説明

正立等倍レンズアレイプレート、光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置

【課題】所望の光学特性を達成できる正立等倍レンズアレイプレートを提供する。
【解決手段】正立等倍レンズアレイプレート11は、両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とが対向するように配置されている。第1レンズアレイプレート24は、第1レンズ間距離規定部24cを備える。第2レンズアレイプレート26は、第2レンズ間距離規定部26cを備える。第1レンズ間距離規定部24cと第2レンズ間距離規定部26cとが当接することで、対向するレンズ間の距離Dが規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置や画像書込装置に用いられる正立等倍レンズアレイプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ等の画像読取装置として、正立等倍結像光学系を用いた装置が知られている。正立等倍結像光学系を用いた場合、縮小結像光学系の場合よりも装置をコンパクトにすることができる。画像読取装置の場合、正立等倍結像光学系は、ライン状光源と、正立等倍レンズアレイと、ラインイメージセンサから構成される。
【0003】
正立等倍結像光学系における正立等倍レンズアレイとしては、正立等倍像を結像可能なロッドレンズアレイが用いられる。ロッドレンズアレイは、通常はレンズアレイの長手方向(画像読取装置の主走査方向)にロッドレンズが配列される。ロッドレンズの列数を増加することで、光量伝達率の向上、透過光量ムラの低減が図れるが、ロッドレンズアレイの場合、ロッドレンズの列数は、価格とのかねあいで1〜2列が一般的である。
【0004】
一方、正立等倍レンズアレイとして、両面に複数の微小凸レンズを規則的に配列した透明な平板状レンズアレイプレートを、個々の凸レンズの光軸が一致するように2枚積層した正立等倍レンズアレイプレートも構成可能である。このような正立等倍レンズアレイプレートは、射出成形などの方法により形成できるため、正立等倍レンズアレイを比較的安価に製造することができる。
【0005】
正立等倍レンズアレイプレートでは、隣接したレンズ間に光を隔離するための壁が無いため、正立等倍レンズアレイプレートに斜めに入射した光が、プレート内部を斜めに進んで隣接した凸レンズに入り込み、出射してノイズ(ゴーストノイズともいう)を発生するという問題がある。
【0006】
そこで、ゴーストノイズを低減するために、2枚のレンズアレイプレート間に遮光部材(以下、中間遮光部材と称する)を設けた正立等倍レンズアレイプレートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−069801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された正立等倍レンズアレイプレートにおいては、中間遮光部材は2枚のレンズアレイプレートにより挟み込まれている。言い換えると、2枚のレンズアレイプレートのレンズ間距離は、中間遮光部材の厚さによって規定されている。正立等倍レンズアレイプレートにおいては、所望の光学特性を実現するためにレンズ間距離は非常に重要である。従って、特許文献1に開示された正立等倍レンズアレイプレートの場合、中間遮光部材の厚さは正確に制御されなければならない。
【0009】
中間遮光部材は、一般的に、例えば黒色のABS樹脂などの光吸収性材料を用いて、射出成形により形成される。中間遮光部材は、レンズアレイプレートの複数のレンズに対応する複数の開口部(貫通孔)を設けるために、貫通孔を形成するピン状の金型とこれを受ける金型を用いて形成される。しかしながら、実際の製造においては、ピン状の金型を用いるため、ピンに沿ったバリが貫通孔からレンズアレイプレートに対して垂直方向に発生しやすい(縦バリとも称される)。貫通孔に縦バリが発生すると、特許文献1のように中間遮光部材を2枚のレンズアレイプレートにより挟み込む構造の場合、貫通孔とレンズとの間にバリが挟まって隙間が生じ、光学特性に悪影響を与える可能性がある。バリを例えば研磨により削ればこの問題は解決できるが、このバリは非常に小さいので除去するのは容易ではない。また、除去できたとしても、このバリ除去行程分だけ製造コストが上昇する。
【0010】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、所望の光学特性を達成できる正立等倍レンズアレイプレート、並びに該正立等倍レンズアレイプレートを用いた光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の正立等倍レンズアレイプレートは、両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが対向するように配置された正立等倍レンズアレイプレートであって、第1レンズアレイプレートおよび/または第2レンズアレイプレートは、対向するレンズ間の距離を規定するためのレンズ間距離規定部を備える。
【0012】
レンズ間距離規定部は、第1レンズアレイプレートおよび/または第2レンズアレイプレートと一体成形されていてもよい。
【0013】
レンズ間距離規定部は、第1レンズアレイプレートおよび/または第2レンズアレイプレートの対向面におけるレンズ部以外の部位から突出するように形成されていてもよい。
