検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システム
【課題】現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システムを提供する。
【解決手段】ウェハ100に積層されたレジスト102に所定解像度の回路パターンを転写するための転写パターン18が形成され、かつ転写パターン18を構成している領域の一部に所定解像度よりも高解像度の検査用パターンが形成されたフォトマスク14を介して、レジスト102に所定解像度に対応する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより回路パターンをレジスト102に転写し、レジスト102に回路パターンが転写された後にレジスト付きウェハ104を現像液槽16の現像液に浸漬する。
【解決手段】ウェハ100に積層されたレジスト102に所定解像度の回路パターンを転写するための転写パターン18が形成され、かつ転写パターン18を構成している領域の一部に所定解像度よりも高解像度の検査用パターンが形成されたフォトマスク14を介して、レジスト102に所定解像度に対応する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより回路パターンをレジスト102に転写し、レジスト102に回路パターンが転写された後にレジスト付きウェハ104を現像液槽16の現像液に浸漬する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システム検査方法及びシステムに係り、特に、回路パターンの転写後に半導体基板の特定領域にレジストが残存しているか否かを検査するための検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を構成する薄膜は、一般的にフォトリソグラフィによって形成される。フォトリソグラフィとは、ウェハ上に塗布された感光性樹脂であるフォトレジスト(以下、「レジスト」という。)に対して、回路パターン(メインパターン)が描画されたフォトマスクを介して光を照射することによってその回路パターンをウェハに転写する技術をいう。
【0003】
図15には、従来のフォトリソグラフィを利用してウェハ100に回路パターンを形成する工程の一例が示されている。
【0004】
同図に示されるように、ウェハ100(同図(a)参照)の表面100Aに、光の照射部分が現像液に対して可溶性になるポジ型のレジスト102を塗布することによりレジスト付きウェハ104を作り(同図(b)参照)、所定解像度αの回路パターンが描画されたフォトマスク106を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に所定波長の光を予め定められた照射時間T1(s)照射することにより、回路パターンをレジストに転写し(同図(c)参照)、その後にレジストにおける可溶性領域(ここでは、光が照射された領域)103を現像液で溶かすために、レジスト付きウェハを現像液が貯留された現像液槽の現像液に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬することにより(同図(d))、可溶性領域103が溶解してウェハ100の表面100Aが露呈する(同図(e))。
【0005】
ところで、可溶性領域103を溶解したつもりでも実際には一例として図16に示すようにウェハ100の表面100A(同図では「ボトム部」と表記)に薄膜状のレジスト102が残存している場合がある。例えば、可溶性領域103を完全に溶解することができた場合には一例として図17(a)に示すようにウェハ100の表面100Aが露呈するが、可溶性領域103を完全に溶解できなかった場合には一例として図17(b)に示すようにウェハ100の表面100Aに略均一なレジスト102の膜が残存したり、或いは一例として図17(c)に示すように図17(b)に示すレジスト102の膜よりも更に薄いレジスト102の膜が残存したりする場合がある。回路パターンを構成されるべきウェハ100の表面100Aにレジスト102が残存すると、パターン異常、高抵抗、導通不良などのトラブルを引き起こしてしまう。
【0006】
そのため、特許文献1に記載の技術では、光学顕微鏡を用いてウェハ100の表面100A上を目視することによりレジスト102が残存しているか否かを検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−115974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光学顕微鏡を用いたところで図17(b)に示すようにほぼ均一にレジスト102の膜が付着している場合には目視することは困難となり、図17(c)に示すように更に薄い膜になると目視することはより一層困難になる、という問題点があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査支援方法は、半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンを転写するための転写パターンが形成され、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンが形成されたフォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写工程と、前記転写工程によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬する浸漬工程と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項7に記載の検査方法は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の検査支援方法と、前記浸漬工程によって前記所定領域を前記現像液に前記浸漬時間浸漬した後に光学顕微鏡により前記回路パターンを視認する視認工程と、を含んで構成されている。これにより、コストの増大を招くことなく、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる。
【0012】
請求項8に記載のフォトマスクは、半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンが転写されるように該フォトレジストに該所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写した後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬することにより前記半導体基板に前記回路パターンを形成する場合の前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射する際に用いられるフォトマスクであって、前記回路パターンを転写するための転写パターンを形成し、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンを形成したものである。これにより、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる。
【0013】
