説明

毛髪化粧料

【課題】高温整髪器具の繰り返し使用による毛髪タンパク質の熱変性の蓄積で発生する毛髪のうねり、縮れを抑制でき、かつ高温整髪器具を用いた整髪時のセット性、セット持続性、毛髪の感触に優れる毛髪化粧料、及び上記毛髪化粧料を用いた整髪方法の提供。
【解決手段】成分(A)〜(C)を含有し、質量比(A)/(C)が0.01〜2、pH2.0〜4.5である毛髪化粧料組成物。
(A):グルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類
(B):C2-6であり、pKaが3〜4であるモノカルボン酸又はpKa1が3〜4であるジ若しくはトリカルボン酸
(C):主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、式(1);


で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年消費者の中で、より簡便に、望みのヘアスタイルに仕上げることを目的として、ヘアアイロン(フラットアイロン、カールアイロン等)やコテ等の高温整髪器具を利用する人が増大し、また一人当たりの使用頻度も増大しつつある。ヘアアイロン、コテ等の高温整髪器具は、一般家庭用では120〜180℃程度、理美容専門店用では200〜220℃、あるいはそれ以上の温度に設定可能なものもあり、ヘアドライヤー(約100℃未満)に比べ、これら高温整髪器具を用いた場合、毛髪はより高温にさらされることになる。
【0002】
このため、ヘアアイロンやコテ等の高温整髪器具によるダメージから毛髪を保護、又は毛髪損傷を修復する手段として、糖類を利用する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、還元糖を用いて、高温加熱による引っ張り強度低下を抑制する技術が開示されている。また、特許文献2では炭素数3から5の単糖類を用いて、毛髪タンパク質のα構造を保護して、引っ張り強さを維持する方法について開示されている。また、特許文献3では毛髪損傷の原因の一例として、高温のスタイリング器具の長時間使用を挙げており、二糖と鎖式飽和二酸とグアニジウム塩とを併用して、毛髪をより扱いやすくする技術について開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-95472号公報
【特許文献2】特開2008-163037号公報
【特許文献3】特開2010-77138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2では、毛髪を長時間組成物に浸漬させた後に、高温の加熱器具による加熱処理を行う処理で、引っ張り強度低下抑制効果を有すると報告している。しかし、本発明者が特許文献1、2の技術について、生活者の実使用条件に近い条件で、高温整髪器具を繰り返し使用して評価したところ、引っ張り強度を抑制する効果は不十分であった。また、特許文献3の技術も、生活者の実使用条件に近い条件で毛髪に適用し、高温加熱器具を繰り返し使用した場合には、効果が不十分であった。
【0005】
ここにおいて本発明者は、高温整髪器具を繰り返し使用することで毛髪タンパク質の熱変性が蓄積されることにより、洗髪・乾燥後にうねり、縮れが発生することを新たに発見した。このうねりの発生を抑制する視点で特許文献1〜3の技術を評価したところ、これらの技術ではうねりを抑制する効果はほとんど得られないことが新たにわかった。
【0006】
以上のことは、高温加熱処理を繰り返し行うことにより毛髪タンパク質の熱変性が蓄積された結果、これまでには知られていない新たな毛髪ダメージが発生していることを示唆している。
【0007】
一方、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性ポリシロキサンは、従来の被膜形成樹脂に比べて毛髪のセット性やセット持続性、整髪後の感触に優れた性能を有することが知られている。しかし、糖類と併用した場合、糖類とポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性ポリシロキサンとが相溶しないため、整髪時に毛髪上に形成する被膜が均一に形成されず、その結果として高温加熱器具を使用した場合のセット性、セット持続性や、毛髪の滑らかさが低下してしまうという課題がある。
【0008】
すなわち、ヘアアイロンやコテなどの高温整髪器具を繰り返し使用することによって、発生する洗髪・乾燥後の毛髪のうねり、縮れを抑制し、かつ高温整髪器具を使用した整髪時のセット性、セット持続性が高く、毛髪の感触の全てに優れる技術を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)と成分(C)の含有質量比(A)/(C)が0.01〜2であり、組成物のpHが2.0〜4.5である毛髪化粧料組成物を提供するものである。
(A):グルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類
(B):炭素数が2〜6であり、pKaが3〜4であるモノカルボン酸又はpKa1が3〜4であるジ若しくはトリカルボン酸
(C):主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント〔セグメント(a)〕のケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す。)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント〔セグメント(b)〕が結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
セグメント(a)の重量平均分子量が7,000〜100,000であり、
セグメント(b)の数平均分子量が1,200〜5,500であり、
セグメント(a)とセグメント(b)との質量比(a/b)が35/65〜60/40であり、
隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1,300〜5,500である、
オルガノポリシロキサン
【0012】
また本発明は、上記の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用し、該毛髪の温度を100℃以上に加熱する工程を有する整髪方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の毛髪化粧料は、高温加熱器具を繰り返し使用した場合に発生する洗髪・乾燥後の毛髪のうねり、縮れの発生を抑制することができ、更には高温加熱器具を用いた整髪時のセット性、セット持続性が高く、毛髪の滑らかさが優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔成分(A):グルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類〕
成分(A)のグルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類は、毛髪に浸透し内部タンパクと相互作用することで、ヘアアイロン等による加熱時にも、毛髪内部タンパクの構造を安定な状態で維持することにより、高温の熱変性の蓄積に対する耐性を毛髪に付与することができる。しかし、二糖類とポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性ポリシロキサンとは相溶しないため、これらを併用した場合、ヘアアイロンセット性、セット持続性、セット後の毛髪の滑らかさが低下するという課題があった。
【0015】
この課題を解決するためには、二糖類の毛髪への浸透性を高めるだけでなく、二糖類と毛髪内部タンパクとの相互作用そのものを強化する必要があると考え、発明に至った。本発明によれば、成分(A)グルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類と、成分(B)の特定のカルボン酸を組み合わせ、更にはpHを2.0〜4.5の範囲にすることで成分(A)の二糖類が有する高熱に対する耐性を高め、高温整髪器具の繰り返し使用による洗髪・乾燥後のうねりや縮れの発生を抑制することができる。
【0016】
成分(A)のグルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類の具体例としては、トレハロース(α1-α1結合)、コージオース(α1,2結合)、ニゲロース(α1,3結合)、マルトース(α1,4結合)、イソマルトース(α1,6結合)、イソトレハロース(β1-β1結合)、ソホロース(β1,2結合)、ラミナリビオース(β1,3結合)、セロビオース(β1,4結合)、ゲンチオビオース(β1,6結合)、ネオトレハロース(β1-α1結合)が挙げられ、特に入手容易性の観点からトレハロース、マルトースが好ましい。
【0017】
糖類には、糖アルコール類、単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、多糖類等があるが、毛髪内部への浸透性、毛髪タンパク質との相互作用の強さの観点から、本発明においては、上記の特定の二糖類を用いる。糖アルコールや単糖は分子量が小さいため、毛髪内部に容易に浸透できるが、毛髪内部タンパクとの相互作用が弱く、一方で三糖、オリゴ糖、多糖類は分子量が大きく毛髪内部に浸透しにくいため好ましくない。また二糖類の中でも、成分(A)であるグルコース2分子から構成される二糖類は、毛髪内部タンパクとの相互作用が強く、毛髪タンパク質の熱変性の蓄積により発生する髪のうねりや縮れの発生を抑制する効果が高い。
【0018】
本発明の毛髪化粧料中における成分(A)の含有量は、洗髪・乾燥後のうねり、縮れ抑制と、高いセット性、セット持続性とを両立する観点から、0.01〜6質量%が好ましく、更には0.1〜3質量%、更には0.2〜2質量%が好ましい。
【0019】
〔成分(B):特定のカルボン酸〕
成分(B)の炭素数が2〜6であり、pKaが3〜4のモノカルボン酸又はpKa1が3〜4のジ若しくはトリカルボン酸は、成分(A)と毛髪内部タンパクとの相互作用を強固にし、毛髪タンパク質の熱変性の蓄積に起因する髪のうねりや縮れの発生を抑制する効果を向上するものと推定される。成分(B)の具体例としては、グリコール酸(炭素数2、pKa=3.88)、乳酸(炭素数3、pKa=3.86)、リンゴ酸(炭素数4、pKa1=3.46)、酒石酸(炭素数4、pKa1=3.04)、クエン酸(炭素数6、pKa1=3.15)が挙げられ、ヘアアイロンセット性を向上させ、整髪後の毛髪の滑らかさに優れる点から、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸が好ましい。
【0020】
また、成分(B)は、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ここで、本発明の毛髪化粧料中における成分(B)の含有量は、毛髪タンパク質の熱変性の蓄積に起因する髪のうねりや縮れの発生を抑制する効果の増強、毛髪内部の空洞を補修する効果、及び高いセット性、セット持続性の全てを同時に達成する観点から、0.01〜10質量%が好ましく、更には0.05〜5質量%、更には0.15〜3質量%が好ましい。
【0021】
本発明の毛髪化粧料は、組成物としてのpHが2.0〜4.5であり、3.0〜4.0が好ましい。この範囲とすることによりダメージなく、到達すべき毛髪内部の部位へ成分(A)を浸透させることができ、成分(A)と毛髪の相互作用を強化することができると考えられる。ここで、pHの制御は、成分(B)の配合量の調整のほか、通常のpH調整剤を使用することによっても行うことができる。
【0022】
成分(B)以外に使用される通常のpH調整剤としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸類;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、β-ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;酢酸(炭素数2、pKa=4.76)、プロピオン酸(炭素数3、pKa=4.87)、コハク酸(炭素数4、pKa1=4.21)、アジピン酸(炭素数6、pKa1=4.42)等のpKa1が3〜4でない有機酸が挙げられる。しかし、成分(B)のモノ乃至トリカルボン酸を使用せずに、これら通常のpH調整剤のみによって上記pH範囲に調整しても、毛髪タンパク質の熱変性の蓄積に起因する髪のうねりや縮れの発生を抑制する効果、毛髪内部の空洞補修効果は十分に得られない。
【0023】
〔成分(C):オルガノポリシロキサン〕
成分(C)のオルガノポリシロキサンは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して所定間隔で、かつ所定の割合で結合した特有の構造を備えている。すなわち、親水性が高いポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントと親油性が高いオルガノポリシロキサンセグメントが特定の比率で存在し、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが特定の間隔で存在する。
【0024】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合することが可能であるが、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。
【0025】
ヘテロ原子を含むアルキレン基は、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの連結基として機能する。かかるアルキレン基としては、例えば、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を1〜3個含む炭素数2〜20のアルキレン基が例示され、中でも下記式(i)〜(viii)のいずれかで表される基が好ましく、下記式(i)〜(iii)のいずれかで表される基がより好ましい。なお、式中、An-は4級アンモニウム塩の対イオンを示し、例えば、エチル硫酸イオン、メチル硫酸イオン、塩化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンが例示される。
【0026】
【化2】

