油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法
【課題】本発明の課題は、オペレータへの作業負担を軽減することができる油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法を提供することにある。
【解決手段】油圧ショベルの位置誘導システムにおいて、演算部は、接近離れ判定距離(D1)を算出する。接近離れ判定距離(D1)は、目標作業対象(70)と作業機(2)のリーチ範囲との間の距離を示す。演算部は、接近離れ判定距離(D1)が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を表示部に表示させる。また、接近離れ判定距離(D1)が所定の閾値より大きいときには詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を表示部に表示させる。
【解決手段】油圧ショベルの位置誘導システムにおいて、演算部は、接近離れ判定距離(D1)を算出する。接近離れ判定距離(D1)は、目標作業対象(70)と作業機(2)のリーチ範囲との間の距離を示す。演算部は、接近離れ判定距離(D1)が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を表示部に表示させる。また、接近離れ判定距離(D1)が所定の閾値より大きいときには詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を表示部に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業車両を、目標作業対象まで誘導する位置誘導システムが知られている。例えば、特許文献1に開示されている位置誘導システムは、3次元の設計地形を示す設計データを有している。また、GPSなどの位置計測手段によって、油圧ショベルの現在位置が検出される。位置誘導システムは、油圧ショベルの現在位置を示す案内画面を表示部に表示することによって、油圧ショベルを目標作業対象まで誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−195829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧ショベルのオペレータにとって必要な案内画面は、油圧ショベルの状況によって異なる。例えば、油圧ショベルが目標作業対象から遠く離れた位置にいる場合には、広域モードの案内画面が好ましい。これにより、オペレータは、現在位置から目標作業対象までの移動経路を容易に確認することができる。また、油圧ショベルが目標作業対象に近接した位置にいる場合には、詳細モードの案内画面が好ましい。詳細モードの案内画面では、例えば、広域モードよりも縮尺の大きい設計地形など、より詳細な情報が表示される。これにより、オペレータは、作業を行うために最適な作業位置に油圧ショベルを精度よく移動させることができる。
【0005】
しかし、上述したような従来の位置誘導システムでは、案内画面の切換は、オペレータによって手動で行われている。すなわち、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるために、オペレータ自身が、必要な案内画面を選択する必要がある。このため、オペレータへの作業負担が大きい。
【0006】
本発明の課題は、オペレータへの作業負担を軽減することができる油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、車両本体と、車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムである。位置誘導システムは、記憶部と、位置検出部と、表示部と、演算部とを備える。記憶部は、目標作業対象の位置を示す地形データと作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する。位置検出部は、車両本体の現在位置を検出する。表示部は、油圧ショベルを目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する。演算部は、地形データと車両本体の現在位置と作業機データとに基づいて、接近離れ判定距離を算出する。接近離れ判定距離は、目標作業対象と作業機のリーチ範囲との間の距離を示す。演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を表示部に表示させる。また、演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を表示部に表示させる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機の最大リーチ長さを示すデータである。演算部は、地形データと車両本体の現在位置とから目標作業対象と車両本体との間の距離を算出する。そして、演算部は、目標作業対象と車両本体との間の距離から作業機の最大リーチ長さを引いた値を、接近離れ判定距離として算出する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機が実際に届くことができる車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータである。演算部は、地形データと車両本体の現在位置とから目標作業対象と車両本体との間の距離を算出する。そして、演算部は、目標作業対象と車両本体との間の距離から、目標作業対象と車両本体とを結ぶ経路上における作業可能範囲の長さを引いた値を、接近離れ判定距離として算出する。
【0010】
本発明の第4の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機の最大リーチ長さを示すデータである。演算部は、車両本体における作業機の取付位置を中心に最大リーチ長さを半径とする仮想円と目標作業対象との間の最短距離を、接近離れ判定距離として算出する。
【0011】
本発明の第5の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機が実際に届くことができる車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータである。演算部は、作業可能範囲と目標作業対象との間の最短距離を、接近離れ判定距離として算出する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第5の態様のいずれかの位置誘導システムであって、目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面である。接近離れ判定距離の算出には、目標作業対象の位置として目標面上の最近接点が選択される。
【0013】
本発明の第7の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第5の態様のいずれかの位置誘導システムであって、目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面である。接近離れ判定距離の算出には、目標作業対象の位置として目標面の外周辺上の最近接点が選択される。
【0014】
本発明の第8の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第7の態様のいずれかの位置誘導システムであって、広域モードの案内画面は、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図を表示する。詳細モードの案内画面は、目標作業対象と油圧ショベルと作業機の作業可能範囲とを示す側面図と、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図とを表示する。
【0015】
本発明の第9の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第8の態様のいずれかの位置誘導システムであって、演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいと判定すると、接近判定閾値を所定の閾値として設定する。また、演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値以下であると判定すると、接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値を所定の閾値として設定する。
【0016】
本発明の第10の態様に係る油圧ショベルは、請求項1から9のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システムを備える。
【0017】
本発明の第11の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムの制御方法は、車両本体と車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムの制御方法である。位置誘導システムは、記憶部と、位置検出部と、表示部とを備える。記憶部は、目標作業対象の位置を示す地形データと作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する。位置検出部は、車両本体の現在位置を検出する。表示部は、油圧ショベルを目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する。位置誘導システムの制御方法は、次のステップを備える。ステップ1は、車両本体の現在位置を検出する。ステップ2は、地形データと車両本体の現在位置と作業機データとに基づいて、接近離れ判定距離を算出する。接近離れ判定距離は、目標作業対象と作業機のリーチ範囲との間の距離を示す。ステップ3は、接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を表示部に表示させる。ステップ4は、接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、接近離れ判定距離に応じて、案内画面が広域モードと詳細モードとの間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担が軽減される。また、接近離れ判定距離は、作業機のリーチ範囲が考慮された距離である。このため、目標作業対象に対して近づきすぎる前に、案内画面が詳細モードに切り換えられる。これにより、オペレータは、油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【0019】
本発明の第2の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業機のリーチ範囲を示す作業機データとして、最大リーチ長さが用いられる。これにより、接近離れ判定距離を簡易に算出することができる。
【0020】
本発明の第3の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業機のリーチ範囲を示す作業機データとして、作業機が実際に届くことができる車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータが用いられる。このため、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0021】
本発明の第4の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業機の最大リーチ長さを半径とした仮想円と目標作業対象との間の最短距離が、接近離れ判定距離として算出される。これにより、接近離れ判定距離を簡易に算出することができる。
【0022】
本発明の第5の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業可能範囲と目標作業対象との間の最短距離が接近離れ判定距離として算出される。このため、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0023】
本発明の第6の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、目標面上の最近接点と作業機のリーチ範囲との間の距離が接近離れ判定距離として算出される。このため、目標面上の任意の位置から掘削等の作業を行う場合に、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0024】
本発明の第7の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、目標面の外周辺上の最近接点と作業機のリーチ範囲との間の距離が接近離れ判定距離として算出される。このため、目標面の外周辺上の位置から掘削等の作業を行う場合に、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0025】
本発明の第8の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、広域モードの案内画面は、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図を表示する。このため、オペレータは、広域走行モードの案内画面によって、油圧ショベルを目標作業対象の近くまで容易に移動させることができる。また、詳細モードの案内画面は、目標作業対象と油圧ショベルと作業機の作業可能範囲とを示す側面図と、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図とを表示する。このため、オペレータは、詳細走行モードの案内画面により、油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【0026】
本発明の第9の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、油圧ショベルの位置が目標作業対象から離れているときには、接近判定閾値が所定の閾値として用いられる。また、油圧ショベルの位置が目標作業対象に近接しているときには、接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値が所定の閾値として用いられる。このため、油圧ショベルの僅かな距離の移動によって、案内画面の切換が頻繁に繰り返されることが抑えられる。
【0027】
本発明の第10の態様に係る油圧ショベルでは、接近離れ判定距離に応じて、案内画面が広域モードと詳細モードとの間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担が軽減される。また、接近離れ判定距離は、作業機のリーチ範囲が考慮された距離である。このため、目標作業対象に対して近づきすぎる前に、案内画面が詳細モードに切り換えられる。これにより、オペレータは、適切な作業位置への油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の第11の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムの制御方法では、接近離れ判定距離に応じて、案内画面が広域モードと詳細モードとの間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担が軽減される。また、接近離れ判定距離は、作業機のリーチ範囲が考慮された距離である。このため、目標作業対象に対して近づきすぎる前に、案内画面が詳細モードに切り換えられる。これにより、オペレータは、油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】油圧ショベルの斜視図。
【図2】油圧ショベルの構成を模式的に示す図。
【図3】油圧ショベルが備える制御系の構成を示すブロック図。
【図4】設計地形データによって示される設計地形を示す図。
【図5】複数の案内画面の切換方法を示す図。
