説明

毒餌剤容器

【課題】害虫に対する毒餌剤容器の喫食性及び定着性を向上することができ、毒餌剤容器の安全面、衛生面を良好にすることができ、また、立てて設置することができる毒餌剤容器を提供する。
【解決手段】容器本体11と、容器本体11に取り付けられるカバー部材12と、毒餌剤37〜39が収容される毒餌剤収容部34〜36と、容器10内に匍匐性害虫が出入りするための出入口50と、出入口50から毒餌剤収容部34〜36に匍匐性害虫を導く通路51と、出入口50から直進したときに突き当たり、通路51に進入した匍匐性害虫の進行方向を2回以上変更する壁部31,32,41aと、を備え、通路51及び毒餌剤収容部34〜36が、容器本体11及びカバー部材12によって暗化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴキブリ等の匍匐性害虫を駆除するのに好適な毒餌剤容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴキブリ等の匍匐性害虫を駆除するための方法として、食毒剤を害虫が好む餌に混ぜたもの、所謂、毒餌剤を用いる方法が知られている。毒餌剤としては、殺虫効果や誘引効果が低下しないように密封袋内に収納され、用時に密封袋から取り出され、所定の容器内に充填されるものがある。容器としては、毒餌剤を収納した容器全体が密封袋で密封されたものや、底板と周壁とから構成される収納部に毒餌剤を収納してシール部材により収納部の開口を密封したものがある。これらの容器は、使用に際して、密封袋やシール部材を取り除き、害虫の出現しうる場所に置かれる。
【0003】
そして、このような毒餌剤容器の一例として、図10に示すような毒餌剤容器100が知られている(例えば、特許文献1参照)。この毒餌剤容器100は、図10に示すように、底板101と、底板101の四隅に設けられる柱部102と、柱部102に支持される天板103と、底板101上に設けられる毒餌剤収容部104と、毒餌剤収容部104に収容される毒餌剤105と、天板103に設けられる揮散口106と、柱部102,102間に形成される害虫侵入口107と、を備え、揮散口106から害虫誘引成分を揮散させ、害虫侵入口107に害虫を誘引している。
【0004】
【特許文献1】特開平10−201408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の毒餌剤容器100では、毒餌剤105を収納する毒餌剤収納部104に光が直接入り込むようになっているため、暗所を好むゴキブリの性質に合わず、警戒心が生まれてしまい、喫食性及び定着性が低かった。また、毒餌剤105が害虫侵入口107を介して外部に露出しているため、幼児等が毒餌剤105と接触してしまう可能性があることから、安全面、衛生面で好ましくなかった。さらに、毒餌剤容器を立てて用いたりした場合に、毒餌剤やその食べカスが容器外にこぼれることがあり改善の必要があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、害虫に対する毒餌剤容器の喫食性及び定着性を向上することができ、毒餌剤容器の安全面、衛生面を良好にすることができ、また、立てて設置することができる毒餌剤容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
(1) 少なくとも一つの毒餌剤が収納される毒餌剤容器であって、容器本体と、容器本体に取り付けられるカバー部材と、毒餌剤が収容される毒餌剤収容部と、容器内に匍匐性害虫が出入りするための出入口と、出入口から毒餌剤収容部に匍匐性害虫を導く通路と、出入口から直進したときに突き当たり、通路に進入した匍匐性害虫の進行方向を2回以上変更する壁部と、を備え、通路及び毒餌剤収容部が、容器本体及びカバー部材によって暗化されることを特徴とする毒餌剤容器。
(2) 出入口及び通路の少なくとも一方が、上り坂となるように形成されることを特徴とする(1)に記載の毒餌剤容器。
(3) 出入口は、カバー部材に設けられるひさし板により狭く形成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の毒餌剤容器。
【0008】
