説明

流水検知装置

【課題】 正面側に流水検知部が収容されたターミナルボックスと開口を塞ぐカバーの両方を配置可能な流水検知装置を提供する。
【解決手段】 筒状の本体1内部を通過する流水を検知するための流水検知部2を有しており、流水検知部2内のスイッチ装置12により外部へ信号出力可能な流水検知装置であり、本体の開口部1Bを閉塞するカバーCを流水検知装置の正面に配置し、カバーCは本体1とヒンジHにより接続されており、カバーCの回動動作によって開閉が可能であり、カバーC上に流水検知部2を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火設備配管上に設置される流水検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流水検知装置は、スプリンクラー設備や泡消火設備等の消火設備配管に設置され、配管内部の流水を検知して所定の信号(火災信号、警報)を出力する。流水検知装置の内部は逆止弁構造となっており、弁体により内部が一次側室と二次側室とに分けられており、弁体は常時それらを隔てる閉止状態にある。一次側室と二次側室は常時充水されており、一次側室に接続された配管は貯水槽等の水源に接続され、二次側室に接続された配管はスプリンクラーヘッドや泡ヘッド等の散布ヘッドに接続されている。
【0003】
この流水検知装置には検知方式に応じて様々なものがあり、例えば流水発生時に弁体の一次側と二次側との間で生じる差圧を機械的に検知して火災信号、警報等の信号を出力する作動弁型のものが知られている。この作動弁型の流水検知装置は、警報を出力する作動流量が一定で安定していること、自動警報弁型の警報水路のように他系統と繋がる水路が皆無で他系統からの逆流等の影響を全く受けないこと、機器をシンプルに構成できる等の様々なメリットがある(従来の自動警報弁型の流水検知装置の一例として特許文献1参照)。
【0004】
流水検知装置は上記のように、流水発生時に火災信号、警報等の信号を出力するためにスイッチ装置が備えられており、該スイッチ装置はターミナルボックス内に収容されている。ターミナルボックスには外部の警報出力装置、例えば管理室に設置された受信機と接続している電線が引き込まれ、電線はスイッチ装置に接続される。
【0005】
上記の電線をスイッチ装置に接続するためにターミナルボックスは流水検知装置本体の正面側にあると作業者が電線の接続作業を行いやすい。一方、流水検知装置に不具合が生じた際、例えば弁体と弁座の間に小石のような異物が挟まった状態には、流水検知装置本体のカバーを外して流水検知装置内部のメンテナンス作業を行うが、流水検知装置内部の状態をよく確認するためにはカバーによって塞がれた開口部が流水検知装置の正面に位置していることが望ましい。
【0006】
上記によれば、ターミナルボックスとカバーの両方が流水検知装置本体の正面側に配置されていることが望ましいが、カバーを取り外した際に流水検知装置本体の内部の残水によってターミナルボックスに設置された電気系統がショートしてしまうことを避けるため、スイッチ装置に接続された電線を外してからカバーを取り外さなければならないが、これだとメンテナンス作業終了時にスイッチ装置に電線を再び接続する作業を行わなければならず、万が一に電線を再び接続する作業を忘れた場合には、火災時に流水検知装置から受信機へ信号が出力できないことになる。
【0007】
上記の事態を予防するため、一般的にターミナルボックスは流水検知装置本体の側面側に配置される(一例として特許文献2参照)か、またはターミナルボックスを本体の正面側に配置した場合には、カバーによって塞がれた開口部は流水検知装置本体の側面側に配置される(一例として特許文献3参照)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−103515号公報
【特許文献2】特開平2009−136432号公報
【特許文献3】特開平2004−117240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のようにターミナルボックスまたはカバーを流水検知装置本体の側面に設置すると、流水検知装置の横方向の寸法が増加するとともに、側面に配置したターミナルボックスまたはカバーを取り外して作業を行うためのメンテナンススペースが必要となり、流水検知装置の設置スペースが多く必要となる。
【0010】
