説明

水中の地盤の斜面を掘削する方法

【課題】水中の透明度に拘わらず、水中の地盤の斜面の上における掘削機の位置を知ることができるようにし、前記斜面の掘削時に前記掘削機が前記斜面の上の設計上予め決められた位置にあることを確認できるようにし、前記掘削機により前記斜面を正確に掘削できるようにすること。
【解決手段】水中の地盤の斜面を掘削する方法は、前記斜面から隔てられた前記地盤の上の位置に架台を配置すること、該架台に掘削機を載せること、該掘削機が載せられた前記架台を前記地盤の上の位置から吊り上げ、前記斜面の上へ吊り下ろすこと、前記斜面の上における前記掘削機の位置を測定すること、該測定の結果に基づき、前記斜面の上における前記掘削機の位置をモニターに表示すること、該モニターに表示された前記掘削機の位置を監視しつつ前記掘削機により前記斜面を掘削することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中の地盤の斜面を掘削する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中の地盤を掘削する方法には、水中の前記地盤の上に水中バックホウのような掘削機を配置し、該掘削機により前記地盤を掘削するものがある(特許文献1参照)。この場合、潜水夫が水中で、前記掘削機が前記地盤の上の設計上予め決められた位置に配置されていることを確認する必要がある。しかし、前記地盤が河川、海、湖等の中にある場合、水中の透明度が低く、前記潜水夫が前記地盤の上における前記掘削機の位置を目視することは難しい。このため、前記掘削機が前記予め決められた位置に配置されていることを確認することは困難であり、前記掘削機により前記地盤を正確に掘削することができない。
【0003】
水中の地盤の斜面を掘削する方法としては、水上にある前記地盤の上の位置に架台を配置し、該架台に掘削機を載せ、その後、前記掘削機が載せられた前記架台を前記地盤の上の位置から吊り上げ、前記斜面の上へ吊り下ろし、その後、前記掘削機により前記斜面を掘削することが考えられる。この場合も、潜水夫が水中で、前記掘削機が前記斜面の上の設計上予め決められた位置へ吊り下ろされていることを確認する必要がある。しかし、水中の透明度が低いと、前記潜水夫が前記斜面の上における前記掘削機の位置を目視することは難しい。このため、前記掘削機が前記予め決められた位置へ吊り下ろされていることを確認することは困難であり、前記掘削機により前記斜面を正確に掘削することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−64340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水中の透明度に拘わらず、水中の地盤の斜面の上における掘削機の位置を知ることができるようにし、前記斜面の掘削時に前記掘削機が前記斜面の上の設計上予め決められた位置にあることを確認できるようにし、前記掘削機により前記斜面を正確に掘削できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水中の地盤の斜面の上における掘削機の位置の測定結果に基づき、前記斜面の上における前記掘削機の位置をモニターに表示した後、該モニターに表示された前記掘削機の位置を監視しつつ前記掘削機により前記斜面を掘削する。これにより、水中の透明度に拘わらず、前記斜面の上における前記掘削機の位置を知ることができるようにし、前記斜面の掘削時に前記掘削機が前記斜面の上の設計上予め決められた位置にあることを確認できるようにし、前記掘削機により前記斜面を正確に掘削できるようにする。
【0007】
本発明に係る、水中の地盤の斜面を掘削する方法は、前記斜面から隔てられた前記地盤の上の位置に架台を配置する第1ステップと、前記架台に掘削機を載せる第2ステップと、前記掘削機が載せられた前記架台を前記地盤の上の位置から吊り上げ、前記斜面の上へ吊り下ろす第3ステップと、前記斜面の上における前記掘削機の位置を測定する第4ステップと、前記掘削機の位置の測定の結果に基づき、前記斜面の上における前記掘削機の位置をモニターに表示する第5ステップと、前記モニターに表示された前記掘削機の位置を監視しつつ前記掘削機により前記斜面を掘削する第6ステップとを含む。
【0008】
前記斜面の上における前記掘削機の位置の測定の結果に基づき、前記斜面の上における前記掘削機の位置を前記モニターに表示した後、該モニターに表示された前記掘削機の位置を監視しつつ該掘削機により前記斜面を掘削するため、水中の透明度に拘わらず、前記斜面の上における前記掘削機の位置を知ることができ、前記斜面の掘削時に前記掘削機が前記斜面の上の設計上予め決められた位置にあることを確認することができ、前記掘削機により前記斜面を正確に掘削することができる。
【0009】
前記掘削機は、本体と、一端部が該本体に回転可能に取り付けられたブームと、一端部が該ブームの他端部に回転可能に取り付けられたアームと、一端部が該アームの他端部に回転可能に取り付けられたアタッチメントとを備え、前記水中の地盤の斜面を掘削する方法は、前記掘削機により前記斜面を掘削している間に前記地盤の中における前記掘削機の前記アタッチメントの他端部の軌跡を測定すること、前記アタッチメントの他端部の軌跡の測定の結果に基づき、前記地盤の中における前記アタッチメントの他端部の軌跡を前記モニターに表示することを含む。これにより、前記地盤の中における前記アタッチメントの他端部の軌跡をより正確に知ることができ、掘削された前記斜面の形状をより正確に知ることができ、前記モニターにより出来形管理をすることができる。
【0010】
前記水中の地盤の斜面を掘削する方法は、前記第4ステップにおいて前記掘削機における第1の点の三次元座標と、該第1の点から第1の水平方向に隔てられた前記掘削機における第2の点の三次元座標と、前記第1の点から前記第1の水平方向と交差する第2の水平方向に隔てられた前記掘削機における第3の点の三次元座標とを測定し、前記第5ステップにおいて前記第1の点の三次元座標と、前記第2の点の三次元座標と、前記第3の点の三次元座標とに基づき、前記掘削機の水平度とともに前記掘削機の位置を前記モニターに表示するものとすることができる。
【0011】