【0014】
レンズ間距離規定部は、当該レンズアレイプレートの主走査方向に延びるように形成されていてもよい。
【0015】
第1レンズアレイプレートおよび第2レンズアレイプレートそれぞれにレンズ間距離規定部が形成されており、互いのレンズ間距離規定部同士が当接することで対向するレンズ間の距離が規定されてもよい。
【0016】
第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートは同一形状に形成されていてもよい。
【0017】
第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に、それらの少なくとも一方から離間するよう設けられた中間遮光部材をさらに備えてもよい。
【0018】
本発明の別の態様もまた、正立等倍レンズアレイプレートである。この正立等倍レンズアレイプレートは、両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが対向するように配置された正立等倍レンズアレイプレートであって、第2レンズアレイプレートの外側面を覆うように設けられた遮光部材をさらに備える。遮光部材は、第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートの対向するレンズ間の距離を規定するためのレンズ間距離規定部を備える。
【0019】
遮光部材は、第2レンズアレイプレートの外側面を覆う遮光部と、遮光部から突出するように形成されたレンズ間距離規定部とを備えてもよい。第2レンズアレイプレートは、遮光部と当接することにより遮光部材との相対位置が規定され、第1レンズアレイプレートは、レンズ間距離規定部の先端部と当接することにより遮光部材との相対位置が規定されてもよい。
【0020】
第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に、それらの少なくとも一方から離間するよう設けられた中間遮光部材をさらに備えてもよい。
【0021】
遮光部材は、第2レンズアレイプレートの外側面を覆う遮光部と、遮光部から突出するように形成されたレンズ間距離規定部とを備えてもよい。第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとの間に、第2レンズアレイプレートから離間するようレンズ間距離規定部により保持された中間遮光部材をさらに備えてもよい。第2レンズアレイプレートは、遮光部と当接することにより遮光部材との相対位置が規定され、第1レンズアレイプレートは、中間遮光部材と当接することにより遮光部材との相対位置が規定されてもよい。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、光走査ユニットである。この光走査ユニットは、被読取画像に光を照射するライン状光源と、被読取画像から反射した光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレートと、正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光するラインイメージセンサとを備える。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、画像読取装置である。この装置は、上述の光走査ユニットと、光走査ユニットによって検出された画像信号を処理する画像処理部と、を備える。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、画像書込装置である。この装置は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイと、LEDアレイから出射された光を集光する正立等倍レンズアレイプレートと、正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光する感光体ドラムとを備える。
【0025】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、所望の光学特性を達成できる正立等倍レンズアレイプレート、並びに該正立等倍レンズアレイプレートを用いた光走査ユニット、画像読取装置および画像書込装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置を説明するための図である。
【図2】本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートの概略斜視図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを説明するための断面図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを説明するための断面図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係る画像書込装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置100を説明するための図である。図1において、横方向が副走査方向であり、奥行き方向が主走査方向である。
【0029】