そこで本発明では、上記問題に鑑み、流水検知装置の正面側に流水検知部が収容されたターミナルボックスと開口を塞ぐカバーの両方を配置可能な流水検知装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る流水検知装置は、消火設備配管上に設置され、筒状の本体内部を通過する流水を検知するための流水検知部を有しており、流水検知部内のスイッチ装置により外部へ信号出力可能な流水検知装置において、本体の開口部を閉塞するカバーを流水検知装置の正面に配置し、カバーは本体とヒンジにより接続されておりカバーの回動動作によって開閉が可能であり、カバー上に流水検知部を配置したことを特徴とする。
本発明によれば、検知部と開口を同一面に設置することができ、流水検知装置をコンパクトに構成することができるとともに、前述のメンテナンススペースが不用となるため流水検知装置の設置スペースが削減可能となる。
【0012】
さらに、カバーをヒンジによって本体と接続したことで流水検知装置の内部をメンテナンスする際にはカバーを回動動作させることで開閉が可能である。従来品においては取り外したカバーは床などに置いておき、メンテナンス作業が終了した際に再びカバーを流水検知装置に取付けるのだが、流水検知装置のサイズが大きくなる程にカバーのサイズ及び重量も増大し、カバーを持ち上げて流水検知装置の開口部に装着させるには多大な手間や労力がかかる作業となっていたが、本発明によりカバーの開閉を容易に行うことが可能となり作業者の負担を軽減することができる。
【0013】
ヒンジは、床面に対して垂直となるよう設置すると、カバーが重力の影響を極力受けないで開閉可能であり開閉動作がスムーズにできる。仮にヒンジを床面に対して平行に設置した場合にはカバーの自重でカバーが開閉動作するおそれがあり、さらにカバーを開閉する際にもヒンジを床面に対して垂直とした場合より多大な労力がかかる。
【0014】
また、ヒンジによってカバー上に設置された流水検知部は所定の範囲内、具体的にはカバーの回動範囲内のみを移動可能な構成となる。流水検知部内のスイッチ装置に接続された電線はこのカバーの回動範囲内を移動可能な長さにしておくことで、カバーを開閉動作する際にカバー上のスイッチ装置に接続された電線を取り外さなくても作業可能となる。
【0015】
カバー上に流水検知部を配置したことで、カバーを開いた際に流水検知装置の本体内部の残水が開口部から漏れ出してきても流水検知部と開口部の間にカバーが介在しているので流水検知部が被水することを防止できる。さらに流水検知部を水や埃から保護するためのターミナルボックスをカバー上に設置することも可能である。
【0016】
前記本発明は、カバー上に本体内部へ貫通する貫通穴が穿設されており、該貫通穴には流水検知部のロッドが挿通され、本体内部側のロッドの先端は弁体と接触して配置され、弁体の開放によって弁体と接触している側のロッド端が開弁方向に変位することでカバー外部側のロッド端がスイッチ装置を作動させて信号を出力することが可能である。
これによれば、カバー上に穿設した貫通穴に弁体の開放による変位を検出するためのロッドを挿通させ、流水検知装置内に流水が生じて弁体が開放した際の変位に追従して弁体と接触している側のロッド端も弁開方向に変位することでカバー側のロッド端近傍に設置されたスイッチ装置を作動させ信号を出力することができる。
【0017】
ロッドは変位を検出しやすいように弁体の縁部の弁軸から離れた側に配置すると弁体が開いた際の縦方向の変位量が弁軸の弁体の縁部よりも大きいので変位の検出が容易になる。
【0018】
ロッドは中間部分を軸支させてシーソー状に揺動するように構成することができる。またロッドの両端にカムを設置してロッドを軸としてカムが回動するように構成することもできる。この他にロッドの先端を弁体の側面に当接させて配置して、弁体の開放動作によりロッド先端と弁体の接触状態が解除される際の変位を検知するように構成することも可能である。
【0019】
前記本発明は、弁体と接触している側のロッド端を弁体の所定位置にセット可能なリセット部位を設けることが可能である。
これによれば、前述の流水検知装置においてカバーを開放した後に、カバーを元の閉止位置に戻してロッドを弁体の所定位置にセットする際に、リセット部材により弁体を開放させた状態でカバーを閉止位置に戻すことでロッドの先端を弁体の所定位置に容易にセットすることが可能となる。ロッドを弁体の所定位置にセットした後でリセット部材を元の状態に戻す。
【0020】
前記本発明は、カバー上に本体内部へ貫通する貫通穴が穿設されており、該貫通穴には弁体と供回りする軸が挿通され、該軸のカバー外部側の端の近傍にはスイッチ装置が設置されており、軸の回動による変位によりスイッチ装置が作動して信号を出力可能である。
これによれば、カバー上に穿設した貫通穴に弁体と供回りする弁軸が挿通されており、弁軸のカバー外部側の端にカムを設置して該弁軸の回動動作によるカムの変位でスイッチ装置を作動させ信号を出力することができる。
