説明

検定法

【発明の詳細な説明】
本発明は特異結合を伴う検定法、特に免疫学的検定法に係る。
詳細には、本発明は家庭、診療所、診察室等での使用に適し、早急に分析結果を得ることができ、しかも使用者の側の熟練も手間もほとんど要さない分析装置に係る。家庭で試験装置を使って妊娠の判定や受胎(排卵)期の判定を行うことは今や普通になっており、多種に及ぶ試験装置やキットが市販されている。現在市販されている装置は例外無く試験結果が観察されるようになるまでに使用者が一連の作業を行わねばならない形式のものばかりである。このような作業は当然ながら時間がかかる上に、失敗の可能性も伴う。
本発明の目的は、未熟練者でも容易に使用でき、また好適には装置の一部分のみ試料(例えば妊娠試験や排卵試験の場合では尿)と接触させれば良く、その後使用者が何もしなくても分析結果を観察できる試験装置を提供することである。理想的には試料を塗布してから数分間、例えば10分以下で分析結果を観察できるようにすべきであると言える。
免疫学的検定法のような特異結合検定法において試薬含浸試験片を使用することがこれまでに提案されている。この方法では、試料を試験片の一部分に塗布し、通常は水のような溶離液を用いて試料を試験片の材料に浸透させる。そうするうちに試料が、試験片の検出区域に侵入し、あるいはここを通過し、そこで試料の中に存在すると思われる検体に対する特異結合試薬が固定される。従って試料中に存在する検体が検出区域の中で結合される。検体が検出区域の中で結合される程度は標識付き試薬を用いて判定することができるが、この標識付き試薬もまた試験片の中に含ませておくか、あるいは後に塗布することができる。上記の原理を用いた先行技術例がタイロイド・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド(Thyroid Diagnostics Inc)GB 1589234、ブーツ・セルテック・ダイアグノスティックス・リミテッド(Boots−Celltech Diagnostics Limited)EP 0225054、シンテックスUSAインコーポレイテッド(Syntex USA Inc.)EP 0183442、ベーリンベルク(Behringwerk)AG,EP 0186799に記載されている。
本発明は上に挙げた刊行物に記載されているような周知技術を改良して、特に家庭での使用に適し、速効的で便利であり、しかも使用者の手間をできるだけ少なくした診断試験装置を提供することを目的とする。
本発明の典型的実施態様である分析試験装置は、乾燥多孔質キャリヤを内蔵して不透湿性固体材料で形成されている中空ケーシングを含んで成る分析試験装置であって、前記多孔質キャリヤに液状試験試料を付与できるように前記多孔質キャリヤがケーシングの外部と直接的または間接的に連通しており、前記装置が、湿潤状態において多孔質キャリヤ内部で自由に移動し得る検体に対し特異結合性の標識付き試薬または検体の存在時に競合反応に参加する試薬と、キャリヤ材料上の検出区域に永久的に固定されており従って湿潤状態でも移動しない同検体に対して特異結合性の無標識試薬とを含んでおり、装置に付与した液状試料が標識付き試薬を吸収した後に検出区域に浸透するように標識付き試薬と検出区域との位置関係が決定されており、該装置がさらに、標識付き試薬が検出区域において結合された程度(結合された場合)を観察できるようにする手段を含んで成る装置である。
本発明の別の実施態様は検体の検定に使用する装置であり、該装置が第1区域に標識付き試薬を保持する多孔質固相材料を含み、該標識付き試薬は多孔質材料が乾燥状態にある間は第1区域に保持されるが、例えば検体を含有すると思われる水性液状試料の塗布などによって多孔質材料が湿潤されると多孔質材料を通って自由に移動できるようになる試薬であり、多孔質材料がさらに、第1区域から空間的に別の所にある第2区域に検体に対して特異性を有する無標識特異結合試薬を保持しており、前記無標識試薬は標識付き試薬と共に「サンドイッチ」反応または「競合」反応に参加できる試薬であり、多孔質材料が湿潤状態にある時にも自由に移動できないように多孔質材料上で固定化される。
本発明はまた、分析方法も提供する。本発明の分析方法では、上で述べた装置を検体を含有すると思われる水性液状試料と接触させ、試料を毛細管現象により多孔質固相材料を通って第1区域から第2区域へと浸透せしめ、試料と共に標識付き試薬も第1区域から第2区域へと移動せしめ、標識付き試薬が第2区域で結合された程度(結合された場合)を観察することによって、試料の中に検体が存在するか否かを判定する。
本発明の一実施態様では、標識付き試薬として検体に対して特異的に結合する相手の物質を使用する。標識付き試薬と検体(もしあれば)と固定化された無標識特異結合試薬とが共同して「サンドイッチ」反応を生じる。その結果、試料中に検体が存在する場合は第2区域で標識付き試薬が結合される。これら2種類の結合試薬は、検体の異なるエピトープに対して特異性をもつものでなければならない。
本発明の別の実施態様では、標識付き試薬として標識と結合された検体そのもの、あるいは検体の類似物、すなわち検体と同じ特異結合特性を有しかつ同じように標識と結合された化学物質を使用する。後者の場合、水性液状試料における溶解性や分散性および湿潤多孔質固相材料を通って移動する能力に影響を及ぼす検体類似物の特性は、検体そのものの特性と同じかあるいは少なくともごく近いものにする必要がある。この第2実施態様では、標識を付けに検体または検体類似物が多孔質固相材料を通って第2区域に入り、固定化試薬と結合する。試料の中に検体が存在すれば、それがこの結合反応において標識付き試薬と競合する。このような競合の結果、第2区域で結合される標識付き試薬の量が減少し、その結果試料中に検体が存在しない場合に比較して第2区域において観察される信号の程度が弱くなる。
本発明の重要な好適実施態様ではキャリヤ材料としてニトロセルロースを選択する。この材料は予め増感しなくても固有に蛋白質と結合する能力を有するため、紙のような従来の試験片材料に比べて相当に優れている。免疫グロブリンのような特異結合試薬を直接ニトロセルロースに塗布し、その上で固定化することができる。試薬のもつ特異結合能力の妨げとなるような化学処置を全く必要としない。その後ニトロセルロースの不使用部位を、ポリビニルアルコールのような簡単な材料を用いて遮断することができる。さらに、ニトロセルロースはいろいろな大きさの気孔のものを入手することができるため、試料流量のような要件に特に合わせてキャリヤ材料を選択することが容易になる。
本発明の別の重要好適実施態様では、所謂「直接標識」を一方の特異結合試薬に付けて使用する。金ゾルや染料ゾルのような直接標識が既知となっており、それらを用いると、検出可能な信号を生成するために別の試薬を加えなくても分析結果を瞬時に得ることができる。直接標識は丈夫で安定性があるため、乾燥状態で保存される分析装置に容易に使用することができる。水性試料と接触した時の放出度を、例えば可溶性グレーズを用いて調整することができる。
本発明の重要な特長は、直接標識付きの特異結合試薬をキャリヤをベースとした分析装置、例えばストリップ形式の装置に使用して短時間で明確な結果を得られるようにする技術的特長を選択したことにある。理想を言えば、検定結果を眼で識別できるようにするべきであり、それを簡単にするためには、直接標識が検出区域に集中することが必要である。これを達成するには、直接標識付きの試薬が展開液によって容易に移送されるようにする必要がある。また、観察可能な結果が得られる可能性を高めるために、展開試料液を比較的小さな検出区域に通すのが望ましい。
この他に本発明の重要な面は、ニトロセルロースから成るキャリヤ材料に直接標識付き特異結合試薬を使用することにある。ニトロセルロースの気孔の大きさは少なくとも1ミクロンとするのが望ましい。またその気孔の大きさを約20ミクロン以下とすることが望ましい。特に好適な実施態様では、直接標識として球形または略球形で最大直径約0.5ミクロン以下の着色ラテックス粒子を用いる。このような粒子の理想的な大きさは約0.05〜0.5ミクロンである。
