説明

汚泥掻寄機

【課題】スロッシングによるチェーンの脱落を効果的に防止することができる汚泥掻寄機を提供すること。
【解決手段】汚泥掻寄機100は、槽1の下部に設けられた第1従動軸3及び第2従動軸4と、槽1の上部に設けられた第3従動軸5及び駆動軸6とを備えた、いわゆるチェーンフライト式の汚泥掻寄機であり、駆動軸6及び第3従動軸5の間において、チェーン2の周回軌道外側に、フライト21と対向する第1ガイドレール12を延在させ、この第1ガイドレール12を駆動スプロケット61の外側まで延在させる。これにより、駆動スプロケット61周りに位置するフライト21の上方への移動を、駆動スプロケット61の外側まで延在させた第1ガイドレール12により規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥掻寄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、沈殿池等の槽の底に堆積した汚泥等の堆積物を掻き寄せる汚泥掻寄機として、槽の底面と水面との間に張設された一対のチェーンに板状のフライトを複数取り付け、このフライトを槽の底に沿うように周回軌道を周回させ、槽の底に堆積した堆積物を掻き寄せる、いわゆるチェーンフライト式の汚泥掻寄機が知られている。
【0003】
このようなチェーンフライト式の汚泥掻寄機では、地震発生時に発生する槽の水面の揺れ(以下、「スロッシング」という)により、チェーンが脱落して運転不能になることを防止するための対策が採られている場合がある。例えば、以下の特許文献1に記載の汚泥掻寄機では、フライト板の水面側での走行をガイドするためのガイドレールに沿って、フライト板の長手方向外側にフライト板の側面と対向するようにガード板が離隔して配置されている。このガード板の上部は槽の内側に水平に折り曲げられて折曲部となっており、この折曲部はフライト板の上面に上から対向するように配置されている。そして、このガード板によって、フライト板の横方向及び上方向への移動が規制され、フライト板の脱線を防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4536595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような汚泥掻寄機では、スロッシングによるチェーンの脱落をより効果的に防止できるような技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、スロッシングによるチェーンの脱落を効果的に防止することができる汚泥掻寄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで、本発明者は、鋭意研究した結果、スロッシング発生時に、駆動軸のスプロケット周りに位置するフライトの上方への移動を規制すると、効果的にチェーンの脱落が防止できることを見出した。
【0008】
そこで、本発明に係る汚泥掻寄機は、槽の底に堆積した堆積物を掻き寄せるべく掻寄方向に直行する方向に長尺に延びたフライトが周回方向に沿い複数取り付けられた一対の無端チェーンを備え、一対の無端チェーンは、槽の下部に互いに平行に離間配置された第1従動軸及び第2従動軸のスプロケットによって槽の底に沿うように張設されると共に、第1従動軸及び第2従動軸の上方に互いに平行に配置された第3従動軸及び駆動軸のスプロケットによって槽の水面に沿うように張設されている汚泥掻寄機であって、駆動軸及び第3従動軸の間において、無端チェーンの周回軌道外側には、無端チェーンの張設方向に沿って延在し、フライトと対向するように離間配置された第1のガイドレールが設けられており、第1のガイドレールは、駆動軸のスプロケットの外側まで延在していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、駆動軸及び第3従動軸の間において、無端チェーンの周回軌道外側には、フライトと対向する第1のガイドレールが延在しており、この第1のガイドレールが駆動軸のスプロケットの外側まで延在している。従って、駆動軸のスプロケット周りに位置するフライトの上方への移動が、駆動軸のスプロケットの外側まで延在した第1のガイドレールによって規制される。よって、スロッシングによるチェーンの脱落を効果的に防止することができる。
【0010】
ここで、第1従動軸及び第2従動軸の間において、無端チェーンの周回軌道外側には、無端チェーンの張設方向に沿って延在し、周回するフライトを下方から支持する池底レールが設けられ、フライトには、池底レールと接触する部分に第1のシューが取り付けられ、第1のガイドレールは、第1のシューと対向するように設けられていると、スロッシングによりフライトと第1のガイドレールとが接触する際、その衝撃を第1のシューにより緩衝できる。
【0011】
