説明

歯ブラシ除菌装置

【課題】より使い勝手の良い歯ブラシ除菌装置を得る。
【解決手段】歯ブラシ2内の通電機構を利用して、液槽4内に貯留された液体Lに、歯ブラシ2の先端部2dに形成された先端側電極9と液槽4内に露出した液槽内電極13との間を通電し、先端部2dを殺菌および除菌するようにした。支持台3には、歯ブラシ2の柄側電極10に当接する端子14と、液槽内電極13と端子14とを電気的に接続する導電経路15とが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシ除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯ブラシ除菌装置として、食塩水を電気分解して次亜塩素酸を含む電解水を生成し、歯ブラシの植毛部に、電解水を吹きかけたり当該電解水の蒸気を当てたりすることで、当該植毛部を除菌するようにしたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−312488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の歯ブラシ除菌装置では、水道水に食塩を加えて電気分解して電解水を生成するため、準備に手間がかかる上、時間がかかり、使い勝手が良くないという問題があった。また、電解水を歯ブラシに吹きかける場合、電解水が周囲に飛び散ってしまい、この点でも使い勝手が良くないものであった。
【0004】
そこで、本発明は、より使い勝手の良い歯ブラシ除菌装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にあっては、電源、当該電源の一方の極に接続され歯磨き時に口腔内に入る部分に設けられる先端側電極、および当該電源の他方の極に接続され柄の表面に露出して設けられる柄側電極、を有する歯ブラシと、当該歯ブラシを支持する支持台と、を備え、当該歯ブラシを支持台に支持した状態で除菌する歯ブラシ除菌装置であって、上記支持台には、液槽が形成されるとともに、当該液槽内に露出する液槽内電極と、当該液槽の外で上記柄側電極と接触して導通する端子と、当該液槽内電極と当該端子とを導通する導電経路と、が設けられ、上記支持台に、上記液槽に貯留した液体に上記先端側電極を浸漬し、かつ上記柄側電極と上記端子とを接触させ導通させた状態で上記歯ブラシを支持する支持機構を設けたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明にあっては、上記液槽に液体が貯留され、上記支持機構に歯ブラシが支持された状態で、上記液槽内電極と上記先端側電極との間に6V以上の電圧が印加されるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明にあっては、上記液槽内電極および上記先端側電極のうち少なくともいずれか一方が、液槽内の液体に殺菌性を有する金属イオンを溶出させる金属材料を含んでいることを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明にあっては、上記殺菌性を有する金属イオンを溶出させる金属材料は、銀、銅、または亜鉛であることを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明にあっては、上記液槽内電極を正極としたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明にあっては、上記先端側電極を正極としたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明にあっては、導電性を有するブリッスルを上記先端側電極として用いることを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明にあっては、ブリッスルの基台部分を上記先端側電極として用いることを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明にあっては、上記液槽内に貯留した液体を攪拌する攪拌機構を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明にあっては、歯ブラシに設けられて先端部を振動させる振動機構を上記攪拌機構として用いることを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明にあっては、上記先端部を乾燥させる乾燥機構を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明にあっては、上記歯ブラシ除菌装置で用いられる支持台である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、液槽に貯留した液体に先端部を浸漬しながら歯ブラシを支持台の支持機構に支持させ、液槽内の通電によって当該先端部を除菌することができる。