【0027】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成する繰り返し単位である一般式(1)中、R1における炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜22の直鎖、分岐状又は環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。中でも、水や低級アルコールに対する溶解性の高さの観点から、炭素数1〜10、更には炭素数1〜6、更には炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
【0028】
アラルキル基としては、例えば、炭素数7〜15のアラルキル基が例示され、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。中でも、炭素数7〜14、更には炭素数7〜10のアラルキル基が好ましい。
【0029】
アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基が例示され、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示され、中でも、炭素数6〜12、更には炭素数6〜9のアリール基が好ましい。
【0030】
これらの中でも、R1としては、炭素数1〜6、更には炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
【0031】
オルガノポリシロキサンセグメント(a)と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント(b)との質量比(a/b)は、溶媒への溶解性・分散性、整髪時の形付けのしやすさ、整髪後の毛髪の感触、整髪した髪を長時間保持するセット力をバランス良く兼ね備えることで、本発明の整髪方法に特に適したものとする観点から、35/65〜60/40であるが、好ましくは42/58〜58/42、より好ましくは45/55〜55/45、更に好ましくは47/53〜53/47である。
【0032】
なお、本明細書において、質量比(a/b)は、本発明のオルガノポリシロキサンを重クロロホルム中に5質量%溶解させ、核磁気共鳴(1H-NMR)分析により、オルガノポリシロキサンセグメント中のアルキル基又はフェニル基と、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント中のメチレン基の積分比より求めた値を用いることができる。
【0033】
また、隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWg)(以下、「グラフト点間分子量」ということがある)は、1,300〜5,500であるが、好ましくは1,600〜3,500、より好ましくは1,800〜3,200、更に好ましくは2,000〜3,000である。
【0034】
本明細書において、「隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメント」とは、下記式(2)に示すように、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントのオルガノポリシロキサンセグメントに対する結合点(結合点α)から、これに隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの結合点(結合点β)までの2点間において破線で囲まれた部分であって、1つのR2SiO単位と、1つのR6と、y+1個の(R2)2SiO単位とから構成されるセグメントをいう。また、「ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント」とは、上記R6に結合する−W−R7をいう。
【0035】
【化3】

【0036】
上記一般式(2)中、R2はそれぞれ独立に炭素数1〜22のアルキル基又はフェニル基を示し、R6はヘテロ原子を含むアルキレン基を示し、−W−R7はポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを示し、R7は重合開始剤の残基を示し、yは正の数を示す。
【0037】
グラフト点間分子量MWgは、上記一般式(2)において破線で囲まれた部分の重量平均分子量であるが、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント1モル当たりのオルガノポリシロキサンセグメントの質量(g/mol)と解することができる。
【0038】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、N-アシルアルキレンイミン単位の分子量と重合度から算出するか、又は後述するゲルパーミエションクロマトグラフィ(GPC)測定法により測定することができるが、本発明においてはGPC測定法により測定される数平均分子量を用いる。成分(C)のMWoxは、1,200〜5,500であるが、好ましくは1,600〜3,500、より好ましくは1,800〜3,200、更に好ましくは2,000〜3,000である。これにより、高温加熱器具を用いた整髪の際にしっかりとした形付けをすることができ、かつ人が生活する通常の温度(常温付近)において、毛髪にそのスタイルを維持するのに十分な弾性と、良好な感触を付与することができる。しかも、かかる成分(C)は、水や低級アルコール等の極性溶媒に溶解することができる。
【0039】
また、グラフト点間分子量MWgは、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの含有率(Csi)を用いて下記式(I)により求めることができる。
【0040】
【数1】

【0041】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は7,000〜100,000であるが、水等の極性溶媒への溶解性と溶解後の取り扱いやすさの観点から、好ましくは10,000〜80,000、より好ましくは20,000〜60,000、更に好ましくは30,000〜50,000である。MWsiは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンと共通の骨格を有するため、MWsiは原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と略同一である。なお、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの平均分子量は、下記測定条件によるGPCで測定し、ポリスチレン換算したものである。
【0042】
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0043】
成分(C)のオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(MWt)は、好ましくは10,000〜200,000、より好ましくは30,000〜100,000、更に好ましくは50,000〜70,000である。これにより、毛髪へ良好な感触を付与することができ、加えて水等の極性溶媒に対する溶解性が優れるようになる。また、セット性及びセット持続性の両スタイリング性をより一層向上させることができる。本発明において、MWtは、原料化合物である変性オルガノポリシロキサンの重量平均分子量と、上述の質量比(a/b)とから求めることができる。
【0044】
次に、成分(C)のオルガノポリシロキサンの製造方法について説明する。
成分(C)のオルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(3)
【0045】
【化4】

