説明

水中カメラケース用ストラップ、水中カメラ用ストラップおよび水中カメラケース

【課題】携帯に便利で、水中撮影時に、誤って落としたり無くした場合でも、カメラと水中カメラケースとストラップの総和の重量分を浮力で浮上させることで、沈まない水中カメラケース用ストラップ、水中カメラ用ストラップおよび水中カメラケースを提供する。
【解決手段】デジタルカメラ20の撮影用レンズ部22を露出させる使用位置に装填可能にするとともに撮影に必要となる操作を外部から操作可能にしたケース体5と、ケース体に対して開閉自在かつ液密状態にする蓋部材9とを備え、水中撮影を可能にした防水性を有する水中カメラケースの取付部5aに着脱自在に用いられる水中カメラケース用ストラップ1であって、水中撮影時に水中カメラケースが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて成形されるストラップ本体2と、ストラップ本体の両端部を固定するとともに取付部5aに対して着脱するための強化紐4を有する固定具3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水中撮影時において誤って落としたときであっても海底などに沈むことのないようにする水中カメラケース用ストラップ、水中カメラ用ストラップおよび水中カメラケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水中撮影専用の水中カメラがプロ用に実用化されている。また、このような水中カメラは高価なことから、通常のコンパクトカメラを、水中撮影用カメラとしても使用できるように専用設計された水中カメラケースについてもコンパクトカメラの機種毎に実用化されている。
【0003】
例えば、指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置に装填したときに、カメラの位置決め作用を確保しながら、防水性の低下を抑制するように構成されたカメラ用防水ケースが提案されている。(特許文献1)
一方、水中カメラや水中カメラケースには持ち運び時に手から下げるか、首に掛けるようにして携帯性を向上させるためのストラップがストラップ取付部に対して着脱自在に設けられている。
【特許文献1】特開2002−90854号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば上記の特許文献1によるカメラ用防水ケースによれば、専用カメラの自重と水中カメラケースの自重と、場合によってはストラップ自体の自重の総和分が加わるために、例えば海中での水中撮影時に、誤って落とすかまたは無くした場合には、上記の各自重の総和分を、水中カメラまたは水中カメラケースの容積分の浮力で浮上させることができなくなる。この結果、海洋で使用の場合には海底まで沈んでしまい、最悪の場合には紛失してしまう問題がある。
【0005】
したがって、本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであり、水中撮影時において、誤って落とすかまたは無くした場合に、カメラと水中カメラケースとストラップの総和の重量分を浮力で浮上させることで沈むことのないようにできる水中カメラケース用ストラップ、水中カメラ用ストラップおよび水中カメラケースの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明によれば、指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置に装填可能にするとともに撮影に必要となる操作を外部から操作可能にしたケース体と、前記ケース体に対して開閉自在かつ液密状態にする蓋部材とを備えることで、水中撮影を可能にした防水性を有する水中カメラケースに設けられたストラップ取付部に着脱自在に用いられる水中カメラケース用ストラップであって、前記水中撮影時に、前記水中カメラケースが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて所定横断面形状および所定全長の紐状に成形されるストラップ本体と、前記ストラップ本体の両端部を固定するとともに前記ストラップ取付部に対して着脱するための着脱部を有する固定具とを備えることを特徴としている。
【0007】
また、前記所定樹脂材料はスチレン・プロピレンゴムを含む比重が0.9以下の材料であり、前記所定横断面形状は、円形または偏平形状に成型され、前記所定全長は、前記指定カメラと前記水中カメラケースの総重量に応じて設定されることを特徴としている。
【0008】
また、水中カメラ用ストラップは、水中撮影時に、水中カメラが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて所定横断面形状および所定全長の紐状に成形されるストラップ本体と、前記ストラップ本体の両端部を固定するとともに前記水中カメラのストラップ取付部に対して着脱するための着脱部を有する固定具とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置に装填可能にするとともに撮影に必要となる操作を外部から操作可能にしたケース体と、前記ケース体に対して開閉自在かつ液密状態にする蓋部材とを備えることで、水中撮影を可能にした防水性を有する水中カメラケースに一体的にストラップを固定した水中カメラケースであって、前記水中撮影時に、前記水中カメラケースが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて所定横断面形状および所定全長の紐状に成形されるストラップ本体と、前記ストラップ本体の両端部を固定するために前記ケース体または前記蓋部材の外周面に設けられた固定部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯に便利となり、しかも水中撮影時において、誤って落とすかまたは無くした場合であっても、水中カメラまたはカメラと水中カメラケースとストラップの総和の重量分を、浮力で浮上させることで底面まで沈むことのないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の好適な一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