したがって、従来装置のように水道水に食塩を加えて電解水を生成したり当該電解水を歯ブラシに吹きかけたり当該電解水の蒸気を生成したりする手間が要らず、また液体が飛び散ったりすることも無く、使い勝手の良い歯ブラシ除菌装置を得ることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、液槽内電極と上記先端側電極との間の電圧を6V以上とすることで、除菌作用をより確実に得ることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、液体内に溶出した殺菌性を有する金属イオンの作用により、殺菌作用を得ることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、銀、銅、または亜鉛を用いて電極を構成することで、殺菌作用を比較的容易に得ることができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、液槽内電極を正極とすることで、液槽内の液体に浸漬された先端部からマイナスに帯電した細菌を液槽内電極に引き寄せて除去することができる。
【0022】
請求項6の発明によれば、先端側電極を正極とすることで、液槽内の液体に浸漬された先端部からマイナスに帯電した細菌を先端側電極に引き寄せて除去することができる。
【0023】
請求項7の発明によれば、ブリッスル自体を電極として用いることで、最も細菌が付着して繁殖しやすい部分としてのブリッスルの除菌効率を高めることができる。
【0024】
請求項8の発明によれば、ブリッスルの基台部分を電極として用いることで、最も細菌が付着して繁殖しやすい部分としてのブリッスル根元の除菌効率を高めることができる。
【0025】
請求項9の発明によれば、撹拌機構によって液槽内の液体に動きを生じさせて、この動きにより先端部をより効率良く除菌することができる。
【0026】
請求項10の発明によれば、先端部を振動させる振動機構を攪拌機構に利用することで、振動機構と攪拌機構とを別個に設ける場合に比べて構造を簡素化することができる。
【0027】
請求項11の発明によれば、先端部を液体に浸漬して除菌した後に乾燥させることで、当該先端部で細菌が繁殖するのを抑制することができる。
【0028】
請求項12の発明によれば、液槽内の液体を通電するための電源を歯ブラシに設けたため、支持台を比較的簡素な構成として得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の各実施形態には、同様の構成要素が含まれている。それら同様の構成要素については共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0030】
(第1実施形態)図1〜図3は、本発明の第1実施形態を示しており、図1は、本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の側面図(一部断面図)、図2は、歯ブラシの縦断面図、図3は、液槽に貯留された液体に歯ブラシの先端部が浸漬された様子を示す模式図である。
【0031】
図1に示すように、歯ブラシ除菌装置1は、歯ブラシ2と、これを支持する支持台3とを備えている。支持台3は、略柱状の本体部3aを備えており、その下部には周囲を側壁3bで取り囲まれて上方を開口させた液槽4が形成されている。歯ブラシ2は、その先端側の植毛部2aを下にして、当該植毛部2aが液槽4内に貯留された液体L(例えば水道水)に浸漬された状態で、支持機構5によって支持台3に支持されるようになっている。
【0032】
支持機構5は、例えば、本体部3aの上部二箇所で歯ブラシ2の柄2bを支持する支持アーム5aを備えるものとして構成することができる。この場合、支持アーム5aを、歯ブラシ2の柄2bの外周を囲んで保持する姿勢と、当該柄2bを開放する姿勢との間で変形可能に構成し、支持アーム5aの開放姿勢で柄2bを所定位置にセットし、支持アーム5aを保持姿勢に変形させて閉状態でロックすることで、歯ブラシ2を除菌可能な状態にセットすることができる。そして、液槽4内に所定量の液体Lを入れ、支持機構5によって歯ブラシ2を支持することで、歯ブラシ2の植毛部2aが液体Lに浸漬するように設定されている。
【0033】
また、歯ブラシ2は、いわゆる電動歯ブラシとして構成されており、柄2bを含む本体部2cと、植毛部2aを含み本体部2cに可動支持された先端部2dとを備えている。そして、本体部2c内に内蔵された振動機構としての電動アクチュエータ(例えばリニアモータ等)7によって先端部2dを軸方向(図2の上下方向)に反復振動させることで、歯磨きの際の歯垢の除去効率を高めてある。この振動機構については、柄2bに設けたスイッチ16の操作によって、ON/OFFを切り換えたり、振幅や周波数を切り換えたりすることができる。また、ギヤ等を含む減速機構を設けてアクチュエータの動作を減速して出力するように構成してもよい。また、電動アクチュエータは、回転式の電動モータとして当該電動モータの回転出力を往復出力に変換するギヤやリンク機構等を設けてもよいし、他のアクチュエータ(磁気回路構造を備えたアクチュエータ等)としてもよい。また、先端部2dの動作速度や可動範囲を電気的あるいは機械的に変更できるように構成してもよい。
