説明

波長変換素子、光源装置及びプロジェクター

【課題】蛍光体ホイールを含むシステム全体としての光利用効率の低下を抑制可能とする蛍光体ホイール、光源装置及びプロジェクターを提供すること。
【解決手段】基板であるホイール基板31と、前記基板に設けられ、蛍光体100を含む蛍光体層41と該蛍光体層41の前記基板とは反対側に設けられた光透過層42と、を含む発光素子40と、前記蛍光体層41と前記光透過層42との界面と交差する前記発光素子40の第1の側面34aに設けられ、前記蛍光体層41の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第1の反射部43aと、を備えた波長変換素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換素子、光源装置及びプロジェクター、特に、蛍光を発生させる蛍光体ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクターの高性能化に関して、広色域かつ高効率な光源としてレーザーが注目されている。従来、プロジェクターに用いられる光源装置の一つとして、レーザー光を励起光として、励起光とは異なる波長の蛍光を発生させる光源装置が提案されている。励起光の照射による蛍光体を含む蛍光体層の温度上昇は、蛍光の発生効率の低下や蛍光体層の劣化の促進の原因となり得る。かかる課題に対しては、例えば、ホイール基板に蛍光体層が設けられた蛍光体ホイールを回転させることで、蛍光体層へ入射する励起光のエネルギーを分散させ、蛍光体層の温度上昇の抑制を図る技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−277516号公報
【特許文献2】特開2010−86815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蛍光体ホイールの蛍光体層は、励起光の照射領域であるスポットに対して広い範囲に設けられる。蛍光体層に分散されている蛍光体(蛍光体結晶)は、発生した蛍光を等方的に放出する。蛍光体層は所定の厚みを持っているため、ホイール基板の面法線に対して大きな角度をなす蛍光成分は、蛍光体層のうち励起光の照射領域の外側にまで伝播することになる。励起光の照射領域の外側に伝播した蛍光は、その先に存在する蛍光体へ入射することによりさらに散乱する。蛍光体層での散乱の繰り返しにより照射領域の外側に向かって蛍光が伝播すると、蛍光体ホイールにおける発光面積が増加する。すなわち、エテンデューが増加する。蛍光体ホイールにおける発光面積の増加は、光源装置より後方の光学系によって取り込まれない光を増加させ、蛍光体ホイールを含むシステム全体としての光利用効率の低下を引き起こすことになる。
【0005】
一般的に、蛍光体層において蛍光体を保持するバインダーは、空気より高い屈折率の材料が使用されている。蛍光体層と空気との界面へ蛍光体層側から臨界角以上の角度で入射した光は、界面での全反射により蛍光体層に戻る。蛍光のうち界面で全反射した成分は、蛍光体層の内部を伝播し、その先に存在する蛍光体で散乱する。このような界面での全反射によっても、発光面積の増加は生じることとなる。また、蛍光体層と空気との界面で全反射されて蛍光体層に戻った蛍光は蛍光体に吸収され、蛍光体層が発熱するため、光の射出効率が低下することにもなる。
【0006】
蛍光体層から射出する光は、ランバート放射に近い角度分布を示す。蛍光体層の蛍光出射面の法線に対して大きな角度をなして蛍光体層から射出した光は、蛍光体層の射出側に設けられたピックアップレンズや導光手段による充分な捕捉が困難であることから、光利用効率が低下する。
【0007】
本発明は、上記の課題のうち少なくとも1つを解決し、蛍光体ホイールを含むシステム全体としての光利用効率を向上させることが可能な波長変換素子、光源装置及びプロジェクターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る波長変換素子は、基板と、前記基板に設けられ、蛍光体を含む蛍光体層と該蛍光体層の前記基板とは反対側に設けられた光透過層と、を含む発光素子と、前記蛍光体層と前記光透過層との界面と交差する前記発光素子の第1の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第1の反射部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
第1の反射部は、蛍光体層の内部を基板と平行に進む光を反射することで、発光領域を制限し、蛍光体層における発光面積の増加を抑制させる。つまり、発光領域は、第1の反射部を越えて広がることはない。
【0010】
さらに、蛍光体層の基板とは反対側に光透過層が設けられているため、光透過層が設けられていない場合と比較して、蛍光体層から基板の外に射出される光の量が増加する。それは、蛍光体層と光透過層との界面における臨界角が蛍光体層と空気との界面における臨界角よりも大きくなるからである。
【0011】
さらに、第1の反射部は、蛍光体層の内部を基板と平行に進む光を基板とは逆方向に向かって反射させることができる。すなわち、基板の面法線に対する光線角度が小さくなるように蛍光体層から光透過層へ進行した光の進行方向を変化させることができる。このように、光透過層の射出面、すなわち光透過層と空気との界面における光線角度を小さくすることで、光透過層の射出面における光の全反射を抑制させることができる。また、光透過層から射出する光の射出角が小さくなるため、ピックアップレンズや導光手段で取り込まれる光の量を増加させることが可能となる。