前記水中の地盤の斜面を掘削する方法は、前記第4ステップにおいて前記掘削機における少なくとも1つの点の三次元座標を測定する。前記少なくとも1つの点の三次元座標の測定は、既知の三次元座標を有する水面の近傍の第1の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第1の位置から隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第2の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれから隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第3の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離とを超音波を用いて測定すること、前記第1の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第2の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第3の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第1の位置の三次元座標と、前記第2の位置の三次元座標と、前記第3の位置の三次元座標とに基づき、前記少なくとも1つの点の三次元座標を算出することを含む。
【0012】
本発明に係る、水中の地盤の斜面を掘削する掘削装置は、掘削機と、該掘削機を載せる架台であって前記斜面の掘削時に前記斜面の上へ吊り下ろされる架台と、前記斜面の上における前記掘削機の位置を測定する測定手段と、該測定手段に接続され、前記斜面の上における前記掘削機の位置を表示するモニターとを含む。
【0013】
前記掘削機は、本体と、一端部が該本体に回転可能に取り付けられたブームと、一端部が該ブームの他端部に回転可能に取り付けられたアームと、一端部が該アームの他端部に回転可能に取り付けられたアタッチメントとを備え、前記測定手段は、前記ブームに取り付けられた第1の傾斜センサーと、前記アームに取り付けられた第2の傾斜センサーと、前記アタッチメントに取り付けられた第3の傾斜センサーとを備えるものとすることができる。
【0014】
前記測定手段は、前記掘削機における少なくとも1つの点に固定された掘削機側超音波受信機、掘削機側超音波送信機又は掘削機側超音波送受信機と、既知の三次元座標を有する水面の近傍の第1の位置に固定された第1の水面側超音波送信機、第1の水面側超音波受信機又は第1の水面側超音波送受信機と、前記第1の位置から隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第2の位置に固定された第2の水面側超音波送信機、第2の水面側超音波受信機又は第2の水面側超音波送受信機と、前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれから隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第3の位置に固定された第3の水面側超音波送信機、第3の水面側超音波受信機又は第3の水面側超音波送受信機とを備える。前記少なくとも1つの点に前記掘削機側超音波受信機が固定されているとき、前記第1の位置、前記第2の位置及び前記第3の位置にそれぞれ前記第1の水面側超音波送信機、前記第2の水面側超音波送信機及び前記第3の水面側超音波送信機が固定されており、前記少なくとも1つの点に前記掘削機側超音波送信機が固定されているとき、前記第1の位置、前記第2の位置及び前記第3の位置にそれぞれ前記第1の水面側超音波受信機、前記第2の水面側超音波受信機及び前記第3の水面側超音波受信機が固定されており、前記少なくとも1つの点に前記掘削機側超音波送受信機が固定されているとき、前記第1の位置、前記第2の位置及び前記第3の位置にそれぞれ前記第1の水面側超音波送受信機、前記第2の水面側超音波送受信機及び前記第3の水面側超音波送受信機が固定されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、水中の地盤の斜面の上における掘削機の位置の測定の結果に基づき、前記斜面の上における前記掘削機の位置を前記モニターに表示した後、該モニターに表示された前記掘削機の位置を監視しつつ該掘削機により前記斜面を掘削するため、水中の透明度に拘わらず、前記斜面の上における前記掘削機の位置を知ることができる。これにより、前記斜面の掘削時に前記掘削機が前記斜面の上の設計上予め決められた位置にあることを確認することができ、前記掘削機により前記斜面を正確に掘削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例に係る、架台に掘削機を載せたときの地盤の縦断面図。
【図2】本発明の第1実施例に係る架台の平面図。
【図3】架台を斜面の上へ吊り下ろしたときの地盤の縦断面図。
【図4】図3の線4における掘削機の平面図。
【図5】図3の線5におけるモニターの拡大図。
【図6】斜面の上における掘削機の位置がモニターに表示されていることを示す図。
【図7】本発明の第2実施例に係る掘削機の概略図。
【図8】本発明の第3実施例に係る、架台を斜面の上へ吊り下ろしたときの掘削機の平面図。
【図9】本発明の第4実施例に係る、架台を斜面の上へ吊り下ろしたときの地盤の縦断面図。
【図10】図9の線10における掘削機の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示すように、水中にある、地盤10の斜面12を掘削するとき、まず、斜面12から隔てられた地盤10の上の位置14に架台16を配置する。斜面12はダム湖18の中にあり、地盤10の上の位置14はダム湖18の岸20の上にある。
【0018】
地盤10の上の位置14に架台16を配置する前又は配置した後にダム湖18に台船22を浮かべ、該台船をダム湖18の岸20に係留し、台船22の上にクレーン24を配置する。架台16は、図2に示すように、周縁部26と、該周縁部に設けられ、水平方向外方へ開放された切欠き部28とを有する平板である。
【0019】
地盤10の上の位置14に架台16を配置した後、図1に示したように、架台16に掘削機30を載せる。掘削機30は、いわゆる水中バックホウ、水中パワーショベル等のような、水中での掘削作業を行うことができる掘削機である。掘削機30は、本体32と、一端部が該本体に回転可能に取り付けられたブーム34と、一端部が該ブームの他端部に回転可能に取り付けられたアーム36と、一端部が該アームの他端部に回転可能に取り付けられたアタッチメント38とを備える。アタッチメント38はバケットである。
【0020】
架台16に掘削機30を載せるとき、該掘削機を地盤10の上の架台16から隔てられた位置(図示せず)から架台16の上へ自走させてもよいし、クレーン24により掘削機30を地盤10の上の架台16から隔てられた位置から吊り上げ、架台16の上へ吊り下ろしてもよい。架台16に掘削機30を載せた後、該掘削機を架台16に固定する。
【0021】
