説明

洗濯機

【課題】 予め設定された自動運転と、任意に設定された手動運転とを操作摘みの操作により容易に切り替えることができ、更には手動運転時の使い勝手を良くする。
【解決手段】 一連の行程を自動的に進める自動運転と、行程内容を任意に手動設定した制御内容とする手動運転とを選択的に使用できるようにしたものにおいて、操作パネル26には各行程に対応した操作摘み28が設けられるとともに、これら各操作摘み28の操作変位に応じて切替設定され、対応する行程の制御内容を任意に設定して前記手動運転を可能とする任意設定部32と、前記自動運転を可能とする自動設定部33とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め設定された自動運転と、任意に設定可能な手動運転とを選択的に運転できるようにした洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な洗濯機としては、洗い行程からすすぎや脱水行程を予め設定された制御内容に基づき自動的に実行する自動運転モードに加えて、各行程を手動操作して行程内容を任意に設定して所望する運転を可能とした所謂手動運転モードを備えた構成としている。例えば、図10は実用に供されている乾燥機能付洗濯機の本体前方に設けられた操作パネル1を拡大して示す平面図で、該操作パネル1には近年木目細かな洗濯制御が可能となすべく、押しボタン式の操作キーが多く設けられている。そのうち、行程内容を任意に設定可能とすべく「洗い」キー2a、「すすぎ」キー2b、「脱水」キー2c、「洗濯」キー2d、「洗乾」キー2e、「乾燥」キー2fなどが常備され、よく利用されている。
【0003】
例えば、利用頻度の高い代表的な「洗い」キー2aや「脱水」キー2cでは、押圧操作する度に設定すべき時間が2分単位および1分単位で変更され、その設定内容たる時間を表示部3a、3cに順次表示するようにしている。また、「すすぎ」キー2bでは、すすぎ回数を変更するとともに表示部3bに回数を表示し、更には「洗濯」キー2dでは一連の洗濯行程のみの設定(洗いから脱水までで乾燥行程は無しの設定)、或いは「洗乾」キー2eでは上記洗濯行程に続いて乾燥行程を行なう設定とするなど、中でも「洗い」、「すすぎ」、「脱水」の各キー2a,2b,2cでは、個々の設定をするだけでも複数回の同じ押圧操作を必要としている。
【0004】
従って、洗い行程のみを手動運転する場合には、「洗い」キー2aのみを数回操作して所望の時間設定を行ない運転スタートすることになる。ところが、以降のすすぎや脱水、更には乾燥行程も含めて任意に設定した制御内容に基づき一連の行程を日常的に行なう家庭もあり、その場合には更に多くの操作回数を要することになる。
そのため、各操作キー2a〜2fを何回も同じように押圧する面倒な操作を要し、且つ操作毎の設定内容も予め承知していないと設定操作が一層難しくなるなどの憂いを有する。更に、上記従来構成では、一度任意に設定した手動運転にあっても、通常電源の入り切り(ON/OFF)に伴ない基本的な自動運転の制御内容に戻る構成にあるため、日常的に任意設定による手動運転を利用したい家庭では、その都度再設定しなければならず無駄な同じ操作を繰り返す不便を有していた。
【0005】
これに対し、上記のような押しボタン式の操作キーに代えて例えばスライド型の摘みを設けるとともに、その移動位置に応じた表示手段を具備した構成が考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭61−30283号公報(第2,3頁、および第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記摘み構成によれば、操作キーを何回も同じ押圧操作する必要もなく、使用者は表示内容を見ながら所望の行程内容を比較的容易に設定できる。ところが、このような任意設定による手動運転に対し、予め設定された制御内容に基づく自動運転も当然ながら容易に切替実行できることが望ましい。しかるに、斯かる特許文献1に記載のものでは、自動運転用の専用摘みを設けて、上記手動による任意設定に関係なく自動運転に切り替わるようにしている。このため、任意設定の各摘みが示す制御内容に関係なく予め設定された制御内容による自動運転が行なわれることとなり、使用者はどの運転状態にあるのか判別し難い。