ここで、以下の実施形態ではカメラとして固定焦点レンズを設けた撮影用レンズ部を有するカメラ前面と、液晶表示部を配置したカメラ後面と、シャッターを配置したカメラ上面を備えた小型偏平箱型のデジタルカメラに対して専用設計された水中カメラケースとそのストラップについて主に述べるが、このように構成されるデジタルカメラに限定されず、撮影用レンズ部が沈胴するタイプであって撮影レンズが3倍光学ズーム系を備えるデジタルカメラまたは、銀塩フィルムカメラにも適用可能であることは言うまでもない。
【0013】
図1は、デジタルカメラ20とこのデジタルカメラに対して専用設計された水中カメラのケース体5とストラップ1について図示した外観斜視図である。
【0014】
本図において、このデジタルカメラ2は固定焦点の撮影用レンズ部22を図示のようにカメラ前面に設けている。また、裏面には大型の液晶表示部(不図示)と操作ダイヤル(不図示)とが設けられており、シャッター21がカメラ上面に設けられている。
【0015】
また、撮影用レンズ部22の左側にはファインダー窓とストロボが配置されている。このように構成されるデジタルカメラ2を使用して海底などで撮影する場合に、光量が不足するとファインダー内に露出アンダーの表示がされ、シャッター21の押圧動作と同期してストロボが自動発光して、被写体の照明を行うように構成されている。このストロボの発光が不要なときには、発光を解除する機能も備えている。
【0016】
以上のように構成されるデジタルカメラ20は矢印D1方向にケース体5の開口部8を介して出し入れ自在に設けられる。このケース体5の開口部8の近くには気密シールを設けた蓋部材9が矢印D2方向に回動自在に設けられており、デジタルカメラ20を撮影用レンズ部22を露出させる使用位置に装填した後に閉じた後に、ロック部材11を操作することで蓋部材9をケース体5に対する気密状態にできるように構成されている。ケース体5はポリカーボネイト、アクリル樹脂などの透明樹脂材料を用いて射出成型することで、内部の様子が外側から見えるようにしている。
【0017】
デジタルカメラ20の撮影用レンズ部22がケース体5の前方の透明ガラス部6に対向する撮影位置に装填されると、撮影に必要となる全てかまたは必要最小限度の操作を外部から操作できることになる。例えばケース体5の上面に気密状態で設けられたシャッターゴムカバー7の下方内側にデジタルカメラ20のシャッター21が位置する。さらに、液晶表示部を外部から見ることが可能となり、また各種設定ボタンを外部から操作できるようになる。以上のように構成される水中カメラ用ケースによれば、最大深度で約30mから15mの水中撮影が可能になる。
【0018】
ケース体5の角部にはストラップ取付部5aが一体成型されている。このストラップ取付部5aはストラップ1の着脱部となる強化紐4を挿通する孔部を形成しており、この強化紐4はステンレス製の固定具3に固定されている。
【0019】
ストラップ1のストラップ本体2は上記の水中撮影時において、水中カメラケースが沈むことを防止する浮力を発生する比重が0.9以下の所定樹脂材料を用いて、図示のような紐状に押し出し成形される。または所定金型で一体成型される。
【0020】
また、この所定樹脂材料としては、スチレン・プロピレンゴムのような充分な引っ張り強度を有する材料が使用可能であり、直径Kが約8mm以下、望ましくは約5mmの円形となるように押し出し成型され、長手方向の半分の全長Lはデジタルカメラ20の自重とケース体5の総重量に応じて、約40cmから約100cmの範囲で適宜設定される。具体的には、ハンドストラップは、使用時の長さが約23cm(全長46cm)、首掛けストラップは約48cm(全長96cm)に切断される。
【0021】
また、中空ラバー管を用いて両端を完全に塞ぐようにすることで浮力を確保するように構成しても良い。
【0022】
以上の構成により、例えば海中での水中撮影時に、誤って落とすかまたは無くした場合であっても、上記の各自重の総和分を、水中カメラケースの容積分の浮力に加えてストラップ1の浮力で浮上させることが可能となる結果、海底まで沈んでしまう最悪の事態を防ぐことができる。
【0023】
また、水中カメラケースは、長短各種のストラップ1を取付けることで持ち運び時に手からぶら下げるか、首に掛けるようにして携帯性を向上させることができる。
【0024】
次に、図2(a)から(c)は、ストラップ1の着脱部となる強化紐4を設けた固定具3の別実施形態を示した外観斜視図である。本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、先ず、図2(a)において固定具3は強化紐4をインサート成型した強化プラスチク製であり、ストラップ本体2を通過させる孔部3aを一体成型している。またストラップ本体2は図示のように偏平であり、孔部3aに一方の先端を通過させた後に他方のストラップ本体2の端部を図示のように重ねた後にミシン掛け30により固定するように構成されている。また、固定具3の強化紐4は、上記のストラップ取付部5aに対して図示のように固定される。
