段ボール箱の開封構造およびこの開封構造を形成する切刃ならびにこの切刃を備えた抜型
【課題】段ボール箱の分断開封部位における座屈による胴膨れを抑止しながら開封帯による開封が容易で、また、フラップによる開封時に指を傷付けることなく、フラップに指先をしっかりと掛けた状態で開封を容易にすること、開封帯の引裂き線をブランクに入れるときにシートを押し潰すことなく切断することができること、積み上げ時に胴膨れし難いことにある。
【解決手段】段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4に備えられる開封口12から開封方向に開封帯11を引裂き可能に形成する2本の引裂き線13が、裏ライナーa1側から表ライナーa2に至る深さにて突き刺すように切り込まれて開封方向に断続的に入れられる切目13aによって形成される。切目13aは、裏ライナーa1側において広く、表ライナーa2側において狭い断面視で略台形状を呈している。また、2本の引裂き線13の各要所に全切目13bが入れられている。
【解決手段】段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4に備えられる開封口12から開封方向に開封帯11を引裂き可能に形成する2本の引裂き線13が、裏ライナーa1側から表ライナーa2に至る深さにて突き刺すように切り込まれて開封方向に断続的に入れられる切目13aによって形成される。切目13aは、裏ライナーa1側において広く、表ライナーa2側において狭い断面視で略台形状を呈している。また、2本の引裂き線13の各要所に全切目13bが入れられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱の開封構造、詳しくは、被包装物を包み込むように包装する所謂ラップラウンド式の段ボール箱の開封帯およびフラップによる開封構造、この開封構造を形成するための切刃、およびこの切刃を備えている抜型に関する。
【背景技術】
【0002】
酒類やジュース類などの飲料缶、菓子類、そして即席商品などの被包装物を包み込むように包装する所謂ラップラウンド式の段ボール箱(包装箱)は、被包装物の包装に合わせた種々の形態(形状、大きさ)に製箱されている(例えば、特許文献1および特許文献2などを参照)。
【0003】
例えば、缶ビールなどの飲料缶を数十本単位で包み込むように包装する段ボール箱のブランクは、各一対の幅広側板および幅狭側板とからなる計4枚の側板が綾部罫線を介して連設されている略角筒状の胴部を備えている。そして、胴部の両側開口部は、各一対の幅広側板および幅狭側板の両端からそれぞれ連設されている内フラップおよび外フラップを、互いに重なり合うようにそれぞれ内側に折り曲げ、その重なり部分を貼り合わせることによって封緘される形態のものが使用されている。外フラップは、縁部(先端縁)同士を付き合わせた状態で糊接着などによって内フラップに重ね貼り合わせられている。
なお、ブランクは、一枚の段ボールシートから打ち抜かれて製造される。
【0004】
そして、このような形態からなる段ボール箱の一対の幅狭側板には、内フラップおよび外フラップによって封緘される両側開口部に至る開封方向(引裂き方向)に向けて開封帯(引裂き帯)が設けられている。また、一対の幅狭側板の中央部位には、開封帯の端部を摘むために破断開口される開封口が設けられている。
これにより、段ボール箱を開封するときに、開封口を破断開口して開封帯の端部を摘み、開封帯を開封方向に引裂いて、一対の幅狭側板を、一方の幅広側板側と他方の幅広側板側とに分断する開封を行うことで、飲料缶を取り出すことができるようになっている。
【0005】
また、このような形態からなる段ボール箱では、自動販売機などへ飲料缶を補充(投入)するときなどの場合、開封帯による段ボール箱の分断開封を行わずに、段ボール箱を封緘する両側開口部の外フラップを、内フラップから剥離する開封によって飲料缶を取り出すことが大半である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3865687号公報
【特許文献2】特開2008−280088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2の従来技術における開封帯(引裂き帯)の開封構造は、開封口(切始部)から開封方向に向けて形成された2本の波状切目線を備えている。そして、波状切目線を、ブランクの裏ライナーから表ライナーに貫通する全切部(全切線)と、裏ライナーから厚さ方向の途中まで切り込まれる半切部(半切線)とが開封方向に交互に断続するリード罫としてなるものである。
ここで、波状切目線の全切部と半切部は、抜型に植設されて備えられているリード罫刃によってブランクに入れられる。リード罫刃の刃先は、ブランクの裏ライナー側から表ライナー側に全切部を貫通状に切り込むための刃高の高い全切刃と、裏ライナー側から厚さ方向の途中まで半切部を切り込むための刃高の低い半切刃とが交互に形成されている平刃形状を成している。
【0008】
しかしながら、このような開封構造からなる開封帯を一対の幅狭側板(立面板)に備えている従来技術の段ボール箱では、波状切目線の開封方向に断続的に存在し、開封方向に所定長さにて切り込まれている全切部によって一対の幅狭側板の剛性が低下することとなる。
そのために、保管時や店内陳列時に数段積み上げたときに、上段側の段ボール箱の重さによって下段側の段ボール箱の一対の幅狭側板に座屈による胴膨れが生じ、箱の美観が損なわれるおそれがあった。
【0009】
また、波状切目線の全切部と半切部をブランクに入れられるリード罫刃は、全切刃、半切刃ともに、ブランクを開封帯の開封方向に直線的に切る刃先が平刃形状であるが故に、裏ライナー側から全切部、半切部を切り込むときに裏ライナーがスムーズに切れずにシートを押し潰してしまうことがあった。
【0010】
また、従来技術の段ボール箱では、外フラップを内フラップから剥離して開封するときに、指先が外フラップの縁部により切れて傷付くおそれがある。これは、縁部(先端縁部)を付き合わせた状態で内フラップに重ね貼り付けられている一方の外フラップの縁部に指先を掛けて、外フラップを内フラップから剥離して開封するとき、縁部に沿って指先を滑らせて負傷する。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来事情に対処するために創案されたものである。すなわち、段ボール箱の分断開封部位における座屈による胴膨れを抑止しながら開封帯による開封が容易であること、また、フラップによる開封時に指を負傷することがなく、フラップに指先をしっかりと掛けた状態で開封を容易にすること、開封帯の引裂き線をブランクに入れるときにシートを押し潰すことなく切断することができること、積み上げ時に胴膨れし難くすること、などを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明による段ボール箱の開封構造は、段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向の2本の引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造であって、前記引裂き線は、段ボールシートの裏ライナー側から表ライナー側に至る切目を前記開封方向に断続的に設けてなり、前記切目は、前記裏ライナー側において広く、前記表ライナー側において狭い断面視で略台形状であることを特徴とする。
ここで、前記引裂き線は、前記開封方向の各要所に、裏ライナー側から表ライナー側に貫通状に切り込まれる全切目をさらに備えていること、また、前記引裂き線は、前記開封方向に略曲線形状の対称に形成されていること、などの構成を採用することが好ましい。
【0013】
さらに、前記段ボール箱のフラップ縁部に、開封用指掛け部を備えている構成を採用することが好ましい。この場合、前記開封用指掛け部が、内フラップに重ね貼り付けられている外フラップの縁部に沿って施された折れ目および/または潰し部によって折り曲げ開口可能に形成されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明による段ボール箱の開封構造を形成する切刃は、段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向に引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造の前記引裂き線を形成するための切刃であって、所定の板厚を有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先を多数備えて形成されていることを特徴とする。
ここで、前記刃先のピッチが1.0〜1.7mmの範囲に、その振幅が0.5〜1.2mmの範囲に設定されているものが好適である。
【0015】
また、段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向に開封帯による開封構造の引裂き線を形成する切刃を備えた本発明による抜型は、前記段ボール箱の分断開封部位に位置させて前記切刃を備え、該切刃は、所定の板厚を有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先を多数備えて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の開封帯による段ボール箱の開封構造によれば、段ボール箱の分離開封部位における剛性(座屈抑止強度)を低下させることなく、開付帯の引裂き線を備えることができる。
例えば、缶ビールなどの飲料缶を数十本単位で包み込むように包装するラップラウンド式の段ボール箱の胴部を折り曲げ形成する一対の幅狭側板に開封帯による開封構造を適用した場合、引裂き線で座屈して胴膨れを引き起こすことがない剛性を一対の幅狭側板に保った状態で、該一対の幅狭側板に引裂き線に沿って開封方向に引裂き可能とする開封帯による開封構造を備えることができる。
【0017】
また、引裂き線を形成するように開封方向に断続的に設けられる切目は、段ボールシートの裏ライナー側において広く(長く)切れ込まれていることで、引裂き線に沿って開封帯を引裂くとき、引裂き線は切れ込みが広いブランクの裏ライナー側から確実に、かつ、スムーズに引き裂かれることとなる。これにより、開封帯による段ボール箱の開封を容易に行うことができる。
【0018】
また、段ボールシートの表ライナー側において引裂き線の切目は、例えば、小さな孔程度の狭い切れ込みとして存在(露出)する。
つまり、従来技術の裏ライナーから表ライナーに貫通する全切部(全切線)は、裏ライナー側と同じ広さに切り込まれた広い(長い)切目として表ライナー側に存在することとなるために、商品名や製造・販売メーカのロゴなどが印刷される段ボール箱の外表面の美観が広い切目によって損なわれるのに対し、本発明では、切目が小さな孔程度(切刃の刃先端形状)の狭い切れ込みとして表ライナー側に点在するものであることで、段ボール箱の外表面の美観の低下を抑えることができる。
