説明

模様が付けられた感光体外側層を製造する方法およびシステム

【課題】クリーニングブレードとの摩擦を小さくし、画質および性能を高めた電子写真式画像形成体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】画像形成体を外側層配合物でコーティングし、その外側層配合物を周囲条件で乾燥させ、画像形成体の上に外側層を作成する。その後表面に模様をもつ剛性の棒を画像形成体の上の外側層に押し付け、剛性の棒を回転させ、外側層の表面にインプリント加工された表面の模様を作成する。その画像形成体を硬化させ、インプリント加工された画像形成体を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示されている実施形態は、一般的に、電子写真式(デジタルを含む)装置で使用するための画像形成装置の部材および要素に有用な層に関する。より特定的には、本実施形態は、クリーニングブレードとの摩擦を小さくし、画質および性能を高めるために、表面にインプリント加工された模様をもつ外側層を備える、改良された電子写真式画像形成体に関する。また、本実施形態は、改良された電子写真式画像形成体を製造する方法およびシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
多層感光体または多層画像形成体は、少なくとも2つの層を有しており、基材と、導電層と、任意要素のアンダーコート層(「電荷遮蔽層」または「正孔遮蔽層」と呼ばれることがある)と、任意要素の接着層と、光発生層(「電荷生成層」、「電荷を生成する層」または「電荷発生剤の層」と呼ばれることがある)と、電荷輸送層と、任意要素のオーバーコーティング層とを、可とう性ベルト形態または剛性のドラム構造のいずれかの状態で備えていてもよい。多層構造の場合、感光体の活性層は、電荷発生層(CGL)および電荷輸送層(CTL)である。これらの層を通過する電荷の輸送量が増えると、良好な感光体性能が得られる。多層可とう性感光体は、感光体を望ましい平坦状態にするために、電気的に活性な層とは反対側の基材の裏側に屈曲防止層を備えていてもよい。
【0003】
長寿命感光体の開発は、低摩耗性の保護オーバーコート層の開発を含む。これらの層によって、表面の摩耗性が顕著に低下しやすくなる。しかし、これらの層は、ブレードの損傷、洗浄不足、印刷の欠陥、高トルクのような望ましくない問題の原因を生じさせることが多い。これらの問題は、すべて、クリーニングブレードとオーバーコート層との相互作用が悪いことに起因して生じる。これらの問題を解決する試みにおいて、2種類の主なアプローチが存在する。第1のアプローチは、ブレードとオーバーコートとの間の相互作用を高めるために、オーバーコートの材料を変えることに焦点をあてている。このような材料変更の例としては、摩擦を減らすための低表面エネルギー添加剤および修復材料の添加が挙げられる。第2のアプローチは、オーバーコート層表面に模様を付けることによって表面形態を変えることである。この第2のアプローチは、オーバーコート層の上に永久的な模様を付けることは、模様が一過性になる蛍光があるため、困難であることが多いという困難に直面している。したがって、稼働寿命が延び、上述の問題の影響を受けない改良された画像形成層が必要とされている。
【0004】
用語「感光体」または「光導電体」は、一般的に、用語「画像形成体」と相互に置き換え可能に用いられる。用語「電子写真式」には、「静電複写式」および「乾式複写式」が含まれる。用語「電荷輸送分子」は、一般的に、用語「正孔輸送分子」と相互に置き換え可能に用いられる。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、画像形成体を外側層配合物でコーティングすることと、外側層配合物を周囲条件で乾燥させ、画像形成体の上に外側層を作成することと、表面の模様をもつ剛性の棒を画像形成体の上の外側層に押し付けることと、画像形成体の上の外側層に対し、剛性の棒を回転させ、外側層の表面にインプリント加工された表面の模様を作成することと、画像形成体を硬化させ、インプリント加工された画像形成体を作成することとを含む、インプリント加工された画像形成体を製造する方法が提供される。さらなる実施形態では、押し付ける工程および回転させる工程が、高温で行われる。
【0006】
別の実施形態では、画像形成体をインプリント処理するための、インプリント加工する棒と、基材、基材の上に配置された1つ以上の画像形成層、1つ以上の画像形成層の上に配置された外側層を備える、インプリント加工された画像形成体を製造するシステムが提供される。このような実施形態では、インプリント加工する棒は、外側層を硬化させている間、画像形成体と接触する位置に置かれてもよい。
【0007】
さらに別の実施形態では、インプリント加工される画像形成体を取り付けるためのスクリューマウントと、画像形成体をインプリント処理するための、インプリント加工する棒と、インプリント加工する棒を画像形成体に押し付け、回転させる加圧サブシステムとを備える、インプリント加工された画像形成体を製造するシステムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態のドラム構造における画像形成体の断面図である。
【図2】図2は、本実施形態のベルト構造における画像形成体の断面図である。
【図3】図3は、本実施形態の画像形成体を製造する工程を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態の画像形成体を製造するシステムを示す図である。
【図5】図5は、本実施形態により作られた画像形成体における光放電(PIDC)を示すグラフである。
【図6】図6は、本実施形態により作られた画像形成体のトルク低下を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここに開示されている実施形態は、一般的に、クリーニングブレードとの摩擦を小さくし、画質および性能を高めるために、表面にインプリント加工された模様をもつ外側層を備える、改良された電子写真式画像形成体に関する。さらに、本実施形態は、改良された電子写真式画像形成体を製造する方法にも関する。
【0010】
