説明

検出センサ用のサニタリー電極棒

【課題】 食品や化学品等のプラント設備などにも衛生的に使用できる、検出センサ用のサニタリー電極棒を提供する。
【解決手段】 主電極2と絶縁部4の間がセラミックス/金属接合により接合されて該接合面U1が水密かつ平滑な表面を有してなるので、従来のように、接着剤等を使用しないので、また金属とセラミックスの接合面U1に微小な凹凸も形成されないので、衛生的な電極棒1が得られる。また、金属とセラミックスの接合面U1がろう付けであるので、水密性を高く接合強度を高くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサの検知部を構成する電極棒が、検出対象物に対して突出して設けられて金属からなる主電極と、これを絶縁する絶縁部とを備えた検出センサ用の電極棒に関し、特に衛生的なサニタリー電極棒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品、化粧品、化学品、薬品等のプラント設備などにおいて、収納容器(タンク)内に収納された液体や粉体などのような検出対象物の収納レベルを検出するために、検知部である電極棒を検出対象物に対して突出させ、タンク内の収納レベル位置に応じて変化する静電容量を発振回路を用いて検出する静電容量式のレベル検出センサが知られている。このレベル検出センサは、例えば検出対象物に対して突出して設けられた金属製の主電極と、タンク取付部(外部接地部)と電気的に接続された金属製の接地電極と、主電極と接地電極間に設けられたセラミック製の絶縁部とを備えた電極棒を用いて、検出対象物の有無により発生する静電容量の変化を検知して、タンク内の検出対象物の収納レベルを検出する。
【0003】
ところで、従来のレベル検出センサに用いられる電極棒では、金属と絶縁物との間は、通常、接着剤などを使用したシールまたはOリング方式により水密に接合される(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−128115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電極棒におけるシールまたはOリング方式では、金属と絶縁物の接合部に接着剤などを使用するので接着剤に含まれる揮発性の有害物質が出ることから、また該接合部に微小な凹凸ができてそこに食品などの雑菌が付着するおそれがあることから、衛生的に問題となる。また、衛生的観点からシール材およびOリングの材料も限定される。さらに、金属と絶縁物の接合部を密着させるためにシールまたはOリングの締め付け構造が必要となって、電極棒の構造が複雑になる。
【0005】
本発明は、食品や化学品などのプラント設備にも衛生的に使用できる、検出センサ用のサニタリー電極棒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の一構成にかかる検出センサ用のサニタリー電極は、検出センサの検知部を構成する電極棒であって、検出対象物に対して突出して設けられて第1の金属からなる主電極と、これを絶縁するセラミックスからなる絶縁部とを備えたサニタリー電極棒であり、前記絶縁部におけるセラミックスの表面に第2の金属の層が形成されており、これに前記主電極における第1の金属がろう付けされるセラミックス/金属接合により、前記主電極と前記絶縁部の間が接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる。好ましくは、前記主電極はステンレス鋼からなる。
【0007】
この構成によれば、主電極と絶縁部の間がセラミックス/金属接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなるので、従来のように、接着剤等を使用しないので、また、金属とセラミックスの接合面に微小な凹凸も形成されないので、衛生的な電極棒が得られる。また、金属とセラミックスの接合面がろう付けであるので、水密性を高く接合強度を高くできる。
【0008】
好ましくは、前記主電極と前記絶縁部とが、凹入された第3の金属からなるスリーブを介して前記セラミックス/金属接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる。したがって、凹入したスリーブ5、6を介して主電極と絶縁部の接合面がより水密かつ平滑な表面を有する電極棒が得られる。
【0009】
好ましくは、さらに、外部接地部と電気的に接続された第1の金属からなる接地電極を備え、前記セラミックスからなる絶縁部が前記主電極と前記接地電極間に設けられており、前記主電極と前記絶縁部との間、および前記絶縁部と前記接地電極との間が、前記セラミックス/金属接合により接合されて該各接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる。したがって、絶縁部と接地電極の接合面も水密かつ平滑な表面を有するので、衛生的な電極棒が得られる。
