説明

機器ケースおよび腕時計ケース

【課題】 電波を良好に受信できると共に、金属調の外観を確保して装飾性を高めるようにする。
【解決手段】 内部にアンテナ9が収容される合成樹脂製のケース本体22の外周面に軟質合成樹脂製の装飾部材23をアンテナ9に対向させて取り付け、ケース本体22および装飾部材23の上部側に金属製の外装部材24を取り付け、ケース本体22の下部側に金属製の裏蓋25を取り付けた。従って、アンテナ9による磁界を合成樹脂製のケース本体22および軟質合成樹脂製の装飾部材23によって腕時計ケース1の外部に発生させることができ、これによりアンテナ9で標準時刻情報を含む電波を確実に且つ良好に受信することができる。また、ケース本体22および装飾部材23の上部側および下部側を金属製の外装部材24と金属製の裏蓋25とで覆うことにより、金属調の外観を得ることができ、これにより装飾性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計などの電子機器に用いられる機器ケースおよび腕時計ケースに関し、更に詳しくはアンテナを内蔵する機器ケースおよび腕時計ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計においては、内蔵したアンテナで標準時刻情報を含む電波を受信し、この受信した電波の標準時刻情報に基づいて時刻を修正する電波時計がある。この種の腕時計は、電波を妨害なく受信するために、腕時計ケースを合成樹脂で形成したものが知られている。
【特許文献1】特開2002−286879号公報
【0003】
この特許文献1の腕時計は、合成樹脂製の腕時計ケース内にアンテナを備えた時計モジュールを収容し、この腕時計ケースの上部に時計ガラスを取り付け、腕時計ケースの下部に裏蓋を取り付け、時計ガラスの内面に文字板部を設け、この文字板部によってアンテナが外部から見えないように隠した構成になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の腕時計においては、腕時計ケースを合成樹脂のみで形成しているため、内蔵されたアンテナによって電波を良好に受信することはできても、腕時計ケースが合成樹脂製であるから、金属調の外観が得られず、製品として装飾性の点で劣るという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、電波を良好に受信できると共に、金属調の外観を確保して装飾性を高めることができる機器ケースおよび腕時計ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
【0007】
請求項1に記載の発明は、図1〜図4に示すように、内部にアンテナ(9、35)を収容する機器ケース(腕時計ケース1)において、前記機器ケースは、少なくとも前記アンテナに対向する個所が非金属で形成された本体部(ケース本体22および装飾部材23)と、この本体部の上部側を覆う金属製の上部カバー部(外装部材24)と、前記本体部の下部側を覆う金属製の下部カバー部(裏蓋25)とを備えたことを特徴とする機器ケースである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、図1〜図4に示すように、前記本体部が、合成樹脂製のケース本体(22)と、このケース本体の周囲に前記アンテナ(9、35)と対向して設けられた軟質合成樹脂製の装飾部材(23)とからなることを特徴とする請求項1に記載の機器ケースである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、図1〜図4に示すように、前記下部カバー部(裏蓋25)の上面に、磁性シート(30)が少なくとも前記アンテナ(9、35)に対向して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の機器ケースである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、図1〜図4に示すように、前記上部カバー部(外装部材24)に、保護ガラス(時計ガラス2)が装着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機器ケースである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、図1〜図4に示すように、内部にアンテナ(9、35)が収容される合成樹脂製のケース本体(22)と、このケース本体の周囲に前記アンテナと対向して取り付けられた軟質樹脂部材(装飾部材23)と、前記ケース本体および前記軟質樹脂部材の上部側に取り付けられた金属製の外装部材(24)と、少なくとも前記ケース本体の下部側に取り付けられた金属製の裏蓋(25)とを備えたことを特徴とする腕時計ケース(1)である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、図1〜図4に示すように、前記裏蓋(25)の上面に、磁性シート(30)が少なくとも前記アンテナ(9、35)に対向して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