図1は、ドラム構造をもつ多層電子写真式画像形成体の例示的な実施形態である。図から分かるように、例示的な画像形成体が、剛性の支持基材10と、導電性接地面12と、アンダーコート層14と、電荷発生層18と、電荷輸送層20とを備える。剛性の基材は、金属、金属アロイ、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、バナジウム、ハフニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、タングステン、モリブデン、およびこれらの混合物からなる群から選択される材料で構成されていてもよい。電荷発生層18および電荷輸送層20は、2個の別個の層としてここに記載されている画像形成層を形成する。図に示されているものの代替例として、電荷発生層が、電荷輸送層の上部に配置されていてもよい。その代わりに、これらの層の機能的要素を1個の層に組み込んでもよいことを理解されたい。
【0011】
図2は、本実施形態のベルト構造をもつ画像形成体を示す。示されるように、屈曲防止裏側コーティング1と、支持基材10と、導電性接地面12と、アンダーコート層14と、接着層16と、電荷発生層18と、電荷輸送層20とを備えるベルト構造が与えられる。任意要素のオーバーコート層32および接地片19も含まれていてもよい。ベルト構造をもつ例示的な感光体は、米国特許第5,069,993号に開示されており、本明細書に参考として組み込まれる。
【0012】
洗浄不足および高トルクに起因する印刷の欠陥は、乾式複写式サブシステムの主な問題の一部であり、典型的には、低摩耗性のオーバーコーティングされた感光体を用いるときに観察される。
【0013】
本実施形態は、新規インプリント加工法を使用することにより、表面が構造化された外側層を備える乾式複写式感光体を提供する。いくつかの実施形態では、インプリント加工された外側層が、ポリマーオーバーコート層またはPASCO型オーバーコート層、または電荷輸送層であってもよい。PASCOオーバーコーティング層配合物が、ヒドロキシルを含有する電荷輸送分子、ポリオールポリマーバインダー、メラミン系硬化剤を含んでいてもよく、熱硬化させると、架橋したオーバーコートを形成することになる。インプリント加工によって、外側層に均一な粗い表面が得られ、つまり、表面が不規則な形状、突起または頂部になるように粗面化され、平滑ではない。それに加え、粗さは、ある程度均質であるか、または外側層の表面全体に不規則かつ均一である。このインプリント加工された表面によって、クリーニングブレードとの摩擦が小さくなり、これにより、画質が向上し、相互作用が平坦になり、ブレードの損傷が最小限になる。したがって、感光体の形状を制御することは、顧客による交換ユニット(CRU)の寿命を延ばすのに役立つ。
【0014】
インプリント加工法およびシステムによって、外側層表面に均一で周期的な、広範囲にわたる模様を得ることができる。可とう性の型の設計に依存して、表面の形状を制御することができ、これにより、システムの相互作用が向上し、例えば、トルクが低く、ブレードの損傷が最低限であり、不均一な感光体の摩耗が最低限であるような「設計された粗面化」表面が得られる。本開示では、インプリント加工された表面の模様をもつ外側層を使用する感光体が、改良された画質を示し、ブレードの損傷および洗浄不足が減り、全体的なCRU寿命が延びることも示されている。
【0015】
特に、インプリント加工された画像形成体を製造する方法を図3に示す。本実施形態は、外側層表面36の上に永久的な溝模様をインプリント加工し、クリーニングブレードと感光体34との相互作用を改良するための単純で有効な様式を提供する。外側層36は、電荷輸送層38の上にコーティングされている。
【0016】
剛性の棒40は、外側層36のコーティングの後ではあるが硬化の前である所定時間、感光体34に対し、高圧状態で押し付けられ、回転する。ある実施形態では、棒40が、棒40にきつく巻き付けられたワイヤ42を備えている。他の実施形態では、剛性の棒40が、棒40の外側表面の上に表面模様をもつように製造された棒を備えている。表面模様は、外側層26に埋め込まれる模様と相補性であろう。表面模様としては、例えば、周期的に並んだ種々の大きさ、深さおよび高さの刻み目および/または突起の列を挙げることができる。また、突起および/または刻み目が、円形、棒状、四角形、三角形、これらの混合物などの形状であってもよい。突起および/または刻み目が、溝、頂部または管の形状をなしていてもよい。
【0017】
外側層36を、インプリント加工の前に周囲条件で乾燥させてもよい。いくつかの実施形態では、周囲条件での乾燥を、約1〜約20分間、または約5〜約10分間行う。いくつかの実施形態では、棒40が、約10〜約1000ニュートン、または約100〜約200ニュートンの力で感光体34に対して転がる。押し付けられ、回転する工程を、コーティングの後(すなわち、周囲条件での乾燥工程の直後)、約1分間〜約20分間、または約5分間〜約10分間行う。押し付けられ、回転する工程を、外側層36を部分的に硬化させている間に行う。棒40は、外側層36に溝模様44をインプリント加工し、模様が付いた感光体46を製造する。永久的なインプリント加工を確実にするために、特定の条件を満たさなければならない。例えば、インプリント加工中、空気を強制的に流し、高温でなければならず、感光体の1分あたりの回転数は、特定の範囲内になければならない。いくつかの実施形態では、強制的に流された空気によって、感光体の表面温度が上げられ(赤外線(IR)プローブで測定される場合)、約50℃〜約200℃、または約100℃〜約170℃まで上げられる。感光体の回転数は、少なくとも30rpm、またはより特定的には、約60rpm〜約120rpmである。これらのパラメーターがなければ、溝模様は一過性であり、オーバーコート層を硬化させている間、または周囲温度で乾燥させている間でさえ、消えてしまうことになる。
【0018】
インプリント加工した後、模様が付いた感光体46を硬化させる。いくつかの実施形態では、模様が付いた感光体46を約120℃〜約170℃の温度のオーブンで約5分間〜約60分間硬化させる。溝模様によって、クリーニングブレードとオーバーコート層との相互作用が大きく向上し、ひいては、画質が向上し、ブレードの損傷および洗浄不足が減り、全体的なCRUの寿命が延びる。
【0019】