また、第1のガイドレールは、第3従動軸のスプロケットの外側まで延在していると、第3従動軸のスプロケット周りに位置するフライトの上方への移動が、第3従動軸のスプロケットの外側まで延在した第1のガイドレールによって規制される。よって、スロッシングによるチェーンの脱落をさらに効果的に防止することができる。
【0012】
また、駆動軸及び第3従動軸の間において、フライトの長手方向外側には、無端チェーンの張設方向に沿って延在し、フライトと対向するように離間配置された第2のガイドレールが設けられていると、フライトの長手方向外側への移動が第2のガイドレールによって規制され、スロッシングによるチェーンの脱落をより一層効果的に防止することができる。
【0013】
また、フライトには、第2のガイドレールと対向する側に第2のシューが設けられていると、スロッシングによりフライトと第2のガイドレールとが接触する際、その衝撃を第2のシューにより緩衝できる。
【0014】
また、第1従動軸は、無端チェーンの周回方向において第2従動軸の上流側に配置され、駆動軸は、無端チェーンの周回方向において第3従動軸の上流側に配置され、第2従動軸及び駆動軸の間において、無端チェーンの周回軌道外側には、無端チェーンの張設方向に沿って延在し、フライトと対向するように離間配置された第3のガイドレールが設けられていることが好ましい。また、第2従動軸及び駆動軸の間において、周回するフライトの内側には、無端チェーンの張設方向に沿って延在し、フライトと対向するように離間配置された第4のガイドレールが設けられていることが好ましい。こうすると、第2従動軸及び駆動軸の間という比較的駆動軸に近い位置において、フライトの周回軌道外側、周回軌道内側への移動がそれぞれ第3のガイドレール、第4のガイドレールによって規制され、スロッシングによるチェーンの脱落をより一層効果的に防止することができる。
【0015】
また、無端チェーンが槽の水面から槽の底に向かって周回する位置において、無端チェーンの周回軌道外側には、無端チェーンの張設方向に沿って延在し、フライトと対向するように離間配置された第5のガイドレールが設けられていると、無端チェーンが槽の水面から槽の底に向かって周回する位置において、フライトの周回軌道外側への移動が第5のガイドレールによって規制され、スロッシングによるチェーンの脱落をより一層効果的に防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、スロッシングによるチェーンの脱落を効果的に防止することができる汚泥掻寄機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る汚泥掻寄機を示す概略正面図である。
【図2】図1中のII-II矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の汚泥掻寄機の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の実施形態に係る汚泥掻寄機を示す概略正面図、図2は図1中のII-II矢視図である。なお、図2は、図1における奥側(図1において紙面奥側)を示している。図1に示すように、汚泥掻寄機100は、沈殿池等の槽の底に堆積した汚泥等の堆積物を掻き寄せるいわゆるチェーンフライト式の汚泥掻寄機であり、槽1に設けられている。
【0020】
汚泥掻寄機100は、槽1内を周回する一対のチェーン(無端チェーン)2,2を備えており、この一対のチェーン2,2は、槽1の幅方向(図1において紙面垂直方向)に離間し対向して設けられている。
【0021】
チェーン2には、槽1の底に堆積した汚泥等の堆積物を掻き寄せるためのフライト21が周回方向に沿って複数取り付けられており、チェーン2の周回に伴って槽1内を周回する。フライト21は、周回方向、すなわち掻寄方向に直行する方向に長尺に延在した板状を呈しており、その両端部がアタッチメント22によって各々チェーン2,2に連結されている(図2参照)。フライト21は、ここではFRP(Fiber Reinforced Plastic)等のプラスチックにより形成されている。
【0022】
図2に示すように、周回するフライト21の外側の端面であって、チェーン2との連結部分であるアタッチメント22より長手方向内側の部分には、第1シュー23がそれぞれ取り付けられている。また、フライト21の長手方向両側の端面には、第2シュー24がそれぞれ取り付けられている。さらに、周回するフライト21の内側の端面であって、チェーン2との連結部分であるアタッチメント22より長手方向外側の部分には、第3シュー25がそれぞれ取り付けられている。
【0023】