【図6】広域走行モードの案内画面を示す図。
【図7】第1画面切換キーによるポップアップ表示を示す図。
【図8】詳細走行モードの案内画面を示す図。
【図9】バケットの先端の現在位置を求める方法を示す図。
【図10】粗掘削モードの案内画面を示す図。
【図11】繊細掘削モードの案内画面を示す図。
【図12】広域走行モードと詳細走行モードとの間での案内画面の切換制御のフロー。
【図13】接近離れ判定距離の算出方法を示す図。
【図14】掘削モードから走行モードへの案内画面の切換制御のフロー。
【図15】他の実施形態において車両本体と目標面との最短距離を算出する方法を示す図。
【図16】接近離れ判定距離の算出方法の変形例1を示す図。
【図17】接近離れ判定距離の算出方法の変形例2を示す図。
【図18】接近離れ判定距離の算出方法の変形例3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.構成
1−1.油圧ショベルの全体構成
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの位置誘導システムについて説明する。図1は、位置誘導システムが搭載される油圧ショベル100の斜視図である。油圧ショベル100は、車両本体1と作業機2とを有する。車両本体1は、上部旋回体3と運転室4と走行装置5とを有する。上部旋回体3は、図示しないエンジンや油圧ポンプなどの装置を収容している。運転室4は上部旋回体3の前部に載置されている。運転室4内には、後述する表示入力装置38及び操作装置25が配置される(図3参照)。走行装置5は履帯5a,5bを有しており、履帯5a,5bが回転することにより油圧ショベル100が走行する。
【0031】
作業機2は、車両本体1の前部に取り付けられており、ブーム6とアーム7とバケット8とブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とを有する。ブーム6の基端部は、ブームピン13を介して車両本体1の前部に揺動可能に取り付けられている。アーム7の基端部は、アームピン14を介してブーム6の先端部に揺動可能に取り付けられている。アーム7の先端部には、バケットピン15を介してバケット8が揺動可能に取り付けられている。
【0032】
図2は、油圧ショベル100の構成を模式的に示す図である。図2(a)は油圧ショベル100の側面図であり、図2(b)は油圧ショベル100の背面図である。図2(a)に示すように、ブーム6の長さ、すなわち、ブームピン13からアームピン14までの長さは、L1である。アーム7の長さ、すなわち、アームピン14からバケットピン15までの長さは、L2である。バケット8の長さ、すなわち、バケットピン15からバケット8のツースの先端までの長さは、L3である。
【0033】
図1に示すブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とは、それぞれ油圧によって駆動される油圧シリンダである。ブームシリンダ10はブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12などの油圧シリンダと図示しない油圧ポンプとの間には、比例制御弁37が配置されている(図3参照)。比例制御弁37が後述する作業機コントローラ26によって制御されることにより、油圧シリンダ10−12に供給される作動油の流量が制御される。これにより、油圧シリンダ10−12の動作が制御される。
【0034】
図2(a)に示すように、ブーム6とアーム7とバケット8には、それぞれ第1〜第3ストロークセンサ16−18が設けられている。第1ストロークセンサ16は、ブームシリンダ10のストローク長さを検出する。後述する位置誘導コントローラ39(図3参照)は、第1ストロークセンサ16が検出したブームシリンダ10のストローク長さから、後述する車両本体座標系のZa軸(図9参照)に対するブーム6の傾斜角θ1を算出する。第2ストロークセンサ17は、アームシリンダ11のストローク長さを検出する。位置誘導コントローラ39は、第2ストロークセンサ17が検出したアームシリンダ11のストローク長さから、ブーム6に対するアーム7の傾斜角θ2を算出する。第3ストロークセンサ18は、バケットシリンダ12のストローク長さを検出する。位置誘導コントローラ39は、第3ストロークセンサ18が検出したバケットシリンダ12のストローク長さから、アーム7に対するバケット8の傾斜角θ3を算出する。
【0035】
車両本体1には、位置検出部19が備えられている。位置検出部19は、油圧ショベル100の現在位置を検出する。位置検出部19は、RTK−GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite Systems、GNSSは全地球航法衛星システムをいう。)用の2つのアンテナ21,22(以下、「GNSSアンテナ21,22」と呼ぶ)と、3次元位置センサ23と、傾斜角センサ24とを有する。GNSSアンテナ21,22は、後述する車両本体座標系Xa−Ya−ZaのYa軸(図9参照)に沿って一定距離だけ離間して配置されている。GNSSアンテナ21,22で受信されたGNSS電波に応じた信号は3次元位置センサ23に入力される。3次元位置センサ23は、GNSSアンテナ21,22の設置位置P1,P2の位置を検出する。図2(b)に示すように、傾斜角センサ24は、重力方向(鉛直線)に対する車両本体1の車幅方向の傾斜角θ4(以下、「ロール角θ4」と呼ぶ)を検出する。
【0036】
図3は、油圧ショベル100が備える制御系の構成を示すブロック図である。油圧ショベル100は、操作装置25と、作業機コントローラ26と、作業機制御装置27と、位置誘導システム28を備える。操作装置25は、作業機操作部材31と、作業機操作検出部32と、走行操作部材33と、走行操作検出部34とを有する。作業機操作部材31は、オペレータが作業機2を操作するための部材であり、例えば操作レバーである。作業機操作検出部32は、作業機操作部材31の操作内容を検出して、検出信号として作業機コントローラ26へ送る。走行操作部材33は、オペレータが油圧ショベル100の走行を操作するための部材であり、例えば操作レバーである。走行操作検出部34は、走行操作部材33の操作内容を検出して、検出信号として作業機コントローラ26へ送る。
【0037】
作業機コントローラ26は、RAMやROMなどの記憶部35や、CPUなどの演算部36を有している。作業機コントローラ26は、主として作業機2の制御を行う。作業機コントローラ26は、作業機操作部材31の操作に応じて作業機2を動作させるための制御信号を生成して、作業機制御装置27に出力する。作業機制御装置27は比例制御弁37を有しており、作業機コントローラ26からの制御信号に基づいて比例制御弁37が制御される。作業機コントローラ26からの制御信号に応じた流量の作動油が比例制御弁37から流出され、油圧シリンダ10−12に供給される。油圧シリンダ10−12は、比例制御弁37から供給された作動油に応じて駆動される。これにより、作業機2が動作する。
【0038】
1−2.位置誘導システム28の構成
位置誘導システム28は、作業エリア内の目標作業対象まで油圧ショベル100を誘導するためのシステムである。位置誘導システム28は、上述した第1〜第3ストロークセンサ16−18、3次元位置センサ23、傾斜角センサ24のほかに、表示入力装置38と、位置誘導コントローラ39とを有している。
【0039】
表示入力装置38は、タッチパネル式の入力部41と、LCDなどの表示部42とを有する。表示入力装置38は、作業エリア内の目標作業対象まで油圧ショベル100を誘導するための案内画面を表示する。また、案内画面には、各種のキーが表示される。オペレータは、案内画面上の各種のキーに触れることにより、位置誘導システム28の各種の機能を実行させることができる。案内画面については後に詳細に説明する。
【0040】
位置誘導コントローラ39は、位置誘導システム28の各種の機能を実行する。位置誘導コントローラ39は、RAMやROMなどの記憶部43や、CPUなどの演算部44を有している。記憶部43は、作業機データを記憶している。作業機データは、上述したブーム6の長さL1、アーム7の長さL2、バケット8の長さL3を含む。また、作業機データは、ブーム6の傾斜角θ1、アーム7の傾斜角θ2、バケット8の傾斜角θ3のそれぞれの最小値及び最大値を含む。位置誘導コントローラ39と作業機コントローラ26とは、無線あるいは有線の通信手段により互いに通信可能となっている。位置誘導コントローラ39の記憶部43には、作業エリア内の3次元の設計地形の形状及び位置を示す設計地形データが予め作成されて記憶されている。位置誘導コントローラ39は、設計地形データや上述した各種のセンサからの検出結果などのデータに基づいて、案内画面を表示入力装置38に表示させる。具体的には、図4に示すように、設計地形は、三角形ポリゴンによってそれぞれ表現される複数の設計面45によって構成されている。なお、図4では複数の設計面のうちの1つのみに符号45が付されており、他の設計面の符号は省略されている。目標作業対象は、これらの設計面45のうちの1つ、或いは、複数の設計面である。オペレータは、これらの設計面45のうちの1つ、或いは、複数の設計面を目標面70として選択する。位置誘導コントローラ39は、油圧ショベル100を目標面70まで誘導するための案内画面を表示入力装置38に表示させる。
【0041】
2.案内画面
以下、案内画面について詳細に説明する。図5は、複数の案内画面の切換方法を示す図である。案内画面には、走行モードの案内画面51,52と、掘削モードの案内画面53,54とがある。走行モードの案内画面51,52は、油圧ショベル100を走行させて目標面70の近くまで誘導するための画面であり、作業エリアでの油圧ショベル100の現在位置を示す。掘削モードの案内画面53,54は、掘削作業の対象である地面が目標面70と同じ形状になるように油圧ショベル100の作業機2を誘導するための画面である。掘削モードの案内画面53,54は、目標面70と作業機2との位置関係を、走行モードの案内画面51,52よりも詳細に示す。走行モードの案内画面51,52は、広域走行モードの案内画面51(以下、「広域走行画面51」と呼ぶ)と詳細走行モードの案内画面52(以下、「詳細走行画面52」と呼ぶ)とを有する。また、掘削モードの案内画面53,54は、粗掘削モードの案内画面53(以下、「粗掘削画面53」と呼ぶ)と、繊細掘削モードの案内画面54(以下、「繊細掘削画面54」と呼ぶ)とを有する。
【0042】
2−1.広域走行画面51
図6に広域走行画面51を示す。広域走行画面51は、作業エリアの設計地形と油圧ショベル100の現在位置とを示す上面図51aを含む。上面図51aは、複数の三角形ポリゴンによって上面視による設計地形を表現している。上面図51aは、グローバル座標系の水平面を投影面として設計地形を表現している。また、目標作業対象として選択された目標面70は、他の設計面と異なる色で表示される。なお、図6では、油圧ショベル100の現在位置が上面視による油圧ショベルのアイコン61で示されているが、他のシンボルによって示されてもよい。
【0043】
広域走行画面51には、複数の操作キーが表示される。操作キーは、例えば、スクロールキー62、拡大キー63、縮小キー64、第1画面切換キー65、第2画面切換キー66などを有する。スクロールキー62は、設計地形を示す上面図51aをスクロールさせるための操作キーである。拡大キー63は、設計地形を示す上面図51aの縮尺を大きくするためのキーである。縮小キー64は、設計地形を示す上面図51aの縮尺を小さくするためのキーである。
【0044】
第1画面切換キー65は、走行モードの案内画面51,52と掘削モードの案内画面53,54との間の切換を手動で実行させるためのキーである。第1画面切換キー65が一度押されると、図7に示すように、走行モード選択キー67と、粗掘削モード選択キー68と、繊細掘削モード選択キー69とがポップアップ表示される。ここで、走行モード選択キー67が押されると、図5に示すように走行モードの案内画面51,52が選択される。粗掘削モード選択キー68が押されると、粗掘削画面53が選択される。繊細掘削モード選択キー69が押されると、繊細掘削画面54が選択される。なお、ポップアップ表示状態ではない通常の表示状態では、走行モード選択キー67と、粗掘削モード選択キー68と、繊細掘削モード選択キー69とのうち、現在表示されている案内画面に対応する選択キーのアイコンが第1画面切換キー65として案内画面上に表示される。例えば、図6では、広域走行画面51が表示されているため、走行モード選択キー67のアイコンが第1画面切換キー65として表示されている。また、図5に示すように、第2画面切換キー66は、広域走行画面51と詳細走行画面52との間の切換を手動で実行させるためのキーである。
【0045】
また、図6に示すように、広域走行画面51には、油圧ショベル100を目標面70まで誘導するための情報が表示される。具体的には、方位インジケータ71が表示される。方位インジケータ71は、油圧ショベル100に対する目標面70の方向を示すアイコンである。従って、オペレータは、広域走行画面51によって、油圧ショベル100を目標面70の近くまで容易に移動させることができる。また、広域走行画面51は後述する詳細走行画面52よりも広範囲の設計地形を示す。このため、広域走行画面51は、作業地までの移動、或いは、作業の見通しのために使用される。
【0046】
2−2.詳細走行画面52
図8に詳細走行画面52を示す。詳細走行画面52には、広域走行画面51と同様の複数の操作キーが表示される。また、詳細走行画面52は、作業エリアの設計地形と油圧ショベル100の現在位置とを示す上面図52aと、目標面70と油圧ショベル100と作業機2の作業可能範囲76とを示す側面図52bとを含む。
【0047】
詳細走行モードの上面図52aは、上述した広域走行モードの上面図51aと概ね同様である。ただし、詳細走行モードの上面図52aは、目標作業位置を示す情報と、油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報をさらに含んでいる。目標作業位置は、油圧ショベル100が目標面70に対して掘削を行うために最適な位置であり、目標面70の位置と後述する作業可能範囲76とから算出される。目標作業位置は、上面図52aにおいて直線72で示されている。油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報は、正対コンパス73として表示される。正対コンパス73は、目標面70に対する正対方向と油圧ショベル100を旋回させるべき方向とを示すアイコンである。オペレータは、正対コンパス73により、目標面70への正対度を確認することができる。
【0048】
詳細走行モードの側面図52bは、設計面線74と、目標面線79と、側面視による油圧ショベル100のアイコン75と、作業機2の作業可能範囲76と、目標作業位置を示す情報を含む。設計面線74は、目標面70以外の設計面45の断面を示す。目標面線79は目標面70の断面を示す。設計面線74と目標面線79とは、図4に示すように、バケット8の先端P3の現在位置を通る平面77と設計地形との交線80を算出することにより求められる。目標面線79は、設計面線74と異なる色で表示される。なお、図8では線種を変えて、目標面線79と設計面線74とを表現している。作業可能範囲76は、作業機2が実際に届くことができる車両本体1の周囲の範囲を示す。作業可能範囲76は、記憶部43に記憶されている作業機データから算出される。また、後述する作業機2の最大リーチ長さを示すデータも作業機データから算出される。最大リーチ長さは、作業機2を最大限まで延ばしたときの作業機2の長さ、すなわち、作業機2を最大限まで延ばしたときのブームピン13とバケット8の先端との間の長さである。側面図52bに示される目標作業位置は、上述した上面図52aに示される目標作業位置に相当し、三角形のアイコン81で示される。また、油圧ショベル100の基準位置も三角形のアイコン82によって示される。オペレータは、基準位置のアイコン82が目標作業位置のアイコン81と合致するように油圧ショベル100を移動させる。
【0049】