いくつかの実施形態では、図4に示されるように、インプリント加工された画像形成体を製造するシステムが提供される。システム48は、入れられたバネに取り付けられたインプリント加工する棒50と、加圧スクリューマウントとを備えている。インプリント加工する棒50は、微細なワイヤがきつく巻き付けられた、自由に回転する剛性の棒である。いくつかの実施形態では、ワイヤおよび棒は、鋼鉄、ニッケル、窒化チタン、クロムのような金属材料から作られる。ガラス、プラスチック、セラミックおよびコンポジットのような他の材料も、その材料によって模様が付けられる画像形成体表面よりも大きな降伏強度をもつ、模様を付ける剛性の棒を形成することができる限り、含まれていてもよい。本明細書で使用する場合、用語「剛性」は、可とう性ではない材料を示すために用いられる。いくつかの実施形態では、インプリント加工する棒は、直径が約5mm〜約15mmである。一実施形態では、インプリント加工する棒は、直径が、画像形成ドラムの直径とほぼ等しい。感光体ドラム52は、固定されている支持体に取り付けられており、インプリント加工する棒50は、加圧サブシステム54を介し、ドラムに対する圧力を設定することができる。加圧サブシステム54は、ハンドクランク56を備えており、このハンドクランク56は、自由に回転する感光体ドラム52に接続している。2個の円柱形(例えば、ドラム52およびインプリント加工する棒50)は、押し付けられた状態で一緒に回転することができる。ドラム52とインプリント加工する棒50が均一に接触することは、両方が非常に剛性であるために問題である。この問題を克服するために、TEFLON(登録商標)またはポリマー製のカウンターローラーを使用し、感光ドラム52に対し、インプリント加工する棒50に均一な圧力をかけてもよい。
【0020】
特定の実施形態では、画像形成体の外側層コーティングは、電荷輸送要素とポリマーバインダーとを含む。このような実施形態では、電荷輸送要素は、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−p−トリル−[p−ターフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ジ−m−トリル−[p−ターフェニル]−4,4’−ジアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択される三級アリールアミンを含む。
【0021】
さらに、いくつかの実施形態では、外側層コーティングが、電荷輸送要素と硬化剤とを含む硬化性組成物を含んでいてもよい。硬化剤は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、イソシアネートまたは保護したイソシアネート化合物、アクリレート樹脂、ポリオール樹脂、またはこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0022】
一実施形態では、外側層が、電荷輸送要素をさらに含む、架橋した組成物を含むオーバーコート層である。いくつかの実施形態では、架橋した組成物は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、アルコキシメチル、炭素原子が1〜約15個のヒドロキシアルキル、アクリレートおよびこれらの混合物からなる群から選択される硬化性官能基を有する三級アリールアミンをさらに含む、電荷輸送要素の硬化および重合の結果である。
【0023】
特定の実施形態では、基材と外側層コーティングとの間に配置され、画像形成体が提供され、金属を含まないフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、アルキルヒドロキシガリウムフタロシアニンおよびヒドロキシガリウムフタロシアニンの混合物、ペリレン、およびこれらの混合物からなる群から選択される感光性顔料を含む電荷発生層が配置されており、基材は、円柱形、ドラム、またはベルトの形状である。
【0024】
さらなる実施形態では、表面模様は、棒のインプリント加工によって作られる複数の溝を含んでいる。いくつかの実施形態では、溝模様の高くなった点が、高さが約0.1〜約6ミクロン、または約1〜約3ミクロンである。溝模様の低くなった点が、深さが約0.1〜約6ミクロン、または約1〜約3ミクロンである。さらなる実施形態では、高くなった点または低くなった点の列が、中心から中心までの距離が約10ミクロン〜約1000ミクロン、または約300ミクロン〜約600ミクロンである。表面模様は、感光体の外側層表面全体に均一に分布した模様になるように互いに等しい距離だけ離れた高くなった点および低くなった点を含み、感光体表面に均一な粗面化模様を形成していてもよい。
【0025】
さらなる実施形態では、上述の画像形成体または感光体と、画像形成体に静電電荷を加える帯電ユニットと、画像形成体の上でトナー画像を現像する現像ユニットと、画像形成体から媒体へとトナー画像を転写する転写ユニットと、画像形成体をきれいにするクリーニングユニットとを備える画像形成装置が提供される。いくつかの実施形態では、画像形成装置のクリーニングユニットは、弾性ポリマーで構成されるブレード型のクリーナーを備えていてもよい。これらの実施形態では、溝模様によって、クリーニングブレードとオーバーコート層との相互作用が大きく向上し、画質を高め、ブレードの損傷および洗浄不足を減らし、全体的なCRUの寿命を延ばす。
【0026】
(オーバーコート層)
画像形成体の他の層は、例えば、任意要素のオーバーコート層32を備えていてもよい。任意要素のオーバーコート層32は、所望な場合、電荷輸送層20の上に配置され、画像形成体表面を保護し、耐研磨特性を高めてもよい。いくつかの実施形態では、オーバーコート層32は、厚みが約0.1μm〜約25μm、または約1μm〜約15μmの範囲であってもよく、ある実施形態では、約3〜約10μmであってもよい。これらのオーバーコーティング層は、電荷輸送要素と、任意要素の有機ポリマーまたは無機ポリマーとを含んでいてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、オーバーコート層は、電荷輸送要素を含んでいてもよい。特定の実施形態では、オーバーコート層は、自己架橋するか、またはポリマー樹脂と反応して硬化組成物を生成することが可能な置換基を含む、三級アリールアミンで構成される電荷輸送要素を含む。オーバーコート層に適した電荷輸送要素の特定例は、以下の一般式を有する三級アリールアミンを含み、
【化1】

