説明

浴室サッシ

【課題】下枠と浴室床との間を水密できると共に、左右縦枠下部の水密性を向上できる見栄えの良い浴室サッシとする。
【解決手段】上枠3と下枠4と左右の縦枠5で方形状の枠1内に障子2を開閉自在に取付け、前記下枠4は下枠本体10の浴室側面10aに延出部11を設けたものとし、その延出部11と浴室床6との間に定形水密材12を設けて水密すると共に、その延出部11を縦枠5の浴室側面5aよりも突出して縦枠5、下枠本体10の見込み寸法を小さくして全体の見込み寸法を小さくできるようにし、前記縦枠5の浴室側面5aに取付けた端部部品20で延出部11の端面11aを覆って見栄えを良くすると共に、端部部品20を定形水密材12の長手方向端部寄りに接して左右縦枠下部の水密性を向上した浴室サッシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の出入口部に取付ける浴室サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された浴室サッシが知られている。
この浴室サッシは、上枠と下枠と左右の縦枠を連結した枠に障子を開閉自在に取付けしたもので、その枠を躯体の開口部(浴室の出入口用開口部)に取付けている。
このような浴室サッシにおいて、浴室の浴室床板と下枠との間を水密することが重要で、前述の特許文献1に開示された浴室サッシにおいては、下枠本体の浴室側面に延設部を一体的に設けて下枠とし、この延設部の端部を浴室床板に止水部材を介して接することで、浴室床板と下枠との間を水密している。
【0003】
【特許文献1】特開2000−8716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した浴室サッシにおいて、枠の見込み寸法(つまり、浴室サッシの見込み寸法)を小さくする等のために、下枠の延設部を縦枠の浴室面よりも突出させることが考えられるが、下枠の延設部が縦枠の浴室側面よりも突出していると、左右縦枠下部の水密性が十分でない。
【0005】
本発明の目的は、下枠と浴室床との間を水密できると共に、左右の縦枠の下部の水密性を向上できる見栄えの良い浴室サッシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上枠と下枠と左右の縦枠とからなる枠に障子を開閉自在に取付けた浴室サッシであって、前記下枠は、下枠本体の浴室側面に、前記縦枠の浴室側面よりも突出した延出部を備え、前記延出部と浴室床との間が定形水密材で水密され、前記左右の縦枠の浴室側面と前記延出部の長手方向の端面とに亘って端部部品がそれぞれ取付けられ、この各端部部品は、前記定形水密材の長手方向端部寄りにそれぞれ接していることを特徴とする浴室サッシである。
この浴室サッシであれば、端部部品は定形水密材の端部寄りに接しているから、この端部部品によって左右縦枠下部の水密性を向上できる。
【0007】
本発明においては、端部部品は、延出部の長手方向の端面を覆う覆い部を有するものにできる。
【0008】
このようにすれば、端部部品の覆い部で延出部の端面を確実に覆うことで、見栄えをより一層良いものにできる。
【0009】
本発明においては、下枠本体の浴室側面と縦枠の浴室側面が面一に連続し、定形水密材は、前記下枠本体の浴室側面と縦枠の浴室側面とに亘って接し、かつ浴室床に接し、端部部品は、前記定形水密材の縦枠の浴室側面に接した部分を浴室床に押し付けるようにできる。
【0010】
このようにすれば、下枠本体、縦枠の浴室側面と浴室床との間を定形水密材で水密できる。
【0011】
本発明においては、下枠本体の浴室側面に一体的に設けた延出片と、この延出片に取付けたカバーで延出部とし、このカバーは下枠本体の上面と連続し、前記延出片が定形水密材に接するようにできる。
【0012】
このようにすれば、下枠本体の上面とカバーが連結するので、下枠の見栄えが良い。
【0013】
本発明においては、下枠本体の長手方向の端面と縦枠の内側面とが止水シーラーを介在して接し、かつ延出部の長手方向の端面と端部部品が延出部用止水シーラーを介在して接することができる。
【0014】
このようにすれば、下枠本体と縦枠との間及び延出部と端部部品との間から浴室内の湯水が脱衣室側に浸入することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、下枠本体に設けた延出部と浴室床との間を定形水密材で水密したことによって、下枠と浴室床との間を水密できる。