【0046】
〔式中、R2は前記と同義であり、R3及びR4はそれぞれR2と同一の基を示すか、又は下記式(ix)〜(xiv)
【0047】
【化5】

【0048】
のいずれかで表される1価の基を示し、R5は上記式(ix)〜(xiv)のいずれかで表される1価の基を示し、dは89〜1332の整数を示し、eは2〜77の整数を示す。〕
で表される変性オルガノポリシロキサンと、下記一般式(4)
【0049】
【化6】

【0050】
〔式中、R1及びnは前記と同義である。〕
で表される環状イミノエーテル(以下、「環状イミノエーテル(4)」という)を開環重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)とを反応させることにより製造される。
【0051】
一般式(3)の変性オルガノポリシロキサン(以下、「変性オルガノポリシロキサン(3)」という)としては、官能基当量が好ましくは1,700〜3,500、より好ましくは1,800〜3,200、更に好ましくは2,000〜3,000であり、かつ重量平均分子量が好ましくは7,000〜100,000、より好ましくは10,000〜80,000、更に好ましくは30,000〜50,000であるものを使用するのが望ましい。原料である変性オルガノポリシロキサン(3)の上記重量平均分子量は、前述の主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)と略同一となる。
【0052】
また、末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)は、分子量を好ましくは1,200〜5,500、好ましくは1,600〜3,500、より好ましくは1,800〜3,200、更に好ましくは2,000〜3,000に調整することが望ましい。これは前述のポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントの分子量(MWox)と略同一となる。
【0053】
環状イミノエーテル(4)の開環重合には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、求電子反応性の強い化合物、例えば、ベンゼンスルホン酸アルキルエステル、p-トルエンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロメタンスルホン酸アルキルエステル、トリフルオロ酢酸アルキルエステル、硫酸ジアルキルエステル等の強酸のアルキルエステルを使用することができ、中でも硫酸ジアルキルが好適に使用される。重合開始剤の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)の2〜100モルに対して、重合開始剤1モルである。
【0054】
重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル等の酢酸エステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、N,N-ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド等の非プロトン性極性溶媒を使用することができ、中でも酢酸エステル類が好適に使用される。溶媒の使用量は、通常、環状イミノエーテル(4)の質量に対して0.2〜20である。
【0055】
重合温度は通常30〜170℃、好ましくは40〜150℃であり、重合時間は重合温度等により一様ではないが、通常1〜60時間である。
【0056】
環状イミノエーテル(4)として、例えば、2-置換-2-オキサゾリンを用いれば、前記一般式(1)において、n=2のポリ(N-アシルエチレンイミン)が得られ、2-置換-ジヒドロ-2-オキサジンを用いれば、上記一般式(1)において、n=3のポリ(N-アシルプロピレンイミン)が得られる。
【0057】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)と、オルガノポリシロキサンセグメントとの連結方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
【0058】
1)環状イミノエーテルをリビング重合して得られる末端反応性ポリ(N-アシルアルキレンイミン)に、一般式(3)で表される変性オルガノポリシロキサンを反応させる方法
2)カルボキシ基と水酸基との縮合によるエステルの形成反応
3)カルボキシ基とアミノ基との縮合によるアミドの形成反応
4)ハロゲン化アルキル基と、1級、2級又は3級アミノ基との2級、3級又は4級アンモニウムの形成反応
5)Si−H基を有するオルガノポリシロキサンへのビニル基の付加反応
6)エポキシ基とアミノ基とのβ-ヒドロキシアミン形成反応
【0059】
中でも、上記1)の方法は、下記に示す理論式(II)のように、環状イミノエーテル(4)と重合開始剤の使用量で重合度を容易に制御でき、しかも通常のラジカル重合よりも分子量分布の狭い略単分散のポリ(N-アシルアルキレンイミン)が得られる点で最も有効である。
【0060】
【数2】

【0061】
成分(C)のオルガノポリシロキサンの好ましい例としては、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が挙げられる。
【0062】
成分(C)のオルガノポリシロキサンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その含有量は、毛髪のセット性、セットの持続性の観点から、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.05〜30質量%、更に好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは0.5〜10質量%である。
【0063】
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)と成分(C)の質量比(A)/(C)は、毛髪タンパク質の熱変性の蓄積に起因する髪のうねりや縮れの発生を抑制すると共に、高温整髪器具を用いた整髪時のセット性、セット持続性、毛髪の感触に優れたものとする観点から、(A)/(C)=0.01〜2が好ましく、より好ましくは0.05〜1.5、更に好ましくは0.1〜1である。
【0064】
〔成分(D):界面活性剤〕
本発明の毛髪化粧料には、溶剤の可溶化、分散性等を含めた系の安定性、及び感触向上の点から、成分(D)として界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びアニオン界面活性剤のいずれをも使用できるが、これらのうち、毛髪の感触の点から、カチオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤が特に好ましい。
【0065】
ここで用いることができるカチオン界面活性剤としては、一般に4級アンモニウム塩、アミドアミン、エーテルアミン等が用いられる。
【0066】
4級アンモニウム塩としては、例えば次の一般式(5)で表される第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0067】
【化7】

【0068】
〔式中、R8及びR9は、水素原子、炭素数1〜28のアルキル基又はベンジル基を示すが、同時に水素原子又はベンジル基となることはなく、少なくとも1つは炭素数8以上のアルキル基である。R10及びR11は、炭素数1〜5のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基、又は合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、An-は、陰イオンを示す。〕
式(5)の4級アンモニウム塩の具体例としては、例えば特開2007-186474号公報に記載されているものが挙げられる。
【0069】
また、4級アンモニウム塩には、一般式(6)で示されるエーテル型4級アンモニウム塩も包含される。
【0070】
【化8】

【0071】
〔式中、R12は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R13〜R15は、炭素数1〜6のアルキル基、ベンジル基又は−(DO)cH(DOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を示し、cは1〜6の平均付加モル数を示し、c個のDOは同一でも異なってもよく、その配列は任意である。)を示し、An-は、陰イオンを示す。〕
【0072】
一般式(6)のエーテル型4級アンモニウム塩の具体例としては、例えば特開2007-186474号公報に記載されているものが挙げられる。
【0073】
4級アンモニウム塩としては、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウム等が挙げられ、特に塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0074】
また、アミドアミンとしては、例えば一般式(7)で示される化合物が挙げられる。
【0075】
【化9】

【0076】
〔式中、R16は炭素数11〜23の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R17は同一又は異なる水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、fは2〜4の整数を示す。〕
【0077】
一般式(7)のアミドアミンの具体例としては、例えば特開2007-186474号公報や特開2008-297262号公報に記載されているものが挙げられる。
【0078】
また、エーテルアミンとしては、例えば、一般式(8)に示される化合物が挙げられる。
【0079】
【化10】

