説明

流体構造、装置、方法、及び機器構成方法

流体処理構造は、構造内の流体流を制御する駆動領域(03,08)と、駆動領域(03,08)内の複数の駆動構成要素(09,11,12,13)とを有し、駆動領域(63,68)は、複数の駆動構成要素(09,11,12,13)のそれぞれを作動させ又は制御するように構成され配置される。流体処理構造は、流体チャネル(204)と、変形可能な材料(202)とを含み、流体チャネルは、変形可能な材料(202)によって少なくとも部分的に制限される。流体装置は、電磁波の移動のための経路を画定する少なくとも1つのチャネル(403)を含む。機器で機能を実行する方法は、インサートを機器と関連付ける段階を含み、インサートは、機能の実行を可能にするプログラムコード、データ又はコマンドの一つ以上を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流体流を操作するための構造、装置及び方法に関する。この構造、装置及び方法は、任意ではあるが、少なくとも一寸法が一般に10ミリメートル未満であり通常は1ミリメートル未満である構造内における流体流を操作するための構造、装置及び方法である。より詳細には、本発明は、装置内の流体を外部から操作できる種々の流体処理構造に関する。単一のアクチュエータが複数の流体処理構造に作用できる。流体処理手法には、可動構成要素、電極、及び半透膜、或いはこれらの組み合わせの使用を含むことができる。流体処理構成要素の圧力或いは形状を変化させたりその変化を妨げたりするため、変形可能な構成要素を流体処理構造に直接変形させるか、或いは流体処理構造の一部に間接的に作用させることができる。気体透過膜を使って、ポンピングや弁調節、薬品の貯蔵と注入、フィルタリング、脱気のための幾つかの構造内で流体流を規制することができる。
【0002】
また、本発明は、一般に、変形可能な或いは可動構成要素を使って、流体流を操作するための構造、装置及び方法に関する。この構造、装置及び方法は、任意ではあるが、少なくとも一寸法が一般に10ミリメートル未満であり通常は1ミリメートル未満である構造内において、流体流を操作するための構造、装置及び方法である。より詳細には、本発明は、ポンプ又は弁として使用できる変形可能な構成要素を有する流体処理構造に関する。変形可能な構成要素は様々な方法で作用できる。例えば、変形可能な構成要素を流体処理構造に変形させるか流体処理構造の一部に作用させて、流れを規制するか或いは圧力を上昇させるか或いは流体処理構造内の流体に流れを発生させることができる。
【0003】
更に、本発明は、一般に、流体を流すための構造を収容する装置内の測定のためのフローセルを製造するための装置及び方法に関する。この構造は、任意ではあるが、少なくとも一寸法が、一般に10ミリメートル未満であり通常は1ミリメートル未満である。より詳細には、本発明は、内部を流れる流体との電磁波干渉の測定を容易にする1ミリメートル未満の装置及び構造、並びにこれら装置及び構造の製造方法に関する。
【0004】
また本発明は、一般に、ソフトウェア及びデータ処理のためのシステム及び方法に関し、より詳細には、主に他の目的に使用される一個以上のインサートを使って情報をアップグレードし、構成し又はその情報を装置に渡すためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0005】
以下の議論では、特定の構造及び/又は方法に言及する。しかしながら、そのような言及は、これに係る構造及び/又は方法が先行技術を構成することを自認するものと解釈すべきではない。本願出願人は、それら構造及び/又は方法が先行技術ではないことを立証する権利を此処に明示して保留する。
【0006】
流体操作のための物品と方法
流体分析用の微小規模システムの開発に対する関心が高まってきている。そのような開発は、小型化がもたらす利点を得るべく行われてきた。詳細には、自動化、再現性、速度、コスト及びサイズの点で従来の実験装置を超える性能改善を達成することができる。この急激に成長している分野には、マイクロ総合分析システム(μTAS)又は「ラボチップ(lab on a chip)」装置がある。この初期の研究の多くは、半導体産業用に70年代と80年代に開発され確立された技術を使ってシリコン又はガラス基板上で実施されていた。
【0007】
小型化された装置にこれまで様々なポンピング及び弁調節方法が組み込まれてきた。その最も単純なものは毛細管作用による吸い上げであり、これは、適切な毛細管環境で表面張力によって流体流を可能にする。残念ながら、この技術は、適切に成形された毛細管への試料の導入を制限しただけであった。別の普及している技術は、界面動電気流動(electrokinetic flow)であるが、この界面動電気流動は、表面電荷と流体との相互作用及びジュール加熱のために、基板と流体媒体の選択が限られ、また、多くの携帯用診断用途で危険な高い駆動電圧を使用する。また、界面動電気流動を利用して、界面動電気ポンピングを受けない接続チャネル内に流れを引き起こすことができるが(特許文献1を参照)、同じ界面動電気的な制限が、電気活性領域とシステム駆動電圧に当てはまる。
【0008】
汎用性の点では、圧力駆動ポンプは、流体輸送に好ましい方法である。しかしながら、現在まで、マイクロ装置に組み込まれた圧力ポンプは、マイクロポンプを操作するアクチュエータの制御に比較的複雑な計測システムを必要としてきた。このタイプの手法の例は、特許文献2〜5に記載された気圧操作と、特許文献6の圧電駆動マイクロポンプに見ることができる。多くの場合、この計測要件により、装置の使用は、装置を支援する計器のサイズとコストの制限に適合する用途に限られる。公知の装置の動作の別の固有の問題は、流体操作の固有の能率の低さと信頼性である。可動構成要素をチャネル寸法に合わせなければならないので、変形可能な膜を有するチャネルに漏れが生じやすい。更に、複雑な流体操作には、複雑なマニホールドとマイクロ装置上の広い面積が必要である。
【0009】
更に、マイクロ装置に組み込まれる圧力ポンプは、一般に、製造が難しくその結果信頼性に問題がある複数の逆止め弁を有する複雑な立体形状であった。ポリマー材料でのそのようなタイプの形状の例は、特許文献6及び7に見ることができる。類似の立体膜を利用した弁の形態は、特許文献2及び3による多層ポリマー薄膜で実証されている。しかしながら、構造が全体的に比較的複雑で気圧操作が必要なため接合と接続が難しく、その使用は、気体供給源を提供することができる用途に限定される。
【0010】
特許文献5では、エラストマ内にマイクロ流体チャネルを含む更に単純な弁設計が提供されている。エラストマ内に、動作時に、通常は気体圧力によって第1のチャネル内に変形することができる第2のチャネル又は構造が必要とされる。この技術は、エラストマ内に微細構造を形成しなければならないため大量生産に適しておらず、即ち、提案されている多段キャスティング方法は、遅いバッチ式処理である。
【0011】
特許文献8及び9を参照すると、小型化されたシリコン装置内に、電気的に可変可能な膜を使って進行波型ポンプが製造されている。しかしながら、使用される材料と特殊な加工要件のために、この製造方法は、比較的高価なバッチ式半導体製造プロセスに限定される。特許文献5は、流体チャネル内に交互に変形する3つ以上の弁を使ってぜん動運動を作成し擬似進行波を提供するポリマーマルチバルブポンプを開示しているが、この製造方法もバッチ式処理に限定される。
【0012】
携帯可能で低コストの多くの用途には、装置の効率を高め、支援機器を単純化し、そのサイズとコストを減少させる方法が必要である。先行技術に示されている装置及び方法は、高処理量の大量生産を行うために、効率的で、使い易く、小型で、軽量で、本質的に信頼性が高く又は適応性がある小型のポンピング、弁調節、及び他の流体操作のための方法を提供していない。
【0013】
光学測定装置及び方法
マイクロ流体装置の使いやすさには、収容された流体の特性を分析する能力が不可欠である。電磁放射干渉を含む特性を測定するために、光学素子やその検出方法等の多くの方法や技術が使用される。そのような吸収、透過、及び発光(りん光と螢光)を使用する測定は、そのような装置で使用される小さな規模では問題になる。そのような問題のほとんどは、厳密な寸法的制約、短い経路長、及び信号応答を小さくする少ない流体体積によるものである。
【0014】
毛細管又はマイクロ流体光学素子を利用する検出技術は、一般に、光子を流体装置の小さなチャンバ又はチャネル内に集束するために、自分自身の波干渉素子を含む機器を使用してきた。これらの技術の問題には、流体寸法が小さいことによるアライメントの難しさ、使用される構成要素のサイズ、また螢光のような場合は、流体供給源から集束光学素子とその集束領域までの距離による信号損失等がある。これらの制限の幾つかを改善する別の手法は、光学素子を流体装置と同じ部分に組み込むことである。
【0015】
特許文献10には、光学部品が一体化されたマイクロ流体装置の一例が示されている。この場合、光学部品は、本体構造内側のマイクロチャネルと隣接して本体構造に組み込まれる。マイクロ流体チャネルと隣接した一体型レンズを備えたポリマー性構造が示されている。
【0016】
そのような小さい寸法(一般に10mm未満)でのバルク流体の変化の測定では、一般に、経路長を長くすることによって検出器応答を改善できることが分かっている。透過又は吸収を使用する検出の場合、信号応答は流体内の経路長に比例する(ベールの法則)。同様に、発光測定と共に使用することができる発光レポータを数を増やすことにより、より高品質な信号を生成することができる。例えば、毛細管電気泳動では、「Zセル」構成を使って長くした光路長による検出の改善が実証されている。
【0017】
光ファイバ結合技術とシリコン又はガラスエッチング技術を使用するマイクロ流体装置では、長い経路長の検出器セルが実証されている。これらは、一般に、使い捨て装置の大量生産に向かない高価な製造工程である。そのような装置の例は、特許文献11及び12に開示されており、これらの特許は、UV又は可視光を吸収する検出器セルを備えたマイクロ流体装置を製造する方法を提供している。入射光と出射光は、多重反射による(特許文献11)か多重反射なしに(特許文献12)、斜めの入口壁と出口壁からの反射によってマイクロ流体装置のチャネルに沿って向きが変更される。記載されているシステムは、シリコンエッチング技術を使って製造されている。しかしながら、シリコンを利用した使い捨てマイクロ流体装置の製造は商業的に問題があり、具体的には、この特定の基板類により、ユニット価格が必然的に高額で、ユニット体積は非常に小さい。
【0018】
特許文献13には、チャネル軸に沿って長手方向に光放射を通す代替手法が開示されている。記載されている装置は、小さな検出器領域(200μm未満)での吸収を高めるために流体チャネルを横切って複数の経路を作成している。しかしながら、この技術の基本的な問題は、多重反射によって生じる光子エネルギーの損失と、流体検出セルのサイズと感度を制限する材料境界遷移である。
【0019】
光を流体装置に結合する一般的な手法は、流体マニホールドに直接接続された光ファイバを使用することである。そのようなマニホールドは、一般に、単一のバルク材料から機械加工され、従って形状が極めて限定される。マイクロ流体装置は、一般に、複雑な流体マニホールドを形成する複数の材料層からなる。この複数の層の設計は、光ファイバを流体回路に結合するときに結合とアライメントの問題を引き起こす。ポリマーを使用するマイクロ流体装置のために提案された手法は、特許文献14に開示されており、多層流体装置を光ファイバポートによって外部フローセルに結合するものである。しかしながら、この手法は、各部分に別々の製造工程を用い、アライメントや死容積の問題を引き起こし、装置のサイズとユニットコストを増大させる。
【0020】
前述のシリコンを使用するリフレクタと類似の手法は、特許文献15に示されており、この特許では、蛍光点光源検出用のポリマーマイクロ流体装置が開示されている。開示された方法は、ポリマーマイクロ流体装置に収容された流体内の蛍光マーカを励起するために、マイクロチャネルの長さを横切る軌道に沿ってレーザを照射する。次に、マーカから放射された光が、マイクロチャネルのカバーによって検出される。この技術は、蛍光マーカを見つけるためにレーザビームをチャネルに沿ってスキャンする必要がない。しかしながら、この方法は、マイクロ流体装置と別に、光誘導部材ないし反射面を使用する。更に、この装置は、光が試料流体を横断した後で光の特性を復元又は測定する機構を備えていないので、透過と吸収を使用する測定には適していない。別の制限は、このシステムが、流体チャネルと垂直に放射する点光源(レポータ)の検出しかできないことである。このことは、更に、点光源の信号応答性が低くまた光を集中することによって信号(従って感度)を強化する能力がないため技術を制限する。
【0021】
特許文献16は、蛍光点検出用の多数のチャネルを横切って光をガイドする反射チャネルを備えたポリマーマイクロ流体装置について述べている。チャネルの幅を横切る測定のため、この技術は、信号応答が前の例と同じように限定され、光と流体チャネルの分離距離によって光が別の媒体を通るときに更なる光損失が生じる。更に、点光源からの放射された信号を集中させる方法がない。
【0022】
先行技術で以上言及されている装置と方法は、マイクロ流体装置内の適切な吸収、透過、及び発光検出のために低コストの統合的手法を提供しない。本発明は、高処理量で大量生産するために本質的に信頼性と適応性が高いフローセル内の高い光学性能を有する低コストのポリマー装置の要求に応える。
【0023】
機器構成方法
様々な文献記載の機器が知られている。例えば、幾つかのタイプの機器は、実験を制御するか検査している環境、ユニット又は材料から情報を収集する装置である。他の機器は、ユーザへの表示やデータの記憶を含むデータ分析又はデータ処理を実行することができる。機器の例には、デジタルマルチメータ、オシロスコープ、DNAシーケンサ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサを含むが、インサートにより動作可能な任意の装置も含み、例えば携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、デジタル音楽プレーヤ等を含む。
【0024】
インサートは、例えば機器に何らかの機能を提供することによって機器と関連して動作する、マイクロ流体装置等のセンサ、カートリッジ又はカセットでよい脱着可能な装置である。インサートは、例えば、メモリスティック(商標)、スマートカード又は剛性又は柔軟なプリント回路である。
【0025】
インサートは、通常、幾つかの具体的な目的を挙げると、全血中の代謝物質の監視、鉱物試料に行われる電気化学、バクテリアからのDNA増幅等の特定の目的のために設計される。機器が、その特定の用途とセンサタイプに使用される場合は、必要な全てのプログラム操作ルーチン又は実験プロトコルを機器内に収容することができ、全く同じように挿入可能な装置を区別するためにオンチップ認識は不要である。
【0026】
しかしながら、複数のインサートタイプが同じ機器で使用されるとき、機器は、インサート及び/又はその内容に適正なプロトコルが物理的、化学的及び/又は電子的に実行されるようにそれぞれのインサートタイプを区別しなければならない。
【0027】
一般に、ユーザは、使用するインサートを選択するか、各インサートと共に使用する機器を手動で構成する。代替として、インサート自体が、その機能を機器に示す。これは、従来、シリアル番号又は製品番号を使用することによって実現されており、機器は、それ自体の内部プログラミングコード内を参照して、特定のインサートタイプと共に使用される適切なアプリケーションプロトコルを確立する(例えば、図51と図52)。従来、この種の情報は、電極接続、抵抗値、又は集積回路による電気的な形式、バーコードによる光学的な形式、磁気ストリップによる磁気的な形式、又は機械的な形式を含む様々な形式で符号化されてきた。マイクロ流体インサートに関しては、チップの機能を機器に示す情報を符号化する標準的な方法が、特許文献17に示されている。
【0028】
この種の指示の欠点は、機器ソフトウェアが、依然として装置の動作に関する全てのプログラム情報を含まなければならないことである。従って、機器は、製造業者の手元を離れる前に考えられる全てのアプリケーションの全てのコーディングを含めることを必要とするか、販売後に、ソフトウェアアップグレードパッケージにそれぞれの新しいアプリケーションを供給する必要がある。販売後に、同様に、ソフトウェアバグ修正のためのソフトウェアアップグレードの形、また科学計器にはよくあるように、新しい較正又は操作データの形のサポートを必要とする。
【0029】
従来、そのようなアップグレードは、新しいソフトウェアバージョンとして或いはディスク又はCD−ROM上のサービスパックアップグレードとしてユーザに提供されてきた。これは、通常、アップグレード媒体の頻繁な配布により、大きな改訂又はアップグレードのためにのみ行われ、アップグレードをインストールするのに必要なユーザ操作は問題が多いと考えられている。ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)が広くインストールされるにつれアップグレードをリモートで行うことができるとはいえ、これは、機器が適切なネットワークに接続されている場合だけである。
【0030】
新しい機器アプリケーションに個別のアップグレードを提供する更に他の欠点は、新しいアプリケーションルーチンとそれに関連するインストールパッケージを提供する際の開発コストである。また、このアップグレード方法は、ソフトウェアコード固有の複雑さを高めまた多数の改訂や不完全な一連の履歴による非互換性を引き起こす可能性があるので、プログラムエラー又はシステムハングアップの可能性が高くなりやすい。更に、機器をこのようにアップグレードできるようにすると、不正な「ハッキング」に対して無防備なままになり、それにより、製造業者又は再販業者にとって更なる信頼性と保証の問題が生じる。
【0031】
更に、物理的ディスクであろうと電子メールやインターネットを含むリモートな方法であろうと、アップグレードサービスの配布に関するコスト的及び技術的問題と関連する別の物流的な問題がある。
【0032】
機器にプログラムコーディング全体を維持する先行技術の方法の欠点は、1つのプログラムに全ての機器の操作プロトコルを収容する固有のセキュリティリスクである。機器のプログラム操作全体を機器に入れると、リバースエンジニアリングが容易になる可能性があり、機器の不正使用及び/又は第三者のインサートによる操作、或いは機器全体の複製までもが可能になる。
【0033】
従来のソフトウェア保護の方法には、シリアル番号の使用、リモートライセンスサーバ及び/又はファイルの使用、並びにドングルによる保護がある。残念ながら、これらの方法は、熟練オペレータが、搭載アプリケーションプログラムにアクセスして機器を操作したり外部のインサートを使用したりするのを防ぐことができない。プログラムの認証コードを回避する一例は、プログラムに「ハッキング」して認証コード照会を回避し、認証なしに全てのプログラム操作を可能にすることである。
