたことを特徴とする請求項1記載の植物堀起し装置の植物掘り起し装置とした。
【0011】
請求項4の発明は、前記排出体(98)を複数の棒状体(98b)を所定間隔毎に配置して構成したことを特徴とする請求項1記載の植物堀起し装置とした。
請求項5の発明は、前記排出体(98)の前後端部に駆動回転体(102a)と従動回転体(102b)とを設け、該駆動回転体(102a)と従動回転体(102b)とに搬送無端帯(102c,102c)を夫々巻回して設け、該搬送無端帯(102c,102c)の左右間に前記棒状体(98b)を所定間隔ごとに設けて駆動排出装置(102)を構成し、該駆動排出装置(102)の駆動回転体(102a)と前記伝動ケース(27)とを第2伝動ケース(104)で連結したことを特徴とする請求項4記載の植物堀起し装置とした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、掘起し体(24)で掘り起した植物の幹部や根部に付着した土を接触体(95)に接触させて落とすことにより、掘り起こした植物を太陽光や風に直接晒さして迅速に乾燥させることができるので、植物の回収作業を迅速に行え、作業能率が向上する。
【0013】
また、植物を乾燥させることにより、植物に連作障害の原因となる菌類やウィルスが繁殖することが防止され、土壌の汚染を防止することができる。
そして、接触体(95)を垂下して設けたことにより、接触体(95)は360度どの方向にでも揺動するため、掘起し体(24)が掘り起こした植物の周囲に揺動移動しつつ接触し、幹部や根部に付着した土を叩き落としながら植物を後方へ円滑に排出することができ、作業能率が向上する。
【0014】
さらに、掘起し体(24)の後方に排出体(98)を後下がり傾斜状に設けたことにより、掘り起こされた植物は排出体(98)を滑り降りて掘起し体(24)の周回軌跡よりも後方に排出されるので、掘り起こされた植物が掘起し体(24)に巻き込まれて詰まることを防止でき、詰まった植物を取り除く作業が必要なく作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
【0015】
また、掘り起こされた植物が掘起し体(24)の回転に巻き込まれて裁断されたり、土をかけられて圃場に埋没することが防止されるので、乾燥していない植物が圃場に埋められて連作障害の原因となる菌類やウィルスが繁殖することを防止でき、土壌の汚染が防止される。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、接触体(95)を鎖状部材(95a)で構成したことにより、掘り起こした植物の周辺に接触体(95)を円滑に移動させることができるので、掘り起こした植物を後方へ円滑に排出することができる。
【0017】
また、鎖状部材(95a)の下端部に大径の輪体(96)を取り付けて下方へ垂下させたことにより、鎖状部材(95a)の下端部に重量が集中するので、掘り起こした植物が機体後方に排出される際の抵抗となり、植物が後方に飛び出すことを防止できるので、植物が根部から圃場に落ちて再び根付き、再度植物掘起し装置を用いて掘り起こす作業が必要なくなり、作業能率が向上する。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、掘り起し体(24)の掘り起し部の左右方向中央部に大径の排土板(100,100)を傾斜姿勢で設けたことにより、畝に植生する植物を掘り起こす際に畝の中央部を崩して左右溝部に移動させることができるので、植物の掘り起こし作業後の圃場形成が円滑に行なわれる。
【0019】
また、畝溝に植生している雑草等を埋没させて枯死させることができるので、圃場の養分が増加し、次の植物の生育が良好になる。