以上のように、詳細走行画面52は、目標作業位置を示す情報と油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報とを含む。このため、オペレータは、詳細走行画面52により、目標面70に対して、作業を行うために最適な位置及び方向に油圧ショベル100を配置することができる。従って、詳細走行画面52は、油圧ショベル100の位置決めをするために使用される。
【0050】
なお、上述したように、目標面線79はバケット8の先端の現在位置から算出される。表示コントローラ39は、3次元位置センサ23、第1〜第3ストロークセンサ16−18、傾斜角センサ24などからの検出結果に基づき、グローバル座標系{X,Y,Z}でのバケット8の先端の現在位置を算出する。具体的には、バケット8の先端の現在位置は、次のようにして求められる。
【0051】
まず、図9に示すように、上述したGNSSアンテナ21の設置位置P1を原点とする車両本体座標系{Xa,Ya,Za}を求める。図9(a)は油圧ショベル100の側面図である。図9(b)は油圧ショベル100の背面図である。ここでは、油圧ショベル100の前後方向すなわち車両本体座標系のYa軸方向がグローバル座標系のY軸方向に対して傾斜しているものとする。また、車両本体座標系でのブームピン13の座標は(0,Lb1,−Lb2)であり、予め表示コントローラ39の記憶部43に記憶されている。
【0052】
3次元位置センサ23はGNSSアンテナ21,22の設置位置P1,P2を検出する。検出された座標位置P1、P2から以下の(1)式よってYa軸方向の単位ベクトルが算出される。
Ya=(P1−P2)/|P1−P2|・・・(1)
図9(a)に示すように、YaとZの2つのベクトルで表される平面を通り、Yaと垂直なベクトルZ’を導入すると、以下の関係が成り立つ。
(Z’,Ya)=0・・・(2)
Z’=(1−c)Z+cYa・・・(3)
cは定数である。
(2)式および(3)式より、Z’は以下の(4)式のように表される。
Z’=Z+{(Z,Ya)/((Z,Ya)−1)}(Ya−Z)・・・(4)
さらに、YaおよびZ’と垂直なベクトルをX’とすると、X’は以下の(5)式のようのように表される。
X’=Ya⊥Z’・・・(5)
図9(b)に示すように、車両本体座標系は、これをYa軸周りに上述したロール角θ4だけ回転させたものであるから、以下の(6)式のように示される。
・・・(6)
【0053】
また、第1〜第3ストロークセンサ16−18の検出結果から、上述したブーム6、アーム7、バケット8の現在の傾斜角θ1、θ2、θ3が算出される。車両本体座標系内でのバケット8の先端P3の座標(xat、yat、zat)は、傾斜角θ1、θ2、θ3およびブーム6、アーム7、バケット8の長さL1、L2、L3を用いて、以下の(7)〜(9)式により算出される。
xat=0・・・(7)
yat=Lb1+L1sinθ1+L2sin(θ1+θ2)+L3sin(θ1+θ2+θ3)・・・(8)
zat=−Lb2+L1cosθ1+L2cos(θ1+θ2)+L3cos(θ1+θ2+θ3)・・・(9)
なお、バケット8の先端P3は、車両本体座標系のYa−Za平面上で移動するものとする。
そして、グローバル座標系でのバケット8の先端P3の座標が以下の(10)式から求められる。
P3=xat・Xa+yat・Ya+zat・Za+P1・・・(10)
図4に示すように、位置誘導コントローラ39は、上記のように算出したバケット8の先端の現在位置と、記憶部43に記憶された設計地形データとに基づいて、3次元設計地形とバケット8の先端P3を通るYa−Za平面77との交線80を算出する。そして、位置誘導コントローラ39は、この交線のうち目標面70を通る部分を上述した目標面線79として案内画面に表示する。
【0054】
2−3.粗掘削画面53
図10に粗掘削画面53を示す。粗掘削画面53には、上述した走行モードの案内画面51,52と同様の第1画面切換キー65が表示される。なお、図10では、粗掘削画面53が表示されているため、粗掘削モード選択キー68のアイコンが第1画面切換キー65として表示されている。また、粗掘削画面53は、作業エリアの設計地形と油圧ショベル100の現在位置とを示す上面図53aと、目標面70と油圧ショベル100とを示す側面図53bとを含む。
【0055】
粗掘削画面53の上面図53aは、上述した詳細走行画面52の上面図52aと異なり、油圧ショベル100の旋回平面を投影面として設計地形を表現している。従って、上面図53aは、油圧ショベル100の真上から見た図であり、油圧ショベル100が傾いたときには設計面が傾くことになる。粗掘削画面53の側面図53bは、設計面線74と、目標面線79と、側面視による油圧ショベル100のアイコン75と、バケット8と目標面70との位置関係を示す情報を含む。バケット8と目標面70との位置関係を示す情報は、数値情報83とグラフィック情報84とを含む。数値情報83は、バケット8の先端と目標面線79との最短距離を示す数値である。グラフィック情報84は、バケット8の先端と目標面線79との最短距離をグラフィックで示した情報である。具体的には、グラフィック情報84は、インデックスバー84aと、インデックスバー84aのうちバケット8の先端と目標面線79との距離がゼロに相当する位置を示すインデックスマーク84bとを含む。インデックスバー84aは、バケット8の先端と目標面線79との最短距離に応じて、各インデックスバー84aが点灯するようになっている。なお、グラフィック情報84の表示のオン/オフがオペレータの操作により変更可能とされてもよい。
【0056】
以上のように、粗掘削画面53では、目標面線79と油圧ショベル100との相対位置関係と、バケット8の先端と目標面線79との最短距離を示す数値が表示される。オペレータは、目標面線79を示すラインに沿ってバケット8の先端を移動させることによって、現在の地形が3次元設計地形になるように、容易に掘削することができる。
【0057】
2−4.繊細掘削画面54
図11に、繊細掘削画面54を示す。繊細掘削画面54は、粗掘削画面53よりも目標面70と油圧ショベル100との位置関係を詳細に示す。繊細掘削画面54には、上述した走行モードの案内画面51,52と同様の第1画面切換キー65が表示される。なお、図11では、繊細掘削画面54が表示されているため、繊細掘削モード選択キー69のアイコンが第1画面切換キー65として表示されている。また、繊細掘削画面54は、目標面70とバケット8とを示す正面図54aと、目標面70とバケット8とを示す側面図54bとを含む。繊細掘削画面54の正面図54aには、正面視によるバケット8のアイコン89と、正面視による目標面70の断面を示す線78(以下、「目標面線78」と呼ぶ)とを含む。繊細掘削画面54の側面図54bには、側面視によるバケット8のアイコン90と、設計面線74と目標面線79とを含む。また、繊細掘削画面54の正面図54aと側面図54bとには、それぞれ、目標面70とバケット8との位置関係を示す情報が表示される。
【0058】
正面図54aにおいて目標面70とバケット8との位置関係を示す情報は、距離情報86aと角度情報86bとを含む。距離情報86aは、バケット8の先端と、目標面線78との間のZa方向の距離を示したものである。また、角度情報86bは、目標面線78とバケット8との間の角度を示す情報である。具体的には、角度情報86bは、バケット8の複数のツースの先端を通る仮想線と目標面線78との間の角度である。
【0059】
側面図54bにおいて目標面70とバケット8との位置関係を示す情報は、距離情報87aと角度情報87bとを含む。距離情報87aは、バケット8の先端と、目標面線79との間の最短距離、すなわち目標面線79の垂線方向におけるバケット8の先端と目標面線79との間の距離を示したものである。また、角度情報87bは、目標面線79とバケット8との間の角度を示す情報である。具体的には、側面図54bに表示される角度情報87bは、バケット8の底面と目標面線79との間の角度である。
【0060】
なお、繊細掘削画面54は、バケット8の先端と目標面線79との最短距離をグラフィックで示すグラフィック情報88を含む。グラフィック情報88は、粗掘削画面53のグラフィック情報84と同様に、インデックスバー88aとインデックスマーク88bとを有する。
【0061】
以上のように、繊細掘削画面54では、目標面70の断面を示す目標面線78,79とバケット8との相対位置関係が表示される。オペレータは、目標面線78,79に沿ってバケット8の先端を移動させることによって、現在の地形が3次元設計地形と同じ形状になるように、さらに容易に掘削することができる。
【0062】
3.案内画面の切換制御
図5に示すように、広域走行モード、詳細走行モード、粗掘削モード、繊細掘削モードの各案内画面は、自動的に或いは手動により互いに切り換えることができる。図5において実線矢印は、案内画面の切換が自動で行われることを示している。また、破線矢印は、案内画面の切換が手動で行われることを示している。以下、位置誘導システム28によって実行される案内画面の切換制御について説明する。
【0063】
3−1.広域走行モード−詳細走行モードの切換
図12は、広域走行モードと詳細走行モードとの間での案内画面の切換制御のフローを示している。以下、広域走行モードと詳細走行モードとの間で自動的に案内画面を切り換えるための処理について説明する。
【0064】
まず、走行判定がONであるか否かが判定される。走行判定がONであるとは、油圧ショベル100が走行停止状態から走行状態に変化したことを意味する。ここでは、位置誘導コントローラ39は、走行操作検出部34からの検出信号により、走行操作部材33が操作されたか否かを検出する。位置誘導コントローラ39は、走行操作部材33が中立位置から前進方向或いは後進方向に操作されたことを検出したときに、走行判定がONであると判定する。
【0065】
ステップS1において、走行判定がONではない、すなわち、走行判定がOFFであると判定されたときには、再びステップS1に戻る。ステップS1では、走行中でない場合には、オペレータが手動により切換えた画面が優先されるため、オペレータの意思に反して案内画面が切り換えられることが防止される。
【0066】
ステップS1において、走行判定がONであると判定されたときには、ステップS2に進む。ステップS2において、油圧ショベル100の現在位置が検出される。ここでは、位置誘導コントローラ39は、上述した位置検出部19によって車両本体1の現在位置を検出する。
【0067】
ステップS3において、接近離れ判定距離が算出される。接近離れ判定距離は、目標面70と作業機2のリーチ範囲との間の距離を示す。位置誘導コントローラ39は、設計地形データと車両本体1の現在位置と作業機データとに基づいて、接近離れ判定距離を算出する。具体的には、図13に示すように、設計地形データと車両本体1の現在位置とから、ブームピン13と目標面70との間の最短距離が、目標面70と車両本体1との間の距離D0として、算出される。このとき、ブームピン13に対する目標面70上の最近接点P4が選択され、この最近接点P4とブームピン13との間の距離が、目標面70と車両本体1との間の距離D0として算出される。そして、目標面70と車両本体1との間の距離D0から、作業機2の最大リーチ長さLmaxを引いた距離D1が、接近離れ判定距離として算出される。
【0068】
次に、ステップS4において、接近離れ判定距離が所定の判定閾値以下であるか否かが判定される。このとき、後述する位置ステータスが離れ状態であるときには、接近判定閾値が判定閾値として用いられる。すなわち、接近判定閾値は、油圧ショベル100が目標面70から離れた位置から目標面70に接近しようとしているときに用いられる。位置ステータスが接近状態であるときには、離れ判定閾値が判定閾値として用いられる。すなわち、離れ判定閾値は、油圧ショベル100が目標面70に近接した位置から目標面70から離れようとしているときに用いられる。離れ判定閾値は接近判定閾値よりも大きな値である。
【0069】
ステップS4において、接近離れ判定距離が判定閾値以下であると判定されたときには、ステップS5に進む。ステップS5では、詳細走行画面52が表示部42に表示される。そして、ステップS6において、位置ステータスが接近状態に設定される。従って、接近離れ判定距離が判定閾値以下であると判定されると、次回の判定では、離れ判定閾値が判定閾値として設定される。
【0070】
ステップS4において、接近離れ判定距離が判定閾値より大きいと判定されたときには、ステップS7に進む。ステップS7では、広域走行画面51が表示部42に表示される。そして、ステップS8において、位置ステータスが離れ状態に設定される。従って、接近離れ判定距離が判定閾値より大きいと判定されると、次の判定では、接近判定閾値が判定閾値として設定される。なお、油圧ショベル100がキーONされたときの判定閾値としては、接近判定閾値が初期値として設定される。
【0071】
走行モードの案内画面51,52が表示されている間は、以上のフローが繰り返し実行される。なお、図5に示すように、広域走行モードと詳細走行モードとの間での案内画面の切換は、オペレータが上述した第2画面切換キー66を操作することによっても実行される。すなわち、オペレータは、広域走行画面51が表示されている状態で第2画面切換キー66を押すことにより、詳細走行画面52に切り換えることができる。また、オペレータは、詳細走行画面52が表示されている状態で第2画面切換キー66を押すことにより、広域走行画面51に切り換えることができる。
【0072】
3−2.走行モード−掘削モードの切換
次に、走行モードと掘削モードとの間での案内画面の切換制御について説明する。図14は、掘削モードから走行モードへの案内画面の切換制御のフローを示している。以下、掘削モードから走行モードへ自動的に案内画面を切り換えるための処理について説明する。
【0073】
まず、ステップS11において、油圧ショベル100の現在位置が検出される。ここでは、位置誘導コントローラ39は、上述した位置検出部19によって車両本体1の現在位置を検出する。
【0074】
次に、ステップS12において、走行判定がONであるか否かが判定される。走行判定がONであるとは、油圧ショベル100が走行停止状態から走行状態に変化したことを意味する。ここでは、位置誘導コントローラ39は、走行操作検出部34からの検出信号により、走行操作部材33が操作されたか否かを検出する。位置誘導コントローラ39は、走行操作部材33が中立位置から前進方向或いは後進方向に操作されたことを検出したときに、走行判定がONであると判定する。
【0075】
ステップS12において、走行判定がONであると判定されたときには、ステップS13に進む。ステップS13では、走行モードの案内画面51,52が表示される。すなわち、油圧ショベル100が走行停止状態から走行状態に変化したときには、掘削モードの案内画面53,54から走行モードの案内画面51,52に自動的に切り換えられる。このとき、位置誘導コントローラ39は、表示部42に現在、表示されている案内画面が、粗掘削画面53と繊細掘削画面54とのいずれの案内画面であっても、走行モードの案内画面51,52に切り換える。また、このとき、上述したステップS3と同様に、接近離れ判定距離が判定閾値以下であるか否かによって、広域走行画面51と詳細走行画面52とのどちらの案内画面を表示するかが決定される。
【0076】
ステップS12において、走行判定がONではない、すなわち、走行判定がOFFであると判定されたときには、ステップS14に進む。ステップS14では、掘削モードの案内画面53,54が表示される。すなわち、油圧ショベル100が走行状態でない状態から走行状態に変化していないと判定されたときには、掘削モードの案内画面53,54が維持される。例えば、油圧ショベル100の走行を停止させて掘削を行なっている間には、粗掘削画面53又は繊細掘削画面54が維持される。
【0077】
以上のように、走行判定がONであると判定されたときには、案内画面が掘削モードから走行モードに自動的に切り換えられる。しかし、走行判定がOFFであると判定されても、案内画面は走行モードから掘削モードに自動的には切り換えられず、走行モードの案内画面51,52が維持される。
【0078】