請求項13に記載の検査支援システムは、請求項8〜請求項12の何れか1項に記載のフォトマスクと、前記フォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写手段と、前記現像液が貯留されており、前記転写手段によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に前記所定領域が該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬される浸漬槽と、を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る半導体製造システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るフォトマスクの構成の一例を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る半導体製造システムによって転写及び現像を行った後のレジスト付きウェハの状態の一例を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る半導体製造システムによって転写及び現像を行った後のレジスト付きウェハが良品の場合の一例を示す断面図及び平面図である。
【図5】ウェハの表面に検査用レジスト及び薄いレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図6】ウェハの表面に検査用レジスト及び略均一に広がったレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図7】実施形態に係るフォトマスクの変形例(その1)を示す平面図である。
【図8】図7に示すフォトマスクを利用して転写して現像を行った後のレジスト付きウェハの状態の一例を示す模式図である。
【図9】図7に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び薄いレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図10】図7に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び略均一に広がったレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図11】実施形態に係るフォトマスクの変形例(その2)を示す平面図である。
【図12】図11に示すフォトマスクを利用して転写して現像を行った後のレジスト付きウェハの状態の一例を示す模式図である。
【図13】図11に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び薄いレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図14】図11に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び略均一に広がったレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図15】従来のフォトリソグラフィを利用してウェハに回路パターンを形成する一連の工程を示す断面図であり、(a)はウェハの断面構造を示す図であり、(b)はレジスト付きウェハの断面構造を示す図であり、(c)は露光工程を示す図であり、(d)は現像工程を示す図であり、(e)は現像終了後のレジスト付きウェハの断面構造を示す図である。
【図16】現像後のウェハの表面にレジストの膜が残存している状態を示すレジスト付きウェハの断面図である。
【図17】現像後のレジスト付きウェハにおけるウェハの表面の状態を示す平面図であり、(a)は良品のレジスト付きウェハを示す図であり、(b)は不良品のレジスト付きウェハ(その1)を示す図であり、(c)は不良品のレジスト付きウェハ(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、以下では、本発明を、フォトリソグラフィ及び現像を行う半導体製造システムに適用した場合を例に挙げて説明する。なお、図15に示す構成と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態において用いられる「解像度」とは、露光による転写によりウェハ上に解像されるパターンの最小寸法を示す。
【0017】
図1は、本実施形態に係る半導体製造システム10の構成の一例を示す構成図である。同図に示すように、光源12、コンデンサレンズ13、フォトマスク14、縮小投影レンズ15及び現像液槽16を含んで構成されている。光源12は、光を照射する照射面12Aがコンデンサレンズ13、フォトマスク14及び縮小投影レンズ15を介してレジスト付きウェハ104のレジスト102に対面するように配置されており、レジスト102にコンデンサレンズ13、フォトマスク14及び縮小投影レンズ15を介して光を照射する。なお、本実施形態に係る半導体製造システム10では、光源12がウェハに100に所定解像度αの回路パターンを形成するために予め定められた波長を有する紫外線を照射する場合の形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、上記予め定められた波長を有する光であってレジスト102の照射された領域が可溶性になる光であれば如何なる光であってもよい。
【0018】
現像液槽16は、レジスト102における光源12によって光が照射された領域である可溶性領域103を溶解する現像液が貯留された槽であり、フォトリソグラフィによって回路パターンが転写されたレジスト付きウェハ104が浸漬される。
【0019】
フォトマスク14は、フォトリソグラフィによって回路パターンをレジスト102に転写する際に用いられる原版であり、レジスト102に転写される回路パターンに相当する解像度αの転写パターン18を有する。
【0020】
図2は、フォトマスク14の構成の一例を示す平面図である。同図に示すように、フォトマスク14は、石英ガラスからなる透明基板20を備えており、転写パターン18は、透明基板20にクロムをスパッタ法で堆積させることによって生成された第1遮光膜22と第1遮光膜22に囲まれた透光性を有する矩形状の透過部24とを含んで構成されている。
【0021】
透過部24の中央部には、解像度αよりも高解像度の検査用パターン(非解像パターン)としての矩形状の第2遮光膜26が形成されている。第2遮光膜26も第1遮光膜22と同様にクロムをスパッタ法で堆積させることによって生成された膜である。
【0022】
次に、図3〜6を参照しながら本実施形態に係る半導体製造システム10の作用を説明する。なお、図3では、コンデンサレンズ13及び縮小投影レンズ15の図示を省略している。
【0023】