【0021】
前記本発明は、カバー上に本体内部へ貫通する貫通穴が穿設されており、該貫通穴は弁座または弁座近傍から本体の開口部の近傍へと続く連通穴と接続しており、貫通穴のカバー外部側には圧力スイッチを接続することが可能である。
これによれば、カバー上に穿設した貫通穴を弁座または弁座近傍から流水検知装置の開口部に続く連通穴と接続させて貫通穴に圧力スイッチを接続することで、流水検知装置内に流水が生じて弁体が開放した際に弁座または弁座近傍に通じる連通穴から貫通穴を通り圧力スイッチに水が到達して圧力スイッチ内のスイッチ装置を作動させ信号を出力することができる。
【0022】
前記本発明は、カバー上には本体内部と連通し、圧力計が接続可能な穴を穿設することができる。
これによれば、カバー上に穿設した貫通穴に直接圧力計を設置することが可能となり、圧力計の設置スペースを省くことができる。

【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、カバー上に流水検知部を設置することができ、さらに流水検知装置を水や埃から保護するためのターミナルボックスをカバー上に設置することができることから、流水検知装置の正面側に流水検知部が収容されたターミナルボックスおよび開口を塞ぐカバーを配置可能な流水検知装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の流水検知装置の正面図
【図2】図1のX1−X1断面図
【図3】図2のX2−X2断面図
【図4】図3のX3−X3断面図(リセット部動作時)
【図5】図2のX4−X4断面図(平常時)
【図6】図2のX4−X4断面図(作動時)
【図7】作動時における流水検知部の正面図
【図8】作動時におけるX3−X3断面図
【図9】第2実施形態の流水検知装置の断面図
【図10】第3実施形態の流水検知装置の正面図(カバー開放状態)
【図11】図10のX5−X5断面図
【図12】図11のX6−X6断面図
【図13】第3実施形態の流水検知装置のカバー正面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
第1実施形態(図1〜図8)
本発明の第1実施形態の流水検知装置A1は、本体1、流水検知部2、排水弁3を備えている。
【0026】
本体1は中空筒状であり、両端には円盤状のフランジ1Aが形成されている。本体1の内部は隔壁4によって一次側室Iと二次側室IIに分けられている。隔壁4には連通穴5が形成されており、その二次側室IIの側には環状の弁座6が設置されている。
【0027】
二次側室IIの正面側には開口部1Bが形成されており、開口部1Bは板状のカバーCにより閉塞されている。カバーCは複数のボルトC1によって本体1に固定設置されている。カバーCの周縁の一部にはヒンジHが設けられており、ボルトC1を外した際にはカバーCがヒンジHにより回動可能な構成となっている。カバーCの外部側の面には流水検知部2が設けられている。
【0028】
ヒンジHは、本体1とカバーCを回動可能に接続するもので、柱状のヒンジ軸H1が本体1およびカバーCに設置された筒状のヒンジ軸受けH2、H3に挿通されている。カバーCはヒンジ軸H1を支点として回動する。
【0029】
ヒンジ軸H1は、床面に対して垂直になる位置に設けるとカバーCを開閉する際に、カバーCの自重の影響を小さくでき、カバーCの開閉動作を容易に行うことが可能である。
【0030】
弁座6の上には円盤状の弁体7が着座しており、弁体7の周縁の一部には円筒状の軸受け8が形成されており、軸受け8には弁棒9が挿通されている。弁棒9は本体1の内部で水平に架け渡されるとともに本体1に保持されている。弁体7は弁棒9を軸として二次側室IIの方向へ回動自在な逆止弁構造となっており、弁体7が二次側室IIの方向へ回動して弁座6から離れることで、一次側室Iの流体が環状の弁座6の中を通って二次側室IIに通過可能となる。
【0031】
弁体7は、弁本体7aと、弁本体7aの一次側にある凹部に収容した凸部7bと、弁本体7aに凸部7bを固定するボルトによる締結部材7cを備えている。弁本体7aは金属製、具体的には鉄製であり、その表面全面には防錆被覆層として用の電着塗装層が形成されている(図示略)。凸部7bも同様に電着塗装層が形成された鉄製とされている。なお、ここでは弁体7を弁本体7aと凸部7bとを別部品として組み合わせているが、弁体7そのものについて弁本体7aと凸部7bとを一体に一部品とした形状とすることもできる。凸部7bは弁体7が弁座6に着座した状態で弁座6の内側に入り込んで収容されるようになっている。本実施形態の凸部7bは流水検知装置A1の本体1の内部にオリフィスを形成する突起状のスカート部として機能するものである。また、凸部7bは非火災時に一時的に弁体7が開放することがあった際に、直ちに閉弁状態に復帰させて閉止時のシール性を確保する錘部としても機能するものである。