本発明のさらに別の実施態様では、多孔質固相材料を多孔質受容部材に連結してこの受容部材に液状試料を塗布し、そこから試料が多孔質固相材料の中に透過できるようにする。好適には、多孔質固相材料を不透過性ケーシングまたはハウジングに内蔵し、この多孔質固相材料と連結されている多孔質受容部材がハウジングの外に延びて、液状試料をハウジング内に導き入れ、多孔質固相材料に透過させる手段として作用できるようにする。多孔質固相材料の第2区域(固定化された無標識特異結合試薬を保持する)がハウジング外部から観察できるようにして、検定結果の観察を可能にする手段、例えば適宜に配置した開口部をハウジングに設けねばならない。また必要に応じて多孔質固相材料の別の区域、すなわち検定を完了したかどうかに関する表示を行なえるようにする対象試薬を含む区域をハウジング外部から観察できるようにする手段もハウジングに備えることもできる。好適には、使用までの保管中に突出している多孔質受容部材を保護する着脱自在のキャップまたは囲いをハウジングに設ける。また必要であれば試料塗布後の検定実施中にもキャップまたは囲いを突出多孔質受容部材にかぶせても良い。標識付き試薬は装置内の任意の場所、例えば吸湿性試料捕集部材の中に含ませることもできるが、好ましい方法ではない。
本発明の重要な実施態様である妊娠判定装置は乾燥多孔質ニトロセルロースキャリヤを内蔵した中空伸長形ケーシングを含んで成り、前記ニトロセルロースキャリヤがケーシングから突出する吸湿性尿受容部材を介してケーシング外部と間接的に連通しており、前記受容部材は液溜めとして作用してそこから尿を多孔質キャリヤ中へ放出するための部材であり、前記キャリヤが、多孔質キャリヤが湿潤状態にある時に多孔質キャリヤ内で自由に移動する、着色「直接」標識付きの高度に特異性の抗hCG抗体を第1区域に含み、また第1区域と空間的に区別される第2区域にキャリヤ材料上に永久的に固定化されており、従って湿潤状態でも移動しない高特異性の無標識抗hCG抗体を含んでおり、前記標識付き抗体と無標識抗体がそれぞれ異なるhCGエピトープに対して特異性を有する抗体であり、前記第1区域と第2区域は多孔質キャリヤに付与した尿試料が第1区域を介して第2区域に浸透するように配設されており、前記ケーシングが突出形吸湿性尿受容部材用の着脱式カバーと共に、分析結果の開口部を少なくとも1つ備える不透明または半透明材料で構成されて成る。受胎期予知装置も検体がLHになる点を除いて本質的には上記の装置と同じであり、重要な選択的実施態様の1つである。
これらの装置は家庭用として、複数(例えば2つ)の装置を個別に不透湿性の包装材で包んだものを一緒にパックして、使用者向けの使用説明書を付けたキットの形で提供することができる。
多孔質試料受容部材は、液体を急速に吸収できるものであれば吸湿性材料、多孔質材料、繊維質材料など任意の材料で形成することができる。材料の多孔性は一方向性(すなわち気孔または繊維の全部が部材の軸に平行に通っている)または多方向性(全方向性、そのため部材は非晶質のスポンジ状構造となる)の何れでも良い。ポリプロピレン、ポリエチレン(好適には分子量の非常に高いもの)、フッ化ポリビニリデン、エチレン酢酸ビニル、アクリルニトリル、ポリテトラフルオロエチレンのような多孔質プラスチックを使用することができる。多孔質試料受容部材を製造の段階で界面活性剤で予め処理しておくと有利である。界面活性剤は部材の固有の疎水性を低減できるため、湿潤試料を高速かつ効率的に吸収、伝達することができるためである。多孔質試料受容部材はその他にも紙やニトロセルロールのようなセルロース材料でも形成することができる。現在所謂筆ペンのペン先に使用されている材料が特に好適であり、このような材料は本発明の目的に適するいろいろな長さおよび断面に成形または押出し成形することが可能である。多孔質受容部材を構成する材料は、好適には多孔質部材が数秒間で水性液で含浸されるように選択するべきである。またその材料は湿潤しても丈夫であることが望ましい。この理由から、多孔質受容部材がハウジングから突出する実施態様では、紙のような材料は好適でないとされる。その後試料液は多孔質試料受容部材から多孔質固相材料の中に自由に浸透していく必要がある。
「対照」区域が存在する場合、その区域は装置の動作が完了したことを使用者に示す信号のみを伝達するように構成することができる。例えば、第1区域からの標識付抗体と結合する抗体を対照区域に含ませることによって、試料が試験片に浸透したことを確認できる。この時の抗体は、例えば標識付抗体がネズミのハイブリドーマを用いて誘導したものである場合には「抗ネズミ」抗体である。別の方法として、湿潤した時に変色または発色する無水試薬、例えば水性試料で湿潤すると青色に変わる無水硫酸銅を対照区域に含ませても良い。さらに別の方法として、第1区域からの余分の標識付き試薬と反応する固定化検体を対照区域に含ませる場合もある。対照区域の目的が試験完了を使用者に知らせることにあるため、対照区域の場所は所望の試験結果の記録される第2区域より下流側にしなければならない。こうすることで使用者に対して試料が所要距離に亘って試験装置に浸透したことを確実に知らせるインジケータが得られる。
標識はその存在を容易に検出できるものであれば任意の物質として良い。好適には直接標識、すなわちその自然状態にある時に裸眼で見えるか、または光学フィルタの使用および/または紫外光等の刺激を加えて螢光を促進する方法の使用により容易に見える物質とするのが良い。例えば、染料ゾル、金属ゾル(金など)、着色ラテックス粒子のような微細な着色粒子は特に好適である。これらの中でも着色ラテックス粒子が最も好適である。標識を小さな区域または容積の中に集中することによって濃く着色された領域のように容易に検出可能な信号を生じることができるはずである。この信号の評価は目測または必要に応じて器具を用いて行なうことができる。
アルカリ性フォスファターゼ、ワサビ過酸化酵素(horse radish peroxidase)等の酵素類のような間接標識を用いることもできるが、可視信号を検出できるようになるためには基質のような展開試薬を1種類またはそれ以上添加することが必要になるのが普通であるため、余り好適ではない。このような展開試薬を添加する場合は、多孔質固相材料または試料受容部材に含ませて、水性液状試料に溶解または分散させれば良い。別の方法として多孔質材質と接触させる前の試料に展開試薬を添加したり、結合反応が生じた後に多孔質材料を展開試薬に晒しても良い。
標識と特異結合試薬との結合は、必要に応じて共有結合または疎水結合によって行なうことができる。このような技術は関係技術分野の常套手段であり、本発明の一部を成すものではない。標識として着色ラテックス粒子のような直接標識を使用する好適実施態様では、疎水結合が好適である。
本発明の全ての実施態様において重要なのは、液状試料が検出区域へ向かうにつれて、それと共に標識付き試薬も移動することである。検出区域を超えても試料が引続き流れるようにするのが好適であるが、そのためには十分な試料を多孔質材料に付与し、第1区域からの標識付き試薬で第2区域において結合反応に参加しない余分の試薬がこの検出区域を超えて続く試料の流れによって検出区域から洗い流されるようにする。必要であれば、キャリヤ材料の末端部に吸収「シンク」を設けても良い。吸収「シンク」の材料としては、例えばWhatman 3MMクロマトグラフィー用紙を使用することができるが、未結合の配合体を検出区域から洗い流せるように十分な吸収能力をもつものとする必要がある。このようなシンクの代替物として、多孔質固相材料を検出区域を超えて伸長させるだけでも良い。
第2区域において結合される標識からの信号の有無またはその強度によって、試料中に存在する検体の質的または量的測定を行なうことができる。多孔質固相材料に複数の検出区域を列状に配列し、水性液状試料がそれらの区域を順次通過するようにしたものを用いても検体の量的測定を行なうことができる。また、これらの検出区域にそれぞれ異なる特異結合試薬を含ませて、多重検体試験を行なうこともできる。
第2区域の固定化特異結合試薬として、高度の特異性を有する抗体を用いるのが好適であり、より好適にはモノクローン抗体を使用する。サンドイッチ反応を伴う本発明実施態様の場合、標識付き試薬としても高度の特異性を有する抗体、より好適にはモノクローン抗体を使用するのが望ましい。
