説明

植物病害虫雑草防除用組成物及び植物病害虫雑草防除方法

【課題】環境負荷と薬剤抵抗性リスクが低く、植物病害、害虫、雑草、センチュウに対して優れた防除活性を有し、植物病害虫雑草より保護すべき植物を健全に生育させる植物病害虫雑草防除用の組成物及び方法を提供する。
【解決手段】植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属糸状菌と、種子処理剤あるいは土壌処理剤とを植物あるいは土壌に処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害虫雑草防除用組成物及び植物病害虫雑草防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物病害、害虫、雑草を効率的に防除するために、混合剤(例えば、化学合成殺菌剤と化学合成殺虫剤とからなる殺菌殺虫混合剤等)が多数開発されている。また、化学合成農薬を体系的に使用すること(例えば、殺菌剤と殺虫剤とを同一植物に異なる時期に施用する使用方法等)も行われている。しかし、上記で用いられる農薬は化学的に合成されたものであり、それらが環境へ及ぼす影響や植物病原菌、害虫、雑草の薬剤抵抗性の発達が懸念されている。このような状況において、環境負荷が小さく薬剤抵抗性発達リスクの低い微生物農薬が注目されており、微生物農薬を含む混合剤(以下、微生物混合剤)についての研究開発が進められている(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかしながら、植物病害、害虫、雑草は多種多様であるため、これまでの微生物混合剤だけでは防除範囲が十分とは言えないのが現状であり、新たな微生物混合剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−347885号公報
【特許文献2】特開2008−137980号公報
【特許文献3】特開2009−286708号公報
【特許文献4】特開2010−126470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、環境負荷と薬剤抵抗性リスクが低く、植物病害、害虫、雑草、センチュウ(以下、「植物病害虫雑草」と記す。)に対して優れた防除活性を有し、植物病害虫雑草より保護すべき植物を健全に生育させる植物病害虫雑草防除用の組成物及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決するため、種々の検討を行った結果、植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属糸状菌(別名:プレクトスポリウム(Plectosporium)属糸状菌)と種子処理剤あるいは土壌処理剤とを有効成分として含有する組成物が、植物病害虫雑草に対して優れた防除効果を有し、植物病害虫雑草より保護すべき植物を健全に生育させることを見出した。また、植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)を含む組成物と種子処理剤あるいは土壌処理剤を含む組成物とを、植物あるいは土壌に体系処理することにより、植物病害虫雑草より保護すべき植物を健全に生育させることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は次の通りの構成をとるものである。
〔1〕 植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属糸状菌と、種子処理剤あるいは土壌処理剤とを含有する植物病害虫雑草防除用組成物。
〔2〕 前記プレクトスファエレラ属糸状菌が、プレクトスファエレラ エスピー(Plectosphaerella sp.)KFC005株(FERM BP−11196)、またはプレクトスファエレラ エスピー(Plectosphaerella sp.)KFC015株(FERM BP−11197)である〔1〕に記載の植物病害虫雑草防除用組成物。
〔3〕 前記種子処理剤あるいは土壌処理剤が、土壌害虫、センチュウあるいは土壌病害に対して防除効果を示す〔1〕または〔2〕に記載の植物病害虫雑草防除用組成物。
〔4〕 植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属糸状菌と、種子処理剤あるいは土壌処理剤とを、植物あるいは土壌に処理する植物病害虫雑草防除方法。
〔5〕 前記植物あるいは土壌が、育苗中の植物あるいは育苗培土である〔4〕に記載の植物病害虫雑草防除方法。
【0007】
本発明組成物及び本発明防除方法により植物病害虫雑草より保護すべき植物を健全に生育させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明における植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属の分離・選抜は、例えば以下の手順で行うことができる。なお、プレクトスファエレラとは、プレクトスポリウム(Plectosporium)のテレオモルフである。
【0009】
1.植物病害多発生圃場、例えばフザリウム病多発生圃場において、病徴の見られない植物(健全株)の根部維管束無病徴組織から切片を作出する。
2.50ppmクロラムフェニコールを含む素寒天培地の平面上に上記切片を置床した後、該培地を25℃の恒温槽に静置することにより、上記切片に存在する微生物を培養する。