【0032】
また、凸部7bの下方には、凸部7bを二次側II方向へ押し上げることが可能なリセット部7dが設置されている(図3参照)。リセット部7dは本体1の外部から凸部7b下方の一次側室Iへ挿通された軸7eと、軸7eの本体1の内部側の端に固定設置された薄板状の押圧部7f、軸7eの本体1の外部側の端に固定設置された操作部7gより構成される。
【0033】
押圧部7fは図4に示すように凸部7bと接する縁部の形状が曲面となっており、押圧部7fが回動動作した際に凸部7bとの摩擦抵抗を軽減する作用を有する。また押圧部7fは薄板状であり、平面部分を本体1のフランジ1Aの平面に対して垂直に配置することで流水検知部A1内を流れる水流の妨げとなることを極力低減している。
【0034】
リセット部7dは本体1の外部の操作部7gを回動させることで本体1の内部側の押圧部7fも共に回動する。リセット部7dは、メンテナンス時に後述のロッド11を弁体7の所定位置にセットする際に用いる。
【0035】
弁体7の周縁には縁から突出して形成した突出部10が設けられている(図2参照)。
より詳細には、この突出部10は弁体7の周縁のうちでも、流水の出口方向から見て、弁体7における軸受け8を設けた側とは反対側、換言すれば、弁体7における弁棒9と接触する側とは反対側に設けられている。そして、突出部10における弁座6の側の面にはロッド11の端部11Aが接触している。このロッド11は中間でピンPにより軸支されており、図5および図6中において上下に回動動作可能な構成である。ロッド11の端部11Aが弁体7に接触している状態ではロッド11は略水平状態となっている。ロッド11は弁体7に接触しており弁体7の開方向への回動によりスイッチ装置(後述するリミットスイッチ12)をオンするロッドとして機能するものである。
【0036】
ロッド11の端部11Aの先端にはフランジ部Fが形成されており、該フランジ部Fの縁は丸みを帯びた形状としている。この丸みを付けたことによって弁体7が開放動作をする際に、ロッド11もそれに伴い回動動作を行うが、ロッド11が弁体7の突出部10から離れるまでは突出部10の表面をフランジ部Fが滑るように動作するので、突出部10に対するロッド11の滑り動作を円滑にできる効果がある。フランジ部Fは円盤形状ではなく球体形状として実施することも可能である。
【0037】
ロッド11の弁体7と接触している端と反対側の端部11Bは、カバーCの貫通穴Kを通って本体1の外部に突出しており、流水検知部2の側に突出している。流水検知部2はリミットスイッチ12、レバー13、ロータリーダンパー15等から構成され、これらの構成機器は二点鎖線で示すターミナルボックスBにより覆われており水や埃から保護されている。
【0038】
端部11Bの近傍には中間部で軸支されシーソー状に回動可能なレバー13が設置されており、端部11Bの上にレバー13の片方の端13Aが載置されている(図1参照)。端13Aの上には錘Wが設置されており、錘Wはロッド11の端部11Bを図中下方へ付勢している。端部11Bを下方へ付勢することで反対側の端11Aは弁体7を開放する方向へ付勢される。
【0039】
レバー13のもう一方の端13Bの近傍にはリミットスイッチ12が配置されている。リミットスイッチ12は常時において端13Bにより接触子12Aが押し込まれた状態である。リミットスイッチ12はb接点仕様であり、接触子12Aが開放された状態のときに信号を出力する構造となっており、接触子12が押し込まれた状態では信号が非出力状態となっている。
【0040】
常時において、レバー13は錘Wによりレバー13の端13Aを下方に付勢する反時計回りの回動方向に付勢されているが、ロッド11の端11Aが弁体7に接触していることから弁体7の重さによりレバー13は反時計回りに回動することができず、端13Bによりリミットスイッチ12の接触子12Aは押し込まれた状態を維持しており信号が出力していない。
【0041】
レバー13の中間部にはレバー13の回動軸14が設けられている。回動軸14はロータリーダンパー15を介して接続することで、レバー13の回動運動に制動力を作用させることができる。これにより弁体7が配管内の流体の振動等で瞬時的に開放した際にリミットスイッチ12から信号が出力されることを防止できる。
【0042】
端子台16はリミットスイッチ12と接続されており、図示しない外部の受信機に接続されている電線とリミットスイッチ12を電気的に接続するために用いられる。