の腕時計ケースである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、図1〜図4に示すように、前記外装部材(24)に、時計ガラス(2)が装着されていることを特徴とする請求項5または6に記載の腕時計ケースである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、内部にアンテナを収容する機器ケースの本体部が、少なくともアンテナに対向する個所を非金属で形成した構成であるから、本体部の上部側を金属製の上部カバー部で覆っても、また本体部の下部側を金属製の下部カバー部で覆っても、本体部における非金属の個所によって電波を取り込むことができ、これによりアンテナで電波を良好に受信することができると共に、本体部の上部側および下部側を覆う上部カバー部と下部カバー部とが金属製であることにより、外部から見える多くの部分を金属にすることができ、これにより金属調の外観を得ることができるので、装飾性を高めることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、本体部が、合成樹脂製のケース本体と、このケース本体の周囲にアンテナと対向して設けられた軟質合成樹脂製の装飾部材とからなることにより、本体部の全体が合成樹脂製であるから、電波が本体部の影響を受けないようにすることができ、これにより確実に且つ良好にアンテナで電波を受信することができると共に、ケース本体の周囲に設けられた装飾部材が外部から見えても、外部から見える多くの部分が金属で、金属調の外観を得ることができるほか、特に外部から見える装飾部材によってアクセント的な装飾効果をも付加することができ、これにより装飾性を更に高めることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、下部カバー部の上面に磁性シートが少なくともアンテナに対向して設けられていることにより、下部カバー部が金属で形成されていても、磁性シートによってアンテナが下部カバー部の金属による影響を受けないようにすることができ、これによってもアンテナの受信感度を高めることができるほか、アンテナを下部カバー部に接近させて配置することができるので、アンテナの設置スペースを確保することができると共に、アンテナを本体部内に容易に且つ良好に設置することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、上部カバー部に保護ガラスが装着されていることにより、この保護ガラスを通して本体部の内部を見ることができるので、本体部内に時刻などの情報を表示する表示手段を設けても、その表示手段に表示された時刻などの情報を本体部の外部から視認することができ、これにより電子機器として良好に使用することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、内部にアンテナが収容される合成樹脂製のケース本体の周囲に軟質樹脂部材をアンテナに対向させて取り付けたので、請求項1または2に記載の発明と同様、ケース本体および軟質樹脂部材の上部側に金属製の外装部材を取り付けても、またケース本体の下部側に金属製の裏蓋を取り付けても、合成樹脂製のケース本体および軟質樹脂部材によって電波を取り込むことができ、これによりアンテナで電波を良好に受信することができる。
【0019】
この場合には、特にケース本体および軟質樹脂部材の上部側に取り付けられた外装部材と、少なくともケース本体の下部側に取り付けられた裏蓋とが金属製であることにより、請求項1または2に記載の発明と同様、外部から見える多くの部分を金属にすることができ、これにより金属調の外観を得ることができるので、装飾性を高めることができると共に、ケース本体の周囲に取り付けられた軟質樹脂部材が外部から見えることにより、この軟質樹脂部材によってアクセント的な装飾効果をも付加することができ、これによっても装飾性を高めることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、裏蓋の上面に磁性シートが少なくともアンテナに対向して設けられていることにより、裏蓋が金属で形成されていても、磁性シートによってアンテナが裏蓋の金属による影響を受けないようにすることができ、これによってもアンテナの受信感度を高めることができるほか、アンテナを裏蓋に接近させて配置することができるので、アンテナの設置スペースを確保することができると共に、アンテナをケース本体内に容易に且つ良好に設置することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、外装部材に時計ガラスが装着されていることにより、この時計ガラスを通してケース本体の内部を見ることができるので、ケース本体内に時刻などの情報を表示する表示手段を設けても、その表示手段に表示された時刻などの情報をケース本体の外部から視認することができ、これにより電子腕時計として良好に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