【0010】
本発明の他の構成にかかる検出センサ用のサニタリー電極棒は、検出センサの検知部を構成する電極棒であって、検出対象物に対して突出して設けられて第1の金属からなる主電極と、これを絶縁する高分子材料からなる絶縁部とを備えたサニタリー電極棒であり、前記主電極における金属を高周波誘導加熱で昇温させた状態でこれに前記絶縁部における高分子材料を押し付けて融着させる金属/高分子接合により、前記主電極と前記絶縁部の間が接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有する。好ましくは、前記主電極はステンレス鋼からなる。
【0011】
この構成によれば、主電極と絶縁部の間が金属/高分子接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなるので、従来のように、接着剤等を使用しないので、また、金属と高分子材料の接合面に微小な凹凸も形成されないので、衛生的な電極棒が得られる。また、金属と高分子材料の接合面が融着であるので、水密性を高くできる。
【0012】
好ましくは、前記主電極と前記絶縁部がねじ結合されるとともに、前記金属/高分子接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる。したがって、主電極と絶縁部のねじ結合により、接合強度を高くできる。
【0013】
好ましくは、さらに、外部接地部と電気的に接続された第1の金属からなる接地電極を備え、前記高分子材料からなる絶縁部が前記主電極と前記接地電極間に設けられており、前記主電極と前記絶縁部との間、および前記絶縁部と前記接地電極との間が、前記金属/高分子接合により接合されて該各接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる。したがって、絶縁部と接地電極の接合面も水密かつ平滑な表面を有するので、衛生的な電極棒が得られる。
【0014】
本発明の好ましい実施態様によれば、検出センサは、前記各検出センサ用のサニタリー電極棒のいずれかを備えている。好ましくは、前記検出センサは、検出対象物の有無により、前記主電極と前記接地電極間に発生する静電容量の変化を検知して、検出対象物の収納レベルを検出する静電容量式レベル検出センサである。この場合、電極に検出対象物が接触すると、電極と収納容器(タンク)壁間の静電容量、コンダクタンスが変化する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る検出センサ用のサニタリー電極棒を示す側面図である。このサニタリー電極棒1は、食品や化学品等のプラント設備などに用いられる検出センサの検知部を構成し、液体や粉体などの検出対象物に対して突出して設けられて第1の金属からなる主電極2と、図示しない検出センサ取付部(外部接地部)と電気的に接続された第1の金属からなる接地電極3と、主電極2と接地電極3間を絶縁するセラミックス4Aからなる絶縁部4とを備えている。サニタリー電極棒1は例えば円筒形であり、その基部には電極棒支持部1aが設けられている。
【0016】
このサニタリー電極棒1は、絶縁部4におけるセラミックス4Aの表面に第2の金属の層を形成しており、これに主電極2における第1の金属をろう付けするセラミックス/金属接合により、主電極2と絶縁部4の間、および絶縁部4と接地電極3との間が接合されて該各接合面U1、U2が水密、つまり水分が浸み込まなくかつ平滑な表面を有してなる。
【0017】
第1の金属には例えばステンレス鋼などの材料が使用される。第2の金属には例えばチタン(Ti)をベースとした活性金属(Ag−Cu−Ti等)やマンガン(Mn)をベースとした高融点金属(Mo−Mn等)などの材料が使用される。セラミックス4Aには、例えばアルミナ(Al)や窒化ケイ素(Si)などの材料が使用される。ろう材には例えばAg−Cuろう(銀ろう)やAu−Niろうなどの材料が使用される。
【0018】
前記セラミックス/金属接合では、まず、セラミックス4Aの表面に例えばチタンのような第2の金属の層を形成するのに、高温処理することでチタンがセラミックス中に拡散またはセラミックスと反応して、セラミックスの表面に金属層が形成される(メタライズ)。この状態で、これにステンレス鋼のような第1の金属を銀ろう等を用いてろう付けすることにより、各接合面U1、U2が水密かつ平滑な表面を有するとともに、金属とセラミックスの強固な接合が得られる。
【0019】
こうして、第1実施形態では、主電極2と絶縁部3の間、絶縁部4と接地電極3の間がセラミックス/金属接合により接合されて各接合面U1、U2が水密かつ平滑な表面を有してなるので、従来のように、接着剤等を使用しないので、また、金属とセラミックスの接合面U1、U2に微小な凹凸も形成されないので、衛生的な電極棒1が得られる。また、金属とセラミックスの接合面U1、U2がろう付けであるので、水密性を高く接合強度を高くできる。
【0020】