架台16に掘削機30を載せる前又は載せた後に掘削機30における第1の点30aに第1の超音波受信機(第1の掘削機側超音波受信機)40aを、第1の点30aから第1の水平方向に隔てられた掘削機30における第2の点30b(図4)に第2の超音波受信機(第2の掘削機側超音波受信機)40bを、第1の点30aから前記第1の水平方向と交差する第2の水平方向に隔てられた掘削機30における第3の点30cに第3の超音波受信機(第3の掘削機側超音波受信機)40cをそれぞれ固定する。また、水面42の近傍の第1の位置44aに第1の超音波送信機(第1の水面側超音波送信機)46aを、第1の位置44aから隔てられた水面42の近傍の第2の位置44b(図4)に第2の超音波送信機(第2の水面側超音波送信機)46bを、第1の位置44a及び第2の位置44bのそれぞれから隔てられた水面42の近傍の第3の位置44cに第3の超音波送信機(第3の水面側超音波送信機)46cをそれぞれ固定する。
【0022】
掘削機30における第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cのそれぞれは、掘削機30の本体32の周縁部にある。第1の位置44a及び第2の位置44bのそれぞれは台船22にあり、第3の位置44cはダム湖18の堰堤(ダム)48にある。第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cのそれぞれは既知の三次元座標を有する。第1の位置44a及び第2の位置44bにおける台船22にそれぞれ第1のGPSアンテナ50a及び第2のGPSアンテナ50b(図4)が取り付けられており、第1のGPSアンテナ50aが衛星から電波を受信することにより、第1の位置44aの三次元座標を知ることができ、第2のGPSアンテナ50bが衛星から電波を受信することにより、第2の位置44bの三次元座標を知ることができる。
【0023】
第1の点30a、第2の点30b、第3の点30c、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b、第3の超音波受信機40c、第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cを固定した後、図3、4に示すように、クレーン24により、掘削機30が載せられた架台16を地盤10の上の位置14から吊り上げ、斜面12の上へ吊り下ろす。このとき、架台16が吊られた状態を維持しつつ、架台16の切欠き部28が斜面12に近接するように架台16を斜面12の上へ吊り下ろす。
【0024】
その後、堰堤48の上にモニター52を配置し、第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b、第3の超音波受信機40c、第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cのそれぞれを配線54によりモニター52に接続する。堰堤48の上にモニター52を配置する図3に示した例に代え、台船22の上にモニター52を配置してもよいし、ダム湖18の岸20の上にモニター52を配置してもよい。前記接続は、図5に示すように、コンピューター56を介して行う。前記接続は、上記の例では、有線によるものであるが、これに代え、無線によるものでもよい。
【0025】
前記接続を行った後、斜面12の上における掘削機30の位置を測定する。このとき、掘削機30における第1の点30aの三次元座標と、掘削機30における第2の点30bの三次元座標と、掘削機30における第3の点30cの三次元座標とを測定する、すなわち掘削機30の本体32の位置を測定する。
【0026】
第1の点30aの三次元座標を測定するとき、第1の位置44aと第1の点30aとの間の距離と、第2の位置44bと第1の点30aとの間の距離と、第3の位置44cと第1の点30aとの間の距離とを超音波58aを用いて測定する。このとき、第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cのそれぞれから第1の超音波受信機40aへ超音波58aを送り、第1の超音波送信機46aから第1の超音波受信機40aへの超音波58aの到達時間と、第2の超音波送信機46bから第1の超音波受信機40aへの超音波58aの到達時間と、第3の超音波送信機46cから第1の超音波受信機40aへの超音波58aの到達時間とを測定し、これらの到達時間と超音波58aの速度とに基づき、第1の位置44aと第1の点30aとの間の距離と、第2の位置44bと第1の点30aとの間の距離と、第3の位置44cと第1の点30aとの間の距離とを算出する。その後、第1の位置44aと第1の点30aとの間の距離と、第2の位置44bと第1の点30aとの間の距離と、第3の位置44cと第1の点30aとの間の距離と、第1の位置44aの三次元座標と、第2の位置44bの三次元座標と、第3の位置44cの三次元座標とに基づき、第1の点30aの三次元座標をコンピューター56により算出する。
【0027】
ここで、第1の位置44aと第1の点30aとの間の距離をL1とし、第2の位置44bと第1の点30aとの間の距離をL2とし、第3の位置44cと第1の点30aとの間の距離をL3とし、第1の超音波送信機46aから第1の超音波受信機40aへの超音波58aの到達時間をt1とし、第2の超音波送信機46bから第1の超音波受信機40aへの超音波58aの到達時間をt2とし、第3の超音波送信機46cから第1の超音波受信機40aへの超音波58aの到達時間をt3とし、超音波58aの速度をVとすると、第1の位置44aと第1の点30aとの間の距離L1、第2の位置44bと第1の点30aとの間の距離L2及び第3の位置44cと第1の点30aとの間の距離L3は次式により算出することができる。
L1=V・t1、L2=V・t2、L3=V・t3
【0028】
また、第1の点30aの三次元座標を(xa,ya,za)とし、第1の位置44aの三次元座標を(x1,y1,z1)とし、第2の位置44bの三次元座標を(x2,y2,z2)とし、第3の位置44cの三次元座標を(x3,y3,z3)とすると、第1の点30aの三次元座標(xa,ya,za)は次式により算出することができる。
L1={(xa−x1)+(ya−y1)+(za−z1)1/2
L2={(xa−x2)+(ya−y2)+(za−z2)1/2
L3={(xa−x3)+(ya−y3)+(za−z3)1/2
【0029】