キャリア材料は帯状またはシート状として、それに試薬を空間的に別個の区域に塗布し、液状試薬をシートまたは帯状片の片側または一端部から他方へ浸透させるのが望ましい。
本発明の装置は必要に応じて2つまたはそれ以上の多孔質固相材料、例えば個別の帯状片またはシートを備えて、各々に可動性試薬と固定化試薬を保持させておくこともできる。この時個別の帯状片を例えば平行に配列すると、液状試料を装置に1回付与しただけでそれぞれの個別片で同時に試料の流動を開始することができる。こうして測定される別個の分析結果は対照結果として用いることができる。また、それぞれのキャリヤに異なる試薬を用いた場合は、1回の試料塗布で複数の分析を同時に行うことができる。別の方法として、複数の試料をキャリヤ列に別々に塗布して同時に分析することもできる。
多孔質固相材料としてはニトロセルロースが望ましい。ニトロセルロースは第2区域の抗体を予め化学的に処理しなくても確実に固定化できるという利点がある。多孔質固相材料が例えば紙の場合は、第2区域の抗体を固定化するのにCNBr、カルボニルジミダゾール、塩化トレシル等を用いた化学結合を行なうことが必要になる。
検出区域に抗体を塗布した後、多孔質固相材料の残りの部分を処理して残留結合部位を他から遮断しなければならない。遮断は蛋白質(例えば牛の血清アルブミン、乳蛋白質等)、ポリビニルアルコールまたはエタノールアミン、あるいはこれらの組合せ等を用いて処理することで達成される。次に第1区域に含ませる標識付き試薬を乾燥キャリヤ上に分与すると、キャリヤが湿潤状態になった時にキャリヤ内で固定化されるようになる。このような各種段階(増感処理、無標識試薬の塗布、遮断、標識付き試薬の塗布)の間に多孔質固相材料を乾燥させねばならない。
多孔質キャリヤが試料で湿潤された時の標識付き試薬の移動性を助長するために、標識付き試薬はキャリヤ内部に含浸させるよりもキャリヤの表面層として塗布するのが好適である。こうすることでキャリヤ材料と標識付き試薬と間の相互作用を最小化できるためである。本発明の好適実施態様では、キャリヤの標識付き試薬塗布領域をグレーズ材料で予備処理する。グレーズ処理は例えば砂糖水または蔗糖、乳糖等のセルロース溶液をキャリヤの関係部分に堆積して乾燥することによって達成される。この後このグレーズ部分に標識付き試薬を塗布すれば良い。キャリヤ材料の残りの部分をグレーズ処理してはならない。
多孔質固相材料として好適なニトロセルロースシートの気孔の大きさは少なくとも約1ミクロン、より好適には約5ミクロン以上、さらに好適には約8〜12ミクロンである。Schleicher and Schuell GmbHから呼称気孔径約12ミクロンまでの非常に好適なニトロセルロースシートを入手することができる。
ニトロセルロースシートはプラスチックシート等で「裏打ち」して、取扱い上の強度を大きくするのが望ましい。これは裏打ち材料シートの上にニトロセルロースの薄膜を形成することによって容易に製造することができる。こうして裏打ちした時のニトロセルロースの実際の気孔径は、裏打ちしない場合に比べて小さくなる傾向がある。
別の方法として、予め形成したニトロセルロースシートを例えばプラスチック等の固体材料から成る2枚の支持シートの間に挾んで密着させても良い。
多孔質固相材料を通る水性試料の流速は、未処理材料において水性液が2分以内に1cm進む速度にするのが望ましいが、必要に応じてそれより遅くしても良い。
区域内の空間的分離距離、および多孔質キャリヤ材料の流速特性を適宜に選択することによって、必要とされる特異結合が生じる反応時間を適当に調整できると共に、第1区域の標識付き試薬を液状試料中に溶解または分散させてキャリヤを通って移動させることができる。試料の中に粘性改質剤(例えば砂糖や改質セルロース)を添加して試薬の移動を遅くすることにより、上記パラメータをさらに制御することができる。
第2区域の固定試薬は第2区域のキャリヤの厚さ全体(例えばキャリヤがシートまたは帯状片の形をとる場合はそのシートまたは帯状片の厚さ全体)に含浸させるのが望ましい。こうすることで固定化試薬が移動試料内に存在する検体を捕獲できる程度を強化することができる。
試薬はいろいろな方法でキャリヤ材料に塗布することができる。液状試薬をキャリヤに塗布する方法として、例えば超小形注射器、調整ポンプ付きペンの他直接印刷、インキ噴射印刷等、いろいろな「印刷」技術が提案されているが、本発明の目的上、これらの任意の技術を使用することができる。製造を簡単にするために、キャリヤ(例えばシート)を試薬で処理した後、小部分に分けて(例えばそれぞれが所要の試料含有区域を含む小型の細い帯状片に分けて)同じキャリヤを複数個作ることができる。
次に本発明のいくつかの好適実施態様について、添付図面を参照しながらより詳細に説明する。但し、この説明は例示的な意味しか持たないものである。
実施例1第1図と第2図は本発明による検定試験に使用する典型的な多孔質固相材料製試験片を表したものであり、本発明の動作原理を示している。
第1図を参照すると、検定試験片10が(説明の都合上)矩形帯状片としてその縦軸を垂直において図示されている。試験片10の下端部11に隣接して幅の狭い帯状区域12が試験片の幅全体に亘って延設されている。区域12の下に試験片10の小領域13が垂直に配設される。区域12の上方、試験片10の離散距離を上がった所にやはり試験片の幅全体に亘って延びる第2区域14が配設されている。区域12と区域14の間の試験片10の領域15の高さは、両区域を分離できる程度であれば任意の高さとすることができる。区域14の上にさらに試験片領域16が延び、試験片10の頂部17に多孔質パッド18が固着されており、このパッド18が液状試料の「シンク」として作用し、毛細管現象により試験片10を登って来た液状試料を吸収する。
区域12には可視(「直接」)標識(例えば着色ラテックス粒子、染料ゾル、金ゾル等)を保持する第1抗体を含有させる。この試薬は液状試料の存在時に試験片を通って自由に移動することができる。区域14では第1抗体と同じ検体に関して異なるエピトープに特異性を有する第2抗体を試験片に含浸させる。第2抗体は試験片上で固定化される。
第2図は検定試験片を分析処理に使用した場合に何が生じるかを示している。乾燥試験片の下端部11を検体を含有するかもしれない液状試料(不図示)と接触させる。毛細管現象によって流体が試験片を通って上昇し、時にはパッド18まで到達する。その間に試料が区域12を横断する時、標識付き抗体が試料の中に溶解または分散して、試料と共に試験片を通って移動する。試料の中に検体が存在すれば、標識付き抗体は区域14に向かって移動する間にその検体と結合することができる。区域14に到達すると、検体の分子は第2抗体と結合して、そうすることで標識付き「サンドイッチ」が固定化される。相当濃度の検体が液状試料中に存在する場合、短時間で可視標識が区域14の中に累積されたことが識別されるはずである。
この実施態様を適用できる分析例として、検体をhCGとし、区域12および14の試薬をhCGとの「サンドイッチ」反応に参加し得るhCGに対するモノクローン抗体とし、標識として粒状染料、金ゾルまたは着色ラテックス粒子を用いる例を挙げることができる。
上では「サンドイッチ」反応に関連して説明を行なったが、当業者には明らかなように、必要に応じて「競合」反応に改変することも可能であり、その場合は区域12の標識付き試薬として検体そのものまたはその類似物を使用する。
上記の原理に基く検定法を用いると、適当な特異結合試薬を選択することによって広範囲の検体を測定することができる。検体は例えば蛋白質、ハプテン、免疫グロブリン、ホルモン、ポリヌクレオチターゼ、ステロイド、薬品、Streptoccus,Neisseria,Chlamydiaのような病原体(細菌類、ウィルス類等)などである。サンドイッチ検定法が例えばhCG、LH、病原体のような検体の検定に用いられるのに対し、競合検定法は例えばE−3−G、P−3−Gのような検体の検定に使用される。