つぎに、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、第1実施形態と異なり、図2に示すように、主電極2と絶縁部4、絶縁部4と接地電極3が、それぞれ凹入された第3の金属からなるスリーブ5、6を介して前記セラミックス/金属接合により接合されて該接合面U1a、U2aが水密かつ平滑な表面を有してなる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0021】
スリーブ5、6は主電極2と絶縁部4間、絶縁部4と接地電極3間にそれぞれ凹入されているので、これを介して各間を接合するとより平滑な表面となる。特に、このスリーブ5、6は、ステンレス鋼の金属とセラミックスを接合する場合に当該接合を容易にする。スリーブ5、6における第3の金属には、その熱膨張係数がセラミックスに近く、セラミックスとの接合の際の温度ストレスが小さくろう付けが好適となる材料、例えばFe−Ni−Co合金(コバール)やFe−Ni合金などの材料が使用される。
【0022】
こうして、第2実施形態では、主電極2と絶縁部4、絶縁部4と接地電極3がそれぞれ、絶縁部4のセラミックスとの接合に好適な第3の金属からなる凹入されたスリーブ5、6を介して前記セラミックス/金属接合により接合されるので、凹入したスリーブ5、6を介して主電極2と絶縁部4、絶縁部4と接地電極3の接合面がより水密かつ平滑な表面を有する電極棒1が得られる。
【0023】
つぎに、第3実施形態について説明する。この第3実施形態は、第1実施形態と異なり、図3に示すように、絶縁部4が高分子材料4Bからなる。また、主電極2と絶縁部4、絶縁部4と接地電極3がそれぞれねじ部7、8で互いにねじ結合されるとともに、金属/高分子接合により接合されて該接合面U3、U4が水密かつ平滑な表面を有してなる。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0024】
このサニタリー電極棒1は、主電極2および接地電極3におけるステンレス鋼のような金属を高周波誘導加熱で昇温させた状態で、これに絶縁部4における高分子材料4Bの成形品を押し付けて融着させる金属/高分子接合により、主電極2と絶縁部4の間、および絶縁部4と接地電極3の間が接合されて該接合面U3、U4が水密かつ平滑な表面を有する。この金属/高分子接合によれば、金属表面の微細な凹凸に対して高分子材料4Bが隙間なく密着し、また高分子材料4Bの成形品の変形も回避できる。
【0025】
高分子材料4Bには、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリアセタノールなどの材料で、耐熱性、耐化学性が高く、かつ食品衛生法などにも合致した材料が使用される。
【0026】
こうして、第3実施形態では、主電極2と絶縁部4の間、絶縁部4と接地電極3の間が金属/高分子接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなるので、従来のように、接着剤等を使用しないので、また、金属と高分子材料の接合面U3、U4に微小な凹凸も形成されないので、衛生的な電極棒が得られる。また、金属と高分子材料の接合面U3、U4が融着であるので、水密性を高くできる。また、主電極2と絶縁部4の間、絶縁部4と接地電極3の間のねじ結合により、接合強度を高くできる。
【0027】
図4は、本発明の第4実施形態に係るサニタリー電極棒1を有する静電容量式レベル検出センサを示す一部破断側面図である。サニタリー電極棒1は第1〜3実施形態のいずれか任意のものが使用され、金属と絶縁部の接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる。このレベル検出センサは、タンクV内の液体や粉体などのような収納物Mのレベル位置を静電容量の変化に基づいて検出するものであり、タンクVに設けられたサニタリー電極棒1と、これを制御する制御部(コントローラ)9とを備えている。
【0028】
図4の電極棒支持部1aは、例えばタンクVの上壁上に載置されてサニタリー電極棒1を支持し、サニタリー電極棒1は、タンクVの上壁面から底面に向けて垂下された状態でタンクV内に突出している。サニタリー電極棒1は、主電極と絶縁部を介して接地電極とを有し、この接地電極は電極棒支持部1aを介してタンクVに接触してアース電位に保持されており、検出対象物の有無により、主電極と接地電極間に発生する静電容量変化ΔCを検知して、タンクV内の検出対象物の有無を検出する。
【0029】
こうして、本発明にかかる静電容量式レベル検出センサは、そのサニタリー電極棒1が前記したように金属と絶縁部の接合面が水密かつ平滑な表面を有してなるので、接着剤等を使用せず、また接合面に微小な凹凸も形成されないので、食品や化学品等のプラント設備などに衛生的に使用できる。
【0030】
なお、この実施形態では、検出センサとして静電容量式レベル検出センサに適用しているが、これに限定されるものではなく、サニタリー電極棒を有する検出センサであれば他の検出センサに適用してもよい。