加えて、段ボール箱の一対の幅狭側板の剛性の低下を抑えることができるので、数段積み上げによる保管時や店内陳列時などにおける引裂き線からの座屈による胴膨れ抑止効果をより顕著に引き出すことができる。
【0019】
また、フラップによって段ボール箱を開封するときには、フラップの縁部に折れ目および/または潰し部によって備えられている開封用指掛け部を折り曲げ開口させることで、指を傷付けることなく、フラップの裏側(裏ライナー側)に指先をしっかりと掛けた状態で開封を容易に行うことができる。
【0020】
また、本発明の開封帯による段ボール箱の開封構造の引裂き線を形成する切刃によれば、略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先によって、開封口から開封方向に備えられる開封帯による開封構造の引裂き線を形成するように裏ライナー側から表ライナー側に至る断面視で略台形状の切目を、段ボール箱の分断開封部位の開封口から開封方向に断続的に切り込み設けることができる。
【0021】
また、切刃は、段ボール箱の分断開封部位に引裂き線の切目を入れるとき、裏ライナー側から表ライナー側に至るように鋭い刃先を突き刺す切断であることで、シートを押し潰すことなく、裏ライナーから表ライナーに至る断面視で略台形状の切目を切り込むことができる。
これにより、例えば、自動箱詰めラインの自動製函機によってブランクから段ボール箱へ自動で組み立て製箱されるときなどに、引裂き線から折れ曲がる現象を防いで、製箱不良の発生を抑制することができる。また、数段積み上げ時における胴膨れをも効果的に抑制することができるなどの効果を期待することができる。
【0022】
また、裏ライナー側から表ライナー側に至る断面視で略台形状の切目を段ボール箱の分断開封部位に、刃先のピッチ1.0〜1.7mmの範囲にて断続的に設けることができる。例えば、段ボールシートの厚さや紙質などに応じて1.0〜1.7mmの範囲の間隔をおいて切目を開封口から引裂き方向に選択的に設けることができる。
【0023】
また、本発明の開封帯による段ボール箱の開封構造の引裂き線を形成する切刃を備えた抜型によれば、段ボール箱のブランクが1枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されるときに、ブランクの裏ライナー側から表ライナー側に至る断面視で略台形状の切目を、略V字状または略U字状にて断続的に連なる切刃の鋭い刃先による突き刺し切断によって開封口から開封帯による開封方向に断続的に、かつ、同時に設けることができる。
これにより、保管時や店内陳列時に数段積み重ねたときの引裂き線からの座屈による胴膨れ抑止し、しかも、商品名や製造・販売メーカのロゴなどが印刷される段ボール箱の外表面の美観の低下を抑えながら開封を容易に行うことができる開封帯による開封構造を、分断開封部位に備えた段ボール箱(ブランク)を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る開封帯および外フラップによるそれぞれの開封構造を適用させた段ボール箱のブランクの一例を示す裏面図である。
【図2】同ブランクを裏面側(裏ライナー側)から見たときの斜視図である。
【図3】段ボール箱の組み立て封緘状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、(a)のbーb線縦断拡大図である。
【図4】開封帯による開封構造の引裂き線の基本形態を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る開封帯による開封構造の引裂き線を形成する切刃の一部を示し、(a)は、正面図であり、(b)は、同側面図である。
【図6】同切刃を2枚重ね並べた状態を示す斜視図である。
【図7】同切刃の刃先と切目の対応を示す拡大斜視図である。
【図8】同切刃の他の実施形態を示し、(a)は、正面図であり、(b)は、同側面図である。
【図9】同他の実施形態の切刃を2枚重ね並べた状態を示す斜視図である。
【図10】本実施形態に係る開封帯による開封構造の引裂き線を形成する切刃を備えた抜型の全体を示す底面図である。
【図11】引裂き線を形成する切刃、全切り波刃が植設配置されている同抜型の一部を拡大して示す斜視図である。
【図12】フラップの縁部に開封用指掛け部を形成する半切れ波刃、圧潰部材が配置されている同抜型の一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の係る開封帯および外フラップによるそれぞれの開封構造を適用させた段ボール箱のブランクの一例を示す裏面図であり、図2は、同ブランクを裏面側から見たときの斜視図であり、図3は、組み立て製箱された段ボール箱の封緘状態を示す斜視図および縦断拡大図である。
なお、本実施形態では、被包装物として挙げられる酒やジュース類などの飲料缶、菓子類、そして即席商品などのうち、図2および図3に示すように、缶ビールなどの飲料缶Mを数十本単位で包み込むように包装するラップラウンド式の段ボール箱Aを一例として挙げて説明する。
【0026】
≪段ボール箱の説明≫
段ボール箱Aは、図1および図2に示すブランクaから図3に示す略矩形状に折り曲げ組み立てられて製箱される。
このブランクaは、図示省略の打抜き装置に装備される後記の抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されて製造されるものであり、図1に示すように、綾部罫線(折線)10を介して順次連設されて段ボール箱Aの略角筒状の胴部A1を折り曲げ形成する各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4とからなる計4枚の側板を備えている。
また、ブランクaは、各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4の両端(両短辺縁)に連設させた外フラップ5,6および内フラップ7,8をそれぞれ備えている。また、一方の幅狭側板3の開放長辺縁には糊代片9を備えている。
【0027】
これにより、各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4を各綾部罫線10に沿い順番に折り曲げ、幅狭側板3側に備えられている糊代片9を幅広側板2の開放長辺縁の内側に糊接着などによって貼り付けて幅狭側板3を幅広側板2に連結することで、段ボール箱Aの胴部A1が組み立て形成される。そして、胴部A1の両側開口部が、内側に折り曲げられた内フラップ7,8に、同じく内側に折り曲げられて重なり合う外フラップ5,6を糊接着などによる貼り付けにより封緘されることで、飲料缶Mを包み込むように包装する段ボール箱Aが、図3に示す略矩形状に製箱されるものである。
【0028】
なお、図示を省略しているが、この製箱は、缶ビールなどの飲料缶Mを数十本単位(例えば、24本単位)で整列させながら段ボール箱Aの胴部A1に箱詰めして包装する自動箱詰めラインの自動製函機によって自動で行われる。
【0029】
そして、このようにしてブランクaから折り曲げ組み立てられて製箱される段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4には、図1〜図3に示すように、開封帯11および開封口12、そして、開封帯11を形成する2本の引裂き線13からなる帯状の開封構造が、内フラップ7,8および外フラップ5,6によって封緘される胴部A1の両側開口部に至る開封方向(引裂き方向)に設けられている。
これにより、開封口12から開封帯11を2本の引裂き線13に沿って開封方向に引裂くことで、一対の幅狭側板3,4が、一方の幅広側板2側(図3(a)の上側)と他方の幅広側板1側(図3(a)の下側)に分断され、段ボール箱Aが開封されるようになっている。
【0030】
≪開封帯および開封口の説明≫
図4は、開封帯による開封構造の引裂き線の基本形態を示す説明図である。ここでは、図1〜図3を適宜参照しながら説明する。
開封帯11および開封口12は、ブランクaが抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜かれるとき、同抜型Bにより同時に切り込まれて形成されるものである。
開封帯11は、お客がビール缶などの飲料缶Mを段ボール箱A単位(ケース単位)で買い求めて持ち帰り、飲料缶Mを段ボール箱Aから取り出すときに、段ボール箱Aを開封口12から引裂いて開封するためのものである。
この開封帯11は、図1および図4に示すように、2本の引裂き線13により一対の幅狭側板3,4にそれぞれ帯状に形成される。そして、この開封帯11は、図1に示すように、一対の幅狭側板3,4の両端に連設する内フラップ7,8の端縁まで達するように設けられる。
【0031】
≪引裂き線の説明≫
2本の引裂き線13は、抜型Bに備えられる後記の切刃Cによってブランクaの裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至るように切り込まれる切目13aを、開封口12から開封方向に断続的に設け、かつ、後記の全切り波刃Dによって裏ライナーa1側から表ライナーa2側に貫通するように入れられる全切目13bを開封方向の各要所に設けることで、一対の幅狭側板3,4の開封方向に、後記の外側湾曲頂部13−2と内側湾曲頂部13−4を交互に有する略曲線形状の対称にて形成されるものである。
【0032】
具体的に述べると、2本の引裂き線13は、図1および図2、図4に示すように、一対の幅狭側板3,4の中央部位において、綾部罫線10と略平行に入れられている開封口12の後記する2本の切込み線12aの端から両側の内フラップ7,8側に向けたそれぞれの開封方向に、2本の切込み線12a間の巾よりも広くなるように外側(綾部罫線10側)に傾斜させた外向き傾斜線部13−1、この外向き傾斜線部13−1に連設する外側湾曲頂部13−2から2本の切込み線12a間の巾よりも狭くなるように内側(綾部罫線10から遠ざかる方向)に傾斜させた内向き傾斜線部13−3、この内向き傾斜線部13−3に連設する内側湾曲頂部13−4から所望の長さと緩やかな略弓形曲線にて外側に漸次傾斜させた弓形外向き傾斜線部13−5、そして、この弓形外向き傾斜線部13−5に連設する前記の外側湾曲頂部13−2、この外側湾曲頂部13−2から内側に傾斜して弓形外向き傾斜線部13−5に連設する前記の内向き傾斜部13−3を設けることを開封方向に繰り返す略曲線形状の対称に形成されている。
つまり、開封帯11は、開封口12から開封方向に向けて外側湾曲頂部13−2と内側湾曲頂部13−4を交互に有する略曲線形状の対称にて形成される2本の引裂き線13によって引裂き可能に設けられる。
【0033】
≪切目および全切目の説明≫
