説明

洗瓶機

【課題】洗瓶機における定置洗浄の実施結果を後に参照することを可能にする。
【解決手段】洗瓶機1000は、筐体140を有し筐体140の内部で瓶を洗浄する。洗瓶機1000は、筐体140の内部の少なくとも一部分を湯で定置清浄するために該少なくとも一部分に湯を供給する供給部200と、定置洗浄時に供給部200によって供給される湯の流量および温度を含む情報を記録する記録部230とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶を洗浄する洗瓶機に関する。
【背景技術】
【0002】
市場から回収されてくるビール瓶等の瓶は、洗瓶機における洗浄工程を経て再利用されうる。この洗浄工程は、例えば、水による予備洗浄、湯による洗浄、アルカリ(例えば、苛性ソーダ)によるアルカリ洗浄、すすぎ、仕上げ洗浄等の工程を含む。洗瓶機の筐体の内部に配置された構成要素のうち少なくとも最終的な洗浄品質に影響を与える部分、即ち、瓶の仕上げ洗浄を行いその瓶を洗瓶機外に排出する部分は、1日の洗浄作業の終了後など予め定められた計画にしたがって頻繁に定置洗浄(CIP:Cleaning In Place)がなされる。この定置洗浄は、例えば80℃以上の温度に加熱された湯を洗浄対象部分に供給することによってなされうる。
【特許文献1】特開2005−296842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来は、定置洗浄が適正になされているかどうかを流量計や温度計などを作業者が目視でチェックすることによって判断していた。しかしながら、このような方法では、湯の流量や温度などの情報を第三者が以後に確認することができないし、目視によるチェックで誤認が生じる可能性を完全に排除することはできない。
【0004】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、洗瓶機における定置洗浄の実施結果を後に参照することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面に係る洗瓶機は、筐体を有し前記筐体の内部で瓶を洗浄するように構成され、前記筐体の内部の少なくとも一部分を湯で定置清浄するために前記少なくとも一部分に湯を供給する供給部と、定置洗浄時に前記供給部によって供給される湯の流量および温度を含む情報を記録する記録部とを備える。
【0006】
本発明の好適な実施形態によれば、前記洗瓶機は、定置洗浄時に前記記録部によって記録された情報に基づいて定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定する判定部を更に備えうる。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記洗瓶機は、前記少なくとも一部分又はその周囲に配置された部材の汚れ度合いを検知するセンサを更に備えうる。この場合において、前記判定部は、定置洗浄時に前記記録部によって記録された情報のほか、前記センサの出力に基づいて、定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定するように構成されうる。
【0008】
本発明の第2の側面に係る洗瓶機は、筐体を有し前記筐体の内部で瓶を洗浄するように構成され、前記筐体の内部の少なくとも一部分を湯で定置清浄するために前記少なくとも一部分に湯を供給する供給部と、前記少なくとも一部分又はその周囲に配置された部材の汚れ度合いを検知するセンサと、前記センサの出力に基づいて定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定する判定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば、洗瓶機における定置洗浄の実施結果を後に参照することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の好適な実施形態の洗瓶機の構成を模式的に示す図である。洗瓶機1000は、筐体140を有し、筐体140の内部でビール瓶等の瓶を洗浄するように構成される。瓶は、市場から回収され又は瓶メーカーから提供され、必要に応じて検査された後に洗瓶機1000に供給され洗浄される。洗浄された瓶は、必要に応じて空瓶検査装置によって検査された後に、ビール等の液体を充填するための充填機に供給されうる。
【0012】
瓶は、コンベア20によって外部から洗瓶機1000に連続的に供給され、取り込み装置10によって洗瓶機1000の筐体140の内部に取り込まれ、筐体140の内部に配置された循環式コンベア120のバスケット(瓶を保持するホルダ)に挿入される。スプロケット50を回転させることにより循環式コンベア120が駆動され、各バスケットが筐体140の内部の循環経路(図1において矢印で示されている)に沿って循環駆動される。
【0013】
循環経路において、バスケットに収容された瓶は、洗浄液(不図示)に浸漬されて洗浄される他、洗浄ノズルユニット60の洗浄ノズルから噴射される洗浄液によって洗浄される。洗浄が完了した瓶は、排出装置30によって再び外部に排出され、コンベア40によって次工程の装置に供給される。ここで、排出装置30が配置された仕上げ室150では、瓶の仕上げ洗浄がなされる。この仕上げ洗浄によって瓶の洗浄品質が決定されるので、仕上げ室150内に配置された構成要素、特に排出装置30やスプロケット50の清浄性は重要である。
【0014】