図1に示すように、画像読取装置100は、筐体102、原稿Gを載置する原稿台としてのガラス板14、筐体102内に収容された光走査ユニット10、光走査ユニット10を走査する駆動機構(図示せず)、光走査ユニット10によって読み取られたデータを処理する画像処理部(図示せず)等を備える。
【0030】
光走査ユニット10は、ガラス板14上に載置された原稿Gに光を照射するライン状光源16と、原稿Gからの反射光を集光する正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11により集光された光を受けるラインイメージセンサ(光電変換素子)20と、ライン状光源16、正立等倍レンズアレイプレート11およびラインイメージセンサ20を固定するケース(図示せず)とを備える。
【0031】
ライン状光源16は、略直線状の光を出射する光源である。ライン状光源16は、その光軸が、正立等倍レンズアレイプレート11の光軸Axとガラス板14の上面との交点を通るように固定される。ライン状光源16から出射された光は、ガラス板14上に置かれた原稿Gに照射される。原稿Gに照射された光は、原稿Gにより正立等倍レンズアレイプレート11に向けて反射される。
【0032】
正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26とが対向するように配置されたものである。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、長方形状のプレートであり、その両面には複数の凸レンズが配列形成されている。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、ホルダ(図示せず)により保持されている。
【0033】
第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26は、射出成形により形成される。第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26の材質は、射出成形に使用可能で、必要な波長帯域の光に対して光透過性が高く、吸水性の低いものが望ましい。望ましい材質としては、シクロオレフィン系樹脂や、オレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネートなどを例示することができる。
【0034】
第1レンズアレイプレート24の外側面(原稿側面)上には、複数の第1レンズ24aが、第1レンズアレイプレート24の長手方向(主走査方向)に沿って一列に配列されている。また、第1レンズアレイプレート24の内側面(第2レンズアレイプレート26と対向する面)上には、複数の第2レンズ24bが、第1レンズアレイプレート24の長手方向に沿って一列に配列されている。
【0035】
第2レンズアレイプレート26の内側面(第1レンズアレイプレート24と対向する面)上には、複数の第3レンズ26aが、第2レンズアレイプレート26の長手方向(主走査方向)に沿って一列に配列されている。また、第2レンズアレイプレート26の外側面(ラインイメージセンサ側面)上には、複数の第4レンズ26bが、第2レンズアレイプレート26の長手方向に沿って一列に配列されている。
【0036】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの組が共軸のレンズ系を構成するように内側面同士を対向させて積層される。言い換えると、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は、対応する第1レンズ24a、第2レンズ24b、第3レンズ26a、第4レンズ26bの光軸が一致するように積層される。
【0037】
第1レンズアレイプレート24の外側面上には、第1遮光部材30が設けられている。この第1遮光部材30は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の第1貫通孔30aが形成されている。第1貫通孔30aは、第1遮光部材30の長手方向(主走査方向)に沿って一列に、第1レンズアレイプレート24の第1レンズ24aと対応するように形成されている。第1遮光部材30は、各第1貫通孔30aが対応する第1レンズ24aの正面に位置するように設けられる。
【0038】
第2レンズアレイプレート26の外側面上には、第2遮光部材32が設けられている。この第2遮光部材32もまた、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の第2貫通孔32aが形成されている。第2貫通孔32aは、第2遮光部材32の長手方向(主走査方向)に沿って一列に、第2レンズアレイプレート26の第4レンズ26bと対応するように形成されている。第2遮光部材32は、各第2貫通孔32aが対応する第4レンズ26bの正面に位置するように設けられる。
【0039】
第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間には中間遮光部材34が設けられている。この中間遮光部材34は、遮光性材料によって形成されたプレート状の遮光部材であり、複数の中間貫通孔34aが形成されている。中間貫通孔34aは、中間遮光部材34の長手方向(主走査方向)に沿って一列に、第2レンズ24bと第3レンズ26aと対応するように形成されている。中間遮光部材34は、各中間貫通孔34aが対応する第2レンズ24bおよび第3レンズ26aの正面に位置するように、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26との間に設けられる。本実施形態においては、中間遮光部材34は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の両方から離間して設けられている。言い換えると、中間遮光部材34は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26に接触していない。中間遮光部材34は、図示しないホルダにより保持されている。