切目13aは、ブランクaの裏ライナーa1側から突き刺さるように厚さ方向に入り込んで刃先端が表ライナー2側に至る切刃Cの刃先C1によってブランクaに切り込まれて形成される。
この切目13aは、後記の図7に示すように、ブランクaの裏ライナーa1側において広く、表ライナーa2側においては狭い、例えば、切刃Cの刃先端形状に相当する小さな孔程度とする断面視で略台形状を成して2本の引裂き線13上に位置して形成される。
【0034】
このようにして2本の引裂き線13を形成するようにブランクaに切り込まれる切目13aの開封方向における断続的な配置について説明すると、図4に示すように、切目13aは、略曲線形状にて対称と成す2本の引裂き線13上における開封口11の2本の切込み線11aの端から外側に向けて傾斜する外向き傾斜線部13−1、内側湾曲頂部13−4から外側湾曲頂部13−2に向けて緩やかな略弓形曲線にて傾斜する弓形外向き傾斜線部13−5上において、切刃Cの後記する刃先16のピッチ1.0〜1.7mmの間隔をおいてそれぞれ切り込み配置される。
【0035】
そして、この切目13aと併用して2本の引裂き線13の各要所に備えられる全切目13bは、ブランクaの裏ライナーa1側から中芯a3を貫通(切断)して表ライナーa2側に、裏ライナーa1側と略同じ切り込み長さにて貫通状に切り込まれて2本の切込み線12aの各要所に形成される。
この全切目13bは、図4に示すように、2本の引裂き線13の外側湾曲頂部13−2、内向き傾斜線部13−3、内側湾曲頂部13−4において抜型Bに備えられる全切り波刃Dによって切り込まれて配置される。
【0036】
開封口12は、段ボール箱Aを開封するとき、開封帯11の端部を摘むために破断開口されるものである。
この開封口12は、図1に示すように、開封帯11の帯幅(2本の引裂き線13の線間)にて綾部罫線10と略平行に入れられる2本の切込み線12a、この2本の切込み線12aの長さ方向中心部間にわたるように入れられる1本の切込み線12bと、それら切込み線12a,12bの各要所に位置して設けられる繋ぎ部12cとによって一対の幅狭側板3,4のそれぞれの中央部位に略H字状の破断形状にて設けられる。
【0037】
2本の切込み線12aは、抜型Bに備えられる後記のミシン刃Eによって、また、1本の切込み線12bは、後記の全切り波刃Fによって、ブランクBの裏ライナーb1側から表ライナーb2側に貫通状に切り込まれることによりそれぞれ形成されるものである。
【0038】
また、本実施例では、段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4と開封帯11に、図1および図2に示すように、斜め格子状に形成されるクロス罫筋14をそれぞれ備えている。
このクロス罫筋14は、ブランクaの裏ライナーa1側に、ブランクaが抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜かれるとき、抜型Bに備えられている後記の押罫部材19によって同時に形成されるものである。
これにより、飲料缶Mなどを包み込み包装した封緘状態で複数個の段ボール箱Aを数段に積み上げた際に、上段側の段ボール箱Aの荷重による下段側の段ボール箱Aの胴膨れを抑えるようにしている。
【0039】
[作用説明]
つぎに、以上のように形成されている本実施形態に係る開封帯11による開封構造を一対の幅狭側板3,4に適用させてなる段ボール箱Aによれば、引裂き線13を形成するように開封方向に断続的に設けられる切目13aは、ブランクaの裏ライナーa1側において広く(長く)切れ込まれていることで、引裂き線13に沿って開封帯11を引裂くとき、引裂き線13は切れ込みが広いブランクaの裏ライナーa1側から確実に、かつ、スムーズに引き裂かれることで、開封帯11による段ボール箱Aの開封を容易に行うことができる。
また、ブランクaの表ライナーa2側において切目13aは、例えば、小さな孔程度の狭い切れ込みとして存在(露出)する程度であることから、商品名や製造・販売メーカのロゴなどが印刷される段ボール箱Aの外表面の美観の低下を抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態では、段ボール箱Aの胴部A1の両側開口部を封緘する内フラップ7,8に重ね貼り付けられる外フラップ5,6の縁部に開封用指掛け部15を備えてなる開封構造をさらに採用している。
すなわち、図3に示すように、縁部(先端縁)同士を付き合わせた状態で内フラップ7,8に重ね貼り付けられている外フラップ5,6の縁部に開封用指掛け部15を備えて、指先などを負傷することなく、指先を外フラップ5,6の内側(裏ライナーa1側)にしっかりと掛けた状態で容易に開封し得るようにしている。
【0041】
≪開封用指掛け部の説明≫
開封用指掛け部15は、ブランクaが抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜かれるとき、抜型Bに備えられる後記の半切れ波刃Gと圧潰部材20によって同時に形成されるものである。
この開封用指掛け部15は、図に示すように、外フラップ5,6の縁部略中央部位において、所望な大きさの略半月状に半切れ波刃Gによって施される折れ目15aと、この折れ目15aと縁部によって囲まれた内側部分に圧潰部材20によって施される潰し部15bを備えて形成されている。
【0042】
これにより、例えば、自動販売機などへ飲料缶を補充(投入)するときなどにおいて、外フラップ5,6に指を掛けて開封するとき、開封用指掛け部15を、図3の(b)に二点鎖線で示すように、内側に折り曲げることで、縁部によって指先などを傷付けることなく、略半月状に開く開口より外フラップ5,6の内側(裏ライナーa1側)に指先を差し入れ、外フラップ5,6の内側に指先をしっかりと掛けた状態で外フラップ5,6を内フラップ7,8から剥離して開封することができる。
【0043】
なお、図示を省略しているが、開封用指掛け部15は、略半月状に施される折れ目15a、または、潰し部15bの何れか一方側のみによって外フラップ5,6の縁部に折り曲げ開口可能に形成することができる。
また、折れ目15aのみにて開封用指掛け部15を形成した場合、外フラップ5,6の縁部から略半月状の折れ目15aに至るように、縁部から直交方向に繋ぎを有する切込み線などを数本入れるなどの工夫を施すことができる。これにより、開封用指掛け部15をより関単に折り曲げ開口する。つまり、開封用指掛け部15を破くように開口することができる。
【0044】
また、指掛け開封部15の他の構成形態として、一対の幅狭側板3,4の縁部に沿わせて曲線凸凹状に連なる凸部群から形成することができる。
【0045】
≪切刃の説明≫
つぎに、前記段ボール箱Aのブランクa(一対の幅狭側板3,4)に開封帯11による開封構造の引裂き線13を切り込み形成する本実施形態に係る切刃Cについて説明する。
図5は、本実施形態に係る切刃を示す正面図及び側面図である。
【0046】
切刃Cは、図5に示すように、所定の板厚tを有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状にて断続的に連なる鋭い刃先(切断エッジ)16を多数備えて形成されている。
【0047】
そして、本実施形態に係る切刃Cは、ブランクa(段ボールシート)のシート厚さや紙質(素材)などにもよる。例えば、3〜5mmのシート厚などにもよるが、刃先16のピッチPを1.0〜1.7mmの範囲に、その振幅Wを0.5〜1.5mmの範囲に設定することが好ましい。
その理由は、ピッチPを1.0mm以下にすると、略V字状または略U字状にて断続的に備える刃先16の形成(加工)が難しい上に、刃先16の強度などが低下することとなるからであり、ピッチPが1.7mmを越えると、刃先16を略V字状または略U字状にて断続的に備えることによる所期の目的を達成することが難しくなるからである。
また、振幅Wを0.5mm以下にすると、刃先16を略V字状または略U字状にて断続的に備えることによる効果が十分に得られないことになるからであり、また、振幅Wが1.5mmを越えると、ブランクaの裏ライナーa1側において広く、表ライナーa2側においては狭い断面視で略台形状を成す切目13aを形成することができなくなるなどの所期の目的を達成することが難しくなるからである。
したがって、本実施形態の切刃Cにおいては、刃先16のピッチ(P)を1.0〜1.7mmの範囲に設定、好ましくは1.5mmに設定する。刃先16の振幅Wを0.5〜1.5mmの範囲に設定、好ましくは0.5〜0.9mm、特に好ましくは0.7mmに設定する。
【0048】
また、切刃Cの板厚tについては、0.6〜1.1mm、好ましくは0.9mmとする。また、刃先端から刃元側へ対称形とする刃先16の両傾斜面16aの成す刃先角度θについては、40°〜60°、好ましくは50°とする。つまり、刃先角度θについては、40°より小さくするほど切れ味が良くなるが、刃先強度の低下を招くこととなり、60°より大きくするほど刃先強度は高くなるが切れ味が悪くなる。
【0049】
図6は、2枚重ね並べて示す切刃の斜視図である。
また、本実施形態に係る切刃Cは、図6に示すように、2枚重ね並べて1枚の刃物として使用することができる。つまり、切刃Cを2枚重ね並べて1枚の刃物として、開封帯11による開封構造の2本の引裂き線13が形成される抜型Bの要所に植設配置することができる。
このように、切刃Cを2枚重ね並べて1枚の刃物とすることで、開封帯11の2本の引裂き線13を形成する切目13aをブランクaに入れるときに、裏ライナーa1から表ライナーa2に至り切れ残しがない状態で確実に切目13aをブランクaに切り込むことができる。つまり、段ボールシートの紙質などによって、1枚では切れ残しが発生するおそれがある場合などには、2枚重ね並べて1枚の刃物として使用することで、一対の幅狭側板3,4の2本の引裂き線13上に位置させて切れ残しがなく確実に切目13aを切れ込むことができる。
【0050】
[作用説明]
このように形成されている本実施形態に係る切刃Cについて簡単に説明する。
図7は、切刃の刃先と切目の対応を示す拡大斜視図である。ここでは、図1および図4を適宜参照しながら説明する。
図7に示すように、略V字状にて断続的に連なる鋭い刃先16によって、ブランクaの裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至る断面視で略台形状の切目13aを断続的に切り込み形成することができる。
つまり、図1および図4に示すように、開封口12から開封方向に備えられる開封帯11による開封構造の略曲線形状の対称にて形成される2本の引裂き線13における各弓形外向き傾斜線部13−5に、裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至る断面視で略台形状の切目13aを断続的に設けることができる。このとき、切目13aの断続間隔を、1.0〜1.7mmの範囲の刃先16のピッチPにて選択的に入れることができる。つまり、段ボールシートの厚さや紙質などに応じて選択的に入れることができる。