【0080】
(式中、R18は、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R19は、同一又は異なる炭素数1〜6のアルキル基又は基−(AO)gH(AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基、gは1〜6の数を示し、g個のAOは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。)
【0081】
一般式(8)のエーテルアミン具体例としては、例えば、特開2008-297262公報に記載されたものが挙げられる。
【0082】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテルがより好ましい。
【0083】
両性界面活性剤としてはイミダゾリン系、カルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系等が挙げられる。中でも、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン等のベタイン系界面活性剤が好ましく、脂肪酸アミドプロピルベタインが好ましい。脂肪酸アミドプロピルベタインは、炭素数8〜18、更に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、中でもラウリン酸アミドプロピルベタイン、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が好ましい。
【0084】
アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤のアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。またカチオン性残基の対イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン、メトサルフェートイオン、サッカリネートイオンを挙げることができる。
【0085】
成分(D)の界面活性剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤の可溶化、油剤の乳化等を含めた系の安定性の点から、その含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜30質量%、特に0.05〜20質量%が好ましい。
【0086】
〔成分(E):有機溶剤〕
また、本発明の毛髪化粧料は、更に、次の(e1)〜(e5)から選ばれる有機溶剤を、組成物の安定化の観点から好ましい成分として含有することができる。
【0087】
(e1) 一般式(9)で表される化合物
【0088】
【化11】

【0089】
〔式中、R20は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は基R21−Ph−R22−(R21;水素原子、メチル基又はメトキシ基,R22;結合手又は炭素数1〜3の飽和若しくは不飽和の二価の炭化水素基,Ph;パラフェニレン基)を示し、Eは結合手又は炭素数1〜4の二価の飽和炭化水素基を示し、Y及びZはそれぞれ独立に水素原子又は水酸基を示し、p及びqはそれぞれ独立に0〜5の整数を示す。ただし、p=q=0であるときは、Zは水酸基であり、またR20は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基及び基R21−Ph−のいずれでもない。〕
(e2) 窒素原子に炭素数1〜18のアルキル基又はアルケニル基が結合したN-アルキルピロリドン又はN-アルケニルピロリドン
(e3) 炭素数2〜4のアルキレンカーボネート
(e4) 数平均分子量100〜1,000のポリプロピレングリコール
(e5) 一般式(10)、(11)又は(12)で表されるラクトン又は環状ケトン
【0090】
【化12】