試料の中に1種類以上の検体が存在すること(もし存在すれば)を判定できれば、臨床的に非常に有用である。例えば、アポリ蛋白質A1およびBの濃度比によって、冠動脈性心臓病の罹病性を表すことができる。同様に、グリケート化ヘモグロビン(HbA)対非グリケート化ヘモグロビン(HbAo)または完全ヘモグロビン(Hb)の濃度比は糖尿病の管理に役立つ。その他2種類のステロイド、例えばE−3−GとP−3−Gとを同時に測定する試験を設計することも可能である。検体が2種類ある場合の試験方法をアポリ蛋白質A1およびBに関する試験方法を例にとって説明すると、多孔質キャリヤ母体の2つの空間的に別個の区域の1つである第1区域全体にアポリ蛋白質A1に対して特異性の抗体を堆積すると共に、第2区域全体にアポリ蛋白質Bに対して特異性の抗体を堆積する。適当な塗布方法(例えばインク噴射印刷、計量ポンプとペン、エアブラシ等)を用いてそれぞれの区域に両抗体を塗布した後、多孔質材料の残りの部分を牛の血清アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノールアミド等の試薬で処理して、残留結合部位を他から遮断しなければならない。次に標識を保持する第3、第4試薬を試験片の一端部近くにある1つまたはそれ以上の区域の乾燥キャリヤ上に分与する。この時、同じ区域に2種類の試薬を塗布する場合は塗布工程の間で試験片を乾燥させる。試薬3と試薬4は抗アポリ蛋白質A1抗体と抗アポリ蛋白質B抗体の配合体をそれぞれ含むことができる。何れの配合体もキャリヤが湿潤状態になると、キャリヤの中およびその上で可動になる。試薬3および4は、水性試料をキャリヤ片の第1端部に塗布すると、溶剤の流れと共に移動できるようになる。試験片に沿って前記2つの区域に向かって移動する間に、試薬3が試料中に存在するアポリ蛋白質A1と結合し、試薬4は試料中に存在するアポリ蛋白質Bと結合する。最初の第2抗体区域(抗アポリ蛋白質A1抗体区域)に達すると、アポリ蛋白質A1分子が第2抗体に結合されて、そうして生成される標識付き「サンドイッチ」を固定化する。標識付きアポリ蛋白質B分子はこの第1区域に結合されない。第2の第2抗体区域(抗アポリ蛋白質B抗体区域)に達すると、アポリ蛋白質B分子があればそれが第2抗体(固相抗体)に結合されて、そうして生成される標識付き「サンドイッチ」を固定化する。第2区域では標識付きアポリ蛋白質A1分子が結合されることはない。直接標識が両区域または何れかの区域に大なり小なり累積する結果、固相抗体区域の何れかまたはその両方に可視信号が獲得される。結合されない余分の配合体(試薬3、試薬4の)は2つの抗体区域を自由に通過することができ、試薬片の末端部に洗い出される。
両第2抗体区域に発現した数量化可能な色彩を適当な形式の測定器具を用いて評価して、両部位間の色彩濃度の比を求めることもできる。
試料中の2種類以上(すなわち多種類)の検体の存在を判定することも、臨床学的に非常に有効である。例えば、ある細菌の各種の血清型が存在することや、人体の可溶性の血清学的マーカが存在することを検出できれば非常に有用である。一例として各種血清型Streptococcusの存在を検出する多検体試薬について、A群、B群、C群、D群に関して実施するものとして説明する。それぞれが各種の病理学的に重要な群の血清型に対して特異性を有するモノクローン抗体の混合体または特定のStreptococcus群に対して発生させたポリクローン抗血清を多孔質キャリヤ片の上に、試験片の幅方向に走る線に沿って、長さ約1mmの区域に分与する。すなわち、それぞれが問題の検体と結合できる免疫化学的に活性の成分を含む空間的に別個の多重線状区域に分与する。適当な塗布方法(例えばインク噴射印刷、計量ポンプとペン、エアブラシ等)を用いて多重区域の塗布を行なった後、多孔質材料の残りの部分を試薬(例えば牛の血清アルブミン、ポリビニルアルコール、エタノールアミン等)で処理して、残留結合部位を他から遮断しなければならない。次に、染料ゾル等の標識と各細菌群に対して特異性の各免疫化学的活性成分との配合体を試料塗布区域に低い試験片下端部の単一領域または一連の個別区域に分与する。
第3、4、5図は上記のような多孔質試験片を用いた完成装置を示しており、それぞれ第3図が完成装置の正面図、第4図が同装置の試薬片内部の詳細を示す一部切除図、第5図が装置の底面を示す図である。
第3図を参照して分かるように、装置は平坦な直方体本体30から成り、その正面31に円形孔または窓32を開口されて本体内部の多孔質試験片10が見えるようになっている。窓32を通して見える試験片10の領域が幅の細い水平区域14を含んでいる。
第4図を参照して分かるように、装置は多孔質材料から形成された矩形の乾燥試験片10を含んでおり、この試験片10は本体30の正面31と背面34の間の本体内部に本体30の下端部33から延設されている。試験片10の下端部11の近傍に検体に対する標識付き特異結合試薬を保持する水平区域12が設けられており、結合試薬は湿潤状態で試験片内を移動することができる。試験片のさらに上方に窓32を通して見える幅の狭い水平区域14が存在する。試験片10の上部にあるのが多孔質「シンク」18であり、試験片を通って上へ浸透して来た液状試料を吸収する働きをする。
次に第5図を参照すると、本体30の底面35が横開口部を備えており、この中に試験片の下端部11が入る。
動作時、本体30の下端部33を液状試料(尿等)の中に浸漬して、液状試料を試験片10の下端部11で吸収させ、毛細管現象により試験片上部17まで上昇させてシンク18に吸収させる。その間に液状試料は区域12を経由して区域14へと進んで行く。上述のような特異結合反応が生じて、使用者は窓32を通して試験結果を観察することができる。
実施例2第6図と第7図は本発明による別の試験装置を示す。第6図6図が完成装置の正面図であり、第7図は同装置の本体内部に内蔵されている多孔質試験片の詳細を示す一部切除図である。
第6図を参照すると、装置は細長い本体200を含んで成り、その下端部201に尿等の液状試料を所定量保持し得る小型の一体容器202を備える。本体200の正面203が2つの正方形状の小開口部または窓204,205を上下に備えている。
第7図を参照して分かるように、本体200の伸長部分は中空であり、ほぼ本体の全長に亘って延びる試験片206を内蔵している。この試薬片は実施態様1で説明したものと同様の構成であり、その下端部207の近傍に、湿潤状態において試験片を自由に移動できる標識付き特異結合試薬を保持する水平区域208を備える。窓204,205に隣接して2つの円形区域209,210が存在し、それぞれの窓を通して見えるようになっている。試験片の上端部211に多孔質シンク212を備える。装置の下端部201において容器202が横開口部213を介して中空本体と連通している。
動作時、液状試料を装置下端部に付与し、所定量の試料で容器202を充満する。毛細管現象により液状試料が容器202から試験片206を通って上昇するが、この時標識付試薬を区域208から2つの円形区域209,210まで搬送して行く。実施態様1に関連して説明したような一連の特異結合反応が生じる。この実施態様では、第2円形区域210が対照として作用し(例えば試料が検体を含有するかどうかとは無関係に着色信号を生じる)検体の測定は第1円形区域209で行なわれる。使用者は2つの区域に生じる信号を比較することによって、試料中の被分析物の有無を判定することができる。
例えば、妊娠判定試験において尿の中のhCGの有無の判定にこの試験装置を使用する場合、円形対照区域210に固定化したHCGを含ませれば良い。hCGは液状試料の移動によって区域208から上へ運ばれて来る標識付き抗体と結合する。同じ標識付き抗体が試料中のhCGと共に「サンドイッチ」反応に参加して第1円形区域209でその中に固定化されている別の特異性抗hCG抗体と結合することができる。別の方法として、必要であれば装置の動作を完了したことを使用者に知らせる信号のみを生じるように「対照」区域を設計することもできる。例えば、区域208からの標識付き抗体と結合する抗体、例えば標識付き抗体がネズミのハイブリドーマを用いて誘導した抗体の場合は「抗ネズミ」抗体を第2円形区域に含浸させて、試料が試験片に浸透し終えたことを確認することができる。
実施例3添付図面の第8図は、本発明による検定装置を示す等角投影図であり、第9図は第8図の装置の側断面図である。