3.上記切片から伸長する微生物について、その菌糸先端を素寒天培地の平面上に移植することにより該微生物を培養する。
4.上記3.の手順により得られた微生物を、グルコース含ジャガイモ煎汁寒天培地(PDA培地)の平面上に移植し、分生子が分生子柄上に形成される微生物を採取する。
5.上記4.の手順により採取された微生物をPDA平板培地上で、25℃、14日間培養する。この培養により得られる微生物のうち、下記の特徴のある微生物を分離する。
・薄オレンジ色〜クリーム色、湿性で表面が平坦のコロニーを形成する。
・栄養菌糸から直立した分生子柄が非分岐あるいは分岐している。
・フィアライド(分生子形成細胞)の先端部から主に2細胞性で円筒形の分生子が分生子塊の中に形成される。
6.上記5.の手順により得られた微生物について、植物病害に対する防除活性評価を公知の試験方法(例えば、ポット試験や圃場試験)で行うことにより植物病害防除能を有する微生物を選抜する。
該防除活性評価は、通常、評価対象である微生物を分離した圃場において多発した植物病害について行う。具体的には、セルリー萎黄病多発生圃場で病徴の見られない健全株から分離された微生物について、セルリー萎黄病に対する防除活性評価を行う。
そのほか、評価対象である微生物を分離した圃場において多発した植物病害と、防除活性評価を行う植物病害とが異なっていてもよい。例えば、セルリー萎黄病多発生圃場で病徴の見られない健全株から分離された微生物を、アスター萎凋病に対する防除活性評価試験に供試し、植物病害防除能を有する微生物を選抜してもよい。
本明細書において、「植物病害防除能を有する」とは、下記式で示される防除価が40以上となることを意味する。
防除価=100×[1−(処理区の発病度/無処理区の発病度)]
(式中、処理区とは、評価対象である微生物で処理したサンプルを意味する。)
上記防除活性評価における微生物の処理量は、通常103〜1015CFU/株(CFU:コロニー形成単位)、好ましくは103〜1012CFU/株、さらに好ましくは105〜1010CFU/株である。
7.上記6.の手順により選抜された微生物のうち、GenBank/DDBJ/EMBL等の国際塩基配列データベースに対する、28S−rDNA−D1/D2塩基配列のBLAST相同性検索を行い、プレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属と95%以上の相同性を示す微生物を選択する。
【0010】
植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ属としては、上記分離・選抜方法によって得られたものを利用することができる。また、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに2008年11月10日付けで寄託されているプレクトスファエレラ エスピー(Plectosphaerella sp.)KFC005株(FERM BP−11196)、プレクトスファエレラ エスピー(Plectosphaerella sp.)KFC015株(FERM BP−11197)を利用することもできる。
【0011】
プレクトスファエレラ属糸状菌は、液体培地または固体培地を用いて培養することにより大量に調製することができる。
該培地は、本糸状菌が増殖するものであれば特に限定されず、一般に、微生物培養に通常使用される炭素源、窒素源等を含んでいる。
【0012】
液体培地は、通常水に炭素源、窒素源等を適宜混合することにより調製できる。
上記炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、スクロース等の糖類、グリセロール等の糖アルコール類、フマル酸、クエン酸、ピルビン酸等の有機酸、動植物油、及び糖蜜が挙げられる。
上記窒素源としては、例えば、肉エキス、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、大豆粉、コーン・スティープ・リカー(Corn Steep Liquor)、綿実粉、乾燥酵母、カザミノ酸等の天然有機窒素源;硝酸ナトリウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩や硝酸塩;フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の有機酸のアンモニウム塩;尿素;及びアミノ酸類が挙げられる。
【0013】
上記液体培地において、上記アンモニア塩に加え、その他の塩も用いてよい。かかる塩としては、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩化物、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、リン酸塩が挙げられ、具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、硫酸銅、酢酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸一水素カリウム、及びリン酸ニ水素カリウムが挙げられる。
【0014】
固体培地としては、例えば、米類、麦類等の主穀類、トウモロコシ、栗、稗、コーリャン、蕎麦等の雑穀類の一種又は二種以上を混合したもの;オガ粉、バガス、籾殻、莢、藁、コ−ンコブ、綿実粕等を主原料とし、これに必要に応じて、米糠、トウモロコシヌカ(コーンブラン)、コーン・スティープ・リカー、酵母粉末、フスマ、アミノ酸類、大豆ミール、小麦粉、オカラ、グルコース、マルトエキス、ミネラル(リン酸一カリウム、炭酸石灰、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等)、ビタミン(チアミン等)等を配合したもの;及び粘土鉱物等の多孔質、寒天、ゼラチン等の天然高分子等の基材に前記液体培地に使用される炭素源、窒素源、上記その他の塩等を含むものが挙げられる。