式中、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立して、炭素原子を約6〜約30個含むアリール基をあらわし、Arは、炭素原子を約6〜約30個含む芳香族炭化水素基をあらわし、kは、0または1をあらわし、Ar、Ar、Ar、Ar、Arのうち、少なくとも1つは、ヒドロキシル(−OH)、ヒドロキシメチル(−CHOH)、アルコキシメチル(−CHOR、Rは、炭素を約1〜約10個含むアルキルである)、炭素を約1〜約10個含むヒドロキシルアルキル、およびこれらの混合物からなる群から選択される置換基を含む。他の実施形態では、Ar、Ar、Ar、Arは、それぞれ独立して、フェニル基または置換フェニル基をあらわし、Arは、ビフェニル基またはターフェニル基をあらわす。
【0028】
三級アリールアミンを含む電荷輸送要素のさらなる例としては、以下のもの
【化2】

などが挙げられ、式中、Rは、水素原子、炭素を1〜約6個含むアルキルからなる群から選択される置換基であり、mおよびnは、それぞれ独立して0または1をあらわし、m+n>1である。特定の実施形態では、オーバーコート層は、硬化したオーバーコート組成物を作成するために、さらなる硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤の具体例は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、イソシアネートまたは保護したイソシアネート化合物、アクリレート樹脂、ポリオール樹脂、またはこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。特定の実施形態では、電荷輸送分子または正孔輸送分子は、N,N’−ジフェニル−N−−N’−ビス(ヒドロキシフェニル)−[1,1’−ターフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0029】
さらなる実施形態では、オーバーコート層は、架橋剤と、任意要素の樹脂と、および/または1つ以上の任意要素の表面添加剤を含んでいてもよい。このような実施形態では、架橋剤は、メチル化ホルムアルデヒド−メラミン樹脂、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、ヘキサメチロールメラミン樹脂、アルコキシアルキル化メラミン樹脂、およびこれらの混合物からなる群から選択される。このような実施形態では、樹脂は、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、およびこれらの混合物からなる群から選択される。このような実施形態では、1つ以上の表面添加剤は、シリコーン改質されたポリアクリレート、アルキルシラン、ペルフルオロ化アルキルアルコール、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
本実施形態は、基材と、基材の上に配置された画像形成層と、画像形成層の上に配置されたオーバーコート層とを備え、オーバーコート層が、上述のようなインプリント加工された溝模様を含む表面模様を含む、画像形成体を提供する。この方法で作られた画像形成体は、トルクの低下を示すことが発見された。例えば、表面模様をもつオーバーコート層を含む画像形成体は、表面に模様をもたないオーバーコート層を含む画像形成体と比較して、約10%〜約90%、または約30%〜約50%のトルクの低下を示す。
【0031】
(基材)
感光体支持基材10は、不透明であってもよく、または実質的に透明であってもよく、必要な機械特性をもつ任意の適切な有機材料または無機材料を含んでいてもよい。基材全体は、導電性表面と同じ材料を含んでいてもよく、または、導電性表面が、単に基材の上にコーティングされていてもよい。例えば、金属または金属アロイのような任意の適切な導電性材料が使用されてもよい。単一の金属化合物であってもよく、異なる金属および/または酸化物の二重層であってもよい。
【0032】
基材10は、全体的に導電性材料が配合されていてもよく、または、DuPontから市販されている二軸配向ポリエチレンテレフタレートMYLARまたはKALEDEX 2000として入手可能なポリエチレンナフタレートのような無機ポリマー材料または有機ポリマー材料を含む絶縁性材料であってもよく、接地平面層12は、導電性チタンコーティングまたはチタン/ジルコニウムコーティングを含んでおり、その他の有機材料または無機材料の層は、インジウムスズオキシド、アルミニウム、チタンなどのような半導体表面層を含むか、または、もっぱら、アルミニウム、クロム、ニッケル、真鍮、他の金属などのような導電性材料から作られている。支持基材の厚みは、機械的性能および経済的な観点を含む多くの因子によって変わる。
【0033】
基材10は、多くの異なる形状を有していてもよく、例えば、平板、円柱形、ドラム、巻物、終わりのない可とう性ベルトなどの形状を有していてもよい。図2に示されるようなベルトの形態の基材の場合、ベルトは、つなぎ目があってもよく、つなぎ目がなくてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書の感光体は、ドラム形状である。
【0034】
基材10の厚みは、可とう性、機械的性能、経済的な観点を含む多くの因子によって変わる。本実施形態の支持基材10の厚みは、少なくとも500μm、または約3,000μm以下、または少なくとも750μm、または約2500μmであってもよい。
【0035】
(接地平面)
導電性接地面12は、導電性金属層であってもよく、例えば、真空蒸着技術のような任意の適切なコーティング技術によって基材10の上に形成されてもよい。したがって、可とう性光反応性画像形成デバイスの場合、導電層の厚みは、導電性、可とう性および光透過性の最適な組み合わせのために、少なくとも約20オングストローム、または約750オングストローム以下、または少なくとも約50オングストローム、または約200オングストローム以下であってもよい。
【0036】
金属層を作成するために使用される技術に関わらず、空気にさらされると、金属酸化物の薄い層が、ほとんどの金属の外側表面に生成する。したがって、金属層の上にある他の層は、「連続」層であるという特徴があり、これらの上にある連続層は、実際には、酸化可能な金属層の外側表面の上に形成される薄い金属酸化物層と接していることが意図されている。
【0037】
(正孔遮蔽層)