本発明の毒餌剤容器によれば、容器本体と、容器本体に取り付けられるカバー部材と、毒餌剤が収容される毒餌剤収容部と、容器内に匍匐性害虫が出入りするための出入口と、出入口から毒餌剤収容部に匍匐性害虫を導く通路と、出入口から直進したときに突き当たり、通路に進入した匍匐性害虫の進行方向を2回以上変更する壁部と、を備え、通路及び毒餌剤収容部が、容器本体及びカバー部材によって暗化されるため、暗化された通路及び毒餌剤収容部により匍匐性害虫の警戒心が解かれて、匍匐性害虫が毒餌剤容器内に入り込み易くなるので、害虫に対する毒餌剤容器の喫食性及び定着性を向上することができる。
【0009】
また、出入口から毒餌剤収容部までの間に通路が設けられると共に、通路の形成方向を2回以上変更する壁部が設けられるため、毒餌剤が外部に露出することがない。これにより、幼児等と毒餌剤が接触するのを防止することができるので、毒餌剤容器の安全面、衛生面を良好にすることができる。
【0010】
また、本発明の毒餌剤容器によれば、通路が壁部によりクランク状に形成されるため、入り組んでいて遮蔽物があるところを好む匍匐性害虫の警戒心を解くことができるので、害虫に対する毒餌剤容器の喫食性及び定着性を更に向上することができる。また、出入口から毒餌剤までの距離が長く暗いので、容器内での害虫の定着数を向上することができる。さらに、幼児等の指が毒餌剤収容部に到達してしまうのを確実に防止することができるので、毒餌剤容器の安全面、衛生面を更に良好にすることができる。
【0011】
また、本発明の毒餌剤容器によれば、出入口から直進したときに突き当たる位置に壁部が設けられるため、毒餌剤容器内に害虫の食べカス、毒餌剤からの液ダレが発生したとしても、これらが外部に漏れ出るのを防止することができる。これにより、毒餌剤容器の安全面、衛生面を更に良好にすることができる。また、害虫の食べカス、毒餌剤からの液ダレが容器外に漏れ出ないので、毒餌剤容器を立てて設置することも可能となり、適用場面を広めることができる。
【0012】
また、本発明の毒餌剤容器によれば、出入口及び通路の少なくとも一方を匍匐性害虫の好む上り坂としているため、匍匐性害虫が通路内に進入し易くなり、毒餌剤容器の喫食性及び定着性を更に向上することができる。
【0013】
また、本発明の毒餌剤容器によれば、カバー部材のひさし部により出入口を狭くしているため、出入口から光が入りにくくなっている。これにより、通路を効率よく暗化することができるので、毒餌剤容器の喫食性及び定着性を更に向上することができる。さらに、幼児等の指が毒餌剤収容部に到達してしまうのを確実に防止することができるので、毒餌剤容器の安全面、衛生面を更に良好にすることができる。
【0014】
また、本発明の毒餌剤容器によれば、複数種類の毒餌剤を使用することによって、地域や場所によって異なる匍匐性害虫の種類や好みに対応することができる。また、その種類や好みに合わせて毒餌剤を複数個使用することも可能である。また、毒餌剤は、異なる成分、含水量、製剤型とすることによって、各種、各ステージのゴキブリに対する誘引効果を高めることができる。
【0015】
本発明に使用される毒餌剤には、害虫に対する防除効果を得るために各種殺虫成分等を有効成分として用いることができる。例えば、除虫菊エキス、天然ピレトリン、プラレトリン、イミプロトリン、フタルスリン、アレスリン、トランスフルトリン、レスメトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、サイパーメスリン、エトフェンプロックス、シフルスリン、デルタメスリン、ビフェントリン、フェンバレレート、フェンプロパスリン、シラフルオフェン、メトフルトリン、プロフルトリン等のピレスロイド系化合物や、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、ピリダフェンチオン、プロチオホス、ホキシム、クロルピリホス、ジクロルボス等の有機リン系化合物や、カルバリル、プロポクスル、メソミル、チオジカルブ等のカーバメート系化合物や、メトキサジアゾン等のオキサジアゾール系化合物や、イミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、チアクロプリド等のクロロニコチル系化合物、チアメトキサム、クロチアニジン等のチアニコチル系化合物、ジノテフラン等のフラニコチル系化合物等のネオニコチノイド系化合物や、フィプロニル等のフェニルピラゾール系化合物や、アミドフルメト等のスルホンアミド系化合物や、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン等の昆虫成長制御化合物や、ベンジルアルコール、ハッカ油等の殺虫性精油類や、ホウ酸、ホウ砂、クロルフェナピル、これらの異性体又は誘導体、ピペロニルブトキサイド、サイネピリン500、サイネピリン222、S−421等の共力剤等の1種又は2種以上を配合してもよい。
