説明

水田用農薬組成物

【課題】 雑草が高葉令に生長していた場合や施用する水面に藻が発生していた場合、それらが農薬組成物の拡散の障害となる。従前の水面に浮遊させるタイプの農薬組成物では、水田全体に十分に拡散せず、期待する農薬の効果が得られないばかりか、薬害を引き起こす場合もある。その為、より一層、拡散が速やかに進行することが求められる。
【解決手段】 (a)式(I)で表される化合物又はその塩(明細書参照)、(b)常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分、(c)吸油性担体、(d)アルキルポリグリコシド、(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩、(f)ポリアクリル酸塩、(g)水溶性担体、(h)該水溶性担体の水溶速度より遅い水溶速度を有する空気保持性物質及び(i)水面浮遊性付与剤を含有する水田用農薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田における様々な雑草を効果的に防除する水田用農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農薬有効成分の効果を高める目的で、水田の水面に浮遊させるタイプの農薬組成物の研究が行われてきている。例えば、特許文献1には無機浮遊性物質の浮遊性を利用した各種農薬組成物を水溶性高分子の袋に入れ、手で水田に投げ込むなどの方法などが提案されている。また、水田用農薬有効成分としては、従来から種々のものが使用されているが、雑草が高葉令に達した場合に適用するものとしては、後記式(I)で表される化合物が除草有効成分として知られており、更に、特許文献2或いは3では、後記式(I)で表される化合物を他の農薬有効成分と併用して使用することにより、一層高い除草効果を奏することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-163705
【特許文献2】特開2006-273841
【特許文献3】特開2007-45805
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雑草が高葉令に生長していた場合や施用する水面に藻が発生していた場合、それらが農薬組成物の拡散の障害となる。従前の水面に浮遊させるタイプの農薬組成物の農薬有効成分を単に本発明で使用する農薬有効成分に置き換えただけでは、水田全体に十分に拡散せず、期待する農薬の効果が得られないばかりか、薬害を引き起こす場合もある。その為、より一層、拡散が速やかに進行することが求められる。
また、後記式(I)で表される化合物と他の農薬有効成分を併用する場合、それらを一緒に製剤することにより、施用する際或いは製造場所から施用する場所まで運搬する際に非常に有利になる。しかし、各々の農薬有効成分が示す物性に対応して、製剤に使用する材料や製造方法を工夫する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意検討し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、(a)式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、Rは水素原子又は−COCHOCHである)で表される化合物又はその塩、(b)常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分、(c)吸油性担体、(d)アルキルポリグリコシド、(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩、(f)ポリアクリル酸塩、(g)水溶性担体、(h)該水溶性担体の水溶速度より遅い水溶速度を有する空気保持性物質及び(i)水面浮遊性付与剤を含有する水田用農薬組成物に関し、更に、当該組成物を水溶性フィルムで包装した水田用農薬パック剤に関する。また、本発明は上記水田用農薬組成物或いは当該組成物を水溶性フィルムで包装した水田用農薬パック剤を、湛水下水田に直接施用する方法にも関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、雑草が高葉令に生長した水田或いは水面に藻が発生している水田であっても、水田全体に農薬有効成分が拡散することにより、優れた薬効を示し、作物への薬害を起こさない。また、常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分を含む場合であっても、製剤を容易に調製することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(I)の化合物は、不斉炭素を2個含有するため、エリトロ(erythro)又はトレオ(threo)のような各異性体が存在するが、本発明における式(I)の化合物は、各異性体単独と、異性体混合物の双方を含む。
式(I)の化合物の塩としては、農業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えばナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