【0012】
このように本発明によれば、波長変換素子を含むシステム全体としての光利用効率を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の好ましい態様としては、前記第1の側面は、前記基板の回転軸を中心とする円に沿う方向と該円と交差する方向とのうちいずれか一方の方向に沿っていることが望ましい。第1の側面が基板の回転軸を中心とする円に沿う方向に沿っている場合は、該円の半径方向について発光面積の増加を抑制させるとともに、光透過層から射出する光の光線角度を小さくすることができる。また、第1の側面が基板の回転軸を中心とする円と交差する方向に沿っている場合は、該円の円周方向について発光面積の増加を抑制させるとともに、光透過層から射出する光の光線角度を小さくすることができる。
【0014】
また、本発明の好ましい態様としては、前記第1の側面と対向する前記発光素子の第2の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第2の反射部をさらに有することが望ましい。これにより、発光面積の増加をさらに抑制させることができる。さらに、小さな光線角度で光透過層から射出する光の量を増加させることができるため、ピックアップレンズや導光手段で取り込まれる光の量をさらに増加させることができる。
【0015】
また、本発明の好ましい態様としては、前記第1の側面と交差する前記発光素子の第3の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第3の反射部と、前記第3の側面と対向する前記発光素子の第4の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第4の反射部と、をさらに有することが望ましい。これにより、発光面積の増加をさらに抑制させるとともに、小さな光線角度で光透過層から射出する光の量をさらに増加させることができる。
【0016】
また、本発明の好ましい態様としては、前記発光素子は、前記基板の表面に設けられていることが望ましい。ホイール基板上に蛍光体層を設けることで、蛍光体層で発生した熱を外部へ効果的に放散させることができる。
【0017】
また、本発明の好ましい態様としては、前記発光素子は、前記基板に設けられた溝に設けられていることが望ましい。ホイール基板の溝に蛍光体層を設けることで、蛍光体層の材料の塗布を安定して行うことができる。
【0018】
また、本発明の好ましい態様としては、前記第1の反射部の前記発光素子とは反対側に設けられた熱伝導部をさらに備えることが望ましい。これにより、蛍光体層で生じた熱を効果的に放散させることができる。
【0019】
また、本発明の好ましい態様としては、前記蛍光体層は、前記蛍光体が分散されたバインダーを有し、前記光透過層の屈折率は、前記バインダーの屈折率と同じであることが望ましい。これにより、蛍光体から射出される蛍光が、蛍光体層と光透過層との界面において反射されて蛍光体層に戻ることがない。そのため、蛍光体層による蛍光の吸収による光の損失や熱の発生を抑制させることができる。
【0020】
また、本発明の好ましい態様としては、前記光透過層の前記蛍光体層とは反対側の表面に設けられた凹凸構造を有することが望ましい。これにより、光透過層と空気との界面での光の反射を抑制させ、光透過層から効率良く光を取り出すことができる。
【0021】
また、本発明の好ましい態様としては、前記基板と前記蛍光体層との間に設けられ、前記蛍光体を励起する励起光を透過させ、前記蛍光体から射出される蛍光を反射する波長分離層を有することが望ましい。波長分離層は、蛍光体層の内部を励起光の入射面に向かって進行する蛍光を光透過層の方向へ反射させる。これにより、基板の蛍光体層が設けられている面とは反対側から励起光を照射した際、波長変換素子は、効率良く蛍光を射出することができる。
【0022】
また、本発明の好ましい態様としては、前記基板と前記蛍光体層との間に設けられ、前記蛍光体を励起する励起光と前記蛍光体から射出される蛍光とを反射する反射層を有することが望ましい。これにより、前記光透過層側から励起光を蛍光体に照射した際、波長変換素子は、蛍光と励起光の一部とを効率良く射出することができる。
【0023】
また、本発明の好ましい態様としては、前記基板は、金属から形成されることが望ましい。これにより、蛍光体層で生じた熱を効果的に放散させることができる。
【0024】
さらに、本発明に係る光源装置は、励起光を射出する励起光用光源部と、前記励起光の照射により蛍光を射出する上記の波長変換素子と、を有することを特徴とする。これにより、光源装置を含むシステム全体としての光利用効率が高く、かつ所望の色光を得られる光源装置を提供できる。
【0025】
また、本発明の好ましい態様としては、前記波長変換素子に形成される前記励起光のスポットの、前記基板の回転軸を中心とする円の半径方向の大きさは、前記蛍光体層の前記半径方向の幅より小さいことが望ましい。これにより、励起光の入射位置が蛍光体層からはみ出さないための、波長変換素子の回転によるぶれの許容範囲を大きくすることができる。
【0026】