導電性接地面層を蒸着させた後、正孔遮蔽層14をその上に塗布してもよい。正に帯電した感光体について、電子遮蔽層によって、感光体の画像形成表面から正孔が導電層の方に移動することができる。負に帯電した感光体の場合、導電層から反対側の光導電層への正孔注入を防ぐための障壁を形成することが可能な任意の適切な正孔遮蔽層を使用してもよい。アンダーコート層の一般的な実施形態は、金属酸化物と樹脂バインダーとを含んでいてもよい。
【0038】
正孔遮蔽層は、連続しているべきであり、厚みは、約0.5μm未満でなければならない。というのも、これより厚みが大きいと、望ましくない残留電圧が生じてしまう場合があるからである。露光した後の電荷の中和が容易であり、最適な電気特性が達成されるため、約0.005μm〜約0.3μmの正孔遮蔽層を使用する。最適な電気障壁のために、正孔遮蔽層に約0.03μm〜約0.06μmの厚みを使用する。遮蔽層は、噴霧、浸漬コーティング、ドローバーコーティング、グラビアコーティング、シルクスクリーニング、エアナイフコーティング、逆ロールコーティング、真空蒸着、化学処理などのような任意の適切な従来の技術によって塗布されてもよい。薄い層を得るのに簡便なように、遮蔽層を希釈溶液の形態で塗布し、減圧、加熱などのような従来の技術によってコーティングを堆積させた後に溶媒を除去する。一般的に、正孔遮蔽層材料と溶媒の重量比は、0.05:100〜約0.5:100であれば、噴霧コーティングの場合に条件を満たしている。
【0039】
(電荷生成層)
その後、電荷発生層18がアンダーコート層14に塗布されてもよい。電荷生成/光導電性材料を含む任意の適切な電荷生成バインダー、例えば、粒子の形態であってもよく、不活性樹脂のような膜を形成するバインダーに分散した状態であってもよいを利用してもよい。電荷を生成する材料の例としては、例えば、無機光導電性材料、例えば、アモルファスセレン、三方晶セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ヒ素、ヒ化セレンおよびこれらの混合物からなる群から選択されるセレンアロイ、金属を含まないフタロシアニン、金属フタロシアニン、例えば、バナジルフタロシアニンおよび銅フタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、キナクリドン、ジブロモアントアントロン顔料、ベンズイミダゾールペリレン、置換2,4−ジアミノ−トリアジン、多核芳香族キノン、ベンズイミダゾールペリレンなど、およびこれらの混合物が、膜を形成するポリマーバインダーに分散したX形態を含む、種々のフタロシアニン顔料を含む有機光導電性材料が挙げられる。選択される電荷を生成する材料は、電子写真式画像形成プロセスにおける画像状態での放射線露光工程の間に、約400〜約900nmの波長を有する活性化する放射線に感受性であるべきであり、静電潜像を作成する。例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニンは、例えば、米国特許第5,756,245号に開示されているように、約370〜約950nmの波長を吸収する。
【0040】
任意の適切な不活性樹脂材料は、例えば、米国特許第3,121,006号(引用することで開示内容全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているものを含め、電荷発生層18中にバインダーとして使用されてもよい。
【0041】
電荷を生成する材料は、樹脂状のバインダー組成物中に種々の量で存在していてもよい。一般的に、少なくとも約5容積%、または約90容積%以下の電荷を生成する材料が、少なくとも約95容積%、または約10容積%以下の樹脂状のバインダーに分散しており、より特定的には、少なくとも約20容積%、または約60容積%以下の電荷を生成する材料が、少なくとも約80容積%、または約40容積%以下の樹枝状のバインダー組成物に分散している。
【0042】
(電荷輸送層)
ドラム感光体では、電荷輸送層は、同じ組成の単一層を含む。この場合、電荷輸送層は、特定的には、単一の層20の観点で記述されるだろうが、詳細は、二重の電荷輸送層を含む実施形態にも適用可能であろう。その後、電荷輸送層20が電荷発生層18の上に塗布され、電荷発生層18から光によって発生した正孔または電子の注入を支持することが可能であり、また、電荷輸送層を通って正孔/電子を輸送し、画像形成体表面の上の表面電荷を選択的に放電することが可能な任意の適切な透明有機ポリマー材料または非ポリマー材料を含んでいてもよい。一実施形態では、電荷輸送層20は、正孔を輸送するのに役立つだけではなく、電荷発生層18が摩耗または化学的な攻撃を受けるのを防ぎ、したがって、画像形成体の稼働寿命が延びる場合がある。電荷輸送層20は、実質的に非光導電性の材料であってもよいが、電荷発生層18から光によって発生した正孔の注入を支持する材料であってもよい。
【0043】
層20は、通常は、露光されたときに、入射光のほとんどがその下にある電荷発生層18によって利用されるように、電子写真式画像形成体が使用される波長領域では透明である。電荷輸送層は、光吸収度が無視できる程度の優れた光学透明度を示し、ゼログラフィーで有用な波長(例えば、400〜900nm)の光にさらされたときに、電荷発生があるべきではない。感光体が透明基材10、さらに透明または部分的に透明の導電層12を使用して調製される場合、画像の状態での露光または消去は、基材10を通って達成されてもよく、全ての光が基材の裏側へと通過する。この場合、層20の材料は、電荷発生層18が基材と電荷輸送層20との間に挟まれている場合、使用する波長領域の光を伝達する必要はない。電荷輸送層20は、電荷発生層18と組み合わせ、電荷輸送層の上に配置されている静電電荷が、照射しない状態で発生しない程度まで絶縁体である。電荷輸送層20は、電荷が放電プロセス中に通過するように、最低限の電荷を捕捉すべきである。
【0044】