式(I)の化合物、即ち置換基Rが水素原子である化合物(化合物A1と略す)と、Rが−COCHOCHである化合物(化合物A2と略す)は、双方ともに本発明において望ましい効果を奏するが、なかでも、Rが−COCHOCHである化合物A2(一般名:フルセトスルフロン;flucetosulfuron)が、本発明においてより望ましい。式(I)の化合物の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常、0.01から5.0 wt%、望ましくは0.1から2.0 wt%である。
【0010】
本発明で使用する常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分は、製剤する際、他の配合成分を全て一緒に混合すると、混合容器に強く付着したり、均一に混ざらなかったりして、所望の農薬有効成分量が農薬組成物に配合されなかったり、製剤中において偏りが生じたりすることがある。そのような場合、施用時、薬剤が水田中に不均一に拡散し、効果に偏りが生じる原因となり得る。また、農薬有効成分が所定量含まれない農薬組成物では所望する効果が当然発揮できないので、好ましくない。
よって、予めそのような性状を示す農薬有効成分を吸油性担体と混合した後に、他の配合成分と配合することにより、各成分が均一な組成物を得ることができる。常温において液体の性状を示す農薬有効成分は吸油性担体と混合することが容易であるが、常温において高粘性の性状を示す農薬有効成分の場合、予め40℃から80℃程度に加温して低粘度の状態にしてから吸油性担体と混合することにより、農薬有効成分を吸油させやすくすることができる。
【0011】
本発明で使用する常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分(一般名)としては、例えば、カルフェントラゾンエチル、ベンフレセート、ベンチオカルブ、エスプロカルブ、モリネート、プレチラクロール、ブタクロール、MCPB、MCPBエチルなどが挙げられる。これらの中でも、本発明ではカルフェントラゾンエチルが好ましい。それらの農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常、0.01から10.0 wt%、望ましくは0.1から5.0 wt%である。
【0012】
本発明で使用する吸油性担体としては、例えば、ホワイトカーボン、ポリメチル尿素樹脂などが挙げられる。
ホワイトカーボンとは、含水シリカ、無水シリカおよび含水シリケートであり、それらを原料として焼成処理された焼成シリカや表面のシラノール基を化学反応で他の物質と反応させた表面処理シリカも含まれる。また、これらは1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
ホワイトカーボンの具体例を以下に挙げるが本発明はこれらに限定されるものではない。
・Evonik Degussa Japan(株)製の商品名:カープレックス#80、カープレックス#80D、カープレックス#67、カープレックス#1120、カープレックス#XR、カープレックスCS-5、カープレックスCS-7、カープレックスCS-701
・(株)トクヤマ製の商品名:ファインシールシリーズ、トクシールシリーズ
・水澤化学工業(株)製の商品名:ミズカシルシリーズ
ポリメチル尿素樹脂の具体例としては、ALBERMARLE CORPORATION製の商品名:PARGOPAK Mなどが挙げられる。
【0014】
吸油性担体の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常、0.1から10.0 wt%、望ましくは0.2から5.0 wt%である。
【0015】
本発明で使用する常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分は、多くの場合、水への溶解度が小さい為、水田用農薬組成物を水田へ施用した後、油滴になるなどして、水田に均一に拡散せず局所に滞留して、薬害を発生することがある。しかし、本発明では、以下に示したアルキルポリグリコシド、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩を併用することにより、施用された水田で農薬有効成分が速やかに均一に拡散し、優れた効果を発揮する。
【0016】
本発明で使用するアルキルポリグリコシドとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
・Cognis Corporation製の商品名:アグニークPG8105、アグニークPG8107-G、アグニークPG264-G
・ライオンアグゾ製の商品名:AG6202
アルキルポリグリコシドの農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常、0.1から10.0 wt%、望ましくは0.1から5.0 wt%である
【0017】