【0016】
そして、毒餌剤は、上記した有効成分の他に、食餌成分、誘引成分、溶媒等を適宜用いて常法により、例えば、錠剤、練合せ剤、固形剤、ゼリー剤、グミ剤等に製造すればよい。
【0017】
食餌成分とは、害虫を誘引し、摂食させることができる食餌・誘引成分を意味するものであり、例えば、糖質類、油脂類、デンプン類、タンパク類、アミノ酸類、動植物のエキス類、高級アルコール類等を用いることができる。
【0018】
食餌、誘引成分としては、例えば、果汁、ハチミツ、廃糖ミツ、マルチトース、キシリトール、ソルビトール、異性果糖、蔗糖、砂糖キビ、砂糖、パラチノース、トレハロース、シュークロース、ソホロース、コウジビオース、シラノース、ラミナリビオース、ニゲロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、ライクロース、ゲンチオビオース、イソマルトース、メリビオース、ルチノース、プリムベロース、ビシアノース、ロビノース、D−グルコース、N−アセチル−D−グルコミサン、D−ガラクトース、D−ガラクツロン酸、D−マンノース、D−キシロース、D−ラクトース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、D−グルコミサン、アクチン、アルブミン、カゼイン、フィブリン、フィブリノーゲン、ケラチン、グロブリン、ヘモグロビン、ラクトグロブリン、ミオジン、ヘプシン、リボヌクレアーゼ、フィッシュソリュブル等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0019】
さらに、例えば、イナゴ、バッタ、カマキリ、コオロギ、チョウ、ガ、ハエ、オキアミ、サナギコ、魚類、家畜類、貝類、卵等からの由来物質や、落花生、カボチャ種子、小麦フスマ、小麦粉、トウモロコシ、ソラマメ、大豆等からの由来物質や、木ロウ、ヤシ油、カカオ脂、ヒマシ油、オリーブ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、ゴマ油、綿実油、アマニ油、キリ油、麻実油、エノ油、哺乳類等から得られるバター脂、鯨油、イルカ油、イワシ油、ニシン油、タラ肝油、サメ肝油、微生物油脂、酵母や細菌等からの油脂や、エデスチン、ゼイン、グリアジン等の1種又は2種以上を用いることもできる。
【0020】
また、例えば、オニオンフレーバー、メープルフレーバー、チキンエキス、ビーフエキス、ポークエキス、牛乳、醤油、ウスターソース、ペリプラノン化合物、トリアルキルアミン塩類、アルキルアミン類、ゴキブリの糞や卵及び乾燥物、メチルシクロペンテノロン、バニリン、マルトール、メチルマルトール等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
溶媒としては、例えば、精製水、イオン水、鉱水等の水や、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール等の有機溶媒や、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、グリコール誘導体等の界面活性剤や、乳酸エチル、乳酸メチル等の乳酸エステルや、N−メチルピロリドン等のN−アルキルピロリドン等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
また必要に応じて、酸化防止剤、保存剤、誤食防止剤、色素、香料等を配合することもできる。
【0023】