【0034】
本体部2cは、略筒状に形成された絶縁性材料(例えば合成樹脂材料)からなるケーシング2eを備え、その内部に、上記電動アクチュエータ7の他、電源としての電池6や、昇圧回路や電流制限回路等の各種回路が形成される回路基板8等を装備してある。
【0035】
また、この歯ブラシ2は、歯磨き時に口腔内を通電する通電機構を備えている。すなわち、電池6の一方の極に接続されて歯磨き時に口腔内に入る部分(先端部2d)に設けられる先端側電極9と、電池6の他方の極に接続され柄2bの表面2fに露出して設けられる柄側電極10とを備えている。
【0036】
先端側電極9は、図2に示すように、先端部2dの植毛部2aからわずかに離間したネック部2hに設けられており、当該ネック部2hに形成された細長い長穴状の凹部2iの底部に露出させてある。この先端側電極9は、先端部2d内で上下に亘って配置される導電プレート11a、先端部2d内の可動シャフト11b、本体部2c内の可動シャフト11c、導電プレート11d等を含んで形成される導電経路11、ならびに回路基板8を介して、電池6の負極に電気的に接続されている。
【0037】
また、柄側電極10は、図1および図2に示すように、柄2bの長手方向(軸方向)に沿って短冊状に細長く形成されており、使用者が柄2bを握ることで使用者の手に密着するようになっている。そして、この柄側電極10は、端子12a等を含む導電経路12、ならびに回路基板8を介して、電池6の正極に電気的に接続されている。なお、先端側電極9および柄側電極10ともに、導電性材料(例えば導電性樹脂材料、金属等)によって形成される。
【0038】
したがって、使用者が柄2bを手で握り、先端部2dを口腔内に入れると、電池6の正極、回路基板8、導電経路12、柄側電極10、使用者の手指、使用者の体内、使用者の口腔内(歯、歯茎、水、唾液、歯磨き剤等)、先端側電極9、導電経路11、回路基板8、および電池6の負極に至る回路が形成され、口腔内を通電することができる。これにより、マッサージ効果や、歯垢除去効果等を得ることができる。なお、本実施形態では、この歯磨き時の通電機構については、回路の開閉を切り換えるスイッチ等を設けていない。よって、使用者が歯ブラシ2の先端部2dを口腔内に入れたときに回路が閉じ、口腔内から出したときに回路が開くことになる。ただし、スイッチを設け、回路が閉じる場合を制限するようにしても勿論構わない。
【0039】
ここで、上述したように、本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置1では、歯ブラシ2を支持台3に取り付けたときに、歯ブラシ2の植毛部2aが液体Lに浸漬するようになっているが、このとき、先端側電極9も液槽4内の開口上端より充分下(液体Lの液面の規定位置より下)に位置させて、液体Lに浸漬させるようにしてある。
【0040】
そして、支持台3には、液槽4の内面3cに露出する液槽内電極13と、液槽4の外で柄側電極10に接触して導通する端子14と、支持台3の内部に形成されて液槽内電極13と端子14とを電気的に接続する導電経路15とが設けられる。端子14は、例えば、柄側電極10に対向して本体部3aの表面から凸没可能な導電プレートとして構成し、図1に示すように、支持機構5によって歯ブラシ2を支持台3に支持させた状態で、柄側電極10に弾性的に圧接させることができる。
【0041】
したがって、歯ブラシ2に構成された歯磨き時の通電機構によって、液槽4内の液体Lを通電し、当該液体Lに浸漬された歯ブラシ2の先端部2dを除菌することができる。すなわち、歯ブラシ2を支持台3に支持した状態では、電池6の正極、回路基板8、導電経路12、柄側電極10、端子14、導電経路15、液槽内電極13、液槽4内の液体、先端側電極9、導電経路11、回路基板8、および電池6の負極に至る回路が形成され、液槽4内の液体Lが通電されることになる。液槽4内の液体Lを通電すると、液体L内の細菌b(図3参照)は、細胞膜が破壊され、不活性化される(すなわち殺菌される)。したがって、かかる構成によれば、当該液体L内すなわち当該液体Lに浸漬された部分(先端部2dのうち植毛部2a、ネック部2h等)を除菌することができる。
【0042】
また、この通電により、図3に示すように、通常マイナスに帯電する細菌bを、液槽4内の正極(すなわち本実施形態では液槽内電極13)に引き寄せて、当該液体Lに浸漬された部分を除菌することができる。発明者らの詳細な検証により、液槽内電極13と先端側電極9との間の電圧を6V以上とすると、好適な除菌効果(殺菌効果および引き寄せによる除菌効果)が得られることが判明している。なお、印加する電力は、一定値とする必要はなく、間欠的(ステップ的)に変化させてもよいし、漸増、漸減させてもよい。
【0043】