本発明で使用するアルキルベンゼンスルホン酸塩におけるアルキル部分としては、直鎖状のものでも、分枝状のものでもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどの炭素数1から12程度のものが挙げられる。また、アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。その具体例としては、竹本油脂(株)製の『ニューカルゲンWG−3(商品名)』、第一工業製薬(株)製の『ネオゲンパウダー(商品名)』などが挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常、0.1から10.0 wt%、望ましくは0.5から6.0 wt%である。
【0018】
本発明で使用するポリアクリル酸塩の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。その具体例としては、花王(株)製の『アグリゾールG-200(商品名)』、三洋化成工業(株)製の『トキサノンGR-31A(商品名)』、竹本油脂(株)製の『ニューカルゲンTG-33(商品名)』などが挙げられる。
ポリアクリル酸塩の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常0.1から10.0 wt%、望ましくは0.2から5.0 wt%である。
【0019】
本発明で使用する水溶性担体としては、例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、尿素、砂糖などが挙げられ、これら1種又は2種以上を混合して使用してもよく、又、これらに限定されるものでもない。これらの中でも、塩化カリウムが望ましい。
水溶性担体の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、水溶性担体以外の配合成分の量が所望の配合割合となるよう、最終的に配合量を調整するものとしても利用でき、通常、5.0から98.57 wt%、望ましくは42.0から95.7 wt%である。
【0020】
本発明で使用する空気保持性物質としては、水に触れると膨潤する性質を持つものであり、例えば、キサンタンガム、アラビアガム、デキストリン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニールアルコール、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、加工澱粉などが挙げられる。このうち、加工澱粉としては、例えば、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、架橋澱粉、グラフト化澱粉、焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン、可溶性澱粉、アルファー化澱粉などが挙げられる。空気保持性物質としては、これら1種又は2種以上を混合して使用してもよく、又、これらに限定されるものでもない。但し、使用する上記の水溶性担体の水溶速度より遅い水溶速度をもつものを選択して使用しなければならない。本発明の農薬組成物(水溶性フィルムで包装する場合はその内容物)が水田に施用されると、一旦、水中に沈降する。その際、空気保持性物質が水を含んで膨潤或いはコロイド状となり、水溶性担体などの粒子間に存在する微細な空気泡を捕捉する。それと同時に農薬組成物の水溶性担体は水側に徐々に溶出し、農薬組成物が相対的に軽くなる為、浮上し、拡散する。また、空気保持性物質は農薬組成物を必要に応じて粒剤などへ成型する形態とする場合に結合剤を兼ねることもできる。上記水溶性担体に塩化カリウムを使用する場合、空気保持性物質の中でも、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、加工澱粉などが望ましい。
空気保持性物質の具体例としては、以下のものが挙げられる。
・ローディア日華(株)製の商品名:ロードポール23(キサンタンガム)
・第一工業製薬(株)製の商品名:セロゲン703A(カルボキシメチルセルロースナトリウム)
・日澱化学(株)製の商品名:アミコール6H(加工澱粉・酵素変性デキストリン)
空気保持性物質の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常0.01から10.0 wt%、望ましくは0.1から5.0 wt%である。
【0021】
本発明で使用する水面浮遊性付与剤は、独立した1個または複数個の気室を有する物質である。具体的には、微粉炭を燃焼させた際に発生する石炭灰に含まれるフライアッシュ中空粒子、真珠岩や黒曜石からなるパーライト、シラスよりなる発泡シラス、アルミノシリケート系で焼成してなるフィライト、珪酸ソーダ或いは硼砂(ほうさ)を発泡させたマイクロバルーン、軽石、粒状珪藻土、粒状活性炭、木粉、コルク粉、フェノール樹脂からなるエコスフェアー、ポリウレタンからなるポリウレタンフォーム、ポリアクリロニトリルからなるマイクロスフェアーなどが挙げられる。本発明では、これら1種又は2種以上を混合して使用しても良く、混合する場合の割合も適宜選択できる。これらの中でも、かさ比重が1未満の閉鎖型無機中空体(以下、中空体)である、フライアッシュ中空粒子、パーライト、発泡シラス、フィライト、マイクロバルーンなどが望ましく、中でもフライアッシュ中空粒子が特に望ましい。中空体の平均粒子径は、400μm以下であることが望ましい。
フライアッシュ中空粒子としては、具体的には以下のようなものが挙げられる。