電荷輸送層20は、任意の適切な電荷輸送要素、または電気的に不活性なポリマー材料(例えば、ポリカーボネートバインダー)に溶解するか、または分子単位で分散する添加剤として有用な活性化する化合物を含んでいてもよく、固溶体を形成し、それによってこの材料が電気的に活性になってもよい。「溶解する」は、例えば、低分子がポリマーに溶解し、均一相を形成する溶液を生成することを指し、分子単位で分散するとは、いくつかの実施形態では、例えば、ポリマーに電荷輸送分子が分散していることを指し、低分子は、ポリマーに分子レベルで分散している。電荷輸送要素を、膜を形成するポリマー材料に加えてもよく、このポリマー材料は、電荷輸送要素を加えなければ、電荷生成材料から光によって生成した正孔の注入を支持することができず、また、これらの正孔を、材料を通って輸送することができない。この添加によって、電荷輸送層の表面電荷を放電するために、電気的に不活性なポリマー材料が、電荷発生層18から光によって生成した正孔の注入を支持することができ、また、電荷輸送層20を通って正孔を輸送することができる材料に変換される。移動性の大きい電荷輸送要素は、有機化合物の低分子を含んでいてもよく、協働して分子間の電荷を輸送し、究極的には、電荷輸送層の表面に輸送する。例えば、限定されないが、N,N’−ジフェニル−N,N−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TM−TPD)などのような他のアリールアミン。
【0045】
電荷輸送層に多くの電荷輸送化合物が含まれていてもよく、この層は、一般的に、厚みが約5〜約75μm、より特定的には、約15〜約40μmである。電荷輸送要素の例は、以下の式/構造を有するアリールアミンと、
【化3】

〔式中、Xは、アルキル、アルコキシ、アリール、およびこれらの誘導体のような適切な炭化水素、ハロゲン、またはこれらの混合物、特に、ClおよびCHからなる群から選択される置換基である〕、以下の式を有する分子と、
【化4】

〔式中、X、Y、Zは、独立して、アルキル、アルコキシ、アリール、ハロゲン、またはこれらの混合物であり、YおよびZのうち、少なくとも1つが存在する〕
である。
【0046】
電荷輸送層のために選択されるバインダー材料の例としては、例えば、米国特許第3,121,006号(開示内容は、引用することで本明細書に全体的に組み込まれる)に記載されるような要素が挙げられる。いくつかの実施形態では、電荷輸送層(例えば、正孔輸送層)は、厚みが少なくとも約10μm、または約40μm以下であってもよい。
【0047】
電荷輸送層または少なくとも1つの電荷輸送層に場合により組み込まれ、横方向の移動(LCM)耐性を改良することが可能な要素または材料の例としては、ヒンダードフェノール酸化防止剤、例えば、テトラキスメチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタン(IRGANOX(登録商標)1010、Ciba Specialty Chemicalから入手可能)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、および他のヒンダードフェノール酸化防止剤、ヒンダードアミン酸化防止剤、他の分子、例えば、ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン(BDETPM)、ビス−[2−メチル−4−(N−2−ヒドロキシエチル−N−エチル−アミノフェニル)]−フェニルメタン(DHTPM)などが挙げられる。少なくとも1つの電荷輸送層中の酸化防止剤の重量%は、約0〜約20重量%、約1〜約10重量%、または約3〜約8重量%である。
【0048】
電荷輸送層は、正孔輸送層の上に配置される静電電荷が、その上に静電潜像を生成し、保持するのを防ぐのに十分な速度で、照射されない状態では生じない程度まで絶縁体であるべきである。電荷輸送層は、可視光または目的の用途の範囲での放射線に実質的に非吸収性であるが、光導電層から光によって生成する正孔を注入することができ(つまり、電荷生成層)、正孔がこの層自体を移動して活性層の表面にある表面電荷を選択的に放電することができるという点で電気的に「活性である」。
【0049】
それに加え、ベルト形状を用いる本実施形態において、電荷輸送層は、同じまたは異なる輸送分子比で、1回通過電荷輸送層または2回通過電荷輸送層(または二重層の電荷輸送層)から構成されていてもよい。これらの実施形態では、二重層の電荷輸送層は、厚みの合計が約10μm〜約40μmである。他の実施形態では、二重層の電荷輸送層のそれぞれの層は、個々の厚みが、2μm〜約20μmであってもよい。さらに、電荷輸送層は、電荷輸送層とオーバーコート層との界面での結晶化を妨げるように、感光体の上部層として使用されるような構成であってもよい。別の実施形態では、電荷輸送層は、第1の通過層と第2の通過層との界面で生じる微結晶化を妨げるような第1の通過電荷輸送層として使用するような構成であってもよい。
【0050】
したがって、本実施形態は、基材と、基材の上に配置される電荷発生層と、電荷生成層の上に配置される電荷輸送層とを備え、電荷輸送層が、上述のような電荷輸送層の表面にインプリント加工された溝模様を含む、画像形成体を提供する。この方法で作られた画像形成体は、トルクの低下を示すことが発見された。例えば、表面模様をもつオーバーコート層を含む画像形成体は、表面に模様をもたないオーバーコート層を含む画像形成体と比較して、約10%〜約90%、または約30%〜約50%のトルクの低下を示す。
【0051】
任意の適切で従来からある技術を利用し、電荷輸送層混合物を作成し、その後に、支持基材層に塗布してもよい。電荷輸送層は、1回のコーティング工程または複数回のコーティング工程で作られてもよい。浸漬コーティング、リングコーティング、噴霧、グラビアまたは任意の他のドラムコーティング法を使用してもよい。
【0052】
堆積させたコーティングの乾燥は、オーブンによる乾燥、赤外線照射による乾燥、風乾などのような任意の適切な従来からある技術によって行われてもよい。乾燥後の電荷輸送層の厚みは、最適な光電気的結果および機械的に結果のために、約10μm〜約40μm、または約12μm〜約36μmである。別の実施形態では、この厚みは、約14μm〜約36μmである。
【0053】
(接着層)
任意要素の別個の接着性界面層を特定の形状(例えば、可とう性ウェブの形状)で与えてもよい。図1に示される実施形態では、界面層は、遮蔽層14と電荷発生層18との間に位置しているだろう。界面層は、コポリエステル樹脂を含んでいてもよい。接着性界面層は、正孔遮蔽層14に直接塗布されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、接着性界面層は、その下にある正孔遮蔽層14と、その上にある電荷発生剤の層18の両方に直接連続的に接触し、接着結合を高め、連結させる。さらに他の実施形態では、接着界面層は、完全に除外される。