そこで、洗瓶機1000は、仕上げ室150内に配置された洗浄対象部分、特に排出装置30やスプロケット50に湯を供給するための供給部200を備えている。勿論、洗瓶機1000は、その他の部分を定置洗浄するために追加の供給部を備えてもよい。即ち、本発明に係る洗瓶機に設けられる供給部は、筐体の内部の少なくとも一部分を湯で定置清浄するために当該少なくとも一部分に湯を供給するものであればよい。
【0015】
この実施形態では、供給部200は、供給ノズル列204と、供給ノズル列204に湯を供給する供給管202とを含みうる。
【0016】
洗瓶機1000は、定置洗浄時に供給部200によって洗浄対象部分(例えば、仕上げ室150に配置された排出装置30やスプロケット50)に供給される湯の流量および温度を含む情報を記録する記録部230を更に備える。また、洗瓶機1000は、供給部200によって洗浄対象部分に供給される湯の流量、温度をそれぞれ検知して記録部230に提供する流量センサ210、温度センサ220を更に備える。記録部230によって湯の流量および温度を含む情報を記録することによって、定置洗浄の後に当該定置洗浄が正常に実施されたか否かを当該情報に基づいて判断することができる。
【0017】
洗瓶機1000は、更に、定置洗浄時に記録部230によって記録された情報に基づいて定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定する判定部240を備えることが好ましい。判定部240は、例えば、湯の流量および温度がともに所定時間以上にわたって適正範囲に入っていた場合に、定置洗浄が正常に実施されたと判定する。このような判定部240を備えることにより作業者の誤認によって洗浄不良が看過される可能性を排除することができる。
【0018】
洗瓶機1000は、更に、上記のような洗浄対象部分又はその周囲に配置された部材の汚れ度合いを検知するセンサ250を更に備えることが好ましい。この場合において、判定部240は、定置洗浄時に記録部230によって記録された情報のほか、センサ250の出力に基づいて、定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定しうる。
【0019】
また、洗瓶機1000は、記録部230に記録された情報とは無関係に、センサ250の出力に基づいて定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定してもよい。
【0020】
センサ250は、例えば、洗浄対象部分又はその周囲に配置された部材に光を照射し、当該部材からの反射光を検知することによって当該部材の汚れ度合いを検知することができる。或いは、当該部材を光透過製とし、当該部材を透過する光の強度に基づいて当該部材の汚れ度合いを検知してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の好適な実施形態の洗瓶機の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0022】
10 取り込み装置
20 コンベア
30 排出装置
40 コンベア
50 スプロケット
60 洗浄ノズルユニット
120 循環式コンベア
140 筐体
150 仕上げ室
200 供給部
202 供給管
204 供給ノズル列
210 流量センサ
220 温度センサ
230 記録部
240 判定部
250センサ
1000 洗瓶機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を有し前記筐体の内部で瓶を洗浄する洗瓶機であって、
前記筐体の内部の少なくとも一部分を湯で定置清浄するために前記少なくとも一部分に湯を供給する供給部と、
定置洗浄時に前記供給部によって供給される湯の流量および温度を含む情報を記録する記録部と、
を備えることを特徴とする洗瓶機。
【請求項2】
定置洗浄時に前記記録部によって記録された情報に基づいて定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定する判定部を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の洗瓶機。
【請求項3】
前記少なくとも一部分又はその周囲に配置された部材の汚れ度合いを検知するセンサを更に備え、
前記判定部は、定置洗浄時に前記記録部によって記録された情報のほか、前記センサの出力に基づいて、定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定する、ことを特徴とする請求項2に記載の洗瓶機。
【請求項4】
筐体を有し前記筐体の内部で瓶を洗浄する洗瓶機であって、
前記筐体の内部の少なくとも一部分を湯で定置清浄するために前記少なくとも一部分に湯を供給する供給部と、
前記少なくとも一部分又はその周囲に配置された部材の汚れ度合いを検知するセンサと、
前記センサの出力に基づいて定置洗浄が正常に実施されたか否かを判定する判定部と、
を備えることを特徴とする洗瓶機。

【図1】
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【公開番号】特開2009−56370(P2009−56370A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224582(P2007−224582)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】