先ず、光源12により、フォトマスク14を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に光を予め定められた照射時間T1(s)照射し、光源12によって光が照射されたレジスト付きウェハ104を現像液槽16に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬する。これにより、一例として図3に示すように、ウェハ100の表面100Aの中央部、すなわち、ウェハ100の表面100Aにおいて、フォトマスク14の第2遮光膜22の位置に対応する位置には、通常よりも高さの低いレジスト102からなる検査用レジスト102Aが残存する。「通常よりも高さの低い」とは、レジスト102において第1遮光膜22によって光が照射されずに不溶性が維持された領域(不溶性領域)が現像液に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬された際にウェハ100の表面100Aに残存する不溶性領域の高さよりも低いということであり、換言すると、検査用レジスト102Aを直接取り囲むレジスト102の高さよりも低いということである。
【0024】
そして、更に継続してレジスト付きウェハ104を現像液槽16にマージンの浸漬時間として予め定められた浸漬時間T3(s)浸漬する。これにより、一例として図4に示すように検査用レジスト102Aが溶解して表面100Aから消滅していることが光学顕微鏡を利用して視認できた場合にはレジスト付きウェハ104は良品として扱うことが可能となる。つまり、検査用レジスト102Aが溶解して表面100Aから消滅しているということは、検査用レジスト102Aの高さよりも低い薄いレジスト102の膜は当然消滅しているということにもなるので、レジスト付きウェハ104は良品であると判断することができる。
【0025】
これに対し、レジスト付きウェハ104を浸漬時間T2(s)浸漬してから更に継続してレジスト付きウェハ104を浸漬時間T3(s)浸漬しても、一例として図5及び図6に示すように検査用レジスト102Aが溶解せずに残っている場合、表面100A上の検査用レジスト102を光学顕微鏡を利用して容易に視認することができる。表面100Aに検査用レジスト102が残存しているということは、一例として図5に示すように薄いレジスト102の膜が部分的に残存していたり、一例として図6に示すように表面100Aの所定領域の全面にほぼ均一に薄いレジスト102の膜が残存していたりする可能性が極めて高いということになり、不良品として判断することができる。
【0026】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る半導体製造システム10では、レジスト付きウェハ104のレジスト102に解像度αの回路パターンを転写するための転写パターン18が形成され、かつ転写パターン18よりも内側の領域の一部に解像度αよりも高解像度の検査用パターンとしての第2遮光膜26が形成されたフォトマスク14を介して、レジスト102に所定波長光を照射時間T1(s)照射し、所定波長光がレジスト102に照射時間T1(s)照射された後にレジスト102における現像液に対して可溶性領域103を含む所定領域を現像液に浸漬時間T2(s)+T3(s)浸漬するので、ウェハ100の表面100Aに検査用レジスト102Aが残存しているか否かを目視だけで、ウェハ100に形成された回路パターンのボトム部に相当する表面100Aにレジスト102の膜が残存しているか否かを容易に把握することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、矩形状の第2遮光膜26を有するフォトマスク14を適用した場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示すフォトマスク50を適用してもよい。フォトマスク50は、フォトマスク14に比べ、第2遮光膜26に代えて網目状のパターン52を適用した点のみが異なっている。パターン52は、各々クロムが堆積されて形成された複数の微小遮光片52Aがマトリクス状に配列されることによって構成されている。
【0028】
従って、図8に示すように光源12により、フォトマスク50を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に光を予め定められた照射時間T1(s)照射し、光源12によって光が照射されたレジスト付きウェハ104を現像液槽16に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬する。これにより、ウェハ100の表面100Aの中央部、すなわち、ウェハ100の表面100Aにおいて、フォトマスク50のパターン52の位置に対応する位置には、通常よりも高さの低いレジスト102からなる検査用レジスト102Bが残存する。
【0029】
そして、更に継続してレジスト付きウェハ104を現像液槽16にマージンの浸漬時間、すなわち、予め定められた浸漬時間T3(s)浸漬する。これにより、一例として図4に示すように検査用レジスト102Bが溶解して表面100Aから消滅していることが光学顕微鏡を利用して視認できた場合にはレジスト付きウェハ104は良品として扱うことが可能となる。つまり、検査用レジスト102Bが溶解して表面100Aから消滅しているということは、検査用レジスト102Bの高さよりも低い薄いレジスト102の膜は当然消滅しているということにもなるので、レジスト付きウェハ104は良品であると判断することができる。
【0030】
これに対し、レジスト付きウェハ104を浸漬時間T2(s)浸漬してから更に継続してレジスト付きウェハ104を浸漬時間T3(s)浸漬しても、一例として図9及び図10に示すように検査用レジスト102Bが溶解せずに残っている場合、表面100A上の検査用レジスト102Bを光学顕微鏡を利用して容易に視認することができる。表面100Aに検査用レジスト102Bが残存しているということは、一例として図9(a)に示すように薄いレジスト102の膜が部分的に残存していたり、一例として図10(a)(b)に示すように表面100Aの所定領域の全面にほぼ均一に薄いレジスト102の膜が残存していたりする可能性が極めて高いということになり、不良品として判断することができる。
【0031】
また、フォトマスク50に代えて図11に示すフォトマスク60を適用してもよい。フォトマスク60は、フォトマスク50に比べ、パターン52に代えてパターン62を適用した点のみが異なっている。パターン62は、窒化モリブデンシリサイドからなる半透明膜を利用したハーフトーンのパターンである。
【0032】
従って、図12に示すように光源12により、フォトマスク60を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に光を予め定められた照射時間T1(s)照射し、光源12によって光が照射されたレジスト付きウェハ104を現像液槽16に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬する。これにより、ウェハ100の表面100Aの中央部、すなわち、ウェハ100の表面100Aにおいて、フォトマスク60のパターン62の位置に対応する位置には、通常よりも高さの低いレジスト102からなる検査用レジスト102Cが残存する。
【0033】
そして、更に継続してレジスト付きウェハ104を現像液槽16にマージンの浸漬時間、すなわち、予め定められた浸漬時間T3(s)浸漬する。これにより、一例として図4に示すように検査用レジスト102Cが溶解して表面100Aから消滅していることが光学顕微鏡を利用して視認できた場合にはレジスト付きウェハ104は良品として扱うことが可能となる。つまり、検査用レジスト102Cが溶解して表面100Aから消滅しているということは、検査用レジスト102Cの高さよりも低い薄いレジスト102の膜は当然消滅しているということにもなるので、レジスト付きウェハ104は良品であると判断することができる。