【0015】
本糸状菌の培養は、微生物の培養に通常使用される方法に準じて行うことができる。即ち、液体培地を用いて培養する方法としては、例えば試験管振盪式培養、往復式振盪培養、ジャーファーメンター培養及びタンク培養が挙げられる。固体培地を用いて培養する方法としては、例えば静置培養が挙げられる。
培養時間は培養条件により異なるが、通常約1日間〜約2ヶ月間の範囲である。
【0016】
本糸状菌は、本糸状菌を培養した培養液を遠心分離する、本糸状菌を培養した固体培地上に蒸留水等を加えて表面から菌体をかきとる等の方法で回収することができる。
【0017】
次に、本発明の植物病害虫雑草防除用組成物(以下、「本発明組成物」と記す場合がある。)について説明する。
【0018】
本発明組成物には、本糸状菌の生菌体が用いられ、生菌体としては、例えば分生胞子、短菌糸(blastospore)及び菌糸があげられる。本発明組成物には、分生胞子、短菌糸、菌糸等を単独または混合して用いることができる。
【0019】
本発明組成物に用いられる種子処理剤あるいは土壌処理剤としては、化学合成殺虫剤、化学合成殺菌剤、化学合成除草剤、微生物殺虫剤、微生物殺菌剤、微生物除草剤が挙げられ、好ましくは種子処理あるいは土壌処理可能な剤がよく、さらに好ましくは育苗培土処理が可能な剤がよい。
【0020】
本発明組成物に用いられる種子処理剤あるいは土壌処理剤に含まれる有効成分の具体例を下記に示すが、これらに限定されるものではない。
2,4−PA、BPMC、BT、CAT、DBN、DCBN、DCIP、DCMU、DD、DEP、DMTP、DPA、ECP、IPC、MCPA、MCPP、MDBA、MEP、NAC、PAC、TPN、アシュラム、アセタミプリド、アセフェート、アゾキシストロビン、アトラジン、アミスルブロム、アラクロール、アンバム、イソウロン、イソキサチオン、イソキサベン、イソチアニル、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イマザピル、イミシアホス、イミダクロプリド、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、インダノファン、ウニコナゾールP、エクロメゾール、エスプロカルブ、エチルチオメトン、エトキシスルフロン、エトフェンプロックス、オキサジアルギル、オキサミル、オキシテトラサイクリン、オキソリニック酸、オリサストロビルリン、オリザリン、カーバム、カーバムナトリウム塩、カスガマイシン、カズサホス、カフェンストロール、カルタップ、カルブチレート、カルプロパミド、カルボスルファン、キャプタン、クミルロン、クロチアニジン、クロラントラニリプロール、クロルピクリン、クロルピリホス、クロルフタリム、コニオチリウム ミニタンス、シアゾファミド、シアナジン、シアン酸ナトリウム、ジエトフェンカルブ、ジクロシメット、シクロスルファムロン、ジチオピル、シデュロン、ジノテフラン、ジフルフェニカン、ジフルベンズロン、シペルメトリン、ジベレリン、シメコナゾール、ジメテナミド、ジメテナミドP、ジメトエート、シュードモナス フルオレッセンス、スタイナーネマ カーポカプサエ、スタイナーネマ グラセライ、ストレプトマイシン、スピノサド、ターバシル、ダイアジノン、ダイムロン、ダゾメット、タラロマイセス フラバス、チアクロプリド、チアジニル、チアメトキサム、チウラム、チオジカルブ、チオシクラム、チオファネートメチル、チフェンスルフロンメチル、チフルザミド、テトラピオン、テブコナゾール、テブチウロン、テフルトリン、テフルベンズロン、トリアジフラム、トリコデルマ アトロビリデ、トリシクラゾール、トリネキサパックエチル、トリフルミゾール、トリフルラリン、トルクロホスメチル、トルフェンピラド、ナプロパミド、ニテンピラム、ノニルフェノールスルホン酸銅、パクロブトラゾール、パスツーリア ペネトランス、バチルス シンプレクス、バリオボラックス パラドクス、バリダマイシン、ハロスルフロンメチル、ヒドロキシイソキサゾール、ピメトロジン、ピラゾキシフェン、ピリミホスメチル、ピロキロン、フィプロニル、ブタクロール、ブタミホス、フラザスルフロン、フラメトピル、フルアジナム、フルアジホップ、フルアジホップP、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、フルベンジアミド、フルミオキサジン、フルルプリミドール、プレチラクロール、プロクロラズ、プロジアミン、プロスルホカルブ、プロチオホス、プロパモカルブ塩酸塩、プロピサミド、プロベナゾール、ブロマシル、プロメトリン、ベスロジン、ベノミル、ぺフラゾエート、ペルメトリン、ペンシクロン、ベンスルタップ、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ベンフラカルブ、ホスチアゼート、ホセチル、ポリオキシン、ポリオキシン複合体、マラソン、マンゼブ、メコプロップPカリウム塩、メソトリオン、メソミル、メタアルデヒド、メタラキシル、メタラキシルM、メチルイソチアネート、メトラクロール、S−メトラクロール、メトリブジン、メプロニル、モナクロスポリウム フィマトパガム、リニュロン、レナシル、ヨウ化メチル、塩基性塩化銅、塩素酸塩、過酸化カルシウム、金属銀、混合生薬抽出物、水酸化第二銅、石灰窒素、有機銅、硫黄。これらはいずれも公知のものであり、例えば「THE PESTICIDE MANUAL−15th EDITION(BCPC刊)ISBN 1901396188」等に記載されている。これらは市販の製剤から得るか、公知の方法で製造することにより得られる。