そして、掘起し体(24)が掘り起こした植物に土を跳ねかけることが防止され、掘り起こした植物を太陽光や風に直接晒して迅速に乾燥させることができるので、植物の回収作業が迅速に行えるので作業能率が向上する。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、複数の棒状体(98b)を所定間隔毎に配置して排出体(98)を構成したことにより、排出中の植物に付着している土や夾雑物を棒状体(98b)同士の間を通して圃場に落下させることができるので、植物の乾燥が促進されて、回収作業を迅速に行えると共に、連作障害の発生が防止される。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加えて、排出体(98)に複数の棒状体(98b)を左右の搬送無端帯(103c,103c)に所定間隔ごとに設けた駆動排出装置(102)を構成したことにより、掘起し体(24)で掘り起こした植物を駆動排出装置(102)で強制的に機体から離間させながら排出することができるので、掘り起こした植物が掘起し体(24)の回転に巻き込まれることが防止され、植物が圃場に円滑に排出される。
【0022】
また、掘起し体(24)が植物を裁断することや土中に埋め込むことを防止できるので、掘り起こされた植物の乾燥が促進されて、回収作業を迅速に行えると共に、連作障害の発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】植物掘起し装置を装着したトラクタの側面図
【図2】植物掘起し装置を装着したトラクタの正面図
【図3】植物掘起し装置の背面図
【図4】植物掘起し装置の側面図
【図5】植物掘起し装置の平面図
【図6】接触体及び排出体を設けた植物掘起し装置の側面図
【図7】接触体及び排出体を設けた植物掘起し装置の背面図
【図8】排出体の平面図
【図9】植物掘起し装置の別実施例の側面図
【図10】排出体の別実施例を示す平面図
【図11】排出体の別実施例を示す平面図
【図12】植物掘起し装置の別実施例を示す側面図
【図13】植物掘起し装置の別実施例を示す平面図
【図14】植物掘起し装置の別実施例を示す側面図
【図15】植物掘起し装置の別実施例を示す背面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について説明する。
なお、本明細書では農業用トラクタを走行車両として、幹の上部ごと茎葉を収穫した後に圃場に残される煙草の残幹と根部を抜根する煙草抜根機を例に説明する。またトラクタの前進する方向を前、後退する方向を後といい、前進方向に向かって左側と右側をそれぞれ左右という。
【0025】
煙草抜根機は、機体の側方前後に左右の前輪2と後輪3とを夫々設け、該左右の前輪2と後輪3との間をメインフレーム4及び伝動ケース6で連結している。該伝動ケース6は図示しないクラッチハウジングや、フロント、ミッド、リヤミッションケース等からなり、ボルト、ナット等の締付具を介して組付けた前後方向の枠体であり、前記メインフレーム4の上方のエンジン(図示せず)周りは開閉自在のボンネット7で覆われ、該ボンネット7の後部にはハンドル8とハンドルコラム10等を取り付ける。
【0026】
前記左右の後輪3の左右間に設ける伝動ケース6の上方には運転席11を配置し、左右の後輪3の上方から前方部と内側方はフェンダー12で覆われ、作業機昇降用のレバー(図示せず)が運転席11の右側方に臨み、運転席11の左側には走行変速用レバー13が配置されている。上記構成を本実施例では走行車両と呼称する。
【0027】
前記メインフレーム4の前方には煙草の残根を圃場面に向けて押し倒すためのバンパー15と、残幹の長さに合わせて該バンパー15を上下動させる平行リンク機構16と、該平行リンク機構16を上下回動させる昇降シリンダ17とを設ける。
【0028】
前記バンパー15は、走行車両の旋回中は昇降シリンダ17で上昇位置に保持することにより、走行車両の旋回動作を妨げないので、操作性や作業能率が向上する。
前記伝動ケース6の後方には図示しない油圧シリンダを内部に配置した油圧シリンダケースを設け、該油圧シリンダケースの左右両側には一対のリフトアーム(図示省略)を回動自由に枢支している。前記の油圧シリンダ等によりロータリ式の抜根ロータリ24が昇降自在及び左右にローリング自在に連結されている。
【0029】
該抜根ロータリ24を含む前記走行車両の後方に連結される農作業用の装置を、本実施例では作業機と呼称する。