図1に戻り、槽1の下部一方側(図1において紙面右側)には、第1従動軸3が槽1の幅方向に延びるように設けられており、この第1従動軸3には、一対の第1スプロケット(第1従動軸のスプロケット)31,31が幅方向に離間して取り付けられている。また、槽1の下部他方側には、第2従動軸4が第1従動軸3に平行に設けられており、この第2従動軸4には、一対の第2スプロケット(第2従動軸のスプロケット)41,41が幅方向に離間して取り付けられている。そして、チェーン2は第1スプロケット31及び第2スプロケット41に掛け渡され、第1スプロケット31と第2スプロケット41との間の部分は槽1の底に沿うようにされている。
【0024】
槽1の上部略中央部には、第3従動軸5が槽1の幅方向に延びるように設けられており、この第3従動軸5には、一対の第3スプロケット(第3従動軸のスプロケット)51,51が幅方向に離間して取り付けられている。また、槽1の上部他方側、すなわち第2従動軸4の上方には、駆動軸6が第3従動軸5に平行に設けられており、この駆動軸6には、一対の駆動スプロケット(駆動軸のスプロケット)61,61が幅方向に離間して取り付けられている。そして、第1スプロケット31及び第2スプロケット41に掛け渡されたチェーン2はさらに第3スプロケット51及び駆動スプロケット61に掛け渡され、第3スプロケット51と駆動スプロケット61との間の部分は槽1内に形成されている水面下で当該水面に沿うようにされている。
【0025】
駆動軸6には、モータ7のトルクを当該駆動軸6に伝えるための不図示の軸回転用スプロケットが設けられており、この軸回転用スプロケットと槽1の壁面上部に設けられたモータ7のモータ用スプロケット71との間には、駆動チェーン8が掛け渡されている。
【0026】
駆動軸6と第3従動軸5との間には、周回するフライト21の内側(下方)に、チェーン2の張設方向に沿って一対のリターンレール9,9が対向し水平に延在している。このリターンレール9は、槽1の側壁から幅方向内側に延在したリターンレールサポート9aにより槽1に固定されている(図2参照)。そして、このリターンレール9は、槽1の水面に沿って周回するフライト21の第3シュー25を介して、チェーン2を下方から支持し水平方向に案内する(図2参照)。
【0027】
チェーン2の第3従動軸5と第1従動軸3との間は、第3従動軸5から第1従動軸3への途中までが傾斜しながら垂下し、それより第1従動軸3側の部分が水平方向に延びる、いわゆるカテナリーを構成している。そして、このカテナリーを移動するフライト21の内側で、第1スプロケット31の水平方向側方には、一対のカテナリーガイドレール10,10が対向し水平に延在している。このカテナリーガイドレール10は、リターンレール9と同様に、不図示のレールサポートにより槽1に固定されている。そして、このカテナリーガイドレール10は、チェーン2のカテナリーにおける水平部分において、フライト21の第3シュー25を介して、第3従動軸5からのチェーン2を支持し水平方向に案内する。
【0028】
第1従動軸3と第2従動軸4との間には、チェーン2の周回軌道外側(下方)に、チェーン2の張設方向に沿って一対の池底レール11,11が対向し水平に延在している。この池底レール11は、槽1の底に固定されている。そして、この池底レール11は、槽1の底に沿って周回するフライト21の第1シュー23を介して、チェーン2を支持し水平方向に案内する。
【0029】
駆動軸6と第3従動軸5との間には、チェーン2の周回軌道外側(上方)に、チェーン2の張設方向に沿って一対の第1ガイドレール12,12が対向し水平に延在している。この第1ガイドレール12は、槽1の側壁から幅方向内側に延在したガイドレールサポート12aにより槽1に固定されている(図2参照)。そして、この第1ガイドレール12は、駆動スプロケット61の外側(図1において左側方)まで延在していると共に、第3スプロケット51の外側(図1において右側方)まで延在している。
【0030】
第1ガイドレール12は、フライト21の第1シュー23と対向するように離間配置されており、通常時には第1シュー23と当接しないようになっている(図2参照)。第1ガイドレール12とフライト21とが離間する距離は、駆動スプロケット61周りに位置するフライト21を周回軌道外側(上方)に移動させて、このフライト21と第1ガイドレール12とを接触させた際に、フライト21に引っ張られたチェーン2が駆動スプロケット61から脱落しない程度の距離であり、ここでは30mm程度とされている。
【0031】
また、駆動軸6と第3従動軸5との間には、フライト21の長手方向外側に、チェーン2の張設方向に沿って一対の第2ガイドレール13,13が対向し水平方向に延在している。この第2ガイドレール13は、リターンレール9を固定するための上記リターンレールサポート9aにより、リターンレール9と共に槽1に固定されている(図2参照)。そして、この第2ガイドレール13は、フライト21の第2シュー24と対向するように離間配置されており、通常時には第2シュー24と当接しないようになっている(図2参照)。第2ガイドレール13とフライト21とが離間する距離は、フライト21を長手方向外側に移動させて、このフライト21と第2ガイドレール13とを接触させた際に、フライト21の第3シュー25がリターンレール9から脱線しない程度であり、ここでは30mm程度とされている。