例えば、エリソルビン酸及びその塩、ジブチルヒドロキシトルエン、dl−α−トコフェロール、ノルジヒドログアヤレチック酸、メチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、グアヤク脂、L−システイン塩等の酸化防止剤や、安息香酸及びその塩、サリチル酸、ジフェニール、ソルビン酸及びその塩、デヒドロ酢酸及びその塩、パラヒドロキシ安息香酸エステル、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、フェノキシエタノール等の保存剤や、安息香酸デナトニウム、トウガラシ末等の苦味成分や辛味成分等の誤食防止剤や、黄色4号、赤色102号、青色1号等のタール系色素やカラメル等の色素や、チーズ香料、バター香料、ピーナッツ香料、ピーチ香料、ストロベリー香料、ミルク香料等の香料や、クエン酸、リン酸水素塩等のPH調整剤等の1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
また害虫の誘引、摂食を阻害しない限り、必要に応じて、例えば、ホワイトカーボン、珪藻土、クレー、カオリン、タルク、ベントナイト、シリカ等の無機物や、パラフィン、ポリエチレングリコール、デキストリン、スチレン樹脂、シリコーン樹脂、結晶セルロース、寒天、ゼラチン等の有機物の1種又は2種以上を配合してもよい。
【0025】
また、本発明の毒餌剤は、匍匐性害虫である、例えば、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ等のゴキブリに適用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の毒餌剤容器によれば、容器本体と、容器本体に取り付けられるカバー部材と、毒餌剤が収容される毒餌剤収容部と、容器内に匍匐性害虫が出入りするための出入口と、出入口から毒餌剤収容部に匍匐性害虫を導く通路と、出入口から直進したときに突き当たり、通路に進入した匍匐性害虫の進行方向を2回以上変更する壁部と、を備え、通路及び毒餌剤収容部が、容器本体及びカバー部材によって暗化されるため、害虫に対する毒餌剤容器の喫食性及び定着性を向上することができ、毒餌剤容器の安全面、衛生面を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る毒餌剤容器の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明に係る毒餌剤容器の第1実施形態について説明する。
図1は本発明に係る毒餌剤容器の第1実施形態を説明するための分解斜視図、図2は図1に示す毒餌剤容器の組み立て後の外観斜視図、図3は図1に示す毒餌剤容器の横断面図、図4は図3のA−A線矢視断面図、図5は図3のB−B線矢視断面図である。
【0029】
本実施形態の毒餌剤容器10は、図1に示すように、主として、容器本体11と、容器本体11の上方を覆うカバー部材12と、を備える。
【0030】
容器本体11は、図1及び図3に示すように、平面視略六角形に形成される中央底板20と、中央底板20の各辺から外方に向けて連設され、外方から中央底板20に向けて上り坂となるように形成される第1〜第6側部底板21〜26と、を備え、全体として平面視略六角形に形成される。
【0031】
また、容器本体11は、第1〜第6側部底板21〜26の互いに隣り合う境界線上の外端部に、平面視略V字状の柱部30がそれぞれ立設されており、その内の第2及び第3側部底板22,23間、第4及び第5側部底板24,25間、及び第6及び第1側部底板26,21間に設けられる柱部30から中央に向けて壁部である第1内壁板31がそれぞれ連設される。
【0032】
また、容器本体11は、第1内壁板31の内端部から中央底板20の一辺の外縁に沿って壁部である第2内壁板32が連設される。そして、各第1及び第2内壁板31,32により、第1,第3,第5側部底板21,23,25上に平面視略への字状の隔壁が形成される。
【0033】
また、中央底板20には、第2内壁板32のそれぞれの内側位置に、上方に向けてボス部33が突設され、このボス部33の内側位置には、第1〜第3毒餌剤収容部34〜36が設けられる。そして、本実施形態では、第1毒餌剤収容部34にゲル状又はゼリー状の第1毒餌剤37が収容され、第2毒餌剤収容部35に固形状の第2毒餌剤38が収容され、第3毒餌剤収容部36に固形状の第3毒餌剤39が収容される。また、第2毒餌剤38は動物性毒餌を主成分とした毒餌剤で、第3毒餌剤39は植物性毒餌を主成分とした毒餌剤である。