さらに、液槽4内の液体Lに浸漬される電極、すなわち、先端側電極9および液槽内電極13のうち少なくともいずれか一方は、殺菌性を有する金属イオンを溶出する金属材料を含むものとするのが好適である。このような殺菌性を有する金属イオンとしては、例えば、銀イオン(Ag+)や、銅イオン(Cu2+)、亜鉛イオン(Zn2+)等があり、液体Lに浸漬される電極を、これら金属イオンを溶出する金属、すなわち、銀や、銅、亜鉛等の金属材料を用いて構成すればよい。この場合、かかる電極は、母材(例えばステンレススチールや、鋼材等)に、上記金属を主成分とするメッキ処理を施すことで、得ることができる。
【0044】
以上の本実施形態によれば、液槽4に貯留した液体Lに歯ブラシ2の先端部2dを浸漬しながら当該歯ブラシ2を支持台3の支持機構5に支持させ、液槽4内の通電によって当該先端部2dのうち液体Lに浸漬された部分を除菌することができる。したがって、従来装置のように水道水に食塩を加えて電解水を生成したり当該電解水を歯ブラシに吹きかけたり当該電解水の蒸気を生成したりする手間が要らず、また液体が飛び散ったりすることも無く、使い勝手の良い歯ブラシ除菌装置1を得ることができる。
【0045】
さらに、本実施形態によれば、歯ブラシ2に、歯磨き時に口腔内を通電する通電機構を設け、この通電機構の装備(電源としての電池6、先端側電極9、柄側電極10、導電経路11,12、回路基板8等)を利用して、液槽4内の液体Lを通電することができる。したがって、別個に電源等を設ける必要が無い分、支持台3を比較的簡素な構成とすることができる。なお、回路基板に導電経路の一部を形成することは必須ではなく、回路基板を介することなく電池6と電極9,10とを電気的に接続してもよい。
【0046】
また、本実施形態では、液槽内電極13および先端側電極9のうち少なくともいずれか一方を、液槽4内の液体Lに殺菌性を有する金属イオンを溶出させる金属材料を含むものとした。このため、液体L内に溶出した殺菌性を有する金属イオンの作用により、殺菌作用を得ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、殺菌性を有する金属イオンを液体Lに溶出させる金属材料として、銀、銅、または亜鉛を用いるようにした。これら金属材料は比較的入手しやすく、かつ加工等も比較的容易であり、殺菌作用を高める金属材料を含む電極を比較的容易に得ることができる。この場合、電極を金属メッキによって構成すれば、電極全体を当該金属によって構成する必要がなくなる。
【0048】
また、本実施形態では、液槽内電極13を正極とした。このため、マイナスに帯電した細菌bを液体Lに浸漬された先端部2dから液槽内電極13に引き寄せて除去することができる。
【0049】
(第2実施形態)図4は、本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の液槽に貯留された液体に歯ブラシの先端部が浸漬された様子を示す模式図である。
【0050】
この図4に示すように、本実施形態では、歯ブラシ2A内の導電経路を上記第1実施形態にかかる歯ブラシ2に対して変更し、歯ブラシ2Aの先端部2dに設けた先端側電極9Aを正極としてある。かかる変更が、導電経路12,15の接続先を変更することで具現化できることは容易に理解できよう。また、本実施形態では、先端側電極9Aを植毛部2aから本体部2c寄りに離間して配置するとともに、先端側電極9Aをネック部2hの一般部より突出させ、その表面積を上記第1実施形態よりも拡大して、細菌bを引き寄せる効果を高めてある。これら以外の構成は、上記第1実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置と全く同様である。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、先端側電極9Aを正極とした。このため、液体L内でマイナスに帯電した細菌bを先端側電極9Aに引き寄せて(すなわち植毛部2aから引き離して)除去することができる。すなわち、かかる構成によっても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(第3実施形態)図5は、本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の液槽に貯留された液体に歯ブラシの先端部が浸漬された様子を示す模式図(一部縦断面図)である。
【0053】
本実施形態にかかる歯ブラシ2Bでは、植毛部2aにおいて、ブリッスル2jおよびブリッスル2jの基台部分2kを導電性材料とし、これを導電経路11に接続される先端側電極9とした。導電性材料としては、具体的には、それ自体で導電性を有する合成樹脂の他、例えば、金属繊維やカーボン等の導電性フィラーを含有する合成樹脂等を用いることができる。
【0054】
また、かかる構成では、基台部分2kと、これを取り囲む先端部2dの一般部分とは、密着性(融着性)を高めるため、同種材料とするのが好適である。例えば、一般部分をポリプロピレンとし、基台部分2kを導電性フィラーとして炭素繊維を含有するポリプロピレンとして構成することができる。
【0055】