また、本発明に係る光源装置は、励起光を射出する励起光用光源部と、該励起光の照射により蛍光を射出する請求項1に記載の波長変換素子と、を有する光源装置であって、前記第1の側面は、前記基板の回転軸を中心とする円と交差し、前記波長変換素子は、前記第1の側面と対向する前記発光素子の第2の側面に設けられるとともに前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第2の反射部をさらに有し、前記励起光用光源部により前記励起光を射出するパルス周波数をF(Hz)、前記波長変換素子の回転数をm(rps)、とすると、Fはmの整数倍であることが望ましい。これにより、励起光用光源部は、円周方向において第1の反射部と第2の反射部との間に設けられている蛍光体層へ、励起光を適切に入射させることができる。
【0027】
さらに、本発明に係るプロジェクターは、上記の光源装置から射出した光を画像信号に応じて変調して、投写することを特徴とする。これにより、プロジェクターは、システム全体としての光利用効率の低下を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の実施例1に係るプロジェクターの概略構成図である。
【図2】図2は、蛍光体ホイール及びピックアップレンズの構成を示す図である。
【図3】図3は、蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図4】図4は、実施例1の変形例1に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図5】図5は、実施例1の変形例2に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【図6】図6は、蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図7】図7は、実施例1の変形例3に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図8】図8は、実施例1の変形例4に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2に係る蛍光体ホイールの平面図である。
【図10】図10は、一つの単位構造体の斜視図である。
【図11】図11は、円周方向における蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施例3に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。
【図13】図13は、蛍光体ホイールを用いた光源装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1は、本発明の実施例1に係るプロジェクター1の概略構成図である。光源装置10は、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光を含む照明光を射出する。光源装置10は、レーザーダイオードアレイ2、集光レンズ4、波長変換素子として機能する蛍光体ホイール5及びピックアップレンズ6を有する。
【0031】
レーザーダイオードアレイ2は、アレイ状に配置された複数のレーザーダイオード3から構成されている。レーザーダイオードアレイ2は、励起光200を射出する励起光用光源部として機能する。
【0032】
励起光200は、例えば、450nm付近の波長のB光である。集光レンズ4は、レーザーダイオードアレイ2から射出された励起光200を蛍光体ホイール5にて集光させる集光光学系として機能する。蛍光体ホイール5は、励起光200の照射により励起光200とは異なる波長の蛍光を射出する。ピックアップレンズ6は、励起光200の光路上に設けられている。ピックアップレンズ6は、蛍光体ホイール5から射出した蛍光と蛍光体ホイール5を透過した励起光200とを捕捉し、コリメート光学系11へ進行させる。
【0033】
コリメート光学系11は、光源装置10からの光をロッドインテグレーター12に集光する。ロッドインテグレーター12は、入射した光を内部にて多重反射させて均一化する。重畳レンズ13は、ロッドインテグレーター12にて複数に分割された光束を空間光変調装置にて重畳させる。
【0034】
第1ダイクロイックミラー14は、重畳レンズ13から入射したR光及びG光を反射し、B光を透過させる。第1ダイクロイックミラー14を透過したB光は、反射ミラー16での反射により光路が折り曲げられ、入射側偏光板20Bへ入射する。入射側偏光板20Bを透過した光は、液晶パネル21Bへ入射する。液晶パネル21Bは、B光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置を構成する。液晶パネル21Bを透過した光は、射出側偏光板22Bへ入射する。射出側偏光板22Bを透過した光は、クロスダイクロイックプリズム23へ入射する。
【0035】
第1ダイクロイックミラー14で反射したR光およびG光は、第2ダイクロイックミラー15へ入射する。第2ダイクロイックミラー15は、G光を反射し、R光を透過させる。第2ダイクロイックミラー15での反射により光路が折り曲げられたG光は、入射側偏光板20Gへ入射する。入射側偏光板20Gを透過したG光は、液晶パネル21Gへ入射する。液晶パネル21Gは、G光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置を構成する。液晶パネル21Gを透過した光は、射出側偏光板22Gへ入射する。射出側偏光板22Gを透過した光は、クロスダイクロイックプリズム23へ入射する。
【0036】