【0034】
また、第1側部底板21には、図1及び図3に示すように、丸孔形状の位置決め孔27が形成されており、この位置決め孔27は、組立工程において、複数の容器本体11を積み重ねる際に不図示の治具を挿通させたり、光を通過させたりして、第1側部底板21の位置(位相)を一定にする。これにより、容器本体11とカバー部材12の組み立て位相が常に一定となるので、製造効率の向上が可能となる。
【0035】
カバー部材12は、図1〜図3に示すように、平面視略六角形に形成される中央天板40と、中央天板40の第2,第4,第6側部底板22,24,26に対応する辺から外方に向けて連設され、中央天板40から外方に向けて水平に形成される側部天板41と、各側部天板41の外縁から下方に向けて連設される壁部である外壁板41aと、中央天板40の第1,第3,第5側部低板21,23,25に対応する辺から外方に向けて連設され、中央天板40から外方に向けて下方に傾斜するように形成されるひさし板42と、各ひさし板42の外縁から下方に向けて連設されるひさし部42aと、を備え、全体として平面視略六角形に形成される。
【0036】
また、中央天板40の裏側には、容器本体11のボス部33に対応する位置に、ボス部33に挿し込まれカバー部材12を容器本体11に取り付けるための挿入杆43が突設される。
【0037】
そして、図1〜図5に示すように、容器本体11の第1〜第3毒餌剤収容部34〜36に第1〜第3毒餌剤37〜39がそれぞれ収容された後、容器本体11にカバー部材12が覆い被され、容器本体11の各ボス部33にカバー部材12の各係合杆43が差し込まれることによって、毒餌剤容器10が組み立てられる。
【0038】
このため、側部天板41,41,41が、第2,第4,第6側部底板22,24,26上にそれぞれ配置され、ひさし板42,42,42が、第1,第3,第5側部底板21,23,25上にそれぞれ配置される。そして、ひさし板42,42,42、第1,第3,第5側部底板21,23,25、及び柱部30,30・・・によって、毒餌剤容器10の外周面に3個の出入口50が等間隔に形成される。この出入口50は、上下方向の高さが狭く形成されており、その大きさは、クロゴキブリ、ヤマトゴキブリ、チャバネゴキブリ等の匍匐性害虫の外形に合わせられている。なお、本実施形態の出入口50は、例えば、幅47mm、高さ10mmの大きさに形成される。出入口50の寸法は、これに限られず、幅10〜60mm、高さ5〜20mmの範囲で調整して形成できる。
【0039】
また、本実施形態では、図3〜図5に示すように、容器本体11に形成される3個の第1及び第2内壁板31,32、及びカバー部材12に形成される3個の外壁板41aによって、各出入口50から第1〜第3毒餌剤収容部34,35,36に匍匐性害虫を導く通路51が形成される。また、本実施形態では、第2内壁板32は、出入口50から直進したときに突き当たる位置に形成される。
【0040】
そして、出入口50から通路51内に進入した匍匐性害虫は、第1及び第2内壁板31,32により進行方向を右方向に変更させられた後、右隣の第2内壁板32及び外壁板41aにより進行方向を左方向に変更させられて、第1〜第3毒餌剤収容部34〜36に到達し、第1〜第3毒餌剤37〜39を喫食する。このとき、通路51内は容器本体11及びカバー部材12により周りが囲まれて狭く暗くなっているため、匍匐性害虫の警戒心は解かれている。また、第1〜第6側部底板21〜26が匍匐性害虫の好む上り坂となっているため、匍匐性害虫が通路51内に進入し易くなっている。
【0041】
(第2実施形態)
次に、図6を参照して、本発明に係る毒餌剤容器の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図6は本発明に係る毒餌剤容器の第2実施形態を説明するための概略平面図である。なお、図6ではカバー部材は省略されている。
【0042】
本実施形態の毒餌剤容器60は、図6に示すように、平面視略正方形の容器本体61と、容器本体61の上方を覆う不図示のカバー部材と、容器本体61上に点対称に立設される4枚の壁部62と、4枚の壁部62により容器本体61の略中央に形成される毒餌剤収容部63と、毒餌剤収容部63に収容される4種類の毒餌剤64と、を備える。