以下、図1〜図3を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
図1はこの発明の電子腕時計を示した拡大正面図、図2はそのA−A矢視における拡大断面図、図3は図2の裏蓋を取り外して下面側から見た裏面図である。
【0023】
この電子腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上面には、後述するように、時計ガラス2がパッキン3を介して取り付けられており、腕時計ケース1の内部には、図2に示すように、時計モジュール4が収容されている。また、この腕時計ケース1の3時側に位置する側面には、図1および図3に示すように、複数の押釦スイッチ5が設けられている。
【0024】
時計モジュール4は、アナログ機能部とデジタル機能部とのうち、アナログ機能部を備えた構成になっている。すなわち、この時計モジュール4は、図2に示すように、合成樹脂製の上部ハウジング6と合成樹脂製の下部ハウジング7とを備え、上部ハウジング6内にアナログムーブメント8が設けられていると共に、上部ハウジング6と下部ハウジング7とに跨って後述するアンテナ9が配置され、この状態で上部ハウジング6と下部ハウジング7とが合成樹脂製の中枠10内に組み込まれて腕時計ケース1内に収容されるように構成されている。
【0025】
アナログムーブメント8は、図2に示すように、時針軸、分針軸、秒針軸を同心円状に設けた多重筒状の指針軸11を備え、この指針軸11が上部ハウジング6の上面に配置された文字板12のほぼ中心に設けられた貫通孔12aを通してその上方に突出し、この突出した指針軸11の上端部に時針、分針、秒針などの指針13が取り付けられ、これら指針13が文字板12の上方を運針して文字板12の上面外周部分に設けられた時字12bを指示することにより、現在時刻を指示するように構成されている。
【0026】
この場合、文字板12と上部ハウジング6との間には、図2に示すように、ソーラーパネル14が配置されており、文字板12の外周部および中枠10の上部には、リング状の見切り部材15がその両者に跨って配置されている。この見切り部材15は、その上部に配置された緩衝部材16が腕時計ケース1の上部内面に設けられた後述する鍔部17の下面に当接した状態で時計ガラス2の下側に配置されるように構成されている。
【0027】
また、上部ハウジング6と下ハウジング7との間には、図2に示すように、回路基板18が配置されており、下部ハウジング7は、その下側に配置された地板19により押えられて上部ハウジング6に取り付けられている。さらに、この下部ハウジング7には、図3に示すように、電池収納部33が設けられており、この電池収納部33内には、釦型の電池34が着脱可能に収納されるように構成されている。
【0028】
アンテナ9は、外部からの標準時刻情報を含む電波を受信するものであり、図2に示すように、高透磁率材からなる角棒状のコア20と、このコア20の外周に巻き付けられたコイル21とを備え、全体がほぼ丸棒状に形成され、図3に示すように、コア20の両端部が回路基板18に取り付けられていると共に、コイル21が回路基板18に電気的に接続された構成になっている。この場合、アンテナ9は、図2および図3に示すように、上部ハウジング6と下部ハウジング7との9時側(図2では左側)に設けられたアンテナ収納部9a内に、その一端(図3では下端)を6時側に向け、他端(図3では上端)を12時側に向けた状態で、9時側に片寄って配置されている。
【0029】
すなわち、このアンテナ9は、図3に示すように、全体が6時と12時とを結ぶ直線と平行な状態で、上部ハウジング6と下部ハウジング7とにおける9時側に設けられたアンテナ収納部9a内に配置されていると共に、腕時計ケース1の後述するケース本体22の内周面、つまり時計モジュール4の中枠10の内周面に接近する位置に片寄って配置されている。
【0030】
ところで、腕時計ケース1は、図1および図2に示すように、合成樹脂製のケース本体22と、このケース本体22の外周面におけるアンテナ9と対向する個所に取り付けられた軟質合成樹脂製の装飾部材23と、ケース本体22および装飾部材23の両者の上部側に取り付けられる金属製の外装部材24と、ケース本体22および装飾部材23の両者の下部側に取り付けられる金属製の裏蓋25とを備えた構成になっている。
【0031】
この場合、合成樹脂製のケース本体22は、図2に示すように、ほぼ円形の枠状に形成され、その内径が中枠10の外径とほぼ同じ大きさで、高さが中枠10とほぼ同じか、それよりも少し高く形成され、これにより中枠10を収納するように構成されている。また、軟質合成樹脂製の装飾部材23は、図2に示すように、ほぼリング状に形成され、その高さがアンテナ9の厚みとほぼ同じ高さで、ケース本体22の高さ方向の長さよりも十分に小さく形成されていると共に、その外周面に凹凸模様の装飾部23aが施され、この状態でケース本体22の外周面にアンテナ9と対向して取り付けられている。
【0032】