【0043】
ロッド11の端11Bの下方近傍にはロッド11の回動量を規制するストッパー17がカバーCの表面に形成されている。
【0044】
排水弁3は、点検やメンテナンス時に本体1内の流体を外部に排出するバルブであり、流水検知装置A1の側面に設けられている。排水弁3の内部はアングル弁構造となっており、排出口は図1において下向きに設けられている。排水弁3の開閉操作を行なうハンドルは手前側に設置され、ハンドルの操作が行ないやすい位置に設けられている。
【0045】
続いて、本実施形態の流水検知装置A1の動作について説明する。
【0046】
流水検知装置A1は、消火設備配管に設置され、一次側室Iは図示しないポンプ等の給水装置および貯水槽等の水源に通じる配管に対して接続され、二次側室IIに接続された配管の末端には図示しないスプリンクラーヘッドが設置されている。
【0047】
消火設備配管内は充水された状態にあり、流水検知装置A1の本体1も一次側室Iおよび二次側室IIの中は充水状態にある。常時において、弁体7は弁座6の上に着座しており、凸部7bは弁座6の内側の流路に入り込んで収容されており、一次側室Iから二次側室IIへの通水は遮断されている。また弁体7に接触しているロッド11は略水平状態にある(図5参照)。
【0048】
火災が発生して二次側室II側の配管に設置されたスプリンクラーヘッドが作動すると、二次側室II側の配管内の水はスプリンクラーヘッドから放出されるので次第に減圧してくる。弁体7を閉止していた二次側室IIの水の圧力が減少したことで一次側室Iの水の圧力により弁体7が押し上げられ、弁棒9を支点に回動する。
【0049】
弁体7が弁座6から離れて開放したことにより一次側室Iの水は二次側室IIに送られる。それとともに弁体7に接触していたロッド11も錘Wの付勢力によってピンPを支点として回動し、図6に示すように流水検知部2側のロッド11の端部11Bが図中下側に回動し始める。
【0050】
その際、弁体7が回動し一次側室Iの水が二次側室IIに送られたとき、弁体7の凸部7bが弁座6の内側から徐々に抜けていくことで、凸部7bの外周面と弁座6の内周面との間にオリフィス状の流路が形成され、そこを通過する流水により弁体7が押し上げられる結果、少ない流水でも弁体7は大きく回動することになる。
【0051】
弁体7が回動し続けて弁体7はすみやかに開放するが、このときロッド11は錘Wおよびロータリーダンパー15の作用により端11Bが図中下方へ向かってゆっくり回動する。これによってロッド11のフランジ部Fが弁体7の突出部10に対して離れるので、開放後の弁体7はロッド11からの付勢力を受けなくすることができる。またロッド11はカバーC上に形成されたストッパー17まで回動すると、ストッパー17に係止されてそれ以上の回動が規制される(図7参照)。
【0052】
またロッド11の端部11Bに載置されたレバー13は錘Wの作用によって反時計回りに回動する。その際ロータリーダンパー15の作用によりレバー13はゆっくり回動する。やがてレバー13の端13Bからリミットスイッチ12の接触子12Aが離れて、リミットスイッチ12が信号出力状態となる。リミットスイッチ12の信号は流水検知部2の端子台16に接続された電線を通じて管理人室に設置された受信機等の監視装置に送られる。
【0053】
上記リミットスイッチ12からの信号によって前述のポンプが起動され、火災により作動したスプリンクラーヘッドに対して水源から連続して水が送られて弁体7は全開放する(図8参照)。流水検知装置A1を通過した水はスプリンクラーヘッドから散布され火災を消し止める。
【0054】
次に、本実施形態の流水検知装置A1のメンテナンス時の作用・効果を説明する。
【0055】
弁体7と弁座6の間に小石等の異物が挟まった場合には、流水検知装置A1の本体1内部の水を抜いた後にカバーCを外して異物を除去する作業を行う。その際カバーCは流水検知装置A1の口径サイズに比例してカバーCのサイズ・重さも増大するので、カバーCの着脱に多大な労力を費やすものであったが、本実施形態においてはカバーCがヒンジHにより回動自在な構成としたことで、カバーCの開閉を容易に行うことが可能である。
【0056】
さらにカバーCの外面側に設置された流水検知部2はカバーCが回動動作することで外部の受信機と接続されている電線の取り回しも容易となる。つまり、従来品においてはカバーCを取り外した際には前述の電線が水に濡れないように配慮したり、電線の長さに余裕がないとカバーCを床等に置くことができないので電線を流水検知装置から取り外して作業する等の手間が発生していたが、本実施形態では、カバーCがヒンジHによって回動するので電線を開口部1Bから離れた位置にカバーCを回動させることができるので電線が本体1内の残水により濡れることを防止できる。