第2の点30bの三次元座標を測定するとき、第1の位置44aと第2の点30bとの間の距離と、第2の位置44bと第2の点30bとの間の距離と、第3の位置44cと第2の点30bとの間の距離とを超音波58bを用いて測定する。このとき、第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cのそれぞれから第2の超音波受信機40bへ超音波58bを送り、第1の超音波送信機46aから第2の超音波受信機40bへの超音波58bの到達時間と、第2の超音波送信機46bから第2の超音波受信機40bへの超音波58bの到達時間と、第3の超音波送信機46cから第2の超音波受信機40bへの超音波58bの到達時間とを測定し、これらの到達時間と超音波58bの速度とに基づき、第1の位置44aと第2の点30bとの間の距離と、第2の位置44bと第2の点30bとの間の距離と、第3の位置44cと第2の点30bとの間の距離とを算出する。その後、第1の位置44aと第2の点30bとの間の距離と、第2の位置44bと第2の点30bとの間の距離と、第3の位置44cと第2の点30bとの間の距離と、第1の位置44aの三次元座標と、第2の位置44bの三次元座標と、第3の位置44cの三次元座標とに基づき、第2の点30bの三次元座標をコンピューター56により算出する。
【0030】
第3の点30cの三次元座標を測定するとき、第1の位置44aと第3の点30cとの間の距離と、第2の位置44bと第3の点30cとの間の距離と、第3の位置44cと第3の点30cとの間の距離とを超音波58cを用いて測定する。このとき、第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cのそれぞれから第3の超音波受信機40cへ超音波58cを送り、第1の超音波送信機46aから第3の超音波受信機40cへの超音波58cの到達時間と、第2の超音波送信機46bから第3の超音波受信機40cへの超音波58cの到達時間と、第3の超音波送信機46cから第3の超音波受信機40cへの超音波58cの到達時間とを測定し、これらの到達時間と超音波58cの速度とに基づき、第1の位置44aと第3の点30cとの間の距離と、第2の位置44bと第3の点30cとの間の距離と、第3の位置44cと第3の点30cとの間の距離とを算出する。その後、第1の位置44aと第3の点30cとの間の距離と、第2の位置44bと第3の点30cとの間の距離と、第3の位置44cと第3の点30cとの間の距離と、第1の位置44aの三次元座標と、第2の位置44bの三次元座標と、第3の位置44cの三次元座標とに基づき、第3の点30cの三次元座標をコンピューター56により算出する。第1の点30aの三次元座標と第2の点30bの三次元座標と第3の点30cの三次元座標とを測定した後、第1の点30aと第2の点30bと第3の点30cとの間の実際の相対的な位置関係に基づいて第1の点30aの三次元座標の測定値、第2の点30bの三次元座標の測定値及び第3の点30cの三次元座標の測定値を補正してもよい。
【0031】
第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b及び第3の超音波受信機40cを固定し、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cを固定する上記の例に代え、第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ第1の超音波送信機(第1の掘削機側超音波送信機)40a、第2の超音波送信機(第2の掘削機側超音波送信機)40b及び第3の超音波送信機(第3の掘削機側超音波送信機)40cを固定し、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ第1の超音波受信機(第1の水面側超音波受信機)46a、第2の超音波受信機(第2の水面側超音波受信機)46b及び第3の超音波受信機(第3の水面側超音波受信機)46cを固定してもよい。
【0032】
この場合、第1の点30aの三次元座標を測定するとき、第1の超音波送信機40aから第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b及び第3の超音波受信機46cのそれぞれへ超音波58aを送り、第2の点30bの三次元座標を測定するとき、第2の超音波送信機40bから第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b及び第3の超音波受信機46cのそれぞれへ超音波58bを送り、第3の点30cの三次元座標を測定するとき、第3の超音波送信機40cから第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b及び第3の超音波受信機46cのそれぞれへ超音波58cを送る。
【0033】
第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ第1の超音波送信機40a、第2の超音波送信機40b及び第3の超音波送信機40cを固定し、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b及び第3の超音波受信機46cを固定する上記の例に代え、第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ超音波送受信機40a(第1の掘削機側超音波送受信機)、超音波送受信機40b(第2の掘削機側超音波送受信機)及び超音波送受信機40c(第3の掘削機側超音波送受信機)を固定し、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ超音波送受信機46a(第1の水面側超音波送受信機)、超音波送受信機46b(第2の水面側超音波送受信機)及び超音波送受信機46c(第3の水面側超音波送受信機)を固定してもよい。
【0034】
斜面12の上における掘削機30の位置を測定した後、図6に示すように、前記測定の結果に基づき、斜面12の上における掘削機30の位置をモニター52に表示する。このとき、掘削機30における第1の点30aの三次元座標と、第2の点30bの三次元座標と、第3の点30cの三次元座標とに基づき、掘削機30の水平度とともに掘削機30の位置をモニター52に表示する。モニター52への掘削機30の位置の表示は、予め用意された斜面12の形状に関するデータに基づいて斜面12の形状をモニター52に表しつつ、斜面12の上における掘削機30の第1の点30aの位置と、第2の点30bの位置と、第3の点30cの位置と、掘削機30の外形とをモニター52に表すことにより行う。掘削機30の水平度は水平面に対する掘削機30の外形の傾きにより表す。モニター52には、掘削機30の側面図60と、掘削機30の背面図62と、掘削機30の平面図64とを表示する。掘削機30の位置の測定は、例えば、1秒間に1回の頻度で行い、前記測定の結果に基づき、リアルタイムに掘削機30の位置をモニター52に表示する。
【0035】
