洗浄装置、洗浄方法、予備吐出装置、及び塗布装置
【課題】予備吐出動作時にプライミングローラを用いない予備吐出装置において高い洗浄性が得られる、洗浄装置、洗浄方法、予備吐出装置、及び塗布装置を提供する。
【解決手段】塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面81を洗浄する装置100である。液状体が塗布された予備吐出面81上を摺動するスキージ110a,110b,110cと、スキージ110a,110b,110cの摺動方向側の面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを有する。
【解決手段】塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面81を洗浄する装置100である。液状体が塗布された予備吐出面81上を摺動するスキージ110a,110b,110cと、スキージ110a,110b,110cの摺動方向側の面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、洗浄方法、予備吐出装置、及び塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線パターンや電極パターンなどの微細なパターンが形成されている。一般的に、このようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、ガラス基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜をパターン露光する工程、その後に当該レジスト膜を現像する工程がそれぞれ行われる。
【0003】
基板上にレジスト膜を塗布する装置として、スリットノズルを固定し、当該スリットノズルの下を移動するガラス基板にレジスト(液状体)を塗布する塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような塗布装置では塗布膜の均一性を得るため、例えばノズル洗浄やレジスト塗布前の予備吐出動作等のノズル先端管理を行っている。
【特許文献1】特開2005−236092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の塗布装置では、予備吐出動作としてプライミングローラと呼ばれるローラ面上にレジストを吐出(塗布)している。しかしながら、上記構成ではローラ上に吐出(塗布)された塗布液を洗浄する際に洗浄液が大量に必要となるといった問題があった。そこで、予備吐出動作時にプライミングローラを用いない新たな構成の予備吐出装置において良好な洗浄可能とする手法の提供が望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、予備吐出動作時にプライミングローラを用いない予備吐出装置において高い洗浄性が得られる、洗浄装置、洗浄方法、予備吐出装置、及び塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する装置であって、液状体が塗布された前記予備吐出面上を摺動するスキージと、該スキージの摺動方向側の面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の洗浄装置によれば、スキージの摺動方向側の面に供給した洗浄液によって液状体を希釈化させつつ予備吐出面上を摺動するスキージによって液状体を良好に掻き取ることができる。また、洗浄液供給部から洗浄液を予備吐出面上に選択的に供給することで洗浄液の使用量が抑えられたものとなる。
【0008】
また上記塗布装置においては、前記洗浄液供給部は、前記スキージに対して前記洗浄液を吐出する複数の吐出口を有するのが好ましい。
この構成によれば、予備吐出面上に洗浄液を良好に吐出することが可能となる。
さらに複数の前記吐出口は、隣接する前記吐出口から吐出されて前記スキージの面上を伝う前記洗浄液同士が、前記スキージの先端に至って一体化するように設けられているのがより好ましい。
この構成によれば、スキージ先端にて洗浄液が一体化するので、スキージと予備吐出面との接触端の全域に亘って洗浄液を供給することができる。
【0009】
また上記塗布装置においては、前記各吐出口は等間隔に配列されているのが好ましい。
この構成によれば、等間隔に配置された吐出口から洗浄液が供給されるので、例えば各吐出口から吐出される洗浄液量を同等とすることで予備吐出面上に均一に洗浄液を供給することができる。
【0010】
また上記塗布装置においては、前記スキージを複数備えるのが好ましい。
この構成によれば、複数のスキージが予備吐出面上を摺動するので、高い洗浄性を備えたものとなる。
この場合、前記洗浄液供給部は、前記複数のスキージのうち、少なくとも摺動方向最後尾の前記スキージを除いて前記洗浄液を供給するのがより好ましい。
この構成によれば、摺動方向最後尾のスキージが予備吐出面上を摺動する際に、前方のスキージによって取り残された液状体を掻き取る仕上げスキージとして機能する。よって、予備吐出面上への液状体の掻き取り残しが防止された、洗浄性の高いものとなる。
【0011】
また上記塗布装置においては、各々の前記スキージに対応して複数の前記吐出口が設けられており、摺動方向先頭の前記スキージに対応する前記吐出口の数は、摺動方向後方の前記スキージに対応する前記吐出口の数よりも多いのが好ましい。
この構成によれば、液状体が多く存在する摺動方向先頭側に洗浄液を多く吐出し、予備吐出面上を複数のスキージが摺動することで液状体を確実に掻き取ることができる。よって、液状体の掻き取り残しが抑制され、高い洗浄性を得ることができる。
【0012】
本発明の洗浄方法は、塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する方法であって、液状体が塗布された略平面の前記予備吐出面を摺動するスキージの前記摺動方向側の面に洗浄液を供給しつつ、前記スキージによって前記洗浄液とともに前記液状体を掻き取ることを特徴とする。
【0013】
本発明の洗浄方法によれば、スキージの摺動方向側の面に供給した洗浄液によって液状体を希釈化させつつ予備吐出面上を摺動するスキージにより液状体を良好に掻き取ることができる。また、洗浄液供給部から洗浄液を予備吐出面上に選択的に供給しているので洗浄液の使用量を抑制することができる。
【0014】
また、上記洗浄方法は、前記スキージの前記面上の複数個所に前記洗浄液を供給するのが好ましい。
この構成によれば、予備吐出面上に洗浄液を良好に吐出することができ、高い洗浄性を得ることが可能となる。
このとき、前記スキージの前記面上において、少なくとも隣接する位置に供給されて前記面上を伝う前記洗浄液が前記スキージの先端に至って一体化するように前記洗浄液を供給するのがより好ましい。
この構成によれば、スキージ先端にて洗浄液が一体化するのでスキージと予備吐出面との接触端の全域に亘って洗浄液を供給することができる。よって、高い洗浄性を得ることができる。
【0015】
また、上記洗浄方法は、複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、少なくとも摺動方向最後尾に位置する前記スキージを除いた他の前記スキージに対して前記洗浄液を供給するのが好ましい。
この構成によれば、摺動方向最後尾のスキージを、予備吐出面上を摺動する際に他のスキージによって取り残された液状体を掻き取る仕上げスキージとして機能させることができる。よって、予備吐出面上への液状体の掻き取り残しが防止された、洗浄性の高いものとなる。
【0016】
また、上記洗浄方法は、複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、摺動方向の先頭側に位置する前記スキージに対する前記洗浄液の供給量を、他の前記スキージに対する前記洗浄液の供給量よりも多くするのが好ましい。
この構成によれば、摺動方向先頭側のスキージに洗浄液を多く供給するととも、予備吐出面上を全てのスキージが摺動することで洗浄液とともに液状体を確実に掻き取ることができる。
【0017】
本発明の洗浄装置は、上記洗浄装置を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の予備吐出装置によれば、高い洗浄性を有する洗浄装置を備えているので、予備吐出面を良好に洗浄することで予備吐出動作を確実に行うことができる高信頼性のものとなる。
【0019】
本発明の塗布装置は、上記の予備吐出装置を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の塗布装置によれば、予備吐出面における高い洗浄性を有する予備吐出装置を備えているので、予備吐出動作を良好に行うことで塗布部を常に良好な状態に保持することができ、均一な膜厚にて液状体の塗布を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、予備吐出動作時にプライミングローラを用いない予備吐出装置においても、予備吐出面上を摺動するスキージによって当該予備吐出面上の液状体を良好に掻き取ることで、高い洗浄性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係る塗布装置1は、図9に示すように、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、従来のプライミングローラに代わる予備吐出面上にレジストの予備吐出を行い、当該予備吐出面の良好な洗浄を可能とするものである。塗布装置1は、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4とを主要な構成要素とし、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。
【0023】
(管理部)
まず管理部4の構成について図9〜13を参照して説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2に平面視で重なるように塗布部3に対して−X方向側(基板搬送方向の上流側)に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構(予備吐出装置)42と、ディップ槽41と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部44を保持する保持部材45とを有している。保持部材45は、移動機構45aに接続されている。当該移動機構45aにより、収容部44がX方向に移動可能になっている。
【0024】
予備吐出機構42、ディップ槽41及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。これら予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43のY方向の各寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が各部位を跨いでアクセスできるようになっている(図14参照)。
ディップ槽41は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32aの周辺領域をリンス洗浄する装置である。
【0025】
以下、予備吐出機構42の構成について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は予備吐出機構42の概略構成を説明するための図である。
図1に示されるように、予備吐出機構42はノズル32(塗布部3)の予備吐出動作に用いられるものであって、レジストの予備吐出を行うための予備吐出面81を有する予備吐出ユニット103と、この予備吐出面81を洗浄する予備吐出面洗浄ユニット(洗浄装置)100とを有している。
【0026】
予備吐出ユニット103は、例えばSUS、石材、ガラス等から構成される板状の予備吐出プレート80を備えており、この予備吐出プレート80における一方の面が上記予備吐出面81を構成している。予備吐出プレート80はその長手方向がノズルの長手方向に一致している。
予備吐出面洗浄ユニット100は、レジストRが塗布された上記予備吐出面81上を移動することで洗浄処理を行うもので予備吐出面81上を摺動してレジストRを掻き取るスキージ110を有している。
【0027】
(予備吐出面洗浄ユニット)
図面を参照しつつ予備吐出面洗浄ユニット100の概略構成について説明する。図2は予備吐出面洗浄ユニット100の概略図を示すものである。なお、図2は予備吐出面洗浄ユニット100が予備吐出面81上に配置された状態を図示するものである。
【0028】
図2に示されるように、予備吐出面洗浄ユニット100は、スキージヘッド部105と、当該スキージヘッド部105を支持するとともに当該スキージヘッド部105を予備吐出面81に対して移動可能にするアーム部101と、予備吐出面81に向けて空気(気体)を噴出する乾燥部(乾燥機構)120と、上記予備吐出面81に残存する液状体を吸引する吸引部(吸引機構)130とを備えている。
【0029】
上記スキージヘッド部105は、上記予備吐出面81に洗浄液を吐出する少なくとも1つの吐出口102と、レジストが塗布された予備吐出面81上を摺動して洗浄液を掻き取る3つのスキージ110と、上記各吐出口102から吐出される洗浄液の吐出量を制御する制御部140とを備えて構成される。
【0030】
以下の説明を分かり易くするため、上記スキージ110について、摺動方向側から順に第一スキージ110a、第二スキージ110b、及び仕上げスキージ110cと称す。
これらスキージ110(110a,110b,110c)は、平面視矩形状の板状部材から構成されており、その構成材料としては予備吐出面81上に塗布されるレジストを掻き取ることができれば種々のものを採用でき、本実施形態では例えばポリエステルが用いられる。スキージ110の長さは予備吐出面81の幅と同等以上に設定され、これによりスキージ110が予備吐出面81上に塗布されたレジストを掻き取ることができる。
【0031】