オーストラリア・エンバイロスフィアーズ製の商品名:イースフィアーズSL-150、イースフィアーズSLG、イースフィアーズSL-75、イースフィアーズSL-125、イースフィアーズSL180、イースフィアーズSL-300、イースフィアーズSL-350、イースフィアーズSL-500などが挙げられる。
水面浮遊性付与剤の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常1.0から30.0 wt%、望ましくは3.0から25.0 wt%である。
【0022】
本発明では、必要に応じて、農薬有効成分の安定化剤を使用しても良い。例えば農薬有効成分の加水分解が問題となる場合においては、該農薬有効成分と、空気中の水分や農薬組成物中に混入している水分との接触を抑えることにより、農薬有効成分の経時変化(分解)を抑制する乾燥剤がそれに該当する。安定化剤としては、具体的には無水ホウ酸(別名酸化ホウ素、ホウ酸無水物:B2O3)、メタホウ酸(HBO2)、生石灰(CaO)、酸化バリウム(BaO)、ホウ酸(H3BO3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)、酸化鉄(FeO、α-Fe2O3、γ-Fe2O3、Fe3O4)、シリカゲル、無水塩化カルシウム、水素化カルシウム(CaH2)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸銅、無水硫酸カルシウム、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、無水ケイ酸カルシウム、酸化チタン、二酸化ケイ素、活性炭、アルミン酸ナトリウム、無水クエン酸のような乾燥剤などが挙げられる。安定化剤は、1種又は2種以上を混合して使用してもよい。2種以上混合する場合の割合も適宜選択できる。
安定化剤の農薬組成物中の配合割合は適宜選択できるが、通常0.1から20 wt%、望ましくは0.2から5.0 wt%の範囲である。
【0023】
本発明では、必要に応じて、上記した成分以外の補助剤も使用することができる。製剤に使用する補助剤としては、カオリナイト、セリサイト、珪藻土、消石灰、タルク、カオリン、ベントナイト、クレー、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉のような固形担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコールのような溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンのような植物油や鉱物油などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
【0024】
また、本発明の目的に適合するかぎり、前記した農薬有効成分以外に更に他の除草有効成分を含有することができ、これにより適用草種の範囲、薬剤処理の時期、除草活性等を、より好ましい方向へ改良できる場合がある。当該他の除草有効成分としては、例えば以下のような化合物(一般名:一部ISO申請中を含む、又は開発コード)が例示できるが、特に記載がない場合であってもこれら化合物に塩、アルキルエステル、水和物、異なる結晶形態、各種構造異性体等が存在する場合は、当然それらも含まれる。例えば、2,4−D、2,4−Dブトチル、2,4−Dブチル、2,4−Dジメチルアンモニウム、2,4−Dジオールアミン、2,4−Dエチル、2,4−D−2−エチルヘキシル、2,4−Dイソブチル、2,4−Dイソオクチル、2,4−Dイソプロピル、2,4−Dイソプロピルアンモニウム、2,4−Dナトリウム、2,4−Dイソプロパノールアンモニウム、2,4−Dトロールアミン、2,4−DB、2,4−DBブチル、2,4−DBジメチルアンモニウム、2,4−DBイソオクチル、2,4−DBカリウム、2,4−DBナトリウム、ジクロロプロップ、ジクロロプロップブトチル、ジクロロプロップジメチルアンモニウム、ジクロロプロップイソオクチル、ジクロロプロップカリウム、ジクロロプロップ−P、ジクロロプロップ−Pジメチルアンモニウム、ジクロロプロップ−Pカリウム、ジクロロプロップ−Pナトリウム、MCPA、MCPAブトチル、MCPAジメチルアンモニウム、MCPA−2−エチルヘキシル、MCPAカリウム、MCPAナトリウム、MCPAチオエチル、MCPB、MCPBエチル、MCPBナトリウム、メコプロップ、メコプロップブトチル、メコプロップナトリウム、メコプロップ−P、メコプロップ−Pブトチル、メコプロップ−Pジメチルアンモニウム、メコプロップ−P−2−エチルヘキシル、メコプロップ−Pカリウム、ナプロアニリド、クロメプロップのようなフェノキシ系化合物;ピクロラム、ピクロラムジメチルアンモニウム、ピクロラムイソオクチル、ピクロラムカリウム、ピクロラムトリイソプロパノールアンモニウム、ピクロラムトリイソプロピルアンモニウム、ピクロラムトロールアミン、トリクロピル、トリクロピルブトチル、トリクロピルトリエチルアンモニウムのような芳香族カルボン酸系化合物;リニュロンのような尿素系化合物;シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、トリアジフラムのようなトリアジン系化合物