説明

構造体、蒸散装置、蒸散方法および蒸散用キット

【課題】液体を、迅速かつ安定して吸液および蒸散することが可能な構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る構造体は、例えば、液体を吸液して蒸散する吸液芯1であり、繊維構造体と粒子を包含している。そして、本発明に係る吸液芯1において、粒子の少なくとも一部が繊維構造体に付着した凝集体として存在している。これにより、液体を迅速かつ安定して吸液および蒸散することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体およびその製造方法、ならびにこの構造体を備えた蒸散装置、蒸散方法および蒸散キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防蚊の目的等で殺虫剤を効率よく室内の空気中に蒸散させるために、吸液型加熱蒸散殺虫装置が使われている。このような殺虫装置においては、通常、薬液を入れた容器に挿入された吸液芯によって吸い上げられた薬液を、吸液芯の上端部を加熱することによって蒸散させる仕組みになっている。吸液型加熱蒸散殺虫装置においては、薬液を安定して蒸散させるために、吸液性に優れ、多孔質で連続した空隙を有する吸液芯が用いられており、吸液芯内の微小な間隙中を薬液が移行する毛細管現象を利用して薬液を吸液し蒸散するようになっている。
【0003】
吸液型加熱蒸散殺虫装置用の吸液芯として、特許文献1には、活性白土、ケイソウ土、タルク等の鉱物質粉末に木粉または炭粉を混ぜたものをデキストリンまたはデンプン等の糊剤で固めたものが記載されている。また、特許文献2および3には、中心に繊維からなる吸液層を有し、その周囲が繊維の編組物によって被覆された吸液芯が記載されており、さらにシリコーンワニスによって、その編組物の周囲を被覆され、吸液層と編組物が固着されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭55−58047号(1980年4月30日公開)
【特許文献2】特開平5−328884号(1993年12月14日公開)
【特許文献3】特開平8−205744号(1996年8月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された吸液芯は、吸液速度が遅いため、殺虫装置に適用した際に、必要な量の薬液を吸液して、蒸散させることができる状態になるまで長時間要していた。
【0006】
特許文献2または3に記載された吸液芯も、やはり吸液速度が遅く、必要な量の薬液を吸液して、蒸散させることができる状態になるまで長時間要するという問題があった。
【0007】
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、糊剤および樹脂を用いることなく、液体を迅速かつ安定して吸液することが可能であり、蒸散性に優れた構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る構造体は、粒子と繊維構造体とを包含し、前記粒子の少なくとも一部が前記繊維構造体に付着した凝集体として存在していることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る構造体において、前記粒子の平均粒子径が1〜500μmであることが好ましい。
【0010】
本発明に係る構造体において、前記粒子が無機粒子であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る構造体において、前記無機粒子がシリカであることが好ましい。
【0012】
本発明に係る構造体において、前記繊維構造体が、紙、織物または不織布であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る構造体において、前記繊維構造体の形状が柱状であることが好ましい。
【0014】
本発明に係る構造体の好ましい用途の一つは吸液芯であり、本発明の構造体を吸液芯として用いることは好ましい実施態様の一つである。
【0015】
本発明に係る蒸散装置は、蒸発性液体が入った容器と、本発明に係る構造体からなり、その一部が前記蒸発性液体に浸漬され、他の一部が前記容器から露出するように配置されている吸液芯とを備えていることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る蒸散装置は、前記吸液芯の前記液体に浸漬されていない部分を加熱する加熱手段をさらに備えていることが好ましい。
【0017】
本発明に係る蒸散装置において、前記液体が殺虫成分を含むことが好ましい。
【0018】
本発明に係る蒸散装置において、前記液体が、殺虫成分に加えて、さらに有機溶剤および/または水を含むことが好ましい。