【0021】
本発明組成物は、植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ属糸状菌の生菌体と種子処理剤あるいは土壌処理剤とをそのまま用いることもできるが、固体担体、液体担体等、必要により界面活性剤や保水剤等の製剤用補助剤、乾燥剤、脱酸素剤等を含有し、粉剤、粒剤、水和剤等の固形製剤、乳剤、フロアブル剤、油剤等の液体製剤に製剤化してもよい。
【0022】
製剤化の際に用いられる固体担体としては、例えば、粘土類(セライト、カオリンクレー、珪藻土、合成含水酸化珪素、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、タルク類、セラミック、その他の無機鉱物、ピートモス、パルプ、寒天、ふすま、麦等の有機物が挙げられる。液体担体としては、例えば、水、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、灯油、軽油等)、農園芸油(マシン油等)、エステル油(大豆油、綿実油等)、シリコーン油が挙げられる。
【0023】
製剤化の際に用いられる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アミン塩、第4級アンモニウム塩等のカチオン製界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型等の両性界面活性剤、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は、1種類のものを単独で使用してもよいし、複数種の界面活性剤を混合して使用することもできる。
【0024】
製剤化の際に用いられる保水剤としては、例えば、粘性多糖類(カラギーナン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム等)、粘性合成水溶性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン等)、粘性動物系高分子(コンドロイチン硫酸ナトリウム、カゼイン、ゼラチン等)、多価アルコール類(グリセリン、エチレングリコール等)等が挙げられる。保水剤は、1種類のものを単独で使用してもよいし、複数種の保水剤を混合して使用することもできる。
【0025】
製剤化の際に用いられる乾燥剤としては、例えば、二酸化珪素、シリカゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブス等の酸化ケイ素化合物、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム化合物、クレー(粘土)等が挙げられる。乾燥剤は、1種類のものを単独で使用してもよいし、複数種の乾燥剤を混合して使用することもできる。
【0026】
製剤化の際に用いられる脱酸素剤としては、鉄系あるいは有機系の脱酸素剤等が挙げられる。脱酸素剤は1種類のものを単独で使用してもよいし、複数種の脱酸素剤を混合して使用することもできる。
【0027】
これらの製剤は、製剤1gあたり本糸状菌の生菌体を通常103〜1015CFU(CFU:コロニー形成単位)含有し、種子処理剤あるいは土壌処理剤を通常0.001g〜0.9g含有する。
【0028】
また、これらの製剤には肥料成分を加えてもよい。
【0029】
本発明組成物が防除能を有する植物病害の病原菌としては、例えば以下の病原菌が挙げられる。
青枯病菌(Pseudomonas属)、軟腐病菌(Erwina属)、根頭がんしゅ病菌(Agrobacterium属)、苗立枯病菌(Pseudomonas属)、もみ枯細菌病菌(Pseudomonas属)、褐条病菌(Pseudomonas属)等の細菌;
そうか病菌(Streptomyces属)等の放線菌;
根こぶ病菌(Plasmodiophora属)、疫病菌(Phytophthora属)、褐色雪腐病菌(Phthium属)、半身萎凋病菌(Verticillium属)、萎凋病菌(Fusarium属)、萎黄病菌(Fusarium属)、根腐病菌(Fusarium属)、乾腐病菌(Fusarium属)、黒あざ病菌(Rhizoctonia属)、紫紋羽病菌(Helicobaasidium属)、白紋羽病菌(Rosellinia属)、白絹病菌(Corticium属)、褐色根腐病菌(Pyrenochaeta属)、条斑病菌(Cephalosporium属)、乾腐病菌(Cylindrocarpon属)黒根腐病菌(Cylindrocladium属)、雪腐病菌(Typhula属)、黒根病菌(Aphanomyces属)、ばか苗病菌(Gibberella属)、いもち病菌(Pyricularia属)、ごま葉枯病菌(Cochliobolus属)、苗立枯病菌(Fusarium属)、苗立枯病菌(Pythium属)、苗立枯病菌(Rhizopus属)、苗立枯病菌(Trichoderma属)等の糸状菌。
【0030】
前記植物病害の中でも、好ましい例として、フザリウム(Fusarium)属菌による萎凋病、萎黄病、根腐病、乾腐病、バーティシリウム(Verticillium)属菌による半身萎凋病を挙げることができる。
