模擬ガス供給装置
【課題】自動車からの排ガスの変化を精度よくシミュレーションして、排ガスの変化に正確に連動する
【解決手段】模擬ガスを供給できるようにする。複数の原料ガス供給部を集合してなる原料ガス供給部群5と、複数の流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群1,2,3,4と、複数の流量コントローラー群1,2,3,4を集合してなる流量コントローラーシステム100と、模擬ガスを評価装置500に供給する模擬ガス供給管101と、模擬ガスを評価装置に供給せずに排出する模擬ガス排出管102と、模擬ガスの流路を模擬ガス供給管101と模擬ガス排出管102とに切り換える切換え弁6,7,8,9を有し、複数の切換え弁を集合してなる切換え弁システム200と、流量コントローラーシステム100及び切換え弁システム200を制御するための制御部300とを備える。
【解決手段】模擬ガスを供給できるようにする。複数の原料ガス供給部を集合してなる原料ガス供給部群5と、複数の流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群1,2,3,4と、複数の流量コントローラー群1,2,3,4を集合してなる流量コントローラーシステム100と、模擬ガスを評価装置500に供給する模擬ガス供給管101と、模擬ガスを評価装置に供給せずに排出する模擬ガス排出管102と、模擬ガスの流路を模擬ガス供給管101と模擬ガス排出管102とに切り換える切換え弁6,7,8,9を有し、複数の切換え弁を集合してなる切換え弁システム200と、流量コントローラーシステム100及び切換え弁システム200を制御するための制御部300とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の排気管などに設けられる触媒やセンサを評価するための模擬ガスを供給する模擬ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンに連なる排気管などに設けられる触媒やセンサを評価する場合、エンジンからの排ガスの成分濃度を予め測定して、同様の成分を含む模擬ガスを生成し、この模擬ガスを使って評価する。例えば、CO、CO2、NO、NO2、HC、N2の各ボンベを流量制御することによって、模擬ガスの組成や流量を設定し、水分添加及び加熱することによって、自動車からの排ガスと同等の模擬ガスを生成し、この模擬ガスを評価対象となる触媒の入ったガスセルに導入し、触媒を通過する前後のガス濃度を計測して、触媒の浄化性能を評価している。
【0003】
ところで、NOX吸蔵還元触媒は、流入する排ガスの空燃比がリーンのときにNOXを捕捉(吸蔵)する一方、流入する排ガスの空燃比がリッチのときに捕捉したNOXを還元する。そして、NOX吸蔵還元触媒を備えた内燃機関は、リーン制御走行により触媒の排ガス浄化性能が低下した場合に、運転状態を空燃比がリッチとなるように切り替えることによって、排ガス中のNOXを浄化している(特許文献1参照)。このように、NOX吸蔵還元触媒を備えた内燃機関では、リーンと、ストイキ又はリッチとの切り替えが最適に制御されることによって、排ガス中のNOXの低減が図られている。また、排ガス濃度をセンサで測定することによって、リーン、ストイキ、リッチの状態を確認しており、排ガス中のNOXが触媒で適正に浄化されているかをNOXセンサで確認している。
【0004】
一方、自動車排出ガス規制において、試験モードが定められており、例えば、日本のJC08モードや、米国のLA4モード等の試験モードがよく知られている。そして、排ガスの測定試験を行う際、自動車をシャシ・ダイナモメータ上に載せて、規定の試験モードで走行させて、試験期間中における排ガス中の大気汚染物質の量を所定の測定法に基づいて測定する。この大気汚染物質は、ガス分析装置によって測定される。また、走行燃費も測定される。そして、近年では、自動車排出ガス規制や燃費基準が強化されているので、試験モードで走行するときの排ガスの変化と同じように模擬ガスを変化させて、触媒評価試験を行うことが要望されている。
【0005】
従来の触媒及びセンサの評価試験の方法では、定常的に供給される模擬ガスにリッチ成分又はリーン成分を添加することによって模擬ガスを変化させていた(特許文献2参照)。そのため、定常の模擬ガスやリッチ成分及びリーン成分の濃度を変更するには、各原料ガスの流量を変化する必要がある。しかし、原料ガスの流量を変化すると、配管内の圧力が変化するので、他の原料ガスの流量に影響を与える。即ち、複数の原料ガスの流量が互いに干渉して、模擬ガス濃度を変化させる際に、各原料ガスの流量が安定するまで数秒程度の時間がかかる。また、各原料ガスの設定濃度によって、各原料ガスの流量や流量変化率(バルブ開度)が異なるので、各原料ガスの流量が安定するまでの時間が異なり、自動車からの排ガス成分を精度よくシミュレーションできない。さらに、各原料ガスの流量を変化する際に、模擬ガスの流量が揺らいでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−240429号公報
【特許文献2】特許第4194581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、自動車からの排ガスの濃度変化を精度よくシミュレーションして、排ガスの濃度変化に正確に連動する模擬ガスを供給できる模擬ガス供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る模擬ガス供給装置は、
原料ガスを供給する原料ガス供給部を有し、複数の原料ガス供給部を集合してなる原料ガス供給部群と、
各原料ガス供給部に対応して設けられ、各原料ガスの流量を調節する流量コントローラーを有し、複数の流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群と、
複数の流量コントローラー群を集合してなる流量コントローラーシステムと、
各流量コントローラー群で生成される模擬ガスを評価装置に供給する模擬ガス供給管と、
各流量コントローラー群で生成される模擬ガスを評価装置に供給せずに排出する模擬ガス排出管と、
各流量コントローラー群に対応して設けられ、各流量コントローラー群で生成される模擬ガスの流路を模擬ガス供給管と模擬ガス排出管とに切り換える切換え弁を有し、複数の切換え弁を集合してなる切換え弁システムと、
流量コントローラーシステム及び切換え弁システムを制御するための制御部とを備え、
制御部は、
各流量コントローラー群を第1時間間隔ごとに予め設定した流量で変化させ、さらに、各切換え弁を第1時間間隔ごとに切り換えることで、第1時間間隔の間に、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔ごとに、各流量コントローラー群からの模擬ガスを所定の順番で連続的に模擬ガス供給管に送る。
【0009】
好ましくは、
第2時間間隔は、それぞれが等間隔の時間で設定されており、
第1時間間隔は、第2時間間隔に流量コントローラー群の数を乗じた値で設定される。
【0010】
好ましくは、
原料ガス供給部群は、
所定の原料ガスに対して、濃度の高い原料ガス供給部と濃度の低い原料ガス供給部とを備えており、
制御部は、
生成する模擬ガスにおける所定の原料ガスの濃度が所定濃度より高い場合は、濃度の高い原料ガス供給部から原料ガスを供給し、
生成する模擬ガスにおける所定の原料ガスの濃度が所定濃度より低い場合は、濃度の低い原料ガス供給部から原料ガスを供給する。
【0011】
好ましくは、
制御部は、
所定時間の間、模擬ガスにおける各原料ガスの濃度を変化せず、その後に、各原料ガスの濃度を変化する場合、
所定時間の間、所定の流量コントローラー群からの一定濃度の模擬ガスを模擬ガス供給管に送り、
所定時間が経過する第1時間前まで、所定の流量コントローラー群以外の流量コントローラー群からの模擬ガスの流量を0又は少量とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る模擬ガス供給装置は、各原料ガスの流量を調整する複数の流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群と、複数の流量コントローラー群を集合してなる流量コントローラーシステムと、各流量コントローラー群で生成される模擬ガスの流路を模擬ガス供給管と模擬ガス排出管とに切り換える切換え弁システムと、切換え弁システム及び流量コントローラーシステムを制御する制御部とを備える。
【0013】
そして、制御部は、各流量コントローラー群を第1時間間隔ごとに予め設定した流量で変化させる。第1時間間隔は、各流量コントローラー群からの模擬ガスが所定の濃度及び流量に安定するのに必要な時間が設定される。従って、第1時間間隔の間に、各流量コントローラー群からの模擬ガスは、所定の濃度及び流量で安定する。
【0014】
さらに、制御部は、各切換え弁を第1時間間隔ごとに切り換えることで、第1時間間隔の間に、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔ごとに、各流量コントローラー群からの模擬ガスを所定の順番で連続的に模擬ガス供給管に送る。これによって、第1時間間隔の間に安定した各流量コントローラー群からの模擬ガスを連続的に模擬ガス供給管に送ることができるので、設定された濃度及び流量の模擬ガスを正確に評価装置(触媒評価装置、センサ評価装置など)に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る模擬ガス供給装置の構成を示す図。