モニター52に表示された掘削機30の位置が斜面12の上の設計上予め決められた位置と異なる場合又は掘削機30が水平面に対して傾斜している場合、クレーン24により架台16を斜面12から遠ざけ、再度、架台16を斜面12に近付ける。これにより、掘削機30が前記予め決められた位置に配置され、掘削機30が水平になるようにする。その後、再度、斜面12の上における掘削機30の位置を測定し、前記測定の結果に基づき、斜面12の上における掘削機30の位置をモニター52に表示する。
【0036】
モニター52に表示された掘削機30の位置が斜面12の上の設計上予め決められた位置と一致し、掘削機30が水平である場合、モニター52に表示された掘削機30の位置を監視しつつ掘削機30により斜面12を掘削する。その後、前記掘削のための掘削機30の操作方法に基づき、地盤10の中における掘削機30のアタッチメント38の他端部の軌跡66をコンピューター56により算出し、モニター52に表示する。このとき、アタッチメント38の他端部の軌跡66とともに、3次元データに基づく設計上の掘削ライン66aをモニター52に表示し、掘削ライン66aを見ながら該掘削ラインまで前記掘削を行う。これにより出来形管理をすることができる。
【0037】
掘削機30の操作方法に基づき、アタッチメント38の前記他端部の軌跡66を算出する上記の例に代え、掘削機30により斜面12を掘削している間に地盤10の中におけるアタッチメント38の他端部の軌跡66を測定し、該軌跡の測定の結果に基づき、地盤10の中におけるアタッチメント38の前記他端部の軌跡66をモニター52に表示することができる。これにより、地盤10の中におけるアタッチメント38の前記他端部の軌跡66をより正確に知ることができ、掘削された斜面12の形状をより正確に知ることができる。
【0038】
地盤10の中におけるアタッチメント38の前記他端部の軌跡66を測定するとき、地盤10の中におけるアタッチメント38の前記他端部の位置を経時的に測定する。この場合、アタッチメント38の前記他端部の軌跡66を測定する前に、図7に示すように、掘削機30のブーム34、アーム36及びアタッチメント38にそれぞれ第1の傾斜センサー68a、第2の傾斜センサー68b及び第3の傾斜センサー68cを取り付け、これらをコンピューター56を介してモニター52に接続する。アタッチメント38の前記他端部の軌跡66を測定するとき、第1の傾斜センサー68aにより水平面に対するブーム34の傾斜角度を、第2の傾斜センサー68bにより水平面に対するアーム36の傾斜角度を、第3の傾斜センサー68cにより水平面に対するアタッチメント38の傾斜角度をそれぞれ測定し、これらの傾斜角度と、ブーム34の長さと、アーム36の長さと、アタッチメント38の長さと、掘削機30の本体32の位置の測定の結果とに基づき、アタッチメント38の前記他端部の位置をコンピューター56により算出する。アタッチメント38の前記他端部の位置の測定は、例えば、1秒間に1回の頻度で行い、前記測定の結果に基づき、リアルタイムにアタッチメント38の前記他端部の位置をモニター52に表示する。このようにして地盤10の中におけるアタッチメント38の前記他端部の軌跡66をモニター52に表示する。
【0039】
図7に示したように、掘削機30が水平な状態において、掘削機30の前後方向にX軸をとり、上下方向にZ軸をとり、ブーム34の前記一端部の座標を(Xα、Zα)とし、ブーム34の長さをD1とし、アーム36の長さをD2とし、アタッチメント38の長さをD3とし、水平面に対するブーム34の傾斜角度をθ1とし、水平面に対するアーム36の傾斜角度をθ2とし、水平面に対するアタッチメント38の傾斜角度をθ3としたとき、次式によりアタッチメント38の前記他端部の座標(Xβ、Zβ)を算出することができる。なお、ブーム34の前記一端部の座標(Xα、Zα)は掘削機30の本体32の位置の測定の結果から算出することができる。
Xβ=Xα+D1・cosθ1+D2・cosθ2+D3・cosθ3
Zβ=Zα+D1・sinθ1+D2・sinθ2+D3・sinθ3
【0040】
掘削機30により斜面12を掘削するとき、掘削機30は、斜面12に前記バケットを突き刺し、該バケットを本体32へ引き寄せる。このとき、架台16が斜面12に押し付けられるため、架台16は、斜面12に固定されていないが、該斜面から離れることはない。このため、架台16を斜面12に固定する必要がない。
【0041】
アタッチメント38は、前記バケットである図3に示した例に代え、ブレーカー(図示せず)でもよい。この場合、掘削機30は、斜面12の掘削時、該斜面に前記ブレーカーを突き刺し、該ブレーカーを本体32へ引き寄せる。このとき、架台16は、斜面12に押し付けられ、該斜面から離れることはない。このため、架台16を斜面12に固定する必要がない。架台16を斜面12に固定しない上記の例に代え、架台16を斜面12の上へ吊り下ろした後に架台16を斜面12に固定してもよい。
【0042】
掘削機30により斜面12を掘削するとき、掘削機30を遠隔操作して斜面12を掘削する、すなわち斜面12を無人掘削する。斜面12を無人掘削する上記の例に代え、掘削機30に搭乗した操作員が該掘削機を操作して斜面12を掘削してもよい、すなわち斜面12を有人掘削してもよい。斜面12を掘削した後、該掘削により生じた土砂を架台16の上から該架台の切欠き部28を経て架台16の下方の斜面12の上又はダム湖18の底に落とす。これにより、斜面12を掘削した掘削機30を旋回させることなく前記土砂を架台16の上から架台16の下方の斜面12の上又はダム湖18の底に落とすことができる。このため、掘削機30の旋回に要する時間を省くことができ、斜面12の掘削をより効率的に行うことができる。
【0043】
その後、クレーン24により架台16を斜面12における既に掘削した位置から未だ掘削していない位置へ移動させる。その後、前記掘削していない位置へ移動させた掘削機30の位置を測定し、該測定の結果に基づき、斜面12の上における掘削機30の位置をモニター52に表示し、モニター52に表示された掘削機30の位置を監視しつつ掘削機30により斜面12を掘削する。
【0044】
上記したように、斜面12の掘削は、掘削機30と、該掘削機を載せる架台16と、斜面12の上における掘削機30の位置を測定する測定手段と、該測定手段に接続され、斜面12の上における掘削機30の位置を表示するモニター52とを備える掘削装置を用いて行う。
【0045】
