説明

植物栽培装置

【課題】施工作業が容易で、優れた意匠性を備え、さらに植物の手入れなどを適宜に行うことができる植物栽培装置を提供する。
【解決手段】上面を開放した容器をなすプランター容器1を、床面の所定領域を構成するように複数配置し、複数のプランター容器1がなす領域内に踏み台をなす足場40を備え、足場40を備えた所望のプランター容器1を、床面の所定領域を構成する外側のプランター容器に囲まれた内側のプランター容器とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、緑化対策の一貫として使用される植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の植物栽培装置としては、特開平9−51728号に開示されたものがある。この植物栽培装置は、複数のプランター容器1を主構成として、これらプランター容器1がそれぞれ連結されてなるものである。
【0003】
プランター容器1は、図16に示すように、平面視で正方形(または長方形)をなし、上側が開放するように構成されている。
プランター容器1の底部には、プランター容器1の中央において縦横に交差する十字状をなし、逆U字形断面の溝条よりなる係合部2が一体形成されている。係合部2の交差部には、プランター容器1の底部外側に通じる導通口3が設けられている。
プランター容器1の内側壁において、係合部2と同高さの位置には、段部4が一体形成されている。
プランター容器1の開口縁の相隣る二辺には、フック状に折り曲げられた連結部5が一体形成されている。
【0004】
そして、図17に示すように、プランター容器1内の底側において、係合部2の上端面2aおよび段部4の上端面4aより下側の保水部7に粒状物を敷き詰め、係合部2の上端面2aおよび段部4の上端面4aを介して通液性のある不織布層9を掛け設け、不織布層8の上に土壌9などを敷き詰めて所要の植物を植え込む。
続いて、植物が植え込まれたプランター容器1の各係合部2を、給水、給液(液状肥料や病害予防の薬液を水に溶解した溶液)、排水、通気などのために床面に略水平に配された配管6に係合させ、且つ配管6に適宜設けられた導通口6aに対してプランター容器1側の導通口3を連通させて床面に配置する。
さらに、複数のプランター容器1を、個々のプランター容器1の連結部5を以て他のプランター容器1の開口縁(連結部5が設けられていない縁)に掛けて連結する。
【0005】
そして、配管6に給水、給液を行い、配管6の導通口6aからプランター容器1の導通口3を介してプランター容器1内の保水部7に供給する。また、降雨の際などによる過剰の水分を、プランター容器1の導通口3から配管6の導通口6aを介して配管6に排水する。さらに、配管6の導通口6aからプランター容器1の導通口3を介してプランター容器1内の保水部7に空気を強制供給し、植物の根腐れなどを防止する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の植物栽培装置では、以下の問題がある。
植物栽培装置をなすプランター容器1において、給水、給液を蓄える保水部7は、係合部2の上端面2aおよび段部4の上端面4aに掛け設けられた不織布層8により区分けされている。この保水部7には、不織布層8を確実に支持するために粒状物が敷き詰められている。
ところが、植物栽培装置を施工する際に、全てのプランター容器1へ粒状物を敷き詰める作業は、手間がかかる作業であって施工作業性を低下させる要因となる。
さらに、保水部7に粒状物が敷き詰められることによって重量が嵩むため、それぞれのプランター容器1を配管6に合わせて配置する際の作業が難行してしまう。
【0007】
また、従来の植物栽培装置では、連結された最も外側のプランター容器1における外周部分が表出しているので、この種の植物栽培装置をベランダや屋上などの緑化や、短期のイベントなどにおける緑化に利用した場合には、表出された外周部分によって非常に見栄えが悪く、意匠性に欠けるという問題があった。
【0008】