【0091】
〔式中、Xはメチレン基又は酸素原子を示し、R23及びR24は相異なる置換基を示し、a及びbはそれぞれ独立に0又は1を示す。〕
【0092】
有機溶剤のうち、(e1)としては、ブタノール、イソブタノール等のC4〜C6の直鎖又は分岐の脂肪族アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール、フェネチルアルコール、p-アニシルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0093】
(e2)としては、N-メチルピロリドン、N-オクチルピロリドン、N-ラウリルピロリドン等が挙げられる。
【0094】
(e3)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
【0095】
(e4)の数平均分子量100〜1,000のポリプロピレングリコールとしては、数平均分子量300〜500のものが好ましい。ここで、数平均分子量とは、GPCにより測定されるポリスチレン換算の数平均分子量をいう。
【0096】
(e5)において、一般式(10)〜(12)中のR23及びR24としては、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基、フェニル基、スルホアルキル基、リン酸アルキル基、カルボキシアルキル基等が好ましく、中でも炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましい。これらの基は、γ-ラクトンの場合にはγ位、δ-ラクトンの場合にはδ位(すなわちヘテロ酸素原子の隣接メチレン)に置換していることが好ましい。また、化合物(10)〜(12)の水溶性を増大させたい場合には、R23又はR24としてスルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基等の酸性基やこれらが置換したアルキル基を有するのが好ましい。(e5)のうち、ラクトンとしては、γ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、δ-ヘプタノラクトン等が挙げられるが、ラクトンの安定性の点から、γ-ラクトン、中でもγ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトンが好ましい。(e5)のうち、環状ケトンとしては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4-メチルシクロヘプタノン等が挙げられる。
【0097】
上記有機溶剤は、2種以上を併用してもよく、またその合計含有量は、洗髪後のハリ・コシ向上効果、毛髪の柔らかさやまとまり性改善効果、改質効果の促進(弾性の向上、耐湿性の向上等)のほか、成分(C)と相溶することで毛髪のセット性を向上させる点から、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜40質量%が好ましく、更には0.05〜10質量%、更には0.1〜5質量%が好ましい。
【0098】
〔多価アルコール〕
更に、本発明の毛髪化粧料には、上記有機溶剤以外の多価アルコールを含有させることができる。多価アルコールは、上記有機溶剤の可溶化、安定分散に寄与し、また、上記有機溶剤と相乗的に働き、ツヤや毛髪の改質効果の向上を促進する。多価アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられ、グリセリンが好ましい。多価アルコールは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、またその含有量は、本発明の毛髪化粧料中の0.01〜10質量%、更に0.1〜5質量%が好ましい。
【0099】
〔セットポリマー〕
本発明の毛髪化粧料には、セット性、セット保持力を更に向上させ、毛髪のすべり感を向上させるために、セットポリマーを含有させることができる。
【0100】
セットポリマーとしては、下記1)〜8)に示すものが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0101】
1)ビニルピロリドン系ポリマー
ポリビニルピロリドン
市販品として、ルビスコールK12、K30(以上BASF社製)、PVP K15、K30(以上GAF社製)等が挙げられる。
【0102】
ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体
市販品として、ルビスコールVA28、VA73(以上BASF社製)、PVP/VA E-735,S-630(以上GAF社製)等が挙げられる。
【0103】
ビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体
市販品として、ルビスコールVAP343(BASF社製)等が挙げられる。
【0104】
ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体
市販品として、ルビフレックス(BASF社製)、コポリマー845、937、958(以上GAF社製)等が挙げられる。
【0105】
ビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体
市販品として、ルビフレックスVBM35(BASF社製)等が挙げられる。
【0106】
ビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体
市販品として、コポリマーVC-713(GAF社製)等が挙げられる。
【0107】
2)酸性ビニルエーテル系ポリマー
メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体
市販品として、ガントレッツES-225、ES-425、SP-215(以上GAF社製)等が挙げられる。
【0108】
3)酸性ポリ酢酸ビニル系ポリマー
酢酸ビニル/クロトン酸共重合体
市販品として、レジン28-1310(ナショナル・スターチ社製)、ルビセットCA66(BASF社製)等が挙げられる。
【0109】
酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体
市販品として、レジン28-2930(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
【0110】
酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体
市販品として、ルビセットCAP(BASF社製)等が挙げられる。
【0111】
4)酸性アクリル系ポリマー
(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合体
市販品として、プラスサイズL53P(互応化学(株)製)、ダイヤホールド(三菱油化(株)製)等が挙げられる。
【0112】
アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体
市販品として、ウルトラホールド8(BASF社製)、アンフォマーV-42(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
【0113】
5)両性アクリル系ポリマー
(メタ)アクリルエチルベタイン/(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体
例えば、N-メタクリロイルオキシエチル-N,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタインと、(メタ)クリル酸アルキルエステルとの共重合体等が例示され、市販品としてはユカフォーマーM-75、SM(以上三菱油化(株)製)等が挙げられる。
【0114】
アクリル酸アルキルエステル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体
例えば、オクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー等が例示され、市販品として、アンフォーマー28-4910(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
【0115】
6)塩基性アクリル系ポリマー
アクリルアミド・アクリルエステル系共重合体
例えば、特開平2-180911号公報、特開平8-291206号公報の実施例に記載されているもの等が挙げられる。
【0116】
7)セルロース誘導体
カチオン性セルロース誘導体
市販品として、セルコートH-100、L-200(ナショナル・スターチ社製)等が挙げられる。
【0117】
8)キチン・キトサン誘導体
ヒドロキシプロピルキトサン
市販品として、キトフィルマー(一丸ファルコス社製)等が挙げられる。
カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン、キトサンとピロリドンカルボン酸、乳酸、グリコール酸等の一価酸又はアジピン酸、コハク酸等の二価酸との塩
市販品として、カイトマーPC(ピロリドンカルボン酸塩)、カイトマーL(乳酸塩)(以上、ユニオンカーバイド社製)等が挙げられる。
【0118】
これらのセットポリマーの中で、アクリル系ポリマー及びビニルピロリドン系ポリマーから選ばれるセットポリマーが特に好ましい。セットポリマーの含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.05〜20質量%、更に好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%である。
【0119】
〔コンディショニング成分〕
本発明の毛髪化粧料には、コンディショニング効果の更なる向上のため、油剤及び成分(C)のオルガノポリシロキサン以外のシリコーン類から選ばれるコンディショニング成分を含有させることができる。
【0120】
油剤は、乾燥後の毛髪まとまり感向上のために使用される。油剤としては、スクワレン、スクワラン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、流動バラフィン、シクロパラフィン等の炭化水素類;ヒマシ油、カカオ油、ミンク油、アボカド油、オリーブ油等のグリセリド類;ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、カルナウバロウ等のロウ類;セチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の高級アルコール類;ミリスチン酸オクチルドデシル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、オレイン酸オレイル、2-エチルヘキサン酸ヘキサデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸トリデシル等のエステル類;カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリル酸、イソパルミチン酸等の高級脂肪酸類;コレステロール、ワセリン、コレステリルイソステアレート、スフィンゴ脂質等の固体脂;その他、ホホバ油、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルなどが挙げられる。これらの中で、スクワレン、スクワラン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー等の分岐炭化水素類が好ましい。
【0121】
油剤の含有量は、まとまりの良さや、べたつき感のなさの点から、本発明の毛髪化粧料中の0.05〜20質量%が好ましく、更には0.1〜10質量%、更には0.5〜5質量%が好ましい。
【0122】
本発明の成分(C)以外のシリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が例示される。中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
【0123】
ジメチルポリシロキサンは、毛髪に良好な潤滑性を付与することができ、ポリエーテル変性シリコーンは、毛髪に滑らかさを付与することができ、アミノ変性シリコーンは、毛髪にしっとり感を付与することができる。本発明においては、求める性能に応じて、各種のシリコーン類を単独で又は2種以上を使用することができる。ジメチルポリシロキサンとしては、求める感触に応じて5mm2/s程度の粘度のものから、エマルションとして供給される場合が多い1,000万mm2/s程度の粘度のものまで使用できるが、5,000〜1,000万mm2/s、更に5万〜1,000万mm2/sのものが好ましい。
【0124】
ポリエーテル変性シリコーンは、ポリオキシアルキレン基を有するシリコーン類であればよく、ポリオキシアルキレン基を構成する基としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を挙げることができる。より具体的には、例えば、KF-6015、KF-945A、KF-6005、KF-6009、KF-6013、KF-6019、KF-6029、KF-6017、KF-6043、KF-353A、KF-354A、KF-355A(以上、信越化学工業社)、FZ-2404、SS-2805、FZ-2411、FZ-2412、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、SS-280Xシリーズ、BY22-008M、BY11-030、BY25-337(以上、東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0125】
アミノ変性シリコーンとしては、平均分子量が約3,000〜10万の、アモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でPCPC辞典(米国、Personal Care Products Council Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。市販品としては、SM 8704C、2-8035 Cationic Emulsion(東レ・ダウコーニング社製)、KT 1989、XS65-C0032(モメンティブ社製)、8500 Conditioning Agent、DOW CORNING TORAY SS-3588、DOW CORNING TORAY SILSTYLE 104(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0126】
シリコーン類の含有量は、指通り性や、べたつき感のなさの点から、本発明の毛髪化粧料中の0.05〜20質量%が好ましく、更には0.1〜10質量%、更には0.5〜5質量%が好ましい。
【0127】
〔他の溶媒〕
また、本発明の毛髪化粧料においては、毛髪のセット性、使用感の良さ、毛髪化粧料を調製する際の溶解促進の観点から、溶媒として水、C1〜C3の直鎖若しくは分岐の飽和若しくは不飽和アルコールを含有させることができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、水、エタノール、イソプロパノールが好ましく、水、エタノールがより好ましい。水及びC1〜C3のアルコールの合計含有量は、毛髪化粧料の全質量基準で、好ましくは0.1〜98質量%、より好ましくは1〜90質量%、更に好ましくは5〜60質量%である。
【0128】
〔任意成分〕
本発明の毛髪化粧料には、上記成分のほか、通常の毛髪化粧料に用いられる成分を目的、用途、剤型等に応じて適宜配合できる。このような成分としては、例えば、ジンクピリチオン、オクトピロックス等の抗フケ剤;ビタミン剤;トリクロサン、トリクロロカルバン等の殺菌剤;グリチルリチン酸ジカリウム、酢酸トコフェロール等の抗炎症剤;メチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;キレート剤;パンテノール等の保湿剤;染料、顔料等の着色剤;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、粘土鉱物等の粘度調整剤;有機酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のpH調整剤;植物エキス類;パール化剤;香料;色素;紫外線吸収剤;酸化防止剤;その他エンサイクロペディア・オブ・シャンプー・イングリーディエンツ〔ENCYCLOPEDIA OF SHAMPOO INGREDIENTS (MICELLE PRESS)〕に記載されている成分等が挙げられる。
【0129】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従い各種剤型に調製することができ、例えば、ミスト、ローション、トニック等の液状組成物だけなく、ゲル状、ペースト状、クリーム状、ワックス状等の半固形状組成物とすることができる。
【0130】
〔整髪方法〕
本発明の毛髪化粧料を用いて整髪を行う方法は、例えば以下のとおりである。まず本発明の毛髪化粧料を毛髪に適用し、加熱部の温度を100℃以上に設定した高温整髪器具を用いて毛髪を加熱して形付けした後、毛髪の温度を100℃未満に冷却することにより、形付けした髪型を固定することができる。高温整髪器具による毛髪の加熱温度としては、好ましくは100〜220℃、更に好ましくは120〜200℃である。通常、高温整髪器具の加熱部の温度と加熱された毛髪の温度は実質的に差が見られないことから、以下、高温整髪器具の加熱部の温度を毛髪の加熱温度として用いた。
【0131】
本発明において、毛髪を「形付けする」とは、毛髪自体の形状を変化させることをいう。具体的には、ストレートの髪にカールやウェーブをつけること、カールやウェーブがかかった髪をストレートにすること、カールやウェーブがかかった髪のカールやウェーブの程度を変化させることなどは「形付け」に含まれる。
【0132】
本発明において、「高温整髪器具」はストレートアイロンやカールアイロン、巻き髪用コテだけでなくウェーブアイロン、ワッフルアイロン等、またはそれ以外の呼称の、毛髪に接触させて加熱処理を行うアイロン、コテ類の器具等、全てを含む。また、設定温度の上限が180℃程度の一般家庭で使用される器具だけでなく、200〜220℃あるいはそれ以上の温度に設定可能な理美容専門店用で使用される器具等全て含む。
【0133】
本発明において、「冷却」とは、意識して温度を下げる(例えば冷風をかける)ことのみならず、放置する等の周囲の温度により自然に温度を下げることも含む概念である。従って、自然乾燥に伴い温度が低下することも「冷却」に含まれる。
【0134】
本発明の毛髪化粧料の毛髪への適用(塗布)手段は、剤型の種類によって一様ではないが、通常、スプレー、ミスト等を用いた塗布、手による塗布、及びその両者の組合せ等によればよい。
【0135】
また、本発明の毛髪化粧料を毛髪に適用するタイミングは、洗髪後、タオルドライ後等の濡れた状態の髪に塗布する、乾燥途中の半乾燥状態の髪に塗布する、乾燥後の乾いた状態の髪に塗布する等が挙げられるが、どのタイミングで毛髪に適用してもよい。また、本発明の毛髪化粧料は、洗髪した後に高温整髪器具を用いて毛髪温度100℃以上において毛髪を加熱、形付けするまでの間に、少なくとも1回以上毛髪に適用する。
【0136】
本発明の毛髪化粧料の毛髪への適用(塗布)量は、剤型や、剤の性状によって一様ではないが、通常毛髪の重量に対して、好ましくは浴比0.001〜3、より好ましくは0.005〜1、更に好ましくは0.01〜0.5である。
【0137】
また、本発明の毛髪用化粧料を毛髪に適用してから、高温整髪器具を用いて毛髪温度100℃以上において毛髪を加熱、形付けするまでの間に、塗布した毛髪化粧料をすすぎ流さなくても、すすぎ流してもどちらでもよいが、高温整髪器具の繰り返し使用により発生する髪のうねりや縮れの発生を抑制する観点、及び高温整髪器具を用いた加熱、形付けする時のセット性、セット持続性、毛髪の感触がより向上する観点から、すすぎ流さないほうが好ましい。
【0138】
また、本発明の毛髪用化粧料を毛髪に適用してから、高温整髪器具を用いて毛髪温度100℃以上において毛髪を加熱、形付けするまでの間に、毛髪を乾燥させると、形付けの工程が短時間で済み、結果的に整髪全体にかかる時間を短縮することができ、好ましい。毛髪化粧料適用後の乾燥は、自然乾燥、加熱等により行うことができる。
【0139】
高温整髪器具を用いて毛髪を加熱・形付けする時間は、高いセット性、セット持続性を得ながら、毛髪への熱変性の蓄積をより低減できるという観点から、好ましくは0.01秒〜1分、より好ましくは0.1秒〜30秒、更に好ましくは0.1秒〜20秒である。
【実施例】
【0140】
合成例1
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン93.8g(0.947モル)を脱水した酢酸エチル203gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2500であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(190g、収率95%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は50質量%、重量平均分子量は60000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約20モル%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0141】
合成例2
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン106.6g(1.075モル)を脱水した酢酸エチル229gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2800であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(200g、収率94%)として得た。
【0142】
合成例3
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン75.7g(0.763モル)を脱水した酢酸エチル166gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2000であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(169g、収率93%)として得た。
【0143】
合成例4
硫酸ジエチル3.08g(0.02モル)と2-エチル-2-オキサゾリン96.9g(0.978モル)を脱水した酢酸エチル203gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、5000であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量40000、アミン当量3800)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(188g、収率94%)として得た。
【0144】
合成例5
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン116.1g(1.171モル)を脱水した酢酸エチル248gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、3000であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(204g、収率92%)として得た。
【0145】
合成例6
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン102.2g(1.031モル)を脱水した酢酸エチル220gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(194g、収率93%)として得た。
【0146】
合成例7
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン86.1g(0.869モル)を脱水した酢酸エチル187gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2300であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(179g、収率93%)として得た。
【0147】
合成例8
硫酸ジエチル12.78g(0.0829モル)と2-エチル-2-オキサゾリン246.6g(2.488モル)を脱水した酢酸エチル519gに溶解し、窒素雰囲気下15時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、3100であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2010)166.7gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(422g、収率99%)として得た。
【0148】
合成例9
硫酸ジエチル5.92g(0.038モル)と2-エチル-2-オキサゾリン60.7g(0.613モル)を脱水した酢酸エチル135gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量1980)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色固体(158g、収率95%)として得た。
【0149】
合成例10
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン50.1g(0.505モル)を脱水した酢酸エチル114gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1400であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量1900)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(152g、収率97%)として得た。
【0150】
合成例11
硫酸ジエチル6.17g(0.04モル)と2-エチル-2-オキサゾリン34.7g(0.35モル)を脱水した酢酸エチル83gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、1000であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量30000、アミン当量2000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(141g、収率97%)として得た。
【0151】
合成例12
硫酸ジエチル0.77g(0.005モル)と2-エチル-2-オキサゾリン12.9g(0.13モル)を脱水した酢酸エチル28gに溶解し、窒素雰囲気下8時間加熱還流し、末端反応性ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)を合成した。数平均分子量をGPCにより測定したところ、2700であった。ここに、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gの33%酢酸エチル溶液を一括して加え、10時間加熱還流した。反応混合物を減圧濃縮し、N-プロピオニルエチレンイミン・ジメチルシロキサン共重合体を無色固体(108g、収率95%)として得た。
【0152】
合成例1〜12で得られたオルガノポリシロキサンの詳細について、表1にまとめて示す。
【0153】
【表1】