また、ブランクaの一対の幅狭側板3,4に引裂き線13の切目13aを入れるとき、裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至るように鋭い刃先16を突き刺す切断であることで、シートを押し潰すことなく、裏ライナーa1から表ライナーa2に至るように切目13aを切り込むことができる。
【0051】
≪他の実施形態に係る切刃の説明≫
また、本実施形態では、切刃C−1の他の実施形態として、図8に示すように、略U字状の鋭い刃先17を断続的に多数備えて形成することができる。
図8は、他の実施形態に係る切刃を示す正面図および側面図であり、図9は、同切刃を2枚重ね並べて示す斜視図である。
なお、この実施形態に係る切刃C−1は、一辺縁に断続的に備える鋭い刃先17の形状を略U字状に形成している。それ以外の構成要素においては前記実施形態の切刃Cと基本的に同じであることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
【0052】
すなわち、図8に示すように、切刃C−1は、前記実施形態に係る切刃Cの板厚tを有する帯状に形成され、その一辺縁に沿って略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先(切断エッジ)17を、1.0〜1.7mmの範囲、好ましくは1.5mmのピッチPにて多数備えて形成されている。
また、切刃C−1は、前記実施形態に係る切刃Cと同様に、板厚tを0.6〜1.1mmの範囲、好ましくは0.9mmに設定されている。また、刃先端から刃元側へ対称形とする刃先17の両傾斜面17aの成す刃先角度θについては、40°〜60°、好ましくは50°としている。
【0053】
≪抜型の説明≫
つぎに、開封帯11による開封構造における2本の引裂き線13をブランクa(段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4)に入れる切刃Cおよび全切り波刃D、そして、開封口12の2本の切込み線12aをブランクaに入れるミシン刃Eおよび1本の切込み線12bを入れる全切り波刃Fを備え、さらに、開封用指掛け部15をブランクa(段ボール箱Aの外フラップ5,6)に形成する半切れ波刃Gと圧潰部材20を備える本実施形態に係る抜型Bについて説明する。
図10は、本実施形態に係る抜型の全体を示す底面図であり、図11および図12は、同抜型の一部を拡大して示す斜視図である。ここでは、図1を適宜参照しながら説明する。
【0054】
抜型Bは、周知の手法により寸法切り出し、そして曲げ加工などが施されて合板などの板材からなる型板bにそれぞれ植設される、図1に示すブランクaの外周輪郭を一枚の段ボールシートから打ち抜く打抜き刃17、各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4の綾部罫線10を入れる直線板状の押圧部材18を備えている。
【0055】
また、抜型Bは、一対の幅狭側板3,4に開封帯11の2本の引裂き線13を入れる切刃Cおよび全切り波刃D、開封口12の2本の切込み線12aを入れるミシン刃Eおよび1本の切込み線12bを入れる全切り波刃F、そして、一対の幅狭側板3,4および開封帯11に格子状のクロス罫線14をそれぞれ入れる押罫部材19、さらに、外フラップ5,6の縁部に開封用指掛け部15の折れ目15aを入れる半切れ波刃Gおよび圧潰部材20、などを備えて構成されている。
【0056】
ここで、具体的な形状(構造)については図示を省略しているが、開封口12の2本の切込み線12aをブランクa(一対の幅狭側板3,4)に入れるミシン刃Eは、例えば、24.5mm(1インチ)の長さ範囲において、裏ライナーa1から表ライナーa2に貫通する切込み線12aを入れるための全切刃先と切込み線12aの間に繋ぎ部を形成するための凹部とを交互にそれぞれ12ヶ所、計24ヶ所に備えている構成形態を成している。
このように形成されているミシン刃Eは、抜型Bにおける開封口12の2本の切込み線12aが切り込み形成される部分に位置して、図10および図11に示すように、全切り波刃Fとによって略H字状を成すように型板bに植設されて配置される。
【0057】
そして、開封口12から開封方向に向けて開封帯11の2本の引裂き線13をブランクa(一対の幅狭側板3,4)に入れる切刃Cと全切り波刃Dは、抜型Bにおける開封帯11の2本の引裂き線13の切目13aと全切目13bが切り込み形成される各部分に位置して、開封帯11の2本の引裂き線13と同じ略曲線形状にて対称と成すように型板bに植設されて配置される。
つまり、切刃Cは、図1に示す2本の引裂き線13上における開封口12の2本の切込み線12aの端から外側に向けて傾斜する外向き傾斜線部13−1、内側湾曲頂部13−4から外側湾曲頂部13−2に向けて緩やかな略弓形曲線にて傾斜する弓形外向き傾斜線部13−5に位置して型板bに植設されて、引裂き線13の切目13aをブランクa(一対の幅狭側板3,4)切り込み形成するように配置されている。
一方、半切れ波刃Dは、2本の引裂き線13上における外側湾曲頂部13−2、内向き傾斜線部13−3、内側湾曲頂部13−4に位置して型板bに植設されて、引裂き線13の全切目13bを切り込み形成するように配置されている。
【0058】
また、抜型は、1枚の段ボールシートからブランクaを打ち抜き裁断した後に、ブランクaを抜型から分離するためのスポンジ材やゴム材その他の材料から形成されている弾性部材21を備えている。この弾性部材21は、略ブロック状に形成されて、図10に示すように、打抜き刃17、切刃C、全切り波刃D、ミシン刃E、全切り波刃Fに沿う各所において配置される。
【0059】
[作用説明]
以上のように、開封帯11による開封構造の2本の引裂き線13を形成する切刃Cおよび全切り波刃D、そして、外フラップ5,6による開封構造の開封用指掛け部15を形成する半切り波刃Gおよび圧潰部材20を備えて構成されている本実施形態に係る抜型Bによれば、ブランクaが1枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されるときに、略V字状にて断続的に連なる切刃C,C−1の鋭い刃先16によって、開封口12から開封方向に開封帯11による開封構造の2本の引裂き線13を形成するように裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至る断面視で略台形状を呈する切目13aを、断続的に、そして開封方向の各要所において裏ライナーa1側から表ライナーa2側に貫通状に切り込まれる全切目13bを同時に切り込んで備えることができる。
【0060】
なお、図示を省略しているが、ブランクaが1枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されるときに、切刃Cの鋭い刃先16によって突き刺すように切目13aが切り込まれるブランクaの表ライナーa2側を受ける打抜き用のシート受け盤の部分には刃先16が刺さらない(食い込まない)硬さを有する金属板やその他の硬質部材が配されていて、この硬質部材によって切刃16の刃先端が受け止められるようになっている。
つまり、打抜き刃17によってブランクaの外周輪郭が一枚の段ボールシートから打ち抜かれるシート受け盤の外周輪郭部分などでは、打抜き刃17の刃先端が突き刺さるスポンジやその他の軟質部材が一般的に配されているが、切刃Cの鋭い刃先16によって切目13aが切り込まれるシート受け盤の部分では、刃先16の刃先端が突き刺さらずに受け止められる硬質部材が配されている。
これにより、切目13aは、突き刺し切り始め側(切断)となるブランクa裏ライナーa1側においては刃先16の刃元側形状に合わせて切り込みが広くなり、表ライナーa2側においては刃先16の刃先端形状に相当する小さな孔程度に狭い切れ込みとなる断面視で略台形状に形成されるものである。
【0061】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した各実施形態に限られるものではなく、請求項1から請求項8に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、開封帯11による開封構造において、2本の引裂き線13を開封口12から開封方向(引裂き方向)に周期的に湾曲させた略波状、または、開封方向に平行とする直線状などに設けることができる。
【0062】
また、本発明に係る開封帯11による開封構造、外フラップ5,6による開封構造、開封帯11の引裂き線13を突き刺すように切り込み形成する切刃C,C−1、この切刃C,C−1を備える抜型Bは、厚紙などの紙製シートを用いた紙製箱の製造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
A 段ボール箱
A1 胴部
a ブランク(段ボールシート)
a1 裏ライナー
a2 表ライナー
a3 中芯
B 抜型
C,C−1 切刃
1,2 幅広側板
3,4 幅狭側板
5,6 外フラップ
7,8 内フラップ
9 糊代片
10 綾部罫線
11 開封帯
12 開封口
13 引裂き線
13a 切目
13b 全切目
15 開封用指掛け部
15a 折れ目
15b 潰し部
16,17 刃先
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱の開封構造、詳しくは、被包装物を包み込むように包装する所謂ラップラウンド式の段ボール箱の開封帯およびフラップによる開封構造、この開封構造を形成するための切刃、およびこの切刃を備えている抜型に関する。
【背景技術】
【0002】
酒類やジュース類などの飲料缶、菓子類、そして即席商品などの被包装物を包み込むように包装する所謂ラップラウンド式の段ボール箱(包装箱)は、被包装物の包装に合わせた種々の形態(形状、大きさ)に製箱されている(例えば、特許文献1および特許文献2などを参照)。
【0003】
例えば、缶ビールなどの飲料缶を数十本単位で包み込むように包装する段ボール箱のブランクは、各一対の幅広側板および幅狭側板とからなる計4枚の側板が綾部罫線を介して連設されている略角筒状の胴部を備えている。そして、胴部の両側開口部は、各一対の幅広側板および幅狭側板の両端からそれぞれ連設されている内フラップおよび外フラップを、互いに重なり合うようにそれぞれ内側に折り曲げ、その重なり部分を貼り合わせることによって封緘される形態のものが使用されている。外フラップは、縁部(先端縁)同士を付き合わせた状態で糊接着などによって内フラップに重ね貼り合わせられている。
なお、ブランクは、一枚の段ボールシートから打ち抜かれて製造される。
【0004】
そして、このような形態からなる段ボール箱の一対の幅狭側板には、内フラップおよび外フラップによって封緘される両側開口部に至る開封方向(引裂き方向)に向けて開封帯(引裂き帯)が設けられている。また、一対の幅狭側板の中央部位には、開封帯の端部を摘むために破断開口される開封口が設けられている。