エンジンからの動力が前記伝動ケース6から後方に向けて突き出されるPTO軸25からユニバーサルジョイント23を介して受け軸80aに伝達され、受け軸80aにはベベルギア(図示せず)が軸着されており、伝動軸81に軸着したベベルギアと噛み合わせて動力が伝動ケース80(図3)内の伝動軸81に伝達され、更に伝動軸81から伝動ケース27内の従動スプロケット90からチェーン91を介して駆動スプロケット92に動力伝達され回転駆動する構成を抜根ロータリ24は備えている。なお、従動スプロケット90、チェーン91、駆動スプロケット92などをまとめてチェーン伝動機構と呼称する。
【0030】
また、伝動ケース80はその左右両側に連結した連結フレーム22を介してトップリンク20に連結している。
図3から図5に示すように、ロータリ式の抜根ロータリ24は走行車両の進行方向に対して左右方向姿勢の回転軸心24a(図3の一点鎖線24a)と、該回転軸心24aを中心として回転する左右の支持プレート24b,24bを設け、該左右の支持プレート24b,24bの左右間に掛け渡して配置する。そして、前記バンパー15で押し倒した植物を、その根から掘り起こす掘起し刃24c…を取付プレート24fにボルト等により取り付けている。
【0031】
具体的には、図3に示すように、左右の支持プレート24b,24bに取付プレート24fが各々3つずつ溶着されており、左右の取付プレート24fの左右間に掘起し刃24c…を夫々ボルト等で固定して取り付けている。
【0032】
前記抜根ロータリ24の外周部で且つ左右の支持プレート24a,24bよりも左右内側に、左右の支持プレート24a,24bも大径の案内プレート24d,24dを左右両側部に配置すると共に、抜根ロータリ24の左右方向の内部中間部には支持プレート24a,24bと略同径の補強板24eを配置している。
【0033】
また、前記抜根ロータリ24の上方を左右方向の幅よりも幅広なガイドカバー43で被覆し、このガイドカバー43を伝動ケース80の下部に取り付け、抜根ロータリ24の上部左右方向中央部を覆う残幹押さえ体29をガイドカバー43に取り付けている。
【0034】
機体右側に設置された伝動ケース27の反対側の機体左側には軸受部材として左側板85Lが配置され、伝動ケース27にも右側板85Rが配置されている。これら左右側板85L、85Rはボルト83により外側から伝動ケース80や伝動ケース27に固定されている。そして、図3に示すように、右側の側板85Rは伝動ケース27に固定されており、左側の側板85Lは伝動ケース80とメインカバー43aの側面に固定されている。
【0035】
また、抜根ロータリ24の支持部側のブラケット36は伝動ケース80の中央部に設けており、作業車両のトップリンク20に接続するためのものである。
抜根ロータリ24の回転軸心24aは、伝動ケース27内のチェーン伝動機構により駆動される駆動軸の回転中心であり、安全性を考慮して回転軸カバー24aaにより囲まれている。そして、伝動ケース27は左右方向に配置された伝動ケース80と一体であり、駆動用チェーン91には伝動ケース6からの動力が伝動ケース80内の伝動軸81から伝達される構成であり、抜根ロータリ24は図4の矢印A方向に回転する。抜根ロータリ24の回転方向は車輪2、3の前進回転方向とは逆方向であり、この方向に抜根ロータリ24が回転することで、車輪2、3の前進回転方向と同じ方向に回転する場合に比べて、より確実に残幹と根を掘り起こすことができる。また、抜根ロータリ24の回転により、その帯板24cでバンパー15で押し倒された残幹と根を圃場から掘り起こすことができる。
【0036】
また、残幹押さえ体29はその前端縁部で残幹を再び押し倒すと共に、抜根ロータリ24で掘り起こされた残幹と根が作業機の上方側に巻き込まれないようにするためのものであり、抜根ロータリ24の上方に取り付けられている。
【0037】