【0040】
第1遮光部材30、第2遮光部材32および中間遮光部材34は、例えば黒色のABS樹脂などの光吸収性材料を用いて、射出成形などの方法により形成することができる。第1遮光部材30、第2遮光部材32および中間遮光部材34は、正立等倍レンズアレイプレート11を斜めに通過する光を遮光し、ゴーストノイズを低減する機能を有する。
【0041】
以上のように構成された正立等倍レンズアレイプレート11は、その長手方向が主走査方向に、短手方向が副走査方向に一致するように画像読取装置100に装着される。
【0042】
正立等倍レンズアレイプレート11は、上方に位置する原稿Gから反射されたライン状の光を受けて、下方に位置する像面、すなわちラインイメージセンサ20の受光面に正立等倍像を形成する。画像読取装置100は、光走査ユニット10を副走査方向に走査することにより、原稿Gを読み取ることができる。
【0043】
図2は、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11の概略斜視図である。図2においては、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26のみ図示しており、第1遮光部材30、第2遮光部材32および中間遮光部材34の図示を省略している。
【0044】
図2に示すように、第1レンズアレイプレート24は、第2レンズアレイプレート26と対向する面における第2レンズ24b以外の部位から突出するように形成された第1レンズ間距離規定部24cを備える。また、第2レンズアレイプレート26は、第1レンズアレイプレート24と対向する面における第3レンズ26a以外の部位から突出するように形成された第2レンズ間距離規定部26cを備える。第1レンズ間距離規定部24cおよび第2レンズ間距離規定部26cは、対向する第2レンズ24bと第3レンズ26aとの間の距離D(以下、レンズ間距離Dとも称する)を規定するために設けられる。
【0045】
第1レンズ間距離規定部24cおよび第2レンズ間距離規定部26cは、各レンズアレイプレートの長手方向(主走査方向)に延びるように形成されている。図2においては、各レンズ間距離規定部は、主走査方向に連続的に延びる突起部として形成されているが、断続的に形成されてもよい。また、第1レンズ間距離規定部24cおよび第2レンズ間距離規定部26cの先端は平坦面とされている。第1レンズ間距離規定部24cおよび第2レンズ間距離規定部26cは、それぞれ第1レンズアレイプレート24および第2レンズアレイプレート26と一体成形されている。
【0046】
図2に示すように、正立等倍レンズアレイプレート11においては、第1レンズ間距離規定部24cの先端の平坦面と第2レンズ間距離規定部26cの先端の平坦面とが当接することで、レンズ間距離Dが規定される。中間遮光部材34はレンズ間距離Dの規定に関与していない。このように中間遮光部材34に代えて第1レンズ間距離規定部24cおよび第2レンズ間距離規定部26cを用いてレンズ間距離Dを規定することで、仮に中間遮光部材34の中間貫通孔34aにバリが発生しても、レンズ間距離Dの変動が生じにくくなる。
【0047】
レンズアレイプレートは、その寸法精度が光学特性に直接影響するので、元々正確な厚み制御が必要な部材である。本実施形態では、その厚みが正確に制御されたレンズアレイプレートにレンズ間距離を規定する機能を持たせることで、所望の(設計値通りの)レンズ間距離Dを達成できる。一方、中間遮光部材34にはそれほど高精度な厚み制御が要求されなくなるので、歩留まりを向上できる。また、バリの除去工程を省略できるので、製造コストを低減できる。
【0048】
また、レンズアレイプレートや中間遮光部材を射出成形で製造する場合、レンズ間距離の設計を変更するときには成形用金型を修正する必要がある。このような場合、従来のように中間遮光部材を用いてレンズ間距離を規定する構成においては、比較的複雑な形状の中間遮光部材成形用金型を修正する必要があるので、レンズ間距離の設計変更は容易ではない。一方、本実施形態のようにレンズ間距離規定部を用いる構成においては、シンプルな形状のレンズ間距離規定部の高さを修正するだけでよいので、レンズ間距離の設計変更を容易に行うことができる。
【0049】
本実施形態においては、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は略同一形状に形成されている。この場合、別々の形状の2つのレンズアレイプレートを用意する必要がないので、部品コストを低減できる。
【0050】
しかしながら、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26は異なる形状に形成されてもよい。例えば、本実施形態では、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の両方にレンズ間距離規定部を形成したが、いずれか一方のレンズアレイプレートにのみレンズ間距離規定部を形成し、他方のレンズアレイプレートに当接させてもよい。この場合も、上記と同様にレンズ間距離の精度を向上できる。