【0057】
さらに外部の受信機と接続された電線は、カバーCの外部側の面の端子台16に接続されているので、この電線の長さをカバーCが回動可能な長さに余裕を持たせておくことで、電線を端子台から外すことなくカバーCを開放・閉止することができる。
【0058】
また、メンテナンス終了後にカバーCを元の状態に戻す際には、リセット部7dの操作部7gを回動させて押圧部7fの先端側を弁体7の凸部7b側に回動させ、弁体7が若干開放した状態でカバーCを回動させ閉止位置にセットする(図4参照)。こうすることでロッド11の弁体7と接触する側の端11Aを元の位置に配置させることができる。
【0059】
端11Aを元の位置に配置させた後に、操作部7gを元の位置に戻すことで弁体7の突出部10にロッド11の端11Aが接触した状態にすることができる。最後にカバーCを固定するボルトC1を全て締め込むことで作業が完了する。
【0060】
続いて、上記に説明した以外の作用・効果を説明する。
【0061】
リセット部7dは回動動作により弁体7を開放可能なものであり、回動動作としたことで押圧部7fの回動範囲を限定することができる(図4参照)。これによりリセット部7dによって弁体7が所定以上開放しないように開放量を制限することができる。例えば、リセット部7dによる弁体7の最大開放量を、ロッド11がストッパー17に係止される前の段階の開放量とすることで、リセット部7dを操作して弁体7を開放させてもリミットスイッチ12から信号が出力しないように構成することが可能である。
【0062】
第2実施形態(図9)
続いて、本発明の第2実施形態の流水検知装置A2について説明する。
【0063】
流水検知装置A2は弁体の回動による変位を検知して信号を出力する作動弁型の流水検知装置である。第2実施形態は第1実施形態と同様に弁体の回動を検知する部位をカバー上に設置した実施形態である。第2実施形態の流水検知装置A2において第1実施形態と構造や機能が同じ箇所には同符号を付して説明は省略する。
【0064】
流水検知装置A2は弁体21と弁棒22がネジ23により固定されており、弁体21と弁棒22が供回りする構造となっている。弁棒22のカバーCの端の側面部には2つの平面22aが平行に形成されている。
【0065】
弁棒22の平面22aにはカバーCを貫通して設置された軸24の本体1の内部側の溝24aと嵌合する。軸24aの他端側はカバーCの外部に突出しており、先端にカム25が固定設置されている。カム25は軸24と供回り可能である。弁体21が弁座6から離れて二次側室II側に回動すると、弁体21と固定されている弁棒22も供回りして回動し、さらに弁棒22と嵌合している軸24および軸24に固定されたカム25も同様に回動動作する。
【0066】
カム25の近傍には内部にリミットスイッチを備えた弁体回動検知部26が設置されている。弁体回動検知部26については既に公知であり、その一例として特開2005−253640号公報や特開2007−50067号公報に記載されているので詳細な説明は省略する。
【0067】
カバーCはヒンジ27により本体1に接続されている。ヒンジ27は円柱状のヒンジ軸28がカバーCの側面に形成された長丸穴29aを有するヒンジ軸受け29および本体1側の丸穴を有するヒンジ軸受け30を貫通しており、ヒンジ軸28を支点としてカバーCが回動動作可能となっている。また、カバーCの長丸穴29aは弁棒22の長手方向と平行に伸びた長丸形状となっており、カバーCが図9中において上下方向にスライド移動可能な構成となっている。このスライド移動によりカバーCを開く際には、軸22の平面22aと軸24の溝24aによる連結部分を切り離してカバーCを回動させることができるようになる。
【0068】
続いて、本実施形態の流水検知装置A2の動作について説明する。
【0069】
流水検知装置A2は、消火設備配管に設置され、一次側室Iは図示しないポンプ等の給水装置および貯水槽等の水源に通じる配管に対して接続され、二次側室IIに接続された配管の末端には図示しないスプリンクラーヘッドが設置されている。
【0070】
消火設備配管内は充水された状態にあり、流水検知装置A2の本体1も一次側室Iおよび二次側室IIの中は充水状態にある。常時において、弁体21は弁座6の上に着座しており、一次側室Iから二次側室IIへの通水は遮断されている。
【0071】
火災が発生して二次側室II側の配管に設置されたスプリンクラーヘッドが作動すると、二次側室II側の配管内の水はスプリンクラーヘッドから放出されるので次第に減圧してくる。弁体21を閉止していた二次側室IIの水の圧力が減少したことで一次側室Iの水の圧力により弁体21が押し上げられ、弁棒22を支点に回動する。また、弁体21が弁座6から離れて開放したことにより一次側室Iの水は二次側室IIに送られる。