【0043】
壁部62は、平面視直線状に形成される第1壁板62aと、第1壁板62aの一端部から外側に回り込むように平面視略正方形に形成される第2壁板62bと、を備え、平面視略鉤状に形成される。また、第1壁板62aの他端部は、左隣の壁部62の第2壁板62b内まで延びている。
【0044】
そして、本実施形態では、容器本体61、カバー部材、及び隣り合う壁部62,62の第2壁板62b,62bによって、毒餌剤容器60の各側面の中央部に出入口65がそれぞれ形成される。また、隣り合う壁部62,62の第2壁板62b,62bによって、各出入口65から毒餌剤収容部63に匍匐性害虫を導く通路66が形成される。また、4枚の壁部62によって、毒餌剤64の周囲を匍匐性害虫が回遊することが可能な回廊部67が形成される。また、各壁部62の第2壁板62b内に、通路66に進入した匍匐性害虫が休息する休息室68が形成される。
【0045】
そして、出入口65から通路66内に進入した匍匐性害虫は、壁部62の第1及び第2壁板62a,62bの外側面により進行方向を左方向に変更させられた後、左隣の壁部62の第2壁板62bの内側面により進行方向を右方向にUターンさせられて、毒餌剤収容部63に到達し、毒餌剤64を喫食する。
【0046】
(第3実施形態)
次に、図7を参照して、本発明に係る毒餌剤容器の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図7は本発明に係る毒餌剤容器の第3実施形態を説明するための概略平面図である。なお、図7ではカバー部材は省略されている。
【0047】
本実施形態の毒餌剤容器70は、図7に示すように、平面視略正方形の容器本体71と、容器本体71の上方を覆う不図示のカバー部材と、容器本体71上に左右対称に立設される2枚の平面視略Tの字状の第1壁部72aと、容器本体71上に対角線上に立設される2枚の平面視略Tの字状の第2壁部72bと、容器本体71上に対角線上に立設される2枚の平面視略Lの字状の第3壁部72cと、第1及び第2壁部72a,72bにより容器本体71の略中央に形成される毒餌剤収容部73と、毒餌剤収容部73に収容される3種類の毒餌剤74と、を備える。
【0048】
そして、本実施形態では、容器本体71、カバー部材、及び第1及び第2壁部72a,72bによって、毒餌剤容器70の左右の側面の略中央部に第1出入口75aがそれぞれ形成される。また、容器本体71、カバー部材、及び第1及び第3壁部72a,72cによって、毒餌剤容器70の左右の側面の略中央部に第2出入口75bがそれぞれ形成される。また、容器本体71、カバー部材、及び第2及び第3壁部72b,72cによって、毒餌剤容器70の対角線上の側面に第3出入口75cがそれぞれ形成される。
【0049】
また、本実施形態では、第1及び第2壁部72a,72bによって、第1出入口75aから毒餌剤収容部73に匍匐性害虫を導く第1通路76aが形成される。また、第1及び第3壁部72a,72cによって、第2出入口75bから毒餌剤収容部73に匍匐性害虫を導く第2通路76bが形成される。また、第2及び第3壁部72b,72cによって、第3出入口75cから毒餌剤収容部73に匍匐性害虫を導く第3通路76cが形成される。
【0050】
また、本実施形態では、第1及び第2壁部72a,72bによって、毒餌剤74の周囲を匍匐性害虫が回遊することが可能な回廊部77が形成される。
【0051】
そして、第1出入口75aから第1通路76a内に進入した匍匐性害虫は、第1壁部72aにより進行方向を左方向に変更させられた後、第2壁部72bにより進行方向を右方向に変更させられて、毒餌剤収容部73に到達し、毒餌剤74を喫食する。また、第2出入口75bから第2通路76b内に進入した匍匐性害虫は、第1壁部72aにより進行方向を右方向に変更させられた後、第2壁部72bにより進行方向を左方向に変更させられて、毒餌剤収容部73に到達し、毒餌剤74を喫食する。また、第3出入口75cから第3通路76c内に進入した匍匐性害虫は、第2壁部72bにより進行方向を左方向に変更させられた後、第3壁部72cにより進行方向をUターンさせられて、毒餌剤収容部73に到達し、毒餌剤74を喫食する。
【0052】
(第4実施形態)