第8図を参照すると、装置は細長い直方体のハウジングまたはケーシング500を含んで成り、その一端部501に断面積を縮小した部分502を有する。キャップを部分502に嵌合して、ハウジングの端部501に設けたショルダ504と当接することができる。図ではキャップ503をハウジング500から分離して示している。断面積縮小部分502の端部505から突出して多孔質部材506が延設されている。キャップ503をハウジングの部分502に嵌合すると、多孔質部材506もキャップによって被覆される。ハウジング500の上面に2つの開口部508,509を備える。
次に第9図を参照して分かるように、ハウジング500は中空構造である。多孔質部材506がハウジング500の中に延び、多孔質キャリヤ材料片510と接触している。多孔質部材506とキャリヤ材料片510とを重なり合わせることによって、これら2つの材料が確実に接触し、部材506に付与された液状試料が部材506に浸透してキャリヤ片510の中に入るようにしている。キャリヤ片510は透明不透湿性プラスチック材料から成る支持片511によって「裏打ち」されている。試験片510を定位置に確実に保持する手段としてウェブ512,513がハウジング500の内部に設けられている。試験片がハウジング内部の定位置に確実に保持され、多孔質部材506がハウジングに確実に保持されて部材506と試験片510の間に流体浸透性接触が維持されている限りにおいて、ハウジング内部の詳細な構造は本発明の重要な要素ではない。透明裏打ち支持片511が試験片510と開口部508,509の間に位置して、ハウジング500の外部から開口部を通して侵入する湿気に対するシールとして作用する。必要に応じてハウジング内部の残りの空間514にシリカゲルのような吸湿材料を充填して、保管中の試験片510を乾燥状態に維持するようにしても良い。第8図には試験片510の試薬含有区域を図示していないが、試験片が湿潤された時に可動となる標識付き試薬を含む第1区域は多孔質部材506と開口部508との間に位置することになる。また、固定化された無標識試薬を含む第2区域については、装置を検定に使用した際に開口部508を通して検定結果を観察できるように、開口部508を通して露出された領域に位置することになる。開口部509は試料を試験片に確実に浸透できるようにする別の試薬を含む対照区域を観察するための手段となる。
動作時、保護キャップ503をホルダから外して、部材506を例えば妊娠判定試験の場合には尿の流れの中に置くなどの方法で液状試料に晒す。部材506に試料を含浸できるだけの時間部材506を液状試料に晒した後、再びキャップ503をかぶせて、装置を適当な時間(2,3分間)放置しておくと、その間に試料が試験片510に浸透して分析結果が出る。適当な時間放置した後、使用者が開口部508,509を通して試験片を観察すると、開口部509を通して対照区域を観察することによって検定が完了したかどうかを確認することができ、開口部508を通して第2区域を観察することによって検定結果を確認することができる。
装置を製造する場合、例えばハウジング500をプラスチック材料で2つの部分(例えば上半分515と下半分516)に成形し、多孔質部材と試験片を一方の部分に入れた後2つの部分の間に挿んで固着する(例えば超音波溶接によって)ことによって容易に組立てることが可能である。サンドイッチ構造に形成することによって多孔質部材と試験片を「締付固定」して、それらを確実に接触させることも可能になる。キャップ503は別個の完全品として成形することができる。必要に応じて開口部508,509に透明インサートを設け、ハウジング外部からの湿気の侵入に対する防湿性を保証するようにしても良い。ハウジング500と突出多孔質部材506とを締り嵌めすることにより、突出部材に試料を付与しても試料が直接装置内に入らなくなり、部材506を通るようになる。従って部材506は試料がハウジング内部で試験片に向かう唯一の経路となり、試料を試験片まで制御しながら送ることができる。そのため装置は全体として試料採取機能と分析機能を併合して備えるものであると言える。
次に説明するような試験片材料と試薬を使用することによって、第8図および第9図の装置は家庭用または診療所用の妊娠判定試験キットまたは受胎期判定試験キットとして非常に有効なものとして製造することができる。使用者は露出されている多孔質部材に試料としての尿を付与するだけで、(選択的にキャップを嵌め直した後に)数分間で開口部508を通して試験結果を観察することができる。
上では特に妊娠判定試験と受胎期判定試験を例にとって説明したが、適当な試薬を試験片に含ませれば上記のような装置を広範囲の被分析物の存在の判定に使用できることが理解されよう。また、開口部509は試験片に対照手段を含まない場合は省略できることも理解されよう。さらにハウジングおよびキャップの全体的形状も、長さ、断面、その他の物理的特長において、本発明の精神から逸脱することなく幾多の変更を加えることができるものである。
さらに別の選択例として、標識付き試薬を試験片から省略して、試料を試験片に付与する前にこの試薬を試料の中に添加するようにすることもできる。別の方法として、標識付き試薬を突出多孔質部材506に含ませても良い。
添付図面の第10図は第8図および第9図に示した装置の多孔質受容部材と試試験の拡大図である。
多孔質受容部材506は、透明プラスチックシート511で裏打ちされた多孔質試験片510に結合されており、試料が多孔質受容部材506を矢印の方向に流れて試験片に入るように構成されている。試験区域517が固定化された特異結合試薬を含み、対照区域518は試料が試験片に沿って十分な距離浸透したことを示す試薬を含む。裏打ち片511と反対側の試験片表面の、多孔質受容部材506と隣接する部分に艶出し剤519が積層されており、その上に標識付き特異結合試薬の層520が堆積されている。第10図では説明の都合上これら2つの層の厚さを誇張して示しているが、実際には艶出し剤は本当の表面層を形成しなくても良く、試験片の中にある程度浸透しても良い。次に塗布する標識付き試薬も同様に試験片に浸透しても良い。これらが浸透しても、標識付き試薬と試験片を形成するキャリヤ材料との間の相互作用を小さくするという本質的な目的は達成される。受容部材506に堆積された水性試料がそこから試験片510の長手方向に沿って流れて行き、そうする間に艶出し剤519を溶解し、標識付き試薬を固定化した後、標識付き試薬を試験片に沿って、区域517を通って搬送して行く。
実施例4第11図と第12図は、本発明の別の実施態様を示しており、第11図は平面図、第12図は第11図のA−A線に沿って取った断面図である。
第11図を参照して分かるように、試験装置は平坦な直方体ケーシング600を含んで成り、ケーシング600はその左側の端部に隣接した中央に矩形開口部601を備えると共に、装置の中ほどにもさらに2つの開口部603,604を備えている。これらの開口部601,603,604はA−A線に対応する装置の縦中心軸上に配設される。図では3つの開口部全部を矩形として示しているが、その形状は実際には余り重要ではない。
第12図の断面図を参照すると、装置は中空であり、その内部、ケーシング600の端部602に隣接しかつ開口部601の直下に多孔質試料受容部材を備える。実施例1に関連して説明したのと同様の構成の試験片は透明プラスチックシート607で裏打ちされた多孔質材料片606から成り、やはりケーシング600に内蔵されており、多孔質キャリヤと接触して液体を浸透できる状態の多孔質試料受容部材からケーシングの末端部まで延びている。透明裏打ちシート607がケーシング600上部の内面608と密着しており、開口部603および604を封止して湿気や試料のケーシング内部への侵入を防止している。図では示していないが、多孔質試験片606は標識付き特異結合試剤を含み、試験区域と対照区域が実施例3で説明したのと同様に開口部603,604に関して適宜に配設される。
動作時、例えば注射器等を用いて水性試料を開口部601から注入し、多孔質受容部材605に含浸させることができる。その後水性試料は試験片を透過して、適当な時間経過後に開口部603,604を通して試験結果が観察できるようになる。
実施例5第13図と第14図は本発明のさらに別の実施態様を示している。第13図の示す装置は、その上面701に矩形開口部702を備える直方体ケーシング700を含んで成る。装置一端部の壁面703に開口部704を備え、この開口部を通して多孔質試験要素が装置外部と連通する。開口部704を備える端部703から比較的遠い表面701上の地点に開口部702が存在する。