これにより、段ボール箱を開封するときに、開封口を破断開口して開封帯の端部を摘み、開封帯を開封方向に引裂いて、一対の幅狭側板を、一方の幅広側板側と他方の幅広側板側とに分断する開封を行うことで、飲料缶を取り出すことができるようになっている。
【0005】
また、このような形態からなる段ボール箱では、自動販売機などへ飲料缶を補充(投入)するときなどの場合、開封帯による段ボール箱の分断開封を行わずに、段ボール箱を封緘する両側開口部の外フラップを、内フラップから剥離する開封によって飲料缶を取り出すことが大半である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3865687号公報
【特許文献2】特開2008−280088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2の従来技術における開封帯(引裂き帯)の開封構造は、開封口(切始部)から開封方向に向けて形成された2本の波状切目線を備えている。そして、波状切目線を、ブランクの裏ライナーから表ライナーに貫通する全切部(全切線)と、裏ライナーから厚さ方向の途中まで切り込まれる半切部(半切線)とが開封方向に交互に断続するリード罫としてなるものである。
ここで、波状切目線の全切部と半切部は、抜型に植設されて備えられているリード罫刃によってブランクに入れられる。リード罫刃の刃先は、ブランクの裏ライナー側から表ライナー側に全切部を貫通状に切り込むための刃高の高い全切刃と、裏ライナー側から厚さ方向の途中まで半切部を切り込むための刃高の低い半切刃とが交互に形成されている平刃形状を成している。
【0008】
しかしながら、このような開封構造からなる開封帯を一対の幅狭側板(立面板)に備えている従来技術の段ボール箱では、波状切目線の開封方向に断続的に存在し、開封方向に所定長さにて切り込まれている全切部によって一対の幅狭側板の剛性が低下することとなる。
そのために、保管時や店内陳列時に数段積み上げたときに、上段側の段ボール箱の重さによって下段側の段ボール箱の一対の幅狭側板に座屈による胴膨れが生じ、箱の美観が損なわれるおそれがあった。
【0009】
また、波状切目線の全切部と半切部をブランクに入れられるリード罫刃は、全切刃、半切刃ともに、ブランクを開封帯の開封方向に直線的に切る刃先が平刃形状であるが故に、裏ライナー側から全切部、半切部を切り込むときに裏ライナーがスムーズに切れずにシートを押し潰してしまうことがあった。
【0010】
また、従来技術の段ボール箱では、外フラップを内フラップから剥離して開封するときに、指先が外フラップの縁部により切れて傷付くおそれがある。これは、縁部(先端縁部)を付き合わせた状態で内フラップに重ね貼り付けられている一方の外フラップの縁部に指先を掛けて、外フラップを内フラップから剥離して開封するとき、縁部に沿って指先を滑らせて負傷する。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来事情に対処するために創案されたものである。すなわち、段ボール箱の分断開封部位における座屈による胴膨れを抑止しながら開封帯による開封が容易であること、また、フラップによる開封時に指を負傷することがなく、フラップに指先をしっかりと掛けた状態で開封を容易にすること、開封帯の引裂き線をブランクに入れるときにシートを押し潰すことなく切断することができること、積み上げ時に胴膨れし難くすること、などを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明による段ボール箱の開封構造は、段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向の2本の引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造であって、前記引裂き線は、段ボールシートの裏ライナー側から表ライナー側に至る切目を前記開封方向に断続的に設けてなり、前記切目は、前記裏ライナー側において広く、前記表ライナー側において狭い断面視で略台形状であることを特徴とする。
ここで、前記引裂き線は、前記開封方向の各要所に、裏ライナー側から表ライナー側に貫通状に切り込まれる全切目をさらに備えていること、また、前記引裂き線は、前記開封方向に略曲線形状の対称に形成されていること、などの構成を採用することが好ましい。
【0013】
さらに、前記段ボール箱のフラップ縁部に、開封用指掛け部を備えている構成を採用することが好ましい。この場合、前記開封用指掛け部が、内フラップに重ね貼り付けられている外フラップの縁部に沿って施された折れ目および/または潰し部によって折り曲げ開口可能に形成されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明による段ボール箱の開封構造を形成する切刃は、段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向に引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造の前記引裂き線を形成するための切刃であって、所定の板厚を有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先を多数備えて形成されていることを特徴とする。
ここで、前記刃先のピッチが1.0〜1.7mmの範囲に、その振幅が0.5〜1.2mmの範囲に設定されているものが好適である。
【0015】
また、段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向に開封帯による開封構造の引裂き線を形成する切刃を備えた本発明による抜型は、前記段ボール箱の分断開封部位に位置させて前記切刃を備え、該切刃は、所定の板厚を有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先を多数備えて形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の開封帯による段ボール箱の開封構造によれば、段ボール箱の分離開封部位における剛性(座屈抑止強度)を低下させることなく、開付帯の引裂き線を備えることができる。
例えば、缶ビールなどの飲料缶を数十本単位で包み込むように包装するラップラウンド式の段ボール箱の胴部を折り曲げ形成する一対の幅狭側板に開封帯による開封構造を適用した場合、引裂き線で座屈して胴膨れを引き起こすことがない剛性を一対の幅狭側板に保った状態で、該一対の幅狭側板に引裂き線に沿って開封方向に引裂き可能とする開封帯による開封構造を備えることができる。
【0017】
また、引裂き線を形成するように開封方向に断続的に設けられる切目は、段ボールシートの裏ライナー側において広く(長く)切れ込まれていることで、引裂き線に沿って開封帯を引裂くとき、引裂き線は切れ込みが広いブランクの裏ライナー側から確実に、かつ、スムーズに引き裂かれることとなる。これにより、開封帯による段ボール箱の開封を容易に行うことができる。
【0018】
また、段ボールシートの表ライナー側において引裂き線の切目は、例えば、小さな孔程度の狭い切れ込みとして存在(露出)する。
つまり、従来技術の裏ライナーから表ライナーに貫通する全切部(全切線)は、裏ライナー側と同じ広さに切り込まれた広い(長い)切目として表ライナー側に存在することとなるために、商品名や製造・販売メーカのロゴなどが印刷される段ボール箱の外表面の美観が広い切目によって損なわれるのに対し、本発明では、切目が小さな孔程度(切刃の刃先端形状)の狭い切れ込みとして表ライナー側に点在するものであることで、段ボール箱の外表面の美観の低下を抑えることができる。
加えて、段ボール箱の一対の幅狭側板の剛性の低下を抑えることができるので、数段積み上げによる保管時や店内陳列時などにおける引裂き線からの座屈による胴膨れ抑止効果をより顕著に引き出すことができる。
【0019】
また、フラップによって段ボール箱を開封するときには、フラップの縁部に折れ目および/または潰し部によって備えられている開封用指掛け部を折り曲げ開口させることで、指を傷付けることなく、フラップの裏側(裏ライナー側)に指先をしっかりと掛けた状態で開封を容易に行うことができる。
【0020】
また、本発明の開封帯による段ボール箱の開封構造の引裂き線を形成する切刃によれば、略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先によって、開封口から開封方向に備えられる開封帯による開封構造の引裂き線を形成するように裏ライナー側から表ライナー側に至る断面視で略台形状の切目を、段ボール箱の分断開封部位の開封口から開封方向に断続的に切り込み設けることができる。
【0021】
また、切刃は、段ボール箱の分断開封部位に引裂き線の切目を入れるとき、裏ライナー側から表ライナー側に至るように鋭い刃先を突き刺す切断であることで、シートを押し潰すことなく、裏ライナーから表ライナーに至る断面視で略台形状の切目を切り込むことができる。
これにより、例えば、自動箱詰めラインの自動製函機によってブランクから段ボール箱へ自動で組み立て製箱されるときなどに、引裂き線から折れ曲がる現象を防いで、製箱不良の発生を抑制することができる。また、数段積み上げ時における胴膨れをも効果的に抑制することができるなどの効果を期待することができる。
【0022】
また、裏ライナー側から表ライナー側に至る断面視で略台形状の切目を段ボール箱の分断開封部位に、刃先のピッチ1.0〜1.7mmの範囲にて断続的に設けることができる。例えば、段ボールシートの厚さや紙質などに応じて1.0〜1.7mmの範囲の間隔をおいて切目を開封口から引裂き方向に選択的に設けることができる。
【0023】
また、本発明の開封帯による段ボール箱の開封構造の引裂き線を形成する切刃を備えた抜型によれば、段ボール箱のブランクが1枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されるときに、ブランクの裏ライナー側から表ライナー側に至る断面視で略台形状の切目を、略V字状または略U字状にて断続的に連なる切刃の鋭い刃先による突き刺し切断によって開封口から開封帯による開封方向に断続的に、かつ、同時に設けることができる。
これにより、保管時や店内陳列時に数段積み重ねたときの引裂き線からの座屈による胴膨れ抑止し、しかも、商品名や製造・販売メーカのロゴなどが印刷される段ボール箱の外表面の美観の低下を抑えながら開封を容易に行うことができる開封帯による開封構造を、分断開封部位に備えた段ボール箱(ブランク)を生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る開封帯および外フラップによるそれぞれの開封構造を適用させた段ボール箱のブランクの一例を示す裏面図である。