更に、機体の左右幅方向には作業姿勢を安定させると共に、煙草抜根機が圃場に接触して傷付くのを防止するための一対の転輪37、37を設けており、転輪37、37の回転軸37a、37aはそれぞれ支持フレーム41、41により支持され、ボス87などの取付部材によりガイドカバー43に溶接またはボルト等の固定部材により取り付けられている。そして、伝動ケース27と左右側板85L、85Rよりも前方にガイドカバー43等を支持するためのスタンド71を設けている。
【0038】
そして、図3〜図5に示すように、ガイドカバー43は、正面視コの字型(門型)のメインカバー43aと、メインカバー43aから前方に突出した突出部を有する上部カバー43bなどからなる構成である。
【0039】
上部カバー43bの後方部位はメインカバー43a内に収納されている。この上部カバー43bは、煙草の葉を収穫した根部が上方に上がらないように規制し、機体後方に排出するためのものである。根部が機体後方に正常に排出されないと、伝動ケース80等に接触して傷をつけてしまうことがあると共に、抜根ロータリ24と伝動ケース80等との間に根部が詰まって作業を中断しなければならない場合もある。したがって、上部カバー43bにより根部を押し倒して、このような不具合を防止する。
【0040】
次に、上部カバー43bとメインカバー43aの作用の違いについて説明する。
上部カバー43bは、出し入れ及び上下回動が可能な前方部位の上部カバー43baを取り付けるため、また根部を抜根ロータリ24によって機体後方に排出するための通路となる。一方、門型のメインカバー43aは、上部カバー43bを内部に収納しているため、上記のような上部カバー43bによる根部の上方移動規制の効果はなく、左右側板85L,85Rやチェーンケース27、伝動ケース80などを取り付けるための部材となっている。
【0041】
そして、本実施例の煙草抜根機によれば、ガイドカバー43と左右転輪37、37を支持する支持フレーム41、41は一体化してフレーム70を構成している。左右転輪の支持フレーム41,41の取り付け構成としては、溶接による方法でも、ボルト等の固定部材で固定する方式でも問題ない。また左右側板85L,85Rはボルト83で固定しているが、この方法に限らない。
【0042】
フレーム70の上部には、エンジンからの動力を受ける伝動軸81を内部に有する伝動ケース80を装着している。更に、伝動ケース80の右側に伝動軸81の動力を伝動する伝動ケース27と左右側板85L、85Rとをボルト83等の固定部材で連結、装備している。なお、伝動ケース27は右側の側板85Rに設けた例を示しているが、左側の側板85Lに設けても良いし、左右両側の側板85L、85Rに設けても良い。
【0043】
さらに、伝動ケース27と左側の側板85Lとの間に伝動軸81の動力により回転する抜根ロータリ24を装着しており、また、左右側方で且つ伝動ケース27と左右側板85L、85Rよりも前側にフレーム70を支持するための一対のスタンド71を装着している。
【0044】
このように、フレーム70の左右側方に伝動ケース27と左右側板85L、85Rとをボルト83などにより装着することによって、ボルト83を外して伝動ケース27と左右側板85L、85Rを外すことにより、伝動ケース27をフレーム70から容易に取り外すことができると共に、抜根ロータリ24を伝動ケース27から容易に取り外すことができる。すなわち、図3に示すように、側板85Rは伝動ケース27の外側方に取り付けられており、側板85Rを取り外すと、伝動ケース27の内部が現れるため、他の部材を外すことなく伝動ケース27の内部の整備等を行うことができる。また、抜根ロータリ24の回転軸24aは伝動ケース27内のスプロケット92に軸着されているが、側板85Lは軸カバー24aaのベアリングに軸着されている。この軸カバー24aaは側板85Lに固定されているため、側板85Lを外し、抜根ロータリ24の回転軸24aをスプロケット92から引き抜くと、掘り起し体24を取り外すことができる。
【0045】
また、抜根ロータリ24や伝動ケース27を取り外さなくても、抜根ロータリ24の回転軸24aや伝動ケース27の内部のメンテナンスや清掃作業を行うこともできる。したがって、交換作業や清掃作業が簡易に行えるので、容易に取り外せないものに比べてメンテナンス性が向上する。