【0025】
図2(b)は、カシメピン31をストラップ本体2、2の孔部(不図示)に挿通した後に頭部をカシメることで固定具3に固定する様子を示している。
【0026】
また、図2(c)は歯付きの金属製の固定具3でストラップ本体2、2を上下から挟み、さらに内部に接着剤を充填して固定している。また、強化紐4に代えて固定用リング40を設けている。
【0027】
以上のように構成される長短各種のストラップ1を使用して持ち運び時に手からぶら下げるか、首に掛けるようにすることができる。
【0028】
以上説明したストラップ1を、水中カメラ(不図示)のストラップ取付部に対して固定具3を用いて固定することで、水中カメラが沈むことを防止する浮力を発生することが可能となる。
【0029】
最後に、図3(a)は指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置にデジタルカメラを装填後の水中カメラのケース体5の正面図、(b)は使用状態図である。
【0030】
本図において、既に説明済みの構成部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、ケース体5の右側面の上下部位にはストラップ本体2、2の両端部を固定する固定部5k、5kが一体樹脂成型されている。
【0031】
以上の構成によれば、図3(b)に図示のように海面にストラップ本体2が浮上するので、紛失する虞がなくなる。また蛍光色でストラップ本体2を成型することで遠くからも確認できることとなる。
【0032】
なお、ケース体5は上記のアクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などに代表される透明樹脂材料に代えて、ABS樹脂などの光透過性の樹脂材料や所望の顔料で着色された所定樹脂材料を用いて一体的に樹脂射出成形できる。さらに、別用途としてデジタルカメラ20をゴミや湿気から保護でき、さらに携帯時に思わぬ外力から保護することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】デジタルカメラ20とこのデジタルカメラに対して専用設計された水中カメラのケース体5とストラップ1について図示した外観斜視図である。
【図2】(a)から(c)は、ストラップ1の着脱部となる強化紐4を設けた固定具3の別実施形態を示した外観斜視図である。
【図3】(a)は指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置にデジタルカメラを装填後の水中カメラのケース体5の正面図、(b)は使用状態図である。
【符号の説明】
【0034】
1 水中カメラケース用ストラップ
2 ストラップ本体
3 固定具
4 強化紐(着脱部)
5 ケース体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置に装填可能にするとともに撮影に必要となる操作を外部から操作可能にしたケース体と、前記ケース体に対して開閉自在かつ液密状態にする蓋部材とを備えることで、水中撮影を可能にした防水性を有する水中カメラケースに設けられたストラップ取付部に着脱自在に用いられる水中カメラケース用ストラップであって、
前記水中撮影時に、前記水中カメラケースが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて所定横断面形状および所定全長の紐状に成形されるストラップ本体と、
前記ストラップ本体の両端部を固定するとともに前記ストラップ取付部に対して着脱するための着脱部を有する固定具と、を備えることを特徴とする水中カメラケース用ストラップ。
【請求項2】
前記所定樹脂材料はスチレン・プロピレンゴムを含む比重が0.9以下の材料であり、また前記所定横断面形状は、円形または偏平形状に成型され、前記所定全長は、前記指定カメラと前記水中カメラケースの総重量に応じて適宜設定されることを特徴とする請求項1に記載の水中カメラケース用ストラップ。
【請求項3】
水中撮影時に、水中カメラが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて所定横断面形状および所定全長の紐状に成形されるストラップ本体と、
前記ストラップ本体の両端部を固定するとともに前記水中カメラのストラップ取付部に対して着脱するための着脱部を有する固定具と、を備えることを特徴とする水中カメラ用ストラップ。
【請求項4】
指定カメラの撮影用レンズ部を露出させる使用位置に装填可能にするとともに撮影に必要となる操作を外部から操作可能にしたケース体と、前記ケース体に対して開閉自在かつ液密状態にする蓋部材とを備えることで、水中撮影を可能にした防水性を有する水中カメラケースに一体的にストラップを固定した水中カメラケースであって、
前記水中撮影時に、前記水中カメラケースが沈むことを防止する浮力を発生する所定樹脂材料を用いて所定横断面形状および所定全長の紐状に成形されるストラップ本体と、
前記ストラップ本体の両端部を固定するために前記ケース体または前記蓋部材の外周面に設けられた固定部と、を備えることを特徴とする水中カメラケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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