また、多数のプランター容器1を連結した場合、最も外側のプランター容器1には手が届くものの、外側のプランター容器1に囲まれた内側のプランター容器1には手が届かず、この内側のプランター容器1に対して、雑草の除去や植物への手入れなどが行き届かないという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、施工作業が容易で、優れた意匠性を備え、さらに植物の手入れなどを適宜に行うことができる植物栽培装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明による植物栽培装置は、上面を開放した容器をなすプランター容器1を、床面の所定領域を構成するように複数配置した植物栽培装置において、 複数のプランター容器1がなす前記領域内に踏み台をなす足場40を備え、前記足場40を備えた所望のプランター容器1は、前記床面の所定領域を構成する外側のプランター容器に囲まれた内側のプランター容器であるたことを特徴としている。
【0011】
また、前記プランター容器のうち、所望のプランター容器内を空の状態とし、この所望のプランター容器の開放部を閉塞するように前記足場40が嵌め込まれたことを特徴とする。
【0012】
前記足場40は、踏み板41と該踏み板を所望の前記プランター容器1の内底部上に支えるべき脚部材42とで構成されていることが望ましい。
【0013】
前記足場40は、足場を構成する踏み板41が、足場を有する前記プランター容器1の開口縁に掛かって、その開口を閉鎖する高さとされていることが望ましい。
【0014】
上記本発明は、所定箇所に導通口を有し床面に適宜に配置される配管と、上面を開放した容器をなし、その底部において前記配管と係合するとともに前記配管の導通口と連通し得る導通口が設けられた係合部を有し、さらに内側壁に沿って所定間隔をおき、前記係合部の上端面と略同一高さの上端面をなす複数の段付部を有し、且つ、前記係合部の上端面および前記段付部の上端面には、容器内を水分が貯留される下部領域の保水部と、植物が栽植される土壌などが敷き詰められる上部領域の栽植部とに分けて前記保水部の水分を給水し得る仕切材を有して構成され、床面に複数連結配置されるプランター容器と、を具備した植物栽培装置に有効に適応される。
【0015】
上記本発明において、植物が植設されて床面に複数連結配置されたプランター容器1の外周部分および開口縁を覆うようにして囲む外枠体30を設けることが望ましい。
【0016】
上記外枠体30は、前記プランター容器の側辺部に対応する側枠と、前記プランター容器の出角部に対応する出角枠と、前記プランター容器の配置によって生じる入角部に対応する入角枠とを有し、これら側枠、出角枠、入角枠を適宜に連結して、床面に複数連結配置された前記プランター容器の外周部分および開口縁を覆うようにして囲む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明による植物栽培装置によれば、床面に複数配置されたプランター容器のうち、所望のプランター容器内を空の状態とし、この所望のプランター容器内には足場が嵌め込まれて、複数のプランター容器がなす領域内に踏み台をなすことにより、例えば、他のプランター容器に囲まれた内側のプランター容器に踏み台を伝って近づくことが可能となって、この内側のプランター容器に対して雑草の除去や植物への手入れなどを容易に行うことができる。
【0018】
また、前記足場は、単に踏み台として用いられるだけでなく、植物栽培装置の領域内での歩道となり、ある種の庭園をなすことができる。また、足場の配置により、植物栽培装置の領域内に様々な模様を構成して美観や意匠性を向上させることもできる。
【0019】
上記足場を設けるとともに、植物が植設されて床面に複数連結配置されたプランター容器の外周部分および開口縁を覆うようにして囲む外枠体を備えたことにより、植物栽培装置の状態を安全に保持でき、見栄えについても一層良好となって意匠性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明による植物栽培装置におけるプランター容器を示す平面図、図2は図1におけるA−A断面図、図3は図1におけるB−B断面図である。
【0021】
なお、以下に説明する実施の形態において、上述した従来の技術と同一または同等部分には同一符号を付す。
【0022】
この実施の形態における植物栽培装置は、図1乃至図3に示すプランター容器1を主構成として、これらプランター容器1がそれぞれ連結されてなるものである。