【図2】同ブランクを裏面側(裏ライナー側)から見たときの斜視図である。
【図3】段ボール箱の組み立て封緘状態を示し、(a)は、斜視図であり、(b)は、(a)のbーb線縦断拡大図である。
【図4】開封帯による開封構造の引裂き線の基本形態を示す説明図である。
【図5】本実施形態に係る開封帯による開封構造の引裂き線を形成する切刃の一部を示し、(a)は、正面図であり、(b)は、同側面図である。
【図6】同切刃を2枚重ね並べた状態を示す斜視図である。
【図7】同切刃の刃先と切目の対応を示す拡大斜視図である。
【図8】同切刃の他の実施形態を示し、(a)は、正面図であり、(b)は、同側面図である。
【図9】同他の実施形態の切刃を2枚重ね並べた状態を示す斜視図である。
【図10】本実施形態に係る開封帯による開封構造の引裂き線を形成する切刃を備えた抜型の全体を示す底面図である。
【図11】引裂き線を形成する切刃、全切り波刃が植設配置されている同抜型の一部を拡大して示す斜視図である。
【図12】フラップの縁部に開封用指掛け部を形成する半切れ波刃、圧潰部材が配置されている同抜型の一部を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の係る開封帯および外フラップによるそれぞれの開封構造を適用させた段ボール箱のブランクの一例を示す裏面図であり、図2は、同ブランクを裏面側から見たときの斜視図であり、図3は、組み立て製箱された段ボール箱の封緘状態を示す斜視図および縦断拡大図である。
なお、本実施形態では、被包装物として挙げられる酒やジュース類などの飲料缶、菓子類、そして即席商品などのうち、図2および図3に示すように、缶ビールなどの飲料缶Mを数十本単位で包み込むように包装するラップラウンド式の段ボール箱Aを一例として挙げて説明する。
【0026】
≪段ボール箱の説明≫
段ボール箱Aは、図1および図2に示すブランクaから図3に示す略矩形状に折り曲げ組み立てられて製箱される。
このブランクaは、図示省略の打抜き装置に装備される後記の抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されて製造されるものであり、図1に示すように、綾部罫線(折線)10を介して順次連設されて段ボール箱Aの略角筒状の胴部A1を折り曲げ形成する各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4とからなる計4枚の側板を備えている。
また、ブランクaは、各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4の両端(両短辺縁)に連設させた外フラップ5,6および内フラップ7,8をそれぞれ備えている。また、一方の幅狭側板3の開放長辺縁には糊代片9を備えている。
【0027】
これにより、各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4を各綾部罫線10に沿い順番に折り曲げ、幅狭側板3側に備えられている糊代片9を幅広側板2の開放長辺縁の内側に糊接着などによって貼り付けて幅狭側板3を幅広側板2に連結することで、段ボール箱Aの胴部A1が組み立て形成される。そして、胴部A1の両側開口部が、内側に折り曲げられた内フラップ7,8に、同じく内側に折り曲げられて重なり合う外フラップ5,6を糊接着などによる貼り付けにより封緘されることで、飲料缶Mを包み込むように包装する段ボール箱Aが、図3に示す略矩形状に製箱されるものである。
【0028】
なお、図示を省略しているが、この製箱は、缶ビールなどの飲料缶Mを数十本単位(例えば、24本単位)で整列させながら段ボール箱Aの胴部A1に箱詰めして包装する自動箱詰めラインの自動製函機によって自動で行われる。
【0029】
そして、このようにしてブランクaから折り曲げ組み立てられて製箱される段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4には、図1〜図3に示すように、開封帯11および開封口12、そして、開封帯11を形成する2本の引裂き線13からなる帯状の開封構造が、内フラップ7,8および外フラップ5,6によって封緘される胴部A1の両側開口部に至る開封方向(引裂き方向)に設けられている。
これにより、開封口12から開封帯11を2本の引裂き線13に沿って開封方向に引裂くことで、一対の幅狭側板3,4が、一方の幅広側板2側(図3(a)の上側)と他方の幅広側板1側(図3(a)の下側)に分断され、段ボール箱Aが開封されるようになっている。
【0030】
≪開封帯および開封口の説明≫
図4は、開封帯による開封構造の引裂き線の基本形態を示す説明図である。ここでは、図1〜図3を適宜参照しながら説明する。
開封帯11および開封口12は、ブランクaが抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜かれるとき、同抜型Bにより同時に切り込まれて形成されるものである。
開封帯11は、お客がビール缶などの飲料缶Mを段ボール箱A単位(ケース単位)で買い求めて持ち帰り、飲料缶Mを段ボール箱Aから取り出すときに、段ボール箱Aを開封口12から引裂いて開封するためのものである。
この開封帯11は、図1および図4に示すように、2本の引裂き線13により一対の幅狭側板3,4にそれぞれ帯状に形成される。そして、この開封帯11は、図1に示すように、一対の幅狭側板3,4の両端に連設する内フラップ7,8の端縁まで達するように設けられる。
【0031】
≪引裂き線の説明≫
2本の引裂き線13は、抜型Bに備えられる後記の切刃Cによってブランクaの裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至るように切り込まれる切目13aを、開封口12から開封方向に断続的に設け、かつ、後記の全切り波刃Dによって裏ライナーa1側から表ライナーa2側に貫通するように入れられる全切目13bを開封方向の各要所に設けることで、一対の幅狭側板3,4の開封方向に、後記の外側湾曲頂部13−2と内側湾曲頂部13−4を交互に有する略曲線形状の対称にて形成されるものである。
【0032】
具体的に述べると、2本の引裂き線13は、図1および図2、図4に示すように、一対の幅狭側板3,4の中央部位において、綾部罫線10と略平行に入れられている開封口12の後記する2本の切込み線12aの端から両側の内フラップ7,8側に向けたそれぞれの開封方向に、2本の切込み線12a間の巾よりも広くなるように外側(綾部罫線10側)に傾斜させた外向き傾斜線部13−1、この外向き傾斜線部13−1に連設する外側湾曲頂部13−2から2本の切込み線12a間の巾よりも狭くなるように内側(綾部罫線10から遠ざかる方向)に傾斜させた内向き傾斜線部13−3、この内向き傾斜線部13−3に連設する内側湾曲頂部13−4から所望の長さと緩やかな略弓形曲線にて外側に漸次傾斜させた弓形外向き傾斜線部13−5、そして、この弓形外向き傾斜線部13−5に連設する前記の外側湾曲頂部13−2、この外側湾曲頂部13−2から内側に傾斜して弓形外向き傾斜線部13−5に連設する前記の内向き傾斜部13−3を設けることを開封方向に繰り返す略曲線形状の対称に形成されている。
つまり、開封帯11は、開封口12から開封方向に向けて外側湾曲頂部13−2と内側湾曲頂部13−4を交互に有する略曲線形状の対称にて形成される2本の引裂き線13によって引裂き可能に設けられる。
【0033】
≪切目および全切目の説明≫
切目13aは、ブランクaの裏ライナーa1側から突き刺さるように厚さ方向に入り込んで刃先端が表ライナー2側に至る切刃Cの刃先C1によってブランクaに切り込まれて形成される。
この切目13aは、後記の図7に示すように、ブランクaの裏ライナーa1側において広く、表ライナーa2側においては狭い、例えば、切刃Cの刃先端形状に相当する小さな孔程度とする断面視で略台形状を成して2本の引裂き線13上に位置して形成される。
【0034】
このようにして2本の引裂き線13を形成するようにブランクaに切り込まれる切目13aの開封方向における断続的な配置について説明すると、図4に示すように、切目13aは、略曲線形状にて対称と成す2本の引裂き線13上における開封口11の2本の切込み線11aの端から外側に向けて傾斜する外向き傾斜線部13−1、内側湾曲頂部13−4から外側湾曲頂部13−2に向けて緩やかな略弓形曲線にて傾斜する弓形外向き傾斜線部13−5上において、切刃Cの後記する刃先16のピッチ1.0〜1.7mmの間隔をおいてそれぞれ切り込み配置される。
【0035】
そして、この切目13aと併用して2本の引裂き線13の各要所に備えられる全切目13bは、ブランクaの裏ライナーa1側から中芯a3を貫通(切断)して表ライナーa2側に、裏ライナーa1側と略同じ切り込み長さにて貫通状に切り込まれて2本の切込み線12aの各要所に形成される。
この全切目13bは、図4に示すように、2本の引裂き線13の外側湾曲頂部13−2、内向き傾斜線部13−3、内側湾曲頂部13−4において抜型Bに備えられる全切り波刃Dによって切り込まれて配置される。
【0036】
開封口12は、段ボール箱Aを開封するとき、開封帯11の端部を摘むために破断開口されるものである。
この開封口12は、図1に示すように、開封帯11の帯幅(2本の引裂き線13の線間)にて綾部罫線10と略平行に入れられる2本の切込み線12a、この2本の切込み線12aの長さ方向中心部間にわたるように入れられる1本の切込み線12bと、それら切込み線12a,12bの各要所に位置して設けられる繋ぎ部12cとによって一対の幅狭側板3,4のそれぞれの中央部位に略H字状の破断形状にて設けられる。
【0037】
2本の切込み線12aは、抜型Bに備えられる後記のミシン刃Eによって、また、1本の切込み線12bは、後記の全切り波刃Fによって、ブランクBの裏ライナーb1側から表ライナーb2側に貫通状に切り込まれることによりそれぞれ形成されるものである。
【0038】
また、本実施例では、段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4と開封帯11に、図1および図2に示すように、斜め格子状に形成されるクロス罫筋14をそれぞれ備えている。
このクロス罫筋14は、ブランクaの裏ライナーa1側に、ブランクaが抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜かれるとき、抜型Bに備えられている後記の押罫部材19によって同時に形成されるものである。
これにより、飲料缶Mなどを包み込み包装した封緘状態で複数個の段ボール箱Aを数段に積み上げた際に、上段側の段ボール箱Aの荷重による下段側の段ボール箱Aの胴膨れを抑えるようにしている。
【0039】
[作用説明]