【0072】
弁体21の回動により、弁棒22、軸24、カム25も供回りして回動する。カム25の回動によって弁体回動検知部26内のリミットスイッチより信号が出力される。信号は弁体回動検知部26に接続された電線を通じて管理人室に設置された受信機等の監視装置に送られる。
【0073】
上記の信号によって前述のポンプが起動され、火災により作動したスプリンクラーヘッドに対して水源から水が送られてスプリンクラーヘッドからは連続して水が散布され火災を消し止める。
【0074】
次に、本実施形態の流水検知装置A2のメンテナンス時の作用・効果を説明する。尚、第1実施形態と同じ作用・効果についての説明は省略する。
【0075】
弁体21と弁座6の間に小石等の異物が挟まった場合には、流水検知装置A2の本体内部の水を抜いた後にカバーCを外して異物を除去する作業を行う。流水検知装置A2は軸24が弁棒22と平面22aと溝24aにより連結していることから、この連結状態を解除した後にカバーCを回動しなければならない。
【0076】
上記の連結状態を解除するためには、先ずカバーCを固定しているボルトC1を取り外す。次にカバーCを手前側(図9において下側)にスライド移動させて平面22aと溝24aを切り離した後にカバーCを回動する。異物を除去した後は、上記と逆の手順によりカバーCを閉塞することで作業が完了する。
【0077】
第3実施形態(図10〜図13
続いて、本発明の第3実施形態の流水検知装置A3について説明する。
【0078】
流水検知装置A3は常時弁体によって塞がれている本体内部の穴を有しており、該穴は本体外部へ通じており、穴の本体外部側に接続された圧力スイッチが水圧により作動することで信号を出力する自動警報弁型の流水検知装置である。第3実施形態は、圧力スイッチをカバー上に設置した実施形態である。第3実施形態の流水検知装置A3において第1実施形態と構造や機能が同じ箇所には同符号を付して説明は省略する。
【0079】
流水検知装置A3は、弁座6の近傍に本体1の外部へと通じる連通穴31が穿設されており、該連通穴31は弁体7の周縁に設けた子弁32によって常時閉塞されている。子弁32は上下に鍔部33を有しており両端の鍔部33の間は鍔部33より外径が小さい柱部34により接続している。
【0080】
柱部34は弁体7の周縁に穿設された穴を貫通しており、子弁32は図中において上下方向へ摺動可能な構成となっている。子弁32の連通穴31側の鍔部33aと、柱部34が挿通された穴の端面の間にはバネ35が設置されている。バネ35により鍔部33aは連通穴31側へ付勢されている。バネ35の作用により弁体7が極僅か開放した場合においても子弁32は連通穴31の閉塞状態を維持することができる。
【0081】
連通穴31は本体1の正面側の開口部1A側に貫通して出口31aとなっている。連通穴31は中間部で本体1の側面側に分岐され、側面側の出口31bにはオートドリップ36が接続している。オートドリップ36は連通穴31内に流入した水を少量ずつ外部に放出する作用を有しており、弁体7が非火災時に配管内の水の振動等で瞬時的に開放して連通穴31が開いた際に、連通穴31内に流入してきた水を外部に排出可能である。
【0082】
出口31aはカバーCに穿設された貫通穴Kと接続している。カバーC外部側の貫通穴Kには圧力スイッチPSが接続される。圧力スイッチPSはリミットスイッチが内蔵されており、圧力スイッチPS内に水が流入した際に、水の圧力によってリミットスイッチが作動する構造となっている。リミットスイッチPSの構造については既に公知であり、一例として特開平7−47147号公報や特開2009−268663号公報に記載されているので詳細な説明は省略する。
【0083】
続いて、本実施形態の流水検知装置A3の動作について説明する。
【0084】
流水検知装置A2は、消火設備配管に設置され、一次側室Iは図示しないポンプ等の給水装置および貯水槽等の水源に通じる配管に対して接続され、二次側室IIに接続された配管の末端には図示しないスプリンクラーヘッドが設置されている。
【0085】
消火設備配管内は充水された状態にあり、流水検知装置A2の本体1も一次側室Iおよび二次側室IIの中は充水状態にある。常時において、弁体7は弁座6の上に着座しており、一次側室Iから二次側室IIへの通水は遮断されている。
【0086】
火災が発生して二次側室II側の配管に設置されたスプリンクラーヘッドが作動すると、二次側室II側の配管内の水はスプリンクラーヘッドから放出されるので次第に減圧してくる。弁体7を閉止していた二次側室IIの水の圧力が減少したことで一次側室Iの水の圧力により弁体7が押し上げられ、弁棒9を支点に回動する。