【0032】
第2従動軸4と駆動軸6との間には、チェーン2の周回軌道外側に、チェーン2の張設方向に沿って一対の第3ガイドレール14,14が対向し鉛直に延在している。この第3ガイドレール14は、第1ガイドレール12と同様に、槽1の側壁から幅方向内側に延在した不図示のレールサポートにより槽1に固定されている。そして、この第3ガイドレール14は、駆動スプロケット61の外側(上方)まで延在していると共に、第2スプロケット41の外側(下方)まで延在している。
【0033】
第3ガイドレール14は、フライト21の第1シュー23と対向するように離間配置されており、通常時には第1シュー23と当接しないようになっている。第3ガイドレール14とフライト21とが離間する距離は、駆動スプロケット61周りに位置するフライト21を周回軌道外側に移動させて、このフライト21と第3ガイドレール14とを接触させた際に、フライト21に引っ張られたチェーン2が駆動スプロケット61から脱落しない程度であり、ここでは30mm程度とされている。
【0034】
また、第2従動軸4と駆動軸6との間には、周回するフライト21の内側に、チェーン2の張設方向に沿って一対の第4ガイドレール15,15が対向し鉛直に延在している。この第4ガイドレール15は、第1ガイドレール12と同様に、槽1の側壁から幅方向内側に延在した不図示のレールサポートにより槽1に固定されている。そして、この第4ガイドレール15は、フライト21の第3シュー25と対向するように離間配置されており、通常時には第3シュー25と当接しないようになっている。第4ガイドレール15とフライト21とが離間する距離は、ここでは30mm程度とされている。
【0035】
チェーン2の上記カテナリーにおける水平部分において、カテナリーガイドレール10の上方には、チェーン2の周回軌道外側に、チェーン2の張設方向(水平方向)に沿って一対の第5ガイドレール16,16が対向し水平に延在している。この第5ガイドレール16は、第1ガイドレール12と同様に、不図示のレールサポートにより槽1に固定されている。そして、この第5ガイドレール16は、フライト21の第1シュー23と対向するように離間配置されており、通常時には第1シュー23と当接しないようになっている。第5ガイドレール16とフライト21とが離間する距離は、第1スプロケット31周りに位置するフライト21を周回軌道外側に移動させて、このフライト21と第5ガイドレール16とを接触させた際に、フライト21に引っ張られたチェーン2が第1スプロケット31から脱落しない程度であり、ここでは30mm程度とされている。
【0036】
このような汚泥掻寄機100では、モータ7により駆動チェーン8を介して駆動軸6を紙面時計回りに回転させ、これにより、駆動スプロケット61,61を介して一対のチェーン2,2を駆動軸6、第3従動軸5、第1従動軸3、第2従動軸4により構成される周回軌道を周回させる。チェーン2の周回に伴い、フライト21を槽1の底及び水面に沿って周回させ、槽1の底に堆積した汚泥等の堆積物を掻き寄せて槽1の底に設けられた収集ピット1A(図1参照)に収集すると共に、水面に浮上したスカムを掻き寄せて第3スプロケット51近傍の収集樋(不図示)に収集する。
【0037】
ここで、汚泥掻寄機100では、地震が発生し、槽1の水面が揺れるスロッシングが発生すると、長尺の板状を呈したフライト21は水面の揺れをその全面で受けることとなるため、スロッシングによる力を受けて移動することとなる。また、地震発生時に所定以上の大きさの揺れが検知されると、汚泥掻寄機100が緊急停止される場合があり、これによりモータ7が停止するため、駆動チェーン8を介してモータ7に接続された駆動軸6は回転不能となる。そのため、地震発生時に、駆動スプロケット61周りに位置するフライト21にスロッシングによる力が作用し、フライト21と共にチェーン2が移動しようとすると、この移動に駆動軸6が回転不能のため追従できず、チェーン2が駆動スプロケット61から脱落し易い。
【0038】
これに対し、汚泥掻寄機100では、上述のように第1ガイドレール12が駆動スプロケット61の外側まで延在しているため、駆動スプロケット61周りに位置するフライト21に上向きの力が作用してフライト21が周回軌道外側へ移動しようとした場合に、このフライト21の周回軌道外側への移動が第1ガイドレール12によって規制される。このため、スロッシングによりフライト21が周回軌道外側へ移動しようとした場合でも、チェーン2の脱落を効果的に防止することができる。
【0039】
