説明

樹脂封止半導体装置およびその製造方法

【目的】 リードフレームを用いた二重樹脂封止構造の樹脂封止半導体装置において、半導体装置を各種応力から保護し、しかも機械的強度を向上するものである。
【構成】 半導体素子3などの周辺部を液状または柔軟性のある未硬化の状態の部分9aとこれらの周囲の硬化した部分で封止した内部樹脂9と、この内部樹脂9の外側に形成した機械的強度に優れた外部樹脂10で封止するものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液状、柔軟性を有する樹脂によって封止される樹脂封止半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の樹脂封止半導体装置は、例えば特開昭63−80554号公報に開示され、その構造を図3に示すように二重(二層)樹脂封止構造となっている。
【0003】この樹脂封止半導体装置の構成は、アイランド1の上にAgペースト2等によって固着搭載された半導体素子3、ボンディングヘッド4とリード5との間を電気的に接続する金属細線6の全体をシリコーン樹脂発泡体、もしくはエポキシ樹脂などの樹脂発泡体7で覆ったのち、エポキシ樹脂成形材料などの封止樹脂8で成形するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成の樹脂封止半導体装置では、硬化時の収縮応力、熱応力、などにおいて、樹脂発泡体により、半導体素子への各種応力の緩和を期待していたが、発泡体であるため、内部中空部に水分が凝集し、半導体装置をプリント基板等に搭載するにあたり、ベーパリフロー、赤外線リフローなどの半導体装置の全体を加熱する搭載手段によって、半導体装置が加熱されると、水分が水蒸気化し、高圧化により封止外殻にクラックが発生するという問題点があった。
【0005】本発明は、以上述べた樹脂発泡体の内部中空部に水分が凝集してしまうという問題点を除去するため、応力を緩和することができる樹脂によって形成した信頼性の優れた樹脂封止半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【発明が解決するための手段】本発明に係る樹脂封止半導体装置は、半導体素子などの周辺部を、液状または柔軟性のある未硬化の状態の部分とこれらの周囲の硬化した部分で封止した内部樹脂と、この内部樹脂の外側に形成した機械的強度に優れた外部樹脂で封止したものである。
【0007】本発明に係る樹脂封止半導体装置の製造方法は、半導体素子などの周辺部を、金型、ポッティング、あるいはスプレー等により、液状または柔軟性のある未硬化の状態の内部樹脂で封止する第1の製造工程と、この内部樹脂の表面部のみ硬化させる第2の製造工程と、この硬化した内部樹脂の外側に、機械的強度に優れた外部樹脂で封止する第3の製造工程とを備えたものである。
【0008】
【作用】本発明は、半導体素子およびその周辺を、各種応力から保護することができ、しかも機械的強度を向上することができる。
【0009】
【実施例】図1は本発明に係る樹脂封止半導体装置の一実施例を示す断面図である。図において、9は硬化反応が行なわれない未硬化の状態では液状または柔軟性を保持し、熱(特定の温度)、光(特定の波長)によって硬化反応を開始する樹脂、例えばポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなどのUV硬化樹脂などの内部樹脂であり、外表部のみ硬化反応を進行させ、内部9aは未硬化の状態とすることにより、半導体素子3、リードフレーム5のインナーリード5a、金線細線6の周辺はこの未硬化の状態の樹脂である。10はトランスファー成形等の封止技術によって内部樹脂9上に封止した例えばエポキシ樹脂などの外部樹脂である。
【0010】この場合、前記UV樹脂は、無溶剤型なので、溶剤の放出がないので、内部樹脂9や外部樹脂10中に、ボイドの発生が無く、水分等の凝集が低減されるので、耐熱性の向上が期待できるうえ、内部樹脂9は液状または柔軟性を保持した樹脂状態なので、外部応力に対しても好適である。
【0011】図2は本発明に係る樹脂封止半導体装置の製造方法の一実施例を示す要部断面図である。図において、11および12は例えば石英等のUV透過性が良好な材料で作られた上金型および下金型、13はこの上金型11と下金型12によって形成された金型中空部、14はランナー、15はゲート、16はUVランプである。
【0012】まず、半導体素子3をAgペースト2などによって、アイランド1に固着搭載する。そして、金属薄板をエッチングあるいはプレスなどによって所定のパターンに加工したリードフレーム5と半導体素子3の電極(図示せず)とを金属細線6によって電気的に導通配線する。そして、このリードフレーム5を上金型11と下金型12によって挟持する。そして、UV硬化樹脂をランナー14を介してゲート15から圧入して金型中空部13に注入する。この充填後、UVランプ16を照射すると、金型中空部13の金型表面部に接触するUV硬化樹脂が硬化反応し、内部樹脂9の外表部が形成される。そして、金型から取り出して、トランスファー成形等の封止技術によって、外部樹脂10を形成する。そして、不要リード部を除去したのち、プレス等の技術によって折り曲げ加工し、リード5を形成する。
【0013】なお、樹脂封止半導体装置の外形については、これに限定せず、例えばDIP、PLCC、TSOP等の形状の樹脂封止半導体装置であってもよいことはもちろんである。
【0014】また、上述の実施例では、トランスファ成形技術を用いたが、これに限定せず、ポッティングあるいは要部にスプレー等によって要部に熱あるいは光硬化性樹脂を形成し、樹脂封止してもよいことはもちろんである。
【0015】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る樹脂封止半導体装置およびその製造方法によれば、半導体素子周辺部が液状または柔軟性のある部分とそれらの周囲は硬化が促進された部分からなる内部樹脂で形成し、さらにその外側に、機械的強度に優れた外部樹脂を封止したので、半導体素子の周辺を各種応力から保護することができ、しかも水分等の凝集を低減することができるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る樹脂封止半導体装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る樹脂封止半導体装置の製造方法の一実施例を示す要部断面図である。
【図3】従来の樹脂封止半導体装置を示す断面図である。
【符号の説明】
9 内部樹脂
9a 内部樹脂の内部
10 外部樹脂
11 上金型
12 下金型
13 金型中空部
14 ランナー
15 ゲート
16 UVランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 リードフレームを用いた二重樹脂封止構造の樹脂封止半導体装置において、半導体素子などの周辺部を液状または柔軟性のある未硬化の状態の部分とこれらの周囲の硬化した部分で封止した内部樹脂と、この内部樹脂の外側に形成した機械的強度に優れた外部樹脂で封止したことを特徴とする樹脂封止半導体装置。
【請求項2】 半導体素子などの周辺部を、金型、ポッティング、あるいはスプレー等により、液状または柔軟性のある未硬化の状態の内部樹脂で封止する第1の製造工程と、この内部樹脂の表面部のみ硬化させる第2の製造工程と、この硬化した内部樹脂の外側に、機械的強度に優れた外部樹脂で封止する第3の製造工程とを備えたことを特徴とする樹脂封止半導体装置の製造方法。
【請求項3】 前記内部樹脂はUV硬化樹脂であることを特徴とする請求項1記載の樹脂封止半導体装置。
【請求項4】 前記金型はUV透過性部材で形成することを特徴とする請求項2記載の樹脂封止半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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