また、外装部材24は、図1および図2に示すように、ケース本体22の上部に防水リング26aを介して取り付けられる金属製の第1ベゼル26と、装飾部材23の上部に取り付けられる金属製の第2ベゼル27とを備えた構成になっている。この場合、第1ベゼル26は、図2に示すように、ケース本体22とほぼ同じ肉厚のリング状に形成され、その高さが中枠10の上端部から時計ガラス2の上面までの高さとほぼ同じ高さに形成され、その上部外周が緩やかに傾斜する傾斜面に形成されている。
【0033】
これにより、第1ベゼル26は、図2に示すように、ケース本体22の上部に取り付けられた状態で、その内周面におけるほぼ中間部に鍔部17がリング状に形成され、このリング状の鍔部17の上部側に時計ガラス2がパッキン3を介して装着されると共に、この鍔部17の下部側にリング状の見切り部材15が緩衝部材16を介して装着されるように構成されている。
【0034】
また、第2ベゼル27は、図2に示すように、断面がほぼ扇形状で、全体がリング状に形成され、装飾部材23の上面に取り付けられると共に、第1ベゼル26の外周の側面にも密着して配置され、この状態で上面側が緩やかに傾斜する湾曲傾斜面に形成されている。これにより、ケース本体22と装飾部材23とは、その上面側が第1、第2ベゼル26、27からなる外装部材24によって外部からまったく見えないように覆われている。
【0035】
一方、金属製の裏蓋25は、その外径が装飾部材23の下面における外径とほぼ同じ大きさの円形の皿状に形成され、ケース本体22および装飾部材23の両者の下部全体を覆って配置され、この状態でケース本体22の下面に防水リング28を介してビス29により取り付けられている。この場合、裏蓋25の上面には、磁性シート30が少なくともアンテナ9の下側に対応して配置されている。この磁性シート30は、ミクロンオーダの金属磁性体粉末を樹脂中に分散・混合し、シート化したものであり、磁性シート30は、金属製の裏蓋25よりも透磁率が高く、かつ導電率が低い。そして、磁性シート30の上面にはアンテナ9の下面側を保護する緩衝シート31が配置されている。また、裏蓋25の上面における所定個所には、中枠10および地板19を腕時計ケース1内に弾力的に支持する緩衝部材32が配置されている。
【0036】
このような電子腕時計の腕時計ケース1によれば、内部にアンテナ9が収容される合成樹脂製のケース本体22と、このケース本体22の外周面にアンテナ9と対向して取り付けられた軟質合成樹脂製の装飾部材23とを備えているので、ケース本体22および装飾部材23の上部側を金属製の外装部材24で覆っても、またケース本体22の下部側を金属製の裏蓋25で覆っても、図2および図3に示すように、合成樹脂製のケース本体22および軟質合成樹脂製の装飾部材23によって標準時刻情報を含む電波を取り込むことができる。
【0037】
また、アンテナ9が電波を受信すると、アンテナ9から反磁束が発生し、アンテナ9の近くに金属部材があると、アンテナ9から発生された反磁束が金属を通過する。金属部材には、通過しようとしている反磁束を打ち消すように渦電流が発生し、この渦電流により受信性能が低下してしまう。しかしながら、合成樹脂製のケース本体22および軟質合成樹脂製の装飾部材23には、渦電流が発生しないので、受信性能が低下することを防止できる。
【0038】
また、裏蓋25の上面には、磁性シート30が貼り付けられているので、電波受信時に金属製裏蓋25に発生する渦電流を抑えることができる。
即ち、裏蓋25内面に裏蓋25よりも透磁率が高く、かつ導電率が低い磁性シート30を貼り付けると、アンテナ9から発生された反磁束の大部分が透磁率の高い磁性シート30を通過する。この磁性シート30は導電率が低い為、磁力線が通過しても渦電流は発生しにくく、また、裏蓋25を通過する磁力線が少なくなるので裏蓋25に発生する渦電流を抑えられ、受信性能の低下を防止できる。
【0039】
また、この腕時計ケース1では、ケース本体22および装飾部材23の上部側に金属製の外装部材24を設け、ケース本体22および装飾部材23の下部側に金属製の裏蓋25を設けたので、ケース本体22および装飾部材23の上部側および下部側を金属製の外装部材24と金属製の裏蓋25とによって覆うことができ、このため外部から見える多くの部分を金属にすることができるので、金属調の外観を得ることができ、これにより装飾性を高めることができる。
【0040】
この場合、ケース本体22の外周面にアンテナ9と対向して設けられた軟質合成樹脂製の装飾部材23が外部から見えるため、この装飾部材23によってアクセント的な装飾効果をも付加することができ、これによっても装飾性を高めることができる。特に、装飾部材23はその外周面に凹凸模様の装飾部23aが施されていることにより、この装飾部材23の外周面に施された凹凸模様の装飾部23aによっても、装飾効果を付加することができるので、より一層、装飾性の高いものを得ることができる。
【0041】
また、外装部材24は、ケース本体22の上部に取り付けられる金属製の第1ベゼル26と、装飾部材23の上部に取り付けられて第1ベゼル26の外周の側面に密着する第2ベゼル27とを備えているので、外装部材24の組み立て作業性が良いばかりか、第1、第2ベゼル26、27によって金属調の装飾効果を得ることができると共に、第1、第2ベゼル26、27の段差や凹凸によって立体的な装飾効果をも付加することができ、これによっても、装飾性を高めることができる。