つぎに、以上のように形成されている本実施形態に係る開封帯11による開封構造を一対の幅狭側板3,4に適用させてなる段ボール箱Aによれば、引裂き線13を形成するように開封方向に断続的に設けられる切目13aは、ブランクaの裏ライナーa1側において広く(長く)切れ込まれていることで、引裂き線13に沿って開封帯11を引裂くとき、引裂き線13は切れ込みが広いブランクaの裏ライナーa1側から確実に、かつ、スムーズに引き裂かれることで、開封帯11による段ボール箱Aの開封を容易に行うことができる。
また、ブランクaの表ライナーa2側において切目13aは、例えば、小さな孔程度の狭い切れ込みとして存在(露出)する程度であることから、商品名や製造・販売メーカのロゴなどが印刷される段ボール箱Aの外表面の美観の低下を抑えることができる。
【0040】
また、本実施形態では、段ボール箱Aの胴部A1の両側開口部を封緘する内フラップ7,8に重ね貼り付けられる外フラップ5,6の縁部に開封用指掛け部15を備えてなる開封構造をさらに採用している。
すなわち、図3に示すように、縁部(先端縁)同士を付き合わせた状態で内フラップ7,8に重ね貼り付けられている外フラップ5,6の縁部に開封用指掛け部15を備えて、指先などを負傷することなく、指先を外フラップ5,6の内側(裏ライナーa1側)にしっかりと掛けた状態で容易に開封し得るようにしている。
【0041】
≪開封用指掛け部の説明≫
開封用指掛け部15は、ブランクaが抜型Bによって一枚の段ボールシートから打ち抜かれるとき、抜型Bに備えられる後記の半切れ波刃Gと圧潰部材20によって同時に形成されるものである。
この開封用指掛け部15は、図に示すように、外フラップ5,6の縁部略中央部位において、所望な大きさの略半月状に半切れ波刃Gによって施される折れ目15aと、この折れ目15aと縁部によって囲まれた内側部分に圧潰部材20によって施される潰し部15bを備えて形成されている。
【0042】
これにより、例えば、自動販売機などへ飲料缶を補充(投入)するときなどにおいて、外フラップ5,6に指を掛けて開封するとき、開封用指掛け部15を、図3の(b)に二点鎖線で示すように、内側に折り曲げることで、縁部によって指先などを傷付けることなく、略半月状に開く開口より外フラップ5,6の内側(裏ライナーa1側)に指先を差し入れ、外フラップ5,6の内側に指先をしっかりと掛けた状態で外フラップ5,6を内フラップ7,8から剥離して開封することができる。
【0043】
なお、図示を省略しているが、開封用指掛け部15は、略半月状に施される折れ目15a、または、潰し部15bの何れか一方側のみによって外フラップ5,6の縁部に折り曲げ開口可能に形成することができる。
また、折れ目15aのみにて開封用指掛け部15を形成した場合、外フラップ5,6の縁部から略半月状の折れ目15aに至るように、縁部から直交方向に繋ぎを有する切込み線などを数本入れるなどの工夫を施すことができる。これにより、開封用指掛け部15をより関単に折り曲げ開口する。つまり、開封用指掛け部15を破くように開口することができる。
【0044】
また、指掛け開封部15の他の構成形態として、一対の幅狭側板3,4の縁部に沿わせて曲線凸凹状に連なる凸部群から形成することができる。
【0045】
≪切刃の説明≫
つぎに、前記段ボール箱Aのブランクa(一対の幅狭側板3,4)に開封帯11による開封構造の引裂き線13を切り込み形成する本実施形態に係る切刃Cについて説明する。
図5は、本実施形態に係る切刃を示す正面図及び側面図である。
【0046】
切刃Cは、図5に示すように、所定の板厚tを有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状にて断続的に連なる鋭い刃先(切断エッジ)16を多数備えて形成されている。
【0047】
そして、本実施形態に係る切刃Cは、ブランクa(段ボールシート)のシート厚さや紙質(素材)などにもよる。例えば、3〜5mmのシート厚などにもよるが、刃先16のピッチPを1.0〜1.7mmの範囲に、その振幅Wを0.5〜1.5mmの範囲に設定することが好ましい。
その理由は、ピッチPを1.0mm以下にすると、略V字状または略U字状にて断続的に備える刃先16の形成(加工)が難しい上に、刃先16の強度などが低下することとなるからであり、ピッチPが1.7mmを越えると、刃先16を略V字状または略U字状にて断続的に備えることによる所期の目的を達成することが難しくなるからである。
また、振幅Wを0.5mm以下にすると、刃先16を略V字状または略U字状にて断続的に備えることによる効果が十分に得られないことになるからであり、また、振幅Wが1.5mmを越えると、ブランクaの裏ライナーa1側において広く、表ライナーa2側においては狭い断面視で略台形状を成す切目13aを形成することができなくなるなどの所期の目的を達成することが難しくなるからである。
したがって、本実施形態の切刃Cにおいては、刃先16のピッチ(P)を1.0〜1.7mmの範囲に設定、好ましくは1.5mmに設定する。刃先16の振幅Wを0.5〜1.5mmの範囲に設定、好ましくは0.5〜0.9mm、特に好ましくは0.7mmに設定する。
【0048】
また、切刃Cの板厚tについては、0.6〜1.1mm、好ましくは0.9mmとする。また、刃先端から刃元側へ対称形とする刃先16の両傾斜面16aの成す刃先角度θについては、40°〜60°、好ましくは50°とする。つまり、刃先角度θについては、40°より小さくするほど切れ味が良くなるが、刃先強度の低下を招くこととなり、60°より大きくするほど刃先強度は高くなるが切れ味が悪くなる。
【0049】
図6は、2枚重ね並べて示す切刃の斜視図である。
また、本実施形態に係る切刃Cは、図6に示すように、2枚重ね並べて1枚の刃物として使用することができる。つまり、切刃Cを2枚重ね並べて1枚の刃物として、開封帯11による開封構造の2本の引裂き線13が形成される抜型Bの要所に植設配置することができる。
このように、切刃Cを2枚重ね並べて1枚の刃物とすることで、開封帯11の2本の引裂き線13を形成する切目13aをブランクaに入れるときに、裏ライナーa1から表ライナーa2に至り切れ残しがない状態で確実に切目13aをブランクaに切り込むことができる。つまり、段ボールシートの紙質などによって、1枚では切れ残しが発生するおそれがある場合などには、2枚重ね並べて1枚の刃物として使用することで、一対の幅狭側板3,4の2本の引裂き線13上に位置させて切れ残しがなく確実に切目13aを切れ込むことができる。
【0050】
[作用説明]
このように形成されている本実施形態に係る切刃Cについて簡単に説明する。
図7は、切刃の刃先と切目の対応を示す拡大斜視図である。ここでは、図1および図4を適宜参照しながら説明する。
図7に示すように、略V字状にて断続的に連なる鋭い刃先16によって、ブランクaの裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至る断面視で略台形状の切目13aを断続的に切り込み形成することができる。
つまり、図1および図4に示すように、開封口12から開封方向に備えられる開封帯11による開封構造の略曲線形状の対称にて形成される2本の引裂き線13における各弓形外向き傾斜線部13−5に、裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至る断面視で略台形状の切目13aを断続的に設けることができる。このとき、切目13aの断続間隔を、1.0〜1.7mmの範囲の刃先16のピッチPにて選択的に入れることができる。つまり、段ボールシートの厚さや紙質などに応じて選択的に入れることができる。
また、ブランクaの一対の幅狭側板3,4に引裂き線13の切目13aを入れるとき、裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至るように鋭い刃先16を突き刺す切断であることで、シートを押し潰すことなく、裏ライナーa1から表ライナーa2に至るように切目13aを切り込むことができる。
【0051】
≪他の実施形態に係る切刃の説明≫
また、本実施形態では、切刃C−1の他の実施形態として、図8に示すように、略U字状の鋭い刃先17を断続的に多数備えて形成することができる。
図8は、他の実施形態に係る切刃を示す正面図および側面図であり、図9は、同切刃を2枚重ね並べて示す斜視図である。
なお、この実施形態に係る切刃C−1は、一辺縁に断続的に備える鋭い刃先17の形状を略U字状に形成している。それ以外の構成要素においては前記実施形態の切刃Cと基本的に同じであることから、同じ構成要素に同じ符合を付することで重複説明は省略する。
【0052】
すなわち、図8に示すように、切刃C−1は、前記実施形態に係る切刃Cの板厚tを有する帯状に形成され、その一辺縁に沿って略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先(切断エッジ)17を、1.0〜1.7mmの範囲、好ましくは1.5mmのピッチPにて多数備えて形成されている。
また、切刃C−1は、前記実施形態に係る切刃Cと同様に、板厚tを0.6〜1.1mmの範囲、好ましくは0.9mmに設定されている。また、刃先端から刃元側へ対称形とする刃先17の両傾斜面17aの成す刃先角度θについては、40°〜60°、好ましくは50°としている。
【0053】
≪抜型の説明≫
つぎに、開封帯11による開封構造における2本の引裂き線13をブランクa(段ボール箱Aの一対の幅狭側板3,4)に入れる切刃Cおよび全切り波刃D、そして、開封口12の2本の切込み線12aをブランクaに入れるミシン刃Eおよび1本の切込み線12bを入れる全切り波刃Fを備え、さらに、開封用指掛け部15をブランクa(段ボール箱Aの外フラップ5,6)に形成する半切れ波刃Gと圧潰部材20を備える本実施形態に係る抜型Bについて説明する。
図10は、本実施形態に係る抜型の全体を示す底面図であり、図11および図12は、同抜型の一部を拡大して示す斜視図である。ここでは、図1を適宜参照しながら説明する。
【0054】
抜型Bは、周知の手法により寸法切り出し、そして曲げ加工などが施されて合板などの板材からなる型板bにそれぞれ植設される、図1に示すブランクaの外周輪郭を一枚の段ボールシートから打ち抜く打抜き刃17、各一対の幅広側板1,2および幅狭側板3,4の綾部罫線10を入れる直線板状の押圧部材18を備えている。
【0055】
また、抜型Bは、一対の幅狭側板3,4に開封帯11の2本の引裂き線13を入れる切刃Cおよび全切り波刃D、開封口12の2本の切込み線12aを入れるミシン刃Eおよび1本の切込み線12bを入れる全切り波刃F、そして、一対の幅狭側板3,4および開封帯11に格子状のクロス罫線14をそれぞれ入れる押罫部材19、さらに、外フラップ5,6の縁部に開封用指掛け部15の折れ目15aを入れる半切れ波刃Gおよび圧潰部材20、などを備えて構成されている。
【0056】
ここで、具体的な形状(構造)については図示を省略しているが、開封口12の2本の切込み線12aをブランクa(一対の幅狭側板3,4)に入れるミシン刃Eは、例えば、24.5mm(1インチ)の長さ範囲において、裏ライナーa1から表ライナーa2に貫通する切込み線12aを入れるための全切刃先と切込み線12aの間に繋ぎ部を形成するための凹部とを交互にそれぞれ12ヶ所、計24ヶ所に備えている構成形態を成している。