【0034】
本発明は、アップグレードデータ、プログラムコード、実験データ、又は関連情報のうちの幾つか又は全てがインサート内に維持されるようにすることによって、前述の制限を克服する新しい方法及びシステムについて言及する。
【0035】
【特許文献1】米国特許第6,012,902号
【特許文献2】米国特許公開番号US2002/0148992A1
【特許文献3】米国特許第6,619,311号
【特許文献4】米国特許公開番号2004/0209354A1
【特許文献5】米国特許第6,408,878号
【特許文献6】米国特許第6,073,482号
【特許文献7】米国特許第5,718,567号
【特許文献8】米国特許番号5,705,018号
【特許文献9】米国特許番号第5,096,388号
【特許文献10】米国特許第6,100,541号
【特許文献11】米国特許第5,599,503号
【特許文献12】米国特許第6,490,034号
【特許文献13】米国特許第6,224,830号
【特許文献14】米国特許第6,867,857号
【特許文献15】米国特許第6,900,889号
【特許文献16】米国特許第6,906,797号
【特許文献17】米国特許第6,495,104号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
【0036】
流体操作のための物品及び方法
本発明の第1の様相によれば、構造内の流体流の制御を可能にする駆動領域と、駆動領域内の少なくとも1つの駆動構成要素とを有し、駆動領域は、少なくとも1つの駆動構成要素を作動させ又は制御するように配置された流体処理構造が提供される。幾つかの実施形態では、駆動領域は、装置内の流体流を制御するコントローラを有する。
【0037】
別の実施形態では、装置内の流体流を制御するコントローラを有し、コントローラは、装置内の流体流と関連付けられた複数のポンピング及び/又は弁調節構成要素を同時に作動させることができるマイクロ流体装置が提供される。
【0038】
一実施形態によれば、コントローラは、手動又は気圧により動作可能である。しかしながら、任意の適切な操作手段を使用することができる。例えば、コントローラは、電磁的、機械的、液圧、音響学的、又は圧電等により動作可能である。
【0039】
本発明の第2の様相によれば、構造内の流体流の制御を可能にする駆動領域と、流体チャンバ又はチャネルの少なくとも一方と、流体チャンバ又はチャネルの少なくとも1つの境界を形成する半透膜であって、制御流体の流体チャンバ又はチャネル内への通過を可能にし、それにより流体チャンバ又はチャネル内の流体流を促進し、規制し又は阻止するように配置された半透膜とを有する流体処理構造が提供される。制御流体は、任意の適切な流体を含み、例えば、液体、気体又はこれらの組み合わせでもよい。一実施形態は、流体チャンバ、チャネル又は流体ネットワークの少なくとも1つの第2の境界を形成する第2の半透膜を有する。第2の境界は、流体チャンバ又はチャネルと直接連通していなくてもよい。例えば、第2の境界は、更に流体ネットワークに沿ってあってもよい。
【0040】
別の実施形態では、流体及び/又は粒子の通過を制限する半透膜を有するマイクロ流体装置が提供される。本発明のこの様相により、流体(気体や液体等)又は粒子の通過を遅延させるか遮断することができる。本発明のこの様相による膜は、分離、気泡除去、フィルタリング、ポンピング、弁調節、混合、プライミング、計量供給(dosing)等の機能を提供するように適応されてもよい。例えば、一実施形態によれば、流体が膜を通過するときに特定の内圧に達するまで流体が膜を通過することができない。この特定の実施形態は、試料の貯蔵と注入、ポンピング及び弁調節に役立つ。
【0041】
別の実施形態によれば、膜は、脱気、ポンピング、弁調節、試薬の貯蔵と注入等の機能のために気体を通すが液体を通さない(遮断する)。別の実施形態によれば、膜は、流体中の粒子をフィルタリングする。そのような粒子には、例えば、細胞、微生物、高分子、抗原等がある。
【0042】
別の実施形態によれば、再循環流体ネットワークが提供される。再循環流体ネットワークは、例えば導入口、即ち、ポンプ、弁又はデバブラ(debubbler;除泡器)の少なくとも1つを含んでもよい。再循環流体ネットワークは、また、検出チャンバを含んでもよい。幾つかの実施形態では、入口は、更に、デバブラとして機能することができる。
【0043】
別の実施形態によれば、機器カードインタフェースは、カードが気体配管の幾つかを提供するように構成される。別の実施形態によれば、ポンプと弁のコントローラは、同じ圧力リザーバから駆動される。
【0044】
流体ポンピング、弁制御、脱気、フィルタリング、試料導入、試薬貯蔵、及び制御された計量供給は、複雑な化学物質プロトコルを実行するのに役立つ。マイクロ流体での共通の問題は、正確で極めて少量の流体の輸送である。本発明は、可動構成要素、半透膜、電極、又はこれらの組み合わせを含む様々な流体処理構造を含む。複数の構成要素を同時に作動させることができるコントローラを提供することによって装置操作が単純化され、それにより流体処理構成要素の機器要件が単純化される。操作は、ユーザによって手動で直接実行されてもよく、機器の支援によって実行されてもよい。プライミング、試料導入、注入、試薬貯蔵、混合、及び泡の問題を克服する方法も本発明の一部として開示される。
【0045】
本発明の別の様相によれば、流体処理構造が提供され、この流体処理構造は、流体チャネルと変形可能な材料とを有し、流体チャネルは変形可能な材料によって少なくとも部分的に制限され、変形可能な材料はチャネル内に規制部又は圧縮点を作成するように配置される。幾つかの実施形態において、規制部は必要に応じて、チャネル内に進行流体波(traveling fluid wave)の作成を可能にする。構造は更に剛性基板を有し、流体チャネルは少なくとも部分的に剛性基板内に形成される。
【0046】
別の実施形態では、変形可能な材料によって少なくとも部分的に画定されたチャネルを有する装置が提供され、変形可能な材料の変形は、チャネル内に進行流体波を形成することができる。本発明のこの様相の一実施形態によれば、装置は、マイクロ流体装置である。
【0047】
本発明のこの様相の更に他の実施形態によれば、流体波は、任意の瞬間にチャネルに沿った単一位置で流体に力を加えることによって形成される。本発明のこの様相の別の実施形態によれば、装置は、シリコンから作成されないマイクロ流体装置である。これは、好ましくは層状マイクロ流体装置であり、流体波を作成するために電磁機構を利用しないことが好ましい。
【0048】
本発明の更に他の様相によれば、変形可能な材料を利用してチャネル内に進行流体波を作成する段階を含む、マイクロ流体装置内のチャネル内で流体をポンピングする方法が提供される。
【0049】
本発明の追加の様相によれば、変形可能な材料によって少なくとも部分的に画定されたマイクロ流体チャネルを有するマイクロ流体装置が提供され、変形可能な材料の断面積は、チャネルの断面積より実質的に大きく、変形可能な材料は、チャネルに少なくとも部分的に入り、それによりチャネル内の流体流に影響を及ぼすように十分に変形可能である。本発明のこの様相による変形可能な材料は、任意の適切なタイプでよい。熟練者は、適切な材料を容易に識別することができるであろう。例えば、特定のエラストマ配合物は適切な特性を有する。
【0050】
変形可能な材料には、ポリマー、ポリマー複合材料、金属とガラスがあるがこれらに限定されない。変形可能な材料が硬質すぎて十分に変形できない場合は、変形可能な材料は、変形を可能にするように構成され、及び/又はゴム、SantopreneTM、ポリジメチルシロキサン、ニトリル、ポリウレタン、シリコン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、ポリスチレン−ブタジエン−スチレン等のより適切なゴム状弾性を有する他の材料と組み合わされるか置き換えられる。
【0051】
チャネル内で進行流体波を作り出すことができる変形可能な材料の使用は、必要な正確な流体送出を可能にすると同時に低コストの大量生産を容易にする単純な幾何学形状を提供する。
【0052】
更に、本発明は、高コストのアクチュエータ構成要素と低コストの流体処理構成要素をより経済的に分離することができる。1つの好ましい実施形態によれば、駆動構成要素は、変形可能な材料を収容する流体処理装置の外部にある。本発明による流体処理装置は、ポリマー性材料から作成され、流体処理構成要素の全て又は一部分を変形させ、例えば流体流を規制し、加圧し、又は発生させることによって流体流を作り出す。
【0053】
本明細書において、用語「流体」は、気相材料又は液相材料を指す。
【0054】
本明細書において、用語「駆動領域」は、アクチュエータが作用する流体処理装置上の領域を指す。
【0055】
光学測定装置及び方法
本発明はまた、長手方向の光経路を有するフローセルを含むシステム(例えば、マイクロ流体システム)のための方法及び装置を提供する。詳細には、チャネルに沿って長手方向に光を通し、出る光を精密に集中させる装置及び方法が提供され、それにより本明細書で述べる様々な他の手段は、信号の応答を改善し、従って特定の測定システムの感度を改善する。
【0056】
従って、本発明の一様相では、電磁波を伝える経路を画定する少なくとも1つのチャネルを含む流体装置を提供する。幾つかの実施形態では、この経路は、チャネルの長さの少なくとも一部分の実質的に長手方向にある。幾つかの実施形態では、経路は、チャネルの長さの少なくとも一部分に対して実質的に垂直か又は横方向である。他の実施形態では、経路は、チャネルの長さの少なくとも一部分に対して実質的に垂直か又は横方向である。電磁波は、可視光線、紫外線、マイクロ波、電波、X線、及びガンマ線のうちの少なくとも1つを有することができる。
【0057】
本発明の別の様相では、チャネル内で流体の特性を電磁波ベースで測定するように適応されたチャネルを有する装置が提供され、電磁波をチャネルの少なくとも一部に沿って実質的に長手方向に伝えることによって測定を行うことができる。
【0058】
一実施形態によれば、電磁波は可視光線である。しかしながら、この目的に適した任意の形式の電磁波を使用することができる。従って例えば、紫外線又は赤外線、マイクロ波、電波、X線を使用することができ、ガンマ線も使用することができる。
【0059】
本発明による装置は、光学検出を伴う任意の適切な目的のために使用することができる。一実施形態によれば、装置は、マイクロ流体用である。
【0060】
更に実施形態によれば、装置は、マイクロ流体装置であり、マイクロ流体装置を形成するために係合された(例えば、接合された)層を含む(「積層」装置)。別の実施形態によれば、装置は、電磁波(光等)がチャネルに入り及び/又はチャネルから出ることを可能にする少なくとも1つの光学窓を有する。追加の実施形態によれば、装置は、シリコン又はシリコンを主成分とする材料から作成されない。
【0061】
一実施形態では、光は、チャネルの一端にある光学的に透明な開口部からフローセルに入り、そこで、反射又は屈折手段が、光経路をチャネル又はフローセルに沿って長手方向にガイドする。チャネル又はフローセルの長さに沿った内部全反射を最大にするために、反射面又は適切な屈折率の変化を提供することによって、チャネル全体に亘って光レベルが維持される(また、損失が最小限に抑えられる)。検出点で、反射及び/又は屈折構造が、検出のためにチャネルから出る光をガイドし必要に応じて集束させる。
【0062】
別の実施形態では、縦方向及び/又は横方向の照明又は検出の両方を可能にするフローセルが提供される。
【0063】
本発明のこの様相の方法及び装置は、レーザー加工、ダイ切断、エンボシング、射出成形及び積層法を含むがこれらに限定されない従来のバッチ式及び巻き取り式の製造工程によって作成されたマイクロ流体装置に適している。
【0064】
本明細書においては、用語「マイクロ流体」又は「流体」は、1ミリメートル未満の少なくとも1つの寸法を有する構造で実行される流体処理、操作又はプロセシングを指す。
【0065】
本明細書においては、用語「光線」は、実質的に同じ方向に伝わる電磁放射の複数の光子を指す。
【0066】
本明細書においては、用語「電磁放射」は、光子又は波の形のエネルギーを指し、可視光線、紫外線、赤外線、マイクロ波、電波、X線、ガンマ線、類似の放射線等の波を含む。
【0067】
機器構成方法
本発明は、また、一個以上の取り外し可能なインサート内の追加の機能を使用することによって、ソフトウェア又はファームウェアをアップグレードする方法、及び機器を制御する方法を提供する。
【0068】
本発明の一様相によれば、機器によって機能を実行する方法が提供され、この方法は、インサートを機器と関連付ける段階を含み、インサートは、機能の実行を可能にするプログラムコード、データ又はコマンドのうちの一つ以上を含む。機器は、例えば、デジタルマルチメータ、オシロスコープ、分光計、化学分析機器、生物学的分析機器、DNAシーケンサ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、電気化学的分析装置、携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末、又はデジタルマルチメディアプレーヤを含むことができる。
【0069】
別の実施形態では、(i)機器と(ii)機能固有のデータを有するインサートとを使って機能を実行する方法が提供され、この方法は、(a)インサートを機器と係合する段階と、(b)インサートから機器にデータを伝送する段階と、(c)機器が機能を実現する段階とを含む。
【0070】
本発明の別の様相によれば、機能を実行するために機器と共に使用するように構成されたインサートが提供され、このインサートは、機能の実行を可能にするプログラムコード、データ又はコマンドの一つ以上を含む。インサートは、例えば、センサ、カートリッジ、カセット、マイクロ流体装置、フラッシュメモリカード、メモリスティック(商標)、スマートカード、プリント回路、又は他のメモリ構成要素を含むことができる。
【0071】
別の実施形態では、機能を実行するために機器と共に使用されるインサートが提供され、インサートは、機能を実行するために機器によって必要とされる機能固有のデータを含む。
【0072】
本発明の更に他の様相によれば、機器のソフトウェア又はファームウェアを更新する方法が提供され、この方法は、インサートを機器と関連付ける段階と、プログラムコード、データ又はコマンドのうちの一部又は全てを機器に転送し、それにより更新を実行する段階とを含む。機器は、例えば、デジタルマルチメータ、オシロスコープ、分光計、化学分析機器、生物学的分析機器、DNAシーケンサ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、電気化学分析装置、携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末、又はデジタルマルチメディアプレーヤを含む。
【0073】
別の実施形態では、インサートと共に使用される機器のソフトウェア又はファームウェアをアップブレードする方法が提供され、この方法は、(a)インサートを機器と係合する段階と、(b)インサートから機器に送られたデータによって機器をアップグレードする段階とを含む。
【0074】
本発明の追加の様相によれば、機能を実行する機器と共に使用するためのインサートが提供され、インサートは、機器のソフトウェア又はファームウェアをアップグレードするためのデータを含む。
【0075】
本発明の別の様相によれば、機器と、相互作用固有のデータを有するインサートとの間の相互作用を作成する方法が提供され、この方法は、(a)インサートを機器と係合する段階と、(b)インサートからのデータを機器に伝送する段階と、(c)機器が機能を実行する段階とを含む。
【0076】
従来、インサートの主な目的は、機器の通常動作に必要な消耗可能な機能である。インサート上に追加の機能を提供することによって、ユーザ操作が単純化され、新しい製品の開発サイクルが最短化され、製品データセキュリティと製品知的財産権が更に保護される。一般に、本発明による一個以上の取り外し可能なインサートは、アップグレードのため又は機器操作プロトコルのための一部又は全てのデータを、部分的に或いは全体として含んでもよい。
【0077】
本発明は、機器及びインサートのアーキテクチャを提供し、通常機器の物理的機能に使用されるであろう一個以上のインサートは、機器のソフトウェア/ファームウェアアップグレード方法の一部となる。より具体的には、インサートは、アップグレード情報の一部又は全てを含む。この手法は、ソフトウェアの更新プロセスが自動化されるようにユーザ操作を単純化し、他の媒体から新しいソフトウェアをインストールする必要をなくす。更に、別のアップグレード媒体の生産と配布が不要になるのでロジスティックスオーバヘッドが減少する。
【0078】
本発明は、機器と一個以上の取り外し可能なインサートとの間(例えば、1:0から1:1、0:1まで変化する比率で)で配布されるプログラムコード、データ又はコマンドに備える。より具体的には、汎用サブルーチンが、機器上に提供され、アプリケーション固有のプログラム実行及び/又は操作データが、一個以上の取り外し可能なインサート上に提供され、このインサートの主な機能は、機器の物理的制御下で化学実験を抑制し実行し或いは特定の生体試料について分析する使い捨ての消耗品でもよい。
【0079】
この分散型アーキテクチャは、機器とその関連したインサートのための新しいアプリケーション開発と関連したソフトウェア開発を最小限に抑える。次に、一般的にプログラムされた機器は、ユーザがソフトウェアをアップグレードすることなく新しいアプリケーションを受け入れることができ、またアプリケーション及び機器設計者が、新しい「未開発」のアプリケーションを予想する必要をなくす。
【0080】
本発明は、アプリケーション操作の一部又は全てを自動化し且つユーザ定義された設定を提供するためにデータを機器に提供するインサートによって、ユーザ操作性を高め操作を自動化する。それにより、システム信頼性を改善し機器操作を単純化するユーザ相互作用が単純化される。
【0081】
更に、本発明は、機器内にプログラム実行命令が必ずしも存在しないときに追加のソフトウェアセキュリティを提供する。特定の一実施形態では、インサートは、インサートの特定の用途に合わせて機器を構成する命令を保持する。この実施形態によれば、複製を成功させるにはプログラムの実行を完全に理解しなければならないので、本発明は、リバースエンジニアをより困難にする。機器とインサートの相互作用が、万一、最終的にリバースエンジニアリングされる場合は、それによるプログラム実行は、特定のインサートが製造された特定のアプリケーションのデータしか明らかにしない。
【0082】
本発明は、更に、リバースエンジニアリングされた機器が新しいインサートで動作する可能性が低くなるように、インサートに含まれる使用データに対する漸進的で永久的な変更を可能にする。