以上の本実施形態によれば、ブリッスル2jおよびブリッスル2jの基台部分2kを電極として用いることで、最も細菌bが付着あるいは繁殖しやすい部分としてのブリッスル2jの除菌効率を高めることができる。なお、ブリッスル2jおよび基台部分2kのうちいずれか一方のみを先端側電極9としてもよい。ただし、基台部分2kのみを先端側電極9とする場合には、当該基台部分2kに液体Lが浸漬するように構成することが肝要である。また、本実施形態の構成の場合には、液槽内電極13を正極とし、細菌bをブリッスル2jや基台部分2kから引き離すのが好適である。
【0056】
(第4実施形態)図6は、本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の側面図(一部断面図)である。
【0057】
本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置1Cは、上記第1実施形態とほぼ同様の構成を備えている。ただし、本実施形態では、歯ブラシ2Cを支持台3に取り付けた状態で、先端部2dを振動させ、これにより、液槽4内の液体Lを攪拌するようにしてある。すなわち、先端部2dを軸方向に反復振動させる振動機構としての電動アクチュエータ7(図2参照)を、攪拌機構として用いるようにした。この場合、支持機構5によって歯ブラシ2の本体部2c(柄2b)を支持した状態で、スイッチ16を操作することで攪拌機構を簡単に動作させることができる。
【0058】
以上の本実施形態によれば、撹拌機構としての電動アクチュエータ7によって液槽4内の液体Lに動き(流れや波等)を生じさせて、この動きにより先端部2dをより効率良く除菌することができる。
【0059】
また、本実施形態によれば、先端部を振動させる振動機構としての電動アクチュエータ7を攪拌機構にも利用することで、振動機構と攪拌機構とを別個に設ける場合に比べて構造を簡素化することができるという利点もある。
【0060】
ところで、この攪拌機構としても機能する振動機構については、先端部2dを液槽4内の液体Lに浸漬して除菌する場合と、口腔内で振動させる場合とで、振幅や振動数等を切り換えるようにしてもよい。例えば、除菌時の振幅を歯磨き時の振幅より小さくすれば、液槽4内からの液体Lの飛散を抑制することができるし、除菌時の振幅を歯磨き時の振幅より大きくすれば、除菌効率を高めることができる。この場合の振幅や振動数等の切り換えは、例えば、電動アクチュエータ7に供給する電流値等によって制御することができる。
【0061】
なお、攪拌機構は支持台3側に設けてもよい。具体的には、例えば、液槽4内で旋回するスクリューや往復するフィン等を設けることができる。
【0062】
(第5実施形態)図7は、本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の側面図(一部断面図)である。
【0063】
本実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置1Dの歯ブラシ2Dは、上記第1実施形態にかかる歯ブラシ2(図2参照)とほぼ同様の構成を備えている。
【0064】
ただし、本実施形態では、支持台3Dが、歯ブラシ2を乾燥させる乾燥機構17を備えており、この点が上記各実施形態と相違している。
【0065】
すなわち、本実施形態では、支持台3Dに、乾燥機構17として、送風部としてのファン17a、ファン17aを駆動する電源回路17b、ならびに電源回路17bをコンセントに接続する電源コード17c等を設けてある。ファン17aは、液槽4の開口上端より上方から、支持台3Dに支持された歯ブラシ2Dの先端部2dに向けて風を当てるように配置されている。かかる構成により、先端部2dを除菌した後に乾燥することで、除菌後に細菌bが繁殖するのを抑制することができる。なお、乾燥機構17には、電熱線等を含むヒータ(図示せず)を設け、乾燥効率を高めるようにしてもよい。
【0066】
さらに、本実施形態では、液体Lの循環経路21を設け、循環経路21の途中に、液槽4から液体Lを抜く(重力で落下させる)開閉バルブ18、液槽4から抜いた液体を回収するタンク19、ならびにタンク19に回収した液体を再び液槽4内に戻すポンプ20、を備えている。なお、19aは、タンク19からポンプ20で円滑に液体Lを抜くための空気孔である。かかる構成によれば、乾燥機構17を用いて乾燥を行う際に、液槽4から液体Lを抜く作業をより容易にかつより円滑に行うことができる。また、タンク19およびポンプ20を設けて回収した液体Lを再利用することで、液体Lを交換する回数を減らして、使い勝手を向上することができる。なお、乾燥機構17は、除菌後のみならず、歯磨き後に利用してもよい。また、かかる構成では、ポンプ20の電源は、乾燥機構17の電源回路17bと共用とするのが好適である。
【0067】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず種々の変形が可能である。
【0068】
上記歯ブラシ内の電源は、除菌処理時に形成される回路あるいは歯磨き時に使用者の体内を含めた回路の電源となりうるもの(電池、部品、回路等)であればよく、電池以外のもの(例えばコンデンサ等)を用いてもよい。
【0069】