しかも、該文献にも記載されているようにスタートスイッチ操作のタイミングにより任意設定による手動運転と自動運転とが切り替わるようにして利用用途を拡大しているようであるが、各摘み操作による機能を熟知していないと使い辛いなど、結果的に使い勝手は十分に良いとは言えない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために、洗いやすすぎ等の個々の行程に対応した操作摘みを設け、この操作摘みの操作変位により、行程内容を任意に設定可能な手動運転部分と、自動運転に設定する部分とを切り替えできるようにし、更には手動運転時の使い勝手の向上が期待できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の洗濯機は、洗い、すすぎ等の一連の行程を予め設定された制御内容に基づき自動的に進行する自動運転モードと、上記行程内容を任意に設定した制御内容に基づき運転を可能とした手動運転モードとを選択的に設定できるようにしたものにおいて、操作パネルには前記各行程に対応した操作摘みが設けられるとともに、これら各操作摘みの操作変位に応じて切替設定され、対応する行程の制御内容を任意に設定して前記手動運転を可能とする任意設定部と、前記自動運転を可能とする自動設定部とを備えたことを主たる特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記手段によれば、操作摘みを任意設定部が有する表示に沿って操作することで各行程の制御内容を容易に設定できるとともに、各行程に対応する操作摘みの操作変位により個々に任意設定部と自動設定部とを切り替えできるので、設定位置を容易に視認できて操作が簡単確実にでき、そして任意設定部の設定内容を再設定することなく手動運転を日常的に利用できるなど、使い勝手の向上が期待できる洗濯機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の洗濯機を乾燥機能付洗濯機に適用した一実施例につき、図1〜図5を参照して説明する。まず、図2に示す上記洗濯機の概略構成を示す外観斜視図に基づき説明すると、洗濯機の外郭を形成する本体11は、矩形箱状の外箱12と、この上面に被着されたトップカバー13とから構成されている。そのうち、前記外箱12は上下面とも開口した形態にて、内部に上面を開口した有底円筒状の水槽14が弾性支持機構15を介して設けられている。この水槽14は、底部の排水弁16を経て排水可能とし、その底部近傍にはエアとラップおよびエアチューブ17が接続され、上端部に圧力スイッチからなる水位センサ18に連通している。
【0011】
上記のような水槽14の内部には、脱水槽兼用の洗濯槽19が垂直軸周りの所謂縦軸回転可能に設けられている。この洗濯槽19も、前記水槽14と同様に上面を開口した有底円筒状をなしているが、周壁部には、通水孔および通気孔として機能する複数の透孔19aを備えている。また、該洗濯槽19の内底部には径大な撹拌体20を正逆回転可能に備え、外底部には前記洗濯槽19および撹拌体20を回転駆動する駆動機構21が設けられている。この駆動機構21は、例えばアウタロータ形モータと該モータの回転を洗濯槽19および撹拌体20に選択的に伝達するクラッチとから構成されている。従って、この駆動機構21を介して基本的には、洗いやすすぎ行程では撹拌体20のみを回転し、脱水や乾燥行程では撹拌体20と共に洗濯槽19を回転するよう運転制御される。
【0012】
一方、前記トップカバー13の構成につき述べると、その略中央部には図示しない洗濯物を出し入れする投入口が形成され、これを開閉すべく例えば二つ折り構成の洗濯蓋22が回動自在に取付けられている。また、トップカバー13の後部には操作ボックス23が形成され、内部には後述するスイッチング機構をはじめ、図示しない温風生成ユニットや給水弁等を配設している。なお、上記温風生成ユニットには温風ダクト24が接続され、また上記給水弁には給水ダクト25が接続され、温風および洗濯水をそれぞれ前記水槽14および洗濯槽19内に供給可能としている。
【0013】