【図2】自動車からの排ガスと模擬ガス供給装置からの模擬ガスとについて、各原料ガス濃度の変化と経過時間との関係を示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る模擬ガス供給装置を説明する。
【0017】
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態の模擬ガス供給装置を説明する。
図1の通り、模擬ガス供給装置は、原料ガス供給部群5を備える。原料ガス供給部群5は、N2ボンベからなるN2ガス供給部50、O2ボンベからなるO2ガス供給部51、CO2ボンベからなるCO2ガス供給部52、COボンベからなるCOガス供給部53、C3H6ボンベからなるC3H6ガス供給部54を集合してなる。そして、N2ガス供給部50はN2ガスを供給し、O2ガス供給部51はO2ガスを供給し、CO2ガス供給部52はCO2ガスを供給し、COガス供給部53はCOガスを供給し、C3H6ガス供給部54はC3H6を供給する。N2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスは、模擬ガスを生成するための原料ガスとなる。
【0018】
模擬ガス供給装置は、流量コントローラーシステム100を備える。流量コントローラーシステム100は、第1流量コントローラー群1、第2流量コントローラー群2、第3流量コントローラー群3及び第4流量コントローラー群4を集合してなる。そして、第1流量コントローラー群1は、5つの流量コントローラー(マスフローコントローラー)10〜14を集合してなる。また、第2流量コントローラー群2は、5つの流量コントローラー20〜24を集合してなる。また、第3流量コントローラー群3は、5つの流量コントローラー30〜34を集合してなる。また、第4流量コントローラー群2は、5つの流量コントローラー40〜44を集合してなる。
【0019】
流量コントローラー10,20,30,40は、N2ガス供給部50に接続され、N2ガス供給部50から供給されるN2ガスの流量を調整する。流量コントローラー11,21,31,41は、O2ガス供給部51に接続され、O2ガス供給部51から供給されるO2ガスの流量を調整する。流量コントローラー12,22,32,42は、CO2ガス供給部52に接続され、CO2供給部52から供給されるCO2ガスの流量を調整する。流量コントローラー13,23,33,43は、COガス供給部53に接続され、COガス供給部53から供給されるCOガスの流量を調整する。また、流量コントローラー14,24,34,44は、C3H6ガス供給部54に接続され、C3H6ガス供給部54から供給されるC3H6ガスの流量を調整する。
【0020】
第1流量コントローラー群1の流量コントローラー10〜14は、出口側に第1混合管15に接続されている。そして、第1流量コントローラー群1によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第1混合管15で混合され、模擬ガスが生成される。また、第2流量コントローラー群2の流量コントローラー20〜24は、出口側で第2混合管25に接続されている。そして、第2流量コントローラー群2によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第2混合管25で混合され、模擬ガスが生成される。また、第3流量コントローラー群3の流量コントローラー30〜34は、第3混合管35に接続されている。そして、第3流量コントローラー群3によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第3混合管35で混合され、模擬ガスが生成される。また、第4流量コントローラー群4の流量コントローラー40〜44は、第4混合管45に接続されている。そして、第4流量コントローラー群4によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第4混合管45で混合され、模擬ガスが生成される。
【0021】
模擬ガス供給装置は、切換え弁システム200を備える。切換え弁システム200は、第1切換え弁6、第2切換え弁7、第3切換え弁8及び第4切換え弁9を集合してなる。
そして、第1切換え弁6は、第1混合管15に接続される。第1切換え弁6は、第1供給管60及び第1排出管61に接続され、第1混合管15で生成された模擬ガスの流路を、第1供給管60と第1排出管61とに切り換える。また、第2切換え弁7は、第2混合管25に接続される。第2切換え弁7は、第2供給管70及び第2排出管71に接続され、第2混合管25で生成された模擬ガスの流路を、第2供給管70と第2排出管71とに切り換える。また、第3切換え弁8は、第3混合管35に接続される。第3切換え弁8は、第3供給管80及び第3排出管81に接続され、第3混合管35で生成された模擬ガスの流路を、第3供給管80と第3排出管81とに切り換える。また、第4切換え弁9は、第4混合管45に接続される。第4切換え弁9は、第4供給管90及び第4排出管91に接続され、第4混合管45で生成された模擬ガスの流路を、第4供給管90と第4排出管91とに切り換える。
【0022】
第1、第2、第3及び第4供給管60,70,80,90は、模擬ガス供給管101に接続される。そして、模擬ガス供給管101は、触媒評価装置などの評価装置500に接続され、模擬ガスは、第1、第2、第3又は第4供給管60,70,80,90を通って、模擬ガス供給管101から評価装置500へ供給される。また、第1、第2、第3及び第4排出管61,71,81,91は、模擬ガス排出管102に接続される。そして、模擬ガス排出管102は、評価装置500に接続されておらず、模擬ガスは、第1、第2、第3又は第4排出管61,71,81,91を通って、模擬ガス排出管102から外部へ排出される。
【0023】
模擬ガス供給装置は、制御部300を備える。制御部300は、流量コントローラーシステム100及び切換え弁システム200を制御する。制御部300は、各流量コントローラー群1,2,3,4を第1時間T1の間隔ごとに予め設定した流量で変化させる。さらに、制御部300は、各切換え弁6,7,8,9を第1時間T1の間隔ごとに切り換える。
【0024】
下記表1及び2に基づいて、制御部300によって制御される流量コントローラーシステム100及び切換え弁システム200の動作について詳しく説明する。
【0025】
【表1】
【0026】
上記表1は、測定対象となる自動車からの排ガスの成分濃度を第2時間T2の間隔で測定し、その測定結果に基づいて、第2時間T2の間隔でシュミレーションする模擬ガスの成分濃度を示す。第2時間T2の間隔は、0.5〜2秒程度が好ましく、本実施形態では「1秒」に設定されている。後述するが、第2時間T2の間隔が等間隔(1秒ごと)なので、第1時間T1は、第2時間T2と流量コントロール群1,2,3,4のライン数(4ライン)とを乗じた値で設定される。上記の通り、本実施形態の模擬ガス供給装置は、4ラインの流量コントロール群1,2,3,4を備えているので、第1時間T1の間隔は、「4秒(=1秒×4ライン)」に設定される。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
上記表2〜表5は、第1時間T1ごとにおける、各流量コントローラー群1,2,3,4からの模擬ガスの各原料ガスの流量を示す。
表2の通り、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を流量コントローラー10〜14によって変化させる。そして、4秒(第1時間T1)ごとに、第1切換え弁6を切り換えて、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを、4秒(第1時間T1)ごとに1秒(第2時間T2)の間、模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送る。表2に示された太枠で囲まれた時間に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0032】
表2の通り、1秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。1秒目を経過後、第1流量コントローラー群1は、5秒目における各原料ガスの流量を設定する。そして、2秒目から5秒目までの間に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスは、模擬ガス排出管102を通じて外部へ排出される。また、2秒目から5秒目までの間に、所定の濃度及び流量に安定した模擬ガスが生成される。そして、5秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。同様に、9秒目、13秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0033】
同様に、表3〜表5の通り、第2〜第4流量コントローラー群2,3,4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を流量コントローラー20〜24,30〜34,40〜44によって変化させる。そして、4秒(第1時間T1)ごとに、第2、第3及び第4切換え弁7,8,9を切り換えて、第2〜第4流量コントローラー群2,3,4からの模擬ガスを、4秒(第1時間T1)ごとに1秒(第2時間T2)の間、模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送る。表3〜表5に示された太枠で囲まれた時間に、第2〜第4流量コントローラー群2,3,4からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0034】