【0046】
また、左右の転輪37、37と左右のスタンド71、71が設けられていることによって、伝動ケース27と左右側板85L、85Rとをフレーム70から外しても、左右転輪37、37とスタンド71、71がフレーム70を支持するため、メンテナンス性が向上する。すなわち、抜根ロータリ24の取り外し、取り付けの作業が安全、容易にできる。また、スタンド71,71がないと、煙草抜根機が前傾し過ぎて作業が行いにくいので、スタンド71、71を設置することで作業能率の向上にもなる。
【0047】
そして、図4に示すように、上部カバー43bは前方部位のカバー43baと後方部位のカバー43bbが支点Eで分割可能な構成とし、上部カバー43bの前方部位のカバー43baを矢印F方向に支点Eを回動中心として回動可能な構成とし、前方部位のカバー43baを下方へ折り畳み可能としても良い。前方部位のカバー43baと後方部位のカバー43bbはボルトなどの固定部材で連結すればよい。
【0048】
非作業時には上部カバー43bの前方部位のカバー43baを下方に折り畳むことで(一点鎖線で示す位置になる)、煙草抜根機の機体の前後幅がコンパクトになるため、煙草抜根機の収納や運搬が容易になる。前方部位のカバー43baを下方に折り畳むと、前方部位のカバー43baが接地して、スタンド71,71に加えて更に支持脚代わりとなり、左右転輪37、37と折り畳んだ前方部位のカバー43baによりフレーム70を支持することができる。
【0049】
抜根ロータリ24や伝動ケース27を着脱する際、前方部位のカバー43baを下方へ倒すことで、例えばスタンド71を省略しても、フレーム70を支える仮のスタンドとして使用できる。そして、スタンド71を省略すれば、煙草抜根機のコストダウンを図ることができる。また、煙草抜根機の収納、運搬時にも前方部位のカバー43baを下方へ下げることで、煙草抜根機の前後幅を短くすることができるので、煙草抜根機がコンパクトな構成になる。更に別にスタンドを設置する場合に比べてコストも削減できる。
【0050】
または、上部カバー43bとメインカバー43aを分割可能な構成として、同様に上部カバー43bを下方へ折り畳み可能としても良い。この場合、上部カバー43bは側面視でメインカバー43aとオーバーラップせず、メインカバー43a内側に収納される構成ではない。そして、図4の支点Eが上部カバー43bとメインカバー43aの接続部となる。
【0051】
次に、図6及び図7に基づき抜根機における煙草の残幹の泥を落しながらの排出構成について説明する。
伝動ケース80には左右方向に沿わせて所定間隔毎に複数の鎖状部材95a…を連結して構成するチェーン95…を垂下させて設け、該チェーン95…は前後左右方向に揺動自在に構成している。そして、該チェーン95…の下端部と前記抜根ロータリ24の上方との間に所定間隔を空け、チェーン95…の下端部にはチェーン95…よりも大径のリング96…を取り付けて重く抵抗力を大きくし、抜根ロータリ24に掘り起こされた煙草の残幹が通過する際にチェーン95…及びリング96…を残幹に接触させ、摩擦抵抗により付着した泥を落下させるようにしているので、掘り起こされた残幹に泥が残りにくく、太陽光や風により残幹を早く乾燥させることができる。これにより、残幹が連作障害の原因となるウィルスや菌類の繁殖が防止され、連作障害による不作を防止できるとともに、残幹が乾燥して質量が軽くなるので、廃棄物処理にかかる費用が安くなる。
【0052】
また、チェーン95…及びリング96…が排出される残幹に接触することにより、このチェーン95…及びリング96…が残幹を打撃して抵抗をかけるので、残幹が必要以上に飛んで畝溝に落下することを防止でき、残幹は畝上で早く乾燥するので、作業能率が向上すると共に連作障害が防止される。
【0053】
加えて、残幹が畝上に残るので、作業者は掘り起こし作業終了後にトラクタ等の走行車両にドーザーをつけて走行したり、レーキ等を持って畝沿いに歩いたりすることで残幹を回収でき、作業能率が向上する。
【0054】