【0019】
本発明に係る蒸散装置において、前記殺虫成分がピレスロイド系化合物であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る蒸散方法は、本発明に係る構造体の一部を、蒸発性液体中に浸漬して前記構造体に当該液体を吸液させること、及び吸液された前記液体を前記構造体の表面から蒸散させることを含むことを特徴としている。
【0021】
本発明に係る蒸散用キットは、本発明に係る構造体を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、液体を迅速かつ安定して吸液および蒸散することが可能な構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る吸液型加熱蒸散殺虫装置の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る吸液芯断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)によるSiO2 マッピングの結果を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る吸液芯の電子顕微鏡画像を示す図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る吸液芯断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)によるSiO2 マッピングの結果を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る吸液芯断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)によるSiO2 マッピングの結果を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る吸液芯の電子顕微鏡画像を示す図である。
【図7】吸液芯の蒸散性を示すグラフである。
【図8】吸液芯の蒸散性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔構造体〕
本発明に係る構造体は、粒子と繊維構造体とを包含し、前記粒子の少なくとも一部が前記繊維構造体に付着した凝集体として存在していることを特徴としている。本発明に係る構造体は、例えば、液体を吸液して蒸散させる吸液芯として好適に用いることができる。本実施形態においては、本発明に係る構造体を吸液芯として用いた場合を例として説明する。本発明に係る吸液芯は、例えば、図1に示すような、吸液型加熱蒸散殺虫装置5の吸液芯1として好適に用いることができる。また、例えば、芳香装置および消臭装置等の吸液芯としても好適に使用可能である。なお、図1に示す吸液型加熱蒸散殺虫装置5の詳細については後述する。
【0025】
(繊維構造体)
本発明に係る吸液芯は、繊維構造体を芯材として包含している。本明細書において繊維構造体を芯材と称することもある。繊維構造体は、一般に繊維と称される細い線状の物体が、複数凝集して構成されるものであり、凝集する繊維間には空隙を有している。繊維構造体は、親水性繊維を含んでいることが好ましく、吸液性に優れた、紙、織物または不織布がより好ましい。これらの繊維構造体そのものも優れた吸液性を有しているが、後述する粒子が凝集体として存在していることによって、形状安定性に優れた吸液芯が得られるとともに、この吸液芯は、迅速かつ安定して吸液することが可能である。この吸液芯は、繊維構造体として紙を用いれば、水系溶媒中であっても安定であり、構造を維持することができる。ここで水系溶媒としては、水または親水性溶媒が意図される。
【0026】
繊維構造体として用いられる紙とは、木材等の植物から取り出した繊維状物質(パルプ)を水の中に分散させ、これを網または簀(す)の上に均一な薄い層を形成するように流出させ、パルプ同士をからみ合わせて、さらに脱水した後、乾燥させたものである。この紙のうち、衛生用紙として分類される紙には、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、タオル用紙等があり、いずれも高い吸水性を有しているのが特徴である。本発明の紙としては、特に衛生用紙類が好ましい。
【0027】
繊維構造体として用いられる織物または不織布は、天然繊維、化学繊維、合成繊維、無機繊維等により構成されており、上記のようないずれかの繊維を目的に応じて選択することができる。ここで、天然繊維とは、自然に存在する素材そのものから得られる繊維であり、植物系天然繊維としては、綿、麻、竹、パルプ等があり、動物系天然繊維としては、羊毛、絹等が挙げられる。
【0028】