;プロパニルのようなアニリド系化合物;スエップのようなカーバメート系化合物;ニトロフェン、クロメトキシフェン、ビフェノックス、アシフルオルフェン、アシフルオルフェンナトリウム、オキシフルオルフェン、フルオログリコフェンエチル、フルオログリコフェンのようなジフェニルエーテル系化合物;ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップのようなピラゾール系化合物;シハロホップブチル、メタミホッププロピル、メタミホップのようなアリールオキシフェノキシプロピオン酸系化合物;プロホキシジムのようなシクロヘキサンジオン系化合物;ベンスルフロンメチル、ベンスルフロン、メトスルフロンメチル、メトスルフロン、シノスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ピラゾスルフロン、アジムスルフロン、イマゾスルフロン、シクロスルファムロン、ハロスルフロンメチル、ハロスルフロン、エトキシスルフロン、オルソスルファムロン、TH−547のようなスルホニルウレア系化合物;ペノクススラムのようなトリアゾロピリミジンスルホンアミド系化合物;ビスピリバックナトリウム、ピリミノバックメチル、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリミスルファンのようなピリミジニルサリチル酸系化合物;オリザリン、ペンディメタリン、ブトラリンのようなジニトロアニリン系化合物;ブタミホス、アニロホス、ピペロホスのような有機リン酸系化合物;ダイムロン、クミルロン、ブロモブチドのようなクミルアミン系化合物;ブタクロール、プレチラクロール、テニルクロールのようなクロロアセトアミド系化合物;モリネート、ジメピペレート、ピリブチカルブ、エスプロカルブ及びチオベンカルブのようなチオカーバメート系化合物;キンクロラック;キンメラック;ピリデート;ベンタゾン;ベンタゾンナトリウム;オキサジアルギル;オキサジアゾン;カルフェントラゾンエチル;ペントキサゾン;ピラクロニル;フルリドン;ジフルフェニカン;メトキシフェノン;クロマゾン;メソトリオン;テフリルトリオン;ベンゾビシクロン;シンメチリン;ジチオピル;エトベンザミド;メフェナセット;フルフェナセット;カフェンストロール;フェントラザミド;オキサジクロメフォン;インダノファン;ベンフレセート;TCAナトリウム;トリクロロ酢酸;HOK−201;キノクラミン;アミノシクロピラクロールなどが使用される。
【0025】
本発明の農薬組成物は、以下のような方法によって、例えば粒剤とすることができる。
(1)(b)常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分と(c)吸油性担体とを予め混合し、吸油性担体を主体とする均一な組成物を得る。この際、農薬有効成分が常温で高粘性を示す場合、必要に応じ、予め40から80℃程度に加温して流動性のある液体とすることにより、農薬有効成分が吸油性担体に十分馴染み易くなるようにしてもよい。更に、その他の成分において、液体の性状を持つものがあれば、上記成分と同時に混合しても良い。
(2)(1)で得られた組成物と、その他の成分を混合し、必要に応じて粉砕する。なお、粉砕により形状が変化しやすい(h)該水溶性担体の水溶速度より遅い水溶速度を有する空気保持性物質や(i)水面浮遊性付与剤などは上記粉砕後に混合してもよい。
(3)(2)で得られた組成物を加水混練した後、造粒し、乾燥、整粒する。造粒する際には、押し出し造粒機、転動造粒機、噴霧造粒機、流動層造粒機等を用いることができる。
【0026】
整粒された個々の粒の粒径は、取り扱いの便宜、組成物の崩壊性を考慮すると一般的には0.1から10 mm、好ましくは0.3から6 mm、さらに好ましくは0.3から2 mmの範囲である。また、粒1個当たり重量は1 g未満である。
【0027】
本発明の農薬組成物はそのまま水田に10アール当たり10から3,000g、好ましくは100から1,000gの範囲で処理する方法や水溶性フィルムで10から100gずつ包装してパック剤の形態とし、該パック剤を10アール当たり10から3,000g、好ましくは100から1,000gの範囲で水田畦畔から投げ込み施用する方法または水口若しくは給水筒に施用する方法等の簡便な方法で使用することができる。
【0028】
前記のように本発明の農薬組成物を水溶性フィルムで包装し、パック剤とするときに使用できる水溶性フィルムとしては、水田中に投入したときに、速やかに、例えば数秒〜24時間程度で溶解するものであれば、何れのものでもよい。例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、水溶性ビニロン、水溶性デキストリン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ペクチン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、澱粉などを素材とした高分子フィルム;紙や繊維などに前記水溶性フィルムを塗布又は含浸処理したものなどが挙げられ、これら水溶性フィルムの膜厚は、10から80μm、望ましくは20から60μmが適当である。
【0029】