第2ダイクロイックミラー15を透過したR光は、反射ミラー17での反射により光路が折り曲げられ、リレーレンズ18に入射する。リレーレンズ18を透過したR光は、反射ミラー19での反射により光路が折り曲げられ、入射側偏光板20Rへ入射する。入射側偏光板20Rを透過したR光は、液晶パネル21Rへ入射する。液晶パネル21Rは、R光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置を構成する。液晶パネル21Rを透過した光は、射出側偏光板22Rへ入射する。射出側偏光板22Rを透過した光は、クロスダイクロイックプリズム23へ入射する。
【0037】
色合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム23は、各空間光変調装置で変調された光を合成して映像光とし、投写光学系24へ進行させる。投写光学系24は、クロスダイクロイックプリズム23で合成された映像光を不図示のスクリーンへ投写する。
【0038】
図2(a)は、波長変換素子として機能する蛍光体ホイール5の平面図であり、図2(b)は、蛍光体ホイール5の断面図である。図2(a)および図2(b)においては、蛍光体ホイール5にホイールモーター33が装着されており、図2(b)においては、蛍光体ホイール5にピックアップレンズ6がさらに組み合わせられている。蛍光体ホイール5は、構造体32と、回転軸Rの周りに回転可能なホイール基板31とを有する。構造体32については後で詳述する。図2(a)に示した蛍光体ホイール5の平面図は、蛍光体ホイール5を構造体32が設けられた側から見た平面図である。また、図2(b)に示した蛍光体ホイール5の断面図は、蛍光体ホイール5の中心位置を含む断面である。また、図3は、ホイール基板31の回転軸Rを中心とする円の半径方向に沿う蛍光体ホイール5の断面AA’である。
【0039】
図2に示したように、ホイール基板31は、円形状の板状部材であって、ガラス等の透明部材から構成されている。ホイール基板31の中心には、円柱状のホイールモーター33を貫通させる開口が設けられている。開口においてホイール基板31がホイールモーター33に装着されることで、ホイール基板31はホイールモーター33と一体とされている。ホイール基板31は、ホイールモーター33の駆動によって、円形状の中心位置を回転軸Rとして回転する。
【0040】
図3に示したように本実施例では、構造体32は、発光素子40、第1の反射部43a、及び第2の反射部43bを含む。発光素子40は、粒子状の複数の蛍光体100を含む蛍光体層41および光透過層42を含む。蛍光体100は励起光200の照射により励起され、蛍光を発生する。蛍光体層41は、蛍光体100の粒子が分散された、透明樹脂からなるバインダーを有する。光透過層42は、蛍光体層41のホイール基板31とは反対側に設けられており、蛍光体層41から入射した光を透過させる。
【0041】
構造体32は、ホイール基板31が有する複数の面のうち励起光200が入射する側とは反対側の表面31aに設けられている。図2(a)に示したように、構造体32に含まれる発光素子40は、平面視で一定の幅を持つ環をなしている。発光素子40がなす環は、ホイール基板31が回転することによって得られる励起光200の照射領域の軌跡に対応している。
【0042】
蛍光体ホイール5は、ホイール基板31の表面に構造体32を設けることで、蛍光体100で発生した熱を外部へ効果的に放散させることができる。
【0043】
図3に示したように、発光素子40は、平面視でホイール基板31の回転軸Rを中心とする円の形状を有する第1の側面34aおよび第2の側面34bを備える。第1の側面34aと第2の側面34bとは、互いに対向している。第1の側面34aは、環状の発光素子40のホイールモーター33側の側面であり、第2の側面34bは、環状の発光素子40のホイール基板31の外縁側の側面である。本実施例では、適宜、第1の側面34aと第2の側面34bを併せて側面34と呼ぶことがある。
【0044】
第1の反射部43aは発光素子40の第1の側面34aに設けられ、第2の反射部43bは発光素子40の第2の側面34bに設けられている。第1の側面34aに交差する断面、たとえば回転軸Rを中心とする円の半径方向に沿った断面において、第1の側面34aと第2の側面34bとの間の距離が蛍光体41から光透過層42に向かって大きくなっている。したがって、第1の反射部43aと第2の反射部43bとの間の距離も、蛍光体層41から光透過層42に向かって大きくなっている。本実施例では、適宜、第1の反射部43aと第2の反射部43bを併せて反射部43と呼ぶことがある。また、本明細書では便宜上、上記のような形態にて設けられた反射部を、テーパ形状の反射部、と呼ぶ。あるいは、反射部がテーパ形状を有している、という。反射部43は、蛍光体層41から入射した蛍光及び励起光と、光透過層42から入射した蛍光及び励起光とを反射する。反射部43としては、高反射性部材、例えば金属部材からなる膜を用いる。
【0045】
ダイクロイック膜44は、ホイール基板31と蛍光体層41との間、すなわち蛍光体層41が有する複数の面のうち励起光200の入射面41aに設けられている。ダイクロイック膜44は、レーザーダイオードアレイ2から出射された励起光200を透過させ、蛍光体100から出射された蛍光を反射する波長特性を持つ波長分離層として機能する。
【0046】