【0034】
これに対し、レジスト付きウェハ104を浸漬時間T2(s)浸漬してから更に継続してレジスト付きウェハ104を浸漬時間T3(s)浸漬しても、一例として図13及び図14に示すように検査用レジスト102Cが溶解せずに残っている場合、表面100A上の検査用レジスト102Cを光学顕微鏡を利用して容易に視認することができる。表面100Aに検査用レジスト102Cが残存しているということは、一例として図13(a)に示すように薄いレジスト102の膜が部分的に残存していたり、一例として図14(a)(b)に示すように表面100Aの所定領域の全面にほぼ均一に薄いレジスト102の膜が残存していたりする可能性が極めて高いということになり、不良品として判断することができる。
【0035】
このように、解像度αよりも高解像度の検査用パターンの形態は、転写パターンに含まれる領域の一部に形成される如何なる形態であってもよく、何れにしても転写工程を経てから現像工程のマージンの時間としての浸漬時間T3(s)に入る前の段階では、通常よりも高さの低い検査用レジストが形成される。
【0036】
また、上記実施形態では、ポジ型のレジスト102を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ネガ型のレジストを適用しても良い。この場合、上記実施形態の例では、レジストにおける可溶性領域と不溶性領域とが逆になる。よって、フォトマスク14の透過部24を遮光性の材料からなる遮光部に置き換えると共に、第1遮光膜22及び第2遮光膜26が形成された領域は各々透明基板20の表面を露出させればよい。
【0037】
また、上記実施形態では、回路パターンに対応する可溶性領域を現像液で溶解する上で必要な時間に加えて更にマージンの浸漬時間T3(s)を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、マージンの時間として、浸漬時間T3(s)に代えて照射時間T4(s)を適用してもよい。この場合、第2遮光膜26によってレジスト102に転写されたパターンに対応する可溶性領域(検査用レジスト102A,102B,102C)を現像液槽16の現像液に浸漬して溶解する際に照射時間T4(s)を寄与させればよい。つまり、照射時間T4(s)だけ余分に光が照射されることによって検査用レジストを溶解させて消滅させることができればよい。また、これに限らず、マージンの時間として浸漬時間T5(s)及び照射時間T6(s)を適用してもよい。この場合、第2遮光膜26によってレジスト102に転写されたパターンに対応する可溶性領域(検査用レジスト102B)を現像液槽16の現像液に浸漬して溶解する際に浸漬時間T5(s)及び照射時間T6(s)が寄与すればよい。
【0038】
また、上記実施形態では、第2遮光膜26を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2遮光膜26に代えて光の透過を抑制する素材からなる光透過抑制膜を適用してもよい。光の透過をどの程度抑制するかによって検査用レジスト102Bを決定することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 半導体製造システム
12 光源
14,50,60 フォトマスク
16 現像液槽
18 転写パターン
22 第1遮光膜
26 第2遮光膜
52,62 パターン
100 ウェハ
102 レジスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システム検査方法及びシステムに係り、特に、回路パターンの転写後に半導体基板の特定領域にレジストが残存しているか否かを検査するための検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を構成する薄膜は、一般的にフォトリソグラフィによって形成される。フォトリソグラフィとは、ウェハ上に塗布された感光性樹脂であるフォトレジスト(以下、「レジスト」という。)に対して、回路パターン(メインパターン)が描画されたフォトマスクを介して光を照射することによってその回路パターンをウェハに転写する技術をいう。
【0003】
図15には、従来のフォトリソグラフィを利用してウェハ100に回路パターンを形成する工程の一例が示されている。
【0004】
同図に示されるように、ウェハ100(同図(a)参照)の表面100Aに、光の照射部分が現像液に対して可溶性になるポジ型のレジスト102を塗布することによりレジスト付きウェハ104を作り(同図(b)参照)、所定解像度αの回路パターンが描画されたフォトマスク106を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に所定波長の光を予め定められた照射時間T1(s)照射することにより、回路パターンをレジストに転写し(同図(c)参照)、その後にレジストにおける可溶性領域(ここでは、光が照射された領域)103を現像液で溶かすために、レジスト付きウェハを現像液が貯留された現像液槽の現像液に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬することにより(同図(d))、可溶性領域103が溶解してウェハ100の表面100Aが露呈する(同図(e))。
【0005】
ところで、可溶性領域103を溶解したつもりでも実際には一例として図16に示すようにウェハ100の表面100A(同図では「ボトム部」と表記)に薄膜状のレジスト102が残存している場合がある。例えば、可溶性領域103を完全に溶解することができた場合には一例として図17(a)に示すようにウェハ100の表面100Aが露呈するが、可溶性領域103を完全に溶解できなかった場合には一例として図17(b)に示すようにウェハ100の表面100Aに略均一なレジスト102の膜が残存したり、或いは一例として図17(c)に示すように図17(b)に示すレジスト102の膜よりも更に薄いレジスト102の膜が残存したりする場合がある。回路パターンを構成されるべきウェハ100の表面100Aにレジスト102が残存すると、パターン異常、高抵抗、導通不良などのトラブルを引き起こしてしまう。
【0006】
そのため、特許文献1に記載の技術では、光学顕微鏡を用いてウェハ100の表面100A上を目視することによりレジスト102が残存しているか否かを検査している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−115974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、光学顕微鏡を用いたところで図17(b)に示すようにほぼ均一にレジスト102の膜が付着している場合には目視することは困難となり、図17(c)に示すように更に薄い膜になると目視することはより一層困難になる、という問題点があった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる検査支援方法、検査方法、フォトマスク、及び検査支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査支援方法は、半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンを転写するための転写パターンが形成され、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンが形成されたフォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写工程と、前記転写工程によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬する浸漬工程と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項7に記載の検査方法は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の検査支援方法と、前記浸漬工程によって前記所定領域を前記現像液に前記浸漬時間浸漬した後に光学顕微鏡により前記回路パターンを視認する視認工程と、を含んで構成されている。これにより、コストの増大を招くことなく、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる。