そして、1秒(第2時間T2)ごとに、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、その後、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、その後、第3コントローラー群3からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、その後、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスが評価装置500へ送られる。即ち、1秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、2秒目に、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、3秒目に、第3流量コントローラー群3からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、4秒目に、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、5秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが評価装置500へ送られる。
このように、4秒(第1時間T1)の間に、1秒(第2時間T2)ごとに、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4からの模擬ガスを順番に連続的に模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送る。
【0035】
表2の通り、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスは、1秒目、5秒目、9秒目、13秒目(太枠で囲まれた時間)に、模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送られるが、それ以外の間は、模擬ガス排出管102を介して外部へ排出される。これによって、1秒目と5秒目との間における3秒(第1時間T1−第2時間T2)の間に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させることができる。同様に、3秒(第1時間T1−第2時間T2)の間に、第2、第3及び第4流量コントローラー群2,3,4からの模擬ガスを外部へ排出することで、各原料ガスを所定の濃度及び流量に安定させることができる。これによって、常時、各原料ガスが所定の濃度及び流量で安定した模擬ガスを評価装置500へ送ることができる。
【0036】
【表6】
【0037】
上記表6は、第2時間T2の間隔ごとに、模擬ガスを評価装置500へ送る流量コントローラー群を示す。表6の通り、第1時間T1を1サイクルとして、模擬ガスが、第2時間T2の間隔ごとに、4ラインの流量コントローラー群1,2,3,4から順番に連続的に、評価装置500へ供給される。
【0038】
図2の通り、自動車からの排ガスと模擬ガス供給装置からの模擬ガスとにおいて、各原料ガスの濃度変化が、ほぼ重なり一致していることが理解できる。図2において、例えば、自動車からの排ガスのO2は、「実車O2」と示され、模擬ガス供給装置からの模擬ガスのO2は、単に「O2」と示される。
【0039】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の模擬ガス供給装置を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
第2実施形態では、原料ガス供給部群5は、所定の原料ガスに対して、濃度の高い原料ガス供給部と濃度の低い原料ガス供給部とを備える。本実施形態では、O2ガスについて、100%濃度のO2ガスを有する100%O2ガス供給部と、10%濃度のO2ガスを有する10%02ガス供給部とを備える。また、COガスについて、100%濃度のCOガスを有する100%COガス供給部と、10%濃度のCOガスを有する10%C0ガス供給部とを備える。また、C3H6ガスについて、20%濃度のC3H6ガスを有する20%C3H6ガス供給部と、2%濃度のC3H6ガスを有する2%C3H6ガス供給部とを備える。
【0040】
例えば、O2ガスは、模擬ガス全体に対する0〜21%の濃度の範囲で変化する。そして、O2ガスについて、100%O2ガス供給部だけが備えられている場合に、非常に低い濃度(例えば1%)のO2ガスを供給する必要があるとき、非常に少ない流量のO2ガスが供給されるので、速度が非常に遅く、所定の濃度及び流量に安定するまでに非常に時間がかかる。そこで、100%O2ガス供給部と10%O2ガス供給部とを備え、所定の濃度(例えば2.1%)を設定し、この所定濃度よりも高い場合は、100%O2ガス供給部からO2ガスを供給し、所定濃度よりも低い場合は、10%O2ガス供給部からO2ガスを供給する。これにより、濃度が低い場合でも、比較的多くの流量のO2ガスを供給できるので、速度が速く、短時間で所定の濃度及び流量に安定できる。例えば、上記の所定濃度は、濃度範囲の最大値の10%で設定される。
【0041】
下記表7〜表10は、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4によって調整される各原料ガス供給部からの原料ガスの流量を示す。そして、表7〜表10に示された太枠で囲まれた時間に、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
[第3実施形態]
次に第3実施形態の模擬ガス供給装置を説明する。なお、第1及び第2実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0047】
【表11】
【0048】
上記表11は、測定対象となる自動車からの排ガスの成分濃度を第2時間T2の間隔で測定し、その測定結果に基づいて、第2時間T2の間隔でシュミレーションする模擬ガスの成分濃度を示す。上記表11の通り、1秒目〜13秒目の間は、模擬ガスの成分濃度が変化するので、上記第1実施形態と同様に、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4に対応する切換え弁6,7,8,9を順番に切換えて、模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。そして、14秒目〜32秒目の間、模擬ガスの成分濃度は変化しないので、第1〜第4流量コントローラー群からの模擬ガスを順番に送る必要がなく、その結果、1つの第2流量コントローラー群2からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。そして、33秒目以降は、模擬ガスの成分濃度が変化するので、上記第1実施形態と同様に、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4に対応する切換え弁6,7,8,9を順番に切換えて、模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。
【0049】
【表12】
【0050】
上記表12の通り、第1流量コントローラー群1は、1秒目〜13秒目の間、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、第1流量コントローラー群1は、14秒目〜31秒目の間、流量コントローラー10〜14によって各原料ガスの流量を0にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第1流量コントローラー群1が模擬ガスを供給する必要のある13秒目を経過した後、第1流量コントローラー群1は、各原料ガスの流量を0(少量でもよい)にする。
【0051】
そして、32秒目以降、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、35秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、35秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である32秒目から、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、32秒目〜34秒目の間(3秒間)に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0052】
【表13】
【0053】
上記表13の通り、1秒目〜10秒目の間、第2流量コントローラー群2は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、11秒目〜32秒目の間、第2流量コントローラー群2は、流量コントローラー20〜24によって各原料ガスの流量を一定にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第2流量コントローラー群2が模擬ガスを供給する必要のある10秒目を経過した後、第2流量コントローラー群2は、各原料ガスの流量を一定にする。