【0054】
任意の適切な溶媒または溶媒混合物を使用し、接着性界面層のためのポリエステルコーティング溶液を作成してもよい。溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエン、モノクロロベンゼン、塩化メチレン、シクロヘキサなど、およびこれらの混合物が挙げられる。任意の他の適切で従来からある技術を用い、接着層コーティング混合物を混合し、その後に、正孔遮蔽層に塗布してもよい。塗布技術としては、噴霧、浸漬コーティング、ロールコーティング、ワイヤ巻きロッドコーティングなどが挙げられる。堆積させた濡れたコーティングの乾燥は、オーブンによる乾燥、赤外線照射による乾燥、風乾などのような任意の適切な従来からあるプロセスによって行われてもよい。
【0055】
接着性界面層は、乾燥後の厚みが、少なくとも約0.01μm、または約900μm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、乾燥時の厚みが、約0.03μm〜約1μmである。
【0056】
(接地片)
接地片は、膜を形成するポリマーバインダーと、電気導電性の粒子とを含んでいてもよい。任意の適切な電気導電性の粒子を電気導電性の接地片層19に使用してもよい。接地片19は、米国特許第4,664,995号に列挙されているものを含む材料を含んでいてもよい。電気導電性の粒子は、電気導電性の接地片層が過剰に不規則な外側表面をもたないように、電気導電性の接地片層の厚みよりも小さな粒径を有しているべきである。平均粒径が約10μm未満であれば、一般的に、乾燥した接地片層の外側表面での電気導電性の粒子の過剰な突起が抑えられ、乾燥した接地片層のマトリックス全体に粒子が比較的均一に分散する。接地片中で使用される導電性粒子の濃度は、利用される特定の導電性粒子の導電性のような因子によって変わる。
【0057】
接地片層は、厚みが、少なくとも約7μm、または約42μm以下、または少なくとも14μm、または約27μm以下であってもよい。
【0058】
(屈曲防止裏側コーティング層)
屈曲防止裏側コーティング1は、電気絶縁性またはわずかに半導体性の有機ポリマーまたは無機ポリマーを含んでいてもよい。屈曲防止裏側コーティングによって、平坦になり、および/または耐摩耗性が与えられる。
【0059】
屈曲防止裏側コーティング1は、画像形成層とは反対側の、基材2の裏側に作られてもよい。屈曲防止裏側コーティングは、膜を形成する樹脂バインダーと、接着促進添加剤とを含んでいてもよい。樹脂バインダーは、上述の電荷輸送層の樹脂バインダーと同じ樹脂であってもよい。膜を形成する樹脂の例としては、ポリアクリレート、ポリスチレン、ビスフェノールポリカーボネート、ポリ(4,4’−イソプロピリデンジフェニルカーボネート)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェニルポリカーボネートなどが挙げられる。添加剤として使用される接着促進剤としては、49,000(du Pont)、Vitel PE−100、Vitel PE−200、Vitel PE−307(Goodyear)などが挙げられる。通常は、膜を形成する樹脂に添加するために、約1〜約15重量%の接着促進剤が選択される。屈曲防止裏側コーティングの厚みは、少なくとも約3μm、または約35μm以下、または約14μmである。
実施例
【0060】
(実施例1)
(インプリント加工された感光体の製造)
電子写真式感光体を以下の様式で製造した。100部のジルコニウム化合物(商品名:Orgatics ZC540、Matsumoto Seiyaku Co.,Ltd.によって製造)と、10部のシラン化合物(商品名:A110、Nippon Unicar Co.,Ltdによって製造)と、400部のイソプロパノール溶液と、200部のブタノールとを含むアンダーコート層用のコーティング溶液を調製した。このコーティング溶液を、ホーニング処理を行った円柱形のアルミニウム(Al)基材に浸漬コーティングによって塗布し、150℃で10分間加熱することによって乾燥させ、膜厚が0.1μmのアンダーコート層を作成した。
【0061】
厚みが0.5ミクロンの電荷を生成する層を、次いで、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(12部)、アルキルヒドロキシガリウムフタロシアニン(3部)、Dow Chemicalから入手可能な塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマーVMCH(Mn=27,000、約86重量%の塩化ビニル、約13重量%の酢酸ビニル、約1重量%のマレイン酸)(10部)を475部の酢酸n−ブチルに分散させた分散物から、アンダーコート層の上部にコーティングした。
【0062】
次いで、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(82.3部)と、Aldrich製の2.1部の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)と、Mitsubishi Gas Chemical Company,Ltd.から入手可能なポリカーボネートPCZ−400[ポリ(4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニル−1−1−シクロヘキサン)、M=40,000](123.5部)とを、546部のテトラヒドロフラン(THF)および234部のモノクロロベンゼンの混合物に溶かした溶液から、厚みが25μmの電荷輸送層(CTL)を、電荷を生成する層の上部に浸漬コーティングした。CTLを115℃で60分間乾燥させた。
【0063】
65% N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−ヒドロキシフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、33% ヘキサメトキシメチルメラミン、King Industriesから入手可能な1% Nacrue XP357、BYK additivesから入手可能なSilclean 3700を、1−メトキシ−2−プロパノール中、固形分で30%含むオーバーコート層を、感光ドラムに浸漬コーティングし、周囲条件で約5分間〜約10分間乾燥させた。剛性のワイヤ巻きロッドを用い、オーバーコート層に対し、170ニュートンの力でインプリント加工を行った。インプリント加工中、感光体ドラムの回転を約60rpm以上に維持した。インプリント加工中、オーバーコート層表面に対し、強制換気を維持し、オーバーコート層表面の温度を印プリント加工中、約100℃に維持した。次いで、模様が付いたオーバーコート層を155℃のオーブンで約40分間硬化させた。