またスキージ110は、予備吐出面81に対して15°以上50°以下傾いた状態(より好ましくは45°傾いた状態)にスキージヘッド部105に取り付けるのが望ましく、このような角度範囲に設定することで予備吐出面81上を摺動するスキージ110によって高い洗浄性が得られるようになっている。具体的に本実施形態では上記傾き角度を45°とした。すなわち、スキージ110は互いに略平行の姿勢で摺動方向に配置されたものとなっている。
【0032】
図1に示したように、予備吐出面洗浄ユニット100は予備吐出面81上を移動可能であり、スキージヘッド部105に保持されたスキージ110は上記予備吐出面81上を摺動するようになっている。図3はスキージヘッド部105におけるスキージ110の取付状態を示すものである。同図に示されるスキージ110は予備吐出面81に対する接触端である。
【0033】
図3に示されるように、上記スキージ110は、予備吐出面81との接触端の長さ方向をスキージ110の摺動方向に対して斜めに向けた姿勢でスキージヘッド部105に支持される。具体的には、接触端の長さ方向とスキージ110の摺動方向との交差角度を80°以下とするのが望ましい(本実施形態では80°に設定した)。
【0034】
図2に示したようにスキージヘッド部105には、第一スキージ110a、及び第二スキージ110bとの間に空隙107が形成されるようになっている。さらにスキージヘッド部105には、上記空隙107に連通する洗浄液供給管106aが設けられている。
【0035】
図4に示されるように、上記洗浄液供給管106aは、スキージヘッド部105の長手方向に沿って形成されており、本実施形態では例えば10個の空隙107に洗浄液を供給するようになっている。この空隙107はそれぞれ等間隔で配置されている。なお、上記空隙107の数はこれに限定されることはなく、適宜変更可能である。またスキージヘッド部105の側部(同図中、右側)には、上記洗浄液供給管106aに接続される洗浄液供給手段106が設けられている。この洗浄液供給手段106は、例えばシンナー等の洗浄液が充填された洗浄液槽(不図示)から洗浄液を吸引するとともに上記洗浄液供給管106aに洗浄液を供給するポンプ等によって構成される。
【0036】
上記洗浄液供給手段106には、各吐出口102から吐出される洗浄液の吐出量を制御する制御部140が電気的に接続されている。そして、制御部140からの電気信号に基づいて洗浄液供給手段106を調節し、洗浄液供給管106aを経て各吐出口102から吐出される洗浄液の吐出量を調整可能となっている。本実施形態では上記制御部140は第一吐出口102a、及び第二吐出口102bから吐出される洗浄液の量を同等となるように上記洗浄液供給手段106を調整している。
【0037】
したがって、洗浄液供給手段106により吸引した洗浄液を洗浄液供給管106aから空隙107に流入させることで洗浄液が吐出される上記吐出口102(洗浄液供給部)が構成される。吐出口102から吐出された洗浄液は、スキージ110の摺動方向側の面を伝って予備吐出面81上に供給(吐出)される。
【0038】
本実施形態に係るスキージヘッド部105は、上記スキージ110のうち、摺動方向最後尾(仕上げスキージ110c)を除く、第一スキージ110a、及び第二スキージ110bに対応して第一吐出口102aと第二吐出口102bとがそれぞれ10個設けられている。なお、吐出口102の数はこれに限定されることはなく、適宜変更が可能である。スキージに対応する吐出口102とはスキージ110近傍に設けられ、スキージ110の摺動方向側の予備吐出面81上に洗浄液を吐出(供給)するものを意味している。
【0039】
本実施形態では、上記第一第二吐出口102a,102bがそれぞれ等間隔で配置されており、これによりスキージ110の摺動方向側の面に洗浄液を均一に配置させることができるようになっている。さらに吐出口102a,102bは、図5に示すように隣接する吐出口102から吐出されてスキージ110の面上を伝う洗浄液同士がスキージ110の先端に至って一体化するように空隙107がスキージヘッド部105に形成されている。
【0040】
次に、スキージヘッド部105を支持するアーム部101の構成について説明する。図6はアーム部101の周辺構造を示す拡大図である。
アーム部101はSUS等の金属プレートを主体として構成されるもので、図6に示されるように上記スキージヘッド部105を支持するクロスローラベアリング(揺動機構)150が設けられている。クロスローラベアリング150は、内輪と外輪の間に、ころを直交させて配列し、上記スキージヘッド部105を揺動自在に支持できるものである。なお、揺動機構としては、上記クロスローラベアリング150に限定されず、例えばスキージヘッド部105を所定方向(スキージ110の長手方向)に揺動可能とする軸受機構であれば種々のものを用いることができる。
【0041】
また、アーム部101には開口部108が形成されており、この開口部108に挿入されることでクロスローラベアリング150はアーム部101の下面(予備吐出面81に対向する面)側から上面側に通りぬけた状態となっている。
クロスローラベアリング150は、アーム部101の上面側に固定配置された軸部152に支持されている。したがって、クロスローラベアリング150は、軸部152に沿って回転可能となりアーム部101に対して揺動自在となっている。
【0042】
クロスローラベアリング150には、スキージヘッド部105の取付用の取付板151が設けられている。スキージヘッド部105は、アーム部101の下面側に配置された上記取付板151にボルトB2によって固定されている。したがって、スキージヘッド部105は、上記クロスローラベアリング150によって揺動自在に設けられたものとなっている。
この構成により、スキージヘッド部105が回転(揺動)することでスキージ110を予備吐出面81上に確実に接触させることができ、良好に摺動できるようになっている。
【0043】
乾燥部120は、図2に示したようにスキージヘッド部105に対し摺動方向の反対側に設けられ、外部からフランジを用い、スキージ110の摺動方向に空気を薄く平板状(例えばエアナイフ方式)にして噴出することで予備吐出面81の乾燥処理を行うものである。
【0044】
吸引部130は、上記乾燥部120に対し、スキージ110の摺動方向の反対側に併設して設けられている。吸引部130には例えばフランジを介して図示略の吸引ポンプが接続されており、この吸引ポンプを制御することで吸引圧を調整可能となっている。この吸引部130は、予備吐出面81上に残存するレジストを吸引するものである。なお、吸引部130は、予備吐出面上に残存するレジストのみならず、洗浄液や洗浄液とレジストが混合した廃液を吸引可能となっており、予備吐出面洗浄ユニット100における洗浄性を向上させている。
このように吸引部130と乾燥部120とを併設させることで、乾燥部120から噴出した空気によって予備吐出面81を乾燥させつつ、予備吐出面81近傍の雰囲気を吸引することで空気噴射(噴出)によって予備吐出面81上に異物(ゴミ等)が飛散するのを防止できるようになっている。
【0045】
(予備吐出ユニット)
次に上記予備吐出ユニット103の構成について説明する。図7は予備吐出ユニット103の概略構成を示し、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図である。
図7(a)、(b)に示されるように、予備吐出ユニット103は、ノズル32(塗布部3)の予備吐出動作によってレジストが塗布される予備吐出面81を有する予備吐出プレート80を主体として構成され、上記予備吐出面81が水平となるように上記予備吐出プレート80が保持されている。そして、予備吐出面洗浄ユニット100のスキージ110が予備吐出面81上を摺動するようになっている。
【0046】
本実施形態では、上述したように予備吐出面洗浄ユニット100は、予備吐出面81との接触端の長さ方向を摺動方向に対して斜めに傾けた姿勢でスキージ110を保持している(図3参照)。そのため、レジストが塗布された予備吐出面81上をスキージ110が摺動すると、スキージ110によって掻き取られたレジストはスキージ110の長さ方向における摺動方向後方(図7(a)参照)に概ね押し退けられる。本実施形態に係る予備吐出ユニット103は、スキージ110の摺動動作によりスキージ110の側端側に流出したレジストを排出する側方排出部93を備えている。
【0047】
側方排出部93は予備吐出面81を有する予備吐出プレート80に一体に形成されていてもよいし、別部材から構成されていてもよい。本実施形態では予備吐出プレート80の側方に、スキージ110の摺動方向に延在するスリット状の側溝部93aを形成し、側方排出部93を一体形成した。
【0048】
図7(b)に示すように、側方排出部93にはレジストを吸引する吸引回収機構95が設けられている。この吸引回収機構95としては、例えば吸引ポンプが用いられる。上記側溝部93aは、上記吸引回収機構95に接続された吸引口95aと、この吸引口95aに向かって下降する傾斜面93bとを有する4つの領域が、スキージ110の摺動方向に沿って配列されることで構成されている。この構成により、側方排出部93は側溝部93aに排出されたレジストを傾斜面93bに沿って吸引口95a側に流れ易くするとともに、吸引口95aからレジストを良好に排出できるようになっている。
【0049】
ところで、上述したようにスキージ110によって掻き取られたレジストは予備吐出面81の側方(側方排出部93)に移動されるが、一部のレジストがスキージ110の摺動方向前方に移動する。
【0050】
そこで、本実施形態に係る予備吐出ユニット103は、図7(a)、(b)に示されるようにスキージ110の摺動動作によりスキージ110の摺動方向前方に移動されたレジストを排出する前方排出部92を備えている。前方排出部92はレジストを吸引する吸引回収機構95を有している。なお、図示されないものの上記側方排出部93と同様に、吸引回収機構95に接続され吸引口95aに向かって下降する傾斜面93bを有する側溝部を前方排出部92に形成してもよい。また、上述したような側溝部は側方排出部93及び前方排出部92の少なくとも一方に形成するようにしてもよい。
【0051】
さらに予備吐出ユニット103は、予備吐出面81の側方に予備吐出面洗浄ユニット100を載置する待機部91が設けられている。待機部91は、予備吐出面81上にノズル32からレジストが予備吐出されている間、予備吐出面洗浄ユニット100を待機させておく部材である。具体的に本実施形態では、スキージ110の摺動方向後方に待機部91が設けられており、予備吐出面81の洗浄時に予備吐出ユニット103を待機部91から予備吐出面81まで短時間で移動できるようにしている。
【0052】
待機部91は、上記予備吐出面洗浄ユニット100を載置させる載置面91aを有している(図1参照)。載置面91aは、例えば予備吐出面81と同等或いはそれよりも低い位置に予備吐出面洗浄ユニット100を待機させるようになっている。特に載置面91aが予備吐出面81よりも低い位置に予備吐出洗浄ユニット100を待機させることで、予備吐出動作時に伴って予備吐出面81上に移動してくるノズル32と予備吐出面洗浄ユニット100との干渉を防止することができる。
【0053】
上記載置面91aは図8に示すように断面視凹凸構造からなり、この凹凸構造がスキージ洗浄機構94を構成している。スキージ洗浄機構94は、予備吐出面81の洗浄後、上記凹凸構造によってスキージ110に付着したレジストの除去機能を有するものである。
【0054】
(塗布装置)
次に、本実施形態に係る塗布装置1について図面を参照して説明する。本実施形態に係る塗布装置1は、上述の予備吐出機構(予備吐出装置)42を備えている。図9は塗布装置1の斜視図、図10は塗布装置1の正面図、図11は塗布装置1の平面図、図12は塗布装置1の側面図である。
【0055】
図9〜12に示されるように、塗布装置1は、基板搬送部2と、塗布部3と、上記管理部4とを主要な構成要素とし、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、上記管理部4によって塗布部3の状態を管理するものである。
【0056】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0057】
以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、図中の方向をXYZ座標系を用いて説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0058】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する部位であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24の上部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出孔25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出孔25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0059】
エア噴出孔25aは、搬入側ステージ25のステージ表面25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出孔25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出孔25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0060】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0061】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材(図示しない)を有しており、搬入ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0062】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の裏面側に基板搬入位置に対応する位置に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0063】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。