本発明の農薬組成物は、水田に施用された際、一旦水中に沈降した後、徐々に全量が水面上に浮上し、界面活性剤の効力が中心となって農薬有効成分を極めて効果的に水田全域に拡散させることができる。また、本発明の農薬組成物をパック剤として施用すると、施用直後、パック剤は水面上にあるが、直ちに水溶性フィルムが溶解を始め、水溶性フィルムが溶解した部分から内包された農薬組成物が一旦水中に全量沈降する。その後、水溶性担体が溶解するにつれて、空気保持性物質や水面浮遊性付与剤などの働きにより、沈降した農薬組成物は徐々に水面に浮上し、界面活性剤の効力が中心となって農薬有効成分が速やかに拡散することにより、所望の効果を達成することができる。水面浮遊性付与剤を配合することにより、水面へ浮上する時間が短縮され、水中より抵抗が少ない水面上を水中より速く拡散することができる。
【0030】
このように、本発明の農薬組成物は、局所散布するだけで、農薬有効成分が局所に滞留することなく水田全体に拡散し、イネに対する薬害を発生することなく有害生物を防除することができ、散布作業が大幅に省力化されたものである。また、浮遊性にすぐれた本発明の農薬組成物は、農薬有効成分が効率良く拡散するため、薬剤の処理地点にその痕跡が残らないという利点も有する。さらに本発明の農薬組成物は、前記したように簡便な方法で製造でき、製造コストも低く抑えられる。前述した種々の特徴、利点を有する本発明の農薬組成物は、極めて実用性の高いものである。
【0031】
次に本発明の望ましい態様の一例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)(a)式(I)の化合物又はその塩、(b)常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分、(c)吸油性担体、(d)アルキルポリグリコシド、(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩、(f)ポリアクリル酸塩、(g)水溶性担体、(h)該水溶性担体の水溶速度より遅い水溶速度を有する空気保持性物質及び(i)水面浮遊性付与剤を含有する水田用農薬組成物。
(2)(a)が、化合物A2(フルセトスルフロン)である、(1)の組成物。
(3)(b)が、カルフェントラゾンエチルである、(1)の組成物。
(4)(c)が、ホワイトカーボンである、(1)の組成物。
(5)(g)が、塩化カリウムである、(1)の組成物。
(6)(h)が、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び加工澱粉からなる群より選ばれる少なくとも1つである、(1)の組成物。
(7)(i)の水面浮遊性付与剤がかさ比重1未満の閉鎖型無機中空体である、(1)の組成物。
(8)かさ比重1未満の閉鎖型無機中空体がフライアッシュ中空粒子である、(7)の組成物。
(9)(1)の組成物を更に水溶性フィルムで包装した形態である、水田用農薬パック剤。
(10)水溶性フィルムがポリビニールアルコール製フィルムである、(9)のパック剤。
(11)(1)の組成物又は(9)のパック剤を、湛水下水田に直接施用する方法。
【実施例】
【0032】
本発明をより詳しく述べるため、以下に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
製剤実施例1a
予め約60 ℃に加温したカルフェントラゾンエチル 1.8 gとアグニークPG8105(商品名)0.4 gの混合液をカープレックス#80(商品名)1.8 gに加え、混合撹拌して吸油混合粉を作製した。次に化合物A2 0.44 g、ニューカルゲンWG-3(商品名)3.0 g、アミコール6H(商品名)1.0 g、無水クエン酸1.0 g及び塩化カリウム68.06 gを混合し、先に作製した吸油混合粉と合わせてハンマータイプの粉砕機で粉砕した。次にロードポール23(商品名)0.5 g、イースフィアーズSL-150(商品名)20.0 gを加え混合した後、セロゲン703A(商品名)の15 %水溶液6.7 g(セロゲン703A純分1.0 g)とアグリゾールG-200(商品名)1.0 gの混合物を加え、更に造粒に適正な水を加えて5から10分間混練した後、孔径1.2 mmのスクリーンを付けたドームグラン型押出し造粒機で造粒し、60から70℃に設定した流動乾燥機にて乾燥した。得られた乾燥品を整粒し(12から24メッシュ:1410μmから710μm)、粒剤を得た。この粒剤の0.24 gをポリビニールアルコール製水溶性フィルム(フィルムは厚さ約40μmで縦1.5 cm、横2.0 cmの長方形の袋)に充填し、開口部をヒートシールし、パック剤を得た。
【0033】
製剤実施例1b
製剤実施例1aで得られた粒剤の50 gをポリビニールアルコール製水溶性フィルム(フィルムは厚さ約40μmで縦10 cm、横8 cmの長方形の袋)に充填し、開口部をヒートシールし、パック剤を得た。
【0034】
製剤実施例2a
上記製剤例1aにおいて、塩化カリウムの配合量を、83.66 gとし、カープレックス#80(商品名)1.8 gの代わりにカープレックス#67(商品名)1.2 gとし、無水クエン酸1.0 gの代わりに無水ホウ酸1.0 gとし、イースフィアーズSL-150(商品名)の配合量を20.0 gから5.0 gとすること以外は製剤実施例1aと同様に製剤し、粒剤を得た。この粒剤の0.24 gをポリビニールアルコール製水溶性フィルム袋(フィルムは厚さ約40μmで縦1.5 cm、横2.0 cmの長方形の袋)に充填し、開口部をヒートシールし、パック剤を得た。