このように形成されているミシン刃Eは、抜型Bにおける開封口12の2本の切込み線12aが切り込み形成される部分に位置して、図10および図11に示すように、全切り波刃Fとによって略H字状を成すように型板bに植設されて配置される。
【0057】
そして、開封口12から開封方向に向けて開封帯11の2本の引裂き線13をブランクa(一対の幅狭側板3,4)に入れる切刃Cと全切り波刃Dは、抜型Bにおける開封帯11の2本の引裂き線13の切目13aと全切目13bが切り込み形成される各部分に位置して、開封帯11の2本の引裂き線13と同じ略曲線形状にて対称と成すように型板bに植設されて配置される。
つまり、切刃Cは、図1に示す2本の引裂き線13上における開封口12の2本の切込み線12aの端から外側に向けて傾斜する外向き傾斜線部13−1、内側湾曲頂部13−4から外側湾曲頂部13−2に向けて緩やかな略弓形曲線にて傾斜する弓形外向き傾斜線部13−5に位置して型板bに植設されて、引裂き線13の切目13aをブランクa(一対の幅狭側板3,4)切り込み形成するように配置されている。
一方、半切れ波刃Dは、2本の引裂き線13上における外側湾曲頂部13−2、内向き傾斜線部13−3、内側湾曲頂部13−4に位置して型板bに植設されて、引裂き線13の全切目13bを切り込み形成するように配置されている。
【0058】
また、抜型は、1枚の段ボールシートからブランクaを打ち抜き裁断した後に、ブランクaを抜型から分離するためのスポンジ材やゴム材その他の材料から形成されている弾性部材21を備えている。この弾性部材21は、略ブロック状に形成されて、図10に示すように、打抜き刃17、切刃C、全切り波刃D、ミシン刃E、全切り波刃Fに沿う各所において配置される。
【0059】
[作用説明]
以上のように、開封帯11による開封構造の2本の引裂き線13を形成する切刃Cおよび全切り波刃D、そして、外フラップ5,6による開封構造の開封用指掛け部15を形成する半切り波刃Gおよび圧潰部材20を備えて構成されている本実施形態に係る抜型Bによれば、ブランクaが1枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されるときに、略V字状にて断続的に連なる切刃C,C−1の鋭い刃先16によって、開封口12から開封方向に開封帯11による開封構造の2本の引裂き線13を形成するように裏ライナーa1側から表ライナーa2側に至る断面視で略台形状を呈する切目13aを、断続的に、そして開封方向の各要所において裏ライナーa1側から表ライナーa2側に貫通状に切り込まれる全切目13bを同時に切り込んで備えることができる。
【0060】
なお、図示を省略しているが、ブランクaが1枚の段ボールシートから打ち抜き裁断されるときに、切刃Cの鋭い刃先16によって突き刺すように切目13aが切り込まれるブランクaの表ライナーa2側を受ける打抜き用のシート受け盤の部分には刃先16が刺さらない(食い込まない)硬さを有する金属板やその他の硬質部材が配されていて、この硬質部材によって切刃16の刃先端が受け止められるようになっている。
つまり、打抜き刃17によってブランクaの外周輪郭が一枚の段ボールシートから打ち抜かれるシート受け盤の外周輪郭部分などでは、打抜き刃17の刃先端が突き刺さるスポンジやその他の軟質部材が一般的に配されているが、切刃Cの鋭い刃先16によって切目13aが切り込まれるシート受け盤の部分では、刃先16の刃先端が突き刺さらずに受け止められる硬質部材が配されている。
これにより、切目13aは、突き刺し切り始め側(切断)となるブランクa裏ライナーa1側においては刃先16の刃元側形状に合わせて切り込みが広くなり、表ライナーa2側においては刃先16の刃先端形状に相当する小さな孔程度に狭い切れ込みとなる断面視で略台形状に形成されるものである。
【0061】
なお、本発明の実施形態の具体的な構成は、前記した各実施形態に限られるものではなく、請求項1から請求項8に記載の本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更などがあっても本発明に含まれるものである。
例えば、開封帯11による開封構造において、2本の引裂き線13を開封口12から開封方向(引裂き方向)に周期的に湾曲させた略波状、または、開封方向に平行とする直線状などに設けることができる。
【0062】
また、本発明に係る開封帯11による開封構造、外フラップ5,6による開封構造、開封帯11の引裂き線13を突き刺すように切り込み形成する切刃C,C−1、この切刃C,C−1を備える抜型Bは、厚紙などの紙製シートを用いた紙製箱の製造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
A 段ボール箱
A1 胴部
a ブランク(段ボールシート)
a1 裏ライナー
a2 表ライナー
a3 中芯
B 抜型
C,C−1 切刃
1,2 幅広側板
3,4 幅狭側板
5,6 外フラップ
7,8 内フラップ
9 糊代片
10 綾部罫線
11 開封帯
12 開封口
13 引裂き線
13a 切目
13b 全切目
15 開封用指掛け部
15a 折れ目
15b 潰し部
16,17 刃先
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向の2本の引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造であって、
前記引裂き線は、段ボールシートの裏ライナー側から表ライナー側に至る切目を前記開封方向に断続的に設けてなり、
前記切目は、前記裏ライナー側において広く、前記表ライナー側においては狭い断面視で略台形状であることを特徴とする段ボール箱の開封構造。
【請求項2】
前記引裂き線は、前記開封方向の各要所に、前記裏側から前記表側に貫通する全切目をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項3】
前記引裂き線は、前記開封方向に略曲線形状にて対称に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項4】
前記段ボール箱のフラップ縁部に、開封用指掛け部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項5】
前記開封用指掛け部が、内フラップに重ね貼り付けられている外フラップの縁部に沿って施された折れ目および/または潰し部によって折り曲げ開口可能に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項6】
段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向の引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造の前記引裂き線を形成する切刃であって、
所定の板厚を有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先を多数備えて形成されていることを特徴とする段ボール箱の開封構造を形成する切刃。
【請求項7】
前記刃先のピッチが1.0〜1.7mmの範囲に、その振幅が0.5〜1.2の範囲に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の段ボール箱の開封構造を形成する切刃。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の段ボール箱の開封構造の引裂き線を形成する切刃を、段ボール箱の分断開封部位に位置させて備えたことを特徴とする抜型。
【請求項1】
段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向の2本の引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造であって、
前記引裂き線は、段ボールシートの裏ライナー側から表ライナー側に至る切目を前記開封方向に断続的に設けてなり、
前記切目は、前記裏ライナー側において広く、前記表ライナー側においては狭い断面視で略台形状であることを特徴とする段ボール箱の開封構造。
【請求項2】
前記引裂き線は、前記開封方向の各要所に、前記裏側から前記表側に貫通する全切目をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項3】
前記引裂き線は、前記開封方向に略曲線形状にて対称に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項4】
前記段ボール箱のフラップ縁部に、開封用指掛け部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項5】
前記開封用指掛け部が、内フラップに重ね貼り付けられている外フラップの縁部に沿って施された折れ目および/または潰し部によって折り曲げ開口可能に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の段ボール箱の開封構造。
【請求項6】
段ボール箱の分断開封部位に、開封口から開封方向の引裂き線に沿って引裂き可能に備えられる開封帯による開封構造の前記引裂き線を形成する切刃であって、
所定の板厚を有する板状に形成され、その一辺縁に沿って略V字状または略U字状にて断続的に連なる鋭い刃先を多数備えて形成されていることを特徴とする段ボール箱の開封構造を形成する切刃。
【請求項7】
前記刃先のピッチが1.0〜1.7mmの範囲に、その振幅が0.5〜1.2の範囲に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の段ボール箱の開封構造を形成する切刃。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の段ボール箱の開封構造の引裂き線を形成する切刃を、段ボール箱の分断開封部位に位置させて備えたことを特徴とする抜型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−30867(P2012−30867A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172861(P2010−172861)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(510207656)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(510207656)
【Fターム(参考)】
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