しかして、前記操作ボックス23の上面には操作パネル26が形成され、該操作パネル26にはダイヤル式の操作摘みを複数設けている。以下、この操作摘みにつき、図1に示す操作パネル26の拡大平面図を参照して説明すると、本実施例におけるダイヤル式の操作摘みとしては、大別すると図示左側から洗濯運転の予約時間を設定する「予約」摘み27、次いで「洗い、すすぎ、脱水、乾燥」等の各行程に対応した操作摘み28にあって、具体的には洗い時間を設定する「洗い」摘み28a、すすぎ回数を設定する「すすぎ」摘み28b、脱水時間を設定する「脱水」摘み28c、乾燥時間を設定する「乾燥」摘み28dを具備してなり、そしてコース設定用の操作摘み29を順次配設している。なお、その他には、押しボタン式の操作キーとして「スタート」キー30、および「電源」キー31を備え、これらは所謂ON/OFF動作の切り替えを主体としたスイッチ機能を備えている。
【0014】
更に詳述すると、前記「洗い」摘み28aには、その回動する指針34と対峙する周回りに、当初の2(分)間隔から徐々に時分間隔を大きくし、最大80(分)までの時間が印刷表示されて、この時間を任意に設定可能とした区域を任意設定部32aとして形成していて、この設定に応じた制御内容による手動運転を可能としている。これに対し、図示しない時間0(分)に相当する部位に点灯表示可能な「自動」と表記した自動設定部33aを形成している。これは、この「自動」位置に操作摘みたる「洗い」摘み28aの指針34を合わせて設定することにより、予め設定された制御内容に基づき自動運転を可能とするもので、その詳細は作用説明と共に後述する。
【0015】
斯かる構成は、他の操作摘み28にも同様に施されていて、すなわち「すすぎ」摘み28bには1〜3回までのすすぎ回数を設定可能とした任意設定部32bと自動設定部33b、また「脱水」摘み28cでは1(分)間隔に最大10分まで時間設定が可能とした任意設定部32cと自動設定部33c、そして乾燥時間を設定する「乾燥」摘み28dでは20(分)間隔で最大180(分)まで乾燥時間を任意に設定可能な任意設定部32dと自動設定部33dとが形成されている。
【0016】
そして、図3には上記操作摘みに対応したスイッチング機構を例示したもので、同図(a)には前記操作パネル26と、その内面側に配設されたプリント配線基板35との分解斜視図にあって、該プリント配線基板35には、前記した複数の操作摘みの個々に対応したスイッチング機構36〜41を備え、例えば「洗い」摘み28aについて述べれば、これに連結される操作軸37aと、該操作軸37aの回動(可動接点42a)に応じて接点回路が切り替わる接点切替器37bからなり、この接点切替器37bは同図(b)に示すように可動接点42aに対し接離する固定接点42bとする回路パターンが形成されていて、この接点の閉成回路に基づく導通信号を入力したマイクロコンピュータ43により、所望に設定された行程内容に沿った運転制御がなされる構成としている。
【0017】
なお、上記以外のスイッチング機構の少なくとも「すすぎ」摘み28b〜「乾燥」摘み28dに対応したスイッチング機構38〜40も、上記同様の操作軸と接点切替器(符号なし)からなる構成にあって説明は省略するが、以って洗いから乾燥行程にそれぞれ対応した操作摘み28に操作により、自動運転を可能とする自動設定部33と、手動運転を可能とする任意設定部32とを簡単に切替設定できるとともに、任意設定部32を設定すると略同時に、所望する行程の所望の制御内容を手動設定することができる。
【0018】
次に、上記構成の洗濯機の作用について、特には洗いやすすぎ等の行程内容を操作摘み28により設定操作する場合につき、特に図4および図5に異なる使用例を示す要部の拡大図を参照して説明する。まず、図4(a)は、自動運転を行なうべく設定された状態を示している。すなわち、本実施例では洗い、すすぎ、脱水等の洗濯行程に続いて乾燥行程まで自動的に運転されるもので、運転スタートにより一般周知のように洗濯物の容量を検知し、これに応じた給水量が水位センサ18にて制御され、撹拌体20による撹拌動作に基づく洗い行程が所定時間実行される。
【0019】
以後、すすぎ行程、および脱水行程が自動的に進行して行なわれ、この場合予め設定された時間や回数に基づき制御され、そして続いて乾燥行程に移行する。この乾燥行程では、図示しない温風生成ユニットからの温風を温風ダクト24から洗濯槽19内に供給し、内部の洗濯物の乾燥に寄与した後に排出され、次いで本体11の洗濯蓋22や下面開口等の隙間から機外に排出され、所謂温風を供給しながら外部に排気する手段による乾燥作用が行なわれ、しかる後、乾燥検知手段を介して最適な乾燥時間が実行され、全ての自動運転を終了する。
【0020】