製剤実施例2b
製剤実施例2aで得られた粒剤の50 gをポリビニールアルコール製水溶性フィルム(フィルムは厚さ約40μmで縦10 cm、横8 cmの長方形の袋)に充填し、開口部をヒートシールし、パック剤を得た。
【0035】
農薬有効成分の水中拡散性試験
縦0.12 m×横4 mの雨樋に土を詰め、入水し、代掻きをした後、ノビエ、ホタルイ、コナギ、広葉雑草(アゼナ、アブノメ、ミゾハコベ、キカシグサ)の各種子を播種し、水深を3.5 cmに保持した。代掻き1日後にウリカワの塊茎を埋め込み、2葉期のイネを雨樋の端から40 cmおきに10株(1株あたり2本)移植した。ノビエが2.4-3.0葉期、ホタルイが2.4-2.8葉期、コナギが2.2-2.5葉期、ウリカワが1.5-2.3葉期、アゼナの葉令が1対に達したとき、前記製剤実施例1a又は2aで得られたパック剤を雨樋片端の水面に投下した。処理後、24時間後に施用地点から1 mおきに離れた地点における水深の中間部(水面より深さ 1.8 cm)より水を採取し、液体クロマトグラフィーで化合物A2及びその加水分解物であるA1の合計濃度並びにカルフェントラゾンエチル及びその加水分解物(2−クロロ−3−[2−クロロ−5−(4−ジフルオロメチル−4,5−ジヒドロ−3−メチル−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−4−フルオロフェニル]プロピオン酸)の合計濃度を測定した。結果を第1表及び第2表に示す。なお、粒剤中の化合物A2が水中全体にわたり均一に拡散した場合の理論濃度は施用後の加水分解の程度により異なり、全てA1に加水分解している場合は53 ppb、全てA2の場合は63 ppbである。一方、カルフェントラゾンエチルが水中全体にわたり均一に拡散した場合の理論濃度も施用後の加水分解の程度によって異なり、全て加水分解している場合は240 ppb、全てカルフェントラゾンエチルである場合は、257 ppbである。
また、処理30日後の植物の生育状態を、肉眼で観察調査(生育抑制率(%)0:無処理区並〜100:完全枯殺)し、結果を第3表に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
上記のように、本発明の製剤実施例1a及び2aは、施用後の水中拡散性に優れ、効果的に農薬の効果を発揮することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により、雑草が高葉令に生長した水田或いは水面に藻が発生している水田であっても、水田全体に農薬有効成分が拡散することにより、優れた薬効を示し、作物への薬害を起こさない農薬組成物が提供される。また、常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分を含む場合であっても、製剤を容易に調製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I):
【化1】

(式中、Rは水素原子又は−COCHOCHである)で表される化合物又はその塩、(b)常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分、(c)吸油性担体、(d)アルキルポリグリコシド、(e)アルキルベンゼンスルホン酸塩、(f)ポリアクリル酸塩、(g)水溶性担体、(h)該水溶性担体の水溶速度より遅い水溶速度を有する空気保持性物質及び(i)水面浮遊性付与剤を含有する水田用農薬組成物。
【請求項2】
(b)の常温において液体又は高粘性の性状を示す農薬有効成分がカルフェントラゾンエチルである、請求項1の組成物。
【請求項3】
(c)の吸油性担体がホワイトカーボンである、請求項1の組成物。
【請求項4】
(g)の水溶性担体が塩化カリウムである、請求項1の組成物。
【請求項5】
(h)の空気保持性物質がキサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び加工澱粉からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1の組成物。
【請求項6】
(i)の水面浮遊性付与剤がかさ比重1未満の閉鎖型無機中空体である、請求項1の組成物。
【請求項7】
かさ比重1未満の閉鎖型無機中空体がフライアッシュ中空粒子である、請求項6の組成物。
【請求項8】
請求項1の組成物を更に水溶性フィルムで包装した形態である、水田用農薬パック剤。
【請求項9】
水溶性フィルムがポリビニールアルコール製フィルムである、請求項8のパック剤。
【請求項10】
請求項1の水田用農薬組成物又は請求項8の水田用農薬パック剤を、湛水下水田に直接施用する方法。

【公開番号】特開2010−59151(P2010−59151A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180974(P2009−180974)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】