第14図は第13図の装置の一部切除図である。中空装置がその内部に、開口部704からケーシング700のほぼ全長に亘って延びる多孔質試験片705を内蔵している。試験片705は標識付き特異結合試薬を含む第1区域706と固定化された特異結合試薬を含む別の区域707とを備え、区域707は開口部704から遠い所に位置する。区域706は開口部702の直下に位置するため、ケーシング外部から観察可能である。試験片705の下、区域707に隣接して圧潰可能な要素708を備える。要素708は1種類またはそれ以上の基質または試薬を含んでおり、装置使用時に区域706からの標識付き試薬が区域707に結合された場合、区域707に基質または試薬が放出されて検出可能な信号を生成することができる。部材708から試薬を放出させるには、ケーシングの外から該部材のある個所に圧力を加えて部材を圧潰し、試薬を押出すと良い。
動作時、例えばケーシング700の端部703を試料を入れた容器に浸漬することによって、第1試験要素を水性試料に晒すことができる。液状試料が試験片705の長手方向に浸透して行って、区域706から標識付き試薬を伴って区域707を通過する時、例えば試料中の検体も含む「サンドイッチ」反応等によって標識付き試薬が結合される。試薬が試験片に浸透し終わった時点で圧潰部材708から試薬を放出すると、開口部702を通して試験結果を観察することができる。
次に、試験片および試薬の好適例とその製造方法について説明するが、これは例示的な意味でのみ行なうものである。
1.液体導通材料の選択液体導通材料の代表的な例として、紙、ニトロセルロース、ナイロン膜を挙げることができる。この材料に不可欠の特長は蛋白質結合能力、液体導通速度の他、必要に応じて予備処理した後に標識付き抗体を試験片に沿って通す能力である。これが直接標識であれば、数ミクロン(通常は0.5μm以下)までの大きさの粒子を流すことのできる材料とするのが望ましい。各種の材料を用いて獲得される流速を次に例示する。


試験手続きの速度は使用する材料のもつ流速によって決定されることになる。上記材料を任意に使用することができるが、他より速く試験を行なえるものもある。
ニトロセルロースは活性化を要しないという利点があり、吸収によって蛋白質を強力に固定化する。「イムノダイン」は予め活性化されており、化学処理を必要としない。Whatman3MMのような紙はカルボニルジイミダゾール等で化学的に活性化して、抗体を十分に固定化できるようにする必要がある。
2.標識標識の製法使用できる標識の選択方法について次に説明するが、ここに挙げたものが全てではない。
A)金ゾルの製法免疫学的検定に用いる金ゾルは市販のコロイド状の金と、メト絨毛アルファゴナドトロピン抗体のような抗体製剤から製造することができる。金属ゾル標識については、欧州特許第EP7654号明細書等に記載されている。
例えばコロイド金G20(粒径20nm、Janssen Life Sciensces Productsから供給される)を0.22μmのフィルタを通した0.1MのK2CO3でpH7に調整し、20mlを清潔なガラスビーカに入れる。2mMの硼砂緩衝剤pH9において1mg/mlの割合で調製して0.22μmのフィルタに通した抗αhCG抗体200μ■を金ゾルに添加し、その混合物を2分間連続的に攪拌する。0.1MのK2CO3を用いて抗体と金ゾルの混合物のpHを9に調整し、2mlの10%(w/v)BSAを添加する。
抗体・金配合体を4℃で30分間、12000gの遠心分離に3回かけて精製する。この時ペレットの遊離部分のみを再懸濁してさらに使用し、最終的に獲得されたペレットを20mMトリス(Toris)と150mMのNaCl、pH8.2に入れた1%(w/v)BSA溶液に再懸濁する。
B)染料ゾルの製法染料ゾル(例えば欧州特許EP32270明細書参照)はForon Blue SRP(Sandoz)やResolin Blue BBLS(Bayer)のような市販の疎水性染料から製造することができる。例えば50グラムの染料を1■の蒸留水に加え、磁気攪拌器で2〜3分間混合することによって分散させる。この染料分散液を室温で10分間1500gの初期遠心分離にかけて大型のゾル粒子を固体ペレットとして除去することによって、分留が達成される。この時上澄懸濁液をさらに遠心分離にかけるために置いておく。
懸濁液を室温で10分間、3000gにおいて遠心分離にかけ、上澄を捨てた後、ペレットを500mlの蒸留水に再懸濁させる。この工程をさらに3回繰返し、最終的に獲得されたペレットを100mlの蒸留水に再懸濁する。
上記の方法で調製した染料ゾルのスペクトルを測定すると、Foron Blueについてはλ最大値が約657nm、Resolin Blueについては690nmとなる。経路長1cmの場合のλ最大値での吸収率を染料ゾル濃度の任意の測定値として使用する。
C)着色粒子免疫学的検定に使用するラテックス(重合体)粒子は市販されており、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリスチレンアクリル酸、ポリアクロレイン等の合成重合体を基材としたものを使用できる。使用する単量体は水に不溶性とするのが普通であり、水性界面活性剤に乳化して、単量体マイセルを形成し、開始剤を乳濁液に添加することによって誘導重合化する。実質的に球形の重合体粒子が製造される。
着色ラテックス粒子の製造を行うには、重合前の乳濁液にアントラキノンのような適当な染料を配合しても良いし、あるいは予備成形した粒子に着色しても良い。後者の場合、染料を水と不混和性の溶剤、例えばクロロホルム等に溶解した後に、ラテックス粒子の懸濁水に添加する必要がある。粒子が非水性の溶剤と染料を吸収するので、これを乾燥すれば良い。
このようなラテックス粒子の最大寸法は約0.5ミクロン未満とするのが好適である。
着色ラテックス粒子を蛋白質、特に抗体で増感して、免疫学的検定に使用する試薬とすることができる。例えば直径約0.3ミクロンのポリスチレンビーズ(Polymer Laboratories供給)を次の方法で抗αhCG抗体を用いて増感することができる。
0.5mlの懸濁液(固形分12.5mg)をエッペンドルフ(Eppendorf)バイアルの中で1mlの0.1M硼酸塩緩衝液pH8.5で希釈する。粒子を硼酸塩緩衝液で4回洗浄する。各洗浄工程において、MSEマイクロ遠心分離機を用いて室温で13000rpmの速度で3分間遠心分離を行なう。最終的に獲得されたペレットを再び1mlの硼酸塩緩衝液に懸濁して300μgの抗αhCG抗体と混合し、懸濁液を室温で16〜20時間上下逆さにしながら回転させる。抗体とラテックスの懸濁液を13000rpmで5分間遠心分離にかけ、上澄液を捨てた後、0.5mgの牛の血清アルブミンを含む硼酸塩緩衝液1.5mlの中にペレットを再び懸濁する。懸濁液を室温で30分間、上下逆さにしながら回転した後、燐酸塩緩衝食塩水pH7.2にBSAを5mg/mlの割合で含む液に懸濁液を入れて、13000rpmで5分間遠心分離する方法で3回洗浄を行なう。燐酸塩緩衝食塩水pH7.2に5mg/mlのBSAと5%(w/v)のグリセロールを含む液の中にペレットを再懸濁して、使用時まで4℃で保管する。
(A)抗hCG・染料ゾルの製法蛋白質と染料ゾルの結合は受動吸着を伴う工程で行うことができる。蛋白質として例えば燐酸塩緩衝食塩水pH7.4に2mg/mlの割合で調製した抗αヒト絨毛ゴナドトロフィン(抗αhCG)のような抗体製剤を用いる。100μ■の抗体溶液と、2mlの染料ゾルと、2mlの0.1M燐酸塩緩衝液pH5.8と、15.9mlの蒸留水とを含む反応混合液を作成する。この混合液をゆっくりと混合した後、配合物を室温で15分間放置する。牛の血清アルブミン等を添加して、余分の結合部位を遮断しても良い。5mM NaCl pH7.4の中に150mg/mlのBSAを入れた液4mlを反応混合液に加え、室温で15分間放置した後、溶液を3000gで10分間遠心分離する。ペレットを0.04M燐酸塩緩衝液に0.25%(w/v)のデキストランと0.5%(w/v)の乳糖を混合した液10mlの中に再懸濁する。この抗体と染料ゾルの配合体は、凍結乾燥状態で保存するのが最も良い。