【0031】
本発明組成物が防除能を有する植物害虫としては例えば下記のものが挙げられる。
半翅目害虫:ヒメトビウンカ(Laodelphax striatellus)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、セジロウンカ(Sogatella furcifera)等のウンカ類、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、タイワンツマグロヨコバイ(Nephotettix virescens)等のヨコバイ類、ワタアブラムシ(Aphis gossypii)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、ダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、チューリップヒゲナガアブラムシ(Macrosiphum euphorbiae)、ジャガイモヒゲナガアブラムシ(Aulacorthum solani)、ムギクビレアブラムシ(Rhopalosiphum padi)、ミカンクロアブラムシ(Toxoptera citricidus)等のアブラムシ類、アオクサカメムシ(Nezara antennata)、ホソヘリカメムシ(Riptortus clavetus)、クモヘリカメムシ(Leptocorisa chinensis)、トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris parvus)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)、ターニッシュッドプラントバグ(Lyus lineolaris)等のカメムシ類、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、タバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)等のコナジラミ類、アカマルカイガラムシ(Aonidiella aurantii)、サンホーゼカイガラムシ(Comstockaspis perniciosa)、シトラススノースケール(Unaspis citri)、ルビーロウムシ(Ceroplastes rubens)、イセリヤカイガラムシ(Icerya purchasi)等のカイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類等;
鱗翅目害虫:ニカメイガ(Chilo suppressalis)、サンカメイガ(Tryporyza incertulas)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、ワタノメイガ(Notarcha derogata)、ノシメマダラメイガ(Plodia interpunctella)、アワノメイガ(Ostrinia furnacalis)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilaris)、ハイマダラノメイガ(Hellula undalis)、シバツトガ(Pediasia teterrellus)等のメイガ類、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)、アワヨトウ(Pseudaletia separata)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、タマナヤガ(Agrotis ipsilon)、タマナギンウワバ(Plusia nigrisigna)、トリコプルシア属、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属等のヤガ類、モンシロチョウ(Pieris rapae)等のシロチョウ類、アドキソフィエス属、ナシヒメシンクイ(Grapholita molesta)、マメシンクイガ(Leguminivora glycinivorella)、アズキサヤムシガ(Matsumuraeses azukivora)、リンゴコカクモンハマキ(Adoxophyes orana fasciata)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnanima)、ミダレカクモンハマキ(Archips fuscocupreanus)、コドリンガ(Cydia pomonella)等のハマキガ類、チャノホソガ(Caloptilia theivora)、キンモンホソガ(Phyllonorycter ringoneella)のホソガ類、モモシンクイガ(Carposina niponensis)等のシンクイガ類、リオネティア属等のハモグリガ類、リマントリア属、ユープロクティス属等のドクガ類、コナガ(Plutella xylostella)等のスガ類、ワタアカミムシ(Pectinophora gossypiella)、ジャガイモガ(Phthorimaea operculella)等のキバガ類、アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)等のヒトリガ類、イガ(Tinea translucens)等のヒロズコガ類等;