次に、図8を参照して、本発明に係る毒餌剤容器の第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
図8は本発明に係る毒餌剤容器の第4実施形態を説明するための概略平面図である。なお、図8ではカバー部材は省略されている。
【0053】
本実施形態の毒餌剤容器80は、図8に示すように、平面視略正方形の容器本体81と、容器本体81の上方を覆う不図示のカバー部材と、容器本体81上に立設される平面視略渦巻き状の第1壁部82a及び第2壁部82bと、容器本体81上に立設される平面視略括弧状の第3壁部82c及び第4壁部82dと、第1壁部82aにより容器本体81の略中央に形成される毒餌剤収容部83と、毒餌剤収容部83に収容される毒餌剤84と、を備える。
【0054】
そして、本実施形態では、容器本体81、カバー部材、及び第1及び第2壁部82a,82bによって、毒餌剤容器80の右前の側面に第1出入口85aが形成される。また、容器本体81、カバー部材、及び第2及び第3壁部82b,82cによって、毒餌剤容器80の右奥の側面に第2出入口85bが形成される。また、容器本体81、カバー部材、及び第3及び第4壁部82c,82dによって、毒餌剤容器80の左奥の側面に第3出入口85cが形成される。また、容器本体81、カバー部材、及び第1及び第4壁部82a,82dによって、毒餌剤容器80の左前の側面に第4出入口85dが形成される。
【0055】
また、本実施形態では、第1及び第2壁部82a,82bによって、第1出入口85aから毒餌剤収容部83に匍匐性害虫を導く第1通路86aが形成される。また、第1〜第3壁部82a〜82cによって、第2出入口85bから毒餌剤収容部83に匍匐性害虫を導く第2通路86bが形成される。また、第1,第3,第4壁部82a,82c,82dによって、第3及び第4出入口85c,85dから第2通路86bに合流し、毒餌剤収容部83に匍匐性害虫を導く第3通路86c及び第4通路86dが形成される。
【0056】
また、本実施形態では、第1壁部82aによって、毒餌剤84の周囲を匍匐性害虫が回遊することが可能な回廊部87が形成される。
【0057】
そして、第1出入口85aから第1通路86a内に進入した匍匐性害虫は、第1及び第2壁部82a,82bにより進行方向を右方向に6回変更させられて毒餌剤収容部83に到達し、毒餌剤84を喫食する。また、第2出入口85bから第2通路86b内に進入した匍匐性害虫は、第1〜第3壁部82a〜82cにより進行方向を右方向に7回変更させられて毒餌剤収容部83に到達し、毒餌剤84を喫食する。また、第3出入口85cから第3通路86c内に進入した匍匐性害虫は、途中で第2通路86bに合流して、第1〜第4壁部82a〜82dにより進行方向を右方向に8回変更させられて毒餌剤収容部83に到達し、毒餌剤84を喫食する。また、第4出入口85dから第4通路86d内に進入した匍匐性害虫は、途中で第2及び第3通路86b,86cに合流して、第1〜第4壁部82a〜82dにより進行方向を右方向に9回変更させられて毒餌剤収容部83に到達し、毒餌剤84を喫食する。
【実施例】
【0058】
以下に、本発明の毒餌剤容器(本実施例)の作用効果を確認するために行った各試験について説明する。
【0059】
各試験に使用する本実施例の毒餌剤容器は、図9(a)に示すように、本発明の毒餌剤容器10であり、比較例の毒餌剤容器は、図9(b)に示すように、本発明の毒餌剤容器10から第1内壁板31及び第2内壁板32を取り外したものである。また、本実施例及び比較例の毒餌剤容器では、毒餌剤収容部に1種類の固形飼料(オリエンタル酵母社製)が設置される。
【0060】
[喫食量比較試験]
本試験では、供試虫(チャバネゴキブリ雄25匹と雌25匹)及び水を入れたバット(縦38cm、横28cm、高さ18cm)内に、本実施例及び比較例の毒餌剤容器を並置して、一晩放置した後の飼料の喫食量(減少量)を確認した。そして、上記した試験を4回繰り返して行い、その平均喫食量(g)を確認した。結果を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
表1から明らかなように、比較例の平均喫食量が0.45gであるのに対して、本実施例の平均喫食量が0.51gであることから、本実施例の方が多くの飼料が喫食されたことがわかった。このことから、入り組んだ構造の本実施例の方が外部からの影響を受け難いため、ゴキブリの警戒心が解かれることにより容器内での喫食時間が延びて、ゴキブリの喫食量が増加したものと考えられる。