蛍光体100は、励起光200の照射により、G光及びR光を含む蛍光を発生させる。蛍光体層41へ入射した励起光200のうちの一部は、蛍光とともに蛍光体層41からピックアップレンズ6に向かって射出する。このように、光源装置10は、G光およびR光を含む蛍光と、B光を含む励起光200とを混合させることにより、白色の照明光を射出する。蛍光体としては、例えば、YAG蛍光体を用いる。蛍光体層41は、例えば、粉末状の蛍光体100とバインダーとの混合物をホイール基板31に塗布し、熱硬化させることにより得られる。光透過層42は、蛍光体層41のバインダーと同じ屈折率の透明樹脂から構成されている。
【0047】
蛍光体層41の入射面41aには、励起光200のスポットが形成される。光源装置10は、回転軸Rを中心とする円の半径方向に測った励起光200のスポット径d1が、入射面41aの半径方向の幅Mより小さくなるように調整される。これにより、励起光200の入射位置を入射面41aからはみ出させないために許容される、蛍光体ホイール5の回転によるぶれの上限値を大きくすることができる。
【0048】
ホイール基板31へ入射した励起光200は、ホイール基板31及びダイクロイック膜44を透過して、蛍光体層41へ入射する。蛍光体層41へ入射した励起光200の一部は、蛍光体100を励起し、励起された蛍光体100は蛍光を発する。蛍光体100で発生した蛍光は、発光位置を中心としてほぼ等方的に出射される。
【0049】
蛍光体層41から光透過層42へ進行した蛍光及び励起光200のうち、光透過層42と空気との界面へ臨界角より小さい角度で入射した成分は、光透過層42から空気中へ射出する。
【0050】
本実施例では、光透過層42の屈折率は蛍光体層41のバインダーの屈折率と同じであるため、蛍光体層41と光透過層42との界面においては光が反射しない。そのため、蛍光体100から射出された蛍光や、蛍光体によって散乱された励起光が蛍光体層41と光透過層42との界面において反射されて蛍光体層41に戻ることはない。その結果、蛍光が蛍光体層41によって吸収されることによる光の損失や熱の発生が抑制される。なお、光透過層42は、バインダーと同じ屈折率とする場合に限られず、例えば、バインダーより低い屈折率の材料で構成することとしても良い。
【0051】
蛍光体層41の内部をホイール基板31へ向かって進行した蛍光は、ダイクロイック膜44で反射し、光透過層42の方向へ進行する。そのため、蛍光体100から発せられた蛍光は、ホイール基板31側へ漏れず、光透過層42の蛍光出射面42aから効率良く射出することができる。本明細書においては、蛍光出射面42aは、光透過層42が有する複数の面のうち、蛍光体から発せられた蛍光が光透過層42から空気中に射出される面を指す。
【0052】
また、テーパ形状の反射部43によって、ホイール基板31の法線Nに対する光線角度が小さくなるように光の進行方向を変化させることができる。したがって、光透過層42の蛍光出射面42aにおける光線角度が小さくなり、光透過層42と空気との界面における光の全反射が抑制され、その結果、光透過層42の内部を進行する光が光透過層42の蛍光出射面42aから空気中に射出しやすくなる。
【0053】
さらに、蛍光体層41の内部をホイール基板31に対して平行に進行する蛍光成分は、反射部43での反射により、蛍光体ホイール5の半径方向への伝播が阻止される。本実施形態による蛍光体ホイール5では、蛍光体層41での蛍光の伝播が反射部43によって阻止されるため、蛍光体層41における発光面積の増加が抑制される。
【0054】
また、光透過層42の蛍光出射面42aから射出する光の射出角を小さくすることで、ピックアップレンズ6等で取り込まれる光の量を増大させることが可能となる。これにより、蛍光体ホイール5を含むプロジェクター1は、システム全体としての光利用効率を向上させることができる。
【0055】
(変形例1)
図4は、本実施例の変形例1に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。実施例1に係る蛍光体ホイール5では、構造体32は、ホイール基板31が有する複数の面のうち励起光200が入射する側とは反対側の表面31aに設けられていたが、本変形例に係る蛍光体ホイールでは、ホイール基板45の表面45aに設けられた溝46に構造体32が設けられていることを特徴とする。反射部43は、発光素子40の側面34と溝46の壁面とに挟まれている。ダイクロイック膜44は、溝46の底に設けられている。溝46に蛍光体層41を設けることで、蛍光体層41の材料の塗布を安定して行うことができる。
【0056】
(変形例2)
図5は、本実施例の変形例2に係る蛍光体ホイール7の平面図である。図6は、蛍光体ホイール7の要部断面図である。本変形例に係る蛍光体ホイール7は、蛍光体100からの熱を伝導する熱伝導部47を有する。熱伝導部47は、ホイール基板31の表面31aの上に、構造体32と接するように設けられている。熱伝導部47は、高い熱伝導率の部材、例えば銅やアルミニウムを用いて構成されている。
【0057】
励起光200の照射によって蛍光体100で生じた熱は、蛍光体層41から反射部43を経て、或いは蛍光体層41から光透過層42及び反射部43を経て、熱伝導部47へ伝導する。蛍光体ホイール7は、熱伝導部47を設けることで、蛍光体100で生じた熱を効果的に放散させることができる。蛍光体ホイール7は、効果的な放熱により、高い効率で蛍光を発生させることが可能となる。
【0058】