処理ステージ27は、ステージ表面27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出孔27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引孔27bとが設けられている。これらエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。
【0064】
処理ステージ27では、エア噴出孔27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出孔25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出孔27aが密に設けられている。このため、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。
【0065】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出孔28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の裏面側に基板搬出位置に対応する位置に設けられている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0066】
搬送機構23は、搬送機23aと、真空パッド23bと、レール23cとを有している。搬送機23aは内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機23aがレール23c上を移動可能になっている。この搬送機23aは、所定の部分23dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるように配置されている。この基板Sに重なる部分23dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に設けられている。
【0067】
真空パッド23bは、搬送機23aのうち上記基板Sに重なる部分23dに複数配列されている。この真空パッド23bは、基板Sを真空吸着させる吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド23bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。各真空パッド23bは搬送機23aの上面からの高さ位置が調節可能になっており、例えば基板Sの浮上量に応じて真空パッド23bの高さ位置を上下させることができるようになっている。レール23cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在しており、当該レール23cを摺動することで搬送機23aが当該各ステージに沿って移動できるようになっている。
【0068】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0069】
この門型フレーム31は移動機構31cに接続されており、X方向に移動可能になっている。この移動機構31cによって門型フレーム31が管理部4との間で移動可能になっている。すなわち、門型フレーム31に設けられたノズル32が管理部4との間で移動可能になっている。
【0070】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支持部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には移動機構32cが設けられており、当該移動機構32cによってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。
【0071】
(塗布装置の動作)
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図14〜図17は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。図14〜図17には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0072】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に搬送機23aを配置させ、真空パッド23bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出孔25a、処理ステージ27のエア噴出孔27a、エア吸引孔27b及び搬出側ステージ28のエア噴出孔28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0073】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から図14に示す基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。そして、昇降ピン26bによって基板Sが持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0074】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された搬送機23aの真空パッド23bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。基板Sの−Y方向側端部が吸着された状態を図14に示す。真空パッド23bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機23aをレール23cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機23aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール23cに沿ってスムーズに移動する。
【0075】
基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、図15に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機23aによって基板Sを搬送させながら行う。基板Sの移動に伴い、図16に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0076】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機23aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、図17に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。
【0077】
基板Sが基板搬出位置に到達したら、真空パッド23bの吸着を解除し、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。すると、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、搬送機23aを再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻し、次の基板Sが搬送されるまで待機させる。
【0078】
次の基板Sが搬送されてくるまでの間、塗布部3は管理部4においてノズル32の状態が管理される。図18に示すように門型フレーム31を管理部4の位置まで移動させた後、門型フレーム31の位置を調整(移動及び降下)してノズル32をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル32を洗浄する(図13参照)。ノズル32の洗浄処理を行う頻度としては、ユーザによって適宜設定され、1枚の基板S毎に洗浄処理を行ってもよいし、数枚に1回の割合で洗浄処理を行うようにしてもよい。
【0079】
なお、長時間レジスト塗布を行わない場合には、ノズル32をディップ槽41内に配し、このディップ槽41に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32が乾燥するのを防止する。
【0080】
ノズル32の洗浄後、塗布部3を予備吐出機構42にアクセスさせ、ノズル32の吐出状態を保持するための予備吐出処理を行う。この予備吐出処理は上記予備吐出機構(予備吐出装置)42を用いることで行われる。予備吐出機構42内では予備吐出面81上にレジストの予備吐出が行われると、予備吐出面洗浄ユニット100が予備吐出面81の洗浄処理を行う。
【0081】
(予備吐出動作)
以下、予備吐出機構42の動作方法について説明するとともに、予備吐出機構42、予備吐出面洗浄ユニット(洗浄装置)100、及び洗浄方法によって得られる作用効果について図面を参照して述べる。
【0082】
予備吐出面81上にレジストを塗布した後、待機部91上に載置されている予備吐出面洗浄ユニット100のスキージ110を予備吐出面81の高さに配置する。これにより、予備吐出面洗浄ユニット100は予備吐出面81上の洗浄開始位置に配置されることとなる(図1参照)。
【0083】
続いて、アーム部101を介して予備吐出面洗浄ユニット100を移動させことで複数のスキージ110を予備吐出面81上に摺動させ、予備吐出面81上に塗布されたレジストRを掻き取る。
【0084】
このとき、予備吐出面洗浄ユニット100は、スキージ110の摺動方向側の面に吐出口102から洗浄液を吐出させる。この洗浄液(シンナー)は予備吐出面81上に塗布されたレジストRを希釈させ、予備吐出面81上からレジストRの除去性を向上させることができる。このように洗浄液が供給された予備吐出面81上を摺動するスキージ110によって、レジストRを予備吐出面81から良好に掻き取ることができる。
【0085】
具体的には、予備吐出面洗浄ユニット100は、第一スキージ110aの摺動方向前方側の予備吐出面81上に第一吐出口102aから洗浄液を供給し、希釈化されたレジストRを第一スキージ110aによって掻き取る。
したがって、第一スキージ110aによって予備吐出面81の粗洗浄処理を行うことができる。
【0086】
予備吐出面洗浄ユニット100は、第一スキージ110aが通過した予備吐出面81における第二スキージ110bの摺動方向前方に第二吐出口102bから洗浄液を供給し、希釈化されたレジストRを第二スキージ110bによって掻き取る。したがって、第二スキージ110bによって予備吐出面81の本洗浄処理を行うことができる。
なお、本実施形態では、上記第一吐出口102a、及び第二吐出口102bから同量の洗浄液が吐出されるように、制御部140は洗浄液供給手段106を調整している。
【0087】
予備吐出面洗浄ユニット100は、第二スキージ110bが通過した予備吐出面81上に仕上げスキージ110cを摺動させる。これにより、第一スキージ110a、及び第二スキージ110bにおける洗浄処理の残渣(洗浄液及びレジストR)を掻き取ることができ、高い洗浄性を得ることができる。
【0088】
これらスキージ110(110a,110b,110c)は、図3に示したように予備吐出面81との接触端の長さ方向をスキージ110の摺動方向に対して斜めに向けた姿勢でスキージヘッド部105に支持されている。よって、図7(a)に示したようにスキージ110によって掻き取られたレジストRはスキージ110の長さ方向における摺動方向後方に押し退けられ側方排出部93に収容され、側方排出部93に設けられた吸引回収機構95によってレジストを良好に排出できる。
【0089】
予備吐出面洗浄ユニット100は、仕上げスキージ110cが通過した予備吐出面81上に乾燥部120を通過させる。乾燥部120は、予備吐出面81上に薄い平板状の空気を噴出することで予備吐出面81に乾燥処理を施す。これにより、予備吐出面81上の洗浄液を乾燥させることができる。
【0090】
予備吐出面洗浄ユニット100は、乾燥部120に続けて吸引部130を予備吐出面81上に通過させる。吸引部130は、前記予備吐出面81上に残存したレジストRを吸引することができる。また、吸引部130は残存したレジストRを吸引するだけでなく、上記乾燥部120による乾燥処理によって基板上に発生した異物(ゴミ等)も吸引することができる。
よって、予備吐出面洗浄ユニット100は予備吐出面81上に塗布されたレジストRを良好に除去することができる。
【0091】
上記側方排出部93に収容されることなく、スキージ110によって予備吐出面81の洗浄終了位置まで移動されるレジストRは前方排出部92に収容され、当該前方排出部92に設けられた吸引回収機構95によって良好に排出される。
【0092】
予備吐出面洗浄ユニット100が前方排出部92に到達すると、予備吐出面81の洗浄処理が終了となる(図1参照)。
洗浄処理の終了後、予備吐出機構42は予備吐出面洗浄ユニット100を待機部91に載置する。以上のフローにより、予備吐出面洗浄ユニット100における予備吐出面81の洗浄処理が終了する。なお、載置部91aに載置された予備吐出面洗浄ユニット100に対し、必要に応じて前記スキージ清掃機構91を用いることでスキージ110の洗浄処理を行ってもよい。これにより、スキージを良好な状態に保つことができ、予備吐出面上における洗浄品質を安定させることができる。
【0093】
ところで、スキージ110は予備吐出面81上を摺動することで経時的な磨耗が生じる。本実施形態に係る予備吐出面洗浄ユニット100は、図6に示したようにスキージ110を保持するスキージヘッド部105がクロスローラベアリング150によりスキージ110の長手方向に対して揺動自在となっている。
そのため、スキージ110に磨耗が生じた場合でもスキージ110が予備吐出面81に追従して動くので、スキージ110を予備吐出面81に対して良好に摺動させることができる。このように、スキージ110は予備吐出面81に対して常に一定の状態で当接したものとなるので、予備吐出面洗浄ユニット100は安定した洗浄性を得ることができる。