なお、上述したように、第1画面切換キー65が操作されたときには、案内画面が走行モードから掘削モードに切り換えられる。具体的には、図5に示すように、オペレータが、走行モードの案内画面51,52の表示中に、粗掘削モード選択キー68を押すと、案内画面が走行モードの案内画面51,52から粗掘削画面53に切り換えられる。また、オペレータが、走行モードの案内画面51,52の表示中に、繊細掘削モード選択キー69を押すと、案内画面が走行モードの案内画面51,52から繊細掘削画面54に切り換えられる。
【0079】
また、粗掘削画面53の表示中に、走行モード選択キー67が押されたときには、案内画面が粗掘削モードから走行モードに切り換えられる。また、繊細掘削画面54の表示中に、走行モード選択キー67が押されたときには、案内画面が繊細掘削画面54から走行モードの案内画面51,52に切り換えられる。これらの場合、上述した広域走行画面51と詳細走行画面52との間の切換制御と同様に、接近離れ判定距離が判定閾値以下であるか否かによって、広域走行画面51と詳細走行画面52とのどちらの案内画面を表示するかが決定される。
【0080】
3−3.粗掘削モード−繊細掘削モードの切換
粗掘削画面53と繊細掘削画面54との切換は、上述した第1画面切換キー65により手動で行われる。すなわち、図5に示すように、オペレータが粗掘削モード選択キー68を押すと、粗掘削画面53が表示される。また、オペレータが繊細掘削モード選択キー69を押すと、繊細掘削画面54が表示される。
【0081】
4.特徴
本実施形態に係る油圧ショベル100の位置誘導システム28は、走行停止状態から走行状態に変化したと判定されたときは、掘削モードの案内画面53,54から走行モードの案内画面51,52に自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベル100を大きく移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。このため、オペレータへの作業負担が軽減される。
【0082】
また、走行モードの案内画面51,52は、接近離れ判定距離に応じて、広域走行画面51と詳細走行画面52との間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベル100の位置を微調整するときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担がさらに軽減される。また、詳細走行画面52には、作業可能範囲76が表示されるため、オペレータは、油圧ショベル100の位置の微調整を容易に行うことができる。
【0083】
掘削モードの案内画面53,54から走行モードの案内画面51,52への切換は自動で行われるが、走行モードの案内画面51,52から掘削モードの案内画面53,54への切換は自動的には行われずに手動でのみ行われる。もし、走行判定のON/OFFによって、案内画面が走行モードと掘削モードとの間で双方向に自動的に切り換えられるようにすると、走行中に一時停止してから再走行するときであっても、一時停止したときに必ず掘削モードに切換わってしまう。しかし、走行中に一時停止してから再走行するような状況の場合は、オペレータは、走行操作部材33を操作する前に走行モードの案内画面51,52でどこに移動すればよいのか(例えば作業エリア内での目標面70の位置)を確認したいことが多い。また、一時停止後に再び走行判定がONとなると、案内画面が掘削モードから走行モードに切り換わるが、これでは遅い。そこで、本実施形態では上記のような切換制御により、走行中に一時停止したときには、走行モードの案内画面51,52が維持される。これにより、オペレータの意思に反して案内画面が切り換えられることが防止される。また、オペレータは、走行モードの案内画面51,52でどこに移動すればよいのかを容易に確認することができる。なお、再走行するのではなく停止した状態で掘削を行いたいときには、オペレータは手動で掘削モードの案内画面53,54に切り換えることができる。
【0084】
接近離れ判定距離は、目標面70と車両本体1との間の距離から作業機2の最大リーチ長さを引くことにより算出される。油圧ショベル100の作業機2は、ブーム6とアーム7とバケット8との間の角度が変化することにより、リーチ長さが変化する。従って、車両本体1が同じ位置であっても、バケット8の先端の現在位置と目標面70との間の距離は一定ではない。このため、もし、バケット8の先端の現在位置と目標面70との間の距離によって案内画面の切り換えを行った場合には、案内画面が切り換えられるタイミングがバケット8の先端の現在位置に応じて異なることとなる。また、油圧ショベル100が作業を行うのに適した位置は、バケット8の先端の現在位置ではなく、作業機2のリーチ範囲との関係で定まる。作業機2のリーチ範囲は、作業機2が届くことができると想定される範囲であり、例えば図13におけるブームピン13とバケット8の先端P3との間の範囲である。そこで、接近離れ判定距離の算出に作業機2の最大リーチ長さを用いることにより、作業機2のリーチ範囲が目標面70に近づいたときに、案内画面を切り換えることができる。これにより、オペレータは、油圧ショベル100を、作業を行うために最適な作業位置に容易に配置することができる。
【0085】
油圧ショベル100の位置ステータスが離れ状態であるときには、接近判定閾値が判定閾値として用いられる。また、油圧ショベル100の位置ステータスが接近状態であるときには、接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値が判定閾値として用いられる。このため、油圧ショベル100の僅かな距離の移動によって、案内画面の切換が頻繁に繰り返されることが抑えられる。
【0086】
5.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各案内画面の内容は上記のものに限られず、適宜、変更されてもよい。また、位置誘導コントローラ39の機能の一部、或いは、全てが、油圧ショベル100の外部に配置されたコンピュータによって実行されてもよい。また、目標作業対象は、上述したような平面に限らず、点、線、或いは3次元の形状であってもよい。表示入力装置38の入力部41は、タッチパネル式のものに限られず、ハードキーやスイッチなどの操作部材によって構成されてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、オペレータが作業機操作部材31を操作することにより、手動で掘削を行う場合が説明されているが、自動掘削モードがさらに備えられてもよい。自動掘削モードが選択されているときには、上述した目標面線79がバケット8の先端を移動させるべき目標移動経路となる。位置誘導コントローラ39は、目標移動経路に沿ってバケット8の先端を自動的に移動させるための制御信号を作業機制御装置27に出力する。これにより、作業機2による掘削が自動的に実行される。
【0088】
上記の実施形態では、作業機2は、ブーム6、アーム7、バケット8を有しているが、作業機2の構成はこれに限られない。また、作業機2によって実行される作業は掘削に限らず他の作業が行われてもよい。すなわち、上記の実施形態では、作業モードの案内画面として掘削モードの案内画面が例示されているが、掘削以外の他の作業に適した作業モードの案内画面が用いられてもよい。
【0089】
上記の実施形態では、第1〜第3ストロークセンサ16−18によって、ブーム6、アーム7、バケット8の傾斜角を検出しているが、傾斜角の検出手段はこれらに限られない。例えば、ブーム6、アーム7、バケット8の傾斜角を検出する角度センサが備えられてもよい。
【0090】
上記の実施形態では、油圧ショベル100がキーONされたときの判定閾値として、接近判定閾値が初期値として設定されている。しかし、判定閾値の初期値は、これに限らず、他の値に設定されてもよい。
【0091】
各案内画面に含まれる画面は、上記のものに限られない。例えば、繊細掘削画面54において、上述した正面図54aに代えて油圧ショベル100の上面図が表示されてもよい。また、広域走行画面51において、油圧ショベル100の現在位置を示す上面図ではなく、3D鳥瞰図が表示されてもよい。
【0092】
上記の実施形態では、接近離れ判定距離の算出のために、図15(a)に示すような目標面70上の全ての部分から最近接点P4が目標面の位置として選択されている。しかし、図15(b)に示すように、目標面70の外周辺上から最近接点P4が目標面の位置として選択されてもよい。
【0093】
上記の実施形態では、接近離れ判定距離は、目標面70と車両本体1との間の距離から作業機2の最大リーチ長さを引くことにより算出されている。しかし、接近離れ判定距離は、これに限られず、他の方法により算出されてもよい。例えば、以下の変形例1−3に示す方法により、接近離れ判定距離が算出されてもよい。
【0094】
(変形例1)
図16に示すように、位置誘導コントローラ39は、設計地形データと車両本体1の現在位置とから目標面70と車両本体1との間の距離D0を算出する。そして、位置誘導コントローラ39は、目標面70と車両本体1との間の距離D0から、目標面70と車両本体1とを結ぶ経路上における作業可能範囲76の長さL1を引いた距離D2を接近離れ判定距離として算出する。
【0095】
(変形例2)
位置誘導コントローラ39は、検出された車両本体1の現在位置から、図17に示すような仮想円C1の位置を算出する。この仮想円C1は、車両本体1における作業機2の取付位置、すなわちブームピン13を中心に最大リーチ長さLmaxを半径とする円である。そして、位置誘導コントローラ39は、目標面70と仮想円C1との間の最短距離D3を接近離れ判定距離として算出する。
【0096】
(変形例3)
図18に示すように、位置誘導コントローラ39は、作業可能範囲76と目標面70との間の最短距離D4を接近離れ判定距離として算出する。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、オペレータへの作業負担を軽減することができる効果を有し、油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 車両本体
2 作業機
19 位置検出部
28 位置誘導システム
42 表示部
43 記憶部
44 演算部
51 広域モードの走行画面
52 詳細モードの走行画面
70 目標面
100 油圧ショベル
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業車両を、目標作業対象まで誘導する位置誘導システムが知られている。例えば、特許文献1に開示されている位置誘導システムは、3次元の設計地形を示す設計データを有している。また、GPSなどの位置計測手段によって、油圧ショベルの現在位置が検出される。位置誘導システムは、油圧ショベルの現在位置を示す案内画面を表示部に表示することによって、油圧ショベルを目標作業対象まで誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−195829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
油圧ショベルのオペレータにとって必要な案内画面は、油圧ショベルの状況によって異なる。例えば、油圧ショベルが目標作業対象から遠く離れた位置にいる場合には、広域モードの案内画面が好ましい。これにより、オペレータは、現在位置から目標作業対象までの移動経路を容易に確認することができる。また、油圧ショベルが目標作業対象に近接した位置にいる場合には、詳細モードの案内画面が好ましい。詳細モードの案内画面では、例えば、広域モードよりも縮尺の大きい設計地形など、より詳細な情報が表示される。これにより、オペレータは、作業を行うために最適な作業位置に油圧ショベルを精度よく移動させることができる。
【0005】
しかし、上述したような従来の位置誘導システムでは、案内画面の切換は、オペレータによって手動で行われている。すなわち、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるために、オペレータ自身が、必要な案内画面を選択する必要がある。このため、オペレータへの作業負担が大きい。
【0006】
本発明の課題は、オペレータへの作業負担を軽減することができる油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、車両本体と、車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムである。位置誘導システムは、記憶部と、位置検出部と、表示部と、演算部とを備える。記憶部は、目標作業対象の位置を示す地形データと作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する。位置検出部は、車両本体の現在位置を検出する。表示部は、油圧ショベルを目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する。演算部は、地形データと車両本体の現在位置と作業機データとに基づいて、接近離れ判定距離を算出する。接近離れ判定距離は、目標作業対象と作業機のリーチ範囲との間の距離を示す。演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を表示部に表示させる。また、演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を表示部に表示させる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機の最大リーチ長さを示すデータである。演算部は、地形データと車両本体の現在位置とから目標作業対象と車両本体との間の距離を算出する。そして、演算部は、目標作業対象と車両本体との間の距離から作業機の最大リーチ長さを引いた値を、接近離れ判定距離として算出する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機が実際に届くことができる車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータである。演算部は、地形データと車両本体の現在位置とから目標作業対象と車両本体との間の距離を算出する。そして、演算部は、目標作業対象と車両本体との間の距離から、目標作業対象と車両本体とを結ぶ経路上における作業可能範囲の長さを引いた値を、接近離れ判定距離として算出する。
【0010】
本発明の第4の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機の最大リーチ長さを示すデータである。演算部は、車両本体における作業機の取付位置を中心に最大リーチ長さを半径とする仮想円と目標作業対象との間の最短距離を、接近離れ判定距離として算出する。
【0011】
本発明の第5の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1の態様の油圧ショベルの位置誘導システムであって、作業機データは、作業機が実際に届くことができる車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータである。演算部は、作業可能範囲と目標作業対象との間の最短距離を、接近離れ判定距離として算出する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第5の態様のいずれかの位置誘導システムであって、目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面である。接近離れ判定距離の算出には、目標作業対象の位置として目標面上の最近接点が選択される。
【0013】
本発明の第7の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第5の態様のいずれかの位置誘導システムであって、目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面である。接近離れ判定距離の算出には、目標作業対象の位置として目標面の外周辺上の最近接点が選択される。
【0014】