【0154】
実施例1、比較例1〜3
特許文献1〜3の記載に従い、表1に示す比較例1〜3の毛髪化粧料を調製した。また、常法に従い、表2に示す実施例1の毛髪化粧料を調製した。
【0155】
【表2】

【0156】
【表3】

【0157】
〔試験1〕−熱うねり抑制効果−(アイロン加熱の繰り返しによるうねり発生の抑制効果)
1.ブリーチ処理〔ブリーチ剤:花王株式会社製 ふんわり泡ブリーチ(商品名)、浴比(毛髪質量に対する塗布する剤の質量の比率):1.0、剤混合比(1剤/2剤):4/6〕を1回行った日本人女性の髪を使い、毛髪量0.5g、長さ25cmの毛束を作製する。
2.1で作製した毛束を使って、下記のフローを処理1回分として、12回まで繰り返し、乾燥後の毛束の形状について、判定基準に従って合格・不合格を判定し、その結果を表4に示した。
【0158】
(フロー)
A)剤塗布→アイロン加熱→洗髪→乾燥
B)毛髪形状の観察(うねり・縮れ毛の発生を確認)
【0159】
上記フローにおける剤塗布は、水、表2の比較例1〜3、又は表3の実施例1を浴比0.05で毛束に塗布した後、30秒間静置させる条件で行った。
【0160】
上記フローにおけるアイロン加熱は、フラットアイロンの加熱プレート部に熱電対を挟み、閉じた状態で測定したときプレート温度が平均200℃になるように温度設定を行い、同設定にて毛髪をアイロンのプレートで挟み、20cm/10sの速さで根元側から毛先に向かってプレートをスライドさせながら毛束全体を平均的に加熱する条件で行った。
【0161】
上記フローにおける洗髪は、40℃の水で髪を30秒間すすいだ後、プレーンシャンプー剤(ラウレス-1硫酸アンモニウム10質量%水溶液)を浴比0.2で塗布して30秒間泡立て、最後に30秒間プレーンシャンプー剤をすすぎ流し、次いで、プレーンリンス(セタノール2.0質量%、プロピレングリコール5質量%、ジステアリルジモニウムクロリド2.7質量%、ステアリルトリモニウムクロリド0.75質量%、水89.55質量%)を浴比0.2で塗布し、30秒間静置した後、30秒間すすぐ条件で行った。
【0162】
上記フローにおける乾燥は、ドライヤーの温風で行い、髪本来の形状を確認するために、乾燥中はブラッシングや櫛通しなどによるセットは一切行わなかった。
【0163】
(判定基準)
専門の美容師3名が毛束を観察して、以下のように判定した。
3:美容師3人全員が髪のうねり・縮れ毛、毛束の広がりは発生せずと評価。
2:美容師3人のうち2人がうねり・縮れ毛、毛束の広がりは発生せずと評価。
1:美容師3人のうち1人がうねり・縮れ毛、毛束の広がりは発生せずと評価。
0:美容師3人全員が髪のうねり・縮れ毛、毛束の広がりは発生したとと評価。
【0164】
〔試験2〕−毛髪の引っ張り試験−
試験1の処理前の毛髪と処理をn回まで繰り返した毛髪について、引っ張り試験機(ミネベア社製TG-500N)を用いて、それぞれ水中における引っ張り試験を行い破断強度を測定した。
以下の式を用い毛髪の破断強度の変化率を算出し、判定基準に従って合格・不合格を判定し、その結果を表4に示した。なお変化率の値としては10箇所のサンプリング(N=10)の平均値を用いた。
破断強度変化率=[(処理前の毛髪の破断強度)−(処理n回目の毛髪の破断強度)]/(処理前の毛髪の破断強度)
【0165】
(判定基準)
合格 :破断強度変化率が10%未満
不合格:破断強度変化率が10%以上
【0166】
【表4】