【0094】
このように予備吐出面洗浄ユニット100による予備吐出面81の洗浄処理が終了した後、次の基板Sが搬送されてきたら、図19に示すように移動機構32bによってノズル32を所定の位置に移動させる。このように、基板SにレジストRを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジストRが形成されることとなる。
【0095】
以上述べたように上記実施形態によれば、予備吐出面81を洗浄する場合においても、スキージ110の摺動前方に洗浄液を供給するとともに予備吐出面81上を複数のスキージ110が摺動することで予備吐出面81を良好に洗浄することができる。すなわち、塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置において、従来のようなプライミングローラに代わる予備吐出面81を用いた構成においても、良好な洗浄を行うことができる。
【0096】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では第一吐出口102a、及び第二吐出口102bから同量の洗浄液を吐出させるように洗浄液の吐出量を制御部140によって制御する構成としたが、本発明はこれに限定されることはない。
例えば制御部140によって、上記吐出口102のうち、スキージ110の摺動方向先頭側の吐出口102、すなわち上記第一吐出口102aから吐出される洗浄液の量が最も多くなるように洗浄液の吐出量を制御してもよく、このようにすればレジストが多く付着している摺動方向先頭側における予備吐出面81の洗浄性を向上でき、洗浄処理を良好に行うことが可能となる。
【0097】
または制御部140によって、上記吐出口102のうち、摺動方向最後尾の吐出口102、すなわち上記第二吐出口102bから吐出される洗浄液の量が最も少なくなるように洗浄液の吐出量を制御してもよく、このようにすればレジストの付着量が少ない摺動方向最後尾側での洗浄液吐出量を抑えることで洗浄液を無駄にすることがなく、洗浄液の使用量を抑えることができる。
【0098】
また、上記実施形態ではスキージ110を3つ備えた構成としたが、スキージ110の数はこれに限定されず、2つ、あるいは4つ以上のスキージ110を備えていればよい。特にスキージ110を4つ以上備える場合には、摺動方向最後尾を除くスキージ110に対応して上記吐出口102を設け、上記吐出口102のうち、摺動方向先頭側の吐出口102から最後尾の吐出口102にかけて洗浄液の吐出量が徐々に少なくなるように洗浄液の吐出量を制御部140によって制御してもよい。このようにすればレジストの量が少なくなるスキージ110の摺動方向後方に向かって洗浄液の吐出量を抑えることができるので、洗浄液の過剰吐出を防止し、洗浄液の使用量を抑えることができる。またスキージ110を4つ以上備える場合においても、上述したように摺動方向最後尾の吐出口102からの洗浄液吐出量が最も少なくなるような制御を行ったり、或いは摺動方向先頭側の吐出口102からの洗浄液吐出量が最も多くなるような制御を行ってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、第一吐出口102a、及び第二吐出口102bをそれぞれ10個形成したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、摺動方向先頭の第一スキージ110aに対応する第一吐出口102aの数を、摺動方向後方の第二スキージ110bに対応する第二吐出口102bの数よりも多くしてもよく、このようにすればレジストが多く付着している摺動方向先頭側における洗浄性を向上させつつ、レジストの付着量が少ない摺動方向後方側での洗浄液吐出量を抑えることで洗浄液の使用量を抑えることができる。
【0100】
また、上記実施形態では3つのスキージ110が予備吐出面81に対して45°傾いた状態にスキージヘッド部105に取り付けられた構成となっていたが、3つのスキージ110a,110b,110cにおける取付角度を15°以上50°以下の範囲でそれぞれ異ならせてもよい。
例えば、高い洗浄性が必要となる摺動方向先頭側の第一スキージ110aの取付角度を予備吐出面81に対する接触抵抗が大きくなる45°近傍に設定し、仕上げ処理を行う仕上げスキージ110cの取付角度を予備吐出面81に対する接触抵抗が小さくなる20°近傍に設定してもよい。
【0101】
また、上記実施形態では乾燥部120の構成としてエアナイフ方式のものを採用したが、本発明はこれに限定されることはなく、送風しながら予備吐出面81を乾燥させる乾燥手段であればよく、例えば上面から空気を吹き付けるダウンフロー方式のものを用いてもよい。また、上記実施形態では吸引部130として吸引ポンプからなるものを採用したが、本発明はこれに限定されることはなく予備吐出面81上に残存するレジストを吸引できる機構を有するものであれば種々のものを用いることができる。
【0102】
また、上記実施形態では予備吐出プレート80の一面によって予備吐出面81が構成されているが、予備吐出面81を構成する部材としては板状部材に限定されることはなく、少なくとも一部が予備吐出面81として機能する平面を有する部材であれば種々のものを用いることができる。
また、上記実施形態では予備吐出面洗浄ユニット100が予備吐出プレート80上を移動することでスキージ110を予備吐出面81上に摺動させる構成としたがこれに限定されない。例えば、予備吐出プレート80を上記予備吐出面洗浄ユニット100に対して移動させることで、スキージ110を予備吐出面81上に摺動させるようにしてもよい。すなわち、スキージ110が予備吐出面81に対し相対移動させることのできる構成であれば、種々のものを採用することができる。
【0103】
上記実施形態では塗布装置1の全体構成について搬送機構23を各ステージの−Y方向側に配置する構成としたが、これに限られることは無い。例えば、搬送機構23を各ステージの+Y方向側に配置する構成であっても構わない。また、図20に示すように、各ステージの−Y方向側には上記の搬送機構23(搬送機23a、真空パッド23b、レール23c)を配置し、+Y方向側には当該搬送機構23と同一の構成の搬送機構53(搬送機53a、真空パッド53b、レール53c)を配置して、搬送機構23と搬送機構53とで異なる基板を搬送できるように構成しても構わない。例えば、同図に示すように搬送機構23には基板S1を搬送させ、搬送機構53には基板S2を搬送させるようにする。この場合、搬送機構23と搬送機構53とで基板を交互に搬送することが可能となるため、スループットが向上することになる。また、上記の基板S、S1、S2の半分程度の面積を有する基板を搬送する場合には、例えば搬送機構23と搬送機構53とで1枚ずつ保持し、搬送機構23と搬送機構53とを+X方向に並進させることによって、2枚の基板を同時に搬送させることができる。このような構成により、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】予備吐出機構の概略構成を説明するための図である。
【図2】予備吐出面洗浄ユニットの概略構成図である。
【図3】スキージヘッド部におけるスキージの取付状態を示す簡略図である。
【図4】スキージヘッド部の正面構造の概略図である。
【図5】吐出口から吐出される洗浄液の状態を示す図である。
【図6】アーム部の周辺構成を示す拡大図である。
【図7】予備吐出ユニットの概略構成を示す図である。
【図8】スキージ洗浄機構の構成を示す図である。
【図9】塗布装置の斜視図である。
【図10】塗布装置の正面図である。
【図11】塗布装置の平面図である。
【図12】塗布装置の側面図である。
【図13】管理部の概略構成を示す図である。
【図14】塗布装置の動作過程を示す平面図である。
【図15】図13に続く動作過程を示す平面図である。
【図16】図14に続く動作過程を示す平面図である。
【図17】図15に続く動作過程を示す平面図である。
【図18】塗布部の動作を説明するための図である。
【図19】塗布部の動作を説明するための図である。
【図20】塗布装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
R…レジスト、1…塗布装置、42…予備吐出機構(予備吐出装置)、81…予備吐出面、100…予備吐出面洗浄ユニット(洗浄装置)、102…吐出口、102a…第一吐出口(吐出口)、102b…第二吐出口(吐出口)、110…スキージ、110a…第一スキージ(スキージ)、110b…第二スキージ(スキージ)、110c…仕上げスキージ(スキージ)、120…乾燥部(乾燥機構)、130…吸引部(吸引機構)、140…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、洗浄方法、予備吐出装置、及び塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイなどの表示パネルを構成するガラス基板上には、配線パターンや電極パターンなどの微細なパターンが形成されている。一般的に、このようなパターンは、例えばフォトリソグラフィなどの手法によって形成される。フォトリソグラフィ法では、ガラス基板上にレジスト膜を形成する工程、このレジスト膜をパターン露光する工程、その後に当該レジスト膜を現像する工程がそれぞれ行われる。
【0003】
基板上にレジスト膜を塗布する装置として、スリットノズルを固定し、当該スリットノズルの下を移動するガラス基板にレジスト(液状体)を塗布する塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような塗布装置では塗布膜の均一性を得るため、例えばノズル洗浄やレジスト塗布前の予備吐出動作等のノズル先端管理を行っている。
【特許文献1】特開2005−236092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の塗布装置では、予備吐出動作としてプライミングローラと呼ばれるローラ面上にレジストを吐出(塗布)している。しかしながら、上記構成ではローラ上に吐出(塗布)された塗布液を洗浄する際に洗浄液が大量に必要となるといった問題があった。そこで、予備吐出動作時にプライミングローラを用いない新たな構成の予備吐出装置において良好な洗浄可能とする手法の提供が望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、予備吐出動作時にプライミングローラを用いない予備吐出装置において高い洗浄性が得られる、洗浄装置、洗浄方法、予備吐出装置、及び塗布装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の洗浄装置は、塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する装置であって、液状体が塗布された前記予備吐出面上を摺動するスキージと、該スキージの摺動方向側の面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の洗浄装置によれば、スキージの摺動方向側の面に供給した洗浄液によって液状体を希釈化させつつ予備吐出面上を摺動するスキージによって液状体を良好に掻き取ることができる。また、洗浄液供給部から洗浄液を予備吐出面上に選択的に供給することで洗浄液の使用量が抑えられたものとなる。
【0008】
また上記塗布装置においては、前記洗浄液供給部は、前記スキージに対して前記洗浄液を吐出する複数の吐出口を有するのが好ましい。
この構成によれば、予備吐出面上に洗浄液を良好に吐出することが可能となる。
さらに複数の前記吐出口は、隣接する前記吐出口から吐出されて前記スキージの面上を伝う前記洗浄液同士が、前記スキージの先端に至って一体化するように設けられているのがより好ましい。
この構成によれば、スキージ先端にて洗浄液が一体化するので、スキージと予備吐出面との接触端の全域に亘って洗浄液を供給することができる。
【0009】
また上記塗布装置においては、前記各吐出口は等間隔に配列されているのが好ましい。
この構成によれば、等間隔に配置された吐出口から洗浄液が供給されるので、例えば各吐出口から吐出される洗浄液量を同等とすることで予備吐出面上に均一に洗浄液を供給することができる。
【0010】
また上記塗布装置においては、前記スキージを複数備えるのが好ましい。
この構成によれば、複数のスキージが予備吐出面上を摺動するので、高い洗浄性を備えたものとなる。
この場合、前記洗浄液供給部は、前記複数のスキージのうち、少なくとも摺動方向最後尾の前記スキージを除いて前記洗浄液を供給するのがより好ましい。
この構成によれば、摺動方向最後尾のスキージが予備吐出面上を摺動する際に、前方のスキージによって取り残された液状体を掻き取る仕上げスキージとして機能する。よって、予備吐出面上への液状体の掻き取り残しが防止された、洗浄性の高いものとなる。
【0011】
また上記塗布装置においては、各々の前記スキージに対応して複数の前記吐出口が設けられており、摺動方向先頭の前記スキージに対応する前記吐出口の数は、摺動方向後方の前記スキージに対応する前記吐出口の数よりも多いのが好ましい。
この構成によれば、液状体が多く存在する摺動方向先頭側に洗浄液を多く吐出し、予備吐出面上を複数のスキージが摺動することで液状体を確実に掻き取ることができる。よって、液状体の掻き取り残しが抑制され、高い洗浄性を得ることができる。
【0012】
本発明の洗浄方法は、塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する方法であって、液状体が塗布された略平面の前記予備吐出面を摺動するスキージの前記摺動方向側の面に洗浄液を供給しつつ、前記スキージによって前記洗浄液とともに前記液状体を掻き取ることを特徴とする。
【0013】
本発明の洗浄方法によれば、スキージの摺動方向側の面に供給した洗浄液によって液状体を希釈化させつつ予備吐出面上を摺動するスキージにより液状体を良好に掻き取ることができる。また、洗浄液供給部から洗浄液を予備吐出面上に選択的に供給しているので洗浄液の使用量を抑制することができる。