本発明の第8の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第7の態様のいずれかの位置誘導システムであって、広域モードの案内画面は、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図を表示する。詳細モードの案内画面は、目標作業対象と油圧ショベルと作業機の作業可能範囲とを示す側面図と、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図とを表示する。
【0015】
本発明の第9の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムは、第1から第8の態様のいずれかの位置誘導システムであって、演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいと判定すると、接近判定閾値を所定の閾値として設定する。また、演算部は、接近離れ判定距離が所定の閾値以下であると判定すると、接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値を所定の閾値として設定する。
【0016】
本発明の第10の態様に係る油圧ショベルは、請求項1から9のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システムを備える。
【0017】
本発明の第11の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムの制御方法は、車両本体と車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムの制御方法である。位置誘導システムは、記憶部と、位置検出部と、表示部とを備える。記憶部は、目標作業対象の位置を示す地形データと作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する。位置検出部は、車両本体の現在位置を検出する。表示部は、油圧ショベルを目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する。位置誘導システムの制御方法は、次のステップを備える。ステップ1は、車両本体の現在位置を検出する。ステップ2は、地形データと車両本体の現在位置と作業機データとに基づいて、接近離れ判定距離を算出する。接近離れ判定距離は、目標作業対象と作業機のリーチ範囲との間の距離を示す。ステップ3は、接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を表示部に表示させる。ステップ4は、接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、接近離れ判定距離に応じて、案内画面が広域モードと詳細モードとの間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担が軽減される。また、接近離れ判定距離は、作業機のリーチ範囲が考慮された距離である。このため、目標作業対象に対して近づきすぎる前に、案内画面が詳細モードに切り換えられる。これにより、オペレータは、油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【0019】
本発明の第2の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業機のリーチ範囲を示す作業機データとして、最大リーチ長さが用いられる。これにより、接近離れ判定距離を簡易に算出することができる。
【0020】
本発明の第3の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業機のリーチ範囲を示す作業機データとして、作業機が実際に届くことができる車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータが用いられる。このため、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0021】
本発明の第4の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業機の最大リーチ長さを半径とした仮想円と目標作業対象との間の最短距離が、接近離れ判定距離として算出される。これにより、接近離れ判定距離を簡易に算出することができる。
【0022】
本発明の第5の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、作業可能範囲と目標作業対象との間の最短距離が接近離れ判定距離として算出される。このため、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0023】
本発明の第6の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、目標面上の最近接点と作業機のリーチ範囲との間の距離が接近離れ判定距離として算出される。このため、目標面上の任意の位置から掘削等の作業を行う場合に、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0024】
本発明の第7の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、目標面の外周辺上の最近接点と作業機のリーチ範囲との間の距離が接近離れ判定距離として算出される。このため、目標面の外周辺上の位置から掘削等の作業を行う場合に、作業に適した位置に油圧ショベルを容易に移動させることができる。
【0025】
本発明の第8の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、広域モードの案内画面は、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図を表示する。このため、オペレータは、広域走行モードの案内画面によって、油圧ショベルを目標作業対象の近くまで容易に移動させることができる。また、詳細モードの案内画面は、目標作業対象と油圧ショベルと作業機の作業可能範囲とを示す側面図と、作業エリアと油圧ショベルの現在位置とを示す上面図とを表示する。このため、オペレータは、詳細走行モードの案内画面により、油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【0026】
本発明の第9の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムでは、油圧ショベルの位置が目標作業対象から離れているときには、接近判定閾値が所定の閾値として用いられる。また、油圧ショベルの位置が目標作業対象に近接しているときには、接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値が所定の閾値として用いられる。このため、油圧ショベルの僅かな距離の移動によって、案内画面の切換が頻繁に繰り返されることが抑えられる。
【0027】
本発明の第10の態様に係る油圧ショベルでは、接近離れ判定距離に応じて、案内画面が広域モードと詳細モードとの間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担が軽減される。また、接近離れ判定距離は、作業機のリーチ範囲が考慮された距離である。このため、目標作業対象に対して近づきすぎる前に、案内画面が詳細モードに切り換えられる。これにより、オペレータは、適切な作業位置への油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【0028】
本発明の第11の態様に係る油圧ショベルの位置誘導システムの制御方法では、接近離れ判定距離に応じて、案内画面が広域モードと詳細モードとの間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベルを目標作業対象へ移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担が軽減される。また、接近離れ判定距離は、作業機のリーチ範囲が考慮された距離である。このため、目標作業対象に対して近づきすぎる前に、案内画面が詳細モードに切り換えられる。これにより、オペレータは、油圧ショベルの位置の微調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】油圧ショベルの斜視図。
【図2】油圧ショベルの構成を模式的に示す図。
【図3】油圧ショベルが備える制御系の構成を示すブロック図。
【図4】設計地形データによって示される設計地形を示す図。
【図5】複数の案内画面の切換方法を示す図。
【図6】広域走行モードの案内画面を示す図。
【図7】第1画面切換キーによるポップアップ表示を示す図。
【図8】詳細走行モードの案内画面を示す図。
【図9】バケットの先端の現在位置を求める方法を示す図。
【図10】粗掘削モードの案内画面を示す図。
【図11】繊細掘削モードの案内画面を示す図。
【図12】広域走行モードと詳細走行モードとの間での案内画面の切換制御のフロー。
【図13】接近離れ判定距離の算出方法を示す図。
【図14】掘削モードから走行モードへの案内画面の切換制御のフロー。
【図15】他の実施形態において車両本体と目標面との最短距離を算出する方法を示す図。
【図16】接近離れ判定距離の算出方法の変形例1を示す図。
【図17】接近離れ判定距離の算出方法の変形例2を示す図。
【図18】接近離れ判定距離の算出方法の変形例3を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.構成
1−1.油圧ショベルの全体構成
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る油圧ショベルの位置誘導システムについて説明する。図1は、位置誘導システムが搭載される油圧ショベル100の斜視図である。油圧ショベル100は、車両本体1と作業機2とを有する。車両本体1は、上部旋回体3と運転室4と走行装置5とを有する。上部旋回体3は、図示しないエンジンや油圧ポンプなどの装置を収容している。運転室4は上部旋回体3の前部に載置されている。運転室4内には、後述する表示入力装置38及び操作装置25が配置される(図3参照)。走行装置5は履帯5a,5bを有しており、履帯5a,5bが回転することにより油圧ショベル100が走行する。
【0031】
作業機2は、車両本体1の前部に取り付けられており、ブーム6とアーム7とバケット8とブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とを有する。ブーム6の基端部は、ブームピン13を介して車両本体1の前部に揺動可能に取り付けられている。アーム7の基端部は、アームピン14を介してブーム6の先端部に揺動可能に取り付けられている。アーム7の先端部には、バケットピン15を介してバケット8が揺動可能に取り付けられている。
【0032】
図2は、油圧ショベル100の構成を模式的に示す図である。図2(a)は油圧ショベル100の側面図であり、図2(b)は油圧ショベル100の背面図である。図2(a)に示すように、ブーム6の長さ、すなわち、ブームピン13からアームピン14までの長さは、L1である。アーム7の長さ、すなわち、アームピン14からバケットピン15までの長さは、L2である。バケット8の長さ、すなわち、バケットピン15からバケット8のツースの先端までの長さは、L3である。
【0033】
図1に示すブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とは、それぞれ油圧によって駆動される油圧シリンダである。ブームシリンダ10はブーム6を駆動する。アームシリンダ11は、アーム7を駆動する。バケットシリンダ12は、バケット8を駆動する。ブームシリンダ10、アームシリンダ11、バケットシリンダ12などの油圧シリンダと図示しない油圧ポンプとの間には、比例制御弁37が配置されている(図3参照)。比例制御弁37が後述する作業機コントローラ26によって制御されることにより、油圧シリンダ10−12に供給される作動油の流量が制御される。これにより、油圧シリンダ10−12の動作が制御される。
【0034】
図2(a)に示すように、ブーム6とアーム7とバケット8には、それぞれ第1〜第3ストロークセンサ16−18が設けられている。第1ストロークセンサ16は、ブームシリンダ10のストローク長さを検出する。後述する位置誘導コントローラ39(図3参照)は、第1ストロークセンサ16が検出したブームシリンダ10のストローク長さから、後述する車両本体座標系のZa軸(図9参照)に対するブーム6の傾斜角θ1を算出する。第2ストロークセンサ17は、アームシリンダ11のストローク長さを検出する。位置誘導コントローラ39は、第2ストロークセンサ17が検出したアームシリンダ11のストローク長さから、ブーム6に対するアーム7の傾斜角θ2を算出する。第3ストロークセンサ18は、バケットシリンダ12のストローク長さを検出する。位置誘導コントローラ39は、第3ストロークセンサ18が検出したバケットシリンダ12のストローク長さから、アーム7に対するバケット8の傾斜角θ3を算出する。
【0035】
車両本体1には、位置検出部19が備えられている。位置検出部19は、油圧ショベル100の現在位置を検出する。位置検出部19は、RTK−GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite Systems、GNSSは全地球航法衛星システムをいう。)用の2つのアンテナ21,22(以下、「GNSSアンテナ21,22」と呼ぶ)と、3次元位置センサ23と、傾斜角センサ24とを有する。GNSSアンテナ21,22は、後述する車両本体座標系Xa−Ya−ZaのYa軸(図9参照)に沿って一定距離だけ離間して配置されている。GNSSアンテナ21,22で受信されたGNSS電波に応じた信号は3次元位置センサ23に入力される。3次元位置センサ23は、GNSSアンテナ21,22の設置位置P1,P2の位置を検出する。図2(b)に示すように、傾斜角センサ24は、重力方向(鉛直線)に対する車両本体1の車幅方向の傾斜角θ4(以下、「ロール角θ4」と呼ぶ)を検出する。
【0036】
図3は、油圧ショベル100が備える制御系の構成を示すブロック図である。油圧ショベル100は、操作装置25と、作業機コントローラ26と、作業機制御装置27と、位置誘導システム28を備える。操作装置25は、作業機操作部材31と、作業機操作検出部32と、走行操作部材33と、走行操作検出部34とを有する。作業機操作部材31は、オペレータが作業機2を操作するための部材であり、例えば操作レバーである。作業機操作検出部32は、作業機操作部材31の操作内容を検出して、検出信号として作業機コントローラ26へ送る。走行操作部材33は、オペレータが油圧ショベル100の走行を操作するための部材であり、例えば操作レバーである。走行操作検出部34は、走行操作部材33の操作内容を検出して、検出信号として作業機コントローラ26へ送る。
【0037】
作業機コントローラ26は、RAMやROMなどの記憶部35や、CPUなどの演算部36を有している。作業機コントローラ26は、主として作業機2の制御を行う。作業機コントローラ26は、作業機操作部材31の操作に応じて作業機2を動作させるための制御信号を生成して、作業機制御装置27に出力する。作業機制御装置27は比例制御弁37を有しており、作業機コントローラ26からの制御信号に基づいて比例制御弁37が制御される。作業機コントローラ26からの制御信号に応じた流量の作動油が比例制御弁37から流出され、油圧シリンダ10−12に供給される。油圧シリンダ10−12は、比例制御弁37から供給された作動油に応じて駆動される。これにより、作業機2が動作する。
【0038】
1−2.位置誘導システム28の構成
位置誘導システム28は、作業エリア内の目標作業対象まで油圧ショベル100を誘導するためのシステムである。位置誘導システム28は、上述した第1〜第3ストロークセンサ16−18、3次元位置センサ23、傾斜角センサ24のほかに、表示入力装置38と、位置誘導コントローラ39とを有している。