前記測定手段は、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ固定された第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b及び第3の超音波受信機40cと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cとを備える。地盤10の中におけるアタッチメント38の他端部の軌跡66を測定する場合、前記測定手段は、第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b、第3の超音波受信機40c、第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cに加え、掘削機30のブーム34に取り付けた第1の傾斜センサー68aと、アーム36に取り付けた第2の傾斜センサー68bと、アタッチメント38に取り付けた第3の傾斜センサー68cとを備える。
【0046】
前記測定手段は、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ固定された第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b及び第3の超音波受信機40cと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cとを備える上記の例に代え、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ固定された第1の超音波送信機40a、第2の超音波送信機40b及び第3の超音波送信機40cと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b及び第3の超音波受信機46cとを備えるものとすることができ、また、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cにそれぞれ固定された第1の掘削機側超音波送受信機40a、第2の掘削機側超音波送受信機40b及び第3の掘削機側超音波送受信機40cと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の水面側超音波送受信機46a、第2の水面側超音波送受信機46b及び第3の水面側超音波送受信機46cとを備えるものとすることができる。
【0047】
図示の例によれば、斜面12の上における掘削機30の位置の測定の結果に基づき、斜面12の上における掘削機30の位置をモニター52に表示した後、該モニターに表示された掘削機30の位置を監視しつつ該掘削機により斜面12を掘削するため、水中の透明度に拘わらず、斜面12の上における掘削機30の位置を知ることができ、斜面12の掘削時に掘削機30が斜面12の上の設計上予め決められた位置にあることを確認することができ、掘削機30により斜面12を正確に掘削することができる。
【0048】
斜面12の掘削は、図示の例では、地盤10に新たな法面を形成するために行うが、これに代え、土砂崩れにより斜面12の上に崩れ落ちた土砂を除去するために行ってもよい。斜面12は、ダム湖18の中にある図示の例に代え、ダム湖以外の湖、沼、河川、海等の中にあってもよい。架台16は、図2に示した例では、金属製であるが、これに代え、木製でもよいし、鉄筋コンクリート製でもよい。掘削機30における第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cのそれぞれは、掘削機30の本体32の周縁部にある図4に示した例に代え、本体32の中央部にあってもよいし、掘削機30のブーム34、アーム36又はアタッチメント38にあってもよい。掘削機30の位置を精度良く測定するため、第1の点30aと第2の点30bとの間の間隔と、第2の点30bと第3の点30cとの間の間隔と、第1の点30aと第3の点30cとの間の間隔とは、ほぼ等しいことが好ましい。すなわち、第1の点30a、第2の点30b及び第3の点30cは、これらが正三角形の頂点をなすように配置されていることが好ましい。また、第1の点30aと第2の点30bとの間の間隔と、第2の点30bと第3の点30cとの間の間隔と、第1の点30aと第3の点30cとの間の間隔とは、いずれも、掘削機30の位置を精度良く測定するために十分に長いことが好ましい。
【0049】
第1の位置44a及び第2の位置44bが台船22にあり、第3の位置44cが堰堤48にある図4に示した例に代え、第1の位置44aが台船22にあり、第2の位置44b及び第3の位置44cが堰堤48にあってもよいし、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cがいずれも台船22にあってもよいし、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cがいずれも堰堤48にあってもよい。第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cのそれぞれは、台船22又は堰堤48にある上記の例に代え、ダム湖18の岸20にあってもよい。
【0050】
図8に示す例では、掘削機30における3つの点30a、30b、30cの三次元座標を測定する図4に示した例に代え、掘削機30における1つの点30aの三次元座標を測定する。点30aの三次元座標を測定するとき、第1の位置44aと点30aとの間の距離と、第2の位置44bと点30aとの間の距離と、第3の位置44cと点30aとの間の距離とを超音波58aを用いて測定し、第1の位置44aと点30aとの間の距離と、第2の位置44bと点30aとの間の距離と、第3の位置44cと点30aとの間の距離と、第1の位置44aの三次元座標と、第2の位置44bの三次元座標と、第3の位置44cの三次元座標とに基づき、点30aの三次元座標を算出する。その後、点30aの三次元座標に基づき、斜面12の上における掘削機30の位置をモニター52に表示する。
【0051】
この場合、掘削機30の位置及び掘削機30の水平度のうち掘削機30の位置のみをモニター52に表示してもよいし、傾斜センサー(図示せず)により掘削機30又は架台16の水平度を測定し、該測定の結果に基づき、掘削機30の位置とともに掘削機30の水平度をモニター52に表示してもよい。この場合、斜面12の上における掘削機30の位置の測定前に掘削機30又は架台16に前記傾斜センサーを取り付け、該傾斜センサーをモニター52に接続する。その後、斜面12の上における掘削機30の位置の測定時に前記傾斜センサーにより掘削機30又は架台16の水平度を測定し、その後、前記水平度の測定の結果に基づき、掘削機30の位置とともに掘削機30の水平度をモニター52に表示する。
【0052】