また、汚泥掻寄機100では、フライト21には第1シュー23が取り付けられ、第1ガイドレール12は第1シュー23と対向するように設けられているため、スロッシングによりフライト21が周回軌道外側に移動し、フライト21と第1ガイドレール12とが接触する際、その衝撃を第1シュー23により緩衝できる。ここで、第1シュー23は、池底レール11が設けられている汚泥掻寄機であれば、フライト21の池底レール11と接触する部分に従来から設けられているため、新たなシューをフライト21に別途設ける必要がない。
【0040】
また、汚泥掻寄機100では、第1ガイドレール12は、第3スプロケット51の外側まで延在しているため、第3スプロケット51周りに位置するフライト21にスロッシングによる上向きの力が作用し、フライト21と共にチェーン2が周回軌道外側へ移動しようとすると、フライト21の周回軌道外側への移動が第3スプロケット51の外側まで延在した第1ガイドレール12によって規制される。よって、スロッシングによるチェーン2の脱落をさらに効果的に防止することができる。
【0041】
また、汚泥掻寄機100では、駆動軸6及び第3従動軸5の間において、フライト21の長手方向外側には、チェーン2の張設方向に沿って延在し、フライト21と対向するように離間配置された第2ガイドレール13が設けられているため、駆動スプロケット61及び第3スプロケット51の間に位置するフライト21にスロッシングによる長手方向の力が作用し、フライト21が長手方向外側に移動しようとすると、フライト21の長手方向外側への移動が第2ガイドレール13によって規制されてフライト21がリターンレール9から脱線することが防止されるため、スロッシングによるチェーン2の脱落をより一層効果的に防止することができる。
【0042】
また、汚泥掻寄機100では、フライト21には、第2ガイドレール13と対向する側に第2シュー24が設けられているため、スロッシングによりフライト21に長手方向の力が作用してフライト21が長手方向に移動し、フライト21と第2ガイドレール13とが接触する際、その衝撃を第2シュー24により緩衝できる。
【0043】
また、汚泥掻寄機100では、第2従動軸4及び駆動軸6の間において、チェーン2の周回軌道外側には、チェーン2の張設方向に沿って延在し、フライト21と対向するように離間配置された第3ガイドレール14が設けられ、また、第2従動軸4及び駆動軸6の間において、周回するフライト21の内側には、チェーン2の張設方向に沿って延在し、フライト21と対向するように離間配置された第4ガイドレール15が設けられているため、第2従動軸4及び駆動軸6の間という比較的駆動軸6に近い位置において、フライト21の周回軌道外側、周回軌道内側への移動がそれぞれ第3ガイドレール14、第4ガイドレール15によって規制され、スロッシングによるチェーン2の脱落をより一層効果的に防止することができる。
【0044】
特に、第3ガイドレール14は、駆動スプロケット61の外側まで延在しているため、駆動スプロケット61周りに位置するフライト21にスロッシングによる水平方向の力が作用し、フライト21と共にチェーン2が周回軌道外側へ移動しようとすると、フライト21の周回軌道外側への移動が駆動スプロケット61の外側まで延在した第3ガイドレール14によって規制される。よって、スロッシングによるチェーン2の脱落をさらに効果的に防止することができる。
【0045】
また、汚泥掻寄機100では、チェーン2のカテナリーにおける水平部分において、チェーン2の周回軌道外側には、チェーン2の張設方向に沿って延在し、フライト21と対向するように離間配置された第5ガイドレール16が設けられているため、チェーン2のカテナリーにおける水平部分において、フライト21の周回軌道外側への移動が第5ガイドレール16によって規制され、スロッシングによるチェーン2の脱落をより一層効果的に防止することができる。
【0046】
また、汚泥掻寄機100では、上述のようにフライト21は比較的軽量なプラスチックにより形成されており、スロッシングにより移動し易いため、スロッシングによるチェーン2の脱落を防止するという上記効果を特に発揮できる。
【0047】