そして、伝動ケース80にはチェーン95…をひっかけるフックを設け、チェーン95…の垂下長さを調節できるようにし、残幹にかかる抵抗力の大小を調節可能に構成したことにより、残幹の大小に係らず確実に後方に排出されるとともに、泥が確実に落とされる。
【0055】
また、掘り起し体24の左右方向中央部に対応するチェーン95、…を短く、左右両側部に対応するチェーン95、…を長く構成すると、畦の中央部に沿わせて煙草の残幹を排出することができる。また、掘り起し体24の左右方向中央部のチェーン95、…を機体前方へ、左右両側部のチェーン95、…を順次後方へずらして配置し、平面視で中央部が尖った逆V字型に構成すると、煙草の残幹を左右に拡げながら円滑に排出することができる。
【0056】
また、掘り起し体24の上部後方には、煙草の残幹を後方へ排出案内する排出体98を設けている。この排出体98は、図8(a)及び(b)に示すように、前側の左右方向に沿ったプレート98aに、前後方向に長い棒状体98b,…を所定間隔毎に配置して枠組み構成し、ガイドカバー43から延出しているボス87に排出体98の前側プレート98aを左右方向のピンで軸支し、掘り起し体24における左右方向中央部の上端部後側にその前側部を接近させて配置し、その後側部を後下がり傾斜状に左右転輪37,37の上方を通して後方へ延長し、左右スプリング99,99,により所定範囲に上下動自在に支持している。
【0057】
これにより、掘り起し体24で掘り取られた煙草の残幹は排出体98の前側部に放出され、排出体98上で上下に振動しつつ後方へ案内排出されて泥が分離され、煙草の残幹は排出体98によりある程度纏められ後方へ排出される。
【0058】
また、掘り起し体24の左右方向中央部に大径の左右ディスク100,100を回転軸芯に対して傾斜状に取り付け、畦の中央部の泥を削って左右の溝側に寄せ、畦崩しをするようにしている。
【0059】
次に、図9、図10(a)及び(b)に基づき、抜根機における泥落し排出構成の他の実施例について説明する。
残幹押さえ体29の下方で掘り起し体24の上方には、掻落し体101を設けている。この掻落し体101は、左右方向に沿った前側プレート101aと、前側プレート101aに左右方向所定間隔毎に後方へ延出するように取り付けている掻落し棒101b,…と、掻落し棒101b,…の後部に取り付けているウエイト101cとで、構成している。掘り起し体24の前方上部に位置しているフレーム部に、前側プレート10aを左右方向のピンで軸支し、掻落し棒101b,…を掘り起し体24の上方を通して緩い後上り傾斜状に後方へ延出し、その後側部を左右転輪37,37の後方まで延長し、支持棒101dで後側部を下方から支持し、上下動自在に支持している。
【0060】
これにより、掘り起し体24で掘り取られた煙草の残幹が、掻落し体101の掻落し棒101b,…の間を入ろうとしたときに泥が掻き落とされ、煙草の残幹は掻落し体101の掻落し棒101b,…の上側あるいは下側に沿って後方へ案内されて排出される。
【0061】
なお、前側プレート10aに対して掻落し棒101b,…を左右方向の間隔を調節自在に取り付けるように構成してもよい。また、掻落し体101をフレーム部に上下動できないように取り付け、掻落し棒101b,…の後側端部を掘り起し体24の後側端部よりも短く構成し、掻落し棒101b,…の間隔部から煙草の残幹が上方へ移動する際に泥を落し、後方へ排出するように構成してもよい。
【0062】
また、図11(a)及び(b)に示すように、掻落し棒101b,…の後側端部を左右方向中央寄りに折り曲げで構成し、煙草の残幹を畦の中央部に寄せながら排出するようにしてもよい。
【0063】
次に、図12及び図13に基づき他の実施例について説明する。
掘り起し体24の後方にはスラット式無端帯搬送装置102を設け、煙草の残幹を後方へ強制搬送するようにしている。掘り起し体24で引き抜かれた短い(200mm〜300mm)煙草の残幹を、スラット式無端帯搬送装置102の搬送面上に受け止め、泥を落しながら後方へ搬送し、短い煙草の残幹が掘り起し体24からすり抜けて前後方向に沿った状態で畦上に落下するのを防止している。
【0064】