熱伝導部47は、ホイール基板31の表面のうち構造体32以外の部分を完全に覆う場合に限られない。熱伝導部47は、蛍光体100で生じた熱を効果的に放散させるためには、ホイール基板31の表面31aのうち構造体32の周囲の少なくとも一部に設けられていれば良いものとする。蛍光体ホイール7は、発光素子40の側面34と熱伝導部47との間に反射部43を設ける他、熱伝導部47の一部を反射部として機能させることとしても良い。
【0059】
(変形例3)
図7は、本実施例の変形例3に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。本変形例に係る蛍光体ホイールは、ホイール基板45及び熱伝導部47に形成された溝48に、構造体32が設けられている。本変形例の場合も、蛍光体ホイールは、熱伝導部47を設けることで、蛍光体100で生じた熱を効果的に放散させることができる。熱伝導部47は、ホイール基板45の表面のうち溝48以外の部分を完全に覆うこととしても良く、構造体32の周囲の一部に設けることとしても良い。
【0060】
(変形例4)
図8は、本実施例の変形例4に係る蛍光体ホイールの要部断面図である。本変形例に係る蛍光体ホイールは、光透過層42の蛍光出射面42aに設けられた凹凸構造(モスアイ構造)49を有する。
【0061】
凹凸構造49の各々は、例えば、蛍光の波長より短い幅で構成され、二次元的に設けられている。凹凸構造49は、光透過層42と空気との界面での光の反射を抑制させる。本変形例に係る蛍光体ホイールは、凹凸構造49によって光透過層42から効率良く光を取り出すことができる。
【0062】
(変形例5)
上記の実施例及び変形例1乃至4に係る蛍光体ホイールでは、第1の反射部43aと第2の反射部43bとが設けられていたが、いずれか一方のみを設けてもよい。たとえば、第2の反射部43bのみを設けた場合、法線Nに対して大きな角度をなして進行する蛍光成分は、第2の反射部43bでの反射により、ホイール基板31の外側方向への伝播が阻止される。第2の反射部43bによって反射された光は、蛍光体層41の内部を蛍光体100によって散乱されながら進行し、光透過層42に進入する。従って、第1の反射部43aと第2の反射部43bのうちいずれか一方のみを設けた場合であっても、システム全体としての光利用効率を向上させる効果が得られる。
【実施例2】
【0063】
図9は、本発明の実施例2に係る波長変換素子として機能する蛍光体ホイール50の平面図である。本実施例では、反射部は、ホイール基板31の回転軸Rを中心とする円の形状に設けられた側面と、円の半径方向に設けられた側面とに設けられている。蛍光体ホイール50は、実施例1の光源装置10に適用される。実施例1と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。蛍光体層を含む構造体は、円周方向に配列された反射部によって、複数の単位構造体51に分割されている。
【0064】
図10は、一つの単位構造体51の斜視図である。単位構造体51は、発光素子57、円周方向に設けられた第1の反射部54a、第2の反射部54b、半径方向に設けられた第3の反射部55a、及び第4の反射部55bを含む。発光素子57は、粒子状の蛍光体100を含む蛍光体層52および光透過層53を含む。このように、発光素子57は、第1の反射部54aと第2の反射部54bと第3の反射部55aと第4の反射部55bとによって取り囲まれている。一つの単位構造体51について円周方向に設けられた第1の反射部54aおよび第2の反射部54bは、実施例1における反射部43(図3参照)と同様に、円の半径方向に沿う断面においてテーパ形状を有している。本実施例では、適宜、第1の反射部54aと第2の反射部54bとを併せて、反射部54と呼ぶことがある。同様に、第3の反射部55aと第4の反射部55bとを併せて、反射部55と呼ぶことがある。
【0065】
図11は、図9において一点鎖線で示す円周方向における蛍光体ホイール50の要部断面図である。複数の単位構造体51は、反射部55によって互いに仕切られて、円周方向に並んでいる。波長分離層であるダイクロイック膜56は、ホイール基板31と、各単位構造体51の蛍光体層52との間に設けられている。一つの単位構造体51について半径方向に設けられた反射部55は、円周方向に沿う断面においてテーパ形状を有している。
【0066】
本実施形態による蛍光体ホイール50では、テーパ形状を有する反射部54を円周方向に設け、テーパ形状を有する反射部55を半径方向に設けることで、円周方向と半径方向について、発光領域が制限される。そのため、発光面積の増加を抑制させるとともに、光透過層53の蛍光出射面53aにおける光線角度を小さくすることが可能となる。これにより、蛍光体ホイール50を含むプロジェクター1は、システム全体としての光利用効率をさらに向上させることができる。
【0067】
図11に示したように、互いに隣り合う2つの単位構造体51同士の間には、蛍光体100が設けられていない領域が存在する。そこで、レーザーダイオードアレイ2(図1参照)は、蛍光体100が設けられていない領域に励起光200を照射しないように、つまり各単位構造体51の蛍光体層52へ励起光200が適切に入射するように、蛍光体ホイール50の回転に応じたパルス周波数で励起光200を射出する。光源装置10は、蛍光体100が設けられていない領域への励起光200の射出を停止させることで光利用効率を向上させるとともに、光源装置10から射出される光の強度を安定化させることができる。さらに、パルス発光とすることでレーザーダイオード3の寿命を延ばすことが可能となる。
【0068】
1パルスの励起光200を蛍光体ホイール50へ入射した場合に、円周方向における照射領域の長さLは、式(1)により計算される。