(B)LH・染料ゾルの製法hCGとLHのα亜単位が構造的に同じであることから、交叉反応式免疫学的検定法においてαhCG抗体を用いてLHを検出することができる。従ってLHの検定に使用する標識付き抗体も、抗αhCG抗体を用いて実施例1で説明したのと同じ方法で製造することができる。
3.試薬含有片の製造方法液体導通性材料の区域内に含浸させる方法蛋白質、特に抗体を固定化した制限区域を有する液体導通性材料は、例えば次の方法で製造することができる。
Schleicher and Schuell製の厚さ8μmの裏打ちニトロセルロースシートの長さ25cm、幅20cmの矩形シートを用意し、その長さ方向に5cm間隔でその幅20cmに亘って延びる幅1mmの線を描くように材料を塗布することにより、反応区域を設けることができる。この場合の塗布材料として例えば適当に選択した抗体製剤を用いることができる。例えば燐酸塩緩衝食塩水pH7.4において2mg/mlの割合で調製した親和力Ka109の抗β(hCG)抗体は、サンドイッチ形態で第2の(標識付き)抗hCG抗体を用いるヒト絨毛ゴナドトロフィンの免疫学的検定に使用するのに適する抗体である。好適には直径2mmのノズルから正確な量の試薬を射出することのできるマイクロプロセッサ制御式超小形注射器を用いて、この溶液を堆積する。塗布した材料を室温で1時間乾燥させた後、ポリビニルアルコール(20mMトリスpH7.4に1%w/v混合したもの)等の不活性化合物を用いてニトロセルロースの余分の結合部位を室温で30分間遮断する。シートを蒸留水で十分すすいだ後、30℃で30分間乾燥する。
一実施態様では、その後液体導通性材料を長さ5cm、幅1cmの複数片に切り分け、各材料片がその長さ方向の途中(例えば半ば)に免疫吸収剤として機能する固定化された抗体から成る制限区域を備えるようにすることができる。この例の試験片は、試料と混合する液状標識と共に使用する。使用時にこの制限区域が免疫学的反応の生じる試験反応区域となる。
別の実施態様では、液体導通性材料を切り分ける前に標識を制限区域の中または上に分与または堆積する。この試薬として、上記染料ゾルの製法の項で説明したように調製した染料ゾルまたは染料重合体を配合した抗hCG抗体を例にとると、前記試薬は材料が乾燥状態にある時は制限区域内に保持されるが、検体を含有する液状試料を塗布するなどして、材料が湿潤されるとキャリヤ材料を通って自由に移動できるようになる。この可動試薬区域は例えば次の方法で設けることができる。
Schleicher and Schuell製厚さ8μmの裏打ちニトロセルロースシートの長さ25cm、幅20cmの矩形シートを用意し、その長さ方向に5cm間隔で固定化抗体区域を先に説明した方法で設ける。染料標識付きの抗体を堆積する前に、例えば60%w/vの蔗糖を蒸留水に溶かした溶液等をマイクロプロセッサ制御システムに設けたエアブラシによりシートの長さ方向に6cm間隔で塗布して下塗り層を形成する。次に1%メタセルKAM(Dow Chemical Companyから供給されるメチルセルロースの商品名)と0.6(w/v)ポリビニルアルコールにおいて調製した染料標識付き抗体をエアブラシまたは超小形注射器によって下塗り層の上に直接塗布する。次にシートを乾燥させて、完成装置において使用する長さ5cm、幅1cmの試験片に切り分ける。
金ゾルまたは着色ポリスチレン粒子も同様の方法で堆積することができる。
試験区域の他に、いろいろな対照区域を任意に作用させることもできる。例えば試験区域の堆積後に抗IgG種抗体の区域を堆積することができる。
4.ストリップフォーマットを使用してのサンドイッチ検定法サンドイッチ形式の反応によって、液状試料中のヒトの絨毛ゴナドトロピン(hCG)の検出を行うことができる。使用する染料は裸眼でも容易に見える直接標識とするのが望ましい。上述のように抗hCG抗体に対して染料ゾル、金ゾルまたは着色ラテックス粒子を結合することができる。
直接標識を用いた場合、新鮮な尿試料を尿の流れから直接試験装置の吸収芯にかけるか、あるいは容器から適当な量(例えば100μ■)をピペットを用いて射出して付与することにより、検定を行うことができる。試料を装置内で5分間浸透させ、活性区域内に発生する色を目測または光反射率計を用いて読取る。
アルカリ性ホスファターゼ等の酵素のような間接標識を用いても良いが、最終的に着色物を生成する基質を添加する必要がある。
酵素検定法は、従来技術を用いてアルカリ性ホスファターゼに抗hCG抗体を結合し、ポリエチレングリコール6000を3%と、牛の血清アルブミン1%(w/v)と、Triton×305(Rohm and Haas社商標)0.02%とを含有する0.01Mの燐酸塩緩衝食塩水pH7を用いて100分の1に希釈した後、シートに塗布する。次に尿の流れから直接かけるか、または容器から適当量(例えば100μ■)をピペットで射出することにより、新鮮な尿試料を試験装置の吸収芯に付与する。試料を5分間浸透させた後、BCIP基質(1Mのトリス/HCl pH9.8に1mg/mlの割合)において軟浸させた液体膨潤性材料から成るパッドを固定抗体区域と接触して配置する。さらに5分経過後、パッドを除去し、発生した色を目測するか、あるいは光反射率計を用いて読み取る。
hCGの代わりに黄体形成ホルモン(LH)を用いても同様の装置を製造することができる。
5.競合式検定法競合式の検定法は例えばエストロンの尿代謝物質であるエストロン−3−グルクロニドを用いて実施することができる。エストロン−3−グルクロニドと牛の血清アルブミンの配合体を下記の方法で作成する。
BSA・エストロン−3−グルクロニド配合体の製法E−3−GとBSAの配合は混合無水物を使用して行うことができる。活性種の製造に使用するガラス器、溶剤、試薬は全て、オーブン、除湿器、分子篩等を用いて少なくとも24時間かけて完全に乾燥しておかねばならない。
E−3−G(2nM)の乾燥ジメチルフォルムアミド(DMF)溶液とトリ−n−ブチルアミン(TnB)(10nM)の乾燥DMF溶液を4℃で別々に平衡させた。予め冷却したガラス器を用いてE−3−GのDMF溶液(1.25ml)とTnBのDMF溶液(0.25ml)を磁気攪拌器内蔵の5mlのバイアル(Reactivial)を予め冷却したものに入れた。クロロホルム酸イソブチルの乾燥DMF(10nM)溶液を作成し、アリコート(0.25ml)を4℃に冷却してバイアル(Reactivial)に入れた。バイアルの内容物を4℃で20分間攪拌し、BSA(1mg/ml)を重炭酸塩緩衝液(0.5%)に溶解した溶液を製造した。混合無水物の培養完了後、バイアルの内容物をBSA溶液(2.5ml)に添加して、磁気攪拌器により4℃で4時間攪拌した。この配合体をトリス緩衝液で平衡したPharmaciaPD−10 Sephadex G−25カラムに通して精製し、琥珀ガラス保存びんに移して4℃で保存した。
BSA・E−3−G染料ゾルの製法蒸留水に染料(5%w/v)を分散した液を十分に混合して作成し、アリコートをベンチトップ遠心分離機において3850rpm(1500g)で10分間遠心分離した。ペレットを捨て、上澄み液を残してアリコートとして、ベンチトップ遠心分離機において4850rpm(3000g)で10分間遠心分離した。上澄みを捨て、ペレットを半量ずつ蒸留水に懸濁した。この段階を4回反復してペレットを洗浄した。最終的に獲得されたペレットを蒸留水に再懸濁しλ最大値での吸収率を測定した。
染料ゾルの蒸留水溶液とE−3−G/BSA配合体を燐酸塩緩衝液で希釈したものを混合して配合体の最終濃度(BSA含有量に対する)が10μg/ml、最大吸光度における染料ゾルの推定光学密度が20になるようにした。反応混合物を室温で15分間放置し、BSAのNaCl溶液(5mM,pH7.4)で15分間ブロックして最終的なBSA濃度を25mg/mlにする。ベンチトップ遠心分離機を用いて反応混合物を4850rpm(3000g)で10分間遠心分離した後、上澄み液を捨ててペレットを半量ずつデキストラン(0.25%w/v)/乳糖(0.5%w/v)の燐酸塩(0.04M,pH5.8)緩衝液に再懸濁した。