化学繊維とは、自然に存在する素材に化学的な処理を施したものであり、パルプ等のセルロースをいったん溶媒に溶かしてから再生するレーヨンおよびキュプラ、セルロースに化学的処理を加えたアセテート(トリアセテート)がある。合成繊維とは、石油等の原料から化学的に合成されたもので、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ビニロン等多数挙げられる。また、無機繊維としては、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維等が挙げられる。
【0029】
(粒子)
本発明に係る吸液芯において、繊維構造体に付着する粒子の組成は、特に限定されない。粒子の材料として種々のものを用いることが可能であるが、特に、無機物、有機物、およびこれらの混合物等が好ましく用いられる。本発明に好適に使用可能な粒子の例は以下のとおりである。
【0030】
無機物として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、非鉄金属、等があげられ、具体的には、金、パラジウム、白金、銀、アルミニウム等が例示でき、またはこれらの酸化物、水酸化物、硫化物、および炭酸塩、硫酸塩等の塩類等があげられ、珪素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、セリウム、ニッケル、スズ等の酸化物、水酸化物あるいは硫化物等、および炭酸塩、硫酸塩等の塩類等が例示できる。これらの粒子のうち、無機粒子が好ましく、シリカであることが特に好ましい。
【0031】
有機物としては、樹脂等があげられ、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ヘキサメチレンジアミン−アジピン酸重縮合体等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、液晶系樹脂等が例示できる。
【0032】
繊維構造体に付着する凝集体を構成する粒子の大きさおよび形態としては、繊維構造体内部の空隙に入る大きさであればよく、特に粒子の大きさが小さく、液状分散媒中に粒子を分散させたコロイド溶液として供給することができるものがより好ましい。粒子をコロイド溶液から供給する場合、粒子の大きさは液状分散媒中にコロイド状に分散できる大きさであればよいが、平均粒子径1〜500nmのものを用いることが好ましく、2nm〜100nmがより好ましく、5nm〜70nmのものが取扱いやすい点でさらに好ましい。粒子径の大きさおよび大小の組み合わせ方等によって、粒子が凝集する形態および繊維構造体中の空隙サイズが異なるため、目的に応じて粒子径を選択すればよい。なお、繊維構造体中の空隙サイズが小さく、空隙率が低いほど吸液芯として用いた際の吸液速度は遅くなる。
【0033】
上記コロイド溶液としては公知のコロイド溶液を用いることができ、例えば金属コロイド溶液、酸化物コロイド溶液、水酸化物コロイド溶液、炭酸塩コロイド溶液、硫酸塩コロイド溶液等が挙げられる。金属コロイド溶液に含まれる金属元素としては、金、パラジウム、白金、銀等が例示される。酸化物コロイド溶液、水酸化物コロイド溶液、炭酸塩コロイド溶液、または硫酸塩コロイド溶液に含まれる元素としては、珪素、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、セリウム、ニッケル、スズ等が例示される。中でも酸化物コロイド溶液または水酸化物コロイド溶液を用いることが好ましく、特に珪素の酸化物コロイド溶液が好ましい。珪素の酸化物コロイド溶液を用いた場合、得られる吸液芯は粒子としてシリカを含む。このような吸液芯は、耐熱性に優れるため、好ましい。
【0034】
本発明に係る吸液芯は、粒子および繊維構造体を包含し、当該粒子の少なくとも一部が繊維構造体に付着した凝集体として存在しているので、十分な形状安定性を有している。したがって、安定した吸液性を示す。特に繊維構造体として紙を用いた場合、水性の液中での形状安定性に優れているので、水性の薬液を吸液させ、加熱して蒸散させたとしても形状が維持され、安定かつ迅速な吸液および蒸散を行うことができる。
【0035】
本発明において、吸液芯の形状は繊維構造体の形状によって決定される。例えば、円柱状等の柱状の吸液芯を得るためには、繊維構造体を柱状に成形しておけばよく、板状またはシート状の吸液芯を得たい場合には、繊維構造体を予め板状またはシート状に成形しておけばよい。このとき、繊維構造体の繊維が液体を吸上げる方向に連続しているように構成すると、液体の流れがよく好ましい。例えば、円柱状の繊維構造体を形成する場合、シート状の紙の1辺から渦巻状に巻くことで円柱状に成形することが可能であり、紙の連続する方向が円柱の長手方向と一致するため、吸上げが速やかに行われる。
【0036】