【0031】
なお、上記各実施形態では、主電極2と接地電極3を備えているが、接地電極3は必要に応じて省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る検出センサ用のサニタリー電極棒を示す側面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る検出センサ用のサニタリー電極棒を示す側面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る検出センサ用のサニタリー電極棒を示す側面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係るサニタリー電極棒を用いた静電容量式レベル検出センサを収納容器に装着した状態を示す一部破断した縦断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:サニタリー電極棒
2:主電極
3:接地電極
4:絶縁部
4A:セラミックス
4B:高分子材料
5、6:スリーブ
7、8:ねじ部
M:収納物
U:接合面
V:収納容器(タンク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出センサの検知部を構成する電極棒であって、検出対象物に対して突出して設けられて第1の金属からなる主電極と、これを絶縁するセラミックスからなる絶縁部とを備えたサニタリー電極棒であり、
前記絶縁部におけるセラミックスの表面に第2の金属の層が形成されており、これに前記主電極における第1の金属がろう付けされるセラミックス/金属接合により、前記主電極と前記絶縁部の間が接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項2】
請求項1において、
前記主電極と前記絶縁部とが、凹入された第3の金属からなるスリーブを介して前記セラミックス/金属接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項3】
請求項1において、
前記主電極がステンレス鋼からなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項4】
請求項1において、さらに、外部接地部と電気的に接続された第1の金属からなる接地電極を備え、前記セラミックスからなる絶縁部が前記主電極と前記接地電極間に設けられており、
前記主電極と前記絶縁部との間、および前記絶縁部と前記接地電極との間が、前記セラミックス/金属接合により接合されて該各接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項5】
検出センサの検知部を構成する電極棒であって、検出対象物に対して突出して設けられて第1の金属からなる主電極と、これを絶縁する高分子材料からなる絶縁部とを備えたサニタリー電極棒であり、
前記主電極における金属を高周波誘導加熱で昇温させた状態でこれに前記絶縁部における高分子材料を押し付けて融着させる金属/高分子接合により、前記主電極と前記絶縁部の間が接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有する、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項6】
請求項5において、
前記主電極と前記絶縁部がねじ結合されるとともに、前記金属/高分子接合により接合されて該接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項7】
請求項5において、
前記主電極がステンレス鋼からなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項8】
請求項5において、さらに、外部接地部と電気的に接続された金属からなる接地電極を備え、前記高分子材料からなる絶縁部が前記主電極と前記接地電極間に設けられており、
前記主電極と前記絶縁部との間、および前記絶縁部と前記接地電極との間が、前記金属/高分子接合により接合されて該各接合面が水密かつ平滑な表面を有してなる、検出センサ用のサニタリー電極棒。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の検出センサ用のサニタリー電極棒を備えた検出センサ。
【請求項10】
請求項9において、
検出対象物の有無により、前記主電極と前記接地電極間に発生する静電容量の変化を検知して、検出対象物の収納レベルを検出する静電容量式レベル検出センサである検出センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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