このような、自動運転モードを示す図4(a)では、「電源」キー31の「入」(ON)状態において、各行程の摘み28a〜28dは、その各指針34がいずれも各自動設定部33a〜33dを指していて、その表示部「自動」は点灯表示されて当該設定状態の識別が容易にできる。この自動運転モードから、例えば脱水行程のみ手動運転を行なうべく切替設定した状態を示したのが同図(b)である。
【0021】
すなわち、「脱水」摘み28cをダイヤル操作して指針34を自動設定部33cから任意設定部32cの例えば5(分)表示を指すように設定する。この結果、自動設定部33cを解除して新たに手動により任意に設定された行程のみが有効となり、従って洗いから乾燥まで行なう自動運転は解除されて、各自動設定部33a〜33dの点灯表示は全て消灯状態となる。そして、「スタート」キー30を押圧操作することによって、この場合は任意設定に基づく脱水行程のみが運転される。この脱水行程では、まず排水弁16が開放動作し、その後に洗濯槽19が撹拌体20を伴ない高速回転し、洗濯物の遠心脱水を5分間実行して終了する。なお、この「脱水」摘み28cの変位および指針34による各設定位置はそのまま維持されるので、いつでも設定内容の確認ができるとともに、繰り返し利用することができる。
【0022】
このように、手動運転を行なうべく任意設定部32cにおける時間の設定操作は、その時間表示に合わせて「脱水」摘み28cを一方向へ単純にダイヤル操作するのみで対応できるとともに、全ての自動設定部33a〜33dが消灯状態になるため、手動運転への切り替わりを容易に確認できる。これは、上記脱水行程に限らず他の行程における単独運転を行なう場合にも全く同様に実行できる。
【0023】
因みに、他の使用例を示す図5は図4相当図で、そのうち図5(a)は各指針34がいずれも自動設定部33a〜33dを指して点灯表示された自動運転モードを示している。今、この状態から同図(b)に示すように「洗い」摘み28aのみをダイヤル操作して、例えば指針34を任意設定部32aの「60」(分)表示に合わせる。そして、「スタート」キー30を押圧操作することで洗い行程のみの手動運転が実行される。この洗い行程では、洗濯物の容量検知を行ない決定された水位のもとに、上記設定された時間(60分)撹拌体20による洗い運転が実行され終了する。
【0024】
但し、特に洗い行程では予め特殊な制御内容が盛り込まれて設定されている。すなわち、任意設定部32aの時間設定において、通常洗い時間として15(分)までの設定では通常の標準水流による洗い運転が行なわれるが、例えば20分以上に設定した場合には標準水流による洗い運転を続行すると洗濯物が傷むおそれがあることと、別の意図により本実施例では20(分)以上に時間設定された場合には、撹拌体20の休止期間(OFF)を長くし、動作時間(ON)を短くした洗濯水流とし、所謂浸け置き洗いに適した水流モードに変換されるようにしている。
【0025】
従って、上記「60」(分)に設定された場合では、例えば撹拌体20は30分OFF、1分ONによる撹拌動作による洗い運転を行なうべくプログラムされ、或いは後半は標準水流による洗い運転をするようにしてもよい。また、通常浸け置き洗いする場合には、高濃度の洗剤溶液に浸けて洗浄効果を高めるようにしており、従って上記洗い時間を「60」(分)に設定し、続けてすすぎや脱水を行なう場合には、多量の洗剤分を含み且つ多くの泡の発生を考慮してすすぎ回数を多く設定するなど適切な洗濯条件を設定して、手動運転を行なうようにするとよい。
【0026】
その他、使用例としては上記した単独運転に限らず、例えば複数の行程を選択操作して手動運転することも可能であることはもとより、洗いから乾燥までの全ての行程内容を変更して任意に設定すれば、各行程は所望の制御内容のもとに連続した手動運転が実行できる。なお、任意設定された乾燥行程では乾燥検知によらず、所望の設定された時間だけ乾燥運転が行なわれて終了する。
【0027】
このような任意設定に基づく手動運転の場合、全ての自動設定部33a〜33dの点灯表示は消灯し、且つ各操作摘み28a〜28dの指針34の位置などから、手動運転モードにあることは容易に視認でき、しかも電源のON/OFFに関係なく維持されるので、洗濯条件や環境等考慮した家庭独自の洗濯モードを設定した手動運転を、再設定操作することなく日常的に使用できる。なお、この手動運転モードから自動運転モードに変換する場合には、全ての操作摘み28を自動設定部33に設定することで点灯表示され、またこの種操作摘み28が若干多くても簡易なダイヤル操作にて容易にできるとともに、該操作摘み28の変位や指針34の方向は容易に視認できるなど、どの運転モードかの識別も容易にできる。