【0023】
プランター容器1は、平面視で正方形(あるいは長方形)をなし、上側が開放して形成されている。このプランター容器1の底部には、プランター容器1の中央にて縦横に交差する十字状をなし、逆U字形断面の溝条よりなる係合部2が一体形成されている。係合部2の交差部(交差部以外の所定箇所であってもよい)には、プランター容器1の底部外側に通じるように下方に垂下する漏斗状の導通口3が設けられている。
なお、導通口3は、係合部2の交差部(あるいは導通口3が設けられた係合部2の所定箇所)が細径に形成されていることにより、係合部2の上端面2aよりも若干下がった位置で開口されている。
【0024】
プランター容器1の内側壁の略中段には、段付部12が一体形成されている。段付部12は、上記係合部2の上端面2aと同高さとなる上端面12aを有し、プランター容器1の内側壁に沿って所定間隔をおいて設けられて、平面視で凹凸状あるいは櫛歯状に配置されている。
なお、段付部12は、プランター容器1の内側壁に沿って所定間隔をおいた凹凸状の配置として、例えば、プランター容器1の内側壁の一部をなす各内角部に配置されているなどの構成であってもよい。
【0025】
このように、プランター容器1内は、係合部2の上端面2aおよび段付部12の上端面12aを基準とし、その下部領域を保水部7とし、その上部領域を栽植部13として構成されている。
【0026】
また、プランター容器1の開口縁の一方の相隣る二辺には、水平外方に張り出した張出片14が前記一方の相隣る二辺よりなる角部を介して連続して一体形成されている。張出片14は、各端部14aが、プランター容器1の開口縁において張出片14をなさない他方の相隣る各辺との境となる角部の直前までとされている。また、張出片14において、一方の相隣る二辺よりなる角部に相当する部分は、円弧状の縁取部16をなしている。
【0027】
張出片14の張出端縁には、張出片14の板厚分下方に折曲された係止片17が形成されている。この係止片17は、プランター容器1の開口縁の一方の相隣る二辺に対応するようにそれぞれ分けられていて、それぞれの一端17aが前記縁取部16に係る手前に位置され、それぞれの他端17bが張出片14の端部14aに沿ってプランター容器1の開口縁側に折曲形成されている。
【0028】
前記開口縁の一方の相隣る二辺と、他方の相隣る各辺との境となる角部には、張出片14の板厚分の段差を以て下がって水平外方に張り出して形成されているとともに、張出片14の端部14aの張出端縁から前記段差を介して連続し、張出片に対して45度の面取りがされた面取部15をなしている。
【0029】
プランター容器1の開口縁の他方の相隣る二辺は、前記面取部15から連続して張出片14の板厚分下がって形成されているとともに、他の同一プランター容器1における張出片14の係止片17が掛かかり得る程度水平外方に張り出された掛止片18をなしている。
この掛止片18をなす他方の相隣る二辺よりなる角部には、掛止片18よりもさらに掛止片18の板厚分の段差を以て下がった位置で水平外方に張り出した段差部18aが形成されている。この段差部18aには円弧状の縁取部19がなされている。
【0030】
上記プランター容器1は、真空成形、圧空成形、射出成形または、プレス成形により形成され、プラスチック、セラミックあるいは金属などより構成され、プラスチックによる射出成形品が好ましい。
【0031】
また、上記構成のプランター容器1において、植物栽培装置をなすために、係合部2の上端面2aおよび段付部12の上端面12aに対し、仕切材11が掛け設けられる。
【0032】
仕切材11は、上述したプランター容器1の各段付部12に架設し得る大きさに形成されていて、図4および図5に示すように、多数の貫通孔を有する硬質の板材、あるいは、網状板材よりなる剛性板材20を主構成としいる。この剛性板材20は、プラスッチック、金属あるいは多孔のセラミックス等により形成され、この実施の形態では、特に、プラスチックや金属線よりなる3次元的網状構造とされている。
【0033】
剛性板材20は、吸水性の不織布(不織マット)等よりなる吸水性布材21により被覆されている。この吸水性布材21における剛性板材20の底面側では吸水性布材21の一部が垂れ下がってなる給水体22が設けられている。この給水体22は、吸水性布材21と別体に構成されていてもよい。