【0167】
実施例1〜19、比較例4〜20
実施例1〜19、比較例4〜20の毛髪化粧料について、以下の評価を行った。
<熱うねり抑制効果>
前述の試験1と同じ方法に従って、各毛髪化粧料を用いて、フローA(処理12回まで繰り返し)を行った。乾燥後の毛束の形状を、専門の美容師3名が毛束を観察して、同じ評価基準に従って判定した。
【0168】
〔試験3〕−アイロンを用いたセット試験−
長さ30cm、重さ6gのバージン毛(ヘアカラー、ブリーチ等の化学処理を行っていない日本人女性毛)の毛束を評価に用いた。
この毛束に霧吹きの水0.6gを塗布後、各サンプルを0.2g塗布し、DELRIN社製リングコームで表裏5回くしを通した。次いで毛束をドライヤーで完全に乾燥させた後、5名の専門パネラーに、温度を150℃に設定した株式会社クロイツ製アイロン(型番:J72010M)に髪を巻きつけてもらい、10秒間保持し、その後、アイロンを外してもらった。外した後は、室温環境下に置かれるので、毛束の温度もほどなく室温となる。
この一連の処理が完了した後、以下の基準に従って官能評価及び総合評価を行った。各評価は5名のパネラー評価の平均値を示した。
【0169】
〔評価基準〕
<セット性>
上記試験3において、アイロンを外した後の毛束についたくせの度合いについて、下記の判定基準により目視評価した。
5:とても良い
4:良い
3:ふつう
2:悪い
1:とても悪い
【0170】
<セット持続性>
温度30℃、相対湿度80%の環境下で、上記試験3において一連の処理が完了した後の毛束を吊るして放置した。15分間放置した時、放置の前後で形付けした部分の変化の度合いを目視で評価した(毛髪の形状保持に強く関係する水素結合は、空気中の水分量が多い場合は速やかにその結合が緩和するために、温度30℃、相対湿度80%の環境における15分間放置は25℃、相対湿度40%の環境の12時間放置に相当する)。
【0171】
5:とても持続性が高い
4:やや持続性が高い
3:どちらともいえない
2:やや持続性が低い
1:とても持続性が低い
【0172】
<毛髪の滑らかさ>
上記試験3において、形付けした部分を手で握ったときの感触(滑らかさ)について、下記の判定基準により官能評価した。
【0173】
5:滑らかである
4:やや滑らかである
3:どちらともいえない
2:やや滑らかでない
1:滑らかでない
【0174】
【表5】