【0042】
さらに、この腕時計ケース1では、外装部材24の第1ベゼル26に時計ガラス2がパッキン3を介して装着されていることにより、この時計ガラス2を通して腕時計ケース1内の文字板12および指針13を見ることができる。このため、腕時計ケース1内に時刻などの情報を指示するアナログムーブメント8を設けても、このアナログムーブメント8によって指示される時刻などの情報を腕時計ケース1の外部から良好に視認することができ、これにより電子腕時計として良好に使用することができる。
【0043】
なお、上記実施形態1では、腕時計ケース1内における9時側にアンテナ9を片寄らせて配置した場合について述べたが、これに限らず、例えば腕時計ケース1内における3時側にアンテナ9を片寄らせて配置した構成でも良い。この場合には、腕時計ケース1の9時側に複数の押釦スイッチ5を設ければ良い。このように構成しても、実施形態1と同様の作用効果がある。
【0044】
(実施形態2)
次に、図4を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図3に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、アンテナ35を腕時計ケース1内の6時側に配置した構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0045】
すなわち、このアンテナ35は、実施形態1と同様、高透磁率材からなる角棒状のコア20と、このコア20の外周面に巻き付けられたコイル21とを備え、全体がほぼ丸棒状に形成されている。また、このアンテナ35は、図4に示すように、上部ハウジング6と下部ハウジング7とにおける6時側に設けられたアンテナ収納部35a内に、その一端(図4では左端)を3時側に向け、他端(図4では右端)を9時側に向けた状態で6時側に片寄って配置され、この状態でコア20の両端部が回路基板18に取り付けられていると共に、コイル21が回路基板18に電気的に接続された構成になっている。
【0046】
なお、腕時計ケース1は、実施形態1と同様、合成樹脂製のケース本体22と、このケース本体22の外周面にアンテナ35と対向して取り付けられた軟質合成樹脂製の装飾部材23と、ケース本体22および装飾部材23の両者の上部側に取り付けられる金属製の外装部材24と、ケース本体22および装飾部材23の両者の下部側に取り付けられる金属製の裏蓋25とを備えている。この場合にも、外装部材24は、図1および図2に示したように、ケース本体22の上部に取り付けられる金属製の第1ベゼル26と、装飾部材23の上部に取り付けられる金属製の第2ベゼル27とで構成されている。
【0047】
このような腕時計ケース1においても、実施形態1と同様、内部にアンテナ35が収容される合成樹脂製のケース本体22と、このケース本体22の外周面にアンテナ35と対向して取り付けられた軟質合成樹脂製の装飾部材23とを備えているので、ケース本体22および装飾部材23の上部側を金属製の外装部材24で覆っても、またケース本体22の下部側を金属製の裏蓋25で覆っても、図4に示すように、合成樹脂製のケース本体22および軟質合成樹脂製の装飾部材23によって電波を取り込むことができ、これにより金属製の外装部材24および金属製の裏蓋25による影響を受けずに、アンテナ35で標準時刻情報を含む電波を確実に且つ良好に受信することができる。
【0048】
この場合にも、ケース本体22および装飾部材23には、渦電流が発生せず、また、磁性シート30によって裏蓋25に渦電流が発生するのを防止できる。
【0049】
また、この腕時計ケース1においても、ケース本体22および装飾部材23の上部側に金属製の外装部材24を取り付け、ケース本体22および装飾部材23の下部側に金属製の裏蓋25を取り付けたので、実施形態1と同様、ケース本体22および装飾部材23の上部側および下部側を金属製の外装部材24と金属製の裏蓋25とによって覆うことができ、これにより外部から見える多くの部分が金属になり、金属調の外観を得ることができるので、装飾性を高めることができる。特に、ケース本体22の外周面にアンテナ35と対向して設けられた軟質合成樹脂製の装飾部材23が外部から見えるので、この装飾部材23によってアクセント的な装飾効果をも付加することができ、これによっても装飾性を高めることができる。
【0050】
さらに、この腕時計ケース1においても、外装部材24の第1ベゼル26に時計ガラス2がパッキン3を介して装着されていることにより、この時計ガラス2を通して腕時計ケース1内の文字板12および指針13を見ることができる。このため、腕時計ケース1内に時刻などの情報を指示するアナログムーブメント8を設けても、このアナログムーブメント8によって指示される時刻などの情報を腕時計ケース1の外部から良好に視認することができ、これにより電子腕時計として良好に使用することができる。
【0051】