L=d2+2πrmD/F (1)
【0069】
但し、d2は励起光200の円周方向のスポット径(単位m)、rは発光素子57の半径方向の中心と回転中心Rとの間の距離(単位m)、mは蛍光体ホイール50の回転数(単位rps)、Dは励起光200のパルスのデューティー比、Fは励起光200のパルス周波数(単位Hz)とする。図10に示すように、蛍光体層52の入射面52aの、円周方向についての長さをLとすることで、励起光200を単位構造体51に適切に照射することが可能となる。
【0070】
長さLがスポット径d2のT倍まで許容可能、言い換えると、励起光200の滲み量がスポット径d2のT倍まで許容可能、とした場合、T=L/d2を式(1)に代入して、距離rについての式(2)が求められる。
r=(T−1)d2F/(2πrmD) (2)
【0071】
例えば、パルス周波数Fを100kHz、デューティー比Dを0.3、スポット径d2を1mm、回転数mを10000/60rps(=10000rpm)、Tを1.1、とした場合、式(2)により、距離rはおよそ3.2cmと計算される。このとき、一つの単位構造体51の円周方向の長さは、およそ1.1mmとなる。光源装置10は、このような計算に応じた設計及び駆動により、レーザーダイオードアレイ2による励起光200の照射と蛍光体ホイール50の回転とを同期させる。
【0072】
蛍光体ホイール50に形成される単位構造体51の数Sは、S=F/mにより求められる。Sは整数であることから、Fはmの整数倍となる。これにより、レーザーダイオードアレイ2は、蛍光体100が設けられていない領域を避けて、各単位構造体51の発光素子57へ励起光200を適切に入射させることができる。
【0073】
各実施例の蛍光体ホイールは、空間光変調装置として透過型の液晶パネルを用いるプロジェクター1に適用される場合に限られない。蛍光体ホイールは、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)やDMD(Digital Micromirror Device)を備えるプロジェクターに適用しても良い。
【実施例3】
【0074】
図12は、本発明の実施例3に係る波長変換素子として機能する蛍光体ホイール70の要部断面図である。実施例1に係る蛍光体ホイール5と異なる点について説明する。本実施例に係る蛍光体ホイール70では、蛍光体層41の入射面41aに、励起光200と蛍光とを反射させる反射層72がダイクロイック膜44のかわりに設けられている。励起光200は、ホイール基板31の構造体32が設けられている側から蛍光体100に照射される。
【0075】
蛍光体層41の内部をホイール基板31へ向かって進行した蛍光は、反射層72で反射され、光透過層42の方向へ進行する。そのため、蛍光体100から発せられた蛍光は、ホイール基板31側へ漏れず、光透過層42の蛍光出射面42aから効率良く射出することができる。また、蛍光体層41の内部をホイール基板31へ向かって進行する励起光も、同様に反射層72で反射され、光透過層42の蛍光出射面42aから効率良く射出することができる。
【0076】
図13に、蛍光体ホイール70を用いた光源装置74の一例を示す。励起光200は、ホイール基板31の構造体32が設けられている側から蛍光体100に照射され、励起光200の一部と蛍光体100が発した蛍光とは、ピックアップレンズ6によって捕捉される。ピックアップレンズ6によって捕捉された光は、実施例1で説明したコリメート光学系11へ進行する。このようにして、光源装置74はプロジェクターの光源として利用される。このような反射型のホイール基板であっても、実施例1で説明した透過型のホイール基板と同様、システム全体としての光利用効率を向上させる効果が得られる。
【0077】
反射型の蛍光体ホイール70の場合、ホイール基板31として透明部材を用いる必要はない。ホイール基板として金属を用いれば、蛍光体100で生じた熱を効果的に放散させることができる。この場合、実施例1の変形例1で示したように、ホイール基板の表面に設けた溝に発光素子40を設けることが好ましい。この構成によれば、蛍光体100で生じた熱を、さらに効率的に放散させることができる。さらに、アルミ等の光反射率が高い金属を用いれば、ホイール基板自体が反射部材として機能するため、反射部43や反射層72を設ける必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係る蛍光体ホイール、光源装置及びプロジェクターは、レーザー光を用いて画像を表示する場合に有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 プロジェクター、2 レーザーダイオードアレイ、3 レーザーダイオード、4 集光レンズ、5 蛍光体ホイール、6 ピックアップレンズ、7 蛍光体ホイール、10 光源装置、11 コリメート光学系、12 ロッドインテグレーター、13 重畳レンズ、14 第1ダイクロイックミラー、15 第2ダイクロイックミラー、16、17、19 反射ミラー、18 リレーレンズ、20R、20G、20B 入射側偏光板、21R、21G、21B 液晶パネル、22R、22G、22B 射出側偏光板、23 クロスダイクロイックプリズム、24 投写光学系、31 ホイール基板、31a 表面、32 構造体、33 ホイールモーター、34a 第1の側面、34b 第2の側面、40 発光素子、41 蛍光体層、41a 入射面、42 光透過層、42a 蛍光出射面、43a 第1の反射部、43b 第2の反射部、44 ダイクロイック膜、45 ホイール基板、45a 表面、46 溝、47 熱伝導部、48 溝、49 凹凸構造、50 蛍光体ホイール、51 単位構造体、52 蛍光体層、52a 入射面、53 光透過層、53a 蛍光出射面、54 反射部、54a 第1の反射部、54b 第2の反射部、55 反射部、55a 第3の反射部、55b 第4の反射部、56 ダイクロイック膜、57 発光素子、70 蛍光体ホイール、72 反射層、74 光源装置、100 蛍光体、200 励起光、N 法線、R 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、蛍光体を含む蛍光体層と該蛍光体層の前記基板とは反対側に設けられた光透過層と、を含む発光素子と、