アザミウマ目害虫:ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)、ミナミキイロアザミウマ(Thrips parmi)、チャノキイロアザミウマ(Scirtothrips dorsalis)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ヒラズハナアザミウマ(Frankliniella intonsa)、タバコアザミウマの(Frankliniella fusca)等のアザミウマ類等;
双翅目害虫:タマネギバエ(Hylemya antiqua)、タネバエ(Hylemya platura)、イネハモグリバエ(Agromyza oryzae)、イネヒメハモグリバエ(Hydrellia griseola)、イネキモグリバエ(Chlorops oryzae)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)等のハモグリバエ類、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)、チチュウカイミバエ(Ceratitis capitata)等;
甲虫目害虫:ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctopunctata)、ウリハムシ(Aulacophora femoralis)、キスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)、イネドロオイムシ(Oulema oryzae)、イネゾウムシ(Echinocnemus squameus)、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzophilus)、ワタミゾウムシ(Anthonomus grandis)、アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)、シバオサゾウムシ(Sphenophorus venatus)、マメコガネ(Popillia japonica)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、コーンルートワームの仲間(Diabrotica spp.)、コロラドハムシ(Leptinotarsa decemlineata)、コメツキムシの仲間(Agriotes spp.)、タバコシバンムシ(Lasioderma serricorne)等;
直翅目害虫:ケラ(Gryllotalpa africana)、コバネイナゴ(Oxya yezoensis)、ハネナガイナゴ(Oxya japonica)等;
膜翅目害虫:カブラハバチ(Athalia rosae)、ハキリアリ(Acromyrmex spp.)、ファイヤーアント(Solenopsis spp.)等。
【0032】
前記植物害虫の中でも、好ましい例として、アブラムシ類、アザミウマ類、ハモグリバエ類、ハリガネムシ、コロラドハムシ、マメコガネ、ドウガネブイブイ、ワタミゾウムシ、イネミズゾウムシ、タバコアザミウマ、コーンルートワームの仲間、コナガ、アオムシ、マメシンクイガ等を挙げることができる。
【0033】
本発明組成物が防除能を有するセンチュウとしては例えば下記のものが挙げられる。
イチゴメセンチュウ、イモグサレセンチュウ、ピンセンチュウ、キタネコブセンチュウ、ネコブセンチュウ、サツマイモネコブセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、クローバーシストセンチュウ、イシュクセンチュウ、カナヤサヤワセンチュウ、キタネグサレセンチュウ、チャネグサレセンチュウ、ネグサレセンチュウ、イチゴセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、ハガレセンチュウ、マツノザイセンチュウ、シンガレセンチュウ、イチゴネグサレセンチュウ、シストセンチュウ等を挙げることができる。
【0034】
本発明の植物病害虫雑草防除方法(以下、「本発明防除方法」と記す場合がある。)は、通常、本発明組成物の有効量を、植物または植物を栽培する土壌に処理することにより行われる。施用対象としては、植物の茎葉、植物の種子、球根等が挙げられる。尚、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根、及び担根体を意味する。
【0035】
本発明防除方法としては具体的には、茎葉散布等の植物の茎葉への処理、土壌処理等の植物の栽培地への処理、種子消毒・種子コート等の種子への処理、種芋への処理や球根への処理等が挙げられ、これら防除方法を適宜組み合わせてもよい。
【0036】
本発明防除方法における植物の茎葉への処理としては、具体的には、例えば、茎葉散布、ダクト散布、循環扇散布、樹幹散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。
【0037】
本発明防除方法における土壌処理方法としては、例えば、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注、薬液注入、薬液ドリップ、土壌の薬液浸漬が挙げられ、処理する場所としては例えば、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ(生分解性トレイを含む)、育苗ポット(生分解性ポットを含む)、苗床等が挙げられ、処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、及び定植後の生育期等が挙げられる。また、有効成分を潅水液に混合してもよく、例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液への混入等が挙げられる。前記土壌処理方法の中でも、育苗期の育苗培土への灌注処理が好ましい。