本発明に係る吸液芯は、ワニス等の接着剤を用いることなく製造することが可能である。また、使用する粒子の種類や、粒子径等を適宜変更することができるので、これらの変更により吸液芯の蒸散性を変更することが可能であり、その結果容易に蒸散制御することができる。
【0037】
〔構造体の製造方法〕
本発明に係る構造体の製造方法によれば、吸液芯として用いられる構造体を製造することができる。本実施形態においては、本発明に係る構造体の製造方法を、吸液芯の製造方法を例として説明する。本発明に係る吸液芯の製造方法は、繊維構造体の少なくとも一部を、粒子が液状分散媒に分散した分散液に接触させて、上記繊維構造体に上記分散液を吸収させる吸収工程と、上記分散液を吸収した上記繊維構造体から液状分散媒を除去する除去工程とを包含することを特徴としている。例えば、複数の繊維により構成された繊維構造体を、粒子が液状分散媒に分散した分散液に接触させ、繊維構造体に吸収させることによって分散液を吸収させながら、同時に吸収した分散液の液状分散媒を除去することによって吸液芯を製造することができる。このようにして吸液芯を製造することによって、粒子の少なくとも一部が繊維構造体の繊維に付着して凝集体を形成し、繊維構造体中に粒子を高密充填させることができる。
【0038】
ここで、粒子が液状分散媒に分散した分散液とは、粒子が沈殿することなく液状分散媒中に分散している分散液であればよい。この分散液中には、粒子をよりよく分散させる目的で、界面活性剤、乳化剤等が加えられていてもよい。粒子を分散させる液状分散媒は特に限定されないが、製造設備の簡便化、環境負荷等の点から水が好ましい。分散液中の粒子の濃度は特に限定されないが、通常1〜50重量%であり、迅速に粒子を高密度に充填および凝集させるためには濃度が高い方がよく、20〜50重量%が好ましい。
【0039】
繊維構造体を分散液に接触させる方法としては、例えば、繊維構造体の少なくとも一部を分散液中に浸漬する、繊維構造体に分散液を塗布する等の方法が挙げられる。繊維構造体を分散液中に浸漬する場合は、分散液中に繊維構造体を完全に沈めてしまってもよいし、繊維構造体の一部分を分散液に浸し、毛細管現象によって分散液を繊維構造体全体に行き渡らせてもよい。
【0040】
繊維構造体の一部分のみを分散液に浸して吸収させれば、充填に必要なだけの液量が吸上げられるので無駄がなくてよいし、液状分散媒を除去しながら分散液の浸漬を続けたり、液状分散媒の除去と分散液への接触とを繰り返したりすることで、繊維構造体中の粒子の濃度を高めることができる。特に、繊維構造体に所望する量の粒子が包含され、所望の凝集体が形成されるまで吸収工程と除去工程とを繰り返すことが好ましい。このとき、繊維構造体に付着した粒子の割合が10〜95重量%(ただし吸液芯の重量を100%とする)になるまで吸収工程と除去工程とを繰り返してもよい。また、柱状の繊維構造体を用いる場合、その長手方向の一端を分散液中に浸漬して吸収させてもよい。繊維構造体に対して分散液をスプレー等で吹き付けたり、刷毛等で塗布したりする場合には、繊維構造体の内部にまで十分に分散液を染み込ませるようにすることが好ましい。
【0041】
分散液を吸収させた繊維構造体中から液状分散媒を除去する方法としては、例えば、分散液を吸収させた繊維構造体を室温で自然乾燥させてもよいし、乾燥機で加熱して強制的に液状分散媒の蒸散を促進してもよい。液状分散媒を除去することによって粒子だけが繊維に付着して残り、さらに粒子どうしが凝集して固まり、繊維構造体に吸液芯としての好適な硬さと耐液性が付与される。このとき繊維構造体に付着した粒子の割合は10〜95重量%であればよく、好ましくは50〜90重量%である(ただし吸液芯の重量を100%とする)。また、繊維構造体、および分散液には、必要に応じて色素、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤等を含有させることもできる。
【0042】
本発明に係る吸液芯の製造方法により製造された吸液芯は、粒子の少なくとも一部が繊維構造体に付着して凝集体として存在し、繊維構造体中に粒子が高密充填されているので、十分な形状安定性を有している。したがって、安定かつ迅速な吸液および蒸散を行うことができる。
【0043】
〔蒸散装置および蒸散方法〕
本発明に係る蒸散装置は、蒸発性液体が入った容器と、本発明に係る構造体からなり、その一部が前記蒸発性液体に浸漬され、他の一部が前記容器から露出するように配置されている吸液芯とを備えていることを特徴としている。本発明に係る蒸散装置は、例えば、前記蒸発性液体として殺虫成分を含む殺虫液を用いて、殺虫装置として用いることができる。本実施形態においては、本発明に係る構造体を吸液芯として用いて、本発明に係る蒸散装置を殺虫装置として用いた場合を例として説明する。本発明に係る殺虫装置は、吸液芯において殺虫液に浸漬されていない部分を加熱するヒーター(加熱手段)をさらに備えた吸液型加熱蒸散殺虫装置であることができる。