【0012】
請求項8に記載のフォトマスクは、半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンが転写されるように該フォトレジストに該所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写した後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬することにより前記半導体基板に前記回路パターンを形成する場合の前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射する際に用いられるフォトマスクであって、前記回路パターンを転写するための転写パターンを形成し、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンを形成したものである。これにより、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる。
【0013】
請求項13に記載の検査支援システムは、請求項8〜請求項12の何れか1項に記載のフォトマスクと、前記フォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写手段と、前記現像液が貯留されており、前記転写手段によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に前記所定領域が該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬される浸漬槽と、を含んで構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像後の余分なフォトレジストの存在を容易に把握することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る半導体製造システムの構成の一例を示す構成図である。
【図2】実施形態に係るフォトマスクの構成の一例を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る半導体製造システムによって転写及び現像を行った後のレジスト付きウェハの状態の一例を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る半導体製造システムによって転写及び現像を行った後のレジスト付きウェハが良品の場合の一例を示す断面図及び平面図である。
【図5】ウェハの表面に検査用レジスト及び薄いレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図6】ウェハの表面に検査用レジスト及び略均一に広がったレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図7】実施形態に係るフォトマスクの変形例(その1)を示す平面図である。
【図8】図7に示すフォトマスクを利用して転写して現像を行った後のレジスト付きウェハの状態の一例を示す模式図である。
【図9】図7に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び薄いレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図10】図7に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び略均一に広がったレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図11】実施形態に係るフォトマスクの変形例(その2)を示す平面図である。
【図12】図11に示すフォトマスクを利用して転写して現像を行った後のレジスト付きウェハの状態の一例を示す模式図である。
【図13】図11に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び薄いレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図14】図11に示すフォトマスクを利用して行ったフォトリソグラフィによって得られたウェハの表面に検査用レジスト及び略均一に広がったレジストの膜が残存している状態の一例を示す断面図及び平面図である。
【図15】従来のフォトリソグラフィを利用してウェハに回路パターンを形成する一連の工程を示す断面図であり、(a)はウェハの断面構造を示す図であり、(b)はレジスト付きウェハの断面構造を示す図であり、(c)は露光工程を示す図であり、(d)は現像工程を示す図であり、(e)は現像終了後のレジスト付きウェハの断面構造を示す図である。
【図16】現像後のウェハの表面にレジストの膜が残存している状態を示すレジスト付きウェハの断面図である。
【図17】現像後のレジスト付きウェハにおけるウェハの表面の状態を示す平面図であり、(a)は良品のレジスト付きウェハを示す図であり、(b)は不良品のレジスト付きウェハ(その1)を示す図であり、(c)は不良品のレジスト付きウェハ(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、以下では、本発明を、フォトリソグラフィ及び現像を行う半導体製造システムに適用した場合を例に挙げて説明する。なお、図15に示す構成と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。また、本実施形態において用いられる「解像度」とは、露光による転写によりウェハ上に解像されるパターンの最小寸法を示す。
【0017】
図1は、本実施形態に係る半導体製造システム10の構成の一例を示す構成図である。同図に示すように、光源12、コンデンサレンズ13、フォトマスク14、縮小投影レンズ15及び現像液槽16を含んで構成されている。光源12は、光を照射する照射面12Aがコンデンサレンズ13、フォトマスク14及び縮小投影レンズ15を介してレジスト付きウェハ104のレジスト102に対面するように配置されており、レジスト102にコンデンサレンズ13、フォトマスク14及び縮小投影レンズ15を介して光を照射する。なお、本実施形態に係る半導体製造システム10では、光源12がウェハに100に所定解像度αの回路パターンを形成するために予め定められた波長を有する紫外線を照射する場合の形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、上記予め定められた波長を有する光であってレジスト102の照射された領域が可溶性になる光であれば如何なる光であってもよい。