【0051】
本実施形態においては、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の両方から離間するよう中間遮光部材34を設けたが、少なくとも一方のレンズアレイプレートから離間するように設けられていればよい。言い換えると、中間遮光部材34が両方のレンズアレイプレートに接触していなければよい。これは、中間遮光部材34が両方のレンズアレイプレートに接触していると、中間遮光部材34のバリの影響を受けるおそれがあるためである。
【0052】
図3は、本発明の別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを説明するための断面図である。図3において、横方向が副走査方向であり、奥行き方向が主走査方向である。
【0053】
図3に示すように、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と、第2レンズアレイプレート26と、第1遮光部材30と、第2遮光部材32と、中間遮光部材34とを備える。各構成要素の基本的な機能は図1および図2に示す正立等倍レンズアレイプレートと同様である。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11は、レンズ間距離Dを規定するための構造が図1および図2に示す正立等倍レンズアレイプレートと異なる。
【0054】
本実施形態において、第2遮光部材32は、第2レンズアレイプレート26の外側面(ラインイメージセンサ側面)を覆う平板状の遮光部32bと、遮光部32bの副走査方向両端部から突出するように形成されたレンズ間距離規定部32cとを備える。遮光部32bとレンズ間距離規定部32cは一体成形されている。本実施形態においては、この第2遮光部材32に設けられたレンズ間距離規定部32cによって、レンズ間距離Dが規定される。
【0055】
図3に示すように、第2レンズアレイプレート26は、その外側面(ラインイメージセンサ側面)が第2遮光部材32の遮光部32bの内側面と当接することにより第2遮光部材32との相対位置が規定される。図3では第2レンズアレイプレート26の第4レンズ26bが遮光部32bと接触しているが、第2レンズアレイプレート26の外側面における第4レンズ26b以外の平坦部が遮光部32bと接触していてもよい。
【0056】
一方、第1レンズアレイプレート24は、その内側面(第2レンズアレイプレート26と対向する面)がレンズ間距離規定部32cの先端部と当接することにより第2遮光部材32との相対位置が規定される。また、第1レンズアレイプレート24の外側面上には第1遮光部材30が設けられており、この第1遮光部材30と第2遮光部材32により第1レンズアレイプレート24が挟み込まれている。
【0057】
中間遮光部材34は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の両方から離間して設けられている。つまり、中間遮光部材34は、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26に接触していない。中間遮光部材34は、レンズ間距離規定部32cにより保持されている。
【0058】
このように本実施形態においては、レンズ間距離Dは第2遮光部材32を基準として規定されている。中間遮光部材34はレンズ間距離Dの規定に関与していない。これにより、仮に中間遮光部材34の中間貫通孔34aにバリが発生しても、レンズ間距離Dの変動が生じにくくなる。なお、本実施形態においては、第2レンズアレイプレート26と遮光部32bとが当接する構造となっているが、第2貫通孔32aのバリが外側方向(ラインイメージセンサ方向)に出るように第2遮光部材32を製造すれば、バリにより第2レンズアレイプレート26が遮光部32bから浮き上がってレンズ間距離が変動する事態を回避できる。
【0059】
また本実施形態においても、シンプルな形状のレンズ間距離規定部32cの高さを修正するだけでよいので、レンズ間距離の設計変更を容易に行うことができる。
【0060】
本実施形態においては、第1レンズアレイプレート24と第2レンズアレイプレート26の両方から離間するよう中間遮光部材34を設けたが、少なくとも一方のレンズアレイプレートから離間するように設けられていればよい。つまり、中間遮光部材34が両方のレンズアレイプレートに接触していなければよい。
【0061】
図4は、本発明のさらに別の実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレートを説明するための断面図である。図4において、横方向が副走査方向であり、奥行き方向が主走査方向である。
【0062】
図4に示すように、本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11は、第1レンズアレイプレート24と、第2レンズアレイプレート26と、第1遮光部材30と、第2遮光部材32と、中間遮光部材34とを備える。各構成要素の基本的な機能は図1および図2に示す正立等倍レンズアレイプレートと同様である。本実施形態に係る正立等倍レンズアレイプレート11は、レンズ間距離Dを規定するための構造が上述の正立等倍レンズアレイプレートと異なる。