【0034】
上記の仕切材11は、剛性板材20により十分な剛性を備え、さらに剛性板材20の構成(貫通孔や網状構造など)と、吸水性布材21の材質とのより通水性および通気性を備えている。
【0035】
また、上記構成のプランター容器1において、植物栽培装置をなすために、係合部2は、配管6に対して適宜に係合される。
配管6は、プランター容器1内に、給水、給液(液状肥料や病害予防の薬液を水に溶解した溶液)、排水、通気などを行うために床面に略水平に配される。
この配管6は、プランター容器1の係合部2に係合し得る径をなし、プランター容器1の導通口3が差し込み連通される導通口6aを有している。さらに、配管6は、適宜に施工し得るように分解組み立て可能に構成されている。
【0036】
以下、上記プランター容器1などを用いた植物栽培装置を説明する。
図6に示すように、プランター容器1内の段付部12の上端面12aおよび係合部2の上端面2aに対して仕切材11を載置して、保水部7と栽植部13とを仕切材11を以て分割する。仕切材11の給水体22は保水部7側に垂下されている。
次に、栽植部13に土壌9などを敷き詰めて所要の植物を植え込む。
次に、プランター容器1の数およびプランター容器1の配置形状に応じて、配管6を組み立てて床面に配置する。この際、配管6は、少なくともプランター容器1に設けられた導通口3の下側を通過するように配されればよい。
次に、上記の如く植物が植え込まれた複数のプランター容器1を、配管6に設けられた導通口6aに対してプランター容器1の導通口3を連通させて床面に配置する。
【0037】
また、複数のプランター容器1を床面に配置する際、各プランター容器1は、以下のように連結される。なお、この実施の形態では、図7に示すように、最小単位として四個のプランター容器1A、1B、1C、1Dを連結する例を挙げる。
【0038】
図7および図8に示すように、床面に配置されたプランター容器1Aの掛止片18の上側から、プランター容器1Bの張出片14およびプランター容器1Cの張出片14を掛けて、それぞれ係止片17を以てプランター容器1Aに対してプランター容器1Bおよびプランター容器1Cを連結させる。
この際、プランター容器1Aの段差部18aの上面には、プランター容器1Bの面取部15、およびプランター容器1Cの面取部15が、それぞれが張出片14の板厚分の段差によって嵌合される。さらに、プランター容器1Bの面取部15と、プランター容器1Cの面取部15とは、それぞれ突き当たって、各面取部15から繋がる各掛止片18の上面が連続して面一とされる。
【0039】
さらに、連続されたプランター容器1Bの掛止片18およびプランター容器1Aの掛止片18の上側から、プランター容器1Dの張出片14を掛けて、係止片17を以てプランター容器1Bおよびプランター容器1Cに対してプランター容器1Dを連結させる。
この際、連続されたプランター容器1Bの面取部15、およびプランター容器1Cの面取部15の上面には、プランター容器1Dの縁取部16が掛かる。
【0040】
このようにして床面に配置された植物栽培装置は、プランター容器1の保水部7に上部(開放)からの供給水が貯留されて、仕切材11の給水体22を介して、毛細管現象により、栽植部13(中の土壌9)へ水補給を行う。
【0041】
降雨の際などによってプランター容器1へ侵入した水分は、土壌9および仕切材11を介して保水部7に貯留されるとともに、過剰の水分はプランター容器1の導通口3から導通口6aを介して配管6に排水される。
【0042】
プランター容器1の導通口3は、係合部2の交差部が細径に形成されて、係合部2の上端面2aよりも下側位置で開口されているため、保水部7に貯留される水分の上限は係合部2の上端面2aよりも下側位置となる。
ゆえに、係合部2の上端面2aに載置された仕切材11の底面と、水分の上限との間には隙間23が生じることとなる。
このように、隙間23には、配管6の導通口6aから導通口3を介して空気が供給されるので、仕切材11を介して土壌9および土壌9に植設された植物に十分な酸素が供給される。
【0043】