【0018】
現像液槽16は、レジスト102における光源12によって光が照射された領域である可溶性領域103を溶解する現像液が貯留された槽であり、フォトリソグラフィによって回路パターンが転写されたレジスト付きウェハ104が浸漬される。
【0019】
フォトマスク14は、フォトリソグラフィによって回路パターンをレジスト102に転写する際に用いられる原版であり、レジスト102に転写される回路パターンに相当する解像度αの転写パターン18を有する。
【0020】
図2は、フォトマスク14の構成の一例を示す平面図である。同図に示すように、フォトマスク14は、石英ガラスからなる透明基板20を備えており、転写パターン18は、透明基板20にクロムをスパッタ法で堆積させることによって生成された第1遮光膜22と第1遮光膜22に囲まれた透光性を有する矩形状の透過部24とを含んで構成されている。
【0021】
透過部24の中央部には、解像度αよりも高解像度の検査用パターン(非解像パターン)としての矩形状の第2遮光膜26が形成されている。第2遮光膜26も第1遮光膜22と同様にクロムをスパッタ法で堆積させることによって生成された膜である。
【0022】
次に、図3〜6を参照しながら本実施形態に係る半導体製造システム10の作用を説明する。なお、図3では、コンデンサレンズ13及び縮小投影レンズ15の図示を省略している。
【0023】
先ず、光源12により、フォトマスク14を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に光を予め定められた照射時間T1(s)照射し、光源12によって光が照射されたレジスト付きウェハ104を現像液槽16に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬する。これにより、一例として図3に示すように、ウェハ100の表面100Aの中央部、すなわち、ウェハ100の表面100Aにおいて、フォトマスク14の第2遮光膜22の位置に対応する位置には、通常よりも高さの低いレジスト102からなる検査用レジスト102Aが残存する。「通常よりも高さの低い」とは、レジスト102において第1遮光膜22によって光が照射されずに不溶性が維持された領域(不溶性領域)が現像液に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬された際にウェハ100の表面100Aに残存する不溶性領域の高さよりも低いということであり、換言すると、検査用レジスト102Aを直接取り囲むレジスト102の高さよりも低いということである。
【0024】
そして、更に継続してレジスト付きウェハ104を現像液槽16にマージンの浸漬時間として予め定められた浸漬時間T3(s)浸漬する。これにより、一例として図4に示すように検査用レジスト102Aが溶解して表面100Aから消滅していることが光学顕微鏡を利用して視認できた場合にはレジスト付きウェハ104は良品として扱うことが可能となる。つまり、検査用レジスト102Aが溶解して表面100Aから消滅しているということは、検査用レジスト102Aの高さよりも低い薄いレジスト102の膜は当然消滅しているということにもなるので、レジスト付きウェハ104は良品であると判断することができる。
【0025】
これに対し、レジスト付きウェハ104を浸漬時間T2(s)浸漬してから更に継続してレジスト付きウェハ104を浸漬時間T3(s)浸漬しても、一例として図5及び図6に示すように検査用レジスト102Aが溶解せずに残っている場合、表面100A上の検査用レジスト102を光学顕微鏡を利用して容易に視認することができる。表面100Aに検査用レジスト102が残存しているということは、一例として図5に示すように薄いレジスト102の膜が部分的に残存していたり、一例として図6に示すように表面100Aの所定領域の全面にほぼ均一に薄いレジスト102の膜が残存していたりする可能性が極めて高いということになり、不良品として判断することができる。
【0026】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る半導体製造システム10では、レジスト付きウェハ104のレジスト102に解像度αの回路パターンを転写するための転写パターン18が形成され、かつ転写パターン18よりも内側の領域の一部に解像度αよりも高解像度の検査用パターンとしての第2遮光膜26が形成されたフォトマスク14を介して、レジスト102に所定波長光を照射時間T1(s)照射し、所定波長光がレジスト102に照射時間T1(s)照射された後にレジスト102における現像液に対して可溶性領域103を含む所定領域を現像液に浸漬時間T2(s)+T3(s)浸漬するので、ウェハ100の表面100Aに検査用レジスト102Aが残存しているか否かを目視だけで、ウェハ100に形成された回路パターンのボトム部に相当する表面100Aにレジスト102の膜が残存しているか否かを容易に把握することができる。
【0027】
なお、上記実施形態では、矩形状の第2遮光膜26を有するフォトマスク14を適用した場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図7に示すフォトマスク50を適用してもよい。フォトマスク50は、フォトマスク14に比べ、第2遮光膜26に代えて網目状のパターン52を適用した点のみが異なっている。パターン52は、各々クロムが堆積されて形成された複数の微小遮光片52Aがマトリクス状に配列されることによって構成されている。
【0028】
従って、図8に示すように光源12により、フォトマスク50を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に光を予め定められた照射時間T1(s)照射し、光源12によって光が照射されたレジスト付きウェハ104を現像液槽16に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬する。これにより、ウェハ100の表面100Aの中央部、すなわち、ウェハ100の表面100Aにおいて、フォトマスク50のパターン52の位置に対応する位置には、通常よりも高さの低いレジスト102からなる検査用レジスト102Bが残存する。
【0029】
そして、更に継続してレジスト付きウェハ104を現像液槽16にマージンの浸漬時間、すなわち、予め定められた浸漬時間T3(s)浸漬する。これにより、一例として図4に示すように検査用レジスト102Bが溶解して表面100Aから消滅していることが光学顕微鏡を利用して視認できた場合にはレジスト付きウェハ104は良品として扱うことが可能となる。つまり、検査用レジスト102Bが溶解して表面100Aから消滅しているということは、検査用レジスト102Bの高さよりも低い薄いレジスト102の膜は当然消滅しているということにもなるので、レジスト付きウェハ104は良品であると判断することができる。
【0030】