【0054】
そして、33秒目以降、第2流量コントローラー群2は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、36秒目に、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、36秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である33秒目から、第2流量コントローラー群2は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、33秒目〜35秒目の間(3秒間)に、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0055】
【表14】
【0056】
上記表14の通り、1秒目〜11秒目の間、第3流量コントローラー群3は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、12秒目〜29秒目の間、第3流量コントローラー群3は、流量コントローラー30〜34によって各原料ガスの流量を0にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第3流量コントローラー群3が模擬ガスを供給する必要のある11秒目を経過した後、第1流量コントローラー群1は、各原料ガスの流量を0にする。
【0057】
そして、30秒目以降、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、33秒目に、第3流量コントローラー群3からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、33秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である30秒目から、第3流量コントローラー群3は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、30秒目〜32秒目の間(3秒間)に、第3流量コントローラー群3からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0058】
【表15】
【0059】
上記表15の通り、1秒目〜12秒目の間、第4流量コントローラー群4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、13秒目〜30秒目の間、第4流量コントローラー群4は、流量コントローラー40〜44によって各原料ガスの流量を0にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第4流量コントローラー群4が模擬ガスを供給する必要のある12秒目を経過した後、第4流量コントローラー群4は、各原料ガスの流量を0にする。
【0060】
そして、31秒目以降、第4流量コントローラー群4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、34秒目に、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、34秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である31秒目から、第4流量コントローラー群4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、31秒目〜33秒目の間(3秒間)に、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0061】
上記の通り、第2時間T2より長い所定時間の間、模擬ガスの成分濃度を変化しない場合、各流量コントローラー群からの模擬ガスを順番に送る必要がなく、1つの所定の流量コントローラー群からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。そして、その所定時間が経過する第1時間T1前まで、所定の流量コントローラー群以外の流量コントローラー群からの模擬ガスの流量を0又は少量とする。これによって、原料ガスの消費を最小限に抑えることができる。
【0062】
[他の実施形態]
流量コントローラーシステム100における流量コントローラー群及び切換え弁システム200における切換え弁のライン数(上記実施形態では4ライン)は、各原料ガスの流量、制御部から流量コントローラーシステム及び切換え弁システムまでの応答速度、原料ガス供給部の数、第2時間T2の間隔などによって決定される。例えば、各原料ガスの流量が少ない場合、速度が遅く、所定の濃度及び流量に達するまでの時間が長くなるので、上記ライン数を多くする必要がある。また、各原料ガスの数が多くなると、干渉する要因が増え、さらに、混合管までの距離も長くなり、管の内容積が増え、所定の濃度及び流量に達するまでの時間が長くなるので、上記ライン数を多くする必要がある。
【0063】
なお、第2時間T2の間隔は、等間隔で設定しなくてもよい。この場合、第1時間T1は、各ラインごとの第2時間T2を合計した値となる。また、長時間模擬ガス濃度を変化させる必要が無い場合には、模擬排ガス供給管へ供給している流量コントローラー群の第2時間T2間隔を長く設定し、他の流量コントローラー群の原料ガス流量を0もしくは少流量にすることにより、原料ガス消費を低減することができる。
また、原料ガスの流量が少ない場合、通常の管の内容積では、速度が遅くなり、所定の濃度まで混合するのに時間がかかるので、通常よりも極力小さな管の内容積として、速度をできるだけ速くすることが好ましい。また、各原料ガスを混合する混合管の代わりに、各原料ガスを導入して混合する混合チャンバーでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 第1流量コントローラー群
2 第2流量コントローラー群
3 第3流量コントローラー群
4 第4流量コントローラー群
5 原料ガス供給部群
6 第1切換え弁
7 第2切換え弁
8 第3切換え弁
9 第4切換え弁
10〜14 第1流量コントローラー群の流量コントローラー
20〜24 第2流量コントローラー群の流量コントローラー
30〜34 第3流量コントローラー群の流量コントローラー
40〜44 第4流量コントローラー群の流量コントローラー
50〜54 原料ガス供給部
100 流量コントローラーシステム
200 切換え弁システム
300 制御部
500 評価装置
101 模擬ガス供給管
102 模擬ガス排出管
T1 第1時間
T2 第2時間
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の排気管などに設けられる触媒やセンサを評価するための模擬ガスを供給する模擬ガス供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンに連なる排気管などに設けられる触媒やセンサを評価する場合、エンジンからの排ガスの成分濃度を予め測定して、同様の成分を含む模擬ガスを生成し、この模擬ガスを使って評価する。例えば、CO、CO2、NO、NO2、HC、N2の各ボンベを流量制御することによって、模擬ガスの組成や流量を設定し、水分添加及び加熱することによって、自動車からの排ガスと同等の模擬ガスを生成し、この模擬ガスを評価対象となる触媒の入ったガスセルに導入し、触媒を通過する前後のガス濃度を計測して、触媒の浄化性能を評価している。
【0003】
ところで、NOX吸蔵還元触媒は、流入する排ガスの空燃比がリーンのときにNOXを捕捉(吸蔵)する一方、流入する排ガスの空燃比がリッチのときに捕捉したNOXを還元する。そして、NOX吸蔵還元触媒を備えた内燃機関は、リーン制御走行により触媒の排ガス浄化性能が低下した場合に、運転状態を空燃比がリッチとなるように切り替えることによって、排ガス中のNOXを浄化している(特許文献1参照)。このように、NOX吸蔵還元触媒を備えた内燃機関では、リーンと、ストイキ又はリッチとの切り替えが最適に制御されることによって、排ガス中のNOXの低減が図られている。また、排ガス濃度をセンサで測定することによって、リーン、ストイキ、リッチの状態を確認しており、排ガス中のNOXが触媒で適正に浄化されているかをNOXセンサで確認している。
【0004】
一方、自動車排出ガス規制において、試験モードが定められており、例えば、日本のJC08モードや、米国のLA4モード等の試験モードがよく知られている。そして、排ガスの測定試験を行う際、自動車をシャシ・ダイナモメータ上に載せて、規定の試験モードで走行させて、試験期間中における排ガス中の大気汚染物質の量を所定の測定法に基づいて測定する。この大気汚染物質は、ガス分析装置によって測定される。また、走行燃費も測定される。そして、近年では、自動車排出ガス規制や燃費基準が強化されているので、試験モードで走行するときの排ガスの変化と同じように模擬ガスを変化させて、触媒評価試験を行うことが要望されている。
【0005】