【0014】
また、上記洗浄方法は、前記スキージの前記面上の複数個所に前記洗浄液を供給するのが好ましい。
この構成によれば、予備吐出面上に洗浄液を良好に吐出することができ、高い洗浄性を得ることが可能となる。
このとき、前記スキージの前記面上において、少なくとも隣接する位置に供給されて前記面上を伝う前記洗浄液が前記スキージの先端に至って一体化するように前記洗浄液を供給するのがより好ましい。
この構成によれば、スキージ先端にて洗浄液が一体化するのでスキージと予備吐出面との接触端の全域に亘って洗浄液を供給することができる。よって、高い洗浄性を得ることができる。
【0015】
また、上記洗浄方法は、複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、少なくとも摺動方向最後尾に位置する前記スキージを除いた他の前記スキージに対して前記洗浄液を供給するのが好ましい。
この構成によれば、摺動方向最後尾のスキージを、予備吐出面上を摺動する際に他のスキージによって取り残された液状体を掻き取る仕上げスキージとして機能させることができる。よって、予備吐出面上への液状体の掻き取り残しが防止された、洗浄性の高いものとなる。
【0016】
また、上記洗浄方法は、複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、摺動方向の先頭側に位置する前記スキージに対する前記洗浄液の供給量を、他の前記スキージに対する前記洗浄液の供給量よりも多くするのが好ましい。
この構成によれば、摺動方向先頭側のスキージに洗浄液を多く供給するととも、予備吐出面上を全てのスキージが摺動することで洗浄液とともに液状体を確実に掻き取ることができる。
【0017】
本発明の洗浄装置は、上記洗浄装置を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の予備吐出装置によれば、高い洗浄性を有する洗浄装置を備えているので、予備吐出面を良好に洗浄することで予備吐出動作を確実に行うことができる高信頼性のものとなる。
【0019】
本発明の塗布装置は、上記の予備吐出装置を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明の塗布装置によれば、予備吐出面における高い洗浄性を有する予備吐出装置を備えているので、予備吐出動作を良好に行うことで塗布部を常に良好な状態に保持することができ、均一な膜厚にて液状体の塗布を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、予備吐出動作時にプライミングローラを用いない予備吐出装置においても、予備吐出面上を摺動するスキージによって当該予備吐出面上の液状体を良好に掻き取ることで、高い洗浄性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係る塗布装置1は、図9に示すように、例えば液晶パネルなどに用いられるガラス基板上にレジストを塗布する塗布装置であり、従来のプライミングローラに代わる予備吐出面上にレジストの予備吐出を行い、当該予備吐出面の良好な洗浄を可能とするものである。塗布装置1は、基板搬送部2と、塗布部3と、管理部4とを主要な構成要素とし、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、管理部4によって塗布部3の状態が管理されるようになっている。
【0023】
(管理部)
まず管理部4の構成について図9〜13を参照して説明する。
管理部4は、基板Sに吐出されるレジスト(液状体)の吐出量が一定になるようにノズル32を管理する部位であり、基板搬送部2に平面視で重なるように塗布部3に対して−X方向側(基板搬送方向の上流側)に設けられている。この管理部4は、予備吐出機構(予備吐出装置)42と、ディップ槽41と、ノズル洗浄装置43と、これらを収容する収容部44と、当該収容部44を保持する保持部材45とを有している。保持部材45は、移動機構45aに接続されている。当該移動機構45aにより、収容部44がX方向に移動可能になっている。
【0024】
予備吐出機構42、ディップ槽41及びノズル洗浄装置43は、−X方向側へこの順で配列されている。これら予備吐出機構41、ディップ槽42及びノズル洗浄装置43のY方向の各寸法は上記門型フレーム31の支柱部材31a間の距離よりも小さくなっており、上記門型フレーム31が各部位を跨いでアクセスできるようになっている(図14参照)。
ディップ槽41は、内部にシンナーなどの溶剤が貯留された液体槽である。ノズル洗浄装置43は、ノズル32の開口部32aの周辺領域をリンス洗浄する装置である。
【0025】
以下、予備吐出機構42の構成について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は予備吐出機構42の概略構成を説明するための図である。
図1に示されるように、予備吐出機構42はノズル32(塗布部3)の予備吐出動作に用いられるものであって、レジストの予備吐出を行うための予備吐出面81を有する予備吐出ユニット103と、この予備吐出面81を洗浄する予備吐出面洗浄ユニット(洗浄装置)100とを有している。
【0026】
予備吐出ユニット103は、例えばSUS、石材、ガラス等から構成される板状の予備吐出プレート80を備えており、この予備吐出プレート80における一方の面が上記予備吐出面81を構成している。予備吐出プレート80はその長手方向がノズルの長手方向に一致している。
予備吐出面洗浄ユニット100は、レジストRが塗布された上記予備吐出面81上を移動することで洗浄処理を行うもので予備吐出面81上を摺動してレジストRを掻き取るスキージ110を有している。
【0027】
(予備吐出面洗浄ユニット)
図面を参照しつつ予備吐出面洗浄ユニット100の概略構成について説明する。図2は予備吐出面洗浄ユニット100の概略図を示すものである。なお、図2は予備吐出面洗浄ユニット100が予備吐出面81上に配置された状態を図示するものである。
【0028】
図2に示されるように、予備吐出面洗浄ユニット100は、スキージヘッド部105と、当該スキージヘッド部105を支持するとともに当該スキージヘッド部105を予備吐出面81に対して移動可能にするアーム部101と、予備吐出面81に向けて空気(気体)を噴出する乾燥部(乾燥機構)120と、上記予備吐出面81に残存する液状体を吸引する吸引部(吸引機構)130とを備えている。
【0029】
上記スキージヘッド部105は、上記予備吐出面81に洗浄液を吐出する少なくとも1つの吐出口102と、レジストが塗布された予備吐出面81上を摺動して洗浄液を掻き取る3つのスキージ110と、上記各吐出口102から吐出される洗浄液の吐出量を制御する制御部140とを備えて構成される。
【0030】
以下の説明を分かり易くするため、上記スキージ110について、摺動方向側から順に第一スキージ110a、第二スキージ110b、及び仕上げスキージ110cと称す。
これらスキージ110(110a,110b,110c)は、平面視矩形状の板状部材から構成されており、その構成材料としては予備吐出面81上に塗布されるレジストを掻き取ることができれば種々のものを採用でき、本実施形態では例えばポリエステルが用いられる。スキージ110の長さは予備吐出面81の幅と同等以上に設定され、これによりスキージ110が予備吐出面81上に塗布されたレジストを掻き取ることができる。
【0031】
またスキージ110は、予備吐出面81に対して15°以上50°以下傾いた状態(より好ましくは45°傾いた状態)にスキージヘッド部105に取り付けるのが望ましく、このような角度範囲に設定することで予備吐出面81上を摺動するスキージ110によって高い洗浄性が得られるようになっている。具体的に本実施形態では上記傾き角度を45°とした。すなわち、スキージ110は互いに略平行の姿勢で摺動方向に配置されたものとなっている。
【0032】
図1に示したように、予備吐出面洗浄ユニット100は予備吐出面81上を移動可能であり、スキージヘッド部105に保持されたスキージ110は上記予備吐出面81上を摺動するようになっている。図3はスキージヘッド部105におけるスキージ110の取付状態を示すものである。同図に示されるスキージ110は予備吐出面81に対する接触端である。
【0033】
図3に示されるように、上記スキージ110は、予備吐出面81との接触端の長さ方向をスキージ110の摺動方向に対して斜めに向けた姿勢でスキージヘッド部105に支持される。具体的には、接触端の長さ方向とスキージ110の摺動方向との交差角度を80°以下とするのが望ましい(本実施形態では80°に設定した)。
【0034】
図2に示したようにスキージヘッド部105には、第一スキージ110a、及び第二スキージ110bとの間に空隙107が形成されるようになっている。さらにスキージヘッド部105には、上記空隙107に連通する洗浄液供給管106aが設けられている。
【0035】
図4に示されるように、上記洗浄液供給管106aは、スキージヘッド部105の長手方向に沿って形成されており、本実施形態では例えば10個の空隙107に洗浄液を供給するようになっている。この空隙107はそれぞれ等間隔で配置されている。なお、上記空隙107の数はこれに限定されることはなく、適宜変更可能である。またスキージヘッド部105の側部(同図中、右側)には、上記洗浄液供給管106aに接続される洗浄液供給手段106が設けられている。この洗浄液供給手段106は、例えばシンナー等の洗浄液が充填された洗浄液槽(不図示)から洗浄液を吸引するとともに上記洗浄液供給管106aに洗浄液を供給するポンプ等によって構成される。
【0036】
上記洗浄液供給手段106には、各吐出口102から吐出される洗浄液の吐出量を制御する制御部140が電気的に接続されている。そして、制御部140からの電気信号に基づいて洗浄液供給手段106を調節し、洗浄液供給管106aを経て各吐出口102から吐出される洗浄液の吐出量を調整可能となっている。本実施形態では上記制御部140は第一吐出口102a、及び第二吐出口102bから吐出される洗浄液の量を同等となるように上記洗浄液供給手段106を調整している。
【0037】
したがって、洗浄液供給手段106により吸引した洗浄液を洗浄液供給管106aから空隙107に流入させることで洗浄液が吐出される上記吐出口102(洗浄液供給部)が構成される。吐出口102から吐出された洗浄液は、スキージ110の摺動方向側の面を伝って予備吐出面81上に供給(吐出)される。
【0038】
本実施形態に係るスキージヘッド部105は、上記スキージ110のうち、摺動方向最後尾(仕上げスキージ110c)を除く、第一スキージ110a、及び第二スキージ110bに対応して第一吐出口102aと第二吐出口102bとがそれぞれ10個設けられている。なお、吐出口102の数はこれに限定されることはなく、適宜変更が可能である。スキージに対応する吐出口102とはスキージ110近傍に設けられ、スキージ110の摺動方向側の予備吐出面81上に洗浄液を吐出(供給)するものを意味している。
【0039】
本実施形態では、上記第一第二吐出口102a,102bがそれぞれ等間隔で配置されており、これによりスキージ110の摺動方向側の面に洗浄液を均一に配置させることができるようになっている。さらに吐出口102a,102bは、図5に示すように隣接する吐出口102から吐出されてスキージ110の面上を伝う洗浄液同士がスキージ110の先端に至って一体化するように空隙107がスキージヘッド部105に形成されている。
【0040】
次に、スキージヘッド部105を支持するアーム部101の構成について説明する。図6はアーム部101の周辺構造を示す拡大図である。
アーム部101はSUS等の金属プレートを主体として構成されるもので、図6に示されるように上記スキージヘッド部105を支持するクロスローラベアリング(揺動機構)150が設けられている。クロスローラベアリング150は、内輪と外輪の間に、ころを直交させて配列し、上記スキージヘッド部105を揺動自在に支持できるものである。なお、揺動機構としては、上記クロスローラベアリング150に限定されず、例えばスキージヘッド部105を所定方向(スキージ110の長手方向)に揺動可能とする軸受機構であれば種々のものを用いることができる。
【0041】
また、アーム部101には開口部108が形成されており、この開口部108に挿入されることでクロスローラベアリング150はアーム部101の下面(予備吐出面81に対向する面)側から上面側に通りぬけた状態となっている。
クロスローラベアリング150は、アーム部101の上面側に固定配置された軸部152に支持されている。したがって、クロスローラベアリング150は、軸部152に沿って回転可能となりアーム部101に対して揺動自在となっている。
【0042】
クロスローラベアリング150には、スキージヘッド部105の取付用の取付板151が設けられている。スキージヘッド部105は、アーム部101の下面側に配置された上記取付板151にボルトB2によって固定されている。したがって、スキージヘッド部105は、上記クロスローラベアリング150によって揺動自在に設けられたものとなっている。
この構成により、スキージヘッド部105が回転(揺動)することでスキージ110を予備吐出面81上に確実に接触させることができ、良好に摺動できるようになっている。
【0043】
乾燥部120は、図2に示したようにスキージヘッド部105に対し摺動方向の反対側に設けられ、外部からフランジを用い、スキージ110の摺動方向に空気を薄く平板状(例えばエアナイフ方式)にして噴出することで予備吐出面81の乾燥処理を行うものである。
【0044】
吸引部130は、上記乾燥部120に対し、スキージ110の摺動方向の反対側に併設して設けられている。吸引部130には例えばフランジを介して図示略の吸引ポンプが接続されており、この吸引ポンプを制御することで吸引圧を調整可能となっている。この吸引部130は、予備吐出面81上に残存するレジストを吸引するものである。なお、吸引部130は、予備吐出面上に残存するレジストのみならず、洗浄液や洗浄液とレジストが混合した廃液を吸引可能となっており、予備吐出面洗浄ユニット100における洗浄性を向上させている。