【0039】
表示入力装置38は、タッチパネル式の入力部41と、LCDなどの表示部42とを有する。表示入力装置38は、作業エリア内の目標作業対象まで油圧ショベル100を誘導するための案内画面を表示する。また、案内画面には、各種のキーが表示される。オペレータは、案内画面上の各種のキーに触れることにより、位置誘導システム28の各種の機能を実行させることができる。案内画面については後に詳細に説明する。
【0040】
位置誘導コントローラ39は、位置誘導システム28の各種の機能を実行する。位置誘導コントローラ39は、RAMやROMなどの記憶部43や、CPUなどの演算部44を有している。記憶部43は、作業機データを記憶している。作業機データは、上述したブーム6の長さL1、アーム7の長さL2、バケット8の長さL3を含む。また、作業機データは、ブーム6の傾斜角θ1、アーム7の傾斜角θ2、バケット8の傾斜角θ3のそれぞれの最小値及び最大値を含む。位置誘導コントローラ39と作業機コントローラ26とは、無線あるいは有線の通信手段により互いに通信可能となっている。位置誘導コントローラ39の記憶部43には、作業エリア内の3次元の設計地形の形状及び位置を示す設計地形データが予め作成されて記憶されている。位置誘導コントローラ39は、設計地形データや上述した各種のセンサからの検出結果などのデータに基づいて、案内画面を表示入力装置38に表示させる。具体的には、図4に示すように、設計地形は、三角形ポリゴンによってそれぞれ表現される複数の設計面45によって構成されている。なお、図4では複数の設計面のうちの1つのみに符号45が付されており、他の設計面の符号は省略されている。目標作業対象は、これらの設計面45のうちの1つ、或いは、複数の設計面である。オペレータは、これらの設計面45のうちの1つ、或いは、複数の設計面を目標面70として選択する。位置誘導コントローラ39は、油圧ショベル100を目標面70まで誘導するための案内画面を表示入力装置38に表示させる。
【0041】
2.案内画面
以下、案内画面について詳細に説明する。図5は、複数の案内画面の切換方法を示す図である。案内画面には、走行モードの案内画面51,52と、掘削モードの案内画面53,54とがある。走行モードの案内画面51,52は、油圧ショベル100を走行させて目標面70の近くまで誘導するための画面であり、作業エリアでの油圧ショベル100の現在位置を示す。掘削モードの案内画面53,54は、掘削作業の対象である地面が目標面70と同じ形状になるように油圧ショベル100の作業機2を誘導するための画面である。掘削モードの案内画面53,54は、目標面70と作業機2との位置関係を、走行モードの案内画面51,52よりも詳細に示す。走行モードの案内画面51,52は、広域走行モードの案内画面51(以下、「広域走行画面51」と呼ぶ)と詳細走行モードの案内画面52(以下、「詳細走行画面52」と呼ぶ)とを有する。また、掘削モードの案内画面53,54は、粗掘削モードの案内画面53(以下、「粗掘削画面53」と呼ぶ)と、繊細掘削モードの案内画面54(以下、「繊細掘削画面54」と呼ぶ)とを有する。
【0042】
2−1.広域走行画面51
図6に広域走行画面51を示す。広域走行画面51は、作業エリアの設計地形と油圧ショベル100の現在位置とを示す上面図51aを含む。上面図51aは、複数の三角形ポリゴンによって上面視による設計地形を表現している。上面図51aは、グローバル座標系の水平面を投影面として設計地形を表現している。また、目標作業対象として選択された目標面70は、他の設計面と異なる色で表示される。なお、図6では、油圧ショベル100の現在位置が上面視による油圧ショベルのアイコン61で示されているが、他のシンボルによって示されてもよい。
【0043】
広域走行画面51には、複数の操作キーが表示される。操作キーは、例えば、スクロールキー62、拡大キー63、縮小キー64、第1画面切換キー65、第2画面切換キー66などを有する。スクロールキー62は、設計地形を示す上面図51aをスクロールさせるための操作キーである。拡大キー63は、設計地形を示す上面図51aの縮尺を大きくするためのキーである。縮小キー64は、設計地形を示す上面図51aの縮尺を小さくするためのキーである。
【0044】
第1画面切換キー65は、走行モードの案内画面51,52と掘削モードの案内画面53,54との間の切換を手動で実行させるためのキーである。第1画面切換キー65が一度押されると、図7に示すように、走行モード選択キー67と、粗掘削モード選択キー68と、繊細掘削モード選択キー69とがポップアップ表示される。ここで、走行モード選択キー67が押されると、図5に示すように走行モードの案内画面51,52が選択される。粗掘削モード選択キー68が押されると、粗掘削画面53が選択される。繊細掘削モード選択キー69が押されると、繊細掘削画面54が選択される。なお、ポップアップ表示状態ではない通常の表示状態では、走行モード選択キー67と、粗掘削モード選択キー68と、繊細掘削モード選択キー69とのうち、現在表示されている案内画面に対応する選択キーのアイコンが第1画面切換キー65として案内画面上に表示される。例えば、図6では、広域走行画面51が表示されているため、走行モード選択キー67のアイコンが第1画面切換キー65として表示されている。また、図5に示すように、第2画面切換キー66は、広域走行画面51と詳細走行画面52との間の切換を手動で実行させるためのキーである。
【0045】
また、図6に示すように、広域走行画面51には、油圧ショベル100を目標面70まで誘導するための情報が表示される。具体的には、方位インジケータ71が表示される。方位インジケータ71は、油圧ショベル100に対する目標面70の方向を示すアイコンである。従って、オペレータは、広域走行画面51によって、油圧ショベル100を目標面70の近くまで容易に移動させることができる。また、広域走行画面51は後述する詳細走行画面52よりも広範囲の設計地形を示す。このため、広域走行画面51は、作業地までの移動、或いは、作業の見通しのために使用される。
【0046】
2−2.詳細走行画面52
図8に詳細走行画面52を示す。詳細走行画面52には、広域走行画面51と同様の複数の操作キーが表示される。また、詳細走行画面52は、作業エリアの設計地形と油圧ショベル100の現在位置とを示す上面図52aと、目標面70と油圧ショベル100と作業機2の作業可能範囲76とを示す側面図52bとを含む。
【0047】
詳細走行モードの上面図52aは、上述した広域走行モードの上面図51aと概ね同様である。ただし、詳細走行モードの上面図52aは、目標作業位置を示す情報と、油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報をさらに含んでいる。目標作業位置は、油圧ショベル100が目標面70に対して掘削を行うために最適な位置であり、目標面70の位置と後述する作業可能範囲76とから算出される。目標作業位置は、上面図52aにおいて直線72で示されている。油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報は、正対コンパス73として表示される。正対コンパス73は、目標面70に対する正対方向と油圧ショベル100を旋回させるべき方向とを示すアイコンである。オペレータは、正対コンパス73により、目標面70への正対度を確認することができる。
【0048】
詳細走行モードの側面図52bは、設計面線74と、目標面線79と、側面視による油圧ショベル100のアイコン75と、作業機2の作業可能範囲76と、目標作業位置を示す情報を含む。設計面線74は、目標面70以外の設計面45の断面を示す。目標面線79は目標面70の断面を示す。設計面線74と目標面線79とは、図4に示すように、バケット8の先端P3の現在位置を通る平面77と設計地形との交線80を算出することにより求められる。目標面線79は、設計面線74と異なる色で表示される。なお、図8では線種を変えて、目標面線79と設計面線74とを表現している。作業可能範囲76は、作業機2が実際に届くことができる車両本体1の周囲の範囲を示す。作業可能範囲76は、記憶部43に記憶されている作業機データから算出される。また、後述する作業機2の最大リーチ長さを示すデータも作業機データから算出される。最大リーチ長さは、作業機2を最大限まで延ばしたときの作業機2の長さ、すなわち、作業機2を最大限まで延ばしたときのブームピン13とバケット8の先端との間の長さである。側面図52bに示される目標作業位置は、上述した上面図52aに示される目標作業位置に相当し、三角形のアイコン81で示される。また、油圧ショベル100の基準位置も三角形のアイコン82によって示される。オペレータは、基準位置のアイコン82が目標作業位置のアイコン81と合致するように油圧ショベル100を移動させる。
【0049】
以上のように、詳細走行画面52は、目標作業位置を示す情報と油圧ショベル100を目標面70に対して正対させるための情報とを含む。このため、オペレータは、詳細走行画面52により、目標面70に対して、作業を行うために最適な位置及び方向に油圧ショベル100を配置することができる。従って、詳細走行画面52は、油圧ショベル100の位置決めをするために使用される。
【0050】
なお、上述したように、目標面線79はバケット8の先端の現在位置から算出される。表示コントローラ39は、3次元位置センサ23、第1〜第3ストロークセンサ16−18、傾斜角センサ24などからの検出結果に基づき、グローバル座標系{X,Y,Z}でのバケット8の先端の現在位置を算出する。具体的には、バケット8の先端の現在位置は、次のようにして求められる。
【0051】
まず、図9に示すように、上述したGNSSアンテナ21の設置位置P1を原点とする車両本体座標系{Xa,Ya,Za}を求める。図9(a)は油圧ショベル100の側面図である。図9(b)は油圧ショベル100の背面図である。ここでは、油圧ショベル100の前後方向すなわち車両本体座標系のYa軸方向がグローバル座標系のY軸方向に対して傾斜しているものとする。また、車両本体座標系でのブームピン13の座標は(0,Lb1,−Lb2)であり、予め表示コントローラ39の記憶部43に記憶されている。
【0052】
3次元位置センサ23はGNSSアンテナ21,22の設置位置P1,P2を検出する。検出された座標位置P1、P2から以下の(1)式よってYa軸方向の単位ベクトルが算出される。
Ya=(P1−P2)/|P1−P2|・・・(1)
図9(a)に示すように、YaとZの2つのベクトルで表される平面を通り、Yaと垂直なベクトルZ’を導入すると、以下の関係が成り立つ。
(Z’,Ya)=0・・・(2)
Z’=(1−c)Z+cYa・・・(3)
cは定数である。
(2)式および(3)式より、Z’は以下の(4)式のように表される。
Z’=Z+{(Z,Ya)/((Z,Ya)−1)}(Ya−Z)・・・(4)
さらに、YaおよびZ’と垂直なベクトルをX’とすると、X’は以下の(5)式のようのように表される。
X’=Ya⊥Z’・・・(5)
図9(b)に示すように、車両本体座標系は、これをYa軸周りに上述したロール角θ4だけ回転させたものであるから、以下の(6)式のように示される。
・・・(6)
【0053】
また、第1〜第3ストロークセンサ16−18の検出結果から、上述したブーム6、アーム7、バケット8の現在の傾斜角θ1、θ2、θ3が算出される。車両本体座標系内でのバケット8の先端P3の座標(xat、yat、zat)は、傾斜角θ1、θ2、θ3およびブーム6、アーム7、バケット8の長さL1、L2、L3を用いて、以下の(7)〜(9)式により算出される。
xat=0・・・(7)
yat=Lb1+L1sinθ1+L2sin(θ1+θ2)+L3sin(θ1+θ2+θ3)・・・(8)
zat=−Lb2+L1cosθ1+L2cos(θ1+θ2)+L3cos(θ1+θ2+θ3)・・・(9)
なお、バケット8の先端P3は、車両本体座標系のYa−Za平面上で移動するものとする。
そして、グローバル座標系でのバケット8の先端P3の座標が以下の(10)式から求められる。
P3=xat・Xa+yat・Ya+zat・Za+P1・・・(10)
図4に示すように、位置誘導コントローラ39は、上記のように算出したバケット8の先端の現在位置と、記憶部43に記憶された設計地形データとに基づいて、3次元設計地形とバケット8の先端P3を通るYa−Za平面77との交線80を算出する。そして、位置誘導コントローラ39は、この交線のうち目標面70を通る部分を上述した目標面線79として案内画面に表示する。
【0054】
2−3.粗掘削画面53
図10に粗掘削画面53を示す。粗掘削画面53には、上述した走行モードの案内画面51,52と同様の第1画面切換キー65が表示される。なお、図10では、粗掘削画面53が表示されているため、粗掘削モード選択キー68のアイコンが第1画面切換キー65として表示されている。また、粗掘削画面53は、作業エリアの設計地形と油圧ショベル100の現在位置とを示す上面図53aと、目標面70と油圧ショベル100とを示す側面図53bとを含む。
【0055】
粗掘削画面53の上面図53aは、上述した詳細走行画面52の上面図52aと異なり、油圧ショベル100の旋回平面を投影面として設計地形を表現している。従って、上面図53aは、油圧ショベル100の真上から見た図であり、油圧ショベル100が傾いたときには設計面が傾くことになる。粗掘削画面53の側面図53bは、設計面線74と、目標面線79と、側面視による油圧ショベル100のアイコン75と、バケット8と目標面70との位置関係を示す情報を含む。バケット8と目標面70との位置関係を示す情報は、数値情報83とグラフィック情報84とを含む。数値情報83は、バケット8の先端と目標面線79との最短距離を示す数値である。グラフィック情報84は、バケット8の先端と目標面線79との最短距離をグラフィックで示した情報である。具体的には、グラフィック情報84は、インデックスバー84aと、インデックスバー84aのうちバケット8の先端と目標面線79との距離がゼロに相当する位置を示すインデックスマーク84bとを含む。インデックスバー84aは、バケット8の先端と目標面線79との最短距離に応じて、各インデックスバー84aが点灯するようになっている。なお、グラフィック情報84の表示のオン/オフがオペレータの操作により変更可能とされてもよい。
【0056】
以上のように、粗掘削画面53では、目標面線79と油圧ショベル100との相対位置関係と、バケット8の先端と目標面線79との最短距離を示す数値が表示される。オペレータは、目標面線79を示すラインに沿ってバケット8の先端を移動させることによって、現在の地形が3次元設計地形になるように、容易に掘削することができる。
【0057】
2−4.繊細掘削画面54
図11に、繊細掘削画面54を示す。繊細掘削画面54は、粗掘削画面53よりも目標面70と油圧ショベル100との位置関係を詳細に示す。繊細掘削画面54には、上述した走行モードの案内画面51,52と同様の第1画面切換キー65が表示される。なお、図11では、繊細掘削画面54が表示されているため、繊細掘削モード選択キー69のアイコンが第1画面切換キー65として表示されている。また、繊細掘削画面54は、目標面70とバケット8とを示す正面図54aと、目標面70とバケット8とを示す側面図54bとを含む。繊細掘削画面54の正面図54aには、正面視によるバケット8のアイコン89と、正面視による目標面70の断面を示す線78(以下、「目標面線78」と呼ぶ)とを含む。繊細掘削画面54の側面図54bには、側面視によるバケット8のアイコン90と、設計面線74と目標面線79とを含む。また、繊細掘削画面54の正面図54aと側面図54bとには、それぞれ、目標面70とバケット8との位置関係を示す情報が表示される。
【0058】
正面図54aにおいて目標面70とバケット8との位置関係を示す情報は、距離情報86aと角度情報86bとを含む。距離情報86aは、バケット8の先端と、目標面線78との間のZa方向の距離を示したものである。また、角度情報86bは、目標面線78とバケット8との間の角度を示す情報である。具体的には、角度情報86bは、バケット8の複数のツースの先端を通る仮想線と目標面線78との間の角度である。
【0059】