従来の触媒及びセンサの評価試験の方法では、定常的に供給される模擬ガスにリッチ成分又はリーン成分を添加することによって模擬ガスを変化させていた(特許文献2参照)。そのため、定常の模擬ガスやリッチ成分及びリーン成分の濃度を変更するには、各原料ガスの流量を変化する必要がある。しかし、原料ガスの流量を変化すると、配管内の圧力が変化するので、他の原料ガスの流量に影響を与える。即ち、複数の原料ガスの流量が互いに干渉して、模擬ガス濃度を変化させる際に、各原料ガスの流量が安定するまで数秒程度の時間がかかる。また、各原料ガスの設定濃度によって、各原料ガスの流量や流量変化率(バルブ開度)が異なるので、各原料ガスの流量が安定するまでの時間が異なり、自動車からの排ガス成分を精度よくシミュレーションできない。さらに、各原料ガスの流量を変化する際に、模擬ガスの流量が揺らいでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−240429号公報
【特許文献2】特許第4194581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、自動車からの排ガスの濃度変化を精度よくシミュレーションして、排ガスの濃度変化に正確に連動する模擬ガスを供給できる模擬ガス供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る模擬ガス供給装置は、
原料ガスを供給する原料ガス供給部を有し、複数の原料ガス供給部を集合してなる原料ガス供給部群と、
各原料ガス供給部に対応して設けられ、各原料ガスの流量を調節する流量コントローラーを有し、複数の流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群と、
複数の流量コントローラー群を集合してなる流量コントローラーシステムと、
各流量コントローラー群で生成される模擬ガスを評価装置に供給する模擬ガス供給管と、
各流量コントローラー群で生成される模擬ガスを評価装置に供給せずに排出する模擬ガス排出管と、
各流量コントローラー群に対応して設けられ、各流量コントローラー群で生成される模擬ガスの流路を模擬ガス供給管と模擬ガス排出管とに切り換える切換え弁を有し、複数の切換え弁を集合してなる切換え弁システムと、
流量コントローラーシステム及び切換え弁システムを制御するための制御部とを備え、
制御部は、
各流量コントローラー群を第1時間間隔ごとに予め設定した流量で変化させ、さらに、各切換え弁を第1時間間隔ごとに切り換えることで、第1時間間隔の間に、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔ごとに、各流量コントローラー群からの模擬ガスを所定の順番で連続的に模擬ガス供給管に送る。
【0009】
好ましくは、
第2時間間隔は、それぞれが等間隔の時間で設定されており、
第1時間間隔は、第2時間間隔に流量コントローラー群の数を乗じた値で設定される。
【0010】
好ましくは、
原料ガス供給部群は、
所定の原料ガスに対して、濃度の高い原料ガス供給部と濃度の低い原料ガス供給部とを備えており、
制御部は、
生成する模擬ガスにおける所定の原料ガスの濃度が所定濃度より高い場合は、濃度の高い原料ガス供給部から原料ガスを供給し、
生成する模擬ガスにおける所定の原料ガスの濃度が所定濃度より低い場合は、濃度の低い原料ガス供給部から原料ガスを供給する。
【0011】
好ましくは、
制御部は、
所定時間の間、模擬ガスにおける各原料ガスの濃度を変化せず、その後に、各原料ガスの濃度を変化する場合、
所定時間の間、所定の流量コントローラー群からの一定濃度の模擬ガスを模擬ガス供給管に送り、
所定時間が経過する第1時間前まで、所定の流量コントローラー群以外の流量コントローラー群からの模擬ガスの流量を0又は少量とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る模擬ガス供給装置は、各原料ガスの流量を調整する複数の流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群と、複数の流量コントローラー群を集合してなる流量コントローラーシステムと、各流量コントローラー群で生成される模擬ガスの流路を模擬ガス供給管と模擬ガス排出管とに切り換える切換え弁システムと、切換え弁システム及び流量コントローラーシステムを制御する制御部とを備える。
【0013】
そして、制御部は、各流量コントローラー群を第1時間間隔ごとに予め設定した流量で変化させる。第1時間間隔は、各流量コントローラー群からの模擬ガスが所定の濃度及び流量に安定するのに必要な時間が設定される。従って、第1時間間隔の間に、各流量コントローラー群からの模擬ガスは、所定の濃度及び流量で安定する。
【0014】
さらに、制御部は、各切換え弁を第1時間間隔ごとに切り換えることで、第1時間間隔の間に、第1時間間隔よりも短い第2時間間隔ごとに、各流量コントローラー群からの模擬ガスを所定の順番で連続的に模擬ガス供給管に送る。これによって、第1時間間隔の間に安定した各流量コントローラー群からの模擬ガスを連続的に模擬ガス供給管に送ることができるので、設定された濃度及び流量の模擬ガスを正確に評価装置(触媒評価装置、センサ評価装置など)に送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る模擬ガス供給装置の構成を示す図。
【図2】自動車からの排ガスと模擬ガス供給装置からの模擬ガスとについて、各原料ガス濃度の変化と経過時間との関係を示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る模擬ガス供給装置を説明する。
【0017】
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態の模擬ガス供給装置を説明する。
図1の通り、模擬ガス供給装置は、原料ガス供給部群5を備える。原料ガス供給部群5は、N2ボンベからなるN2ガス供給部50、O2ボンベからなるO2ガス供給部51、CO2ボンベからなるCO2ガス供給部52、COボンベからなるCOガス供給部53、C3H6ボンベからなるC3H6ガス供給部54を集合してなる。そして、N2ガス供給部50はN2ガスを供給し、O2ガス供給部51はO2ガスを供給し、CO2ガス供給部52はCO2ガスを供給し、COガス供給部53はCOガスを供給し、C3H6ガス供給部54はC3H6を供給する。N2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスは、模擬ガスを生成するための原料ガスとなる。
【0018】
模擬ガス供給装置は、流量コントローラーシステム100を備える。流量コントローラーシステム100は、第1流量コントローラー群1、第2流量コントローラー群2、第3流量コントローラー群3及び第4流量コントローラー群4を集合してなる。そして、第1流量コントローラー群1は、5つの流量コントローラー(マスフローコントローラー)10〜14を集合してなる。また、第2流量コントローラー群2は、5つの流量コントローラー20〜24を集合してなる。また、第3流量コントローラー群3は、5つの流量コントローラー30〜34を集合してなる。また、第4流量コントローラー群2は、5つの流量コントローラー40〜44を集合してなる。
【0019】
流量コントローラー10,20,30,40は、N2ガス供給部50に接続され、N2ガス供給部50から供給されるN2ガスの流量を調整する。流量コントローラー11,21,31,41は、O2ガス供給部51に接続され、O2ガス供給部51から供給されるO2ガスの流量を調整する。流量コントローラー12,22,32,42は、CO2ガス供給部52に接続され、CO2供給部52から供給されるCO2ガスの流量を調整する。流量コントローラー13,23,33,43は、COガス供給部53に接続され、COガス供給部53から供給されるCOガスの流量を調整する。また、流量コントローラー14,24,34,44は、C3H6ガス供給部54に接続され、C3H6ガス供給部54から供給されるC3H6ガスの流量を調整する。
【0020】
第1流量コントローラー群1の流量コントローラー10〜14は、出口側に第1混合管15に接続されている。そして、第1流量コントローラー群1によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第1混合管15で混合され、模擬ガスが生成される。また、第2流量コントローラー群2の流量コントローラー20〜24は、出口側で第2混合管25に接続されている。そして、第2流量コントローラー群2によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第2混合管25で混合され、模擬ガスが生成される。また、第3流量コントローラー群3の流量コントローラー30〜34は、第3混合管35に接続されている。そして、第3流量コントローラー群3によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第3混合管35で混合され、模擬ガスが生成される。また、第4流量コントローラー群4の流量コントローラー40〜44は、第4混合管45に接続されている。そして、第4流量コントローラー群4によって流量を調整されたN2ガス、O2ガス、CO2ガス、COガス及びC3H6ガスが、第4混合管45で混合され、模擬ガスが生成される。
【0021】
模擬ガス供給装置は、切換え弁システム200を備える。切換え弁システム200は、第1切換え弁6、第2切換え弁7、第3切換え弁8及び第4切換え弁9を集合してなる。