なお、プランター容器1の導通口3と、配管6の導通口6aとの連結は、適当な環状パッキング材(不図示)を介して配管2の導通口2aに液密に嵌合されるのが好ましい。
【0044】
また、複数のプランター容器1を連結した際には、図7に示すように、全てのプランター容器1A、1B、1C、1Dの交点となるプランター容器1Aの段差部18aが、プランター容器1B、1Cの面取部15によって被覆され、さらにプランター容器1B、1Cの面取部15が、プランター容器1Dの縁取部16によって被覆されるので、その交点となる部分に不用意な開口が生じることがない。
また、段差部18aが、面取部15(掛止片18)よりも掛止片18の板厚分の段差を以て下がって形成され、さらに面取部15が張出片14よりも張出片14の板厚分の段差を以て下がって形成されているので、複数のプランター容器1を連結した際には、各張出片14の上面が面一とされる。
【0045】
したがって、このように構成された植物栽培装置では、プランター容器1内の保水部7において、平面視で凹凸状に配された段付部12を設けたことにより、保水部7に十分な容量を得るとともに、仕切材11を十分に支持することができる。さらに、仕切材11において、吸水性布材21に被覆された剛性板材20を備えた構成としたことにより、栽植部13に敷き詰められる土壌9などを十分に支えることができる。
これにより、保水部7に粒状物が不要となって、植物栽培装置の施工時における粒状物の敷き詰め作業を省き、施工作業性を向上させる事ができる。
【0046】
さらに、植物を植設した後、配管に対応して床面に配置される際のプランター容器1の保水部7は、空間となって何も詰められていない状態であり、その分重量が軽減されるので、それぞれのプランター容器1を配管6に合わせて配置する際の作業が容易となる。
【0047】
また、プランター容器1の係合部2において、導通口3が配される交差部分を細径に形成して、導通口3の開口を仕切材11が掛かる係合部2の上端面2aなどよりも低位置としたことにより、保水部7に貯留される水分(給水、給液)の上限を係合部2の上端面2aなどよりも低位置となって、水分(給水、給液)の上限と、係合部2の上端面2aなどに掛かる仕切材11の底面との間に隙間23を生じさせるので、該隙間23に配管6の導通口6aから導通口3を介して空気を供給し、仕切材11を介して土壌9および土壌9に植設された植物に十分な酸素を供給することができる。
【0048】
なお、従来の技術では、複数のプランター容器1の連結において、プランター容器1の開口縁の相隣る二辺の連結部5を、他のプランター容器1の開口縁に掛けるようにしているが、この連結部5による連結では、図18に示すように、四つのプランター容器1の交点となる部分に不用意な開口孔10が生じ、この開口孔10から降雨などに伴う排水が床面に漏れ出して、配管6への排水が確実に行われなくなってしまう。さらに、連結後では、連結部5による突出が随所に見受けられて非常に見栄えが悪い。
【0049】
そこで、この実施の形態における植物栽培装置では、プランター容器1の開口縁において、一方の相隣る二辺に張出片14を連続して設け、他方の相隣る二辺を張出片14よりも張出片14の板厚分の段差を以て下がって形成するとともに張出片14が掛かる掛止片18を設け、さらに他方の相隣る二辺よりなる角部に掛止片18よりもさらに掛止片18の板厚分の段差を以て下がる段差部18aを形成していることにより、例えば同一形状のプランター容器1を図7に示すように四個連結した場合に、全てのプランター容器1A、1B、1C、1Dの交点となるプランター容器1Aの段差部18aを、プランター容器1B、1Cの面取部15によって被覆し、さらにプランター容器1B、1Cの面取部15を、他のプランター容器1の縁取部16によって被覆するので、上記交点となる部分に不用意な開口を生じさせることがなく、降雨などに伴う水を適宜に各プランター容器1内に取り込んで、過剰の水を配管6へ確実に排水することができる。
【0050】
さらに、段差部18aが、面取部15(掛止片18)よりも掛止片18の板厚分の段差を以て下がって形成され、さらに面取部15が張出片14よりも張出片14の板厚分の段差を以て下がって形成されているため、複数のプランター容器1を連結した際には、各張出片14の上面が面一とされるので、見栄えがよく意匠性を向上させることができる。
【0051】