【0063】
本実施形態において、第2遮光部材32は、第2レンズアレイプレート26の外側面(ラインイメージセンサ側面)を覆う平板状の遮光部32bと、遮光部32bの副走査方向両端部から突出するように形成されたレンズ間距離規定部32cとを備える。遮光部32bとレンズ間距離規定部32cは一体成形されている。
【0064】
本実施形態において、中間遮光部材34は、第2レンズアレイプレート26から離間した状態で、第2遮光部材32のレンズ間距離規定部32cにより保持されている。
【0065】
図4に示すように、第2レンズアレイプレート26は、その外側面が第2遮光部材32の遮光部32bの内側面と当接することにより第2遮光部材32との相対位置が規定される。図4では第2レンズアレイプレート26の第4レンズ26bが遮光部32bと接触しているが、第2レンズアレイプレート26の外側面における第4レンズ26b以外の平坦部が遮光部32bと接触していてもよい。
【0066】
一方、第1レンズアレイプレート24は、その内側面が中間遮光部材34の上面(原稿側面)と当接することにより第2遮光部材32との相対位置が規定される。また、第1レンズアレイプレート24の外側面上には第1遮光部材30が設けられており、この第1遮光部材30と中間遮光部材34により第1レンズアレイプレート24が挟み込まれている。
【0067】
このように本実施形態においては、第2レンズアレイプレート26の位置は第2遮光部材32により規定され、第1レンズアレイプレート24の位置は中間遮光部材34を介して第2遮光部材32により規定されている。つまり、本実施形態におけるレンズ間距離Dもまた、第2遮光部材32を基準として規定されている。
【0068】
本実施形態においては、中間遮光部材34と第1レンズアレイプレート24とが当接し、中間遮光部材34と第2レンズアレイプレート26とが離間する構造となっているため、中間貫通孔34aのバリが下方向(第2レンズアレイプレート方向)に出るように中間遮光部材34を製造すれば、バリによるレンズ間距離の変動を回避できる。
【0069】
また本実施形態においては、第2遮光部材32による中間遮光部材34の保持位置を修正するだけでよいので、レンズ間距離の設計変更を容易に行うことができる。
【0070】
図5は、本発明の別の実施形態に係る画像書込装置200を説明するための図である。図5に示すように、画像書込装置200は、複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイ206と、LEDアレイ206が搭載された基板204と、LEDアレイ206を制御する制御部202と、LEDアレイ206から出射された光を集光する上述の正立等倍レンズアレイプレート11と、正立等倍レンズアレイプレート11を透過した光を受光する感光体ドラム208と、上記構成要素を収容する筐体210とを備える。なお、図5においては、感光体ドラム208の周辺に設けられる現像装置、転写装置などについては図示を省略している。図1に示す画像読取装置100の原稿Gを、画像書込装置200では感光体ドラム208に置き換え、更に、画像読取装置100のラインイメージセンサ20を画像書込装置200のLEDアレイ206に置き換えることで、画像読取装置100に関して説明した事項は、画像書き込み装置にも当てはまる。
【0071】
画像書込装置200は、LEDを光源に用いた所謂LEDプリントヘッド方式の画像書込装置である。LEDプリントヘッド方式は、画素と発光源が1対1に対応しており、走査機構が不要である。従って、レーザ光源とポリゴンミラーを組み合わせたレーザROS(Raster Output Scanner)方式と比べて、装置を小型且つ軽量化できる。
【0072】
従来、LEDプリントヘッド方式の正立等倍レンズアレイとしては、ロッドレンズアレイが用いられていたが、本発明に係る正立等倍レンズアレイプレート11を用いることにより、より安価な画像書込装置200を実現できる。また、本発明に係る正立等倍レンズアレイプレート11を用いることにより、所望の光学特性を実現できるので、良好な画像を感光体ドラム208上に形成できる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0074】
10 光走査ユニット、 11 正立等倍レンズアレイプレート、 14 ガラス板、 16 ライン状光源、 20 ラインイメージセンサ、 24 第1レンズアレイプレート、 24c 第1レンズ間距離規定部、 26 第2レンズアレイプレート、 26c 第2レンズ間距離規定部、 30 第1遮光部材、 32 第2遮光部材、 32b 遮光部、 32c レンズ間距離規定部、 34 中間遮光部材、 34a 中間貫通孔、 100 画像読取装置、 200 画像書込装置、 202 制御部、 206 LEDアレイ、 208 感光体ドラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが対向するように配置された正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第1レンズアレイプレートおよび/または前記第2レンズアレイプレートは、対向するレンズ間の距離を規定するためのレンズ間距離規定部を備えることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項2】