【0028】
上記した実施例によれば、次のような効果を得ることができる。
複数の行程に対応した操作摘み28をダイヤル操作することにより、自動設定部33か任意設定部32かを容易に切替設定できて、自動運転モードと手動運転モードの切替選択が簡単確実にできる。そして、任意設定部32への切替設定と略同時に、当該行程の具体的な制御内容の設定ができるとともに、操作摘み28自体の変位方向や指針34の指示方向を容易に視認できることと、各操作摘み28は個々に1回の単純なダイヤル操作のみで済むなど、操作性に優れ格別な機能知識を要することなく実使用できる。従って、特に従来の如き押しボタン式の操作キーのように1つの操作キーを何回も同じ押圧操作し、或いは操作する毎に表示される設定内容を見ながら操作するものに比して頗る使い勝手が向上し、且つ誤使用もなくなるなどの点で有利である。
【0029】
加えて、本実施例では自動設定部33を点灯および消灯することによる表示手段を採用しているので、一層明快に判別できる。また、行程内容を任意設定部32の所望に設定した制御内容に基づく手動運転モードは、再設定するなどの面倒を要することなく繰り返し利用でき、特に家庭独自の洗濯条件等に合わせた洗濯運転を日常的に簡便に利用できる利点を有する。
【0030】
なお、上記実施例に限らず具体構成として種々展開可能で、例えば操作摘み28に対応して設けられたスイッチング機構37〜40の構成としては、周知のエンコーダーを採用して木目細かな回路制御を容易に行なえるようにするなど、所謂ロータリー型スイッチング機構であればプリント配線基板35にコンパクトに構成できる点で有利である。或いは、操作パネル26に他のスイッチ機能を付設して、操作機能を充実化したり、また任意設定部32や自動設定部33に代わって対応する表示手段なども種々考えられる。因みに、図6〜図9は上記実施例に対する第1〜第4の変形例を示したもので、上記実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる点のみにつき説明する。
【0031】
(第1の変形例)
まず図6は、第1の変形例を示す図4相当図で、このものは予め設定された通常の自動運転モードの状態から、複数の摘み操作を要することなく異なるコース設定による自動運転を可能としたもので、そのため後述する行程選択用の切替摘み44を1個設けたものである。すなわち、上記切替摘み44には例えば三つのコース設定部である「洗濯」コース45a、「洗乾」コース45b、「乾燥」コース45cの行程設定部を備えた構成としている。
【0032】
そして、「洗濯」コース45aは、前記したように洗い、すすぎ、脱水までの行程からなるコース運転にあって、換言すれば乾燥行程のみキャンセルした自動運転が行なわれることにある。また、「洗乾」コース45bに設定した場合は、上記「洗濯」コースに続いて乾燥行程まで全て自動運転を行なうコースであり、更に「乾燥」コース45cに設定した場合は、乾燥行程のみ自動運転を行なうようにしたものである。
【0033】
しかして、図6に示す使用例につき説明すると、同図(a)は切替摘み44が「洗乾」コース45bを指示するコース設定にあって、自動設定部33は全て点灯表示されている状態を示している。この状態から、切替摘み44を左にダイヤル操作して「洗濯」コース45aに設定した状態を同図(b)に示している。この場合、前記したように洗いから脱水までの行程を自動運転し、乾燥行程はキャンセルするコース設定となるので、運転が実行される洗い、すすぎ、脱水の各自動設定部33a、33b、33cは点灯表示されたまま維持され、運転されない乾燥行程の自動設定部33dのみが消灯される。
【0034】
従って、斯かる構成によれば、自動運転を行なう中で必要な行程或いは不要な行程を選択設定したコース運転の切り替えが1個の切替摘み44の操作のみにてでき、上記態様と同等のコース設定を任意設定部32a、32b、32cで行なうに比し、頗る簡単操作にて対処できる。但し、洗い時間、すすぎ回数、脱水時間等を独自に設定して、これらを連続して運転したい場合には、上記実施例で述べたように所望の任意設定部32による設定を要することは言うまでもない。なお、上記の他は操作性の向上など上記実施例と同様の作用効果が期待できることは勿論である。