このように吸引部130と乾燥部120とを併設させることで、乾燥部120から噴出した空気によって予備吐出面81を乾燥させつつ、予備吐出面81近傍の雰囲気を吸引することで空気噴射(噴出)によって予備吐出面81上に異物(ゴミ等)が飛散するのを防止できるようになっている。
【0045】
(予備吐出ユニット)
次に上記予備吐出ユニット103の構成について説明する。図7は予備吐出ユニット103の概略構成を示し、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図である。
図7(a)、(b)に示されるように、予備吐出ユニット103は、ノズル32(塗布部3)の予備吐出動作によってレジストが塗布される予備吐出面81を有する予備吐出プレート80を主体として構成され、上記予備吐出面81が水平となるように上記予備吐出プレート80が保持されている。そして、予備吐出面洗浄ユニット100のスキージ110が予備吐出面81上を摺動するようになっている。
【0046】
本実施形態では、上述したように予備吐出面洗浄ユニット100は、予備吐出面81との接触端の長さ方向を摺動方向に対して斜めに傾けた姿勢でスキージ110を保持している(図3参照)。そのため、レジストが塗布された予備吐出面81上をスキージ110が摺動すると、スキージ110によって掻き取られたレジストはスキージ110の長さ方向における摺動方向後方(図7(a)参照)に概ね押し退けられる。本実施形態に係る予備吐出ユニット103は、スキージ110の摺動動作によりスキージ110の側端側に流出したレジストを排出する側方排出部93を備えている。
【0047】
側方排出部93は予備吐出面81を有する予備吐出プレート80に一体に形成されていてもよいし、別部材から構成されていてもよい。本実施形態では予備吐出プレート80の側方に、スキージ110の摺動方向に延在するスリット状の側溝部93aを形成し、側方排出部93を一体形成した。
【0048】
図7(b)に示すように、側方排出部93にはレジストを吸引する吸引回収機構95が設けられている。この吸引回収機構95としては、例えば吸引ポンプが用いられる。上記側溝部93aは、上記吸引回収機構95に接続された吸引口95aと、この吸引口95aに向かって下降する傾斜面93bとを有する4つの領域が、スキージ110の摺動方向に沿って配列されることで構成されている。この構成により、側方排出部93は側溝部93aに排出されたレジストを傾斜面93bに沿って吸引口95a側に流れ易くするとともに、吸引口95aからレジストを良好に排出できるようになっている。
【0049】
ところで、上述したようにスキージ110によって掻き取られたレジストは予備吐出面81の側方(側方排出部93)に移動されるが、一部のレジストがスキージ110の摺動方向前方に移動する。
【0050】
そこで、本実施形態に係る予備吐出ユニット103は、図7(a)、(b)に示されるようにスキージ110の摺動動作によりスキージ110の摺動方向前方に移動されたレジストを排出する前方排出部92を備えている。前方排出部92はレジストを吸引する吸引回収機構95を有している。なお、図示されないものの上記側方排出部93と同様に、吸引回収機構95に接続され吸引口95aに向かって下降する傾斜面93bを有する側溝部を前方排出部92に形成してもよい。また、上述したような側溝部は側方排出部93及び前方排出部92の少なくとも一方に形成するようにしてもよい。
【0051】
さらに予備吐出ユニット103は、予備吐出面81の側方に予備吐出面洗浄ユニット100を載置する待機部91が設けられている。待機部91は、予備吐出面81上にノズル32からレジストが予備吐出されている間、予備吐出面洗浄ユニット100を待機させておく部材である。具体的に本実施形態では、スキージ110の摺動方向後方に待機部91が設けられており、予備吐出面81の洗浄時に予備吐出ユニット103を待機部91から予備吐出面81まで短時間で移動できるようにしている。
【0052】
待機部91は、上記予備吐出面洗浄ユニット100を載置させる載置面91aを有している(図1参照)。載置面91aは、例えば予備吐出面81と同等或いはそれよりも低い位置に予備吐出面洗浄ユニット100を待機させるようになっている。特に載置面91aが予備吐出面81よりも低い位置に予備吐出洗浄ユニット100を待機させることで、予備吐出動作時に伴って予備吐出面81上に移動してくるノズル32と予備吐出面洗浄ユニット100との干渉を防止することができる。
【0053】
上記載置面91aは図8に示すように断面視凹凸構造からなり、この凹凸構造がスキージ洗浄機構94を構成している。スキージ洗浄機構94は、予備吐出面81の洗浄後、上記凹凸構造によってスキージ110に付着したレジストの除去機能を有するものである。
【0054】
(塗布装置)
次に、本実施形態に係る塗布装置1について図面を参照して説明する。本実施形態に係る塗布装置1は、上述の予備吐出機構(予備吐出装置)42を備えている。図9は塗布装置1の斜視図、図10は塗布装置1の正面図、図11は塗布装置1の平面図、図12は塗布装置1の側面図である。
【0055】
図9〜12に示されるように、塗布装置1は、基板搬送部2と、塗布部3と、上記管理部4とを主要な構成要素とし、基板搬送部2によって基板を浮上させて搬送しつつ塗布部3によって当該基板上にレジストが塗布されるようになっており、上記管理部4によって塗布部3の状態を管理するものである。
【0056】
(基板搬送部)
まず、基板搬送部2の構成を説明する。
基板搬送部2は、基板搬入領域20と、塗布処理領域21と、基板搬出領域22と、搬送機構23と、これらを支持するフレーム部24とを有している。この基板搬送部2では、搬送機構23によって基板Sが基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22へと順に搬送されるようになっている。基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22は、基板搬送方向の上流側から下流側へこの順で配列されている。搬送機構23は、基板搬入領域20、塗布処理領域21及び基板搬出領域22の各部に跨るように当該各部の一側方に設けられている。
【0057】
以下、塗布装置1の構成を説明するにあたり、表記の簡単のため、図中の方向をXYZ座標系を用いて説明する。基板搬送部2の長手方向であって基板の搬送方向をX方向と表記する。平面視でX方向(基板搬送方向)に直交する方向をY方向と表記する。X方向軸及びY方向軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。なお、X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとする。
【0058】
基板搬入領域20は、装置外部から搬送されてきた基板Sを搬入する部位であり、搬入側ステージ25と、リフト機構26とを有している。
搬入側ステージ25は、フレーム部24の上部に設けられており、例えばSUSなどからなる平面視で矩形の板状部材である。この搬入側ステージ25は、X方向が長手になっている。搬入側ステージ25には、エア噴出孔25aと、昇降ピン出没孔25bとがそれぞれ複数設けられている。これらエア噴出孔25a及び昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25を貫通するように設けられている。
【0059】
エア噴出孔25aは、搬入側ステージ25のステージ表面25c上にエアを噴出する孔であり、例えば搬入側ステージ25のうち基板Sの通過する領域に平面視マトリクス状に配置されている。このエア噴出孔25aには図示しないエア供給源が接続されている。この搬入側ステージ25では、エア噴出孔25aから噴出されるエアによって基板Sを+Z方向に浮上させることができるようになっている。
【0060】
昇降ピン出没孔25bは、搬入側ステージ25のうち基板Sの搬入される領域に設けられている。当該昇降ピン出没孔25bは、ステージ表面25cに供給されたエアが漏れ出さない構成になっている。
【0061】
この搬入側ステージ25のうちY方向の両端部には、アライメント装置25dが1つずつ設けられている。アライメント装置25dは、搬入側ステージ25に搬入された基板Sの位置を合わせる装置である。各アライメント装置25dは長孔と当該長孔内に設けられた位置合わせ部材(図示しない)を有しており、搬入ステージ25に搬入される基板を両側から機械的に挟持するようになっている。
【0062】
リフト機構26は、搬入側ステージ25の裏面側に基板搬入位置に対応する位置に設けられている。このリフト機構26は、昇降部材26aと、複数の昇降ピン26bとを有している。昇降部材26aは、図示しない駆動機構に接続されており、当該駆動機構の駆動によって昇降部材26aがZ方向に移動するようになっている。複数の昇降ピン26bは、昇降部材26aの上面から搬入側ステージ25へ向けて立設されている。各昇降ピン26bは、それぞれ上記の昇降ピン出没孔25bに平面視で重なる位置に配置されている。昇降部材26aがZ方向に移動することで、各昇降ピン26bが昇降ピン出没孔25bからステージ表面25c上に出没するようになっている。各昇降ピン26bの+Z方向の端部はそれぞれZ方向上の位置が揃うように設けられており、装置外部から搬送されてきた基板Sを水平な状態で保持することができるようになっている。
【0063】
塗布処理領域21は、レジストの塗布が行われる部位であり、基板Sを浮上支持する処理ステージ27が設けられている。
処理ステージ27は、ステージ表面27cが例えば硬質アルマイトを主成分とする光吸収材料で覆われた平面視で矩形の板状部材であり、搬入側ステージ25に対して+X方向側に設けられている。処理ステージ27のうち光吸収材料で覆われた部分では、レーザ光などの光の反射が抑制されるようになっている。この処理ステージ27は、Y方向が長手になっている。処理ステージ27のY方向の寸法は、搬入側ステージ25のY方向の寸法とほぼ同一になっている。処理ステージ27には、ステージ表面27c上にエアを噴出する複数のエア噴出孔27aと、ステージ表面27c上のエアを吸引する複数のエア吸引孔27bとが設けられている。これらエア噴出孔27a及びエア吸引孔27bは、処理ステージ27を貫通するように設けられている。
【0064】
処理ステージ27では、エア噴出孔27aのピッチが搬入側ステージ25に設けられるエア噴出孔25aのピッチよりも狭く、搬入側ステージ25に比べてエア噴出孔27aが密に設けられている。このため、この処理ステージ27では他のステージに比べて基板の浮上量を高精度で調節できるようになっており、基板の浮上量が例えば100μm以下、好ましくは50μm以下となるように制御することが可能になっている。
【0065】
基板搬出領域22は、レジストが塗布された基板Sを装置外部へ搬出する部位であり、搬出側ステージ28と、リフト機構29とを有している。この搬出側ステージ28は、処理ステージ27に対して+X方向側に設けられており、基板搬入領域20に設けられた搬入側ステージ25とほぼ同様の材質、寸法から構成されている。搬出側ステージ28には、搬入側ステージ25と同様、エア噴出孔28a及び昇降ピン出没孔28bが設けられている。リフト機構29は、搬出側ステージ28の裏面側に基板搬出位置に対応する位置に設けられている。リフト機構29の昇降部材29a及び昇降ピン29bは、基板搬入領域20に設けられたリフト機構26の各部位と同様の構成になっている。このリフト機構29は、搬出側ステージ28上の基板Sを外部装置へと搬出する際に、基板Sの受け渡しのため昇降ピン29bによって基板Sを持ち上げることができるようになっている。
【0066】
搬送機構23は、搬送機23aと、真空パッド23bと、レール23cとを有している。搬送機23aは内部に例えばリニアモータが設けられた構成になっており、当該リニアモータが駆動することによって搬送機23aがレール23c上を移動可能になっている。この搬送機23aは、所定の部分23dが平面視で基板Sの−Y方向端部に重なるように配置されている。この基板Sに重なる部分23dは、基板Sを浮上させたときの基板裏面の高さ位置よりも低い位置に設けられている。
【0067】
真空パッド23bは、搬送機23aのうち上記基板Sに重なる部分23dに複数配列されている。この真空パッド23bは、基板Sを真空吸着させる吸着面を有しており、当該吸着面が上方を向くように配置されている。真空パッド23bは、吸着面が基板Sの裏面端部を吸着することで当該基板Sを保持可能になっている。各真空パッド23bは搬送機23aの上面からの高さ位置が調節可能になっており、例えば基板Sの浮上量に応じて真空パッド23bの高さ位置を上下させることができるようになっている。レール23cは、搬入側ステージ25、処理ステージ27及び搬出側ステージ28の側方に各ステージに跨って延在しており、当該レール23cを摺動することで搬送機23aが当該各ステージに沿って移動できるようになっている。
【0068】
(塗布部)
次に、塗布部3の構成を説明する。
塗布部3は、基板S上にレジストを塗布する部分であり、門型フレーム31と、ノズル32とを有している。
門型フレーム31は、支柱部材31aと、架橋部材31bとを有しており、処理ステージ27をY方向に跨ぐように設けられている。支柱部材31aは処理ステージ27のY方向側に1つずつ設けられており、各支柱部材31aがフレーム部24のY方向側の両側面にそれぞれ支持されている。各支柱部材31aは、上端部の高さ位置が揃うように設けられている。架橋部材31bは、各支柱部材31aの上端部の間に架橋されており、当該支柱部材31aに対して昇降可能となっている。
【0069】
この門型フレーム31は移動機構31cに接続されており、X方向に移動可能になっている。この移動機構31cによって門型フレーム31が管理部4との間で移動可能になっている。すなわち、門型フレーム31に設けられたノズル32が管理部4との間で移動可能になっている。
【0070】