そして、第1切換え弁6は、第1混合管15に接続される。第1切換え弁6は、第1供給管60及び第1排出管61に接続され、第1混合管15で生成された模擬ガスの流路を、第1供給管60と第1排出管61とに切り換える。また、第2切換え弁7は、第2混合管25に接続される。第2切換え弁7は、第2供給管70及び第2排出管71に接続され、第2混合管25で生成された模擬ガスの流路を、第2供給管70と第2排出管71とに切り換える。また、第3切換え弁8は、第3混合管35に接続される。第3切換え弁8は、第3供給管80及び第3排出管81に接続され、第3混合管35で生成された模擬ガスの流路を、第3供給管80と第3排出管81とに切り換える。また、第4切換え弁9は、第4混合管45に接続される。第4切換え弁9は、第4供給管90及び第4排出管91に接続され、第4混合管45で生成された模擬ガスの流路を、第4供給管90と第4排出管91とに切り換える。
【0022】
第1、第2、第3及び第4供給管60,70,80,90は、模擬ガス供給管101に接続される。そして、模擬ガス供給管101は、触媒評価装置などの評価装置500に接続され、模擬ガスは、第1、第2、第3又は第4供給管60,70,80,90を通って、模擬ガス供給管101から評価装置500へ供給される。また、第1、第2、第3及び第4排出管61,71,81,91は、模擬ガス排出管102に接続される。そして、模擬ガス排出管102は、評価装置500に接続されておらず、模擬ガスは、第1、第2、第3又は第4排出管61,71,81,91を通って、模擬ガス排出管102から外部へ排出される。
【0023】
模擬ガス供給装置は、制御部300を備える。制御部300は、流量コントローラーシステム100及び切換え弁システム200を制御する。制御部300は、各流量コントローラー群1,2,3,4を第1時間T1の間隔ごとに予め設定した流量で変化させる。さらに、制御部300は、各切換え弁6,7,8,9を第1時間T1の間隔ごとに切り換える。
【0024】
下記表1及び2に基づいて、制御部300によって制御される流量コントローラーシステム100及び切換え弁システム200の動作について詳しく説明する。
【0025】
【表1】
【0026】
上記表1は、測定対象となる自動車からの排ガスの成分濃度を第2時間T2の間隔で測定し、その測定結果に基づいて、第2時間T2の間隔でシュミレーションする模擬ガスの成分濃度を示す。第2時間T2の間隔は、0.5〜2秒程度が好ましく、本実施形態では「1秒」に設定されている。後述するが、第2時間T2の間隔が等間隔(1秒ごと)なので、第1時間T1は、第2時間T2と流量コントロール群1,2,3,4のライン数(4ライン)とを乗じた値で設定される。上記の通り、本実施形態の模擬ガス供給装置は、4ラインの流量コントロール群1,2,3,4を備えているので、第1時間T1の間隔は、「4秒(=1秒×4ライン)」に設定される。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
上記表2〜表5は、第1時間T1ごとにおける、各流量コントローラー群1,2,3,4からの模擬ガスの各原料ガスの流量を示す。
表2の通り、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を流量コントローラー10〜14によって変化させる。そして、4秒(第1時間T1)ごとに、第1切換え弁6を切り換えて、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを、4秒(第1時間T1)ごとに1秒(第2時間T2)の間、模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送る。表2に示された太枠で囲まれた時間に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0032】
表2の通り、1秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。1秒目を経過後、第1流量コントローラー群1は、5秒目における各原料ガスの流量を設定する。そして、2秒目から5秒目までの間に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスは、模擬ガス排出管102を通じて外部へ排出される。また、2秒目から5秒目までの間に、所定の濃度及び流量に安定した模擬ガスが生成される。そして、5秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。同様に、9秒目、13秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0033】
同様に、表3〜表5の通り、第2〜第4流量コントローラー群2,3,4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を流量コントローラー20〜24,30〜34,40〜44によって変化させる。そして、4秒(第1時間T1)ごとに、第2、第3及び第4切換え弁7,8,9を切り換えて、第2〜第4流量コントローラー群2,3,4からの模擬ガスを、4秒(第1時間T1)ごとに1秒(第2時間T2)の間、模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送る。表3〜表5に示された太枠で囲まれた時間に、第2〜第4流量コントローラー群2,3,4からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0034】
そして、1秒(第2時間T2)ごとに、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、その後、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、その後、第3コントローラー群3からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、その後、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスが評価装置500へ送られる。即ち、1秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、2秒目に、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、3秒目に、第3流量コントローラー群3からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、4秒目に、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスが評価装置500へ送られ、5秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスが評価装置500へ送られる。
このように、4秒(第1時間T1)の間に、1秒(第2時間T2)ごとに、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4からの模擬ガスを順番に連続的に模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送る。
【0035】
表2の通り、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスは、1秒目、5秒目、9秒目、13秒目(太枠で囲まれた時間)に、模擬ガス供給管101を介して評価装置500へ送られるが、それ以外の間は、模擬ガス排出管102を介して外部へ排出される。これによって、1秒目と5秒目との間における3秒(第1時間T1−第2時間T2)の間に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させることができる。同様に、3秒(第1時間T1−第2時間T2)の間に、第2、第3及び第4流量コントローラー群2,3,4からの模擬ガスを外部へ排出することで、各原料ガスを所定の濃度及び流量に安定させることができる。これによって、常時、各原料ガスが所定の濃度及び流量で安定した模擬ガスを評価装置500へ送ることができる。
【0036】
【表6】
【0037】
上記表6は、第2時間T2の間隔ごとに、模擬ガスを評価装置500へ送る流量コントローラー群を示す。表6の通り、第1時間T1を1サイクルとして、模擬ガスが、第2時間T2の間隔ごとに、4ラインの流量コントローラー群1,2,3,4から順番に連続的に、評価装置500へ供給される。
【0038】
図2の通り、自動車からの排ガスと模擬ガス供給装置からの模擬ガスとにおいて、各原料ガスの濃度変化が、ほぼ重なり一致していることが理解できる。図2において、例えば、自動車からの排ガスのO2は、「実車O2」と示され、模擬ガス供給装置からの模擬ガスのO2は、単に「O2」と示される。
【0039】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の模擬ガス供給装置を説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
第2実施形態では、原料ガス供給部群5は、所定の原料ガスに対して、濃度の高い原料ガス供給部と濃度の低い原料ガス供給部とを備える。本実施形態では、O2ガスについて、100%濃度のO2ガスを有する100%O2ガス供給部と、10%濃度のO2ガスを有する10%02ガス供給部とを備える。また、COガスについて、100%濃度のCOガスを有する100%COガス供給部と、10%濃度のCOガスを有する10%C0ガス供給部とを備える。また、C3H6ガスについて、20%濃度のC3H6ガスを有する20%C3H6ガス供給部と、2%濃度のC3H6ガスを有する2%C3H6ガス供給部とを備える。