また、本発明は、振動機構を有しない歯ブラシについても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の側面図(一部断面図)である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の歯ブラシの縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の液槽に貯留された液体に歯ブラシの先端部が浸漬された様子を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の液槽に貯留された液体に歯ブラシの先端部が浸漬された様子を示す模式図である。
【図5】本発明の第3実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の液槽に貯留された液体に歯ブラシの先端部が浸漬された様子を示す模式図(一部縦断面図)である。
【図6】本発明の第4実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の側面図(一部断面図)である。
【図7】本発明の第5実施形態にかかる歯ブラシ除菌装置の側面図(一部断面図)である。
【符号の説明】
【0071】
b 細菌
L 液体
1 歯ブラシ除菌装置
2 歯ブラシ
2a 植毛部
2b 柄
2d 先端部(歯磨き時に口腔内に入る部分)
2f 表面
2j ブリッスル
2k 基台部分
3 支持台
4 液槽
5 支持機構
6 電池(電源)
7 電動アクチュエータ(振動機構,攪拌機構)
8 回路基板
9 先端側電極
10 柄側電極
11 導電経路
12 導電経路
12a 端子
17 乾燥機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源、当該電源の一方の極に接続され歯磨き時に口腔内に入る部分に設けられる先端側電極、および当該電源の他方の極に接続され柄の表面に露出して設けられる柄側電極、を有する歯ブラシと、当該歯ブラシを支持する支持台と、を備え、当該歯ブラシを支持台に支持した状態で除菌する歯ブラシ除菌装置であって、
前記支持台には、液槽が形成されるとともに、当該液槽内に露出する液槽内電極と、当該液槽の外で前記柄側電極と接触して導通する端子と、当該液槽内電極と当該端子とを導通する導電経路と、が設けられ、
前記支持台に、前記液槽に貯留した液体に前記先端側電極を浸漬し、かつ前記柄側電極と前記端子とを接触させ導通させた状態で前記歯ブラシを支持する支持機構を設けたことを特徴とする歯ブラシ除菌装置。
【請求項2】
前記液槽に液体が貯留され、前記支持機構に歯ブラシが支持された状態で、前記液槽内電極と前記先端側電極との間に6V以上の電圧が印加されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項3】
前記液槽内電極および前記先端側電極のうち少なくともいずれか一方が、液槽内の液体に殺菌性を有する金属イオンを溶出させる金属材料を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項4】
前記殺菌性を有する金属イオンを溶出させる金属材料は、銀、銅、または亜鉛であることを特徴とする請求項3に記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項5】
前記液槽内電極を正極としたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項6】
前記先端側電極を正極としたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項7】
導電性を有するブリッスルを前記先端側電極として用いることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項8】
ブリッスルの基台部分を前記先端側電極として用いることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項9】
前記液槽内に貯留した液体を攪拌する攪拌機構を備えることを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項10】
歯ブラシに設けられて先端部を振動させる振動機構を前記攪拌機構として用いることを特徴とする請求項9に記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項11】
前記先端部を乾燥させる乾燥機構を備えることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか一つに記載の歯ブラシ除菌装置で用いられる支持台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−125121(P2009−125121A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300462(P2007−300462)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】