また、連結されるプランター容器1は、全て同一形状のものが用いられ、連結の際には別部材を用いることがないので、製造コストを低減することができ、且つ、連結作業を容易に行うことができる。
【0052】
また、張出片14をなす一方の相隣る二辺よりなる角部に相当する部分に、円弧状の縁取部16をなし、さらに掛止片18をなす他方の相隣る二辺よりなる角部(段差部18a)に、円弧状の縁取部19をなしたことにより、植物栽培装置の施工時において、プランター容器1を扱う際に手足などを怪我することのない作業上の安全性を得ることができる。
【0053】
以下、上述した植物栽培装置の外枠構造を説明する。
図9および図10は本発明による植物栽培装置の外枠構造を示す斜視図、図11および図12は外枠構造の他の連結構造を示す斜視図である。
【0054】
この外枠構造は、上記のように複数のプランター容器1を以て適宜な形状に床面に配置された植物栽培装置の外周部分に対し外枠体30が配置される。
【0055】
外枠体30は、連結されたプランター容器1の外周部分を囲むべく、図9および図10に示すように、プランター容器1の各側辺部に対応する側枠31と、プランター容器1の出角部に対応する出角枠32と、プランター容器1の配置によって生じる入角部に対応する入角枠33とを備えている。
【0056】
側枠31は、プランター容器1の開口縁をなす一辺と略同一の長さに対応し、プランター容器1の側辺部を被覆する側壁片31aと、プランター容器1の開口縁を被覆する上壁片31bとを一体に有している。これら側壁片31aおよび上壁片31bの外表面には、例えば木片を思わせるような立体模様が施されている。
【0057】
側壁片31aの下端内側には、側枠31を安定して床面に載置し得るように、台材31cが一体に設けられている。この台材31c部分には、植物栽培装置を構成する配管6が係合される係合部31dが、側壁片31aに沿って形成されているとともに、プランター容器1の係合部2に対応するように貫通形成されている。
【0058】
出角枠32は、前記側枠31がプランター容器1の開口縁の相隣る二辺に対応して載置された際に、二個の側枠31の間を出角状に繋ぐとともに、この相隣る二辺による出角部を被覆する側壁片32aと、上壁片32bとを一体に有している。これら側壁片32aおよび上壁片32bの外表面には、例えば木片を思わせるような立体模様が施されている。
【0059】
側壁片32aの下端内側には、出角枠32を安定して床面に載置し得るように、台材32cが一体に設けられている。この台材32c部分には、植物栽培装置を構成する配管6が係合される係合部32dが、側壁片32aに沿って折曲形成されている。
【0060】
入角枠33は、入角部をなすように略直角に組み合わせた際、プランター容器1の開口縁をなす一辺および他のプランター容器1の開口縁をなす一辺とを連続した略同一の形状および長さに対応し、プランター容器1の側辺部を被覆する側壁片33aと、プランター容器1の開口縁を被覆する上壁片33bとを一体に有している。これら側壁片33aおよび上壁片33bの外表面には、例えば木片を思わせるような立体模様が施されている。
【0061】
側壁片33aの下端内側には、入角枠33を安定して床面に載置し得るように、台材33cが一体に設けられている。この台材32c部分には、植物栽培装置を構成する配管6が係合される係合部33dが、側壁片33aに沿って折曲形成されているとともに、プランター容器1の係合部2に対応するように貫通形成されている。
【0062】
このように構成された外枠体30は、側枠31同志、側枠31および出角枠32間、側枠31および入角枠33間、出角枠32および入角枠33間、入角枠33同志を、相互に連結し、植物栽培装置をなすために連結された複数のプランター容器1の外周部分を被覆する。
【0063】
側枠31同志の連結構造は、図9に示すように、台材31cの各端部に略凸字形状の嵌合溝31eが設けられている。そして、各側枠31の端部を合わせた際の各嵌合溝31eに嵌合する略I字形状の嵌合部材34以て、側枠31同志を連結するように構成されている。
【0064】