【0044】
本発明に係る吸液芯を用いた吸液型加熱蒸散殺虫装置の一実施形態について、図1を参照して以下に説明する。図1は、本発明の吸液型加熱蒸散殺虫装置5を示す概略断面図である。図1に示すように、吸液型加熱蒸散殺虫装置5は円柱状の吸液芯1と、吸液芯1を加熱するリング状のヒーター2と、ヒーター2を支持するヒーター支持部3と、殺虫液が充填された容器4とを備えている。
【0045】
吸液芯1は、長手方向の一方の端部が突出し、他方の端部が殺虫液に浸漬されるように容器4に挿入されている。そして、ヒーター2は、容器4から突出した吸液芯1の頂部を間接的に加熱する。また、ヒーター2としては、繊維構造体を間接的に60〜150℃程度に加熱できる発熱体であれば特に限定されるものではないが、代表的には通電により発熱する通常のリング状の電気ヒーターがあげられる。この場合、ヒーター2には、通電して発熱させるためのコード(図示せず)が連結されている。
【0046】
ヒーター2と吸液芯1との間隔は、通常、0.5〜2mmの範囲であり、ヒーター2の加熱温度は、安全面から150℃以下であることが望ましい。吸液芯1は、通常は、容器4に挿入されている下端部が容器4内部の底面から0〜2mm程度に位置するように設置される。容器4中の殺虫液を無駄なく吸上げて使い切るために、下端部ができるだけ底面に近い方がよい。
【0047】
容器4の材質は、長期間経過しても薬液の漏出および染み出しのない材質であれば特に制限されるものではないが、薬液の残存量を外部から確認することができるガラス、プラスチック等の透明材料が好ましく、さらに薬剤の光分解を防止する目的で、紫外線遮断性を有する材料であることが好ましい。また吸液型加熱蒸散殺虫装置5には、通電の有無を示すパイロットランプを設けることもできる。
【0048】
本発明において、殺虫液に含まれる殺虫成分としては、従来公知の各種殺虫剤を用いることができ、ピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等を挙げることができる。一般に安全性が高いことからピレスロイド系殺虫剤が好適に用いられ、例えばアレスリン、バイオアレスリン、プラレスリン、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、フタルスリン、エトフェンプロックス、レスメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、シペルメトリン、シフェノトリン、フェンプロパトリン、フェンフルスリン、エムペントリン、テラレスリン、dテトラメスリン、サイフェノトリン、トラロメスリン、デルタメスリン等が挙げられる。
【0049】
カーバメート系殺虫剤としては、例えば、フェノブカルブ、メトキサジアゾン、アラニカルブ、オキサミル、カルボスルファン、ベンフラカルブ、メソミル、カルバリル(NAC)、チオジカルブ、エチオフェンカルブ等が挙げられる。有機リン系殺虫剤としては、例えば、フェニトロチオン、アセフェート、ダイアジノン、マラソン等があげられる。
【0050】
さらにこれら殺虫剤の作用を高める共力剤として、ピペロニルブトキサイド、N−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシイミド、N−(2−エチルヘキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2,2,2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、オクタクロロジプロピルエーテル等を殺虫液に含有させることもできる。共力剤の含有量は殺虫成分に対して0.1〜10倍が好ましい。
【0051】
殺虫液中の殺虫成分の濃度は、0.3重量%以上、20重量%以下が良好であり、好ましくは0.3重量%から5重量%までの範囲の濃度である。これら殺虫成分は単独で用いてもよいし、複合して用いることもできる。また、必要に応じて、安定剤、消臭剤、色素、その他の助剤を殺虫液中に少量添加することもできる。芳香を目的として使用する場合には、吸液芯を浸漬する液体として1種以上の天然又は人工の香料を含む液体を用いることができ、更に、目的に応じて消臭剤、殺菌剤、忌避剤等の各種薬剤も使用できる。これらの成分も、有機溶剤または有機溶剤と水との混合液に溶解させて使用することができる。
【0052】