【0040】
例えば、O2ガスは、模擬ガス全体に対する0〜21%の濃度の範囲で変化する。そして、O2ガスについて、100%O2ガス供給部だけが備えられている場合に、非常に低い濃度(例えば1%)のO2ガスを供給する必要があるとき、非常に少ない流量のO2ガスが供給されるので、速度が非常に遅く、所定の濃度及び流量に安定するまでに非常に時間がかかる。そこで、100%O2ガス供給部と10%O2ガス供給部とを備え、所定の濃度(例えば2.1%)を設定し、この所定濃度よりも高い場合は、100%O2ガス供給部からO2ガスを供給し、所定濃度よりも低い場合は、10%O2ガス供給部からO2ガスを供給する。これにより、濃度が低い場合でも、比較的多くの流量のO2ガスを供給できるので、速度が速く、短時間で所定の濃度及び流量に安定できる。例えば、上記の所定濃度は、濃度範囲の最大値の10%で設定される。
【0041】
下記表7〜表10は、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4によって調整される各原料ガス供給部からの原料ガスの流量を示す。そして、表7〜表10に示された太枠で囲まれた時間に、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4からの模擬ガスが、評価装置500へ送られる。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
【表9】
【0045】
【表10】
【0046】
[第3実施形態]
次に第3実施形態の模擬ガス供給装置を説明する。なお、第1及び第2実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0047】
【表11】
【0048】
上記表11は、測定対象となる自動車からの排ガスの成分濃度を第2時間T2の間隔で測定し、その測定結果に基づいて、第2時間T2の間隔でシュミレーションする模擬ガスの成分濃度を示す。上記表11の通り、1秒目〜13秒目の間は、模擬ガスの成分濃度が変化するので、上記第1実施形態と同様に、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4に対応する切換え弁6,7,8,9を順番に切換えて、模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。そして、14秒目〜32秒目の間、模擬ガスの成分濃度は変化しないので、第1〜第4流量コントローラー群からの模擬ガスを順番に送る必要がなく、その結果、1つの第2流量コントローラー群2からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。そして、33秒目以降は、模擬ガスの成分濃度が変化するので、上記第1実施形態と同様に、第1〜第4流量コントローラー群1,2,3,4に対応する切換え弁6,7,8,9を順番に切換えて、模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。
【0049】
【表12】
【0050】
上記表12の通り、第1流量コントローラー群1は、1秒目〜13秒目の間、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、第1流量コントローラー群1は、14秒目〜31秒目の間、流量コントローラー10〜14によって各原料ガスの流量を0にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第1流量コントローラー群1が模擬ガスを供給する必要のある13秒目を経過した後、第1流量コントローラー群1は、各原料ガスの流量を0(少量でもよい)にする。
【0051】
そして、32秒目以降、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、35秒目に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、35秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である32秒目から、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、32秒目〜34秒目の間(3秒間)に、第1流量コントローラー群1からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0052】
【表13】
【0053】
上記表13の通り、1秒目〜10秒目の間、第2流量コントローラー群2は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、11秒目〜32秒目の間、第2流量コントローラー群2は、流量コントローラー20〜24によって各原料ガスの流量を一定にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第2流量コントローラー群2が模擬ガスを供給する必要のある10秒目を経過した後、第2流量コントローラー群2は、各原料ガスの流量を一定にする。
【0054】
そして、33秒目以降、第2流量コントローラー群2は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、36秒目に、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、36秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である33秒目から、第2流量コントローラー群2は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、33秒目〜35秒目の間(3秒間)に、第2流量コントローラー群2からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0055】
【表14】
【0056】
上記表14の通り、1秒目〜11秒目の間、第3流量コントローラー群3は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、12秒目〜29秒目の間、第3流量コントローラー群3は、流量コントローラー30〜34によって各原料ガスの流量を0にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第3流量コントローラー群3が模擬ガスを供給する必要のある11秒目を経過した後、第1流量コントローラー群1は、各原料ガスの流量を0にする。
【0057】
そして、30秒目以降、第1流量コントローラー群1は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、33秒目に、第3流量コントローラー群3からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、33秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である30秒目から、第3流量コントローラー群3は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、30秒目〜32秒目の間(3秒間)に、第3流量コントローラー群3からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0058】
【表15】
【0059】
上記表15の通り、1秒目〜12秒目の間、第4流量コントローラー群4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。そして、13秒目〜30秒目の間、第4流量コントローラー群4は、流量コントローラー40〜44によって各原料ガスの流量を0にする。上記表11の通り、14秒目から所定時間の間は、各原料ガスの濃度を変化する必要がないので、その直前における第4流量コントローラー群4が模擬ガスを供給する必要のある12秒目を経過した後、第4流量コントローラー群4は、各原料ガスの流量を0にする。
【0060】
そして、31秒目以降、第4流量コントローラー群4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。上記表11の通り、34秒目に、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送るので、34秒目の3秒(第1時間T1−第2時間T2)前である31秒目から、第4流量コントローラー群4は、4秒(第1時間T1)ごとに、各原料ガスの濃度を変化させる。これにより、31秒目〜33秒目の間(3秒間)に、第4流量コントローラー群4からの模擬ガスを外部へ排出することで、所定の濃度及び流量に安定させる。
【0061】
上記の通り、第2時間T2より長い所定時間の間、模擬ガスの成分濃度を変化しない場合、各流量コントローラー群からの模擬ガスを順番に送る必要がなく、1つの所定の流量コントローラー群からの模擬ガスを模擬ガス供給管101に送る。そして、その所定時間が経過する第1時間T1前まで、所定の流量コントローラー群以外の流量コントローラー群からの模擬ガスの流量を0又は少量とする。これによって、原料ガスの消費を最小限に抑えることができる。
【0062】
[他の実施形態]