側枠31および出角枠32間の連結構造は、図9に示すように、出角枠32の台材32cの角部が嵌合突起32eをなしている。そして、嵌合突起32eに嵌合する折曲部35aを有するとともに、側枠31の嵌合溝31eに嵌合する形状の嵌合部材35を以て、側枠31の端部と出角枠32とを合わせた状態で連結するように構成されている。
【0065】
側枠31および入角枠33間の連結構造は、図10に示すように、入角枠33の各端部において、前記嵌合溝31eと同様の略凸字形状の嵌合溝33eが設けられている。そして、側枠31の端部と出角枠33の端部とを合わせた際の嵌合溝31eおよび嵌合溝33eに対して前記嵌合部材34を嵌合させることにより、側枠31と出角枠33とを連結する。
【0066】
出角枠32および入角枠33間の連結は、出角枠32と入角枠33の端部とを合わせた際の嵌合突起32eおよび嵌合溝33eに対して前記嵌合部材35を嵌合させればよい。
【0067】
入角枠33同志の連結は、各入角枠33の端部を合わせた際の各嵌合溝33eに対して前記嵌合部材34を嵌合させればよい。
【0068】
なお、出角枠32の連結において、図11に示すように、出角枠32の台材32cの角部に略L字形状の嵌合溝32fを設け、この嵌合溝32fに嵌合する折曲部36aを有するとともに、側枠31の嵌合溝31e(あるいは入角枠33の嵌合溝33e)に嵌合する形状の嵌合部材36を以て、出角枠32と側枠31(あるいは入角枠33)とを連結する構成としてもよい。
【0069】
また、側枠31、出角枠32、入角枠33相互の連結において、図12に示すように、側枠31、出角枠32、入角枠33にそれぞれ一体に形成された嵌合片37と、この嵌合片37に嵌合するように側枠31、出角枠32、入角枠33にそれぞれ形成された嵌合凹部38とを以て連結する構成としてもよい。
【0070】
上記外枠体30をなす側枠31、出角枠32、入角枠33、および各嵌合部材34,35,36は、押出成形、注型成形、射出成形または、プレス成形により形成され、プラスチック、セラミックあるいは金属などより構成され、廃プラスチックによる注型成形が好ましい。
【0071】
したがって、このように構成された植物栽培装置の外枠構造は、図13に示すように、外枠体30によって、植物栽培装置をなすために連結された複数のプランター容器1の外周部分が被覆されるので、上記植物栽培装置を所望の場所の緑化に利用した際に見栄えが良くなり、意匠性を向上することができる。
【0072】
また、上記外枠構造は、側枠31、出角枠32、入角枠33相互の連結によりなるものなので、その施工作業を容易に行うことができ、且つ、様々な形状に連結された植物栽培装置に対応することができる。
【0073】
ところで、この実施の形態における植物栽培装置では、その領域内に足場40を設けることが可能とされている。
足場40は、図14に示すように、踏み板41と、踏み板41を支えるべき脚部材42とで構成されている。
【0074】
踏み板41は、単一のプランター容器1の開口縁に掛かるべき大きさに形成されている。
脚部材42は、断面略×字形状に形成され、踏み板41の底部の四箇所に均等配置されるように一体形成されている。この脚部材42は、プランター容器1内において、係合部2によって四分割された保水部7に載置し得るように構成されている。また、脚部材42の高さは、プランター容器1内に載置された際に、踏み板41がプランター容器1の開口縁に掛かって、その開口を閉塞する高さとされている。
【0075】
このように構成された足場40は、空の状態とされたプランター容器1内に載置されて、プランター容器1の開口を閉塞し、図15に示すように、植物栽培装置の領域内に踏み台として設置される。
【0076】
上記足場40は、押出成形、注型成形、射出成形または、プレス成形により形成され、プラスチック、セラミックあるいは金属などより構成され、廃材プラスチックによる注型成形が好ましい。
【0077】
したがって、足場40によれば、外側のプランター容器1に囲まれた内側のプランター容器1に対し、足場40を踏み台として伝って近づくことが可能となるので、雑草の除去や植物への手入れなどを容易に行うことができる。
【0078】
また、上記足場40は、単に踏み台として用いられるだけでなく、図15に示すように、植物栽培装置の領域内に歩道を設け、ある種の庭園のように構成することができる。また、足場40の配置により、植物栽培装置の領域内に様々な模様を構成して美観や意匠性を向上させることができる。