これに対し、レジスト付きウェハ104を浸漬時間T2(s)浸漬してから更に継続してレジスト付きウェハ104を浸漬時間T3(s)浸漬しても、一例として図9及び図10に示すように検査用レジスト102Bが溶解せずに残っている場合、表面100A上の検査用レジスト102Bを光学顕微鏡を利用して容易に視認することができる。表面100Aに検査用レジスト102Bが残存しているということは、一例として図9(a)に示すように薄いレジスト102の膜が部分的に残存していたり、一例として図10(a)(b)に示すように表面100Aの所定領域の全面にほぼ均一に薄いレジスト102の膜が残存していたりする可能性が極めて高いということになり、不良品として判断することができる。
【0031】
また、フォトマスク50に代えて図11に示すフォトマスク60を適用してもよい。フォトマスク60は、フォトマスク50に比べ、パターン52に代えてパターン62を適用した点のみが異なっている。パターン62は、窒化モリブデンシリサイドからなる半透明膜を利用したハーフトーンのパターンである。
【0032】
従って、図12に示すように光源12により、フォトマスク60を介して、レジスト付きウェハ104のレジスト102に光を予め定められた照射時間T1(s)照射し、光源12によって光が照射されたレジスト付きウェハ104を現像液槽16に予め定められた浸漬時間T2(s)浸漬する。これにより、ウェハ100の表面100Aの中央部、すなわち、ウェハ100の表面100Aにおいて、フォトマスク60のパターン62の位置に対応する位置には、通常よりも高さの低いレジスト102からなる検査用レジスト102Cが残存する。
【0033】
そして、更に継続してレジスト付きウェハ104を現像液槽16にマージンの浸漬時間、すなわち、予め定められた浸漬時間T3(s)浸漬する。これにより、一例として図4に示すように検査用レジスト102Cが溶解して表面100Aから消滅していることが光学顕微鏡を利用して視認できた場合にはレジスト付きウェハ104は良品として扱うことが可能となる。つまり、検査用レジスト102Cが溶解して表面100Aから消滅しているということは、検査用レジスト102Cの高さよりも低い薄いレジスト102の膜は当然消滅しているということにもなるので、レジスト付きウェハ104は良品であると判断することができる。
【0034】
これに対し、レジスト付きウェハ104を浸漬時間T2(s)浸漬してから更に継続してレジスト付きウェハ104を浸漬時間T3(s)浸漬しても、一例として図13及び図14に示すように検査用レジスト102Cが溶解せずに残っている場合、表面100A上の検査用レジスト102Cを光学顕微鏡を利用して容易に視認することができる。表面100Aに検査用レジスト102Cが残存しているということは、一例として図13(a)に示すように薄いレジスト102の膜が部分的に残存していたり、一例として図14(a)(b)に示すように表面100Aの所定領域の全面にほぼ均一に薄いレジスト102の膜が残存していたりする可能性が極めて高いということになり、不良品として判断することができる。
【0035】
このように、解像度αよりも高解像度の検査用パターンの形態は、転写パターンに含まれる領域の一部に形成される如何なる形態であってもよく、何れにしても転写工程を経てから現像工程のマージンの時間としての浸漬時間T3(s)に入る前の段階では、通常よりも高さの低い検査用レジストが形成される。
【0036】
また、上記実施形態では、ポジ型のレジスト102を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ネガ型のレジストを適用しても良い。この場合、上記実施形態の例では、レジストにおける可溶性領域と不溶性領域とが逆になる。よって、フォトマスク14の透過部24を遮光性の材料からなる遮光部に置き換えると共に、第1遮光膜22及び第2遮光膜26が形成された領域は各々透明基板20の表面を露出させればよい。
【0037】
また、上記実施形態では、回路パターンに対応する可溶性領域を現像液で溶解する上で必要な時間に加えて更にマージンの浸漬時間T3(s)を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、マージンの時間として、浸漬時間T3(s)に代えて照射時間T4(s)を適用してもよい。この場合、第2遮光膜26によってレジスト102に転写されたパターンに対応する可溶性領域(検査用レジスト102A,102B,102C)を現像液槽16の現像液に浸漬して溶解する際に照射時間T4(s)を寄与させればよい。つまり、照射時間T4(s)だけ余分に光が照射されることによって検査用レジストを溶解させて消滅させることができればよい。また、これに限らず、マージンの時間として浸漬時間T5(s)及び照射時間T6(s)を適用してもよい。この場合、第2遮光膜26によってレジスト102に転写されたパターンに対応する可溶性領域(検査用レジスト102B)を現像液槽16の現像液に浸漬して溶解する際に浸漬時間T5(s)及び照射時間T6(s)が寄与すればよい。
【0038】
また、上記実施形態では、第2遮光膜26を適用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2遮光膜26に代えて光の透過を抑制する素材からなる光透過抑制膜を適用してもよい。光の透過をどの程度抑制するかによって検査用レジスト102Bを決定することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 半導体製造システム
12 光源
14,50,60 フォトマスク
16 現像液槽
18 転写パターン
22 第1遮光膜
26 第2遮光膜
52,62 パターン
100 ウェハ
102 レジスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンを転写するための転写パターンが形成され、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンが形成されたフォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写工程と、
前記転写工程によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬する浸漬工程と、
を含む検査支援方法。
【請求項2】
前記照射時間及び前記浸漬時間の少なくとも一方を、前記転写パターンによって前記フォトレジストに転写された前記回路パターンに対応する前記可溶性の領域を現像液で溶解する上で必要な時間より所定時間長くした請求項1記載の検査支援方法。
【請求項3】
前記フォトレジストをポジ型のフォトレジストとし、
前記転写パターンを、前記所定波長光が透過する透過部及び前記所定波長光を遮る遮光部により形成し、
前記検査用パターンを、前記透過部の一部に設けられ、前記所定波長光の透過を抑制する透過抑制部とした請求項1または請求項2記載の検査支援方法。
【請求項4】
前記透過抑制部を、前記所定波長光を遮る遮光素材によって形成した請求項3記載の検査支援方法。
【請求項5】
前記透過抑制部を、前記遮光素材からなる網目状のパターンとした請求項4記載の検査支援方法。
【請求項6】
前記透過抑制部を、ハーフトーンのパターンとした請求項3記載の検査支援方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の検査支援方法と、
前記浸漬工程によって前記所定領域を前記現像液に前記浸漬時間浸漬した後に光学顕微鏡により前記回路パターンを視認する視認工程と、