このスラット式無端帯搬送装置102は、前側ローラ102aと後側ローラ102bとに巻き掛けている左右搬送チェーン102c,102cと、左右搬送チェーン102c,102c間に前後所定間隔毎に左右方向に沿わせて支持している搬送棒102d,…とにより構成している。
【0065】
また、掘り起し体24の回転軸24aの一端に排出動力取出スプロケット106aを取り付けて排出装置駆動力を分岐し、排出動力取出スプロケット106aから排出駆動チェーン106b、排出駆動スプロケット106cを介して、前側ローラ102aに動力を伝達し、スラット式無端帯搬送装置102を駆動するように構成している。
【0066】
このスラット式無端帯搬送装置102の搬送棒102d,…の搬送面には、中央寄りを下り傾斜とした左右仕切りガイド103,103を例えば各搬送棒102d,…毎に立ち上げて設け、煙草の残幹を中央部へ案内支持しながら搬送するようにしている。
【0067】
また、スラット式無端帯搬送装置102の左右方向の長さを、掘り起し体24の左右方向長さと略同じか、あるいは、それよりも左右両側に突出するように長く構成し、掘り起し体24で掘り起した煙草の残幹を確実に受け継ぐようにしている。
【0068】
また、左右搬送チェーン102c,102cの前後方向中間部を偏心カムローラ104,104で受け、掘り起し体24の回転軸24aから揺動用の動力を取り出し、駆動カム104a、ロッド104b、偏心カム104cを介して偏心カムローラ104,104を駆動し、左右搬送チェーン102c,102c及び搬送棒102d,…を上下に揺動させ、搬送途中の煙草の残幹を上下に揺動しながら泥を落すようにしている。
【0069】
また、左右搬送チェーン102c,102cを前側ローラ102a、中間部の偏心カムローラ104,104及び後側ローラ102bで受け、後側ローラ102bをフレーム部に対して前後方向に調節可能に構成し、スラット式無端帯搬送装置102の排出位置を伸縮調節可能に構成し、排出性能の向上を図っている。
【0070】
また、スラット式無端帯搬送装置102の後部搬送面を下り傾斜に構成し、前後方向に沿った短い煙草の残幹が搬送面より立ち上がった状態で搬送されても、搬送終端側で後上りに傾斜して後方へ容易に転がり落ちるようにし、排出性能の向上を図っている。
【0071】
また、スラット式無端帯搬送装置102の後部排出位置の後側下方に、円弧状受け面の形成された排出シュート105を設け、短い煙草の残幹を左右方向に沿わせた状態で受け、纏めて排出するようにしている。また、この排出シュート105を後側ローラ102bの軸支部に取り付け、後側ローラ102bを前後調節したときには、排出シュート105も関連的に前後調節され、煙草の残幹を確実に受けるようにし、排出性能の向上を図っている。
【0072】
次に、図13及び図14に基づき植物掘り起し装置の他の実施例について説明する。
掘り起し体24の前側端部前方には所定間隔隔てて左右方向の軸回りに回転する押圧ローラ107を設け、掘り起し体24で掘り起こされる短い煙草の残幹でも畦の表面に押しつけ、根元部の泥を落すようにしている。
【0073】
また、掘り起し体24の左右両側部には大径の左右案内プレート111,111を回転軸24aに直交するように取り付けている。この左右案内プレート111,111の下部は押圧ローラ107の左右両側方を通過しながら畦の左右両側部に切れ目を入れ、煙草の残幹の掘り起しを容易にし、且つ、掘り起した煙草の残幹の左右両側へのこぼれを防止し、後方へ排出案内する役割を果たすものである。
【0074】
そして、この押圧ローラ107を、左右方向中央部の小径部107aと、左右両側部の左右大径部107b,107bとで、中央部に窪み凹部を形成し、畦の表面に接触すながら自由回転するつづみ形とし、短い煙草の残幹でも畦表面に押しつけるように構成している。
【0075】
また、押圧ローラ107の左右幅を上方に配設している残幹押さえ体29の左右幅よりも狭く構成し、掘り起し体24の前方上方に接近させるか、あるいは、掘り起し体24の前側部と平面視でオーバーラップするように構成している。
【0076】