【0079】
なお、上述した植物栽培装置は、図15に示す組合せ形状の他、設置する場所(床面積等)に応じて、例えばT字形、L字形、十字形などの様々な形状の緑化領域を構成することができる。
【0080】
このように、上述した実施の形態における植物栽培装置を採用することにより、所望の床面積中に、十分な機能を有した植物栽培プラントを、容易な施工で、短時間で実施することが可能となる。
また、上記植物栽培装置は、各構成が可搬性を有しているので、部分的なプランター容器の取り換え、配置換え、解体などが容易に行えるので、短期間のイベントにおける緑化にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明による植物栽培装置におけるプランター容器を示す平面図。
【図2】図1におけるA−A断面図。
【図3】図1におけるB−B断面図。
【図4】同植物栽培装置における仕切材の分解斜視図。
【図5】同植物栽培装置における仕切材の断面図。
【図6】同植物栽培装置の使用状態を示す断面図。
【図7】プランター容器を複数連結させた平面図。
【図8】プランター容器を複数連結させた側断面図。
【図9】本発明による植物栽培装置の外枠構造を示す斜視図。
【図10】本発明による植物栽培装置の外枠構造を示す斜視図。
【図11】同外枠構造の他の連結構造を示す斜視図。
【図12】同外枠構造の別の連結構造を示す側面図。
【図13】同外枠構造の使用状態を示す断面図。
【図14】本発明による植物栽培装置の足場を示す斜視図。
【図15】本発明による植物栽培装置とその外枠構造および足場の使用状態を示す平面図。
【図16】従来の植物栽培装置におけるプランター容器を示す平面図。
【図17】従来の植物栽培装置の使用状態を示す断面図。
【図18】従来の植物栽培装置の連結状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0082】
1…プランター容器、2…係合部、2a…(係合部の)上端面、3…(係合部の)導通口、6…配管、6a…(配管の)導通口、7…保水部、9…土壌、11…仕切材、12…段付部、12a…(段付部の)上端面、13…栽植部、22…給水部、30…外枠、31…側枠、32…出角枠、33…入角枠、40…足場。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開放した容器をなすプランター容器を、床面の所定領域を構成するように複数配置した植物栽培装置において、
複数のプランター容器がなす前記領域内に踏み台をなす足場を備え、前記足場を備えた所望のプランター容器は、前記床面の所定領域を構成する外側のプランター容器に囲まれた内側のプランター容器であることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
前記プランター容器のうち、所望のプランター容器内を空の状態とし、この所望のプランター容器の開放部を閉塞するように前記足場が嵌め込まれたことを特徴とする請求項1に記載の植物栽培装置。
【請求項3】
前記足場は、踏み板と該踏み板を所望の前記プランター容器の内底部上に支えるべき脚部材とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
前記足場は、足場を構成する踏み板が、足場を有する前記プランター容器の開口縁に掛かって、その開口を閉鎖する高さとされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の植物栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−87441(P2006−87441A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330384(P2005−330384)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【分割の表示】特願平9−235993の分割
【原出願日】平成9年9月1日(1997.9.1)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】