を含む検査方法。
【請求項8】
半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンが転写されるように該フォトレジストに該所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写した後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬することにより前記半導体基板に前記回路パターンを形成する場合の前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射する際に用いられるフォトマスクであって、
前記回路パターンを転写するための転写パターンを形成し、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンを形成したフォトマスク。
【請求項9】
前記フォトレジストをポジ型のフォトレジストとし、
前記転写パターンを前記所定波長光が透過する透過部及び前記所定波長光を遮る遮光部により形成し、
前記検査用パターンを、前記透過部の一部に設けられ、前記所定波長光の透過を抑制する透過抑制部とした請求項8記載のフォトマスク。
【請求項10】
前記透過抑制部を、前記所定波長光を遮る遮光素材によって形成した請求項9記載のフォトマスク。
【請求項11】
前記透過抑制部を、前記遮光素材からなる網目状のパターンとした請求項10記載のフォトマスク。
【請求項12】
前記透過抑制部を、ハーフトーンのパターンとした請求項9記載のフォトマスク。
【請求項13】
請求項8〜請求項12の何れか1項に記載のフォトマスクと、
前記フォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写手段と、
前記現像液が貯留されており、前記転写手段によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に前記所定領域が該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬される浸漬槽と、
を含む検査支援システム。
【請求項14】
前記照射時間及び前記浸漬時間の少なくとも一方を、前記転写パターンによって前記フォトレジストに転写された前記回路パターンに対応する前記可溶性の領域を現像液で溶解する上で必要な時間より所定時間長くした請求項13記載の検査支援システム。
【請求項1】
半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンを転写するための転写パターンが形成され、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンが形成されたフォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写工程と、
前記転写工程によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬する浸漬工程と、
を含む検査支援方法。
【請求項2】
前記照射時間及び前記浸漬時間の少なくとも一方を、前記転写パターンによって前記フォトレジストに転写された前記回路パターンに対応する前記可溶性の領域を現像液で溶解する上で必要な時間より所定時間長くした請求項1記載の検査支援方法。
【請求項3】
前記フォトレジストをポジ型のフォトレジストとし、
前記転写パターンを、前記所定波長光が透過する透過部及び前記所定波長光を遮る遮光部により形成し、
前記検査用パターンを、前記透過部の一部に設けられ、前記所定波長光の透過を抑制する透過抑制部とした請求項1または請求項2記載の検査支援方法。
【請求項4】
前記透過抑制部を、前記所定波長光を遮る遮光素材によって形成した請求項3記載の検査支援方法。
【請求項5】
前記透過抑制部を、前記遮光素材からなる網目状のパターンとした請求項4記載の検査支援方法。
【請求項6】
前記透過抑制部を、ハーフトーンのパターンとした請求項3記載の検査支援方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の検査支援方法と、
前記浸漬工程によって前記所定領域を前記現像液に前記浸漬時間浸漬した後に光学顕微鏡により前記回路パターンを視認する視認工程と、
を含む検査方法。
【請求項8】
半導体基板に積層されたフォトレジストに所定解像度の回路パターンが転写されるように該フォトレジストに該所定解像度に対応する波長を有する所定波長光を予め定められた照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写した後に該フォトレジストにおける現像液に対して可溶性の領域を含む所定領域を該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬することにより前記半導体基板に前記回路パターンを形成する場合の前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射する際に用いられるフォトマスクであって、
前記回路パターンを転写するための転写パターンを形成し、かつ該転写パターンを構成している領域の一部に前記所定解像度よりも高解像度の検査用パターンを形成したフォトマスク。
【請求項9】
前記フォトレジストをポジ型のフォトレジストとし、
前記転写パターンを前記所定波長光が透過する透過部及び前記所定波長光を遮る遮光部により形成し、
前記検査用パターンを、前記透過部の一部に設けられ、前記所定波長光の透過を抑制する透過抑制部とした請求項8記載のフォトマスク。
【請求項10】
前記透過抑制部を、前記所定波長光を遮る遮光素材によって形成した請求項9記載のフォトマスク。
【請求項11】
前記透過抑制部を、前記遮光素材からなる網目状のパターンとした請求項10記載のフォトマスク。
【請求項12】
前記透過抑制部を、ハーフトーンのパターンとした請求項9記載のフォトマスク。
【請求項13】
請求項8〜請求項12の何れか1項に記載のフォトマスクと、
前記フォトマスクを介して、前記フォトレジストに前記所定波長光を前記照射時間照射することにより前記回路パターンを前記フォトレジストに転写する転写手段と、
前記現像液が貯留されており、前記転写手段によって前記フォトレジストに前記回路パターンが転写された後に前記所定領域が該現像液に予め定められた浸漬時間浸漬される浸漬槽と、
を含む検査支援システム。
【請求項14】
前記照射時間及び前記浸漬時間の少なくとも一方を、前記転写パターンによって前記フォトレジストに転写された前記回路パターンに対応する前記可溶性の領域を現像液で溶解する上で必要な時間より所定時間長くした請求項13記載の検査支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−104541(P2012−104541A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249588(P2010−249588)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(308033711)ラピスセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]