【0035】
(第2の変形例)
次に、図7は第2の変形例を示す図4相当図で、上記実施例に対し各操作つまみ28a〜28dのそれぞれにキャンセル設定部46を設けたもので、このキャンセル設定部46は操作摘み28を表示「OFF」に合わせて設定することで、該当する行程をキャンセルした運転を可能としたものである。しかして、同図(a)に示す全ての行程毎の自動設定部33が点灯表示された自動運転モードから、上記と同じく「洗濯」コースの自動運転を設定する場合は、同図(b)に示すようにキャンセルすることになる乾燥行程における「乾燥」摘み28dのみダイヤル操作して、その指針34を該当する「OFF」位置に合わせる。
【0036】
従って、「洗濯」コースたる洗いから脱水までの各行程に対応する自動設定部33a〜33cは点灯表示されたまま維持され、乾燥行程の自動設定部33dの「自動」表示のみが消灯される。しかして、点灯表示された行程のみの自動運転が行なわれるもので、斯かる実施例では自動運転モードにおいて随時キャンセルしたい行程の設定を、操作摘み28のダイヤル操作にて所望のキャンセル設定部46a〜46dに合わせることで容易にできるとともに、特にキャンセルする行程が少ないときに有効で操作性も良好となる利点を有する。
【0037】
(第3の変形例)
そして、図8は第3の変形例を示す図1相当図で、このものは上記実施例に対し同種のダイヤル式ではあるが円盤状の操作摘み47とし、また上記のような指針34を不要とし、更にその周りに任意設定部32および自動設定部33を印刷等により形成するのを不要とした形態にあって、ただその代わりに任意設定部32および自動設定部33の機能を兼ねた7セグメントのLED表示部48を、操作摘み47の上部に近接して設けた構成としたものである。
【0038】
しかして、上記LED表示部48において、まず任意設定部として機能する場合につき述べると、洗い〜乾燥までの各摘み47a〜47dを選択操作して、同図では任意の時間や回数が表示された内容が任意設定されていることを示し、所謂手動運転モードの状態にある。この任意設定操作につき更に具体的に述べると、まず「洗い」摘み47aをダイヤル操作すると、これに応答する図示しないスイッチング機構(図3に示すスイッチング機構37相当)を介してLED表示部48の所定部位に時間が順次表示され、所望の時間(例えば、20分)が表示されたところで操作を止めれば、これで洗い時間の設定が完了する。
【0039】
また、「すすぎ」摘み47bでも上記同様のダイヤル操作にてすすぎ回数(例えば、2回)が設定され、同じく「脱水」摘み47cでは脱水時間(例えば、8分)が設定され、そして「乾燥」摘み47dでは乾燥時間(例えば、90分)が設定される。従って、この後に「スタート」キー30を押圧操作することで、上記任意に設定された時間や回数に基づく手動運転が洗い行程〜乾燥行程まで連続して実行される。なお、この実施例におけるLED表示部48には任意設定部に対応する数値が表示されるが、自動運転を行なうべく自動設定部として機能する場合には、同様のダイヤル操作にて該LED表示部48に、例えば上記実施例の「自動」に代わり符号「A」が選択表示されるようにすることによって、自動運転モードに容易に変換することができ且つ容易に識別できる。
【0040】
このように、上記実施例とは自動設定部や任意設定部として機能する表示手段が異なるものの、ダイヤル操作による簡単操作、および手動運転の設定内容を繰り返し設定することなく有効に利用できるなど、実質的に上記実施例と同様の作用効果が期待できる。
なお、この操作摘み47は指針34を要しない円盤状をなす形状としたが、これに限らず上記実施例の摘み形状と同一としても良いことは言うまでもなく、また当該図示例では押しボタン式の「スタート」キー30の周りにダイヤル式の「コース」キー49を備えた構成としている。
【0041】
(第4の変形例)
そして、図9は第4の変形例を示す図1相当図で、このものは特には上記第3の変形例に対し設定内容の表示手段が異なる構成にしたものと言える。すなわち、操作摘み47(47a〜47d)に対応する上部にそれぞれ自動設定部50(50a〜50d)と対応する表示「自動」を形成し、これに隣接して任意設定部51(51a〜51d)とする数値を表示形成し、これらを選択設定時にバックライト表示するようにしたものである。
【0042】