以上、本発明の汚泥掻寄機に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、フライト21はプラスチックにより形成されているが、金属により形成されていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、駆動軸6はチェーン2の周回方向において第3従動軸5の上流側に配置されているが、駆動軸6と第3従動軸5との位置が入れ替わっていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…槽、2…チェーン(無端チェーン)、3…第1従動軸、4…第2従動軸、5…第3従動軸、6…駆動軸、11…池底レール、12…第1ガイドレール、13…第2ガイドレール、14…第3ガイドレール、15…第4ガイドレール、16…第5ガイドレール、31…第1スプロケット(第1従動軸のスプロケット)、41…第2スプロケット(第2従動軸のスプロケット)、51…第3スプロケット(第3従動軸のスプロケット)、61…駆動スプロケット(駆動軸のスプロケット)、100…汚泥掻寄機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽の底に堆積した堆積物を掻き寄せるべく掻寄方向に直行する方向に長尺に延びたフライトが周回方向に沿い複数取り付けられた一対の無端チェーンを備え、前記一対の無端チェーンは、前記槽の下部に互いに平行に離間配置された第1従動軸及び第2従動軸のスプロケットによって前記槽の底に沿うように張設されると共に、前記第1従動軸及び前記第2従動軸の上方に互いに平行に離間配置された第3従動軸及び駆動軸のスプロケットによって前記槽の水面に沿うように張設されている汚泥掻寄機であって、
前記駆動軸及び前記第3従動軸の間において、前記無端チェーンの周回軌道外側には、前記無端チェーンの張設方向に沿って延在し、前記フライトと対向するように離間配置された第1のガイドレールが設けられており、
前記第1のガイドレールは、前記駆動軸のスプロケットの外側まで延在していること、
を特徴とする汚泥掻寄機。
【請求項2】
前記第1従動軸及び前記第2従動軸の間において、前記無端チェーンの周回軌道外側には、前記無端チェーンの張設方向に沿って延在し、周回する前記フライトを下方から支持する池底レールが設けられ、
前記フライトには、前記池底レールと接触する部分に第1のシューが取り付けられ、
前記第1のガイドレールは、前記第1のシューと対向するように設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の汚泥掻寄機。
【請求項3】
前記第1のガイドレールは、前記第3従動軸のスプロケットの外側まで延在していること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の汚泥掻寄機。
【請求項4】
前記駆動軸及び前記第3従動軸の間において、前記フライトの長手方向外側には、前記無端チェーンの張設方向に沿って延在し、前記フライトと対向するように離間配置された第2のガイドレールが設けられていること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚泥掻寄機。
【請求項5】
前記フライトには、前記第2のガイドレールと対向する側に第2のシューが設けられていること、
を特徴とする請求項4に記載の汚泥掻寄機。
【請求項6】
前記第1従動軸は、前記無端チェーンの周回方向において前記第2従動軸の上流側に配置され、
前記駆動軸は、前記無端チェーンの周回方向において前記第3従動軸の上流側に配置され、
前記第2従動軸及び前記駆動軸の間において、前記無端チェーンの周回軌道外側には、前記無端チェーンの張設方向に沿って延在し、前記フライトと対向するように離間配置された第3のガイドレールが設けられていること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚泥掻寄機。
【請求項7】
前記第1従動軸は、前記無端チェーンの周回方向において前記第2従動軸の上流側に配置され、
前記駆動軸は、前記無端チェーンの周回方向において前記第3従動軸の上流側に配置され、
前記第2従動軸及び前記駆動軸の間において、周回する前記フライトの内側には、前記無端チェーンの張設方向に沿って延在し、前記フライトに対して離間配置された第4のガイドレールが設けられていること、
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の汚泥掻寄機。
【請求項8】
前記無端チェーンが前記槽の水面から前記槽の底に向かって周回する位置において、前記無端チェーンの周回軌道外側には、前記無端チェーンの張設方向に沿って延在し、前記フライトと対向するように離間配置された第5のガイドレールが設けられていること、
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の汚泥掻寄機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−10085(P2013−10085A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145481(P2011−145481)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(507036050)住友重機械エンバイロメント株式会社 (88)