前記蛍光体層と前記光透過層との界面と交差する前記発光素子の第1の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第1の反射部と、
を備えたことを特徴とする波長変換素子。
【請求項2】
前記第1の側面は、前記基板の回転軸を中心とする円に沿う方向と該円と交差する方向とのうちいずれか一方の方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項3】
前記第1の側面と対向する前記発光素子の第2の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第2の反射部をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の波長変換素子。
【請求項4】
前記第1の側面と交差する前記発光素子の第3の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第3の反射部と、
前記第3の側面と対向する前記発光素子の第4の側面に設けられ、前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第4の反射部と、
をさらに有することを特徴とする請求項2又は3に記載の波長変換素子。
【請求項5】
前記発光素子は、前記基板の表面に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項6】
前記発光素子は、前記基板に設けられた溝に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項7】
前記第1の反射部の前記発光素子とは反対側に設けられた熱伝導部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項8】
前記蛍光体層は、前記蛍光体が分散されたバインダーを有し、
前記光透過層の屈折率は、前記バインダーの屈折率と同じであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項9】
前記光透過層の前記蛍光体層とは反対側の表面に設けられた凹凸構造を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項10】
前記基板と前記蛍光体層との間に設けられ、前記蛍光体を励起する励起光を透過させ、前記蛍光体から射出される蛍光を反射する波長分離層を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項11】
前記基板と前記蛍光体層との間に設けられ、前記蛍光体を励起する励起光と前記蛍光体から射出される蛍光とを反射する反射層を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項12】
前記基板は、金属からなることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項13】
励起光を射出する励起光用光源部と、
前記励起光の照射により蛍光を射出する、請求項1から12のいずれか一項に記載の波長変換素子と、を有することを特徴とする光源装置。
【請求項14】
前記波長変換素子に形成される前記励起光のスポットの、前記基板の回転軸を中心とする円の半径方向の大きさは、前記蛍光体層の前記半径方向の幅より小さいことを特徴とする請求項13に記載の光源装置。
【請求項15】
励起光を射出する励起光用光源部と、該励起光の照射により蛍光を射出する請求項1に記載の波長変換素子と、を有する光源装置であって、
前記第1の側面は、前記基板の回転軸を中心とする円と交差し、
前記波長変換素子は、前記第1の側面と対向する前記発光素子の第2の側面に設けられるとともに前記蛍光体層の内部を前記基板と平行に進む光を前記基板とは逆方向に向かって反射させる第2の反射部をさらに有し、
前記励起光用光源部により前記励起光を射出するパルス周波数をF(Hz)、前記波長変換素子の回転数をm(rps)、とすると、Fはmの整数倍であることを特徴とする光源装置。
【請求項16】
請求項13から15のいずれか一項に記載の光源装置から射出した光を画像信号に応じて変調して、投写することを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−98438(P2012−98438A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245025(P2010−245025)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】