【0083】
アップグレード情報、又は配布されるプログラムデータは、一個以上のインサート上に符号化されてもよく、電極接続による電気の形式、抵抗値の形式、磁気ストリップの形式、集積回路の形式、光学形式、及び機械形式を含むがこれらに限定されない様々な形式でよい。
【0084】
インサート内部にアップグレード及び構成データを有する更に他の利点は、機器とインタフェースと適合する挿入可能な装置との間の合致を必要とする追加のセキュリティ機能である。
【0085】
本明細書においては、便宜上、用語「消耗可能なインサート」は、一回以上の使用するインサートも指す。
【0086】
本明細書においては、用語「装置」と「機器」は、意味と用途が交換可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0087】
流体操作のための物品及び方法
本発明の様々な実施形態は、装置内の流体流を制御するコントローラと、一個以上の可動構成要素、半透膜、電極、センサ又はこれらの組み合わせを含む様々な流体処理構造とを含む。
【0088】
本発明によるコントローラは、任意の適切な形態をとることができ、装置内の流体流と関連付けられた構成要素を作動させるアクチュエータを有することが好ましい。
【0089】
流体処理構成要素又はアクチュエータ構成要素は、任意の適切な材料から作成することができる。例えば、これらの構成要素は、単一の形成された基板又は複数の基板から作成されてもよい。流体処理構造は、任意の適切な方法で形成することができ、例えば、基板のバルク内に形成されてもよく、基板の幾つかの層から形成されてもよい。
【0090】
アクチュエータは、流体処理装置の外部にあってもよく流体処理装置の一部分でもよく、或いは流体処理装置の外部にあり且つその一部分の別の要素から構成されてもよい。
【0091】
操作は、任意の適切な手段によって実行され、例えば、ユーザによって手動で直接実行されてもよく、機器の支援により手動又は自動で且つ間接的に実行されてもよい。
【0092】
一実施形態によれば、アクチュエータは、外部機器とのインタフェースによって供給される気圧である。
【0093】
示した他の好ましい実施形態によれば、装置上の変形可能な構造に圧力を加えるために、変形し装置内に気圧又は液圧を加える外部の機械式アクチュエータが使用されるか、或いはオペレータの指による手動操作が使用される。従って、好ましい実施形態によれば、変形可能な基板は、流体処理構造の一体部品でよいが、動作機構は別の部品である。機械式アクチュエータは、任意の適切な形態のものでよく、例えば、ベアリング(bearing)、ピン、ピストン、ワブルボード(wobble board)、カム、ワイパがある。他の望ましい実施形態には、例えば、光、静電気、電気、抵抗、圧電、電磁気、気圧、液圧、リニア、磁力アクチュエータを含む機器又は装置によって様々な方法で印加されるエネルギーの使用がある。
【0094】
アクチュエータ領域は、表面全体を覆ってもよくその一部分だけを覆ってもよい。図1は、交差チャネル(02)と共に駆動構成要素(01)を含む駆動領域(03)の概略図である。
【0095】
アクチュエータ領域は、流体処理構成要素の外側面上にあってもよく、流体処理装置内にあってもよい。
【0096】
一実施形態によれば、駆動領域又はその一部分は、(例えば)圧力が加られた状態で形を変化させる可動構成要素でよい。可動材料は、圧力が加えられた状態で形を変化させるエラストマや他の適切な可動材料でよい。
【0097】
別の実施形態では、駆動領域は、形状を所定の幾何学形状から別の所定の幾何学形状に変化させることができ、刺激(アクチュエータ力等)が除去されるか逆転された後で元の状態及び位置に戻るか又は戻り易くなるポリマーや複合材料等の双安定材料又は非安定材料を含む。そのような構成の例には、例えば手動、熱的、電気的又は機械的に操作されるボタン型アクチュエータがあり、このボタン型アクチュエータは、アクチュエータ力が加えられた状態で動くことができるように適切に形成される。
【0098】
可動構成要素は、流体処理構成要素内の圧力又は形状の変化を引き起こすか防ぐように、流体処理構造内に直接変形されてもよく、流体処理構成要素の一部分に間接的に作用してもよい。
【0099】
駆動領域は、駆動構成要素より大きくてもよい。
【0100】
駆動構成要素の動作には、流れ制御、ポンピング、弁調節、拡散、小滴送出、混合、分離、切り替え、計量供給、注入、検出、触媒化、水和、脱水、及びアクチュエータ力で作動されるか又は作動が妨げられる他の流体処理があるがこれらに限定されない。例示のために、図2は、これらの構成要素のうちの幾つかの概略図を示す。図2(a)は噴射ポンプ(04)を表わし、図2(b)はポンプ(05)を表し、図2(c)は開閉弁又は可変弁を表し、図2(d)は逆止め弁を表す。
【0101】
複数の駆動構成要素が同一アクチュエータから操作されてもよい。図3から図7に例を示す。そのような構成は、装置動作を単純化し、それによりアクチュエータ制御及び空間要件を下げることによって流体処理構成要素の機器要件が単純化される。同じ機構によって操作される複数の駆動構成要素を組み合わせることによって、ポンピング、弁調節、混合、注入、制御された計量供給、切り替え、及び他の流体処理等の各種の機能の動作効率を改善することができる。
【0102】
図3に、1つの駆動領域から操作される同じタイプの複数の駆動構成要素の概略図を示す。図3(a)は、同じ機構(08)から操作される3つの別々のチャネル(10)に接続された3個のインラインポンプ(09)を示す。図3(b)は、同一駆動領域(08)で操作される3つの別々のチャネル(10)に接続された3個の噴射ポンプ(11)を示す。図3(c)は、同一駆動領域(08)内で操作される3つの別々のチャネル(10)に接続された3個の開閉弁又は可変弁(12)を示す。同一駆動領域上で個々のチャネルからのこれらの駆動構成要素を組み合わせることにより、同一駆動領域内の全ての構成要素を操作するのに単一の作動機構だけでよくして、生産性、サイズ、コスト及び単純性を改善することができ、また駆動構成要素の厳密なタイミングを必要とするアプリケーションを単純且つ正確に実施することができる。図3(d)は、チャネル(10)の交差点の例を示し、4つのチャネルが、同一駆動領域(08)内で動作する開閉弁又は可変弁(12)を有し、単一動作によって全ての弁付きチャネルに対する制御された計量供給を可能にする。図3(e)は、2個のインラインポンプ(09,13)の例を示し、2個のインラインポンプ(09,13)は、同じ駆動領域(08)から同一操作機構の(圧力が加えられた)逆方向ストロークで動作し、それにより、各ポンプからのチャネル(10)が、正サイクルと負サイクル両方の作動機構のポンピングによって並列に接続されたときにポンピング効率が改善される。
【0103】
図4に、複数のタイプの複数の駆動構成要素が1つの駆動領域から操作される場合の概略図を示す。図4(a)は、同じ操作作領域(14)から操作される独立チャネル(15)上のインラインポンプ(17)と2個の開閉弁又は可変弁(16)を示す。図4(b)は、同じ操作領域(14)から操作される別々のチャネル(15)上の開閉弁又は可変弁(16)に接続されたインラインポンプ(17)を示す。可変弁が、様々な異なる流量に設定された場合は、ポンピングした流体をどちらかの弁出口に繰り返し配分することができる。図4(c)は、同じ駆動領域(14)から操作される開閉弁又は可変弁(16)によって4つのチャネル(15)に接続され、注入された流体を各チャネルに配分することができる噴射ポンプ(18)を示す。図4(d)は、同じ駆動領域(14)から全て操作される開閉弁又は可変弁(16)を含む4つの交差チャネル(15)内のインラインポンプ(17)の概略図を示す。この構成は、弁付きチャネルとの間のポンピング流体流制御を提供する。
【0104】
図5に示したポンピングの概略図は、共通チャネル又はリザーバから流体を配分する3種類のポンプを示す。図5(a)は、同一駆動領域(19)から操作される別々のチャネル(20)上の2つの開閉弁又は可変弁(22)を接続して、ポンピングした媒体を弁構成に従って2つのチャネルに分割するインラインポンプ(21)を示す。図5(b)は、同一駆動領域(19)から操作される別々のチャネル(20)上の2つの開閉弁又は可変弁(22)を接続して、2つのチャネルに注入された媒体を弁構成に従って分割する噴射ポンプ(23)を示す。図5(c)は、同一駆動領域(19)から操作される別々のチャネル(20)上の2組の3つの開閉弁又は可変弁(22)を示す。各弁を順々に操作するように構成することによって、どちらかのチャネル内の単一操作によってぜん動ポンピング運動を達成することができる。
【0105】
本発明によれば、駆動構成要素は、同一アクチュエータによって作動されたときでもその構成と幾何学形状により違うように動作することがある。この例には、幾何学形状によって様々な流量で動作するポンプ、動作中に幾つかが閉状態になり他が開状態になる弁、流量を様々なレベルに規制するように設定された可変弁、又は同一アクチュエータによって様々な時間に作動される構成要素がある。図5に、制御された計量供給を実現する構成例を示す。これらの弁は、制御された計量供給を提供するように様々な形で設定されてもよい。例えば、これらの弁は、作動サイクル中の異なるポイントで閉じるように設定されてもよく、実質的に制御された体積計量供給イベントを行うことができるように流量を規制するように設定されてもよい。
【0106】
本発明の別の様相によれば、駆動構成要素は、その構成に応じて同一アクチュエータによって異なるように動作することができる。図3eは、同一アクチュエータで動作する2個のポンプが並列に接続された構成の例を示す。駆動構成要素は、同時に動作することもでき、作動サイクルの異なる部分で動作することもでき、例えば、一方のポンプが作動サイクルの下方ストロークで流体を送り、他方のポンプが上方ストロークで流体を送る。
【0107】
別の実施形態では、同一アクチュエータから複数の弁を操作し、複数の弁を交互に開閉状態にしてぜん動運動を生成することによって、流体流を引き起こすことができる。図5cに、同一アクチュエータによって操作される3つの異なるように駆動される弁で構成されたぜん動形ポンプを示す。
【0108】
複数の駆動領域を結合して流体処理を実行することができる。図6と図7に、そのような構成の一例を示し、この例では、ある流体ストリームが別の流体ストリームを横切って2つのストリーム間で所定の体積移動を可能にする。図6の例では、ストリーム(23,24)が、ポンプ及び弁駆動領域(26,27)によって交互に作動されて、注入されたストリームが流れ、ポンピングされてないストリームが、ポンピングされたストリームの操作によって弁で調整される。これにより、これらのストリームが交差する箇所(25)を除き一方の流体が別の流体のチャネル内に逆流するのが防止され、それにより他方のストリームに注入することができる流体の制御された計量供給又はプラグが提供される。図7の概略図では、流体ストリーム(30)は、(28)によってポンピングされ、チャネル(32)内の背圧の方が高い場合、流体は(31)でチャネル(32)と交差し、(29)の弁から出る。従って、(29)が作動されたとき、チャネル(32)に沿った流体はポンピングされるが、(29)の弁の作動によって(30)に逆流しない。従って、流体が(29)の作動前に(28)から導入された場合は、2つのストリーム(31)の交点で流体のプラグが注入され、(29)からポンピングされた流体と共に運ばれる。
【0109】
図8(a)は、そのような駆動領域(33)の一実施形態を示し、この実施形態では、2つの中央チャネルが、動作時にポンピング操作を可能にする2つの円形逆止め弁(34)によって接続され、図8(b)に示したように、矢印は、交互の作動サイクルでの流体流の向きを示し、(34a)と(34b)はそれぞれ上方と下方の操作サイクルを表す。図8(a)の長方形の駆動構成要素(35)は、動作中に膜(36)を変形させてチャネルを遮断し流れを止める開閉弁であり、図8(c)に示したように、弁の断面は、開(35a)モードと閉(35b)モードで示されている。図8(d)に示した別の実施形態は、ポンプとして動作する2種類の弁の動作を示す。充填する動き(37)によって、膜(36)が上方に変形して流体がポンピングチャンバに流れ込むことを可能にし、空サイクル(38)では、膜(36)は、チャンバの基部に押し付けられて入口スリットを閉じ、膜を下側チャネル内に変形させ、流体が、出口チャネルの前に規制下で通過できるようにする。図8(e)に、三方弁の別の例を示し、この例では、変形可能な層(40)は、特定のポートを、反対側のポート(39)から圧力が加えられたときに閉じるために使用され、この圧力は、膜を変形させて圧力が加えられていないポートを覆う。膜は、初期設定で特定のポートを閉じるためにチャンバ又はチャネルの片側に配置されてもよく、最初に閉じられたポートから圧力が加えられたときだけ開く。
【0110】
本発明の別の様相は、例えば空気を通すが低圧下での液体の流れを防ぐ通気孔又は逆止め弁の役割をすることができる一枚以上の半透膜を備えてもよい。この例には、0psiより高い泡立ち点圧力を有する有孔フィルムや線維膜があるが、これらに限定されない。好ましい実施形態は、0.9μm未満、好ましくは0.5μm未満、最も好ましくは0.2μm未満の孔径を有する疎水性膜を使用する。孔径が0.2μm未満の場合、膜は、生物有機体のトラッピングに適する。半透膜は、例えば、プライミング、死容積、及びポンピング等の操作によって行われる流体処理構造の気泡除去のための通気孔として使用されてもよく、この例は、インラインポンプ(43)が下流にデバブラ(41)を含む図9(a)に描かれている。半透膜は、逆止め弁として構成されてもよく、図9(b)に、噴射ポンプ(44)が、逆止め弁として働く通気孔(42)を有するその一例が示されている。この構成は、作動時だけシステムに注入される構造内の流体の安全な貯蔵と操作を可能にする。図10は、デバブラを備えたチャネルの断面を示す。泡(45)を含む流体(47)が半透膜(46)のそばを通り、膜の両側の圧力差(48)は、気泡がチャネルを下方に流れ続けるのに必要な圧力よりも低いので、泡(45)は、膜によって選択的に除去される。
【0111】
別の実施形態では、チャネル及び/又はチャンバ(52,53)を完全に満たすために構造(49)から気体を除去する通気孔(50)が配置される。充填材料は、任意の適切なタイプでよく、例えば流体でも固体でもよい。図11の例は、流体が入口(51)から導入されたときに、構造内に最初にあった空気を除去するために検出チャンバ(53)の下流に配置された脱気用の通気孔(50)を示す。
【0112】
別の実施形態では、表面張力と幾何学的構造を使用して、気体を除去している間に液体が通気孔を通るのを支援することができる。図12(a)と図12(b)はそれぞれ、気体が通り易くするためにマイクロチャネル(54)上に比較的大きい面積の通気孔(56)を備えた例示的な装置(55)の平面図と断面図を示す。マイクロチャネルは、通気チャンバ(57)の底面を通り、気体がチャンバ内に解放され通気孔(56)から外に出る際にチャネル内と通気チャンバ内の表面張力によって液体がチャネルに沿って導かれやすくなる。別の実施形態では、図13は、調整弁(60)機能を使用して空気が通気孔から出るのを防ぐ通気孔構造の例を示す。液体は、通気チャンバ内(61)で特定の圧力に達したときだけ調整弁(60)を通る。この調整圧力は、透過膜の泡立ち点より高いので、気体(59)は、透過膜(58)から選択的に放出される(図13(a))。通気チャンバ(61)が液体で満たされ、圧力が加えられたとき、変形膜(62)は、液体が出口に通るように変形する(図13(b))。
【0113】
別の実施形態では、液体の装填とポンピングのために、通気孔が、変形可能な構造及び逆止め弁、即ち規制部と結合されてもよい。例えば、図14(a)と図14(b)はそれぞれ、図13と同じように、変形可能な構造(66)の下で逆止め弁(67)と結合されたデバブラ形の通気孔(63)の上面図と側面図を示す。ここで、逆止め弁(67)は、変形可能な構造(66)が圧縮されたときに空気が(65)を通るようにすることによって圧力を逃し、変形可能な構造がその元の状態に戻ったときに密閉するように構成される。従って、装置内には、チャネルから流体を吸い込んでチャンバ(64)を既知の体積で満たす負圧が生成される。次に、図22の再循環ネットワークと同じように、他のポンピング機構を使用して、既知の体積の流体が装置内のデバブラを通ることができる。
【0114】
別の実施形態では、通気孔は、試料導入のフィルタリングと流体制御を行うように構成されてもよい。図15(a)は、入口ウェルの上の半透膜(68a)を示す。膜の泡立ち点より大きな圧力差が印加されると、試料中の膜を通るほど小さな成分が、膜(68a)層を通過し、装置内に入る。圧力が加えられるまで、試料が有効にフィルタリングされ試料の入力が遅延される。図15(b)の例は、流体装置の入口の上に配置された2つの半透層を提供する。試料と接触した状態の第1の半透層(68b)は、最初に試料を吸収し画定された場所に収容する吸収性媒体として構成され、それにより、フィルタリング半透層(68a)の両側に圧力が加えられたときに、制御された計量供給体積の試料を装置に導入することができる。この例では、試料は、圧力が加えられて試料が装置に導入される前に吸収材料にしみこむ。圧力勾配が十分なとき、膜のすぐ上の露出領域にある試料だけが装置に入る。
【0115】
別の実施形態では、半透膜(72)を使用して、制御された体積の計量供給と蓄積を実現することができる。図16は、試薬又は試料を、膜を介して、(70)で示し既知の体積で満たされる大きなリザーバチャンバに注入することができる例を示す。充填中に空気を除去し圧力を解放して出口弁が解放されないようにするために小さな通気孔領域(73)が提供される。装置への注入が必要なときは、圧力が半透膜(72)にかけられ(通気孔領域が封止されるか等しく加圧された状態で)、流体チャンバが加圧され、液体が圧力除去弁(69)からチャネル(71)に注入される。類似の手法は、エラストマ層を介した注入等によって試料をリザーバチャンバ(70)に装填することであり、従って、露出した半透膜(72)がこの通気機能を実行するので別の通気孔領域(73)は不要である。
【0116】
別の実施形態では、流体を半透膜を介して導入して弁又はポンピング機能を実現することができる。図17(a)と図17(b)はそれぞれ、2つのチャネルの交点とチャネルの端に配置された通気孔(72)を示す。装置内の流体を、透過膜(72)を通って選択的に流れることができる別の流体(73)(例えば、液体と気体)を利用して制御することができる。この例では、加えられる気体(73)を使用して、チャネルネットワークに液体(74)を通したり流体流を止めたりすることができる。泡立ち点圧力(表面張力)は、液体が膜を通過するのを防ぐ。また、幾何学的構造を半透膜と組み合わせで使用して流体流を規制することができる。
【0117】
別の実施形態では、通気孔(78)を逆止め弁(75)と組み合わせてポンピングシステムを構成することができる。図18に、そのようなシステムの一例を示す。図18(a)は、空気を除去し流体を吸い込む通気孔(78)の両側の負の圧力(76a)勾配によってポンピングチャンバ(77)を満たす流体を示す。図18(b)は、通気孔の両側に印加される正圧(76b)勾配によってポンピングチャンバから放出される流体を示す。空気の動きは、図20に示したようなボタン型ポンプ等の外部気体インタフェース又は一体型アクチュエータから提供することができる。
【0118】
別の実施形態では、構造化ネットワーク内の流体制御のために一枚以上の半透膜が使用される。図19は、異なる泡立ち点を有する2枚の半透膜(81a,81b)を使用する例を示す。印加された負圧(79a)を使用して、半透膜(81b)を介してチャネル(80a)から流体を吸い出すことができ、次に、圧力の低下或いは印加圧力勾配(79a)よりも高い泡立ち点を有する第2の半透膜(81a)を使用して、液体がこの層(81a)を通るのが防止される。次に、正圧(79b)を加えて(図19(b))、規制部、弁又は他の流れ制御機能を有する出口(80b)から流体を押し出すことができる。
【0119】
別の実施形態では、駆動領域に、センサ動作、回路動作又は作動イベントの検出のための電子的切り換えを行う電極が含まれる。図20に、アクチュエータ動作中に作動される電極パッド(82)を含むボタン型駆動領域(84)を示す例を示す。この例では、構造(84)の作動中の圧力解放用の穴が基板(83)に設けられ、動作によって生じる圧力は、動作のために基板の下の装置内で使用される。
【0120】
別の実施形態では、ボタンや他の変形可能な構造が半透膜と組み合わされる。これは、制御された作動体積を提供することによって、化学薬品の貯蔵、注入、ポンピング、弁調節、及び他の流体操作動作に有利である。例えば、図21(a)と図21(b)は、流体ポンピングチャンバ(91)が変形可能な作動構造(87)内の大きな作動体積(90)と別に維持される2つのポンピング方法を示す。次に、これらの2つの形状を調整して最適なポンピング状態を提供することができ、変形可能な構造(90)内部の体積は、ポンピング圧力を制御するために使用され、半透膜(86)の反対側の流体ポンピング体積(91)は、ポンピング体積を規定するために使用される。更に、半透膜(86)を使用して、例えば液体が変形可能な構造上の電極センサを腐食しないように、変形可能な作動構造(87)の動作に有害な腐食性流体や他の流体を近づけないようにすることができる。図21に示した例では、下方向の作動力(89)は、変形可能な作動構造(87)を変形させて、作動体積(90)を小さくし、ポンピングチャンバを加圧して、それにより、流体は、逆止め弁(88)を介してチャネル(85b)から押し出される。作動力(89)を除去し、変形可能な作動構造(87)がその元の形状に戻ると、負圧によって、流体が逆止め弁(88)を介して流体ポンプチャンバ(91)に吸い込まれる。
【0121】
代替の状況では、変形可能な作動構造(87)は、変形可能な構造の操作により内圧が膜の維持点より高くなるまで装置のチャネルから離された作動体積(90)内に流体を収容することによって噴射ポンプとして働くことができる。
【0122】
別の実施形態では、再循環流体システムが提供される。脱気構成要素を使用することによって、出口を入口に接続することができ、システムに導入される空気は、流体が機能領域まで通る前に除去される。このように、流体を何回もより効果的に混合し機能領域に通すことができる。これは、マイクロ流体システムにおけるクロスフロー濾過、固相化学、検出等の試料準備を含む多くの用途で利点を有する。図22は、入口(92)、ポンプ(93)、デバブラ(94)、及び検出チャンバ(95)を備えた再循環流体ネットワークの概略図を示す。矢印(96)は、ポンピング中の流体流の向きを表わす。
【0123】
他の実施形態では、望ましくない領域に泡が発生するのを防ぐための内圧除去構造(97)が使用される。例えば、図23は、そのような2つの構造を示し、これらの構造は、再循環ネットワークの出口近くのチャネル(98)内で使用され、ポンプからの吸引力が最低圧力の近くで流体チェーンを分離するのを防ぐことができる。場合によっては、これは、泡の形成による悪影響を受ける可能性がある検出ゾーン又はその近くにあってよい。これらの特別な幅広い領域(97)を導入することによって、流体は、検出器領域の近くではなくこのポイントで選択的に分離する。
【0124】
図24は、多層再循環流体ネットワークの上面図を示す。再循環ネットワークは、フィルタリング及び試料装填のための半透膜を有する入口(108)から、駆動領域(102)内のインラインポンプ(99)に直接接続される。その後、再循環ネットワークは、逆止め弁(100)、逆流規制用の逆止め弁を備えた試料導入ポート(101)と、圧力除去弁と気泡除去弁(103)及び空気戻り口(109)を備えた逆止め弁(104)を含む変形可能な駆動領域(102)に接続される。これにより、駆動領域内の正圧が、空気戻り口(109)から解放され、負圧が、制御された体積試料装填のために試料入口(101)から流体にかかることが保証される。その後、再循環ネットワークは、拡散ベースの混合を改善するために流れを分割し、逆転し、次に再結合する分離流れ混合器(105)と、検出チャンバ(106)と、圧力除去構造(107)と、流体システム内で流体を再循環させるための入力段(108)に接続される。
【0125】
別の実施形態において、図25は、ポンプ、弁、デバブラ、検出ウェル、及び圧力除去構造を含む2つの制御された計量供給流体ネットワークを含む多層装置(110)の平面合成図を示す。各ネットワークの出力は、他のネットワークの一方の入力に繋がり、圧力除去構造がないと、入口ウェルを空にすることにより、反対側の流体ネットワークの出口に吸引が生じ、これにより検出ゾーン内に泡が生じる可能性がある。上の2個のボタンは、それぞれの入口ウェルからの流体のポンピングを可能にし、一度に片方のポンプだけが運転されたときの逆流を防ぐ逆止め弁を提供する。下の2個のポンプは、フローインジェクション分析技術と同じように、内部ウェルから、他のウェルからネットワークを介してポンピングされる流体の体積に、制御された体積の流体を注入するように構成される。詳細には、インラインポンプ(111)及び(112)は、運転されたとき、どちらかのポンプへの逆流を防ぐ逆止め弁(113a又は113b)を介して流体をポンピングする。ポンプ(111,112)の動作制御により、それぞれの入力ウェル(114,115)からポンピングされる2つの流体の比が決まる。デバブラ(116a)にポンピングで渡された流体から気体が除去される。次に、気泡除去された流体は、(117a)の検出チャンバから、圧力除去弁(118b)を通り、インラインポンプ(120)の入口ウェル(119)にポンピングされる。次に、インラインポンプ(120)を使って、逆止め弁(125b)を介してポンピングされるキャリア流体を、共通噴射チャンバ(121)、作動止め弁(122b)を通り、デバブラ(116b)、圧力除去弁(118a)を通り、ウェル(114)から出る。逆止め弁(125a)は、インラインポンプ(123)内へのキャリア流体の流入を防ぎ、作動止め弁(122b)は、インラインポンプ(120)によって操作されて、この作動サイクル中に流体流がウェル(124)に入るのを防ぐ。インラインポンプ(123)が運転されるとき、ウェル(124)内の流体は、逆止め弁(125a)、噴射チャンバ(121)、開いた作動止め弁(122b)を通り、ウェル(124)に戻るように再循環される。この作動サイクル中に、逆止め弁(125b)は、ポンプ(120)内への流れを防ぎ、作動止め弁(122a)は、デバブラ(116b)への流体流を防ぐように作動される。
【0126】
一実施形態では、装置に組み込まれたポンピング及び弁調節機能は、カード(126)によって提供される構成可能な気体相互接続によって外部の気体機器から操作される。この構成は、カードが、内部の弁とポンプ機構だけでなく外部の弁接続(131)も構成するので、カードを様々な用途に使用するように構成することができる頑強で極めて柔軟なプラットフォームを提供する。図26は、例示的な装置の平面図(図26a)と側面図(図26b)を示し、この例では、ポンピング領域(128)の上の共通チャンバ(127)が、外部圧力源からポート(130)を介して(正又は負に)加圧され、その共通圧力チャンバ(127)の下にある全てのポンプに共通のポンピング操作が提供される(複数の圧力チャンバを独立に使用し操作することができる)。カード内の流体の動きは、外部機器の弁(129)によって気圧により制御されるカード内部の弁調節構成に基づいて許可又は禁止される。内部弁構造に対する圧力は、外部の弁(129)によって制御され、加圧ポンピングチャンバ(127)への接続(131)と大気により正でも負でも大気圧でもよく、カードによって設定可能である。機器弁(129)は、シーリングガスケット(133)によってポート(132)を介してカードに接続される。
【0127】
本発明は、また、ポンプ又は弁として使用されることがある変形可能な構成要素を含む様々な流体処理構造を含む。変形可能な構成要素は、流体処理構造内に変形され、或いは流体処理構造の一部分に作用して、流れを規制するか又は圧力を上昇させる。
【0128】
流体処理構造の一部分が変形されても全体が変形されてもよい。この規制を使用して、静止した単一弁、複数弁、又は移動する弁動作での流体の動きを制御することができる。それぞれ図27(a)、図27(b)及び図27(c)を参照されたい。図27では、チャネルは、基板(203)と変形可能な材料(202)によって画定される。図27(a)では、単一のベアリング(201)が、チャネル(204)の長さに対して垂直方向に動き、エラストマ材料(202)を変形させ、それによりチャネル(204)の一部分が封止される。図27(b)では、3本のベアリング(201)が、変形可能な材料(202)をチャネル構造(204)内に変形させて、チャネルに入る操作とチャネルから出る操作を交互に行うことによってぜん動形ポンプ動作を構成する。図27(c)では、ベアリング(201)は、チャネル(204)長さに沿って移動されて、変形可能な材料をチャネル(204)内に変形させて、チャネル内の流体をベアリングの動きの方向に押す。
【0129】
一実施形態によれば、外部構成要素は作動部品を含み、この作動部品はチャネルの一部分の変形を可能にする流体処理構成要素と接触し、チャネルを挟み、それによりチャネルを開き(図28)又は閉じる(図29)ことによって弁調節を実行する。
【0130】
図28は、変形可能な材料(205)と変形不可材料(206)の組み合わせを使用して流体処理構造(208)を作成する、操作前の本発明の各種の実施形態を示す。変形可能な材料は、圧力印加等の刺激のある状態で形状が変化する図28(a)から図28(h)に示したようなエラストマ(205)や、図28(m)から図28(p)に示したような他の材料(207)でもよい。図28(i)から図28(l)は、流体処理構造(208)を構成するために使用することができる変形可能な材料(205,207)の組み合わせを例を示す。
【0131】
図29は、動作(209)時の変形可能な材料(210)の各種の流体処理構造内への変形を示す。様々な外部アクチュエータを単独又は組み合わせで使用することができる。外部アクチュエータは、操作時に最も有効に変形するように適切に寸法が決められる。例は、変形可能な材料を半円形チャネル内に変形させる円形ベアリングである。図29(c)から図29(f)に示した代替の手法は、動作(209)時に変形可能な材料(210)が流体処理構造内に確実に変形するように変形可能な材料を形成し及び/又は限定することである。
【0132】
本発明のこの様相による変形可能な材料は、任意の適切なタイプのものでよい。好ましい1つの実施形態は、エラストマの変形可能な材料を含む。変形可能な材料は、変形する刺激が除去された後でその変形前の形状と位置に戻るような弾性を有することが好ましい。従って、例えば、アクチュエータによってチャネル内に押し込まれた変形可能なエラストマ材料が、アクチュエータの除去後にチャネル外の位置に自動的に戻ることが最も好ましい。
【0133】
別の実施形態では、変形可能な材料は、所定の幾何学形状から別の所定の幾何学形状に形状を変化させることができ、刺激が除去されるか又は逆転された後で元の状態と位置に戻るか又は戻り易いポリマーや複合金属等の双安定又は非安定材料である。そのような例には、手動、熱的、電気的、又は機械的に操作され、隆起構造又は浮き彫り構造に適切に形成されたボタン型アクチュエータがある。
【0134】
流体処理構成要素は、単一の成形基板又は複数の基板から作成されてもよい。流体処理構造は、基板のバルク内に形成されてもよく、基板の幾つかの層を画定することにより形成されてもよい。
【0135】
流体処理構造(211)は、図30に示したように、変形可能な材料(212)内に一部分が形成されてもよく全体的が形成されてもよい。図30(a)と図30(b)は、基板(213)によって部分的に画定された流体処理構造(211)を収容する変形可能な材料(212)を示す。図30(a)では、変形可能な材料(212)は、基板(213)の表面上にあり、一方図30(b)では、変形可能な材料(212)は、基板(213)に組み込まれている。図30(c)と図30(d)は、変形可能な材料(212)内に形成され別の変形可能な層(212)によって封止された流体処理構造(211)を示し、図30(d)では、流体処理構造(211)が完全に変形可能な材料(212)の中に形成されている。
【0136】
変形可能な材料は、変形距離より薄い膜でもよく、変形可能な材料の深さが必要な変形より大きいバルク変形可能な材料でもよい。小さな構造内に変形させる圧力印加ゾーンを大きくすることによってアクチュエータ機構を単純化するには、変形可能な材料は大きい方が有利である。
【0137】
変形可能な材料は、流体処理構成要素の外側面上にあってもよく、流体処理装置内にあってもよい。
【0138】
変形可能な材料は、表面全体を覆ってもよくその一部分を覆ってもよい。例えば、変形可能な材料は、ガスケット又はOリング形状を含む。
【0139】
変形可能な材料は、チャネルの表面と同じ高さでもよく、チャネルの表面より突出していてもよい。
【0140】
変形可能な材料は、一つ以上の流体処理構造内に変形しもよい。
【0141】
別の実施形態では、変形可能な材料から形成された複数の静止弁を使用して、弁を交互に開状態と閉状態にしてぜん動形の動きを作り出して流体流を作り出すことができる(図27(b))。
【0142】
変形可能な構造又はマイクロ流体構造をディフューザノズルや弁等の他の流体規制要素と組み合わせて、ポンピング機構のポンプ又は一部分を形成することができる。そのような弁調節構造は、図28(o)と図28(p)に矢印で示したようにポンピングチャンバの近くに配置されてもよく、ポンピングチャンバ又はチャネルの長さに沿って配置されてもよい。チャネルの長さに沿って配置された弁は、段階的チャネル規制部や逆止め弁等の流れ方向規制構造を含むことができる。図31は、変形可能な材料(214)が変形したときに逆止め弁として働く起伏(contoured surface)面を有する基板(215)に形成されたチャネル(217)を示す。この例では、矢印の方向に移動する転がりベアリング(218)が、起伏面(217)に沿ってベアリングの前の流体(216)を押す。ベアリングの前に蓄積された流体圧力により、膜(214)が変形して流体(216)が起伏(contour)に沿って押される。
【0143】
別の実施形態によれば、流体処理構造を変形させるアクチュエータの動きは、チャネルに沿って流体を流す波状運動を発生させることによってポンピング動作を作り出すことができる。図32(a)と図32(b)は、流体流(219)を発生させるために流体処理装置の表面に沿ったアクチュエータの直線運動(220)と放射状運動(221)によって作成されるポンピングゾーンの概略図を示す。図33は、3つの弁位置(222)と出口/入口ポート(223)に至るマイクロ流体チャネル(225)に接続されたラジアルポンプ(224)構成を使用する多層装置の平面図を示す。エラストマの変形がチャネルの長さ方向に移動するので、多くの場合、チャネル内への変形を維持するときに逆流を止める弁は不要である。
【0144】
これらの特定の実施形態は、機械式アクチュエータを使用して、変形可能なチャネル構造にチャネル方向と垂直な圧力を加え、変形した基板層と平行にほとんどゼロの力を加えて摩擦力を減少させる。変形可能な基板は、マイクロ流体チップの一体部分でもよく、回転部分又はアクチュエータは、付属又は付随する機器又はそのような制御された装置の一部分でもよい。機械式アクチュエータの例は、図34に示されており、例えば、球状物体(227)とベアリング組立体(228)、ピンとピストン(226)、ワブルボード(229)、カム(230)、及びワイパ(231)がある。他の望ましい実施形態には、オペレータの指等による手動操作、或いは静電気、電気、抵抗、光、圧電、電磁気、気圧、液圧、リニア、及び磁力を利用したアクチュエータを含む機器又は装置によって印加されるエネルギーの使用がある。図35に示した例は、図32に示した装置のエラストマ層を変形させるために使用される2個のアクチュエータヘッドを備えたラジアルベアリングポンプの分解図を示す。一方のベアリングヘッド組立体は、ポンピング動作を行うために使用され、他方のベアリングヘッド組立体は弁の近くで動作する。ベアリング組立体は、駆動ロッド(238)に接続された歯車組立体(235,236)に取り付けられたハウジング(232)に収容された球状物体(234)からなる。組立体全体は、90度回転してベアリング組立体を回転させ、ハウジング(237)を結合する固定ピン(233)と一緒に保持される。
【0145】
光学測定装置及び方法
特定の好ましい実施形態に関する以下の説明は、装置に使用される電磁波として光に注目する。しかしながら、当業者であれば、特定の実施形態が他の電磁波に等しく適用可能であることは理解できるであろう。
【0146】
光学的流体検出セルの目的は、流体と、セル内を流れるか或いはセルに含まれる流体によって処理される材料とを分析するときの検出感度を改善し、ひいては検出器応答を改善するために、チャネルに出入りする光線をガイドすることである。本明細書で開示する構造、装置及び方法はいずれも、流体検出セル内での縦方向と横方向の測定に適用可能である。
【0147】
検出セルに含まれる流体を横切った後の入射光を分析するための分析方法としては、チャネル内の比色、発光(りん光と螢光)、吸収、透過が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
検出セル内の流体は、静止していても移動していてもよい。
【0149】
分析対象の分子は、チャネル内のどこにあってもよく、例えば、流体内に存在してもよいし、検出セル壁に結合していてもよいし、検出セル内の別の物質に付着していてもよい。
【0150】
また、レンズやフィルタ等のチップ外の光学素子を使用して、装置の入射光線又は出射光線を収束し調整できる。
【0151】
本発明による装置は、電磁放射を透過、反射、屈折、修正、或いは分離する任意の公知の構成要素を含むことができる。これらの例としては、次の吸収、反射、屈折、回折部品、即ち、ディフューザ(材料不均一性(material inhomegenity)、表面マイクロ構造化による)、レンズ(凹面、凸面、球面、非球面、フレネル)、プリズム(光のガイド或いは分離用、ビームスプリッタ、コリメータ)、屈折面(異なる屈折率を有する材料、表面反射を減少させるモスアイ微小構造)、屈折率を変化させるための表面コーティング(薄い金属層等のオプティカルコーティング)、回折格子、リフレクタ(平面、球面、非球面、フレネル、コーナキューブ)、フィルタ(吸収、ダイクロイック、バイナリ)等が挙げられ、これらは単体で或いは複数の光学素子の一部として使用できるが、これらに限定されない。
【0152】
一実施形態によれば、装置は多層装置であり、装置のバルクの一部又は前部はポリマー製である。流体又は光学構成要素は、バルクの材料を除去する或いは置換する、或いは層全体に亘って切除することにより作成される。本発明に係る装置は、バッチ式、逐次的又は連続的な製造法によって製造できる。このような技法としては、エンボシングや射出成形、打ち抜き、ローラ切断、プラズマ又は化学的エッチング、レーザー加工、熱成形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
一実施形態では、光源S及び検出器Dの一方又は両方は、流体輸送チャネルに対して垂直に配置できる。図36(a)〜図36(d)は、透過窓(301)が照明及び/又は検出のために上面に配置されたマイクロ流体チャネル(401及び402)の上面図を示す。これらの例では、検出ゾーンは、透過窓(301)間のマイクロ流体チャネル(402)全体に亘って長手方向に配置されている。
【0154】
図37(a)、図37(b)及び図37(c)には、長手方向の検出ゾーンを有する装置の断面が示されており、ここでは、装置内で電磁放射をガイドするために光子方向転換要素が使用されている。S及びDはそれぞれ(光の)光源及び検出器を指す。図37(a)は、装置(303)の導波路(301)を通る光子経路(302)を基本的には鉛直方向と水平方向の間で方向転換する傾斜反射面(412)がチャネル(403)の両端に配置されている状態を示す。図37(b)は、傾斜反射面(412)を使用して装置(303)内の光子をガイドする例を示す。光子経路(302)は、層間の透過窓或いはポート(405)を通るように光を方向転換させることによって、流体導波路(404)及び非流体導波路(406)を横切り、装置内の層間を通過できる。また、装置は、装置内の光子をガイドするためにプリズム構造を含むことができる。図37(c)に、プリズム又は屈折構造を有する例示的な装置(303)を示す。この例では、流体を満たした検出チャネル(304)は斜めの端壁を有し、光子経路(302)は、装置の最上層を通り、検出チャネル(304)に沿って進み、最下層から出るようにガイドされる。
【0155】
一実施形態では、チャネル壁内の損失を防ぐために、マイクロ流体チャネルの壁に、反射構成要素(鏡面又は高屈折率材料)が追加される。図38及び図39は、反射薄膜の付着によってマイクロ流体チャネル内に反射構成要素を作製する製造工程の例を示す。図38は、一層(305)を完全に切断して空隙或いは流体チャネル(307)を作成することによって三層装置を製造するための4工程を示す。コーティング(306)は、層同士を接合する前に付加されるか、或いは幾つかの層を接合する中間工程の後で付加され、コーティングされたマイクロ流体チャネル(408)が最終的に密閉される。図39は、エンボシングや射出成形等の技法によって成形された後、反射層が付着され、組み立てられる二層装置の製造工程を示す。この例では、組立前に基板層(305)に構造化とコーティングが実施され、コーティングしたマイクロ流体チャネル(407)が製造される。反射薄膜(306)は、スパッタリングや化学蒸着法等による構造化後に付着してもよいし、或いは(印刷業界で装飾用コーティングに使用されることの多い)ホットスタンピング等の方法によって付着してもよい。ホットスタンピングを用いれば、ウェブベース(web-based)やリール巻き取り式(reel-to-reel)の生産等の連続的な製造手法に容易に組み込むことができる単純な打ち抜きプロセスで、比較的厚い金属皮膜が付着でき、場合によっては複雑な多層構造を付着できる。ホットスタンピングを、エンボシング又は積層工程の前又は後に実行して、付着後の薄膜を更に構造化或いはコーティングできる。
【0156】
更に別の実施形態では、光線を検出セルまでガイドし、幾つかのケースでは検出セルの長さに沿ってガイドするために、装置内に光パイプ(即ち、導波路)が作成される。図40(a)及び図40(b)に示す断面は、内部反射を増加させるためにコーティングしたチャネルを有する検出セルの実施形態を示す。図40(a)は、反射面(308)を有するマイクロ流体導波路(409)を構成する3層の基板層(309)の例を示す。上面又は下面に対して略垂直でマイクロ流体チャネル内の斜面構造面に近い光子は、チャネル長に沿って長手方向にガイドされ、チャネルの他端で反射されて入力面とは反対側の面から出る。図40(b)は、複数層を通る導波路を提供するように組み合わされた4層の基板層(310)の例を示す。この例では、導波路構造(410)は、反射面(311)を有し、層内の空隙から作成できる。これら空隙は、何も充填されていなくてもよいし、透過性材料が充填されていてもよい。また、図40(c)に示すように、導波路や流体構造(313)と接触していない層の表面にコーティングを塗布してもよい。図40(c)においては、上面に対して略垂直な入射光をマイクロ流体チャネル又は空隙(314)通過後に反射させる反射(312)層が基板の下面に設けられている。
【0157】
例えば装置の一以上の層の表面をコーティングすることによって、ダイクロイックフィルタ、吸収フィルタ、或いは他のフィルタを組み込むこともできる。
【0158】
他の実施形態では、様々な屈折構成要素が組み込まれる。該要素としては、プリズムや、異なる屈折率を有する材料が挙げられるが、これらに限定されない。図41(a)は、三層(315)マイクロ流体装置を構成するための接合前に層にエンボス加工されたプリズム(411)及びレンズ(319)構造を示す。この例では、入射光子(317)は、プリズム構造によって対向する2個のマイクロ流体チャネル(316)内にガイドされ、次に各チャネル端部で反射され、凹レンズ構造(319)によって装置の外部で収束される。光子収量を改善するために反射層やコーティング(318)が使用される。図41(b)に類似の構造を示すが、この三層(324)マイクロ流体装置は、光子(322)を集束するための凹レンズ(320)及び凸レンズ(325)と、光子を空隙或いは流体チャネル(323)内でガイドする反射面(321)とを有する。図41(a)及び図41(b)は、光線の集束を助けるために装置の上面にレンズを有する。図41(c)は、検出セルと直列で、装置内で導波路内等に光を集束するか外付部品との間で光を集束するレンズ構成要素を含む。この例では、入射光を集束する凹レンズ(331)と、検出セルを横切った後で放射を集束する凸レンズ(327)とを有する三層基板(326)装置が示されている。反射面(328)は、チャネル(330)壁に沿った光子(329)損失を最小にするために使用される。
【0159】
本発明の別の様相によれば、一体型レンズ構成要素を単層又は多層システムに製造できる。これらレンズシステムは、マイクロ流体チャネルと同一平面上にあってもよいし、同一平面上になくてもよい。多くの場合、これにより、チャネルを形成するために使用される方法と同一の方法でレンズ構成要素を簡単に製造できる。
【0160】
他の実施形態は、流体輸送チャネル即ち検出セルの外側に光変換要素を備えることができる。例えば、図41(a)、図41(b)及び図41(c)は、流体検出セルと同じ部分に製造されているが流体検出セルと一体でないレンズを示す。同様に、フレネルや非球面等の他のレンズを使用できる。
【0161】
また、図42を参照すると、光ガイドを改善するために装置内に複数のレンズシステムを作成できる。この例は、チャネル或いは空隙(332)と直線上に並んだ凸状構成要素(333)及び凹状構成要素(334)からなる、放射(335)を平行化するためのマルチレンズ要素を示す。
【0162】
特定の実施形態は光ファイバを使用しているが、光ファイバは、信号結合を改善するための追加的なレンズ構成要素と共に或いは追加的なレンズ構成要素なしで使用できる。図43(a)及び図43(b)は、マイクロ流体チャネル(337)に対して長手方向に配置された個別のファイバ(338)を備えたマイクロ流体装置(336)を示す。光ファイバの束を使用でき、特定の好ましい実施形態では、ファイバは、流体部分の外部で終端される。このような一例においては、図43(c)は、信号捕捉及び/又は照明のためにマイクロ流体装置(339)の近くに配置される先細りの光ファイバ束(340,341)を示す。
【0163】
他のプリズム構造や反射構造を使用して光子を集束又はガイドして信号応答性を改善することができる。例えば、図44に示すようなコーナーキューブリフレクタは、光を平行に戻し、露出及び信号捕捉の両方を高めるために使用できる。図44(a)は、入射経路と平行に放射(343)を反射する単一のコーナーキューブセル(342)の概略図を示す。同様に、図44(b)は、入射放射(343)を反射するコーナーキューブアレイ(344)の断面を示す。リフレクタは、マイクロ流体装置内の横断方向又は長手方向に、流体チャネル内に或いは流体チャネルの近くに配置でき、例えば、図45(a)は、反射壁を有するマイクロ流体検出フローセルの端部に形成され長手方向に配置されたリフレクタを示す。検出セル内の流体流の向きは(347)で示す。表面に入射する放射(346)は、表面構造(349)によって平行化にされた後、反射壁及びコーナーキューブ端(345)を有する流体チャネルに入る。次に、放射(346)は、検出セルに沿って反射され装置(348)から出る。図45(b)に代替的手法を示す。ここでは、流体装置(350)が検出セル(352)に対して横方向に配置されたリフレクタアレイ(354)を含む。放射(351)は、最初に平行面構造(353)によって平行化され、次にフローチャネルを横切り、次に近接した戻り経路で反射される。また、リフレクタ(358)は、図45(c)に示したようにマイクロ流体装置の外部に配置することもでき、これにより装置製造が簡単になる。この例では、三層マイクロ流体装置(355)は、リフレクタアレイの近くに配置された検出セル(356)を有し、放射(359)が反射前に装置(355)を完全に通過できる。
【0164】
コリメータ(349,353,357)は、光子が略平行で且つ表面と垂直になるように放射をガイドするのを支援するために使用される。
【0165】
同様に、リフレクタとプリズム面の他の組み合わせが、放射をガイドすることによって光子密度を改善できる。図46は、プリズム表面構造及びコリメータ表面構造の光線追跡の例をそれぞれ示す。両方の技法を使用して、より平行化されたビームを提供することができ、他の構造と組み合わされたときに、信号応答性を改善できる。図46(a)は、基板表面(361)上のプリズムのアレイを示し、このプリズムアレイは、入射角に応じて放射(360)を屈折又は反射し、放射出射角度の制御を可能にする。図46(b)は、入射放射(364)を平行化するために基板表面(361)に対して垂直な壁を有する表面構造(362)を示す。構造壁(362)での屈折又は内部反射は、平行化された放射出力(363)を提供する。
【0166】
図47(a)〜図47(j)に、流体装置にプリズム表面構造又はコリメータ表面構造を使用する幾つかの例を示す。これらの構造は、二層基板装置として示されているが、他の多層装置にも同様に適用できる。また、これら構造は、スライド又はカバーグラスの表面がパターン形成された顕微鏡用スライド等の単一層装置の事例で使用することもできる。この例は、顕微鏡用スライドの下面に設けたコーナーキューブリフレクタの使用であり、スライド表面に対して略垂直な光線を反射させるだけで、スライドの反対面でのマイクロアレイや他の蛍光撮像が向上される。検出セル或いは空隙(371)は、流体ネットワークの一部とすることができ、ここでは横断方向断面又は長手方向断面として示す。流体チャネル内で光子を横断方向、長手方向、又は横断方向と長手方向の両方にガイドするために、構造化面(365)及び/又は反射面(366)が設けられる。
【0167】
図47(a)は、流体チャネル(371)の近くに配置されたコリメーティング構造(365)の使用を示す。これにより、これらの表面構造を通る光子を平行化することによって散乱やランダム放射による光子損失が減少する。
【0168】
図47(b)は、反射壁(366)を有する流体チャネル(371)の近くに配置されたコリメーティング構造(365)の使用を示す。この例では、コリメーティング構造(365)の端でチャネルに入る光子は、斜めの壁によって反射されてチャネル(371)内を進む。反射壁(366)は、チャネル(371)内の光子閉込めを改善する。光子は、チャネルの両端の斜めの反射壁の近くでチャネル(371)から出て、装置から出る際に(365)によって再び平行化される。この方法は、チャネル(371)の各セグメントを撮像するのには適さないが、チャネル(371)全体からデータを取得するときの光子収量を改善する。
【0169】
図47(c)は、チャネル(371)内のプリズム構造(367)の使用法を示す。また、これら構造(367)を使用して、表面の法線に対する入射角が大きすぎる光子を反射することによって構造内を通過する光子を平行化するのを支援できる。従って、プリズム面構造の角度によって光子受け入れ角度が決まる。これは、特に、励起光子を放射光子から分離することによって発光等の用途で信号対雑音応答を改善するのに役立つ。構造化面に対して垂直に入射する平行化された励起光子は反射され、ランダム放射光子の一部はプリズム構造を通る。
【0170】
図47(d)では、反射面(366)を追加し、チャネル(371)を横切るように光子を反射させることによって光子収量を改善することができる。図47(e)に示すように、これら表面は、コーナーキューブ、球面、非球面リフレクタ等の構造化されたリフレクタ(368)の形状とすることができる。図47(f)に示すようにリフレクタをチャネル表面の一部とすることによって、材料境界での光子損失が減少し、特定の用途においては、構造内に材料を取り付けてマイクロアレイ撮像やミクロスフェア撮像のような点光源撮像を改善できる。しかしながら、チャネル内に面構造を配置すると、特定の用途においては、流体の相互作用を妨げるため適切でなく、また焦点中心を遠くしなればならない場合もある。
【0171】
図47(g)及び図47(h)はそれぞれ、チャネル(371)の表面及びチャネル(371)の近くに配置されたプリズム層(367)を有する。図47(g)では、プリズム構造(367)に反射層(366)を追加することにより、プリズム構造(367)を通った光子を反射させることによって光子収量を改善するコリメータが提供される。
【0172】
また、構造内でレンズを組み合わせて、流体装置に入る光又は流体装置から出る光を集束できる。図47(i)及び図47(j)の例はそれぞれ、非球面レンズ(369)及びフレネル型レンズ(370)を有する装置を示す。
【0173】
図48の例は、長手方向の照明と点光源撮像(377)の両方のための光子経路追跡(372)を提供する。光源からの入射光が、非球面レンズ(376)によって反射壁(375)上に集束され、反射壁(375)は、光子経路の向きをチャネル長に沿って90度変えて点光源を照明する。次に、チャネル(373)を通る励起光子は、チャネルの反対側の端の壁で反射され、レンズ(376)を通って外部で集束する。チャネル内の点光源放射は、信号応答を改善するために(375)で反射され平行化(374)できる。このような長手方向と横断方向の光子ガイド要素の組み合わせは(幾つかの例を図47及び図48に示す)、次のような多くの利点を有する。
【0174】
−この構成は、殆どのタイプの光子検出方法に適した単一検出器セルを提供できる。例えば、多くの技法では、高解像度ソリューションに基づく分析(high-resolution solution based analysis)のために長い経路長を要するか、或いはチャネル長に沿った撮像を要する。
【0175】
−マルチパラメータ測定のために様々な検出手法を組み合わせることができる。例えば、蛍光マイクロアレイ分析の場合は、長手方向の吸収測定によって、特定の試薬の導入が分かったり泡の存在を検出することができたりするが、分析中の発光点光源は、横方向に撮像される。
【0176】
−多くの場合、信号対雑音比が改善され、これは特に、励起波長と発光波長が近い発光に基づく測定に重要である。長手方向に励起し横方向に検出することによって励起波長からの干渉を最小にすることができる。
【0177】
−検出器と光源とが装置の同一側に配置されている場合には、小型化された機器のパッケージングが簡単になる。
【0178】
一実施形態では、検出器ゾーン及び光源ゾーンは装置上において近くに配置される。図49(a)は、装置(378)におけるそのような例を示し、この例では、光子(383)は透明ゾーン(379)に入り、そこで調整されてから長手方向に反射され、別の透明(380)ゾーンから出る。そのような調整には、光波ビームのスペクトル内容や形状を変化させる格子、プリズム、蛍光剤、発光体、フィルタがある。長手方向の反射は、図49(b)に示すような外部導波路(381)で行ってもよいし、図49(c)に示すような内部導波路(382)を有する装置内で行ってもよい。このように光経路(383)を装置上の光調整要素を通す利点は、カードを特定の使用要件に合わせて設計できることである。これにより、特定の機器が、機器の光学素子を変更することなく様々なインサートや装置を動作させることができる。
【0179】
図50(a)及び図50(b)は、導波路製造のための更に別の実施形態を示す。導波路は、入射光を材料境界で反射又は透過することによって作用する。これまで、マイクロ流体装置の代表的な製造方法においては、全体的に平面状の材料を使用し、光ファイバをセンサシステムに直接挿入するか、或いは半導体装置の製造と同様の方法で表面をリソグラフィでパターン形成する。図50(a)のこの例では、流体装置(385)内に予め形成されたチャネル(384)に、適切なツール(386)を使用して屈折材料(387)が適用される。次に、屈折材料は硬化されて、流体装置内に硬化され形成された反応導波路(388)が形成される。図50(b)では、予め形成された導波路(389)が流体装置(390)に嵌め込まれる。次に、収容された導波路(393)は、閉込め層(391)で密閉されて、導波路と流体装置の組み合わせ(392)が作成される。
【0180】
透明材料の導波特性を改善する方法は、材料境界での屈折率の差を大きくすることである。そのような境界での表面特性を変化させると屈折率が変化し、反射や透過を改善できる。詳細には、薄膜を付着させることにより、例えば薄い(数十又は数百ナノメートル)の銀コーティングを付着させて負の屈折率を提供することにより、導波路と反射面の表面を改善できる。
【0181】
複雑な幾何学形状において電磁エネルギーをガイドするために、予め構造化された層にチャネルを形成できる。次に、必要であれば、形成されたチャネルに充填できる。これら構造は、図50に示したように、透明材料を注入した後で硬化させるか、予め形成された導波路を空の構造に入れることによって充填できる。
【0182】
機器構成方法
本発明は、また、機器のアップグレード情報、動作データ、又はソフトウェアアーキテクチャの全て又は一部を、インサート内又はインサート上に収容することができる方法を提供し、それにより機器は、テンプレート及び基本プログラム動作のためのソフトウェアモジュールの一部又は全てを含むことができるが、機器を完全に動作させるのに必要な全てのデータを含まず、このデータの一部は、取り外し可能なインサートによって提供される。インサートは、機器接続時に認識でき、プログラム動作は、一個以上のインサート内にコード化されたデータに従って実行される。
【0183】
インサートは、携帯電話用のSIMカードや分析装置用のマイクロ流体チップ等、主に、機器の通常動作に必要な他の目的に使用されるものでもよいし、そうでなくてもよい。インサートは、対応する機器に挿入されたときに認識され、機器の機能プログラムは、機器の機能とインサート内にコード化されたデータとの協力により実行される。
【0184】
一実施形態では、インサートは、ユーザが、新しいアプリケーション及びプロトコルデータ、ユーザ設定、装置の特性又は機能等、機器の特定の機能又は特徴にアクセスできるようにするアクセス或いは認証情報を含む。
【0185】
別の実施形態では、本発明は、データを機器に提供するインサートからのユーザ操作性及び動作自動化を改善して、アプリケーション動作の一部又は全てを自動化し、且つユーザ定義された設定を提供し、それによりユーザ相互作用が単純化され、システム信頼性が改善され機器操作が単純化される。
【0186】
別の実施形態では、インサートは、ユーザがリモート機能にアクセスできるようにするアクセス或いは認証情報を含む。これらリモート機能は、アップグレード、実験又はアプリケーション情報用のインターネットサイト、又は機器及びコンピュータシステムがアクセスするためのローカルエリアネットワークを含むことができる。
【0187】
本発明の各実施形態は、インサート内に収容されたインサートの使用又は機器の使用に関するデータを含むことができる。このデータは、製造時にインサート上に格納することができ、ユーザ、実験、機器及びアプリケーションの情報を含むことができる。このタイプのデータの例としては、出荷時設定、較正情報、ユーザ情報、装置使用量、収集データ、センサデータ、設定、サンプリング又は動作位置情報(例えば、サンプルのGPS追跡)、日時スタンプ、生産データと品質管理、追跡や、機器、ユーザ又は機器/装置/インサートの製造者によって使用される他の情報が挙げられる。
【0188】
別の実施形態では、データは、使用前、使用中又は使用後に、ユーザ又は機器によって現場で書き込まれるかアップデートできる。この現場で書き込まれる情報は、ユーザデータ、ユーザによって或いは全地球測位システムから機器によって入力されるサンプリング又は動作位置情報、結果、機器設定、実験条件、アプリケーション情報、その他のユーザ又は機器データを含むこともできる。
【0189】
別の実施形態では、インサートは、ユーザプロファイリング用の情報を含む。この情報は、ユーザが、ユーザの個人設定に基づいて機器を自動的に構成することを可能にするか、或いはユーザが一般に実行又は必要とする操作について機器に教示する。これは、インサート上の命令によって直接実行されても良く、現在のユーザ又は別のユーザのそれまでの操作を分析する機器のソフトウェア上の学習アルゴリズムによって実行されてもよい。
【0190】
本発明の一実施形態は、一個以上のインサートが機器のソフトウェアアップグレードパスの一部分になる機器編成及びインサートアーキテクチャ、より具体的には、インサートがアップグレード情報を含む機器編成及びインサートアーキテクチャを記述する。その例を図53に示す。新しいソフトウェア情報をインサート上に統合するこの手法によって、機器は、ユーザが他の媒体を介してソフトウェアをアップグレードすることなく、新しいインサートの適用、較正又はプログラムデータを受け入れることができるため、ユーザ操作が簡素化され、製造者の間接費が削減される。消耗品のインサートにアップグレードデータを所有させる更に別の利点は、適合する挿入可能な装置に接続するために適正なインタフェースを備えた適合する機器を必要とする高いセキュリティ機能である。
【0191】
本発明の別の実施形態は、コアマシン管理機能及び内蔵型アプリケーション固有テンプレートで構成されたオペレーティングシステムソフトウェアを提供する。これらは、必要に応じて或いは必要なときに、インサートによって、市場や顧客の要求に合うように機器を構成するように制御される。
【0192】
一実施形態では、オブジェクト指向手法(Object Oriented approach)がとられるが、この手法では、機器は、データの取得、取得チャネルの選択、ポンピング、弁の切り換え、温度設定、テンプレートGUI等の全ての共通で低レベルの操作を実行するためのプログラミングサブルーチン及び機能を含む。一実施形態では、機器内の汎用サブルーチンは、データの取得、取得チャネルの選択、ポンピングの制御、弁切り換え制御、温度設定、グラフィカルユーザインタフェースの構成の内の一以上のアクションを実行するように動作し、インサートのプログラムコード、データ及びコマンドの内の一以上は、特定の用途のための機器動作を可能にする。
【0193】
一個以上のインサートは、機器のサブルーチン及び機能に対するアプリケーション固有の呼び出し(call)及び変量を含む。この手法は、図54に示す例で表わされる。この手法により、インサートは、インサートの特定の用途のための機器動作及びGUIを制御できる。図55及び図56にプログラムフローの例を見ることができ、この例では、インサートは、アプリケーションプログラムを開始して渡すか、或いは機器が機能を実効できるようにアプリケーションプログラムをプログラム、動作データ及び変量の間で渡すことを可能にする。
【0194】
別の実施形態では、非オブジェクト指向手法(non-object oriented approach)をとることができ、機器は、データの取得、取得チャネルの選択、ポンピング、弁の切り換え、温度設定、テンプレートGUI等の全ての共通で低レベルの操作を実行するためのプログラムコードを含む。一個以上のインサートは、インサートの特定用途のための機器動作を可能にするコード及び/又は変量を含む。この手法によって、インサートは、インサートの特定用途のための機器動作及びGUIを制御できる。
【0195】
この分散アーキテクチャ(例えば、図54)では、機器及び機器に関連したインサートのための新しいアプリケーション開発に伴うソフトウェア開発が最小限で済む。一般的にプログラムされた機器は、ユーザがソフトウェアをアップグレードすることなく新しいアプリケーションを受け入れることができる。
【0196】
更に、本発明は、機器内にプログラム実行命令がないときに追加のソフトウェアセキュリティを提供する。インサートは、機器をその特定のインサート固有の用途に合わせて構成する命令しか保持しない。この方法によれば、プログラム実行の完全に理解しなければならないリバースエンジニアリングがより困難になる。機器とインサートの相互作用がリバースエンジニアリングされた場合、得られるプログラムを実行しても、インサート製造目的の特定の用途のデータしか明らかにならない。
【0197】
本発明の更に別の目的は、インサートに含まれる情報或いはデータは、書き込まれるか或いは読み出されるか、或いはその両方とすることができる。
【0198】
別の実施形態によれば、インサートは、識別、データ記憶及び読み取り機能だけを保持しながら、操作コード全てを機器の揮発性メモリに転送することができる。これによりインサートは「一回だけ使用できる」装置となり、インサートが機器から取り出された後、全ての操作コードが破壊される。これにより、インサートに含まれる所有コードに対する不正アクセスが防止される。これは、インサートに含まれる所有コードは、適合する機器によってのみ読み出し可能であり、インサートが挿入されている間は、適合機器の消去可能な揮発性メモリ内にのみ存在し、機器のスイッチオフ、インサート取外し、操作プログラム完了時、これらのどれが最初に起こった場合であっても、自動的且つ永久的に消去されるためである。
【0199】
本明細書に記載したインサートは、単数でも複数でもよい。インサートは、フラッシュディスク等の取り外し可能なメモリ装置、センサ又はマイクロ流体カートリッジとすることができる。インサート上のデータは、様々な形式で記憶することができる。形式の例としては、バーコード、オンボードメモリ、マイクロプロセッサや他の集積回路、電気相互接続或いは抵抗率、無線周波数や、光学的、機械的或いは電磁気的形式等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0200】
以上の説明は、本発明の特定の実施形態、特にマイクロ流体に関する特定の実施形態である。このような実施形態は単に例示を目的として説明したものであり、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの変更及び修正を実施できると認識すべきである。そのような修正と変更は全て、特許請求された本発明の範囲に含まれるかその同等物である限り本発明に含まれることが意図されている。
【0201】
本明細書(添付の特許請求の範囲を含む)の全体に亘って、特段の記載のない限り、用語「含む(comprise、comprises、comprising)」等の語は、明記した完全体(integer)又は段階、或いは、完全体又は段階のグループを含むが、他の完全体又は段階或いは完全体又は段階のグループを除外するものではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0202】
【図1】流体を処理する駆動領域の概略図である。外側の円は駆動領域を表わし、中心を通る線はチャネルやパイプ等の流体を収容する構造を表わし、影付きの円はアクチュエータ構成要素を表わす。
【図2】幾つかの可能なアクチュエータ構成要素の概略図である。図2(a)は噴射ポンプであり、流体がアクチュエータ内に保持され、作動時に入口から装置内に注入される。図2(b)は、入口と出口の両方を有するインラインポンプを表わす。図2(c)は、開閉弁又は可変流量弁である。図2(d)は、逆止め弁である。
【図3】複数のアクチュエータ構成要素を作動させる単一アクチュエータの概略図である。例えば、3個のアクチュエータ構成要素のグループが同一アクチュエータによって操作される。図3(a)、図3(b)及び図3(c)は、個別チャネルにそれぞれ接続された1組のインラインポンプ、噴射ポンプ、及び弁を表す。図3(d)は、1つの弁無しチャネルが2つの弁付きチャネルと交差した代替形状の例を示し、これらの弁は、主チャネル内に流体を注入するように構成することができる。図3(e)は、同一アクチュエータから動作する並列に接続された2個のポンプを表わし、ポンプは、作動サイクルの同じ部分でも異なる部分でも動作することができる。
【図4】複数のタイプのアクチュエータ構成要素を作動させる単一アクチュエータの概略図である。図4(a)は、別々のアクチュエータ構成要素を備えた3個の独立したチャネルを表わし、この事例では、作動時に中央のチャネルがポンピングされ、2個の外部チャネルは弁が閉じられている。図4(b)は、2つの弁付きチャネルに分割されたポンプ付きの単一チャネルを示す。図4(c)は、4つの弁付き出口を有する噴射ポンプを示す。図4(d)は、弁付きチャネルと弁無しチャネルの両方と交差するインラインポンプを示す。
【図5】同一アクチュエータによって操作される同一チャネル内のアクチュエータ構成要素を示す。図5(a)は、下流に弁を有するインラインポンプを示す。弁は、作動サイクル中に様々な異なるポイントで閉じるように設定されるか、流量を規制するように設定され、制御された量の計量供給イベントを実質的に行うことができる。図5(b)は、噴射ポンプを使用する点を除き類似した制御式計量供給システムを示す。図5(c)は、同一アクチュエータによって操作される3つの別々に作動される弁からなるぜん動型ポンプの例を示す。
【図6】設定された体積のひとつのストリームを別の流体ストリームに注入する複式アクチュエータシステムを示す図である。流体をポンピングし、他のストリームを弁で調整して、注入された体積より多い過剰な流れが他の流体システムに入るのを防ぐように、各ストリームが別々に操作される。
【図7】図6に示したアクチュエータシステムと類似の2つのアクチュエータシステムを示す図である。点線で表わした設定された体積の流体が、連続線で表された別の流体ストリームに注入される。弁調節は、幾何学的構造、圧力及び表面効果を使用して流体を選択的にガイドできるように1つのストリームだけに使用される。この場合、連続線で示した背圧は、そのチャネルの断面積が小さいほど高くなる。
【図8】図8(a)は、複数の駆動構成要素を有する駆動領域の例を示す図である。図8(b)に示したように、2つの中央チャネルは、動作時にポンピング操作の実行を可能にする2つの円形逆止め弁によって接続される。図8(c)に示したように、長方形の構成要素は、動作中に膜を変形させてチャネルを遮断し流れを止める開閉弁である。図8(d)は、ポンプとして動作する2種類の弁の動作を示し、この場合、充填動作によって膜が上方に変形して流体がポンピングチャンバに入れられ、空サイクルで膜がチャンバの下部に押し当てられて入口スリットを閉じ膜を下側チャネル内に変形させ、流体は出口規制された状態で通ることができる。図8(e)は、圧力が反対側のポートから加えられたときに変形可能な層を使用して特定のポートを閉じる三方弁構成を示す。
【図9】気泡除去弁又は逆止め弁のための膜を下流に有するポンピングシステムの概略図である。図9(a)は、下流にデバブラを有するインラインポンプの例を示し、図9(b)は、下流に逆止め弁を有する噴射ポンプの例を示す。
【図10】流体を保持しながら気体を除去する通気孔を有するチャネルの断面図である。
【図11】流体入口を備えた基板の平面図であり、楕円形ウェルにつながるチャネルは、気体を除去するための通気孔への出口を有する。
【図12】連続チャネルの上の通気孔を示す図である。図12(a)は、チャネル寸法より大きい表面積の通気孔を示す平面図である。図12(b)は、同じ通気孔のチャネルに沿った横断面である。
【図13】図13(a)から図13(b)は、出口に調整型弁が使用されているデガッタ(degasser )の動作を示す図である。
【図14】図14(a)から図14(b)は、チャネル/ウェルを充填する単一アクチュエータの下の通気孔と弁の組み合わせ構造を示す図である。
【図15】図15(a)と図15(b)は、圧力が加えられて流体が膜を透過するまで試料の導入を防ぐ入口フィルタ及び障壁として使用される半透膜を示す図である。
【図16】圧力が加えられて弁が開き流体が解放されるまで流体がチャンバに導入され閉じ込められる制御式計量供給又はリザーバ機構の示す図である。
【図17】図17(a)と図17(b)は、弁又はポンプとして動作し、流体の正圧又は負圧が印加された状態の弁調整チャネルを示す図である。
【図18】ポンピングシステムを構成するために通気孔を弁とどのように組み合わせることができるか示す図である。図18(a)は、空気を除去し流体を吸い込む通気孔の両側の負圧力勾配によってポンピングチャンバを満たす流体を示す。図18(b)は、通気孔の両側に加えられる正圧によってポンピングチャンバから噴射される流体を示す。
【図19】図19(a)と図19(b)は、加えられる流体圧力の下でポンプ又は弁として動作するマイクロチャネルネットワーク内の複数の透過膜を示す図である。
【図20】アクチュエータ動作中に作動される電極パッドを含むボタン型アクチュエータを示す図である。図20(a)は、装置内の別の層に圧力を移して別の駆動構成要素を作動できるようにするために、中心に通気孔を有する駆動領域内の電極の平面図を示す。図20(b)と図20(c)は、作動前と作動中それぞれの電極構造の側面断面である。
【図21】図21(a)と図21(b)は、図20に示した電極とボタン型インタフェースを含むボタン型アクチュエータの断面図であり、通気孔は、弁付きの入口と出口を使用して半透膜を介してポンピングチャンバに接続されている。
【図22】再循環流体ネットワークを示す図である。
【図23】図23(a)と図23(b)は、圧力勾配リリーフ(逃がし部)が泡形成を防ぐことを可能にする様々な方法を表す2つの図である。詳細には、これらの図は、拡張流体チャネルを示す。
【図24】多層再循環流体ネットワークの平面図である。再循環ネットワークは、入口から、ポンプとその後の逆止め弁、試料導入口、通気孔と逆止め弁を有する変形可能な駆動領域、分流混合器、検出チャンバ、圧力除去構造に直接接続され、次に入力段に戻るように接続されている。
【図25】ポンプ、弁、デバブラ、検出ウェル、及び圧力除去構造を含む2つの制御された計量供給流体ネットワークを含む多層装置の平面合成図である。
【図26】図26(a)と図26(b)はそれぞれ、外部計装に接続された気体ポンピング及び弁調節ゾーンを有するカードの平面図と側面図である。
【図27】図27(a)から図27(c)は、少なくとも1つの可撓性壁(この場合は最上層)を有するマイクロチャネルの横断面図である。図27(a)は、チャネルを実質的に塞いで閉じた弁の状態を作り出すベアリングによる変形可能な材料のチャネル内への変形を示す。図27(b)は、3個以上のインライン弁を交互に開閉状態にしてポンピング運動を作り出すことができることを示す。簡単に言うと、弁が閉じられたときに押し出された流体が移動し、弁が開かれたときに流体が移動して空いた容積を埋めることが交互に行われる。開いた弁又は閉じた弁の近くの弁が閉じられた場合は、流体はその向きの動きが規制され、弁が開かれた場合は、流体は規制されていない方向に流れる。図27(c)は、部分的に又は完全に閉じた弁をチャネルの軸に沿って移動させ前にある流体を押すことによって、チャネルに沿って進行波を作成するポンピング方法を示す。本発明による進行波は、任意の適切な手段によって作成することができる。例えば、これは、チャネルの片側を画定する変形可能な材料を横切ってベアリングアクチュエータを摺動又は回転させるか、同様に円形アクチュエータをチャネルに沿って回転させることによって行われる(これにより、それぞれの場合に動作アクチュエータの前の流体波を押す)。
【図28】弁構成の例を示す図である。図28(a)から図28(c)は、チャネルの深さより薄い単一の柔軟壁を有するチャネルを示す。チャネル構造は、図28(b)に二層状構造で示したような複数層からなる図28(a)のような基板内にエッチングされてもよく、図28(c)に示したように柔軟層の上に他の層を含んでもよく、この場合、カバー層は、柔軟層が覆うチャネルの上に凹部を有する。変形可能な材料は、また、図28(d)から図28(l)に示したようにチャネルの深さより厚くてもよく、複数のチャネルを覆ってもよい。チャネルの近くの変形可能な材料に加えられる圧力によって、変形可能な材料がチャネル内に変形し、有効にチャネルを遮断し弁調整操作を行う。また、変形可能な材料は、他の構造内の場所によって他の方向に規制されてもよい。図28(e)から図28(g)は、凹部内に配置された変形可能な材料を示す。同じように、図28(h)は、マイクロチャネル上の構造内に嵌っている管状断面の形の変形可能な材料を示す。図28(i)から図28(l)は、変形可能な材料上の層が単一保護カバー層である例を示す。図28(m)から図28(p)は、変形可能な材料として使用されボタン型インタフェースと同じように特定の方式で変形しやすいように形成され成形されたカバー層を示す。
【図29】チャネル凹部の近くに力が加えられた状態の前述の弁の幾つかの例を示す図である。図29(a)は、凹部領域に加えられた力によってマイクロチャネル内に下方に変形した薄い膜を示す。図29(b)は、マイクロチャネルよりも幅広い作動力で変形した厚い柔軟層を示し、変形可能な材料はマイクロ構造内に変形している。図29(c)から図29(e)は、力が加えられたときに変形可能な材料の拡張を規制する構造によって閉じ込められた様々な変形可能な材料を示す。
【図30】エラストマ材料内に形成されたチャネルを示す図である。図30(a)、図30(b)、及び図30(c)は、チャネル壁の3つの側面がエラストマ層によって形成された構成を示し、チャネルは隣接した層によって密閉されている。図30(d)は、全体がエラストマ基板内に形成されたチャネルを示す。
【図31】逆流を減少させるためにチャネル長に沿って配置された規制部を有するチャネルを示す図である。
【図32】直線状及び放射状ポンピングチャネルの概略図である。図32(a)の管は、直線的又は線形チャネルであり、矢印は、移動弁又は進行波ポンプの方向を表わす。他の幾何学形状が可能であり、図32(b)に、移動弁又は進行波が半径方向に向かう代替の構成を示す。管の端は、流体を流すために他のチャネル又は構造と繋がっている。
【図33】3つの弁位置と入口/出口ポートに至るマイクロ流体チャネルに接続されたラジアルポンプ構成を使用する多層装置の平面図を示す。
【図34】機械的手段によって材料を変形させ、それにより進行波によって流体流を作成する駆動装置の例を示す図である。作動構造は、剛性でもよく、アクチュエータ面がマイクロ構造弁要素に適合できるように変形可能でもよい。作動構造は、弁表面に対して垂直方向に付着されてもよく、表面に沿って平行に移動されてもよい。示した例は、球状物体(図34(a))、ロッド(図34(b))、自由回転する幾つかの球体を規制する回転式ハウジング(図34(c))、ワブル動作によって1つの表面とだけ接触するように配置された回転プラットフォーム隆起構造(図34(d))、回転カム(図34(e))、及び表面に垂直と平行な圧力を印加する回転式ワイパ(図34(f))である。
【図35】図33の装置のエラストマ層を変形させるために使用される2個のアクチュエータヘッドを有するラジアルベアリングポンプの分解図である。
【0203】
光学測定装置及び方法
【図36】図36(a)から図36(d)は、電磁エネルギーが流体チャネルに沿って長手方向に伝わるようにするために分離された透過窓を有するマイクロ流体チャネル構成の平面図である。図36(a)は、電磁エネルギーが流体チャネルに出入りできるようにするために流体チャネルに沿った適切な距離に配置された透過窓の位置を示す3つのチャネルの平面図を表わす。この特定の実施形態では、電磁エネルギーは光である。図36(b)は、適切に配置された類似の透過窓を備えた単一の流体チャネルを示す。図36(c)は、適切に配置された類似の透過窓を備えた単一の流体チャネルを示し、流体流の方向は窓のすぐ近くで変化している。図36(d)は、適切に配置された類似の透過窓を備えた単一の流体チャネルを示し、チャネルに出入りする流体流は、複数経路によってチャネルに達するか又はチャネルから出る。
【図37】図37(a)は、チャネルと基板表面の間にある光学窓を備えた三層装置の断面図を示す。図37(b)は、流体チャネル及び装置表面の間に一体光経路を有する多層装置の断面図を示す。図37(c)は、チャネルに沿って長手方向に光をガイドするために(04)で示したプリズム構造を含む多層装置の断面図を示す図である。
【図38】反射コーティングを含む三層装置の製造手順を段階ごと示す図である。
【図39】反射コーティングを有する二層装置の製造手順を示す図である。
【図40】図40(a)から図40(c)は、反射層を使用する様々な二層及び三層装置構成を示す図である。
【図41】図41(a)から図41(c)は、流体装置に組み込まれたレンズの例を示す図である。
【図42】一体マルチレンズシステムの例を示す図である。
【図43】図43(a)と図43(b)は、装置への光ファイバの組み込みを示す図である。図43(c)は、マイクロ流体装置の近くに配置された光ファイバ束を示す図である。
【図44】図44(a)と図44(b)は、コーナーリフレクタの図を示す図である。
【図45】図45(a)、図45(b)及び図45(c)は、マイクロ流体装置で使用されるコーナーリフレクタを示す図である。
【図46】図46(a)と図46(b)は、光を平行化しガイドするのを支援するために使用されるプリズム構造を示す図である。
【図47】図47(a)から図47(j)は、信号応答と撮像を改善するためのプリズム構造と反射構造を有するフローセルの例を示す図である。
【図48】縦方向と横方向の検出機能を有する例示的なフローセルを示す図である。
【図49】図49(a)から図49(c)は、装置上の近位に配置された検出器ゾーンと光源ゾーンを示す図である。
【図50】図50(a)と図50(b)は、例えば、光透過材料を注入し次に硬化させるか、予め形成された光パイプを空構造に入れることによって作成することができる導波路を示す図である。
【0204】
機器構成方法
【図51】図51は、先行技術のアップグレード方法の概略図である。アップグレードパッケージは、一般に、セットアップウィザードをインストールする実行可能ファイルの形でユーザに供給され、セットアップウィザードは、新しいプログラミングコードを機器プログラムに追加する導入手順をユーザに自動又は手動でガイドする。
【図52】取り外し可能なインサートを有する機器に係る先行技術操作の概略図である。この機器は、次に、必要な操作のための全ての必要なサブルーチンと共にプログラム全体を収容する。インサートは、シリアル番号又は製品コードを含み、このシリアル番号又は製品コードは、機器がそれ自体のプログラムの一部分をロック解除するか、機器に保持されたコードの特定のセグメント又はサブルーチンの実行を可能にする「進む」コマンドを提供する。
【図53】インサートがアップグレード情報の一部分又は全てを含む本発明の概略図である。
【図54】本発明による分散型アーキテクチャの概略図である。
【図55】本発明の経路の一実施形態の概略図であり、機器は、汎用ルーチンと固有のプログラムサブルーチンを含むが、インサートを操作するのに必要なアプリケーション固有のプログラムを実行するのに必要な操作コードを含まない。インサートは、対象とする用途に合わせて機器を操作する機器サブルーチンを呼び出す命令を含む。
【図56】本発明の別の実施形態による経路の概略図である。
【符号の説明】
【0205】
01 駆動構成要素
02 流体チャネル
03 駆動領域
04 噴射ポンプ記号
05 インラインポンプ記号
06 開閉弁又は可変流量弁記号
07 逆止め弁記号
08 駆動領域
09 インラインポンプ
10 流体チャネル
11 噴射ポンプ
12 開閉弁又は可変流量弁
13 他のインラインポンプと逆の作動サイクルで動作するインラインポンプ
14 駆動領域
15 流体チャネル
16 開閉弁又は可変流量弁
17 インラインポンプ
18 噴射ポンプ
19 駆動領域
20 流体チャネル
21 インラインポンプ
22 開閉弁又は可変流量弁
23 流体ストリーム
24 流体ストリーム
25 ストリームクロスオーバー/交差点
26 同一駆動領域内のインジェクターポンプと2個の弁
27 同一駆動領域内のインジェクターポンプと2個の弁
28 インラインポンプ
29 同一駆動領域内のインラインポンプと2個の弁
30 流体ストリーム
31 ストリームクロスオーバー/交差点
32 流体ストリーム
33 駆動領域
34 逆止め弁
35 膜止め弁
36 変形可能な膜
37 入る流体流
38 出る流体流
39 力が加えられた入口ポート
40 変形可能な層
41 デバブラ
42 逆止め弁を備えた通気孔
43 インラインポンプ
44 噴射ポンプ
45 気体
46 半透膜又は通気孔
47 流体流
48 圧力勾配による気体の流れ
49 基板
50 通気孔
51 入口ポート
52 流体チャネル
53 チャンバ
54 流体チャネル
55 層状装置
56 通気孔
57 通気孔チャンバ
58 半透膜又は通気孔
59 気泡
60 調整弁
61 通気チャンバ
62 変形可能な膜
63 半透膜又は通気孔
64 流体チャンバ
65 空気通路
66 変形可能な構造
67 逆止め弁
68 半透膜
69 圧力除去弁
70 流体リザーバ
71 流体チャネル
72 半透膜
73 気体流路
74 流体流路
75 逆止め弁
76 印加された圧力勾配
77 ポンプチャンバ内の流体流
78 半透膜
79 印加された圧力勾配
80 流体流
81 半透膜
82 導電材料
83 基板層の穴
84 変形可能な作動構造
85 流体流の向き
86 半透膜
87 変形可能な作動構造
88 圧力除去弁
89 変形可能な構造の作動方向
90 作動体積
91 流体ポンピングチャンバ
92 入口ポート
93 インラインポンプ
94 デバブラ
95 検出チャンバ
96 流体流の方向
97 圧力逃がし構造
98 流体チャネル
99 インラインポンプ
100 逆止め弁
101 逆止め弁による試料導入
102 駆動領域
103 デバブラ
104 逆止め弁圧力除去弁
105 分流混合器
106 検出チャンバ
107 圧力除去構造
108 半透膜を有する試料導入ポート
109 空気戻り部
110 多層流体装置
111 インラインポンプ
112 インラインポンプ
113 逆止め弁
114 流体貯蔵ウェル
115 流体貯蔵ウェル
116 デバブラ
117 検出チャンバ
118 流体圧力除去構造
119 流体貯蔵ウェル
120 インラインポンプ
121 噴射チャンバ
122 作動止め弁
123 インラインポンプ
124 流体貯蔵ウェル
125 逆止め弁
126 流体カード
127 圧力チャンバ
128 オンカードポンプ
129 機器弁
130 加圧ポート
131 外部弁インタフェース
132 弁インタフェースポート
133 ガスケット
【0206】
201 ボール又はころ軸受
202 柔軟壁
203 剛性基板
204 流体チャネル
205 エラストマ材料
206 変形不可能な基板
207 変形可能な材料
208 流体チャネル又はチャンバ
209 印加された力の向き
210 変形可能な材料
211 流体チャネル
212 変形可能な材料
213 基板
214 変形可能な材料
215 適切な規制部又は起伏面を有する基板
216 流れる流体
217 流体チャネル
218 ベアリング
219 動きと流れの向き
220 線形ポンピングゾーン
221 放射状ポンピングゾーン
222 弁の位置
223 入口/出口ポート
224 ラジアルポンプ
225 流体チャネル
226 ロッド状駆動機構
227 球状物体
228 回転式ハウジング
229 回転プラットフォーム(ワブルボード)
230 ロッド構造上の回転カム
231 回転式ワイパ
232 回転式ハウジング
233 固定ピン
234 球状物体
235 駆動歯車
236 駆動歯車/モータ
237 固体固定ベース
238 駆動ロッド/ベアリング
【0207】
301 透過窓
302 光子経路
303 流体装置
304 検出チャネル
305 個別基板層
306 反射層又はコーティング
307 カットアウト又は空隙イン層
308 反射層又はコーティング
309 個別基板層
310 個別基板層
311 反射層又はコーティング
312 反射層又はコーティング
313 個別基板層
314 空隙又は流体チャネル
315 個別基板層
316 空隙又は流体チャネル
317 光子経路
318 反射層又はコーティング
319 凹状構造
320 凹状構造
321 反射層又はコーティング
322 光子経路
323 空隙又は流体チャネル
324 個別基板層
325 凸状構造
326 個別基板層
327 凹面−平面構造
328 反射層又はコーティング
329 光子経路
330 空隙又は流体チャネル
331 平面−凸面構造
332 空隙、屈折介在物、又は流体チャネル
333 凸状構造
334 凹面構造
335 光子経路
336 流体装置
337 空隙又は流体チャネル
338 光ファイバ又は導波路
339 流体装置
340 光ファイババンドルの端
341 小さな径に絞られた光ファイバ束
342 プリズム構造−反射又は屈折
343 光子経路
344 反射面
345 反射面
346 光子経路
347 流体流の方向
348 流体装置
349 コリメーティング表面構造
350 流体装置
351 光子経路
352 流体チャネル
353 コリメーティング表面構造
354 反射面
355 流体装置
356 流体チャネル
357 コリメーティング表面構造
358 反射面
359 光子経路
360 光子経路
361 装置層
362 コリメーティング表面構造
363 平行化され透過された放射
364 ランダム入射放射
365 コリメーティング表面構造
366 反射面
367 屈折/反射プリズム
368 反射面構造
369 表面レンズ構造
370 フレネルレンズ構造
371 流体チャネル
372 光子経路
373 流体チャネル
374 表面コリメーティング構造
375 反射層又はコーティング
376 表面レンズ構造
377 流体チャネル内の対象とする粒子
378 流体装置の表現
379 光子透過領域
380 光子調整要素を有する光子透過領域
381 外部導波路
382 内部導波路
383 光子経路
384 予め形成されたチャネル
385 流体装置
386 適切なツール
387 屈折材料
388 硬化され形成された屈折導波路
389 予め形成された導波路
390 部分的に完全な流体基板
391 閉込め層
392 完成した流体装置
393 現場の導波路
【0208】
401 流体チャネル
402 流体チャネル
403 流体チャネル
404 導波路
405 透過ポート
406 導波路
407 流体チャネル
408 流体チャネル
409 流体チャネル
410 導波路
411 プリズム構造
412 傾斜反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体処理構造であって、
構造内の流体流の制御を可能にする駆動領域と、
駆動領域内の少なくとも1個の駆動構成要素とを有し、
駆動領域は、少なくとも1個の駆動構成要素を作動させ又は制御するように配置された流体処理構造。
【請求項2】
駆動領域は、装置内の流体流を制御するコントローラを有する、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
コントローラは、電磁気、機械、液圧、音響、又は圧電により動作可能である、請求項2に記載の構造。
【請求項4】
駆動構成要素は、噴射ポンプ、インラインポンプ、開閉弁又は可変流量弁、逆止め弁、及び他の流体処理構造の内の一以上、或いはこれらの組み合わせである、請求項1〜3のいずれか1項記載の構造。
【請求項5】
各駆動構成要素と関連付けられた少なくとも1個の流体チャネル、リザーバ、又は他の流体処理構造を更に有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の構造。
【請求項6】
駆動領域の少なくとも一部分は、移動可能又は変形可能な材料を有する、請求項1又は請求項4〜5のいずれか1項記載の構造。
【請求項7】
変形可能な材料は、圧力が加わると形状が変化するように構成及び配置され、形状を所定の幾何学形状から別の所定の幾何学形状に変化でき、次に刺激の印加、除去又は反転によって所定の幾何学形状に戻ることができ、刺激は、人の手、熱、電気、機械入力、気圧、液圧、磁気、又はこれらの組み合わせである、請求項6に記載の構造。
【請求項8】
駆動構成要素は少なくとも2個のインラインポンプを有し、これらポンプは、同一駆動領域によって与えられる両方向ストロークで動作し、それにより駆動領域の正サイクル及び負サイクルの両方でポンプ動作を提供する、請求項5に記載の構造。
【請求項9】
複数の流体チャネルが交差する、請求項5に記載の構造。
【請求項10】
複数の開閉弁又は可変弁が流体チャネルと関連付けられ、各弁は、順次的に作動するように構成され配置され、それにより単一の駆動領域によって作動されたときにポンプ動作が生成される、請求項5に記載の構造。
【請求項11】
構造内の流体流を制御する追加的駆動領域と、
追加的駆動領域内の少なくとも1個の追加的駆動構成要素とを更に有し、
駆動領域と追加的駆動領域は、互いに流体連通しており、
追加的駆動領域は、追加的駆動構成要素の各々を作動させ又は制御するように配置された、請求項1に記載の構造。
【請求項12】
柔軟な膜及び半透膜の内の少なくとも一個を更に有する、請求項1〜11のいずれか1項記載の構造。
【請求項13】
少なくとも1個の流体チャネル又はチャンバと流体連通している半透膜を更に有する、請求項5〜11のいずれか1項記載の構造。
【請求項14】
半透膜は、0.9μm未満、好ましくは0.5μm未満、最も好ましくは0.2μm未満の孔径を有する、請求項13に記載の構造。
【請求項15】
半透膜は気体を通すが、液体は比較的通さない、請求項13に記載の構造。
【請求項16】
流体処理構造はマイクロ流体構造である、請求項1〜15のいずれか1項記載の構造。
【請求項17】
半透膜と流体連通しているチャネル又はチャンバに出入りする流れを規制し、混合された流体媒体を分離するために、幾何学的構造が使用される、請求項13に記載の構造。
【請求項18】
幾何学的構造は、一個以上の調整弁である、請求項17に記載の構造。
【請求項19】
一個以上の調整弁がチャネル又はチャンバと流体連通しており、圧力が印加されてリリーフ弁が開放されるまで流体の貯蔵及び/又は装填を可能にする、請求項13に記載の構造。
【請求項20】
調整弁は、2個の流体処理構造を分離する変形可能な層から構成された、請求項19又は20に記載の構造。
【請求項21】
流体処理構造であって、
構造内の流体流の制御を可能にする駆動領域と、
少なくとも1個の流体チャンバ又はチャネルと、
流体チャンバ又はチャネルの少なくとも一の境界を形成する半透膜とを有し、半透膜は、制御流体が流体チャンバ又はチャネルを通って中に入ることを可能にし、それにより流体チャンバ又はチャネル内の流体流を促進し、規制し、又は阻止するように配置された、流体処理構造。
【請求項22】
制御流体は、液体、気体又はこれらの組み合わせを含む、請求項21に記載の構造。
【請求項23】
流体チャンバ、チャネル又は流体ネットワークの少なくとも第2の境界を形成する第2の半透膜を更に有する、請求項21又は22の構造。
【請求項24】
制御流体を流体チャンバ又はチャネルに注入するように構成及び配置された変形可能な構造を更に有する、請求項21〜23のいずれか1項記載の構造。
【請求項25】
制御流体は、流体処理構造の外部の供給源から液圧又は気圧の力によって操作される、請求項21〜23のいずれか1項記載の構造。
【請求項26】
再循環流体ネットワークであって、
入口と、
ポンプ及び弁の少なくとも一方と、
デバブラとを有する再循環流体ネットワーク。
【請求項27】
少なくとも1個の検出チャンバを更に有する、請求項26に記載の流体ネットワーク。
【請求項28】
入口ポート及びデバブラの内の少なくとも一方と関連付けられた少なくとも1枚の半透膜を更に有する、請求項26又は27の流体ネットワーク。
【請求項29】
ネットワークの他の部分内に泡が形成されるのを防ぐように構成され配置された少なくとも1個のリリーフ構造を更に有する、請求項26〜28のいずれか1項記載の流体ネットワーク。
【請求項30】
少なくとも1個の分流混合器を更に有する、請求項26〜29のいずれか1項記載の流体ネットワーク。
【請求項31】
少なくとも1個の流体ネットワークが、請求項26〜30のいずれか1項記載の流体ネットワークにより任意に構成された流体ネットワークを有する、複数の相互接続された流体ネットワーク。
【請求項32】
各ネットワークは出力を有し、複数の流体ネットワークの内の少なくとも1個の流体ネットワークの出力は、複数の流体ネットワークのうちの別の流体ネットワークの入力となる、請求項31に記載の複数の相互接続された流体ネットワーク。
【請求項33】
一以上の流体ネットワークであって、この少なくとも1個の流体ネットワークと流体連通するように構成され設定された外部装置を備えたコントローラを更に有する、請求項21〜32の1項記載の流体ネットワークより構成された一個以上の流体ネットワーク。
【請求項34】
請求項33に記載の一個以上の流体ネットワークであって、コントローラは取り外し可能なカードを有し、このカードは、任意ではあるが流体装置の一部であり、カードは、前記少なくとも1個の流体ネットワークとの構成可能な気体相互接続を有する流体ネットワーク。
【請求項35】
コントローラは、一個以上の流体ネットワーク内に存在する複数の駆動構成要素に共通の制御動作を提供するように構成され配置された、請求項33又は34に記載の一個以上の流体ネットワーク。
【請求項36】
流体処理構造であって、
流体チャネルと、
変形可能な材料とを有し、
流体チャネルの境界は、少なくとも部分的に、変形可能な材料によって画定され、変形可能な材料は、チャネル内に規制部を作るように配置された流体処理構造。
【請求項37】
変形可能な材料は、駆動時にチャネル内に進行流体波を作成するように配置された、請求項36に記載の構造。
【請求項38】
チャネル方向に対して長手方向の力が変形可能な材料に加えられた、請求項36に記載の構造。
【請求項39】
剛性基板を更に有し、流体チャネルは少なくとも部分的に剛性基板内に形成された、請求項36に記載の構造。
【請求項40】
変形可能な材料は、チャネルに沿った少なくとも1箇所で流体に力を加えるように構成され配置された、請求項36〜39のいずれか1項記載の構造。
【請求項41】
変形可能な材料は、チャネルに沿った複数の箇所で流体に力を加えるように構成され配置された、請求項40に記載の構造。
【請求項42】
剛性基板はシリコンを含まない、請求項39に記載の構造。
【請求項43】
基板は複数の層を有する、請求項39〜42のいずれか1項記載の構造。
【請求項44】
構造は、流体波を形成するために電磁機構を利用しない、請求項39〜43のいずれか1項記載の構造。
【請求項45】
流体チャネル及び変形可能な材料の各々は断面寸法を有し、変形可能な材料の断面寸法は、流体チャネルの断面寸法より小さい、請求項36〜44のいずれか1項記載の構造。
【請求項46】
流体チャネル及び変形可能な材料の各々は断面寸法を有し、変形可能な材料の断面寸法は、流体チャネルの断面寸法より大きい、請求項36〜44のいずれか1項記載の構造。
【請求項47】
変形可能な材料は、ポリマー性材料、エラストマ材料、金属、ガラス、又は複合材料を含む、請求項36〜46のいずれか1項記載の構造。
【請求項48】
変形可能な材料は、熱可塑性エラストマ、ポリジメチルシロキサン、ニトリル、ポリウレタン、シリコーン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソブチレン、及びポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)の内の一以上を含む、請求項47に記載の構造。
【請求項49】
変形可能な材料は、刺激によって形状が変化するように構成され、刺激は、機械力、液圧力、気圧力、熱的刺激、磁気的刺激、及び電気的刺激の内の一以上を含む、請求項36に記載の構造。
【請求項50】
ディフューザノズル、弁、方向流量抑制構造、階段的チャネル規制部、逆止め弁、及び一以上の起伏面、の内の一以上を更に有する、請求項36〜49のいずれか1項記載の構造。
【請求項51】
変形可能な材料はガスケット又はOリング形状を備える、請求項36〜50のいずれか1項記載の構造。
【請求項52】
基板内に提供された流体チャネルの少なくとも一部分は起伏面を有する、請求項36〜51のいずれか1項記載の構造。
【請求項53】
変形可能な材料と係合するように構成され配置されたアクチュエータを更に有し、アクチュエータは、球状物体、ベアリング組立体、ピン、ピストン、ワブルボード(wobble board)、カム、ワイパ、及びオペレータの指、の内の一以上を含む、請求項36〜52のいずれか1項記載の構造。
【請求項54】
アクチュエータは、静電気駆動、電気駆動、抵抗素子駆動、光駆動、圧電駆動、電磁気駆動、気圧駆動、液圧駆動、及び磁気駆動の内の一以上によって駆動される、請求項53に記載の構造。
【請求項55】
流体チャネルは、変形可能な材料によって全体が画定された、請求項36〜39のいずれか1項記載の構造。
【請求項56】
電磁波が進行するための経路を画定する少なくとも1個のチャネルを有する、流体装置。
【請求項57】
経路は、チャネル全長の少なくとも一部に対して実質的に長手方向である、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
経路は、チャネル全長の少なくとも一部に対して実質的に垂直方向又は横断方向である、請求項56に記載の装置。
【請求項59】
チャネルは、電磁波を別々又は同時に伝搬させるための垂直方向経路及び長手方向経路の両方を有する、請求項56に記載の装置。
【請求項60】
電磁波は、可視光線、紫外線、マイクロ波、電波、X線、及びガンマ線の内の少なくとも一種を含む、請求項56に記載の装置。
【請求項61】
電磁放射を透過、反射、屈折、修正又は分割するように構成され配置された少なくとも1個の電磁放射構成要素を更に有する、請求項56に記載の装置。
【請求項62】
構成要素は、ディフューザ、レンズ、プリズム、反射面、屈折率を変化させる表面コーティング、回折格子、リフレクタ、フィルタ、及びコリメータの内の一以上を含む、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
装置は複数の層を有する、請求項59〜62のいずれか1項記載の装置。
【請求項64】
装置は、少なくとも部分的にポリマーから形成された、請求項59〜63のいずれか1項記載の装置。
【請求項65】
チャネルは、装置の材料をバルクで除去又は置換するか、装置の層を全体に亘って切削することによって形成される、請求項59〜64のいずれか1項に記載の装置。
【請求項66】
経路に沿って配置された光子方向転換要素を有する、請求項59〜65のいずれか1項記載の装置。
【請求項67】
チャネルの両側又は両端に配置され、光子経路の方向を基本的には鉛直方向と水平方向の間で変更する傾斜反射面を有する、請求項59〜66のいずれか1項記載の装置。
【請求項68】
第1及び第2の非流体導波路と、
第1の非流体導波路の一端に配置され、光子経路の方向を基本的には水平方向と鉛直方向の間で変化させる第1の傾斜反射面と、
第2の非流体導波路の一端に配置され、光子経路の方向を基本的には水平方向と鉛直方向の間で変化させる第2の傾斜反射面とを更に有する、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
導波路の一部又は全てが流体収容チャネルである、請求項68に記載の装置。
【請求項70】
第1の非流体導波路とチャネルの間で電磁波が伝達され得るように構成され配置された第1の透過窓と、
第2の非流体導波路とチャネルの間で電磁波が伝達され得るように構成され配置された第2の透過窓とを更に有する、請求項68に記載の装置。
【請求項71】
チャネルの少なくとも一部分に配置された反射コーティングを更に有する、請求項59〜70のいずれか1項記載の装置。
【請求項72】
反射コーティングは、チャネルの表面にホットスタンプされた、請求項71に記載の装置。
【請求項73】
装置の層に組み込まれた屈折構成要素を更に有する、請求項63〜64のいずれか1項記載の装置。
【請求項74】
屈折構成要素は、レンズ、プリズム、及びコリメータの内の少なくとも1個を有する、請求項73に記載の装置。
【請求項75】
装置の層に組み込まれた回折構成要素を更に有する、請求項63〜64のいずれか1項記載の装置。
【請求項76】
ファイバとチャネル間で電磁放射が伝達し得るように構成され配置された少なくとも1本の光ファイバを更に有する、請求項59〜75のいずれか1項記載の装置。
【請求項77】
少なくとも1本の光ファイバは光ファイバの束を含む、請求項76に記載の装置。
【請求項78】
装置は、少なくとも部分的に、カード形状で構成された、請求項59〜77のいずれか1項記載の装置。
【請求項79】
請求項59〜68のいずれか1項記載の流体装置と、
電磁エネルギー源と、
電磁エネルギー検出器とを有する構成。
【請求項80】
電磁エネルギー源及び電磁エネルギー検出器は両方ともチャネルに対して垂直である、請求項81に記載の構成。
【請求項81】
流体カードは、電磁波を調整する調整要素を有する、請求項80に記載の構成。
【請求項82】
検出器は、チャネル内の流体と電磁波の間の相互作用の比色反応、りん光反応、吸収反応、又は透過反応を分析するように構成され配置された、請求項79〜81のいずれか1項記載の構成。
【請求項83】
機器により機能を実行する方法であって、
機能の実行を可能にするプログラムコード、データ、及びコマンドの内の一以上を含むインサートを機器に関連付ける段階を含む方法。
【請求項84】
機器は、デジタルマルチメータ、オシロスコープ、分光計、化学分析機器、生物学的分析機器、DNAシーケンサ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、電気化学的分析装置、携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末、又はデジタルマルチメディアプレーヤを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
インサートは、センサ、カートリッジ、カセット、マイクロ流体装置、フラッシュメモリカード、メモリスティック、スマートカード、プリント回路、又はその他のメモリ記憶構成要素を含む、請求項83又は84に記載の方法。
【請求項86】
プログラムコード、データ、及びコマンドの内の一以上が、電極接続、抵抗値、集積回路、光学的に読み取り可能なコード、磁気的に読み取り可能なコード、及び機械的に読み取り可能なコードの内の一以上によってインサート内にコード化された、請求項83〜85のいずれか1項記載の方法。
【請求項87】
汎用サブルーチンを有する機器を含み、インサートに一以上のアプリケーション固有プログラム又は操作データを提供する、請求項83〜86のいずれか1項記載の方法。
【請求項88】
インサートは、一回以上使用できるように構成された使い捨て可能な消耗品である、請求項83〜87のいずれか1項記載の方法。
【請求項89】
インサートは、ユーザがリモート機能にアクセスできるようにする認証情報、ユーザデータ、出荷時設定、較正情報、装置使用データ、収集データ、センサデータ、日時情報、位置情報、生産データ、品質管理データ、追跡データ、及びソフトウェアアップデートコード、及び/又はその他の情報の内の一以上を含む、請求項83〜88のいずれか1項記載の方法。
【請求項90】
機能の実行前、実行中又は実行後に機器又はインサートにデータを書き込む段階を更に含む、請求項83〜89のいずれか1項記載の方法。
【請求項91】
機器内の汎用サブルーチンは、データの取得、取得チャネルの選択、ポンピングの制御、弁切り換えの制御、温度設定、グラフィカルユーザインタフェースの構成の内の一以上のアクションを実行するように動作し、インサートのプログラムコード、データ及びコマンドの内の一以上は、特定用途のための機器動作を可能にする、請求項87に記載の方法。
【請求項92】
機能の実行を可能にするコード、データ及びコマンドの一部又は全てを、インサートから機器内に配置された揮発性メモリに転送する段階と、インサート内に識別、データ記憶及びデータ読み出し機能だけを保持する段階と、インサートが機器から取り出された後又は機器のスイッチが切られた後でインサート内にある操作コード、データ及びコマンドの一部又は全てを末梢する段階とを更に含む、請求項83〜91のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
機器と共に使用して機能を実行するように構成されたインサートであって、機能の実行を可能にするプログラムコード、データ及びコマンドの内の一以上を含むインサート。
【請求項94】
インサートは、センサ、カートリッジ、カセット、マイクロ流体装置、フラッシュメモリカード、メモリスティック、スマートカード、プリント回路、又は他のメモリ記憶構成要素を含む、請求項93に記載のインサート。
【請求項95】
プログラムコード、データ及びコマンドの内の一以上が、電極接続、抵抗値、及び集積回路、光学的に読み取り可能なコード、磁気的に読み取り可能なコード、又は機械的に読み取り可能なコードによってインサート内にコード化された、請求項93又は94のインサート。
【請求項96】
インサートは、一回以上使用できるように構成された使い捨て可能な消耗品である、請求項93〜95のいずれか1項記載のインサート。
【請求項97】
インサートは、ユーザがリモート機能にアクセスできるようにする認証情報、ユーザデータ、出荷時設定、較正情報、装置使用データ、収集データ、センサデータ、位置情報、日時情報、生産データ、品質管理データ、追跡データ、及びソフトウェアアップデートコード、及び/又は他の情報の内の一以上を含む、請求項93〜96のいずれか1項記載のインサート。
【請求項98】
請求項93〜97のいずれか1項に記載のインサートと機器の組み合わせ。
【請求項99】
機器は、デジタルマルチメータ、オシロスコープ、分光計、化学分析機器、生物学的分析機器、DNAシーケンサ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、電気化学分析装置、携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末、又はデジタルマルチメディアプレーヤを含む、請求項98に記載の組み合わせ。
【請求項100】
機器は汎用サブルーチンを含み、インサートは、アプリケーション固有プログラム及び操作データの内の一以上を含む、請求項98又は99に記載の組み合わせ。
【請求項101】
機器内の汎用サブルーチンは、データの取得、取得チャネルの選択、ポンピングの制御、弁切り換えの制御、温度設定、グラフィカルユーザインタフェースの構成の内の一以上のアクションを実行するように動作し、インサートのプログラムコード、データ又はコマンドの内の一以上は、機器が特定用途のために動作することを可能にする、請求項100に記載の組み合わせ。
【請求項102】
機器のソフトウェア又はファームウェアを更新する方法であって、インサートを機器と関連付ける段階と、プログラムコード、データ及びコマンドの内の一以上を機器に転送してそれにより更新を有効にする段階とを含む方法。
【請求項103】
機器は、デジタルマルチメータ、オシロスコープ、分光計、化学分析機器、生物学的分析機器、DNAシーケンサ、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、電気化学分析装置、携帯電話、コンピュータ、携帯情報端末、又はデジタルマルチメディアプレーヤを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
インサートは、センサ、カートリッジ、カセット、マイクロ流体装置、フラッシュメモリカード、メモリスティック、スマートカード、プリント回路、又は他のメモリ記憶装置を含む、請求項102又は103に記載の方法。
【請求項105】
プログラムコード、データ及びコマンドの内の一以上は、電極接続、抵抗値、集積回路、光学的に読み取り可能なコード、磁気的に読み取り可能なコード、及び機械的に読み取り可能なコードの内の一以上によってインサート内にコード化された、請求項102〜104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
インサートは、一回以上使用できるように構成された使い捨て可能な消耗品である、請求項102〜105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
インサートは、ユーザがリモート機能にアクセスできるようにする認証情報、ユーザデータ、出荷時設定、較正情報、装置使用データ、収集データ、センサデータ、位置情報、日時情報、生産データ、品質管理データ、追跡データ、ソフトウェアアップデートコード、及び/又は他の情報の内の一以上を含む、請求項102〜106のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【公表番号】特表2009−516844(P2009−516844A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541841(P2008−541841)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003311
【国際公開番号】WO2007/060523
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508210446)マイクロラボ ピーティーワイ エルティーディー (5)
【氏名又は名称原語表記】MYCROLAB PTY LTD
【Fターム(参考)】