側面図54bにおいて目標面70とバケット8との位置関係を示す情報は、距離情報87aと角度情報87bとを含む。距離情報87aは、バケット8の先端と、目標面線79との間の最短距離、すなわち目標面線79の垂線方向におけるバケット8の先端と目標面線79との間の距離を示したものである。また、角度情報87bは、目標面線79とバケット8との間の角度を示す情報である。具体的には、側面図54bに表示される角度情報87bは、バケット8の底面と目標面線79との間の角度である。
【0060】
なお、繊細掘削画面54は、バケット8の先端と目標面線79との最短距離をグラフィックで示すグラフィック情報88を含む。グラフィック情報88は、粗掘削画面53のグラフィック情報84と同様に、インデックスバー88aとインデックスマーク88bとを有する。
【0061】
以上のように、繊細掘削画面54では、目標面70の断面を示す目標面線78,79とバケット8との相対位置関係が表示される。オペレータは、目標面線78,79に沿ってバケット8の先端を移動させることによって、現在の地形が3次元設計地形と同じ形状になるように、さらに容易に掘削することができる。
【0062】
3.案内画面の切換制御
図5に示すように、広域走行モード、詳細走行モード、粗掘削モード、繊細掘削モードの各案内画面は、自動的に或いは手動により互いに切り換えることができる。図5において実線矢印は、案内画面の切換が自動で行われることを示している。また、破線矢印は、案内画面の切換が手動で行われることを示している。以下、位置誘導システム28によって実行される案内画面の切換制御について説明する。
【0063】
3−1.広域走行モード−詳細走行モードの切換
図12は、広域走行モードと詳細走行モードとの間での案内画面の切換制御のフローを示している。以下、広域走行モードと詳細走行モードとの間で自動的に案内画面を切り換えるための処理について説明する。
【0064】
まず、走行判定がONであるか否かが判定される。走行判定がONであるとは、油圧ショベル100が走行停止状態から走行状態に変化したことを意味する。ここでは、位置誘導コントローラ39は、走行操作検出部34からの検出信号により、走行操作部材33が操作されたか否かを検出する。位置誘導コントローラ39は、走行操作部材33が中立位置から前進方向或いは後進方向に操作されたことを検出したときに、走行判定がONであると判定する。
【0065】
ステップS1において、走行判定がONではない、すなわち、走行判定がOFFであると判定されたときには、再びステップS1に戻る。ステップS1では、走行中でない場合には、オペレータが手動により切換えた画面が優先されるため、オペレータの意思に反して案内画面が切り換えられることが防止される。
【0066】
ステップS1において、走行判定がONであると判定されたときには、ステップS2に進む。ステップS2において、油圧ショベル100の現在位置が検出される。ここでは、位置誘導コントローラ39は、上述した位置検出部19によって車両本体1の現在位置を検出する。
【0067】
ステップS3において、接近離れ判定距離が算出される。接近離れ判定距離は、目標面70と作業機2のリーチ範囲との間の距離を示す。位置誘導コントローラ39は、設計地形データと車両本体1の現在位置と作業機データとに基づいて、接近離れ判定距離を算出する。具体的には、図13に示すように、設計地形データと車両本体1の現在位置とから、ブームピン13と目標面70との間の最短距離が、目標面70と車両本体1との間の距離D0として、算出される。このとき、ブームピン13に対する目標面70上の最近接点P4が選択され、この最近接点P4とブームピン13との間の距離が、目標面70と車両本体1との間の距離D0として算出される。そして、目標面70と車両本体1との間の距離D0から、作業機2の最大リーチ長さLmaxを引いた距離D1が、接近離れ判定距離として算出される。
【0068】
次に、ステップS4において、接近離れ判定距離が所定の判定閾値以下であるか否かが判定される。このとき、後述する位置ステータスが離れ状態であるときには、接近判定閾値が判定閾値として用いられる。すなわち、接近判定閾値は、油圧ショベル100が目標面70から離れた位置から目標面70に接近しようとしているときに用いられる。位置ステータスが接近状態であるときには、離れ判定閾値が判定閾値として用いられる。すなわち、離れ判定閾値は、油圧ショベル100が目標面70に近接した位置から目標面70から離れようとしているときに用いられる。離れ判定閾値は接近判定閾値よりも大きな値である。
【0069】
ステップS4において、接近離れ判定距離が判定閾値以下であると判定されたときには、ステップS5に進む。ステップS5では、詳細走行画面52が表示部42に表示される。そして、ステップS6において、位置ステータスが接近状態に設定される。従って、接近離れ判定距離が判定閾値以下であると判定されると、次回の判定では、離れ判定閾値が判定閾値として設定される。
【0070】
ステップS4において、接近離れ判定距離が判定閾値より大きいと判定されたときには、ステップS7に進む。ステップS7では、広域走行画面51が表示部42に表示される。そして、ステップS8において、位置ステータスが離れ状態に設定される。従って、接近離れ判定距離が判定閾値より大きいと判定されると、次の判定では、接近判定閾値が判定閾値として設定される。なお、油圧ショベル100がキーONされたときの判定閾値としては、接近判定閾値が初期値として設定される。
【0071】
走行モードの案内画面51,52が表示されている間は、以上のフローが繰り返し実行される。なお、図5に示すように、広域走行モードと詳細走行モードとの間での案内画面の切換は、オペレータが上述した第2画面切換キー66を操作することによっても実行される。すなわち、オペレータは、広域走行画面51が表示されている状態で第2画面切換キー66を押すことにより、詳細走行画面52に切り換えることができる。また、オペレータは、詳細走行画面52が表示されている状態で第2画面切換キー66を押すことにより、広域走行画面51に切り換えることができる。
【0072】
3−2.走行モード−掘削モードの切換
次に、走行モードと掘削モードとの間での案内画面の切換制御について説明する。図14は、掘削モードから走行モードへの案内画面の切換制御のフローを示している。以下、掘削モードから走行モードへ自動的に案内画面を切り換えるための処理について説明する。
【0073】
まず、ステップS11において、油圧ショベル100の現在位置が検出される。ここでは、位置誘導コントローラ39は、上述した位置検出部19によって車両本体1の現在位置を検出する。
【0074】
次に、ステップS12において、走行判定がONであるか否かが判定される。走行判定がONであるとは、油圧ショベル100が走行停止状態から走行状態に変化したことを意味する。ここでは、位置誘導コントローラ39は、走行操作検出部34からの検出信号により、走行操作部材33が操作されたか否かを検出する。位置誘導コントローラ39は、走行操作部材33が中立位置から前進方向或いは後進方向に操作されたことを検出したときに、走行判定がONであると判定する。
【0075】
ステップS12において、走行判定がONであると判定されたときには、ステップS13に進む。ステップS13では、走行モードの案内画面51,52が表示される。すなわち、油圧ショベル100が走行停止状態から走行状態に変化したときには、掘削モードの案内画面53,54から走行モードの案内画面51,52に自動的に切り換えられる。このとき、位置誘導コントローラ39は、表示部42に現在、表示されている案内画面が、粗掘削画面53と繊細掘削画面54とのいずれの案内画面であっても、走行モードの案内画面51,52に切り換える。また、このとき、上述したステップS3と同様に、接近離れ判定距離が判定閾値以下であるか否かによって、広域走行画面51と詳細走行画面52とのどちらの案内画面を表示するかが決定される。
【0076】
ステップS12において、走行判定がONではない、すなわち、走行判定がOFFであると判定されたときには、ステップS14に進む。ステップS14では、掘削モードの案内画面53,54が表示される。すなわち、油圧ショベル100が走行状態でない状態から走行状態に変化していないと判定されたときには、掘削モードの案内画面53,54が維持される。例えば、油圧ショベル100の走行を停止させて掘削を行なっている間には、粗掘削画面53又は繊細掘削画面54が維持される。
【0077】
以上のように、走行判定がONであると判定されたときには、案内画面が掘削モードから走行モードに自動的に切り換えられる。しかし、走行判定がOFFであると判定されても、案内画面は走行モードから掘削モードに自動的には切り換えられず、走行モードの案内画面51,52が維持される。
【0078】
なお、上述したように、第1画面切換キー65が操作されたときには、案内画面が走行モードから掘削モードに切り換えられる。具体的には、図5に示すように、オペレータが、走行モードの案内画面51,52の表示中に、粗掘削モード選択キー68を押すと、案内画面が走行モードの案内画面51,52から粗掘削画面53に切り換えられる。また、オペレータが、走行モードの案内画面51,52の表示中に、繊細掘削モード選択キー69を押すと、案内画面が走行モードの案内画面51,52から繊細掘削画面54に切り換えられる。
【0079】
また、粗掘削画面53の表示中に、走行モード選択キー67が押されたときには、案内画面が粗掘削モードから走行モードに切り換えられる。また、繊細掘削画面54の表示中に、走行モード選択キー67が押されたときには、案内画面が繊細掘削画面54から走行モードの案内画面51,52に切り換えられる。これらの場合、上述した広域走行画面51と詳細走行画面52との間の切換制御と同様に、接近離れ判定距離が判定閾値以下であるか否かによって、広域走行画面51と詳細走行画面52とのどちらの案内画面を表示するかが決定される。
【0080】
3−3.粗掘削モード−繊細掘削モードの切換
粗掘削画面53と繊細掘削画面54との切換は、上述した第1画面切換キー65により手動で行われる。すなわち、図5に示すように、オペレータが粗掘削モード選択キー68を押すと、粗掘削画面53が表示される。また、オペレータが繊細掘削モード選択キー69を押すと、繊細掘削画面54が表示される。
【0081】
4.特徴
本実施形態に係る油圧ショベル100の位置誘導システム28は、走行停止状態から走行状態に変化したと判定されたときは、掘削モードの案内画面53,54から走行モードの案内画面51,52に自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベル100を大きく移動させるときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。このため、オペレータへの作業負担が軽減される。
【0082】
また、走行モードの案内画面51,52は、接近離れ判定距離に応じて、広域走行画面51と詳細走行画面52との間で自動的に切り換えられる。従って、油圧ショベル100の位置を微調整するときに、オペレータは自ら案内画面の切換を操作する必要が無い。これにより、オペレータへの作業負担がさらに軽減される。また、詳細走行画面52には、作業可能範囲76が表示されるため、オペレータは、油圧ショベル100の位置の微調整を容易に行うことができる。
【0083】
掘削モードの案内画面53,54から走行モードの案内画面51,52への切換は自動で行われるが、走行モードの案内画面51,52から掘削モードの案内画面53,54への切換は自動的には行われずに手動でのみ行われる。もし、走行判定のON/OFFによって、案内画面が走行モードと掘削モードとの間で双方向に自動的に切り換えられるようにすると、走行中に一時停止してから再走行するときであっても、一時停止したときに必ず掘削モードに切換わってしまう。しかし、走行中に一時停止してから再走行するような状況の場合は、オペレータは、走行操作部材33を操作する前に走行モードの案内画面51,52でどこに移動すればよいのか(例えば作業エリア内での目標面70の位置)を確認したいことが多い。また、一時停止後に再び走行判定がONとなると、案内画面が掘削モードから走行モードに切り換わるが、これでは遅い。そこで、本実施形態では上記のような切換制御により、走行中に一時停止したときには、走行モードの案内画面51,52が維持される。これにより、オペレータの意思に反して案内画面が切り換えられることが防止される。また、オペレータは、走行モードの案内画面51,52でどこに移動すればよいのかを容易に確認することができる。なお、再走行するのではなく停止した状態で掘削を行いたいときには、オペレータは手動で掘削モードの案内画面53,54に切り換えることができる。
【0084】
接近離れ判定距離は、目標面70と車両本体1との間の距離から作業機2の最大リーチ長さを引くことにより算出される。油圧ショベル100の作業機2は、ブーム6とアーム7とバケット8との間の角度が変化することにより、リーチ長さが変化する。従って、車両本体1が同じ位置であっても、バケット8の先端の現在位置と目標面70との間の距離は一定ではない。このため、もし、バケット8の先端の現在位置と目標面70との間の距離によって案内画面の切り換えを行った場合には、案内画面が切り換えられるタイミングがバケット8の先端の現在位置に応じて異なることとなる。また、油圧ショベル100が作業を行うのに適した位置は、バケット8の先端の現在位置ではなく、作業機2のリーチ範囲との関係で定まる。作業機2のリーチ範囲は、作業機2が届くことができると想定される範囲であり、例えば図13におけるブームピン13とバケット8の先端P3との間の範囲である。そこで、接近離れ判定距離の算出に作業機2の最大リーチ長さを用いることにより、作業機2のリーチ範囲が目標面70に近づいたときに、案内画面を切り換えることができる。これにより、オペレータは、油圧ショベル100を、作業を行うために最適な作業位置に容易に配置することができる。
【0085】
油圧ショベル100の位置ステータスが離れ状態であるときには、接近判定閾値が判定閾値として用いられる。また、油圧ショベル100の位置ステータスが接近状態であるときには、接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値が判定閾値として用いられる。このため、油圧ショベル100の僅かな距離の移動によって、案内画面の切換が頻繁に繰り返されることが抑えられる。
【0086】
5.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各案内画面の内容は上記のものに限られず、適宜、変更されてもよい。また、位置誘導コントローラ39の機能の一部、或いは、全てが、油圧ショベル100の外部に配置されたコンピュータによって実行されてもよい。また、目標作業対象は、上述したような平面に限らず、点、線、或いは3次元の形状であってもよい。表示入力装置38の入力部41は、タッチパネル式のものに限られず、ハードキーやスイッチなどの操作部材によって構成されてもよい。
【0087】
上記の実施形態では、オペレータが作業機操作部材31を操作することにより、手動で掘削を行う場合が説明されているが、自動掘削モードがさらに備えられてもよい。自動掘削モードが選択されているときには、上述した目標面線79がバケット8の先端を移動させるべき目標移動経路となる。位置誘導コントローラ39は、目標移動経路に沿ってバケット8の先端を自動的に移動させるための制御信号を作業機制御装置27に出力する。これにより、作業機2による掘削が自動的に実行される。
【0088】
上記の実施形態では、作業機2は、ブーム6、アーム7、バケット8を有しているが、作業機2の構成はこれに限られない。また、作業機2によって実行される作業は掘削に限らず他の作業が行われてもよい。すなわち、上記の実施形態では、作業モードの案内画面として掘削モードの案内画面が例示されているが、掘削以外の他の作業に適した作業モードの案内画面が用いられてもよい。
【0089】
上記の実施形態では、第1〜第3ストロークセンサ16−18によって、ブーム6、アーム7、バケット8の傾斜角を検出しているが、傾斜角の検出手段はこれらに限られない。例えば、ブーム6、アーム7、バケット8の傾斜角を検出する角度センサが備えられてもよい。