なお、上記実施形態2では、アンテナ35を腕時計ケース1内における6時側に配置した場合について述べたが、これに限らず、例えばアンテナ35を腕時計ケース1内における12時側に配置した構成でも良く、また実施形態1、2およびその各変形例に限らず、アンテナ9、35は、腕時計ケース1のケース本体22の内周面に沿って接近した位置であれば、どのような位置に配置しても良い。
【0052】
また、上記実施形態1または2では、裏蓋25が、ケース本体22および装飾部材23の両者の下部全体を覆って配置された状態で、ケース本体22の下面にビス29によって取り付けられている場合について述べたが、これに限らず、例えば裏蓋はケース本体22の下部側のみを覆って配置された状態でケース本体22の下面にビス29によって取り付けられた構成でも良い。この場合には、ケース本体22の外周面に取り付けられた装飾部材23が裏蓋で覆われていないため、外部に露呈するが、腕時計ケース1を腕に取り付けたときには、装飾部材23の下部側はほとんど外部から見えない。このため、必ずしも裏蓋で装飾部材23の下部側を覆う必要はない。
【0053】
また、上記実施形態1または2では、腕時計ケース1のケース本体22が全て合成樹脂によって形成されている場合について述べたが、これに限らず、例えばケース本体22のうち、少なくともアンテナ9または35に対向する個所のみを合成樹脂などの非金属で形成し、これ以外の部分を金属で形成した構成でも良い。この場合にも、ケース本体22の外周面には、軟質合成樹脂からなる装飾部材23がアンテナ9または35に対向して取り付けられていれば良い。
【0054】
また、上記実施形態1または2では、アナログ機能部とデジタル機能部とのうち、アナログ機能部を備えた場合について述べたが、これに限らず、デジタル機能部を備えた構成でも良い。この場合には、アナログムーブメント8に代えて、液晶表示部やEL表示部(エレクトロルミネッセンス表示部)などの平面型の表示部を設け、この表示部に時刻などの情報を表示するように構成すれば良い。また、これに限らず、アナログ機能部とデジタル機能部との両方を備えた構成でも良い。
【0055】
さらに、上記実施形態1または2では、電子機器として、腕時計に適用した場合について述べたが、これに限らず、例えばトラベルウォッチや置き時計、目覚まし時計、掛け時計などの電子時計にも適用することができるほか、表示手段として、液晶表示部やEL表示部(エレクトロルミネッセンス表示部)などの平面型の表示部を用いれば、携帯電話機やPDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などのアンテナを内蔵する電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明を電子腕時計に適用した拡大正面図である。(実施形態1)
【図2】図1のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図2の裏蓋を取り外して下面側から見た拡大裏面図である。
【図4】この発明を適用した電子腕時計において裏蓋を取り外して下面側から見た拡大裏面図である。(実施形態2)
【符号の説明】
【0057】
1 腕時計ケース
2 時計ガラス
4 時計モジュール
6 上部ハウジング
7 下部ハウジング
8 アナログムーブメント
9、35 アンテナ
22 ケース本体
23 装飾部材
24 外装部材
25 裏蓋
26 第1ベゼル
27 第2ベゼル
30 磁性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にアンテナを収容する機器ケースにおいて、
前記機器ケースは、少なくとも前記アンテナに対向する個所が非金属で形成された本体部と、この本体部の上部側を覆う金属製の上部カバー部と、前記本体部の下部側を覆う金属製の下部カバー部とを備えたことを特徴とする機器ケース。
【請求項2】
前記本体部は、合成樹脂製のケース本体と、このケース本体の周囲に前記アンテナと対向して設けられた軟質合成樹脂製の装飾部材とからなることを特徴とする請求項1に記載の機器ケース。
【請求項3】
前記下部カバー部の上面には、磁性シートが少なくとも前記アンテナに対向して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の機器ケース。
【請求項4】
前記上部カバー部には、保護ガラスが装着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機器ケース。
【請求項5】
内部にアンテナが収容される合成樹脂製のケース本体と、
このケース本体の周囲に前記アンテナと対向して取り付けられた軟質樹脂部材と、
前記ケース本体および前記軟質樹脂部材の上部側に取り付けられた金属製の外装部材と、
少なくとも前記ケース本体の下部側に取り付けられた金属製の裏蓋と
を備えたことを特徴とする腕時計ケース。
【請求項6】
前記裏蓋の上面には、磁性シートが少なくとも前記アンテナに対向して設けられていることを特徴とする請求項5に記載の腕時計ケース。
【請求項7】
前記外装部材には、時計ガラスが装着されていることを特徴とする請求項6または2に記載の腕時計ケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate