説明

流れ作業方式製造ライン用分離装置

本発明は、連続製造工程によって得られた、ミネラルウールでできている絶縁材を一定の長さに分離する装置であって、a)材料の分離は、振り子の状態で吊るされ、別々に駆動される2枚の円形の鋸刃(6)によって行われ、b)鋸刃(6)の(1)懸架および(2)駆動の位置は、往復台(4)によって、材料が供給される方向に調整可能であり、c)(3)往復台の駆動、(2)鋸刃の駆動、振り子ユニット(14)の駆動、および運搬ベルト(15)の駆動は、サーボモーターによって行われ、d)運搬ベルト(15)は、偏向ユニット(12)によって、鋸刃(6)それぞれの領域に下ろされ、e)材料分離作業は、分離手段の切削機能および材料供給の進行速度に応じて、自動制御される装置に関する。本発明はまた、関連する方法、およびプログラムコードを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れ作業方式製造工程によって製造され、所望の運搬状態が得られるように一定の型に分離すべき材料を分離する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような材料として、例えば、ミネラルウールがある。ミネラルウールは、商業上一般的な輸送用のシートに分離する必要がある。
【0003】
ミネラルウールを含む断熱材は、ガラス状に固化された鉱物繊維で構成され、当該鉱物繊維は、少量の結合剤(通常は熱硬化性プラスチック)によって、基本的には不連続な点において結合している。上記鉱物繊維は、繊維分解ユニット中で繊維に分解された溶融体から得られる。グラスウールおよびロックウールを含む絶縁材間の識別は、一般的な商習慣である。
【0004】
グラスウール繊維は、回転物体の壁に形成された微細な穴にケイ酸塩溶融体を通過させることによって製造される。当該溶融体は、比較的強いアルカリ材料を含み、随意的にボロキシドも含む。これによって、比較的長く、滑らかな鉱物繊維が作られる。鉱物繊維は、結合剤および含浸剤が供給され、空気透過型運搬ベルト上へ落下する。
【0005】
繊維分解ユニットから取り出された端部のない繊維網は、所望する厚みや外見上の密度に応じて、さらに高速または低速で、外部へ運搬される。
【0006】
製造される絶縁材の構造を固定する結合剤の硬化は、硬化炉で行われ、その硬化炉において、繊維網に熱風が吹き付けられる。次に、硬化した繊維網は、側面で切り取られ、例えば、中央で2つの網に分割される。そこから、繊維網の幅の範囲内で任意の所望の幅で、一定の長さの絶縁材シートを、ほぼ損失なく分離することができる。
【0007】
岩石繊維を含む絶縁材、特に岩石繊維を含む絶縁材シートは、ガラス繊維を含む絶縁材よりも圧縮しにくい。これは、岩石繊維を含む絶縁材が非常に多様な構造を有しているためである。その構造は、主にもつれた状態の短い岩石繊維において顕著であり、岩石繊維は、繊維分解装置から運搬ベルトに移動する途中で、集合して綿状沈殿物となってしまう。これにより製造された絶縁材は、例えば、製造ラインの幅および繊維網の高さに対する外見上の密度の変動幅が非常に小さい。
【0008】
岩石繊維を含む絶縁材シートは、長さ1mまたは1.2m、幅0.6mまたは0.65m、および厚さ約20mm〜約240mmという通常の寸法で製造される。
【0009】
絶縁材シートは、大量に製造されるため、積層して並べる前にまず適切な形に分離する必要がある。
【0010】
オーストリア特許明細書第104894号には、同様の目的のために、切削する材料を移動させる運搬ベルトを有する、クランク駆動型振り子のこぎりが開示されている。
【0011】
こののこぎりは、毎回切削する長さを正確に設定できる調整装置を有している。
【0012】
この装置によれば、切削する絶縁材を分離するために、低度のサイクルタイムしか達成できない。
【0013】
スイス特許明細書第93038号に開示されている振り子のこぎりは、固定して取り付けたロッカー部から、鋸刃がつり輪によって吊るされているという特徴を有している。これにより、ロッカー部上でつり輪を前後に揺らすことによって、振り子のこぎりは、水平方向に動かすことができる。この解決策によっても、当然ながら高度のサイクルタイムは達成できない。
【0014】
独国特許明細書第198 46 946号A1には、点接触型振り子のこぎりの動作モードについて記載されている。この点接触型振り子のこぎりは、鋸引きの装置が、定位置に固定された1枚以上の平行な鋸刃で構成されたのこぎりを意味するものと理解される。この種の設計に関して、この文献には、振り子全体、すなわち鋸刃を有するのこぎりの縁は、円形の経路上ではなく二重サイクロイド曲線を描く経路上で振動すると示唆されている。しかしながら、この文献には、円形鋸刃を有する振り子のこぎりの構造については、なんら言及されていない。
【0015】
近年、油圧機械によって作動させる振り子のこぎりの開発が進んでいる。油圧機械によって作動させる振り子は、高価で、反応が比較的遅く、高度な制御動作を要求する。これを引用する文献は、知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
そこで、本発明は、流れ作業方式の製造工程によって製造する材料を迅速かつ確実に分離する装置および方法を提供するという課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この課題は、請求項1および2に記載されている装置、および請求項6に記載されている方法によって解決される。
【0018】
本発明に係る分離装置について、以下にさらに詳述する。
【0019】
各図が具体的に示しているのは、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】分離装置の斜視図である。
【図2】分離装置の側面斜視図である。
【図3】斜め上方から見た分離装置である。
【図4】偏向ユニットの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示す分離装置は、2つの上部の運搬支持材(1)を横材として有する基礎フレーム(9)を実質的に備える。後方の運搬支持材(1)には、往復台(4)用の走行レール(21)が固定されている。往復台(4)は特に、鋸刃(6)用の軸受および取付台(11)を運搬する。
【0022】
往復台(4)は、同期駆動装置(3)によって移動可能である。
【0023】
往復台(4)は、一方が走行レール(21)上を移動し、他方が偏向ユニット(12)に堅く連結されている。この偏向ユニット(12)は、その一部として、走行レール(20)上を移動する誘導往復台を有している。
【0024】
きわめて堅固で安定した構成の場合、この偏向ユニット(12)の誘導往復台は省略可能である。
【0025】
偏向ユニット(12)によって、鋸刃(6)が運搬ベルト(15)の走行面の領域において運搬ベルト(15)を偶発的に切削することを確実に防止できる。これは、運搬ベルト(15)を鋸刃(6)の領域においてV字またはU字の形で方向転換させることによって可能となる。
【0026】
この転換は変位可能に構成されている。
【0027】
鋸刃(6)は、往復台(4)に対して取替え可能でなければならないため、偏向ユニット(12)は、往復台(4)に堅く連結されている。それゆえ、偏向ユニット(12)は、鋸刃(6)の位置と同期して移動する。
【0028】
図1は斜視図であるため、偏向ユニット(12)に関連する上部偏向ローラー(16)、および下部偏向ローラー(17)は、図1では不鮮明にしか見えない。このため、上部偏向ローラー(16)および下部偏向ローラー(17)を、改めて図4に拡大して示す。
【0029】
運搬ベルト(15)は、駆動ローラー(19)を介して駆動装置(13)によって駆動される。
【0030】
偏向ユニットの領域において、真空脱水装置(18)は、おがくずを処理する。
【0031】
図2の側面図においては、既述の運搬支持材(1)、同期駆動装置(3)および基礎フレーム(9)のほかに、鋸刃(6)用の駆動ユニット(2)がさらに示されている。ここで、駆動ユニット(2)から鋸刃(6)への動力伝達は、動力伝達部材(8)によって行われる。このような部材(8)は、のこぎり歯状のベルト、チェーンまたはカルダン軸駆動装置を備えていてもよい。さらに、各振り子素子(14)によって、鋸刃(6)の振り子運動が可能となる。
【0032】
各鋸刃(6)は、同じ回転方向に移動してもよいし、または互いに反対方向に移動してもよい。なお、この点に関して、鋸刃(6)は噛み合っていなければならない。
【0033】
駆動装置全体は、保護された状態で振り子筐体(7)中に収容される。
【0034】
この図には、運搬ベルト(15)上に、矩形の断面を有する分離される材料(10)が描かれている。
【0035】
機能ユニット(22)は、最も広範な種類の型および最も広範な検知範囲のセンサーとする。本発明に係る分離装置によって加工される材料に応じて、システム全体の動作信頼性を保証するために、様々なパラメータを検知する必要がある。例えば、各鋸刃(6)の回転速度、刃が加工中の製品へ突き刺さる際のその落下速度、および分離領域の温度を検知するだけでなく、許容できない振動を示す最も広範な種々のパラメータを検知する必要がある。まさにこの領域においては、様々な固有値について、材料毎に留意する必要がある。
【0036】
岩石のような材料を分離する際、鋸刃(6)の作動時に二重サイクロイド曲線を描く経路を維持することが好ましい。これは、振り子の経路が円形でないことによって本来実現可能である。これについてのさらなる詳細は、独国特許明細書第198 46 946号A1に開示されている。独国特許明細書第198 46 946号A1は、特許権の保護が与えられていないため、自由に利用可能な先行技術である。このような経路曲線は、他の材料を分離する際にも有効であることがわかった。
【0037】
斜め上方から見た本発明に係る分離装置を示す図3では、さらに鋸の間隙のカバー(24)の正確な位置が示されている。
【0038】
さらに、カメラシステム(23)の、装置全体に対して露出した位置も、この図において描かれている。ここで、カメラシステムという用語には、設備の観点から、要求される監視レベルおよび自動連続動作の構成レベルによって、さまざまな変形が含まれる。例えば、立体画像の撮影のほかに、特別な光周波数範囲(例えば赤外領域)において撮影される写真が要求されることもある。
【0039】
鋸刃(6)の領域において運搬ベルト(15)を偏向させるベルトの経路を詳細に示す図4には、垂直方向に延伸している偏向ユニット(12)の一部が示されている。また、偏向ユニット(12)に対向して鋸刃(6)の断面が示されている。
【0040】
上部偏向ローラー(16)および下部偏向ローラー(17)は、偏向ユニット(12)の固定部品である。下部偏向ローラー(17)は、1つではなく2つ取り付けてもよい。
【0041】
駆動ローラー(19)は、図1および図3においても描かれており、運搬ベルト(15)全体を駆動する。運搬ベルト(15)は、押さえローラー(5)、上部偏向ローラー(16)、下部偏向ローラー(17)および右側のローラー(具体的には図示されていない)によって、図示されているように動作する。カバー(24)は、必要な程度に鋸の間隙を覆っている。
【0042】
鋸刃(6)の代わりに、例えば、レーザーおよび/または高圧水噴射装置といった、各材料を分離する他の手段を、本発明に係る装置に備えてもよい。この場合、分離手段の支持材となるシステムの部品も、それに応じて替える必要がある。特別な場合、レーザーおよび/または高圧水噴射装置を鋸刃(6)と連結して使用することも考えられる。1枚の鋸刃(6)のみをレーザーおよび/または高圧水噴射装置に取り替えることによっても、同様に特定の分離に関する問題を解決できるであろう。この場合、他の1枚の鋸刃(6)はもはや不要となる。
【0043】
生産する材料をレーザー装置または高圧水噴射装置によって分離する場合については、カバー(24)は、一方ではローラー(17)を保護し、他方では確実に分離を保証できるように、適切に配置される。
【0044】
全ての場合において、駆動装置では、油圧式駆動などの代わりにサーボモーターを用いてもよい。
【0045】
本発明に係る装置は、特に、正確な制御が必要なサーボモーターおよび運転順序に関する情報を提供する数多くのセンサーが設けられているので、自動運転させてもよい。それに応じた制御プログラムを当業者が作成する必要がある。
【0046】
本発明に係る装置は、防音装置を備えていてもよい。最も単純な場合、本発明に係る装置は防音壁を備える。この目的を達成するさらに高度な方法は、位相の反転や、最大の妨害を引き起こす、周波数成分に逆らった音の生成によって、音を低減させる方法である。
【0047】
システムにミネラルウールシートを搭載した場合、1分間に43カットというサイクルタイムを達成できた。
【0048】
材料を分離する作業は自動的に進行する。一方、鋸刃(6)の耐用年数は有限であり、切削性能が下がることで最も顕著に現れるということも考慮に入れる必要があるので、本発明に係る装置の場合、切削性能が検知される。これは、1回以上の切削作業に必要な時間間隔を測定し、当該時間間隔を、新しい鋸刃を取り付けた後の対応する時間間隔と比較することによって、最も簡単に行うことができる。
【0049】
さらに、自動分離作業を制御するには、分離される材料の進行速度を検知する必要があるのは明らかである。
【符号の説明】
【0050】
1 運搬支持材
2 鋸刃用駆動ユニット
3 主往復台用同期駆動装置
4 往復台
5 押えローラー
6 鋸刃
7 振り子筐体
8 鋸刃駆動用動力伝達素子
9 基礎フレーム
10 材料
11 鋸刃用軸受および取付台
12 偏向ユニット
13 運搬ベルト用駆動装置
14 振り子用駆動ユニット
15 運搬ベルト
16 上部偏向ローラー
17 下部偏向ローラー
18 おがくず用真空脱水装置
19 駆動ローラー
20 偏向ユニット用誘導往復台の走行レール
21 主往復台用走行レール
22 センサーシステム
23 カメラシステム
24 鋸の間隙のカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラルウールを含み、連続製造工程によって供給される絶縁材を一定の長さに分離する装置であって、
a)材料の分離は、振り子の状態で吊るされ、別々に駆動される2枚の円形の鋸刃(6)によって行われ、
b)鋸刃(6)の(1)懸架および(2)駆動の位置は、往復台(4)によって、材料が供給される方向に調整可能であり、
c)(3)往復台の駆動、(2)鋸刃の駆動、振り子ユニット(14)の駆動、および運搬ベルト(15)の駆動は、サーボモーターによって行われ、
d)運搬ベルト(15)は、偏向ユニット(12)によって、鋸刃(6)の各領域に下ろされ、
e)材料分離作業は、分離手段の切削機能および材料供給の進行速度に応じて、自動制御されることを特徴とする装置。
【請求項2】
ミネラルウールを含み、連続製造工程によって供給される絶縁材を一定の長さに分離する装置であって、
a)材料の分離は、振り子の状態で吊るされ、別々に駆動される2枚の円形の鋸刃(6)によって行われ、
b)鋸刃(6)の(1)懸架および(2)駆動の位置は、往復台(4)によって、材料が供給される方向に調整可能であり、
c)(3)往復台の駆動、(2)鋸刃の駆動、振り子ユニット(14)の駆動、および運搬ベルト(15)の駆動は、サーボモーターによって行われ、
d)運搬ベルト(15)は、偏向ユニット(12)によって、鋸刃(6)の各領域に下ろされ、
e)材料分離作業は、分離手段の切削機能および材料供給の進行速度に応じて、自動制御され、
f)鋸刃(6)は二重サイクロイド曲線を描く経路上を移動することを特徴とする装置。
【請求項3】
上記鋸刃は、互いに反対方向に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
材料の分離は、レーザー、除去する必要がないシステムの部品、およびレーザー光から付加的に保護されている偏向ユニット(12)によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
材料の分離は、高圧水噴射装置、除去する必要がないシステムの部品、および水噴射から付加的に保護されている偏向ユニット(12)によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
ミネラルウールを含み、連続製造工程によって供給される絶縁材を一定の長さに分離する方法であって、
a)材料の分離は、振り子の状態で吊るされ、別々に駆動される2枚の円形の鋸刃(6)によって行われ、
b)鋸刃(6)の(1)懸架および(2)駆動の位置は、往復台(4)によって、材料が供給される方向に調整可能であり、
c)(3)往復台の駆動、(2)鋸刃の駆動、振り子ユニット(14)の駆動、および運搬ベルト(15)の駆動は、サーボモーターによって行われ、
d)運搬ベルト(15)は、偏向ユニット(12)によって、鋸刃(6)の各領域に下ろされ、
e)材料分離作業は、分離手段の切削機能および材料供給の進行速度に応じて、自動制御され、
f)鋸刃(6)は二重サイクロイド曲線を描く経路上を移動することを特徴とする方法。
【請求項7】
コンピュータプログラムであって、当該プログラムがコンピュータにおいて実行されるときに請求項6に記載の方法ステップを行うためのプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【請求項8】
コンピュータプログラムのプログラムコードを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、当該プログラムがコンピュータにおいて実行されるときに請求項6に記載の方法を行うためのコンピュータプログラムのプログラムコードを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−530311(P2010−530311A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512508(P2010−512508)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000989
【国際公開番号】WO2008/154902
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(507154653)グレンツェバッハ・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー (16)
【氏名又は名称原語表記】Grenzebach Maschinenbau GmbH
【住所又は居所原語表記】Albanusstrasse 1, 86663 Asbach−Baeumenheim, Deutschland
【Fターム(参考)】