左右フレーム部には左右方向の軸回りに回動自在の左右支持アーム108,108を設け、この左右支持アーム108,108に押圧ローラ107を左右方向の軸回りに回転自在に支持し、左右支持アーム108,108を強さ調節自在のスプリング109,109で下方に回動付勢し、畦表面に接近させるようにしている。また、押圧ローラ107が煙草の残幹により押し上げられ上方へ回動しても、掘り起し体24に干渉しない程度に接近させるように構成している。
【0077】
前記構成によると、押圧ローラ107の前側下部では煙草の残幹を畦の表面に押しつけ、押圧ローラ107の後側下部では掘り起し体24により掘り起こされる煙草の残幹に対して掘り起し体24に押しつけるように作用し、煙草の残幹の根元部を確実に掘り起こし、根本部に付着している泥を確実に落すことができる。
【0078】
また、押圧ローラ107を支持するにあたり、フレーム部に固定状態で設けた支持アーム(図示省略)に、押圧ローラ107を上下動自在に支持し、スプリングで下方に押圧するように構成すると、コストの低減を図ることができる。また、ロワーリンク21には支持棒110aを介してゲージホイル110を取り付け、押圧ローラ107の前方に位置している支持棒110aを利用して、押圧ローラ107を支持する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、農業用のトラクタを汎用性あるものとすることができ、有用性が高い。
【符号の説明】
【0080】
24 掘り起し体
27 伝動ケース
80 駆動装置(伝動ケース)
95 紐状体
98 排出体
98b 棒状体
100 ディスク
102 スラット式無端帯搬送装置
102a 前側ローラ
102b 後側ローラ
102c 左右搬送チェーン
102d 搬送棒
106a 排出装置駆動手段
106b 排出装置駆動手段
106c 排出装置駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置(80)の左右両側から下方に延出している伝動ケース(27)と支持部材との間に左右方向の回転軸回りに回転する堀起し体(24)を設け、該駆動装置(80)と堀起し体(24)の上部で且つ機体後側に堀起し体(24)で掘り起こした植物に接触する複数の接触体(95)を機体左右方向に所定間隔毎に垂下して設け、該接触体(95)の下方で且つ堀起し体(24)の後方に植物を受けて後方へ排出する排出体(98)を後下がり傾斜姿勢で設けたことを特徴とする植物堀起し装置。
【請求項2】
前記接触体(95)を鎖状部材(95a)で構成し、該鎖状部材(95a)の下端部に鎖状部材(95a)よりも大径の輪体(96)を取り付けたことを特徴とする請求項1記載の植物堀起し装置。
【請求項3】
前記堀起し体(24)の堀起し部の左右方向中央部に大径の排土部材(100)を傾斜状に設けたことを特徴とする請求項1記載の植物堀起し装置の植物掘り起し装置。
【請求項4】
前記排出体(98)を複数の棒状体(98b)を所定間隔毎に配置して構成したことを特徴とする請求項1記載の植物堀起し装置。
【請求項5】
前記排出体(98)の前後端部に駆動回転体(102a)と従動回転体(102b)とを設け、該駆動回転体(102a)と従動回転体(102b)とに搬送無端帯(102c,102c)を夫々巻回して設け、該搬送無端帯(102c,102c)の左右間に前記棒状体(98b)を所定間隔ごとに設けて駆動排出装置(102)を構成し、該駆動排出装置(102)の駆動回転体(102a)と前記伝動ケース(27)とを第2伝動ケース(104)で連結したことを特徴とする請求項4記載の植物堀起し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−135789(P2011−135789A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296489(P2009−296489)
【出願日】平成21年12月26日(2009.12.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】