説明

汎用型コンバイン

【課題】汎用型コンバインにおいて、操縦部から前方、特に左前方の視界を確保し、一人での作業性の向上を図る。
【解決手段】汎用型コンバインにおいて、グレンタンク4の上部には、該グレンタンク4の後部から穀粒を排出するための排出オーガ5を回動自在に配置し、該排出オーガ5は脱穀部Dと反対側、つまり機体フレーム2の進行方向右側位置に、前記グレンタンク4の後部から操縦部Aの右側部を経て、前記刈取部Cの上方位置までの間に収納すべく構成し、該操縦部Aを、左右方向中央前部のフィーダハウス上方に配置し、該操縦部の右側で、該排出オーガと同じ側の、収納状態の排出オーガ5の下方位置に、該操縦部Aへの乗り降りのためのステップ24を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦部からの前方の視界を確保するための汎用型コンバインのレイアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、クローラ式走行装置の上部に機体フレームを載置し、該フレームより前方に刈取部を突出し、その後部に脱穀部を載置し、脱穀した穀粒をグレンタンクに収納する汎用型コンバインは公知となっている。前記従来技術のコンバインの操縦部は機体フレームの進行方向右側前部に配置して、フィーダハウス前方に設けた刈取部を昇降するときに操縦部がフィーダハウスと干渉しないように、操縦部はフィーダハウスの側方に配置していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、該技術では操縦部は機体フレームの進行方向右側前部に配置されているため、操縦部から見て前方、特に左前方の視界が確保できず、操作性も悪くなるという不具合があった。
【特許文献1】実開昭62−77525号公報
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の手段を説明する。
クローラ式走行装置1の前方に刈取部Cを配置し、後方のクローラ式走行装置1上で、進行方向の右側にはグレンタンク4を、左側には脱穀部Dを配置し、該脱穀部Dの下方には選別部29を配置し、前記刈取部Cの後端と脱穀部Dの前部入口を、左右方向中央部のフィーダハウス12によって連通した汎用型コンバインにおいて、前記グレンタンク4の上部には、該グレンタンク4の後部から穀粒を排出するための排出オーガ5を回動自在に配置し、該排出オーガ5は脱穀部Dと反対側、つまり機体フレーム2の進行方向右側位置に、前記グレンタンク4の後部から操縦部Aの右側部を経て、前記刈取部Cの上方位置までの間に収納すべく構成し、該操縦部Aを、左右方向中央前部のフィーダハウス上方に配置し、該操縦部の右側で、該排出オーガと同じ側の、収納状態の排出オーガ5の下方位置に、該操縦部Aへの乗り降りのためのステップ24を配置したものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏する。
クローラ式走行装置1の前方に刈取部Cを配置し、後方のクローラ式走行装置1上で、進行方向の右側にはグレンタンク4を、左側には脱穀部Dを配置し、該脱穀部Dの下方には選別部29を配置し、前記刈取部Cの後端と脱穀部Dの前部入口を、左右方向中央部のフィーダハウス12によって連通した汎用型コンバインにおいて、前記グレンタンク4の上部には、該グレンタンク4の後部から穀粒を排出するための排出オーガ5を回動自在に配置し、該排出オーガ5は脱穀部Dと反対側、つまり機体フレーム2の進行方向右側位置に、前記グレンタンク4の後部から操縦部Aの右側部を経て、前記刈取部Cの上方位置までの間に収納すべく構成し、該操縦部Aを、左右方向中央前部のフィーダハウス上方に配置し、該操縦部の右側で、該排出オーガと同じ側の、収納状態の排出オーガ5の下方位置に、該操縦部Aへの乗り降りのためのステップ24を配置したことにより、操縦部Aから前方、特に左前方は刈取部Cにより視界が確保できないという不具合が解消され、前方の視界が良好となったのである。
【0006】
また、ステップ24を排出オーガ5と同一方向に配置することよって、容易に籾処理部側から乗り降りすることができ、トップサッカ仕様において袋取作業が容易に行うことができ、一人でも作業がし易くなったのである。
【0007】
また、排出オーガ5によって、穀粒を右側に位置させたトラックや荷台や乾燥機等に排出する際、旋回時間を短くすることができ、また、該排出オーガ5をオペレータ上方を通過させることなく回動させることができるので安全性に優れている。そして排出オーガ5は脱穀部Dと反対側、つまり、機体フレーム2の進行方向の右側に収納することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を説明する。
図1は汎用型コンバインの側面図、図2は汎用型コンバインの平面図、図3は操縦部Aの正面図である。
【0009】
まず、汎用型コンバインの全体構成を説明する。
図1、図2に示すように、汎用型コンバインはクローラ式走行装置1上に、機体フレーム2を配置し、この機体フレーム2の左右中央前部上に操縦部Aを配設している。機体フレーム2の右前上にはエンジンEを載置し、その後部にグレンタンク4を配置し、このグレンタンク4の後部から前方に穀粒を排出するための排出オーガ5を備えている。
【0010】
また、前記機体フレーム2の中央より前方には、刈取部Cを配置し、該刈取部Cの後端と脱穀部Dの前部入口をフィーダハウス12によって連通し、脱穀部Dはスクリュー型の扱胴6をその回転軸が前後方向やや前下がりに傾斜するように配置している。