【0063】
[定着数比較試験]
本試験では、供試虫(チャバネゴキブリ雄25匹と雌25匹)及び水を入れたバット(縦38cm、横28cm、高さ18cm)内に、本実施例及び比較例の毒餌剤容器を並置して、一晩放置した後のゴキブリの定着数(容器内へ定着しているゴキブリの数)を確認した。そして、上記した試験を4回繰り返して行い、その平均定着数(匹)を確認した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】

【0065】
表2から明らかなように、比較例の平均定着数が8匹であるのに対して、本実施例の平均定着数が20.75匹であることから、本実施例の方が多くのゴキブリが容器内に定着することがわかった。このことから、入り組んだ構造の本実施例の方が外部からの影響を受け難いため、ゴキブリの警戒心が解かれることにより容器内での滞在時間が延びて、ゴキブリの容器内への定着数が増加したものと考えられる。
【0066】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、本実施形態では、毒餌剤容器は、平面視略六角形に形成されているが、これに限定されず、他の多角形形状や円形状に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る毒餌剤容器の第1実施形態を説明するための分解斜視図である。
【図2】図1に示す毒餌剤容器の組み立て後の外観斜視図である。
【図3】図1に示す毒餌剤容器の横断面図である。
【図4】図3のA−A線矢視断面図である。
【図5】図3のB−B線矢視断面図である。
【図6】本発明に係る毒餌剤容器の第2実施形態を説明するための概略平面図である。
【図7】本発明に係る毒餌剤容器の第3実施形態を説明するための概略平面図である。
【図8】本発明に係る毒餌剤容器の第4実施形態を説明するための概略平面図である。
【図9】試験に用いる毒餌剤容器を説明するための図であり、(a)は本実施例の毒餌剤容器の分解斜視図、(b)は比較例の毒餌剤容器の分解斜視図である。
【図10】従来の毒餌剤容器を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
10 毒餌剤容器
11 容器本体
12 カバー部材
20 中央底板
21 第1側部底板
22 第2側部底板
23 第3側部底板
24 第4側部底板
25 第5側部底板
26 第6側部底板
30 柱部
31 第1内壁板(壁部)
32 第2内壁板(壁部)
34 第1毒餌剤収容部
35 第2毒餌剤収容部
36 第3毒餌剤収容部
37 第1毒餌剤
38 第2毒餌剤
39 第3毒餌剤
40 中央天板
41 側部天板
41a 外壁板(壁部)
42 ひさし板
50 出入口
51 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの毒餌剤が収納される毒餌剤容器であって、
容器本体と、
前記容器本体に取り付けられるカバー部材と、
前記毒餌剤が収容される毒餌剤収容部と、
前記容器内に匍匐性害虫が出入りするための出入口と、
前記出入口から前記毒餌剤収容部に匍匐性害虫を導く通路と、
前記出入口から直進したときに突き当たり、前記通路に進入した匍匐性害虫の進行方向を2回以上変更する壁部と、を備え、
前記通路及び前記毒餌剤収容部が、前記容器本体及び前記カバー部材によって暗化されることを特徴とする毒餌剤容器。
【請求項2】
前記出入口及び前記通路の少なくとも一方が、上り坂となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の毒餌剤容器。
【請求項3】
前記出入口は、前記カバー部材に設けられるひさし板により狭く形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の毒餌剤容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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