【0087】
弁体7が弁座6から離れて開放したことにより一次側室Iの水は二次側室IIに送られる。また、弁体7の開放により連通穴31を閉塞していた子弁32による連通穴31の閉塞状態が解除され、連通穴31内に水が流入する。
【0088】
連通穴31内に流入した水は、出口31bに接続されたオートドリップ36から少量ずつ外部に排出されるが、連通穴31への水の流入量がオートドリップ36からの排出量を上回るので水は出口31aから貫通穴Kを通って圧力スイッチPSに達する。
【0089】
圧力スイッチPSに達した水は、水の圧力により圧力スイッチPS内部のリミットスイッチを作動させて信号が出力される。信号は圧力スイッチPSに接続された電線を通じて管理人室に設置された受信機等の監視装置に送られる。
【0090】
上記の信号によって前述のポンプが起動され、火災により作動したスプリンクラーヘッドに対して水源から水が送られてスプリンクラーヘッドからは連続して水が散布され火災を消し止める。
【0091】
次に、上記に説明した流水検知装置の変形例について説明する。
【0092】
先に説明した第1実施形態から第3実施形態の流水検知装置において、カバーC上にスプリンクラーヘッドの作動によって信号を出力する流水検知部2(弁体回動検出部26、圧力スイッチPS)を設置したが、これに加えてカバーC上に圧力計を接続可能な穴40を設け、該穴40に圧力計Pを接続することが可能である(図13参照)。
【0093】
また、第1実施形態の変形例として、特許4616418号公報に記載されている弁体の変位を検出する手段についても第1実施形態と同様に本体の開口を塞ぐカバー上に流水検知部を設けることができる。

【符号の説明】
【0094】
A1、A2、A3 流水検知装置
1 本体
1A フランジ
1B 開口部
2 流水検知部
3 排水弁
6 弁座
7 弁体
7d リセット部
8 軸受け
9 弁棒
10 突出部
11 ロッド
12 リミットスイッチ
13 レバー
15 ロータリーダンパー
16 端子台
17 ストッパー
21 第2実施形態の弁体
22 第2実施形態の弁軸
24 軸
25 カム
26 弁体回動検知部
27 第2実施形態のヒンジ
31 連通穴
32 子弁
35 バネ
C カバー
H ヒンジ
K 貫通穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火設備配管上に設置され、筒状の本体内部を通過する流水を検知するための流水検知部を有しており、流水検知部内のスイッチ装置により外部へ信号出力可能な流水検知装置において、本体の開口部を閉塞するカバーを流水検知装置の正面に配置し、カバーは本体とヒンジにより接続されておりカバーの回動動作によって開閉が可能であり、カバー上に流水検知部を配置したことを特徴とする流水検知装置。

【請求項2】
カバー上に本体内部へ貫通する貫通穴が穿設されており、該貫通穴には流水検知部のロッドが挿通され、本体内部側のロッドの先端は弁体と接触して配置され、弁体の開放によって弁体と接触している側のロッド端が開弁方向に変位することでカバー外部側のロッド端がスイッチ装置を作動させて信号が出力される請求項1記載の流水検知装置。

【請求項3】
弁体と接触している側のロッド端を弁体の所定位置にセット可能なリセット部位を設けた請求項2記載の流水検知装置。

【請求項4】
カバー上に本体内部へ貫通する貫通穴が穿設されており、該貫通穴には弁体と供回りする軸が挿通され、該軸のカバー外部側の端の近傍にはスイッチ装置が設置されており、軸の回動による変位によりスイッチ装置が作動して信号が出力される請求項1記載の流水検知装置。

【請求項5】
カバー上に本体内部へ貫通する貫通穴が穿設されており、該貫通穴は弁座または弁座近傍から本体の開口部の近傍へと続く連通穴と接続しており、貫通穴のカバー外部側には圧力スイッチが接続されている請求項1記載の流水検知装置。

【請求項6】
カバー上には本体内部と連通し、圧力計が接続可能な穴が穿設されている請求項1から請求項5の何れか1項記載の流水検知装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−217777(P2012−217777A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89663(P2011−89663)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000199186)千住スプリンクラー株式会社 (87)
【Fターム(参考)】