【0090】
上記の実施形態では、油圧ショベル100がキーONされたときの判定閾値として、接近判定閾値が初期値として設定されている。しかし、判定閾値の初期値は、これに限らず、他の値に設定されてもよい。
【0091】
各案内画面に含まれる画面は、上記のものに限られない。例えば、繊細掘削画面54において、上述した正面図54aに代えて油圧ショベル100の上面図が表示されてもよい。また、広域走行画面51において、油圧ショベル100の現在位置を示す上面図ではなく、3D鳥瞰図が表示されてもよい。
【0092】
上記の実施形態では、接近離れ判定距離の算出のために、図15(a)に示すような目標面70上の全ての部分から最近接点P4が目標面の位置として選択されている。しかし、図15(b)に示すように、目標面70の外周辺上から最近接点P4が目標面の位置として選択されてもよい。
【0093】
上記の実施形態では、接近離れ判定距離は、目標面70と車両本体1との間の距離から作業機2の最大リーチ長さを引くことにより算出されている。しかし、接近離れ判定距離は、これに限られず、他の方法により算出されてもよい。例えば、以下の変形例1−3に示す方法により、接近離れ判定距離が算出されてもよい。
【0094】
(変形例1)
図16に示すように、位置誘導コントローラ39は、設計地形データと車両本体1の現在位置とから目標面70と車両本体1との間の距離D0を算出する。そして、位置誘導コントローラ39は、目標面70と車両本体1との間の距離D0から、目標面70と車両本体1とを結ぶ経路上における作業可能範囲76の長さL1を引いた距離D2を接近離れ判定距離として算出する。
【0095】
(変形例2)
位置誘導コントローラ39は、検出された車両本体1の現在位置から、図17に示すような仮想円C1の位置を算出する。この仮想円C1は、車両本体1における作業機2の取付位置、すなわちブームピン13を中心に最大リーチ長さLmaxを半径とする円である。そして、位置誘導コントローラ39は、目標面70と仮想円C1との間の最短距離D3を接近離れ判定距離として算出する。
【0096】
(変形例3)
図18に示すように、位置誘導コントローラ39は、作業可能範囲76と目標面70との間の最短距離D4を接近離れ判定距離として算出する。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、オペレータへの作業負担を軽減することができる効果を有し、油圧ショベルの位置誘導システム及び位置誘導システムの制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 車両本体
2 作業機
19 位置検出部
28 位置誘導システム
42 表示部
43 記憶部
44 演算部
51 広域モードの走行画面
52 詳細モードの走行画面
70 目標面
100 油圧ショベル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と前記車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムであって、
前記目標作業対象の位置を示す地形データと前記作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する記憶部と、
前記車両本体の現在位置を検出する位置検出部と、
前記油圧ショベルを前記目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する表示部と、
前記地形データと前記車両本体の現在位置と前記作業機データとに基づいて前記目標作業対象と前記作業機のリーチ範囲との間の距離を示す接近離れ判定距離を算出し、前記接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を前記表示部に表示させ、前記接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには前記詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を前記表示部に表示させる演算部と、
を備える油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項2】
前記作業機データは、前記作業機の最大リーチ長さを示すデータであり、
前記演算部は、前記地形データと前記車両本体の現在位置とから前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離を算出し、前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離から前記作業機の最大リーチ長さを引いた値を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項3】
前記作業機データは、前記作業機が実際に届くことができる前記車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータであり、
前記演算部は、前記地形データと前記車両本体の現在位置とから前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離を算出し、前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離から、前記目標作業対象と前記車両本体とを結ぶ経路上における前記作業可能範囲の長さを引いた値を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項4】
前記作業機データは、前記作業機の最大リーチ長さを示すデータであり、
前記演算部は、前記車両本体における前記作業機の取付位置を中心に前記最大リーチ長さを半径とする仮想円と前記目標作業対象との間の最短距離を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項5】
前記作業機データは、前記作業機が実際に届くことができる前記車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータであり、
前記演算部は、前記作業可能範囲と前記目標作業対象との間の最短距離を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項6】
前記目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面であり、
前記接近離れ判定距離の算出には、前記目標作業対象の位置として前記目標面上の最近接点が選択される、
請求項1から5のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項7】
前記目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面であり、
前記接近離れ判定距離の算出には、前記目標作業対象の位置として前記目標面の外周辺上の最近接点が選択される、
請求項1から5のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項8】
前記広域モードの案内画面は、前記作業エリアと前記油圧ショベルの現在位置とを示す上面図を表示し、
前記詳細モードの案内画面は、前記目標作業対象と前記油圧ショベルと前記作業機の作業可能範囲とを示す側面図と、前記作業エリアと前記油圧ショベルの現在位置とを示す上面図とを表示する、
請求項1から7のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項9】
前記演算部は、前記接近離れ判定距離が前記所定の閾値より大きいと判定すると、接近判定閾値を前記所定の閾値として設定し、前記接近離れ判定距離が前記所定の閾値以下であると判定すると、前記接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値を前記所定の閾値として設定する、
請求項1から8のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システムを備える油圧ショベル。
【請求項11】
車両本体と前記車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムであって、前記目標作業対象の位置を示す地形データと前記作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する記憶部と、前記車両本体の現在位置を検出する位置検出部と、前記油圧ショベルを前記目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する表示部と、を備える位置誘導システムの制御方法であって、
前記車両本体の現在位置を検出するステップと、
前記地形データと前記車両本体の現在位置と前記作業機データとに基づいて前記目標作業対象と前記作業機のリーチ範囲との間の距離を示す接近離れ判定距離を算出するステップと、
前記接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を前記表示部に表示させるステップと、
前記接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには前記詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を前記表示部に表示させるステップと、
を備える油圧ショベルの位置誘導システムの制御方法。
【請求項1】
車両本体と前記車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムであって、
前記目標作業対象の位置を示す地形データと前記作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する記憶部と、
前記車両本体の現在位置を検出する位置検出部と、
前記油圧ショベルを前記目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する表示部と、
前記地形データと前記車両本体の現在位置と前記作業機データとに基づいて前記目標作業対象と前記作業機のリーチ範囲との間の距離を示す接近離れ判定距離を算出し、前記接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を前記表示部に表示させ、前記接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには前記詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を前記表示部に表示させる演算部と、
を備える油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項2】
前記作業機データは、前記作業機の最大リーチ長さを示すデータであり、
前記演算部は、前記地形データと前記車両本体の現在位置とから前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離を算出し、前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離から前記作業機の最大リーチ長さを引いた値を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項3】
前記作業機データは、前記作業機が実際に届くことができる前記車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータであり、
前記演算部は、前記地形データと前記車両本体の現在位置とから前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離を算出し、前記目標作業対象と前記車両本体との間の距離から、前記目標作業対象と前記車両本体とを結ぶ経路上における前記作業可能範囲の長さを引いた値を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項4】
前記作業機データは、前記作業機の最大リーチ長さを示すデータであり、
前記演算部は、前記車両本体における前記作業機の取付位置を中心に前記最大リーチ長さを半径とする仮想円と前記目標作業対象との間の最短距離を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項5】
前記作業機データは、前記作業機が実際に届くことができる前記車両本体の周囲の作業可能範囲を示すデータであり、
前記演算部は、前記作業可能範囲と前記目標作業対象との間の最短距離を前記接近離れ判定距離として算出する、
請求項1に記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項6】
前記目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面であり、
前記接近離れ判定距離の算出には、前記目標作業対象の位置として前記目標面上の最近接点が選択される、
請求項1から5のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項7】
前記目標作業対象は、三次元の設計地形を構成する複数の設計面から選択された目標面であり、
前記接近離れ判定距離の算出には、前記目標作業対象の位置として前記目標面の外周辺上の最近接点が選択される、
請求項1から5のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項8】
前記広域モードの案内画面は、前記作業エリアと前記油圧ショベルの現在位置とを示す上面図を表示し、
前記詳細モードの案内画面は、前記目標作業対象と前記油圧ショベルと前記作業機の作業可能範囲とを示す側面図と、前記作業エリアと前記油圧ショベルの現在位置とを示す上面図とを表示する、
請求項1から7のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項9】
前記演算部は、前記接近離れ判定距離が前記所定の閾値より大きいと判定すると、接近判定閾値を前記所定の閾値として設定し、前記接近離れ判定距離が前記所定の閾値以下であると判定すると、前記接近判定閾値よりも大きい離れ判定閾値を前記所定の閾値として設定する、
請求項1から8のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の油圧ショベルの位置誘導システムを備える油圧ショベル。
【請求項11】
車両本体と前記車両本体に取り付けられる作業機とを有する油圧ショベルを、作業エリア内の目標作業対象まで誘導する位置誘導システムであって、前記目標作業対象の位置を示す地形データと前記作業機のリーチ範囲を示す作業機データとを記憶する記憶部と、前記車両本体の現在位置を検出する位置検出部と、前記油圧ショベルを前記目標作業対象まで案内するための案内画面を表示する表示部と、を備える位置誘導システムの制御方法であって、
前記車両本体の現在位置を検出するステップと、
前記地形データと前記車両本体の現在位置と前記作業機データとに基づいて前記目標作業対象と前記作業機のリーチ範囲との間の距離を示す接近離れ判定距離を算出するステップと、
前記接近離れ判定距離が所定の閾値以下であるときには詳細モードの案内画面を前記表示部に表示させるステップと、
前記接近離れ判定距離が所定の閾値より大きいときには前記詳細モードよりも広範囲を示す広域モードの案内画面を前記表示部に表示させるステップと、
を備える油圧ショベルの位置誘導システムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−172430(P2012−172430A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36202(P2011−36202)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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