【0064】
本発明の感光体を、風乾時間、回転速度、強制換気の加熱温度をさまざまに変えた15種類の異なるトライアルコーティングで調製した。
【0065】
(コントロール)
感光ドラムの上に、同じコーティング層を、浸漬コーティングによってコントロール感光体を調製した。しかし、オーバーコート層の表面は、硬化させる前にインプリント加工しなかった。
【0066】
(結果)
特定の条件で、非常に均一な溝模様が得られた。例えば、周囲条件で、風乾時間が5〜約10分間(5分よりも短い任意の時間では、コーティングが破壊され(インプリントロールへの転写)、10分よりも長い任意の時間では、模様はまったく得られない)、回転速度が30rpmより大きく(30rpmよりも小さい任意の速度では、模様が失われるか、インプリントローラーからはずしたときにうまく規定されていない模様が大きくなりすぎる)、強制換気がドラム表面の温度(IRプローブを用いて測定した場合)が100℃以上(100℃を超えない任意の温度だと、硬化させたときに完全に消えてしまう一時的な模様が得られることになる)の場合に、望ましい溝模様が得られることを発見した。
【0067】
上のように調製した電子写真式感光体の電気性能の特徴(例えば、光放電曲線(PIDC))をスキャナーで試験した。スキャナーは産業界で知られており、電気的に帯電させ、放電させつつ、ドラムを回転する手段を取り付けた。デバイスの円周付近の正確な位置に配置した静電プローブを用いることによって、光導電体サンプルの帯電を監視した。感光体デバイスを700ボルトの負の電位に帯電させた。デバイスが回転するにつれて、初期の帯電電位を電圧プローブ1によって測定した。次いで、光導電体サンプルに既知の強度の単色光をあて、次いで、表面の電位を電圧プローブ2および3によって測定した。最後に、サンプルに適切な強度および波長の消去ランプをあて、残留電位を電圧プローブ4によって測定した。このプロセスをスキャナーのコンピュータ制御下で繰り返し、コンピュータにデータを格納した。電圧プローブ2および3での電位を光エネルギーの関数としてプロットすることによって、PIDCを得た。実施例1で調製したような感光体は、コントロールまたは比較例デバイスとして同様のPIDC特性を示した。図5は、本実施形態の模様が付いた感光体対コントロール感光体の電気試験の結果を示すグラフである。ここからわかるように、光放電特性は、模様が付いたオーバーコートされた感光体および模様が付いていないオーバーコートされた感光体の両方で同じであり、粒子の組み込みは、電気特性に負の影響を及ぼさなかったことを示している。
【0068】
図6は、本実施形態の模様が付いた感光体対コントロール感光体のトルク測定の結果を示すグラフである。ここからわかるように、初期のトルク結果は、ブレードの損傷を顕著に低下させ、初期トルクを大きく低下させることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成体を外側層配合物でコーティングすることと、
前記外側層配合物を周囲条件で乾燥させ、前記画像形成体の上に外側層を作成することと、
表面の模様をもつ剛性の棒を前記画像形成体の上の前記外側層に押し付けることと、
前記画像形成体の上の前記外側層に対し、前記剛性の棒を回転させ、前記外側層の前記表面にインプリント加工された表面の模様を作成することと、
前記画像形成体を硬化させ、インプリント加工された画像形成体を作成することと、を含む、インプリント加工された画像形成体を製造する方法。
【請求項2】
押し付ける工程および回転させる工程を、約50℃〜約200℃の高温で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記剛性の棒が、約10ニュートン〜約1000ニュートンの力で前記外側層に押し付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記剛性の棒が、30rpmより大きな速度で前記外側層に対して回転する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化させる工程を、約120℃〜約170℃の温度で約5分間〜約60分間行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
周囲条件での乾燥時間が約5分間〜約15分間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
画像形成体をインプリント処理するための、インプリント加工する棒と、
画像形成体と、を備え、この画像形成体が、
基材と、
前記基材の上に配置される1つ以上の画像形成層と、
前記1つ以上の画像形成層の上に配置される外側層を備える、インプリント加工された画像形成体を製造するシステム。
【請求項8】
インプリント加工される画像形成体を取り付けるためのスクリューマウントと、
前記画像形成体をインプリント処理するための、インプリント加工する棒と、
前記インプリント加工する棒を前記画像形成体に押し付け、回転させる加圧サブシステムと、を備える、インプリント加工された画像形成体を製造するシステム。
【請求項9】
前記インプリント加工する棒が、約100〜約200ニュートンの力で前記外側層に対して押し付ける、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記インプリント加工する棒が、30rpmよりも大きな速度で前記外側層に対して回転する、請求項8に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−3578(P2013−3578A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115120(P2012−115120)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】