本発明に係る殺虫装置において、殺虫液は、殺虫成分が有機溶剤または有機溶剤と水との混合液に溶解されたものであることができる。殺虫液中の溶剤としては特に限定されないが、溶剤のみから成る油性液、溶剤と水が混合した水性液等が挙げられる。油性液に使用される溶剤としては通常有機溶剤、好ましくは飽和炭化水素溶剤(脂肪族飽和炭化水素溶剤、脂環式飽和炭化水素溶剤)が挙げられ、より好ましくは、沸点が180℃〜310℃の飽和炭化水素溶剤から選ばれる1種または2種以上からなる溶剤があげられる。このような飽和炭化水素溶剤の具体例としては、例えば、0号ソルベントH(新日本石油製)、0号ソルベントM(新日本石油製)、0号ソルベントL(新日本石油製)、ノルマルパラフィン(新日本石油製)、IPソルベント2028(出光興産製)、ノルパー12(エクソンモービル化学製)、ノルパー13(エクソンモービル化学製)、ノルパー15(エクソンモービル化学製)、アイソパーM(エクソンモービル化学製)、アイソパーL(エクソンモービル化学製)、アイソパーV(エクソンモービル化学製)、エクソールD80(エクソンモービル化学製)、エクソールD110(エクソンモービル化学製)、エクソールD130(エクソンモービル化学製)等が挙げられる。
【0053】
また、殺虫液の蒸散を調節するために、例えば沸点が300℃以上の高沸点溶剤を殺虫液に含有させることもできる。その具体例としては、ラウリン酸イソプロピル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル、中鎖脂肪酸トリグリセライド等のエステル類または脂肪酸誘導体、オクチルドデカノール等の高級アルコール類、トウモロコシ油等の油脂類等を挙げることができる。
【0054】
水性液に使用される溶剤としては例えば、特開平3−7207号公報に示されるように、ヒーター加熱温度領域である100〜180℃において蒸散する界面活性剤を水に加えたもの、および特開平7−316002号公報に示されるように比較的低分子量で、沸点が100〜300℃の範囲であり加熱時に蒸散する水性有機溶剤を水に加えた液を挙げることができる。この水性有機溶剤と水の混合液にはさらに揮発調整剤として水性ジオール系化合物、水性アルコール系化合物等を用いることもできる。
【0055】
本発明に係る殺虫装置は、本発明に係る吸液芯を備えているので、殺虫液を吸液芯に吸液させ、吸液された前記液体を加熱して前記吸液芯の表面から蒸散させたとしても前記吸液芯の形状が維持され、このため前記殺虫装置は安定かつ迅速な吸液および蒸散を行うことができる。
【0056】
本発明に係る蒸散方法は、例えば殺虫液を用いることによって殺虫方法として実施することができる。本実施形態においては、本発明に係る蒸散方法を殺虫方法を例として説明する。本発明に係る殺虫方法においては、殺虫成分を含む殺虫液中に、本発明に係る吸液芯の一部を浸漬し、該吸液芯に当該殺虫液を吸液させ、吸液された前記液体を前記吸液芯の表面から蒸散させる。蒸散効率の観点から、殺虫液を吸液した吸液芯を加熱することが好ましい。一実施形態においては、吸液芯の一部を殺虫液中に浸漬し、吸液芯の殺虫液に浸漬されていない部分の一部をヒーター等により加熱する。本発明に係る殺虫方法は、上述した本発明に係る殺虫装置を用いて行われてもよい。本発明に係る殺虫方法は、本発明に係る吸液芯を用いているので、迅速に殺虫効果を発現し、かつ安定して殺虫効果を持続させることができる。
【0057】
〔蒸散用キット〕
本発明に係る蒸散用キットは、殺虫用キットとして用いることができる。本実施形態においては、本発明に係る蒸散用キットを殺虫用キットを例として説明する。本発明に係る殺虫用キットは、吸液芯として用いられる本発明に係る構造体を備えていることを特徴としている。本発明に係る殺虫用キットは、さらに殺虫成分を含む殺虫液を備えていることが好ましい。当該殺虫液としては、上述した殺虫装置に含まれる殺虫液として例示したものから選択することができる。本発明に係る殺虫用キットは、少なくとも、本発明に係る吸液芯を備えていればよく、これにより吸液性を保持しつつ、液中での吸液芯の形状安定性に向上させることができる。これにより、安定かつ迅速な吸液および蒸散を実現することができる。
【0058】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0059】
〔1.吸液芯の作製〕
キムワイプ(登録商標)「ワイパーS−200」(パルプ100%、サイズ120mm×215mm、日本製紙クレシア製)1枚の長いほうの辺を二つ折りにして、端からきつく巻いて円柱状にし、加熱装置の高さにあわせて長さ73mmに切断して、芯材Aを作製した。このときの芯材Aの重量は、0.6gであった。芯材Aに、さらにPETフィルムでカバーするようにして巻きつけ、巻き端に粘着テープを貼って固定した。50ccガラス管に平均粒子径20nm、固形分濃度20重量%のコロイダルシリカ液(「スノーテックス20」;日産化学製)10ccを入れ、芯材Aの下端(1cm)をコロイダルシリカ液に浸して立てかけた。30分後、芯材Aをコロイダルシリカ液から引上げて水平に寝かせて一晩置いてからPETフィルムを外し、さらに完全に乾燥するまで放置した。このようにして得られたものを吸液芯Aとする。吸液芯Aの乾燥後の重量は1.2gであり、付着したシリカ粒子は50重量%であった。