ノズル32は、一方向が長手の長尺状に構成されており、門型フレーム31の架橋部材31bの−Z方向側の面に設けられている。このノズル32のうち−Z方向の先端には、自身の長手方向に沿ってスリット状の開口部32aが設けられており、当該開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。ノズル32は、開口部32aの長手方向がY方向に平行になると共に、当該開口部32aが処理ステージ27に対向するように配置されている。開口部32aの長手方向の寸法は搬送される基板SのY方向の寸法よりも小さくなっており、基板Sの周辺領域にレジストが塗布されないようになっている。ノズル32の内部にはレジストを開口部32aに流通させる図示しない流通路が設けられており、この流通路には図示しないレジスト供給源が接続されている。このレジスト供給源は例えば図示しないポンプを有しており、当該ポンプでレジストを開口部32aへと押し出すことで開口部32aからレジストが吐出されるようになっている。支持部材31aには不図示の移動機構が設けられており、当該移動機構によって架橋部材31bに保持されたノズル32がZ方向に移動可能になっている。ノズル32には移動機構32cが設けられており、当該移動機構32cによってノズル32が架橋部材31bに対してZ方向に移動可能になっている。門型フレーム31の架橋部材31bの下面には、ノズル32の開口部32a、すなわち、ノズル32の先端と当該ノズル先端に対向する対向面との間のZ方向上の距離を測定するセンサ33が取り付けられている。
【0071】
(塗布装置の動作)
次に、上記のように構成された塗布装置1の動作を説明する。
図14〜図17は、塗布装置1の動作過程を示す平面図である。各図を参照して、基板Sにレジストを塗布する動作を説明する。この動作では、基板Sを基板搬入領域20に搬入し、当該基板Sを浮上させて搬送しつつ塗布処理領域21でレジストを塗布し、当該レジストを塗布した基板Sを基板搬出領域22から搬出する。図14〜図17には門型フレーム31及び管理部4の輪郭のみを破線で示し、ノズル32及び処理ステージ27の構成を判別しやすくした。以下、各部分における詳細な動作を説明する。
【0072】
基板搬入領域20に基板を搬入する前に、塗布装置1をスタンバイさせておく。具体的には、搬入側ステージ25の基板搬入位置の−Y方向側に搬送機23aを配置させ、真空パッド23bの高さ位置を基板の浮上高さ位置に合わせておくと共に、搬入側ステージ25のエア噴出孔25a、処理ステージ27のエア噴出孔27a、エア吸引孔27b及び搬出側ステージ28のエア噴出孔28aからそれぞれエアを噴出又は吸引し、各ステージ表面に基板が浮上する程度にエアが供給された状態にしておく。
【0073】
この状態で、例えば図示しない搬送アームなどによって外部から図14に示す基板搬入位置に基板Sが搬送されてきたら、昇降部材26aを+Z方向に移動させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25bからステージ表面25cに突出させる。そして、昇降ピン26bによって基板Sが持ち上げられ、当該基板Sの受け取りが行われる。また、アライメント装置25dの長孔から位置合わせ部材をステージ表面25cに突出させておく。
【0074】
基板Sを受け取った後、昇降部材26aを下降させて昇降ピン26bを昇降ピン出没孔25b内に収容する。このとき、ステージ表面25cにはエアの層が形成されているため、基板Sは当該エアによりステージ表面25cに対して浮上した状態で保持される。基板Sがエア層の表面に到達した際、アライメント装置25dの位置合わせ部材によって基板Sの位置合わせが行われ、基板搬入位置の−Y方向側に配置された搬送機23aの真空パッド23bを基板Sの−Y方向側端部に真空吸着させる。基板Sの−Y方向側端部が吸着された状態を図14に示す。真空パッド23bによって基板Sの−Y方向側端部が吸着された後、搬送機23aをレール23cに沿って移動させる。基板Sが浮上した状態になっているため、搬送機23aの駆動力を比較的小さくしても基板Sはレール23cに沿ってスムーズに移動する。
【0075】
基板Sの搬送方向先端がノズル32の開口部32aの位置に到達したら、図15に示すように、ノズル32の開口部32aから基板Sへ向けてレジストを吐出する。レジストの吐出は、ノズル32の位置を固定させ搬送機23aによって基板Sを搬送させながら行う。基板Sの移動に伴い、図16に示すように基板S上にレジスト膜Rが塗布されていく。基板Sがレジストを吐出する開口部32aの下を通過することにより、基板Sの所定の領域にレジスト膜Rが形成される。
【0076】
レジスト膜Rの形成された基板Sは、搬送機23aによって搬出側ステージ28へと搬送される。搬出側ステージ28では、ステージ表面28cに対して浮上した状態で、図17に示す基板搬出位置まで基板Sが搬送される。
【0077】
基板Sが基板搬出位置に到達したら、真空パッド23bの吸着を解除し、リフト機構29の昇降部材29aを+Z方向に移動させる。すると、昇降ピン29bが昇降ピン出没孔28bから基板Sの裏面へ突出し、基板Sが昇降ピン29bによって持ち上げられる。この状態で、例えば搬出側ステージ28の+X方向側に設けられた外部の搬送アームが搬出側ステージ28にアクセスし、基板Sを受け取る。基板Sを搬送アームに渡した後、搬送機23aを再び搬入側ステージ25の基板搬入位置まで戻し、次の基板Sが搬送されるまで待機させる。
【0078】
次の基板Sが搬送されてくるまでの間、塗布部3は管理部4においてノズル32の状態が管理される。図18に示すように門型フレーム31を管理部4の位置まで移動させた後、門型フレーム31の位置を調整(移動及び降下)してノズル32をノズル洗浄装置43にアクセスさせ、当該ノズル洗浄装置43によってノズル32を洗浄する(図13参照)。ノズル32の洗浄処理を行う頻度としては、ユーザによって適宜設定され、1枚の基板S毎に洗浄処理を行ってもよいし、数枚に1回の割合で洗浄処理を行うようにしてもよい。
【0079】
なお、長時間レジスト塗布を行わない場合には、ノズル32をディップ槽41内に配し、このディップ槽41に貯留された溶剤(シンナー)の蒸気雰囲気に曝すことでノズル32が乾燥するのを防止する。
【0080】
ノズル32の洗浄後、塗布部3を予備吐出機構42にアクセスさせ、ノズル32の吐出状態を保持するための予備吐出処理を行う。この予備吐出処理は上記予備吐出機構(予備吐出装置)42を用いることで行われる。予備吐出機構42内では予備吐出面81上にレジストの予備吐出が行われると、予備吐出面洗浄ユニット100が予備吐出面81の洗浄処理を行う。
【0081】
(予備吐出動作)
以下、予備吐出機構42の動作方法について説明するとともに、予備吐出機構42、予備吐出面洗浄ユニット(洗浄装置)100、及び洗浄方法によって得られる作用効果について図面を参照して述べる。
【0082】
予備吐出面81上にレジストを塗布した後、待機部91上に載置されている予備吐出面洗浄ユニット100のスキージ110を予備吐出面81の高さに配置する。これにより、予備吐出面洗浄ユニット100は予備吐出面81上の洗浄開始位置に配置されることとなる(図1参照)。
【0083】
続いて、アーム部101を介して予備吐出面洗浄ユニット100を移動させことで複数のスキージ110を予備吐出面81上に摺動させ、予備吐出面81上に塗布されたレジストRを掻き取る。
【0084】
このとき、予備吐出面洗浄ユニット100は、スキージ110の摺動方向側の面に吐出口102から洗浄液を吐出させる。この洗浄液(シンナー)は予備吐出面81上に塗布されたレジストRを希釈させ、予備吐出面81上からレジストRの除去性を向上させることができる。このように洗浄液が供給された予備吐出面81上を摺動するスキージ110によって、レジストRを予備吐出面81から良好に掻き取ることができる。
【0085】
具体的には、予備吐出面洗浄ユニット100は、第一スキージ110aの摺動方向前方側の予備吐出面81上に第一吐出口102aから洗浄液を供給し、希釈化されたレジストRを第一スキージ110aによって掻き取る。
したがって、第一スキージ110aによって予備吐出面81の粗洗浄処理を行うことができる。
【0086】
予備吐出面洗浄ユニット100は、第一スキージ110aが通過した予備吐出面81における第二スキージ110bの摺動方向前方に第二吐出口102bから洗浄液を供給し、希釈化されたレジストRを第二スキージ110bによって掻き取る。したがって、第二スキージ110bによって予備吐出面81の本洗浄処理を行うことができる。
なお、本実施形態では、上記第一吐出口102a、及び第二吐出口102bから同量の洗浄液が吐出されるように、制御部140は洗浄液供給手段106を調整している。
【0087】
予備吐出面洗浄ユニット100は、第二スキージ110bが通過した予備吐出面81上に仕上げスキージ110cを摺動させる。これにより、第一スキージ110a、及び第二スキージ110bにおける洗浄処理の残渣(洗浄液及びレジストR)を掻き取ることができ、高い洗浄性を得ることができる。
【0088】
これらスキージ110(110a,110b,110c)は、図3に示したように予備吐出面81との接触端の長さ方向をスキージ110の摺動方向に対して斜めに向けた姿勢でスキージヘッド部105に支持されている。よって、図7(a)に示したようにスキージ110によって掻き取られたレジストRはスキージ110の長さ方向における摺動方向後方に押し退けられ側方排出部93に収容され、側方排出部93に設けられた吸引回収機構95によってレジストを良好に排出できる。
【0089】
予備吐出面洗浄ユニット100は、仕上げスキージ110cが通過した予備吐出面81上に乾燥部120を通過させる。乾燥部120は、予備吐出面81上に薄い平板状の空気を噴出することで予備吐出面81に乾燥処理を施す。これにより、予備吐出面81上の洗浄液を乾燥させることができる。
【0090】
予備吐出面洗浄ユニット100は、乾燥部120に続けて吸引部130を予備吐出面81上に通過させる。吸引部130は、前記予備吐出面81上に残存したレジストRを吸引することができる。また、吸引部130は残存したレジストRを吸引するだけでなく、上記乾燥部120による乾燥処理によって基板上に発生した異物(ゴミ等)も吸引することができる。
よって、予備吐出面洗浄ユニット100は予備吐出面81上に塗布されたレジストRを良好に除去することができる。
【0091】
上記側方排出部93に収容されることなく、スキージ110によって予備吐出面81の洗浄終了位置まで移動されるレジストRは前方排出部92に収容され、当該前方排出部92に設けられた吸引回収機構95によって良好に排出される。
【0092】
予備吐出面洗浄ユニット100が前方排出部92に到達すると、予備吐出面81の洗浄処理が終了となる(図1参照)。
洗浄処理の終了後、予備吐出機構42は予備吐出面洗浄ユニット100を待機部91に載置する。以上のフローにより、予備吐出面洗浄ユニット100における予備吐出面81の洗浄処理が終了する。なお、載置部91aに載置された予備吐出面洗浄ユニット100に対し、必要に応じて前記スキージ清掃機構91を用いることでスキージ110の洗浄処理を行ってもよい。これにより、スキージを良好な状態に保つことができ、予備吐出面上における洗浄品質を安定させることができる。
【0093】
ところで、スキージ110は予備吐出面81上を摺動することで経時的な磨耗が生じる。本実施形態に係る予備吐出面洗浄ユニット100は、図6に示したようにスキージ110を保持するスキージヘッド部105がクロスローラベアリング150によりスキージ110の長手方向に対して揺動自在となっている。
そのため、スキージ110に磨耗が生じた場合でもスキージ110が予備吐出面81に追従して動くので、スキージ110を予備吐出面81に対して良好に摺動させることができる。このように、スキージ110は予備吐出面81に対して常に一定の状態で当接したものとなるので、予備吐出面洗浄ユニット100は安定した洗浄性を得ることができる。
【0094】
このように予備吐出面洗浄ユニット100による予備吐出面81の洗浄処理が終了した後、次の基板Sが搬送されてきたら、図19に示すように移動機構32bによってノズル32を所定の位置に移動させる。このように、基板SにレジストRを塗布する塗布動作と予備吐出動作とを繰り返し行わせることで、基板Sには良質なレジストRが形成されることとなる。
【0095】
以上述べたように上記実施形態によれば、予備吐出面81を洗浄する場合においても、スキージ110の摺動前方に洗浄液を供給するとともに予備吐出面81上を複数のスキージ110が摺動することで予備吐出面81を良好に洗浄することができる。すなわち、塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置において、従来のようなプライミングローラに代わる予備吐出面81を用いた構成においても、良好な洗浄を行うことができる。
【0096】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では第一吐出口102a、及び第二吐出口102bから同量の洗浄液を吐出させるように洗浄液の吐出量を制御部140によって制御する構成としたが、本発明はこれに限定されることはない。
例えば制御部140によって、上記吐出口102のうち、スキージ110の摺動方向先頭側の吐出口102、すなわち上記第一吐出口102aから吐出される洗浄液の量が最も多くなるように洗浄液の吐出量を制御してもよく、このようにすればレジストが多く付着している摺動方向先頭側における予備吐出面81の洗浄性を向上でき、洗浄処理を良好に行うことが可能となる。
【0097】
または制御部140によって、上記吐出口102のうち、摺動方向最後尾の吐出口102、すなわち上記第二吐出口102bから吐出される洗浄液の量が最も少なくなるように洗浄液の吐出量を制御してもよく、このようにすればレジストの付着量が少ない摺動方向最後尾側での洗浄液吐出量を抑えることで洗浄液を無駄にすることがなく、洗浄液の使用量を抑えることができる。
【0098】