【0175】
【表6】

【0176】
【表7】

【0177】
【表8】

【0178】
【表9】

【0179】
【表10】

【0180】
実施例1〜19は、比較例1〜20に比べ、熱うねり抑制効果、高温整髪器具による整髪時のセット性、セット持続性、毛髪の感触の全てが優れる。
【0181】
実施例20 ヘアミスト
〔処方調整〕
以下のヘアミスト(pH3.7)を、常法に従い調製する。
(質量%)
トレハロース 0.50
リンゴ酸 1.25
乳酸 1.25
合成例1のオルガノポリシロキサン 1.00
ベンジルアルコール 0.20
トリデセス-9(*1) 0.40
ポリクオタニウム-11(*2) 0.18
セトリモニウムクロリド 0.23
ラノリン脂肪酸(*3) 0.10
ビスメトキシプロピルアミドイソドコサン(*4) 0.10
高重合メチルポリシロキサンエマルション(*5) 3.50
エタノール 15
オキシベンゾン-9(*6) 0.05
EDTA-2Na 0.05
ハチミツ 0.01
ローヤルゼリーエキス 0.01
水酸化Na 適量※
香料 適量
水 残部
*1:ソフタノール90(日本触媒社製)
*2:ガフカット734(ISP社製)
*3:18MEA(クローダ社製)
*4:BRS661(花王社製)
*5:BY22-060(東レダウコーニング社製)
*6:ユビナール DS49(BASF社製)
※pH=3.7にする量
【0182】
〔整髪方法〕
乾いた毛髪に実施例20のヘアミストを毛髪全体がしっとりする程度の量(約0.5〜6g程度)を噴霧し、手でなじませた後、すすぎ流さずに100〜200℃のヘアアイロンで加熱し整髪を行う。
【0183】
実施例21 アウトバストリートメント
以下に示すアウトバストリートメント(pH3.7)を、常法に従い調製する。
(質量%)
ステアロキシプロピルジメチルアミン(*7) 0.25
ベヘントリモニウムクロリド(*8) 0.4
PEG-40水添ヒマシ油(*9) 0.24
セテアリルアルコール 2.8
グリセリン 5
ベンジルアルコール 0.2
ジピロプロピレングリコール 2
トレハロース 0.5
乳酸 0.65
リンゴ酸 0.75
合成例1のポリオルガノシロキサン 0.5
パルミチン酸イソプロピル 1.5
水添ポリデセン(*10) 2
ラノリン脂肪酸(*3) 0.2
ジメチコン 0.6
イソドデカン 1.4
フェノキシエタノール 0.4
水酸化Na 適量※
水 残部
*7 :ファーミン DM E-80(花王社製)
*8 :コータミン2285E-E(花王社製)
*9 :エマノーンCH-40(花王社製)
*10:SILKFLO 364 NF(LIPO CHEMICALS,INC社製)
※pH=3.7にする量
【0184】
〔整髪方法〕
洗髪し、タオルドライ後の毛髪に毛髪全体にいきわたる量(約0.5〜6g程度)を手で塗布し、すすぎ流さずに毛髪を乾燥させた後に、100〜200℃のヘアアイロンで加熱し、整髪を行う。
【0185】
実施例22 ヘアフォーム
以下に示すヘアフォーム原液(pH3.7)を調製する。ヘアフォーム原液をエアゾール缶に50質量%を詰めて弁をする。次いで、液化石油ガス50質量%を充填し、ヘアフォームを得る。
(質量%)
トレハロース 1.0
リンゴ酸 0.15
乳酸 2.0
ベンジルアルコール 0.2
1,3-ブチレングリコール 1.0
合成例1のポリオルガノシロキサン 2.0
トレハロース 1.0
ポリクオタニウム-11(*2) 5.0
ステアリルトリモニウムクロリド 0.4
トリデセス-9(*1) 1.0
エタノール 10.0
水酸化Na 適量※
香料 適量
精製水 残部
※pH=3.7にする量
【0186】
〔整髪方法〕
半乾燥状態の毛髪に実施例22のヘアフォームを髪全体にいきわたる量(約0.5〜6g程度)塗布し、ドライヤーで乾燥させた後に、120〜180℃のヘアアイロンで加熱、形付けを行う。
【0187】
実施例23 ヘアワックス
以下に示すヘアワックス(pH3.7)を、常法に従い調製する。
(質量%)
トレハロース 0.5
リンゴ酸 0.1
合成例2のポリオルガノシロキサン 0.5
リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
ミネラルオイル 6.0
グリセリン 8.0
ポリソルベート60(*7) 4.5
セタノール(*8) 6.0
メチルポリシロキサン(*9) 2.0
ステアリン酸 4.0
PEG-65M(*10) 0.15
ポリビニルピロリドン(*11) 0.6
ソルビトール 9.0
カルボマー(*12) 0.1
パラオキシ安息香酸メチル 0.4
ベンジルアルコール 0.1
エタノール 3.0
水酸化Na 適量※
香料 適量
水 残部
*7 :レオドールTW-S120V(花王社製)
*8 :カルコール6870(花王社製)
*9 :シリコーンSH200C FLUID 10cs(東レダウコーニング社製)
*10:アルコックス E-100(明星化学社製)
*11:ルビスコールK30パウダー(BASF社製)
*12:カーボポール#981(Lubrizol Advanced Materials Inc社製)
※pH=3.7にする量
【0188】
〔整髪方法〕
乾いた毛髪に実施例23のヘアワックスを毛髪全体にいきわたる量(約0.5g〜6g程度)を毛髪に塗布した後に、120〜180℃ヘアアイロンで加熱、形付けを行う。
【0189】
実施例24 ヘアコンディショナー
以下に示すヘアコンディショナー(pH3.3)を、常法に従い調製する。
(質量%)
ステアロキシプロピルジメチルアミン(*7) 1.75
ステアラミドプロピルジメチルアミン(*17) 0.2
ステアリルアルコール 3.6
パルミチン酸イソプロピル 0.15
ジメチコン(*18) 2
アミノ変性シロキサンエマルション(*19) 0.5
アミノポリエーテル変性シリコーン(*20) 0.1
ラノリン脂肪酸(*3) 0.1
合成例4のポリオルガノシロキサン 1
トレハロース 0.7
乳酸 1.4
グリコール酸 0.14
加水分解コンキオリン液(*21) 0.002
ツバキ油 0.001
海草エキス(*22) 0.01
ヒドロキシエチルセルロース(*23) 0.1
香料 適量
水 残部
*17:NIKKOL アミドアミンMPS(日光ケミカルズ社製)
*18:シリコーンKHS-3(信越化学工業社製)
*19:シリコーンSM8704C(東レ・ダウコーニング社製)
*20:SILSTYLE 201(東レ・ダウコーニング社製)
*21:プロモイス パールP(成和化成)
*22:ファルコッレックス ヒバマタK(一丸ファルコス社製)
*23:HECダイセル SE850K(ダイセル化学工業社製)
【0190】
〔整髪方法〕
シャンプーをすすぎ流した後の湿った毛髪に実施例24のヘアコンディショナーを毛髪全体にいきわたる量(約1〜6g程度)を塗布した後に、適温のお湯ですすぎ流す。毛髪を乾燥させた後に120〜160℃ヘアアイロンで加熱、形付けをする。
【0191】
実施例25 ヘアトリートメント
以下に示すヘアトリートメント(pH3.3)を、常法に従い調製する。
(質量%)
ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド(*24) 7.42
ステアラミドプロピルジメチルアミン(*17) 0.24
セトリモニウムクロリド(*25) 1.5
ステアリルアルコール 3.2
セタノール 3.2
ナフタレンスルホン酸ナトリウム 0.7
ラノリン脂肪酸(*3) 0.25
(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)
ジペンタエリスリチル(*26) 0.2
パルミチン酸イソプロピル 0.5
パラフィン 0.5
ジメチコン(*19) 2
アミノポリエーテル変性シリコーン(*20) 0.05
ジプロピレングリコール 1.4
ベンジルアルコール 0.8
トレハロース 2
合成例2のポリオルガノシロキサン 2
乳酸 0.7
ヒドロキシエチルセルロース(*27) 0.1
香料 適量
水 残部
*24:コータミンE-80K(花王社製)
*25:コータミン 60W(花王社製)
*26:コスモール 168AR(日清オイリオ社製)
*27:HECダイセル SE850K(ダイセル化学工業社製)
【0192】
〔整髪方法〕
シャンプーした後の湿った毛髪に実施例25のヘアトリートメントを毛髪全体にいきわたる量(約1から6g程度)塗布した後に、5分保持した。適温のお湯ですすぎ流し、毛髪を乾燥させた後100〜180℃のヘアアイロンで加熱、形付けをする。
【0193】
実施例26 シャンプー
以下に示すシャンプー(pH3.9)を、常法に従い調製する。
(質量%)
ラウレス硫酸アンモニウム 12
ラウリルヒドロキシスルタイン(*28) 5.7
PPG-3カプリリルエーテル 1
ミリスチルアルコール 0.4
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド(*29) 0.4
ポリクオタニウム-7(*30) 0.2
ジステアリン酸グリコール(*31) 2
ポリプロピレングリコール(*32) 1.5
ベンジルアルコール 0.3
トレハロース 1.0
リンゴ酸 0.75
合成例3のポリオルガノシロキサン 1.5
パラトルエンスルホン酸 0.5
グリシルグリシン 0.05
ヒマワリ油 0.04
ノバラエキス 0.001
香料 適量
水酸化K 適量※
水 残部
*28:アンヒトール20HD(花王社製)
*29:ジャガーC17(ローディア社製)
*30:マーコート550(Nalco社製)
*31:ペグノールEDS-98K(東邦化学工業社製)
*32:アデカカーポールDL-30(ADEKA社製)
※pH=3.9にする量
【0194】
〔整髪方法〕
適温のお湯で髪を湿らせた後に、実施例26のシャンプーを毛髪全体にいきわたる量(約1〜6g程度)塗布し、泡立てて洗髪をした後に適温のお湯ですすぎ流す。乾燥後、120〜160℃ヘアアイロンで加熱、整髪を行う。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)〜(C)を含有し、成分(A)と成分(C)の含有質量比(A)/(C)が0.01〜2であり、組成物のpHが2.0〜4.5である毛髪化粧料組成物。
(A):グルコース2分子がグリコシド結合を介して結合した二糖類
(B):炭素数が2〜6であり、pKaが3〜4であるモノカルボン酸又はpKa1が3〜4であるジ若しくはトリカルボン酸
(C):主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメント〔セグメント(a)〕のケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1);
【化1】

(式中、R1は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す。)
で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント〔セグメント(b)〕が結合してなるオルガノポリシロキサンであって、
セグメント(a)の重量平均分子量が7,000〜100,000であり、
セグメント(b)の数平均分子量が1,200〜5,500であり、
セグメント(a)とセグメント(b)との質量比(a/b)が35/65〜60/40であり、
隣接するポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメント間におけるオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量が1,300〜5,500である、
オルガノポリシロキサン
【請求項2】
成分(A)が、トレハロース及びマルトースから選ばれる請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(B)が、グリコール酸、乳酸及びリンゴ酸から選ばれる請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(A)の含有量が0.01〜6質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪化粧料組成物を毛髪に適用し、該毛髪の温度を100℃以上に加熱する工程を有する整髪方法。

【公開番号】特開2012−236804(P2012−236804A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108086(P2011−108086)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】