【0060】
次いで、平均粒子径70nm、固形分濃度40重量%のコロイダルシリカ液(「スノーテックスZL」;日産化学製)に芯材を浸したこと以外は、全て吸液芯Aと同様にして吸液芯Bを作製した。吸液芯Bの乾燥後の重量は2.3gであり、付着したシリカ粒子は74重量%であった。
【0061】
ここで、吸液芯Bの分析結果を図2および3に示す。図2は、吸液芯Bの上部(コロイダルシリカ液に浸されていないほうの端部側)断面のEPMA(Electron Probe Micro Analyzer)によるSiO2 マッピングの結果を示す図である。図2中左側に反射電子像(BSE)を示し、右側に同一箇所のSiマッピング像を示す。図2に示すように、吸液芯Bの芯材の繊維にはシリカ粒子が多数凝集している。
【0062】
図3は吸液芯Bの電子顕微鏡画像を示す図である。図3中左上に加速電圧10.0kV、倍率×10.0kの画像を示し、右上に加速電圧10.0kV、倍率×50.0kの画像を示し、左下に加速電圧10.0kV、倍率×100.0kの画像を示す。図3に示すように、芯材の繊維が観察できないほど、芯材の繊維にシリカ粒子が凝集して付着している。
【0063】
次いで、平均粒子径5nm、固形分濃度20重量%のコロイダルシリカ液(「スノーテックスXS」;日産化学製)に芯材を浸したこと以外は、全て吸液芯Aと同様にして吸液芯Cを作製した。吸液芯Cの乾燥後の重量は1.4gであり、付着したシリカ粒子は57重量%であった。
【0064】
ここで、吸液芯Cの分析結果を図4〜6に示す。図4は、吸液芯Cの上部(コロイダルシリカ液に浸されていないほうの端部側)断面のEPMAによるSiO2 マッピングの結果を示す図であり、図5は、吸液芯Cの下部(コロイダルシリカ液に浸されたほうの端部側)断面のEPMAによるSiO2 マッピングの結果を示す図である。図4および5中左側に反射電子像(BSE)を示し、右側に同一箇所のSiマッピング像を示す。図4および5に示すように、吸液芯Cの芯材の繊維には、上部および下部共にシリカ粒子が多数凝集している。
【0065】
図6は吸液芯Cの電子顕微鏡画像を示す図である。図6中左上に加速電圧10.0kV、倍率×10.0kの画像を示し、右上に加速電圧10.0kV、倍率×50.0kの画像を示し、左下に加速電圧10.0kV、倍率×100.0kの画像を示す。図6に示すように、芯材の繊維が観察できないほど、芯材の繊維にシリカ粒子が凝集して付着している。
【0066】
次いで、平均粒子径20nmのコロイダルシリカ液(「スノーテックス20」;日産化学製)と平均粒子径5nmのコロイダルシリカ液(「スノーテックスXS」;日産化学製)とを1対1の比率で混合して固形分濃度20重量%としたコロイダルシリカ液に芯材を浸したこと以外は、全て吸液芯Aと同様にして吸液芯Dを作製した。吸液芯Dの乾燥後の重量は1.4gであり、付着したシリカ粒子は合計で57重量%であった。
【0067】
芯材Aの代わりにタバコ用のフィルター(円周24mm、長さ70mmに切断、重量0.4g)を用いたこと以外は、全て吸液芯Aと同様にして吸液芯Eを作製した。吸液芯Eの乾燥後の重量は1.2gであり、付着したシリカ粒子は67重量%であった。また、比較例として、市販のタルク芯(直径7mm、長さ73mm)を吸液芯Fとして用いた。
【0068】
〔2.殺虫液の溶媒の調製〕
市販の飽和炭化水素系溶剤であるノルパー13(エクソンモービル化学製)、および飽和炭化水素系溶剤であるノルパー15(エクソンモービル化学製)からなる混合溶剤(ノルパー13/ノルパー15=7wt/3wt)を用いて油性溶媒を作製した。市販の2−(2−ブトキシエトキシ)エタノールおよび水からなる混合溶剤(2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール/水=7wt/3wt)を用いて水性溶媒を作製した。
【0069】
〔3.加熱蒸散装置〕
上述した各吸液芯の蒸散速度の測定を、図1に示すような加熱蒸散装置を用いて行った。ここで、容器4は高さ55mmの円柱形の透明プラスチック製で、底面の内径40mm、ボトル肩部までの高さ35mm、内径16mmの市販のものを用いた。吸液芯を支持する芯支持体(図示せず)として、吸液芯1の外径に合わせて直径7mmの穴があいた蓋状の軟質プラスチック材料であって、容器4に充填されている薬液の漏出および染み出しが生じないように密封できるものを用いた。
【0070】
吸液芯1の容器4から突出した上部表面を間接的に加熱するためのリング状のヒーター2として、幅15mmの金属を内径10mmのリングに丸めたものを用いた。また、ヒーター2を支持するためのヒーター支持部3は、容器4の底面から60〜75mmの高さ、すなわち吸液芯1の上部対応する位置に配置した。ヒーター2を通電により約130℃となるよう設定した。
【0071】
〔4.蒸散速度の測定〕