E−3−G試験片の製法E−3−Gに対する抗体を実施例3に記載の方法で堆積した。BSA・E−3−G染料ゾルを実施例3に記載の方法で材料片上に堆積した。
E−3−Gの測定上述の試薬を用いて、既知濃度のE−3−Gを含む試料で試験片の実験を行なって標準曲線を作成することができる。固定区域の色の読取りは、例えばミノルタ製比色計を用いて行なうことができる。また、E−3−Gの濃度は反射率の値から推定して算出できる。
当業者には自明のように、以上に記載した発明は幾多の変更、改変の対象となり得るものであり、添付図面に図示し、明細書に記載した特長のあらゆる組合せが本発明の範囲の中に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】不透湿性固体材料からなる中空ケーシング中に乾燥多孔質キャリヤを収容しており、前記多孔質キャリヤに液体試料が適用され得るように多孔質キャリヤはケーシングの外部と直接的または間接的に連通しており、湿潤状態において多孔質キャリヤ内部を自由に移動し得る、検体に対して特異結合性の標識付き試薬と、キャリヤ材料上の検出区域に永久的に固定化されており、従って湿潤状態でも移動しない、同検体に対して特異結合性の無標識試薬とを含んでおり、適用された液体試料が標識付き試薬を吸収した後に検出区域に浸透するように標識付き試薬と検出区域との位置関係が決定されており、さらに標識付き試薬が検出区域において結合された程度を観察できる手段を含む分析試験装置であって、標識が粒状の直接標識であって、液体試料が適用される前ケーシング内に乾燥状態で保存されていることを特徴とする前記分析試験装置。
【請求項2】標識付き試薬は乾燥多孔質キャリヤの第一区域に含まれており、第一区域から空間的に区別される検出区域に無標識試薬が固定化されており、2つの区域が多孔質キャリヤに適用された液体試料が第一区域から検出区域に浸透するように配設されていることを特徴とする請求の範囲1に記載の装置。
【請求項3】粒状の直接標識が染料ゾルまたは金属ゾルであることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の装置。
【請求項4】粒状の直接標識が最大直径が約0.5μm以下の着色ラテックス粒子であることを特徴とする請求の範囲1または2に記載の装置。
【請求項5】ケーシングが不透明もしくは半透明の材料から構成されており、ケーシングに分析結果を観察するための開口部が少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求の範囲1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】ケーシングがプラスチック材料から成形されていることを特徴とする請求の範囲1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】多孔質キャリヤが多孔質材料製ストリップもしくはシートからなることを特徴とする請求の範囲1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】多孔質キャリヤが透明な不透湿性材料製層で裏打ちされた多孔質材料製ストリップもしくはシートからなり、前記透明層が湿気または試料の進入を防ぐために開口部に隣接してケーシングの内側に接触していることを特徴とする請求の範囲7に記載の装置。
【請求項9】裏打ち材料が透明なプラスチック材料であることを特徴とする請求の範囲8に記載の装置。
【請求項10】多孔質キャリヤ材料がニトロセルロースであることを特徴とする請求の範囲1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】ニトロセルロースが少なくとも1μmの孔径を有することを特徴とする請求の範囲10に記載の装置。
【請求項12】孔径が5μm以上であることを特徴とする請求の範囲11に記載の装置。
【請求項13】孔径が8〜12μmであることを特徴とする請求の範囲12に記載の装置。
【請求項14】多孔質キャリヤの検出区域の下流に、液体試料が検出区域を超えて浸透したことを示す対照区域が設けられており、対照区域もケーシングの外側から観察可能であることを特徴とする請求の範囲1〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】多孔質キャリヤがその末端部に吸収性シンクを有するストリップであり、前記シンクが未結合の標識付き試薬を検出区域から洗い流し得る十分な吸収能力を有することを特徴とする請求の範囲1〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】標識付き試薬が多孔質キャリヤに表面層として付与されていることを特徴とする請求の範囲1〜15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】多孔質キャリヤの、標識付き試薬が付与されている領域が艶出し剤で予め処理されていることを特徴とする請求の範囲16に記載の装置。
【請求項18】艶出し剤が糖であることを特徴とする請求の範囲17に記載の装置。
【請求項19】検出区域の固定化試薬が該検出区域のキャリヤの厚さ全体に亘り含浸されていることを特徴とする請求の範囲1〜18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】検体がhCGであることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】検体がLHであることを特徴とする請求の範囲1〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項22】自由に移動し得る試薬が検体に対して特異結合性である代わりに、自由に移動し得る試薬が検体の存在下で競合反応に参加し得ることを特徴とする請求の範囲1〜21に記載の装置。
【請求項23】検体を含むと思われる水性液体試料を請求の範囲1〜22のいずれかに記載の分析試験装置に接触させて、試料を毛細管作用により多孔質キャリヤ中を第1区域を介して検出区域に浸透させ且つ標識付き試薬を試料と共に第1区域から検出区域に移動させ、標識付き試薬が検出区域で結合されている程度を観察することにより試料中の検体の存在を決定することを特徴とする分析方法。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第8図】
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【第9図】
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【第10図】
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【第11図】
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【第12図】
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【第13図】
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【第14図】
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【公告番号】特公平7−46107
【公告日】平成7年(1995)5月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−503518
【出願日】昭和63年(1988)4月26日
【公表番号】特表平1−503174
【公表日】平成1年(1989)10月26日
【国際出願番号】PCT/GB88/00322
【国際公開番号】WO88/08534
【国際公開日】昭和63年(1988)11月3日
【審判番号】平6−7306
【出願人】(999999999)
【参考文献】
【文献】特開昭53−47894(JP,A)
【文献】特開昭57−114859(JP,A)
【文献】特開昭61−142463(JP,A)
【文献】特開昭61−145459(JP,A)
【文献】特開昭55−15100(JP,A)
【文献】特開昭56−160655(JP,A)