また、該扱胴6の中心は刈取部Cの中心に対して、左側方に若干ずらして配置されている。この扱胴6の下部には受網7を配置している。この脱穀部Dの下には、唐箕9やグレンシーブ10、流穀板11等からなる選別部29が配置されている。
【0011】
前記脱穀部Dの入口にフィーダハウス12の後部を連通し、このフィーダハウス12内にはフィーダコンベア15を設け、刈り取った穀稈を脱穀部Dへ搬送するようにしている。このフィーダハウス12の前部に、プラットホーム14を設けており、該プラットホーム14には進行方向と直角に横送りオーガ16が配置され、該横送りオーガ16の前下部に刈刃17が横設されている。
【0012】
そして、前記プラットホーム14の左右両側の前端に分草板18・18を設け、プラットホーム14の後部の左右両端には、リール19を横架した支持アーム20の後部が枢支され、この支持アーム20の左右一側にはリール回転駆動用のベルトやプーリー等からなる動力伝達機構が設けられている。このリール19は支持アーム20とプラットホーム14との間にアクチュエータとして油圧シリンダ21を介装して、これによって昇降される。
【0013】
従って、刈取作業を行うと、分草板18によって分草して、リール19の回転によって穀稈を掻き込み、刈刃17によって穀稈の株元側を刈取り、この刈り取られた穀稈は、横送りオーガ16の回転によって中央側へ横送りされて、中央のフィーダハウス12前端から、フィーダコンベア15によって後方へ搬送され、脱穀部Dへ送られ、脱穀された穀粒をグレンタンク4に収納している。
【0014】
前記機体フレーム2の前下部にミッションケースMを配設しており、側方に載置するエンジンEより動力を入力するようにしている。入力した動力は、ミッションケースM内において、変速した動力を図示せぬ車軸に伝達し、該車軸を介して駆動スプロケット31に伝達し、機体を走行駆動させている。
【0015】
操縦部Aはフィーダハウス12の上方に配置されており、従来のフィーダハウスの側方に設けていた構成に比べて操縦位置が高くなり、前方の視界、特に刈取部Cのために遮られる左前方の視界が確保でき、刈取作業の状態が分かり、安全に作業をすることができるのである。
また、該操縦部Aを機体フレーム2の進行方向中央前部に構成するので、操縦部から後方、特に左後方への安全にも気を配ることができるのである。
【0016】
図3に示す如く、前記操縦部Aは丸型走行ハンドル22や作業レバー等を配置し、該操縦部Aの進行方向左側には操作パネル23を、そして進行方向右側にはステップ24を設けている。操作パネル23を操縦部の左側に配置して左側の空間を利用し、ステップ24を使用して籾処理部側から乗り降りすることができ、該操縦部Aへの乗り降りが容易になるのである。
また、グレンタンク4の代わりにトップサッカ仕様とした場合には、トップサッカとステップ24が同じ側にあり、一人での作業を行い易くなるのである。
【0017】
操縦部Aを機体フレーム2の左右中央前部に配置しているので、排出オーガ5は脱穀部Dと反対側、つまり機体フレーム2の進行方向右側位置で、収納するようにしているのである。穀稈を刈り取り、脱穀し、選別した後の穀粒をグレンタンク4に貯留し、該グレンタンク4がいっぱいになったり、その圃場の刈り取りが終了すると、該排出オーガ5によって、右側からトラックの荷台や乾燥機等に排出する。その際、該排出オーガ5をオペレータ上方を通過させることなく回動させることができるので安全性に優れ、また、排出側に配置しているので旋回時間を短くすることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】汎用型コンバインの側面図
【図2】汎用型コンバインの平面図
【図3】操縦部Aの正面図
【符号の説明】
【0019】
1 クローラ式走行装置
2 機体フレーム
4 グレンタンク
5 排出オーガ
12 フィーダハウス
23 操作パネル
24 ステップ
29 選別装置
A 操縦部
C 刈取部
D 脱穀部
M ミッションケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クローラ式走行装置の前方に刈取部を配置し、後方のクローラ式走行装置上で、進行方向の右側にはグレンタンクを、左側には脱穀部を配置し、該脱穀部の下方には選別部を配置し、前記刈取部の後端と脱穀部の前部入口を、左右方向中央部のフィーダハウスによって連通した汎用型コンバインにおいて、前記グレンタンクの上部には、該グレンタンクの後部から穀粒を排出するための排出オーガを回動自在に配置し、該排出オーガは脱穀部と反対側、つまり機体フレームの進行方向右側位置に、収納すべく構成し、該操縦部を、左右方向中央前部のフィーダハウス上方に配置し、該操縦部の右側で、該排出オーガと同じ側の、収納状態の排出オーガの下方位置に、該操縦部への乗り降りのためのステップを配置したことを特徴とする汎用型コンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−325608(P2006−325608A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251782(P2006−251782)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【分割の表示】特願平9−117172の分割
【原出願日】平成9年5月7日(1997.5.7)
【出願人】(000006851)ヤンマー農機株式会社 (132)
【Fターム(参考)】