流量コントローラーシステム100における流量コントローラー群及び切換え弁システム200における切換え弁のライン数(上記実施形態では4ライン)は、各原料ガスの流量、制御部から流量コントローラーシステム及び切換え弁システムまでの応答速度、原料ガス供給部の数、第2時間T2の間隔などによって決定される。例えば、各原料ガスの流量が少ない場合、速度が遅く、所定の濃度及び流量に達するまでの時間が長くなるので、上記ライン数を多くする必要がある。また、各原料ガスの数が多くなると、干渉する要因が増え、さらに、混合管までの距離も長くなり、管の内容積が増え、所定の濃度及び流量に達するまでの時間が長くなるので、上記ライン数を多くする必要がある。
【0063】
なお、第2時間T2の間隔は、等間隔で設定しなくてもよい。この場合、第1時間T1は、各ラインごとの第2時間T2を合計した値となる。また、長時間模擬ガス濃度を変化させる必要が無い場合には、模擬排ガス供給管へ供給している流量コントローラー群の第2時間T2間隔を長く設定し、他の流量コントローラー群の原料ガス流量を0もしくは少流量にすることにより、原料ガス消費を低減することができる。
また、原料ガスの流量が少ない場合、通常の管の内容積では、速度が遅くなり、所定の濃度まで混合するのに時間がかかるので、通常よりも極力小さな管の内容積として、速度をできるだけ速くすることが好ましい。また、各原料ガスを混合する混合管の代わりに、各原料ガスを導入して混合する混合チャンバーでもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 第1流量コントローラー群
2 第2流量コントローラー群
3 第3流量コントローラー群
4 第4流量コントローラー群
5 原料ガス供給部群
6 第1切換え弁
7 第2切換え弁
8 第3切換え弁
9 第4切換え弁
10〜14 第1流量コントローラー群の流量コントローラー
20〜24 第2流量コントローラー群の流量コントローラー
30〜34 第3流量コントローラー群の流量コントローラー
40〜44 第4流量コントローラー群の流量コントローラー
50〜54 原料ガス供給部
100 流量コントローラーシステム
200 切換え弁システム
300 制御部
500 評価装置
101 模擬ガス供給管
102 模擬ガス排出管
T1 第1時間
T2 第2時間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスを供給する原料ガス供給部を有し、複数の前記原料ガス供給部を集合してなる原料ガス供給部群と、
前記各原料ガス供給部に対応して設けられ、前記各原料ガスの流量を調節する流量コントローラーを有し、複数の前記流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群と、
複数の前記流量コントローラー群を集合してなる流量コントローラーシステムと、
前記各流量コントローラー群で生成される前記模擬ガスを評価装置に供給する模擬ガス供給管と、
前記各流量コントローラー群で生成される前記模擬ガスを前記評価装置に供給せずに排出する模擬ガス排出管と、
前記各流量コントローラー群に対応して設けられ、前記各流量コントローラー群で生成される前記模擬ガスの流路を前記模擬ガス供給管と前記模擬ガス排出管とに切り換える切換え弁を有し、複数の前記切換え弁を集合してなる切換え弁システムと、
前記流量コントローラーシステム及び前記切換え弁システムを制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記各流量コントローラー群を第1時間間隔ごとに予め設定した流量で変化させ、さらに、前記各切換え弁を前記第1時間間隔ごとに切り換えることで、前記第1時間間隔の間に、前記第1時間間隔よりも短い前記第2時間間隔ごとに、前記各流量コントローラー群からの前記模擬ガスを所定の順番で連続的に前記模擬ガス供給管に送ることを特徴とする模擬ガス供給装置。
【請求項2】
前記第2時間間隔は、それぞれが等間隔の時間で設定されており、
前記第1時間間隔は、前記第2時間間隔に前記流量コントローラー群の数を乗じた値で設定されることを特徴とする請求項1に記載の模擬ガス供給装置。
【請求項3】
前記原料ガス供給部群は、
所定の前記原料ガスに対して、濃度の高い前記原料ガス供給部と濃度の低い前記原料ガス供給部とを備えており、
前記制御部は、
生成する前記模擬ガスにおける前記所定の原料ガスの濃度が所定濃度より高い場合は、前記濃度の高い原料ガス供給部から前記原料ガスを供給し、
生成する前記模擬ガスにおける前記所定の原料ガスの濃度が前記所定濃度より低い場合は、前記濃度の低い原料ガス供給部から前記原料ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の模擬ガス供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、
所定時間の間、前記模擬ガスにおける前記各原料ガスの濃度を変化せず、その後に、前記各原料ガスの濃度を変化する場合、
前記所定時間の間、所定の前記流量コントローラー群からの一定濃度の前記模擬ガスを前記模擬ガス供給管に送り、
前記所定時間が経過する前記第1時間前まで、前記所定の流量コントローラー群以外の前記流量コントローラー群からの前記模擬ガスの流量を0又は少量とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の模擬ガス供給装置。
【請求項1】
原料ガスを供給する原料ガス供給部を有し、複数の前記原料ガス供給部を集合してなる原料ガス供給部群と、
前記各原料ガス供給部に対応して設けられ、前記各原料ガスの流量を調節する流量コントローラーを有し、複数の前記流量コントローラーを集合してなる流量コントローラー群と、
複数の前記流量コントローラー群を集合してなる流量コントローラーシステムと、
前記各流量コントローラー群で生成される前記模擬ガスを評価装置に供給する模擬ガス供給管と、
前記各流量コントローラー群で生成される前記模擬ガスを前記評価装置に供給せずに排出する模擬ガス排出管と、
前記各流量コントローラー群に対応して設けられ、前記各流量コントローラー群で生成される前記模擬ガスの流路を前記模擬ガス供給管と前記模擬ガス排出管とに切り換える切換え弁を有し、複数の前記切換え弁を集合してなる切換え弁システムと、
前記流量コントローラーシステム及び前記切換え弁システムを制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記各流量コントローラー群を第1時間間隔ごとに予め設定した流量で変化させ、さらに、前記各切換え弁を前記第1時間間隔ごとに切り換えることで、前記第1時間間隔の間に、前記第1時間間隔よりも短い前記第2時間間隔ごとに、前記各流量コントローラー群からの前記模擬ガスを所定の順番で連続的に前記模擬ガス供給管に送ることを特徴とする模擬ガス供給装置。
【請求項2】
前記第2時間間隔は、それぞれが等間隔の時間で設定されており、
前記第1時間間隔は、前記第2時間間隔に前記流量コントローラー群の数を乗じた値で設定されることを特徴とする請求項1に記載の模擬ガス供給装置。
【請求項3】
前記原料ガス供給部群は、
所定の前記原料ガスに対して、濃度の高い前記原料ガス供給部と濃度の低い前記原料ガス供給部とを備えており、
前記制御部は、
生成する前記模擬ガスにおける前記所定の原料ガスの濃度が所定濃度より高い場合は、前記濃度の高い原料ガス供給部から前記原料ガスを供給し、
生成する前記模擬ガスにおける前記所定の原料ガスの濃度が前記所定濃度より低い場合は、前記濃度の低い原料ガス供給部から前記原料ガスを供給することを特徴とする請求項1又は2に記載の模擬ガス供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、
所定時間の間、前記模擬ガスにおける前記各原料ガスの濃度を変化せず、その後に、前記各原料ガスの濃度を変化する場合、
前記所定時間の間、所定の前記流量コントローラー群からの一定濃度の前記模擬ガスを前記模擬ガス供給管に送り、
前記所定時間が経過する前記第1時間前まで、前記所定の流量コントローラー群以外の前記流量コントローラー群からの前記模擬ガスの流量を0又は少量とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の模擬ガス供給装置。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2013−87689(P2013−87689A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228767(P2011−228767)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【特許番号】特許第4934754号(P4934754)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(594207610)株式会社ベスト測器 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【特許番号】特許第4934754号(P4934754)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(594207610)株式会社ベスト測器 (13)
【Fターム(参考)】
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