容器4に上述したように作製した油性溶媒30g入れて、吸液芯A〜Fの一端が油性溶媒中に浸漬し、容器4の底面に接するようにセットして、合計の重量を測定した。この容器4を約130℃に加熱した。油性溶媒が無くなるまで経過時間ごとの容器4の重量を測定して蒸散速度を算出した。結果を図7に示す。図7に示すように、吸液芯A〜Fは容器4中の油性溶媒が無くなるまで一定の速度で溶媒を蒸散した。
【0072】
次に、油性溶媒の替わりに水性溶媒を用いて、吸液芯AおよびFについて、上記と同様に蒸散速度の測定を行った。結果を図8に示す。図8に示すように、吸液芯Aは、油性溶媒を用いた場合と同様に、容器4中の水性溶媒が無くなるまで一定の速度で溶媒を蒸散した。なお、吸液芯Fは水性溶媒に浸漬するとすぐに溶解してしまい、蒸散速度の測定ができなかった。
【0073】
ここで、各吸液芯の平均蒸散速度を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1に示すように、本発明に係る吸液芯A〜Eは、従来の吸液芯Fと同等の蒸散性を示した。さらに、従来の吸液Fが水性溶媒に溶解してしまい使用不可能であった一方で、本発明に係る吸液芯Aは、水性溶媒を用いた場合であっても、安定かつ優れた蒸散性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によれば、長時間安定して吸液および蒸散可能な構造体を提供できるので、種々の殺虫液、芳香液、消臭液等を吸液および蒸散する蒸散装置に好適に使用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 吸液芯(構造体)
2 ヒーター(加熱手段)
3 ヒーター支持部
4 容器
5 吸液型加熱蒸散殺虫装置(蒸散装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子と繊維構造体とを包含し、
前記粒子の少なくとも一部が前記繊維構造体に付着した凝集体として存在していることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記粒子の平均粒子径が1〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記粒子が無機粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記無機粒子がシリカであることを特徴とする請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記繊維構造体が、紙、織物または不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記繊維構造体の形状が柱状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体からなる吸液芯。
【請求項8】
蒸発性液体が入った容器と、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体からなり、その一部が前記蒸発性液体に浸漬され、他の一部が前記容器から露出するように配置されている吸液芯とを備えることを特徴とする蒸散装置。
【請求項9】
前記吸液芯の前記液体に浸漬されていない部分を加熱する加熱手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の蒸散装置。
【請求項10】
前記液体が殺虫成分を含むことを特徴とする請求項8又は9のいずれか1項に記載の蒸散装置。
【請求項11】
前記液体が、さらに有機溶剤を含むことを特徴とする請求項10に記載の蒸散装置。
【請求項12】
前記液体が、さらに水を含むことを特徴とする請求項10又は11に記載の蒸散装置。
【請求項13】
前記殺虫成分がピレスロイド系化合物であることを特徴とする請求項10に記載の蒸散装置。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体の一部を、蒸発性液体中に浸漬して前記構造体に当該液体を吸液させること、及び吸液された前記液体を前記構造体の表面から蒸散させることを含むことを特徴とする蒸散方法。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の構造体を備えていることを特徴とする蒸散用キット。

【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−88427(P2010−88427A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208317(P2009−208317)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】