図8に示した例では、前記測定手段は、掘削機30における点30aに固定された超音波受信機40aと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b及び第3の超音波送信機46cとを備えるが、これに代え、掘削機30における点30aに固定された超音波送信機40aと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b及び第3の超音波受信機46cとを備えるものとすることができ、また、掘削機30における第1の点30aに固定された掘削機側超音波送受信機40aと、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cにそれぞれ固定された第1の水面側超音波送受信機46a、第2の水面側超音波送受信機46b及び第3の水面側超音波送受信機46cとを備えるものとすることができる。
【0053】
図9、10に示す例では、掘削機30における3つの点30a、30b、30cの三次元座標を測定する図4に示した例に代え、掘削機30における4つの点30a、30b、30c、30dの三次元座標を測定する。この場合、斜面12の上における掘削機30の位置を測定するとき、掘削機30における第1の点30aの三次元座標と、第2の点30bの三次元座標と、第3の点30cの三次元座標と、第4の点30dの三次元座標とを測定する。第1の点30a、第2の点30b、第3の点30c及び第4の点30dは掘削機30の本体32の4つの隅部にある。
【0054】
掘削機30の位置を測定する前に第1の点30a、第2の点30b、第3の点30c及び第4の点30dにそれぞれ第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b、第3の超音波受信機40c及び第4の超音波受信機40dを固定する。また、水面42の近傍の第1の位置44aに第1の超音波送信機46aを、第1の位置44aから隔てられた水面42の近傍の第2の位置44bに第2の超音波送信機46bを、第1の位置44a及び第2の位置44bのそれぞれから隔てられた水面42の近傍の第3の位置44cに第3の超音波送信機46cを、第1の位置44a、第2の位置44b及び第3の位置44cのそれぞれから隔てられた水面42の近傍の第4の位置44dに第4の超音波送信機46dをそれぞれ固定する。第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dのそれぞれは既知の三次元座標を有する。第1の位置44a及び第2の位置44bのそれぞれは台船22にあり、第3の位置44c及び第4の位置44dのそれぞれは堰堤48にある。
【0055】
掘削機30の位置を測定するとき、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dのそれぞれと第1の点30aとの間の距離と、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dのそれぞれと第2の点30bとの間の距離と、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dのそれぞれと第3の点30cとの間の距離と、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dのそれぞれと第4の点30dとの間の距離とを超音波58a、58b、58c、58dを用いて測定する。その後、これらの距離と、第1の位置44aの三次元座標と、第2の位置44bの三次元座標と、第3の位置44cの三次元座標と、第4の位置44dの三次元座標とに基づき、第1の点30aの三次元座標と、第2の点30bの三次元座標と、第3の点30cの三次元座標と、第4の点30dの三次元座標とを算出する。
【0056】
その後、第1の点30aの三次元座標と、第2の点30bの三次元座標と、第3の点30cの三次元座標と、第4の点30dの三次元座標とに基づき、掘削機30の水平度とともに掘削機30の位置をモニター52に表示する。その後、モニター52に表示された掘削機30の位置を監視しつつ掘削機30により斜面12を掘削する。掘削機30の位置を測定するときに掘削機30における4つの点30a、30b、30c、30dの三次元座標を測定することにより、3つの点30a、30b、30cのみの三次元座標を測定する場合に比べ、掘削機30の位置を精度良く測定することができる。掘削機30の位置を測定するとき、掘削機30における4つの点30a、30b、30c、30dの三次元座標を測定する図10に示した例に代え、掘削機30における5以上の点の三次元座標を測定してもよい。
【0057】
図9、10に示した例では、前記測定手段は、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b、第3の点30c及び第4の点30dにそれぞれ固定された第1の超音波受信機40a、第2の超音波受信機40b、第3の超音波受信機40c及び第4の超音波受信機40dと、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dにそれぞれ固定された第1の超音波送信機46a、第2の超音波送信機46b、第3の超音波送信機46c及び第4の超音波送信機46dとを備えるが、これに代え、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b、第3の点30c及び第4の点30dにそれぞれ固定された第1の超音波送信機40a、第2の超音波送信機40b、第3の超音波送信機40c及び第4の超音波送信機40dと、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dにそれぞれ固定された第1の超音波受信機46a、第2の超音波受信機46b、第3の超音波受信機46c及び第4の超音波受信機46dとを備えるものとすることができ、また、掘削機30における第1の点30a、第2の点30b、第3の点30c及び第4の点30dにそれぞれ固定された第1の掘削機側超音波送受信機40a、第2の掘削機側超音波送受信機40b、第3の掘削機側超音波送受信機40c及び第4の掘削機側超音波送受信機40dと、第1の位置44a、第2の位置44b、第3の位置44c及び第4の位置44dにそれぞれ固定された第1の水面側超音波送受信機46a、第2の水面側超音波送受信機46b、第3の水面側超音波送受信機46c及び第4の水面側超音波送受信機46dとを備えるものとすることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 地盤
12 斜面
14 地盤の上の位置
16 架台
30 掘削機
30a 第1の点
30b 第2の点
30c 第3の点
32 本体
34 ブーム
36 アーム
38 アタッチメント
40a 第1の掘削機側超音波受信機
40b 第2の掘削機側超音波受信機
40c 第3の掘削機側超音波受信機
42 水面
44a 第1の位置
44b 第2の位置
44c 第3の位置