【0038】
本発明防除方法における種子、種芋、球根への処理は、例えば、植物病害虫雑草から保護しようとする植物の種子、種芋、球根等に本発明組成物を処理する方法であって、具体的には、例えば、本発明組成物の懸濁液を霧状にして種子表面、種芋表面もしくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明組成物の水和剤、乳剤又はフロアブル剤等に少量の水を加えるか又はそのままで種子、種芋もしくは球根に塗付する塗沫処理、本発明組成物の溶液に一定時間種子、種芋もしくは球根を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
【0039】
また、本発明防除方法は、プレクトスファエレラ属糸状菌と種子処理剤あるいは土壌処理剤とが植物内、植物表面または植物を栽培する土壌中で混合されるのであれば、処理時期が異なっていてもよい。
具体的には、種子処理剤あるいは土壌処理剤を、種子処理あるいは育苗培土に処理した後、プレクトスファエレラ属糸状菌を育苗培土に処理してもよい。また、プレクトスファエレラ属糸状菌を育苗培土に処理した後、土壌処理剤を育苗培土に処理してもよい。
【0040】
さらに、本発明防除方法は、太陽熱消毒や還元土壌消毒などの物理的土壌消毒や肥料と適宜組み合わせることができる。
【0041】
本発明組成物を施用する際、プレクトスファエレラ属糸状菌の施用量は1施用あたり通常1株あたり103〜1015CFUとするのがよく、好ましくは103〜1012CFU、さらに好ましくは105〜1010CFUとするのがよい。また種子処理剤あるいは土壌処理剤の施用量は1施用あたり通常1株あたり0.001mg〜1000mgとするのがよく、好ましくは0.001mg〜100mg、さらに好ましくは0.01mg〜10mgとするのがよい。乳剤、水和剤、フロアブル剤等は通常、水で希釈して施用し、粒剤等は通常、そのまま施用する。
【0042】
本発明防除方法は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用にて使用することができる。
【0043】
本発明は、以下に挙げられる「植物」等を栽培する農耕地等において、当該農耕地の植物病害虫雑草を防除するために使用することができる。
農作物;トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セルリー、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹;仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0044】
上記「植物」とは、種々の植物病害、害虫、センチュウなどに抵抗性を有している品種を含み、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、EPSP合成酵素阻害剤、グルタミン合成酵素阻害剤、ブロモキシニル、ジカンバ等の除草剤に対する耐性が、古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
【0045】
また、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等(例えば、バチルス・セレウス、バチルス・ポピリエ、バチルス・チューリンゲンシス等由来の殺虫性タンパク)を合成する事が可能となった植物も含まれる。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫への耐性を植物へ付与する。
【0046】
さらに、遺伝子組換え技術を用いて、PRタンパク、イオンチャネル阻害剤等の選択的作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
【0047】
また、上記「植物」とは、古典的育種技術または遺伝子組換え技術を用い、先に述べたような除草剤耐性、害虫抵抗性、病害耐性等に関わる形質を2種以上付与された系統、及び同類または異なる性質を有する遺伝子組換え植物同士を掛け合わせることにより親系統が有する2種以上の性質が付与された系統も含まれる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を試験例等により、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0049】
本発明組成物の製造方法(1)
プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株をPDA培地に生育させた。当該培地の培地切片をPDB培地に植菌し、25℃で3日間振とう培養し、滅菌水で10倍に希釈した。その後、希釈した培養液100mlを滅菌済大麦100gとよく混合し、25℃で2週間培養した。得られた培養物は相対湿度20%RH以下で含水率が15%以下になるまで乾燥させたのち、ジューサーミキサーで粉砕し、プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株培養物の粉砕物を得た。得られた粉砕物およびクロチアニジンを0.5%含有するダントツ粒剤(住友化学製)を1:1の重量比で混合し本発明組成物(1)を得た。
【0050】
本発明組成物の製造方法(2)
プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株をPDA培地に生育させた。当該培地の培地切片をPDB培地に植菌し、25℃で3日間振とう培養し、滅菌水で10倍に希釈した。その後、希釈した培養液100mlを滅菌済ふすま100gとよく混合し、25℃で2週間培養した。得られた培養物は相対湿度20%RH以下で含水率が15%以下になるまで乾燥させたのち、ジューサーミキサーで粉砕し、プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株培養物の粉砕物を得た。得られた粉砕物およびイミダクロプリドを1.0%含有するアドマイヤー1粒剤(バイエルクロップサイエンス製)を1:1の重量比で混合し本発明組成物(2)を得た。
【0051】
本発明組成物の製造方法(3)
プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株をPDA培地に生育させた。当該培地の培地切片をPDB培地に植菌し、25℃で3日間振とう培養し、滅菌水で10倍に希釈した。その後、希釈した培養液100mlを滅菌済ふすま100gとよく混合し、25℃で2週間培養した。得られた培養物は相対湿度20%RH以下で含水率が15%以下になるまで乾燥させたのち、ジューサーミキサーで粉砕し、プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株培養物の粉砕物を得た。得られた粉砕物およびニテンピラムを1.0%含有するベストガード粒剤(住友化学製)を1:1の重量比で混合し本発明組成物(3)を得た。
【0052】
本発明組成物の製造方法(4)
プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株をPDA培地に生育させた。当該培地の培地切片をPDB培地に植菌し、25℃で3日間振とう培養し、滅菌水で10倍に希釈した。その後、希釈した培養液100mlを滅菌済大麦100gとよく混合し、25℃で2週間培養した。得られた培養物は相対湿度20%RH以下で含水率が15%以下になるまで乾燥させたのち、ジューサーミキサーで粉砕し、プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株培養物の粉砕物を得た。得られた粉砕物およびアセタミプリドを2.0%含有するモスピラン粒剤(日本曹達製)を1:1の重量比で混合し本発明組成物(4)を得た。
【0053】
本発明組成物の製造方法(5)
プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株をPDA培地に生育させた。当該培地の培地切片をPDB培地に植菌し、25℃で3日間振とう培養し、滅菌水で10倍に希釈した。その後、希釈した培養液100mlを滅菌済大麦100gとよく混合し、25℃で2週間培養した。得られた培養物にジノテフランを10.0%含有するスタークル液剤10(三井化学製)を1:0.2の重量比で含浸させた後、相対湿度20%RH以下で含水率が15%以下になるまで乾燥し、ジューサーミキサーで粉砕して本発明組成物(5)を得た。
【0054】
本発明組成物の製造方法(6)
プレクトスファエレラ属糸状菌KFC005株をPDA培地に生育させた。当該培地の培地切片をPDB培地に植菌し、25℃で3日間振とう培養し、滅菌水で10倍に希釈した。その後、希釈した培養液100mlを滅菌済大麦100gとよく混合し、25℃で2週間培養した。得られた培養物は相対湿度20%RH以下で含水率が15%以下になるまで乾燥させた。乾燥培養物に10倍重量の大豆油(ナカライテスク製)を加え30分間撹拌したものをガーゼでろ過し、ろ液の10分の1重量のペグノール24−O(東邦化学製)と100分の1重量のクロチアニジン(関東化学製)をろ液に加えて撹拌することにより、本発明組成物(6)を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属糸状菌と、種子処理剤あるいは土壌処理剤とを含有する植物病害虫雑草防除用組成物。
【請求項2】
前記プレクトスファエレラ属糸状菌が、プレクトスファエレラ エスピー(Plectosphaerella sp.)KFC005株(FERM BP−11196)、またはプレクトスファエレラ エスピー(Plectosphaerella sp.)KFC015株(FERM BP−11197)である請求項1に記載の植物病害虫雑草防除用組成物。
【請求項3】
前記種子処理剤あるいは土壌処理剤が、雑草、土壌害虫、センチュウあるいは土壌病害に対して防除効果を示す請求項1または2に記載の植物病害虫雑草防除用組成物。
【請求項4】
植物病害防除能を有するプレクトスファエレラ(Plectosphaerella)属糸状菌と、種子処理剤あるいは土壌処理剤とを、植物あるいは土壌に処理する植物病害虫雑草防除方法。
【請求項5】
前記植物あるいは土壌が、育苗中の植物あるいは育苗培土である請求項4に記載の植物病害虫雑草防除方法。

【公開番号】特開2012−250941(P2012−250941A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125544(P2011−125544)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(391001619)長野県 (64)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】