また、前記延出部は縦枠の浴室側面よりも突出しているので、縦枠、下枠本体の見込み寸法を小さくして枠の見込み寸法を小さくできるから、浴室サッシの見込み寸法を小さくできる。
また、延出部の端面を端部部品で覆うことができるから、見栄えが良い。
また、前記端部部品は定形水密材の端部寄りに接しているから、この端部部品によって枠の左右縦枠下部の水密性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1と図2に示すように、枠1に障子2を開閉自在に取付けて浴室サッシとしてある。
前記枠1は上枠3、下枠4、左右の縦枠5を連結した方形状で、この枠1が躯体の開口部(浴室の出入口用開口部)に取付けられ、下枠4が浴室床6と脱衣室床7との間に位置する。
【0017】
前記下枠4は、下枠本体10の浴室側面10aに延出部11を浴室側に向けて設けたもので、その延出部11は浴室床6よりも浴室側に張り出し、その延出部11と浴室床6との間に定形水密材12を設けて下枠4と浴室床6との間を水密している。
【0018】
前記延出部11は下枠本体10の浴室側面10a及び縦枠5の浴室側面5aよりも浴室側に向けて突出しているので、縦枠5の見込み寸法(浴室・脱衣室側方向の寸法)は延出部11の突出寸法に関係なく小さくできる。上枠3も同様である。
したがって、枠1の見込み寸法を小さくして浴室サッシの見込み寸法を小さくできる。
【0019】
好ましくは、縦枠5の浴室側面5aと下枠本体10の浴室側面10aを面一として枠1の見込み寸法をより小さくする。
より好ましくは、縦枠5、下枠本体10、上枠3の浴室側面5a,10a,3aを面一とし、枠の浴室側の面を連続した平坦な面とすることで、見栄えを良くする。
【0020】
前記左右の縦枠5の浴室側面5aと延出部11の長手方向の端面11aとに亘って端部部品20を取付け、この端部部品20で延出部11の長手方向の端面11aを覆って見栄えを良くしてある。
この端部部品20は、前述した定形水密材12の長手方向の端部寄りに接して浴室床6と枠1の左右縦枠下部との間の水密性を向上している。
【0021】
次に、各部の具体形状の一例を説明する。
前記延出部11は、図3に示すように下枠本体10の浴室側面10aに一体的に設けた延出片13と、この延出片13の上面と下枠本体10の浴室側面10aとに亘って取付けたカバー14を有し、延出部11は中空形状である。
例えば、前記カバー14は延出片13の上面と下枠本体10の浴室側面10aとに係合して取付けてある。
具体的には、延出片13に鉤片15を設けて第1係止部15aとし、下枠本体10の浴室側面10aに係止受片16を設けて第2係止部16aとする。カバー14の浴室側に第1係合片17を設けて第1係合部17aとし、下枠本体側に第2係合片18を設けて第2係合部18aとする。
前記第1・第2係合部17a,18aを第1・第2係止部15a,16aにそれぞれ係合してカバー14を取付ける。
前記カバー14の上面14aは下枠本体10の上面10bと連続する。
前記延出部11は前述の端部部品20を取付けるための係止部19を有する。例えば、前記延出片11と鉤片15とカバー14と第2係合片18で係止部19を形成し、この係止部19は長手方向の端面に開口している。
【0022】
前記定形水密材12は、下枠本体10の浴室側面10a、延出部11(延出片13)の下面と浴室床6との間に圧着する。
例えば、定形水密材12は縦部12aと横部12bで断面鉤形状で、その縦部12aが下枠本体10の浴室側面10aと浴室床6との間に位置し、その両者に圧着し、横部12bが延出部(延出片13)の下面と浴室床6との間に位置し、その両者に圧着する。
【0023】
図4〜図6に示すように、前記定形水密材12は下枠4よりも長尺で、その長手方向両端面12cは下枠4の長手方向端面(延出部11の長手方向の端面11a)よりも突出して縦枠5側に張り出し、定形水密材12の長手方向の端部寄りが縦枠5の浴室側面5aに接すると共に、浴室床6に接する。
この定形水密材12の長手方向両端部における脱衣室側部には立上り水密材12dが一体的に設けてある。この立上り水密材12dは縦枠5の下部から上方に向けて位置して縦枠5の脱衣側面に接している。例えば、図6に示すように縦枠5の浴室側面5aを形成する部分の下端寄りを切欠きし、その切欠き部を通して縦枠5の脱衣室側面に接する。