前記レンズ間距離規定部は、前記第1レンズアレイプレートおよび/または前記第2レンズアレイプレートと一体成形されていることを特徴とする請求項1に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項3】
前記レンズ間距離規定部は、前記第1レンズアレイプレートおよび/または前記第2レンズアレイプレートの対向面におけるレンズ部以外の部位から突出するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項4】
前記レンズ間距離規定部は、当該レンズアレイプレートの主走査方向に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項5】
前記第1レンズアレイプレートおよび前記第2レンズアレイプレートそれぞれにレンズ間距離規定部が形成されており、互いのレンズ間距離規定部同士が当接することで対向するレンズ間の距離が規定されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項6】
前記第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートは略同一形状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項7】
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に、それらの少なくとも一方から離間するよう設けられた中間遮光部材をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項8】
両面に複数のレンズが形成された第1レンズアレイプレートと第2レンズアレイプレートとが対向するように配置された正立等倍レンズアレイプレートであって、
前記第2レンズアレイプレートの外側面を覆うように設けられた遮光部材をさらに備え、
前記遮光部材は、前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートの対向するレンズ間の距離を規定するためのレンズ間距離規定部を備えることを特徴とする正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項9】
前記遮光部材は、前記第2レンズアレイプレートの外側面を覆う遮光部と、前記遮光部から突出するように形成された前記レンズ間距離規定部とを備え、
前記第2レンズアレイプレートは、前記遮光部と当接することにより前記遮光部材との相対位置が規定され、
前記第1レンズアレイプレートは、前記レンズ間距離規定部の先端部と当接することにより前記遮光部材との相対位置が規定されることを特徴とする請求項8に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項10】
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に、それらの少なくとも一方から離間するよう設けられた中間遮光部材をさらに備えることを特徴とする請求項8または9に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項11】
前記遮光部材は、前記第2レンズアレイプレートの外側面を覆う遮光部と、前記遮光部から突出するように形成された前記レンズ間距離規定部とを備え、
前記第1レンズアレイプレートと前記第2レンズアレイプレートとの間に、前記第2レンズアレイプレートから離間するよう前記レンズ間距離規定部により保持された中間遮光部材をさらに備え、
前記第2レンズアレイプレートは、前記遮光部と当接することにより前記遮光部材との相対位置が規定され、
前記第1レンズアレイプレートは、前記中間遮光部材と当接することにより前記遮光部材との相対位置が規定されることを特徴とする請求項8に記載の正立等倍レンズアレイプレート。
【請求項12】
被読取画像に光を照射するライン状光源と、
前記被読取画像から反射した光を集光する請求項1から11のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレートと、
前記正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光するラインイメージセンサと、
を備えることを特徴とする光走査ユニット。
【請求項13】
請求項12に記載の光走査ユニットと、
前記光走査ユニットによって検出された画像信号を処理する画像処理部と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
複数のLEDがアレイ状に配列されたLEDアレイと、
前記LEDアレイから出射された光を集光する請求項1から11のいずれかに記載の正立等倍レンズアレイプレートと、
前記正立等倍レンズアレイプレートを透過した光を受光する感光体ドラムと、
を備えることを特徴とする画像書込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−185230(P2012−185230A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46816(P2011−46816)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】