従って、予め設定された自動運転を行なう場合には、自動設定部50a〜50dの全てを「自動」表示に設定すべく、各摘み47a〜47dをダイヤル操作して、図示しないスイッチング機構による回路形成によりバックライトによる「自動」表示を選択して設定すれば良い。一方、手動運転を行なう場合には、例えば洗い運転のみであれば「洗い」摘み47aをダイヤル操作してバックライト表示された例えば「10分」を選択することで、所望の洗い時間が設定され、この後、「スタート」キー30を押圧操作すれば前述の如く洗濯物容量に応じた水位制御のもとに洗い行程のみが実行されるもので、上記実施例と同様の作用効果を奏するものである。
【0043】
なお、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限定されることなく、例えば乾燥機能付の洗濯機に限らず、要は複数の行程を予め設定された制御内容にて自動的に進行する自動運転と、所望の行程を所望の制御内容に任意に設定して手動運転を可能とした洗濯機であれば広く採用できるとともに、操作摘みはダイヤル式に限らず、当該操作摘みの操作変位に応じて自動設定部および任設定部を選択的に設定できれば良いなど、実施に際し本発明の要旨を逸脱しない範囲で具体的に種々変更して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例を示す操作パネルの拡大平面図
【図2】乾燥機能付洗濯機の概略構成を示す外観斜視図
【図3】要部の構成を説明するための分解斜視図(a)、および拡大平面図(b)
【図4】作用説明のため異なる使用状態(a)および(b)を示す要部の拡大図
【図5】更に異なる使用状態を示す図4相当図
【図6】第1の変形例を示す図4相当図
【図7】第2の変形例を示す図4相当図
【図8】第3の変形例を示す図1相当図
【図9】第4の変形例を示す図1相当図
【図10】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
【0045】
図面中、11は本体、13はトップカバー、14は水槽、19は洗濯槽、26は操作パネル、28,47は操作摘み、32,51は任意設定部、33,50は自動設定部、36〜41はスイッチング機構(ロータリー型スイッチング機構)、44は切替摘み、46はキャンセル設定部、および48はLED表示部を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗い、すすぎ等の一連の行程を予め設定された制御内容に基づき自動的に進行する自動運転モードと、上記行程内容を任意に設定した制御内容に基づき運転を可能とした手動運転モードとを選択的に設定できるようにしたものにおいて、
操作パネルには前記各行程に対応した操作摘みが設けられるとともに、これら各操作摘みの操作変位に応じて切替設定され、対応する行程の制御内容を任意に設定して前記手動運転を可能とする任意設定部と、前記自動運転を可能とする自動設定部とを備えたことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
各行程に対応する操作摘みには、その操作変位に応じて当該行程をキャンセルするOFF設定部を設けたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
行程のうちの洗い行程における任意設定部において、当該操作摘みにより所定時間以上の制御内容に設定された場合には、浸け置き洗いに適した水流に切り替わることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項4】
操作摘みの設定操作に連動するロータリー型スイッチング機構を備え、該スイッチング機構の動作に応じ自動設定部および任意設定部の制御内容を示す表示手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の洗濯機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−14927(P2006−14927A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−195460(P2004−195460)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】