46a 第1の水面側超音波送信機
46b 第2の水面側超音波送信機
46c 第3の水面側超音波送信機
52 モニター
58a、58b、58c 超音波
66 軌跡
68a 第1の傾斜センサー
68b 第2の傾斜センサー
68c 第3の傾斜センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の地盤の斜面を掘削する方法であって、
前記斜面から隔てられた前記地盤の上の位置に架台を配置する第1ステップと、
前記架台に掘削機を載せる第2ステップと、
前記掘削機が載せられた前記架台を前記地盤の上の位置から吊り上げ、前記斜面の上へ吊り下ろす第3ステップと、
前記斜面の上における前記掘削機の位置を測定する第4ステップと、
前記掘削機の位置の測定の結果に基づき、前記斜面の上における前記掘削機の位置をモニターに表示する第5ステップと、
前記モニターに表示された前記掘削機の位置を監視しつつ前記掘削機により前記斜面を掘削する第6ステップとを含む、水中の地盤の斜面を掘削する方法。
【請求項2】
前記掘削機は、本体と、一端部が該本体に回転可能に取り付けられたブームと、一端部が該ブームの他端部に回転可能に取り付けられたアームと、一端部が該アームの他端部に回転可能に取り付けられたアタッチメントとを備え、
前記掘削機により前記斜面を掘削している間に前記地盤の中における前記掘削機の前記アタッチメントの他端部の軌跡を測定すること、
前記アタッチメントの他端部の軌跡の測定の結果に基づき、前記地盤の中における前記アタッチメントの他端部の軌跡を前記モニターに表示することを含む、請求項1に記載の水中の地盤の斜面を掘削する方法。
【請求項3】
前記第4ステップにおいて前記掘削機における第1の点の三次元座標と、該第1の点から第1の水平方向に隔てられた前記掘削機における第2の点の三次元座標と、前記第1の点から前記第1の水平方向と交差する第2の水平方向に隔てられた前記掘削機における第3の点の三次元座標とを測定し、
前記第5ステップにおいて前記第1の点の三次元座標と、前記第2の点の三次元座標と、前記第3の点の三次元座標とに基づき、前記掘削機の水平度とともに前記掘削機の位置を前記モニターに表示する、請求項1に記載の水中の地盤の斜面を掘削する方法。
【請求項4】
前記第4ステップにおいて前記掘削機における少なくとも1つの点の三次元座標を測定し、
前記少なくとも1つの点の三次元座標の測定は、既知の三次元座標を有する水面の近傍の第1の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第1の位置から隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第2の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれから隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第3の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離とを超音波を用いて測定すること、
前記第1の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第2の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第3の位置と前記少なくとも1つの点との間の距離と、前記第1の位置の三次元座標と、前記第2の位置の三次元座標と、前記第3の位置の三次元座標とに基づき、前記少なくとも1つの点の三次元座標を算出することを含む、請求項3に記載の水中の地盤の斜面を掘削する方法。
【請求項5】
水中の地盤の斜面を掘削する掘削装置であって、
掘削機と、該掘削機を載せる架台であって前記斜面の掘削時に前記斜面の上へ吊り下ろされる架台と、前記斜面の上における前記掘削機の位置を測定する測定手段と、該測定手段に接続され、前記斜面の上における前記掘削機の位置を表示するモニターとを含む、掘削装置。
【請求項6】
前記掘削機は、本体と、一端部が該本体に回転可能に取り付けられたブームと、一端部が該ブームの他端部に回転可能に取り付けられたアームと、一端部が該アームの他端部に回転可能に取り付けられたアタッチメントとを備え、
前記測定手段は、前記ブームに取り付けられた第1の傾斜センサーと、前記アームに取り付けられた第2の傾斜センサーと、前記アタッチメントに取り付けられた第3の傾斜センサーとを備える、請求項5に記載の掘削装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記掘削機における少なくとも1つの点に固定された掘削機側超音波受信機、掘削機側超音波送信機又は掘削機側超音波送受信機と、既知の三次元座標を有する水面の近傍の第1の位置に固定された第1の水面側超音波送信機、第1の水面側超音波受信機又は第1の水面側超音波送受信機と、前記第1の位置から隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第2の位置に固定された第2の水面側超音波送信機、第2の水面側超音波受信機又は第2の水面側超音波送受信機と、前記第1の位置及び前記第2の位置のそれぞれから隔てられ、既知の三次元座標を有する前記水面の近傍の第3の位置に固定された第3の水面側超音波送信機、第3の水面側超音波受信機又は第3の水面側超音波送受信機とを備え、
前記少なくとも1つの点に前記掘削機側超音波受信機が固定されているとき、前記第1の位置、前記第2の位置及び前記第3の位置にそれぞれ前記第1の水面側超音波送信機、前記第2の水面側超音波送信機及び前記第3の水面側超音波送信機が固定されており、
前記少なくとも1つの点に前記掘削機側超音波送信機が固定されているとき、前記第1の位置、前記第2の位置及び前記第3の位置にそれぞれ前記第1の水面側超音波受信機、前記第2の水面側超音波受信機及び前記第3の水面側超音波受信機が固定されており、
前記少なくとも1つの点に前記掘削機側超音波送受信機が固定されているとき、前記第1の位置、前記第2の位置及び前記第3の位置にそれぞれ前記第1の水面側超音波送受信機、前記第2の水面側超音波送受信機及び前記第3の水面側超音波送受信機が固定されている、請求項5又は6に記載の掘削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−23892(P2013−23892A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159210(P2011−159210)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】