また、上記実施形態ではスキージ110を3つ備えた構成としたが、スキージ110の数はこれに限定されず、2つ、あるいは4つ以上のスキージ110を備えていればよい。特にスキージ110を4つ以上備える場合には、摺動方向最後尾を除くスキージ110に対応して上記吐出口102を設け、上記吐出口102のうち、摺動方向先頭側の吐出口102から最後尾の吐出口102にかけて洗浄液の吐出量が徐々に少なくなるように洗浄液の吐出量を制御部140によって制御してもよい。このようにすればレジストの量が少なくなるスキージ110の摺動方向後方に向かって洗浄液の吐出量を抑えることができるので、洗浄液の過剰吐出を防止し、洗浄液の使用量を抑えることができる。またスキージ110を4つ以上備える場合においても、上述したように摺動方向最後尾の吐出口102からの洗浄液吐出量が最も少なくなるような制御を行ったり、或いは摺動方向先頭側の吐出口102からの洗浄液吐出量が最も多くなるような制御を行ってもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、第一吐出口102a、及び第二吐出口102bをそれぞれ10個形成したが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、摺動方向先頭の第一スキージ110aに対応する第一吐出口102aの数を、摺動方向後方の第二スキージ110bに対応する第二吐出口102bの数よりも多くしてもよく、このようにすればレジストが多く付着している摺動方向先頭側における洗浄性を向上させつつ、レジストの付着量が少ない摺動方向後方側での洗浄液吐出量を抑えることで洗浄液の使用量を抑えることができる。
【0100】
また、上記実施形態では3つのスキージ110が予備吐出面81に対して45°傾いた状態にスキージヘッド部105に取り付けられた構成となっていたが、3つのスキージ110a,110b,110cにおける取付角度を15°以上50°以下の範囲でそれぞれ異ならせてもよい。
例えば、高い洗浄性が必要となる摺動方向先頭側の第一スキージ110aの取付角度を予備吐出面81に対する接触抵抗が大きくなる45°近傍に設定し、仕上げ処理を行う仕上げスキージ110cの取付角度を予備吐出面81に対する接触抵抗が小さくなる20°近傍に設定してもよい。
【0101】
また、上記実施形態では乾燥部120の構成としてエアナイフ方式のものを採用したが、本発明はこれに限定されることはなく、送風しながら予備吐出面81を乾燥させる乾燥手段であればよく、例えば上面から空気を吹き付けるダウンフロー方式のものを用いてもよい。また、上記実施形態では吸引部130として吸引ポンプからなるものを採用したが、本発明はこれに限定されることはなく予備吐出面81上に残存するレジストを吸引できる機構を有するものであれば種々のものを用いることができる。
【0102】
また、上記実施形態では予備吐出プレート80の一面によって予備吐出面81が構成されているが、予備吐出面81を構成する部材としては板状部材に限定されることはなく、少なくとも一部が予備吐出面81として機能する平面を有する部材であれば種々のものを用いることができる。
また、上記実施形態では予備吐出面洗浄ユニット100が予備吐出プレート80上を移動することでスキージ110を予備吐出面81上に摺動させる構成としたがこれに限定されない。例えば、予備吐出プレート80を上記予備吐出面洗浄ユニット100に対して移動させることで、スキージ110を予備吐出面81上に摺動させるようにしてもよい。すなわち、スキージ110が予備吐出面81に対し相対移動させることのできる構成であれば、種々のものを採用することができる。
【0103】
上記実施形態では塗布装置1の全体構成について搬送機構23を各ステージの−Y方向側に配置する構成としたが、これに限られることは無い。例えば、搬送機構23を各ステージの+Y方向側に配置する構成であっても構わない。また、図20に示すように、各ステージの−Y方向側には上記の搬送機構23(搬送機23a、真空パッド23b、レール23c)を配置し、+Y方向側には当該搬送機構23と同一の構成の搬送機構53(搬送機53a、真空パッド53b、レール53c)を配置して、搬送機構23と搬送機構53とで異なる基板を搬送できるように構成しても構わない。例えば、同図に示すように搬送機構23には基板S1を搬送させ、搬送機構53には基板S2を搬送させるようにする。この場合、搬送機構23と搬送機構53とで基板を交互に搬送することが可能となるため、スループットが向上することになる。また、上記の基板S、S1、S2の半分程度の面積を有する基板を搬送する場合には、例えば搬送機構23と搬送機構53とで1枚ずつ保持し、搬送機構23と搬送機構53とを+X方向に並進させることによって、2枚の基板を同時に搬送させることができる。このような構成により、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】予備吐出機構の概略構成を説明するための図である。
【図2】予備吐出面洗浄ユニットの概略構成図である。
【図3】スキージヘッド部におけるスキージの取付状態を示す簡略図である。
【図4】スキージヘッド部の正面構造の概略図である。
【図5】吐出口から吐出される洗浄液の状態を示す図である。
【図6】アーム部の周辺構成を示す拡大図である。
【図7】予備吐出ユニットの概略構成を示す図である。
【図8】スキージ洗浄機構の構成を示す図である。
【図9】塗布装置の斜視図である。
【図10】塗布装置の正面図である。
【図11】塗布装置の平面図である。
【図12】塗布装置の側面図である。
【図13】管理部の概略構成を示す図である。
【図14】塗布装置の動作過程を示す平面図である。
【図15】図13に続く動作過程を示す平面図である。
【図16】図14に続く動作過程を示す平面図である。
【図17】図15に続く動作過程を示す平面図である。
【図18】塗布部の動作を説明するための図である。
【図19】塗布部の動作を説明するための図である。
【図20】塗布装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
R…レジスト、1…塗布装置、42…予備吐出機構(予備吐出装置)、81…予備吐出面、100…予備吐出面洗浄ユニット(洗浄装置)、102…吐出口、102a…第一吐出口(吐出口)、102b…第二吐出口(吐出口)、110…スキージ、110a…第一スキージ(スキージ)、110b…第二スキージ(スキージ)、110c…仕上げスキージ(スキージ)、120…乾燥部(乾燥機構)、130…吸引部(吸引機構)、140…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する装置であって、
液状体が塗布された前記予備吐出面上を摺動するスキージと、該スキージの摺動方向側の面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液供給部は、前記スキージに対して前記洗浄液を吐出する複数の吐出口を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
複数の前記吐出口は、隣接する前記吐出口から吐出されて前記スキージの面上を伝う前記洗浄液同士が、前記スキージの先端に至って一体化するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記各吐出口は等間隔に配列されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記スキージを複数備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄液供給部は、前記複数のスキージのうち、少なくとも摺動方向最後尾の前記スキージを除いて前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
各々の前記スキージに対応して複数の前記吐出口が設けられており、
摺動方向先頭の前記スキージに対応する前記吐出口の数は、摺動方向後方の前記スキージに対応する前記吐出口の数よりも多いことを特徴とする請求項5又は6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する方法であって、
液状体が塗布された略平面の前記予備吐出面を摺動するスキージの前記摺動方向側の面に洗浄液を供給しつつ、前記スキージによって前記洗浄液とともに前記液状体を掻き取ることを特徴とする洗浄方法。
【請求項9】
前記スキージの前記面上の複数個所に前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項8に記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記スキージの前記面上において、少なくとも隣接する位置に供給されて前記面上を伝う前記洗浄液が前記スキージの先端に至って一体化するように前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項11】
複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、
少なくとも摺動方向最後尾に位置する前記スキージを除いた他の前記スキージに対して前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項12】
複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、
摺動方向の先頭側に位置する前記スキージに対する前記洗浄液の供給量を、他の前記スキージに対する前記洗浄液の供給量よりも多くすることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項13】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の洗浄装置を備えることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の予備吐出装置を備えることを特徴とする塗布装置。
【請求項1】
塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する装置であって、
液状体が塗布された前記予備吐出面上を摺動するスキージと、該スキージの摺動方向側の面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄液供給部は、前記スキージに対して前記洗浄液を吐出する複数の吐出口を有することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
複数の前記吐出口は、隣接する前記吐出口から吐出されて前記スキージの面上を伝う前記洗浄液同士が、前記スキージの先端に至って一体化するように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記各吐出口は等間隔に配列されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記スキージを複数備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄液供給部は、前記複数のスキージのうち、少なくとも摺動方向最後尾の前記スキージを除いて前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項5に記載の洗浄装置。
【請求項7】
各々の前記スキージに対応して複数の前記吐出口が設けられており、
摺動方向先頭の前記スキージに対応する前記吐出口の数は、摺動方向後方の前記スキージに対応する前記吐出口の数よりも多いことを特徴とする請求項5又は6に記載の洗浄装置。
【請求項8】
塗布装置における予備吐出動作に用いられる予備吐出装置の予備吐出面を洗浄する方法であって、
液状体が塗布された略平面の前記予備吐出面を摺動するスキージの前記摺動方向側の面に洗浄液を供給しつつ、前記スキージによって前記洗浄液とともに前記液状体を掻き取ることを特徴とする洗浄方法。
【請求項9】
前記スキージの前記面上の複数個所に前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項8に記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記スキージの前記面上において、少なくとも隣接する位置に供給されて前記面上を伝う前記洗浄液が前記スキージの先端に至って一体化するように前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項11】
複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、
少なくとも摺動方向最後尾に位置する前記スキージを除いた他の前記スキージに対して前記洗浄液を供給することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項12】
複数の前記スキージを用いるとともに、複数の前記スキージをそれらの配列方向に摺動して前記予備吐出面を洗浄するに際して、
摺動方向の先頭側に位置する前記スキージに対する前記洗浄液の供給量を、他の前記スキージに対する前記洗浄液の供給量よりも多くすることを特徴とする請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の洗浄方法。
【請求項13】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の洗浄装置を備えることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の予備吐出装置を備えることを特徴とする塗布装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−16508(P2009−16508A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175596(P2007−175596)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】
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