【0024】
前記下枠本体10の長手方向の端面10cと縦枠5の面内方向の内側面5bの下部とを止水シーラー30を介在して突き当て、縦枠5の孔31からビス32を下枠本体10のビスホール33に螺合して連結される。
そして、下枠本体10の浴室側面10aと縦枠5の浴室側面5aとが面一に連続する。
前記止水シーラー30の浴室側には延出部用止水シーラー34が一体的に設けてあり、この延出部用止水シーラー34で延出部11の端面11aと端部部品20との間を水密する。
【0025】
前記端部部品20は、裏面20aと一側面20bと他側面20cと上面20dと下面20eと表面20fで囲まれたブロック形状である。その一側面20bの上部寄りは他側面20cと平行に対して斜めで、下部寄りは他側面20cと平行となっていると共に、上面20dと表面20fは円弧形状に湾曲し、この端部部品20の外観形状は上下方向に円弧形状で上部から下部に向けて順次幅狭くなり、見栄えが良い。
なお、一側面20bは上下全長が他側面20cと平行でも良い。つまり、端部部品20の一側面20bは延出部11の端面11aと相対向し、かつその端面11aに接して覆う覆い部を有するものとすれば良い。
【0026】
前記端部部品20は、裏面20aが縦枠5の浴室側面5aに接すると共に、一側面20bの下部(前述の覆い部)が前記延出部11の端面11aに接する(この実施の形態では前述の延出部用止水シーラー34を介在して接する)ように取付けられる。
例えば、端部部品20の裏面20aに裏面突起21、一側面20bの下部に側面突起22がそれぞれ一体的に備え、その裏面突起21が縦枠5の浴室側面5aに開口した取付用孔23に嵌合して縦枠5の浴室側面5aに接して取付けられる。
そして、縦枠5と下枠4を連結する際に、側面突起22が延出部11の係止部19に嵌まり合うように係合して延出部11の端面11aに接して取付けられる。
【0027】
前述のようにして枠1を組み立てた後に、前述の定形水密材12を下枠本体10の浴室側面10aと延出部11の下面とに亘って接着剤などで貼着して取付け、その立上り水密材12dを縦枠5の脱衣室側面に接して取付ける。
このようにして定形水密材12、端部部品20を取付けることで、前記端部部品20の下面20cが図4に示すように、定形水密材12の端部寄り上面(横部12bの上面)に圧接する。
前述の枠1を躯体の開口部に取付けることで、定形水密材20が浴室床6に押しつけられる。
【0028】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
前記端部部品20は係合による取付けに限ることはなく、図示は省略するが、ビス締めによる取付け、接着剤などによる貼着での取付けでも良い。
【0029】
前記定形水密材12は図7に示すように、縦枠5の浴室側面5aにおける内側面5bと反対側の面5cまで張り出しても良いし、定形水密材12は矩形断面形状としても良い。この場合には、縦枠5の浴室側面5aを下端部まで連続させ、その全面に定形水密材12を接する。なお、定形水密材12は立上り水密材15dを備えていない。
また、止水シーラー30と延出部用止水シーラー34を図7に示すように別々としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態を示す浴室サッシの縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す浴室サッシの横断面図である。
【図3】下枠部分の拡大縦断面図である。
【図4】一方の縦枠と下枠の連結部の浴室側正面図である。
【図5】一方の縦枠と下枠の連結部の斜視図である。
【図6】下枠と縦枠と端部部品の分解斜視図である。
【図7】第2の実施の形態を示す一方の縦枠と下枠の連結部の斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1…枠、2…障子、3…上枠、4…下枠、5…縦枠、5a…浴室側面、6…浴室床、10…下枠本体、10a…浴室側面、11…延出部、11a…端面、12…定形水密材、13…延出片、14…カバー、20…端部部品、30…止水シーラー、34…延出部用止水シーラー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と下枠と左右の縦枠とからなる枠に障子を開閉自在に取付けた浴室サッシであって、
前記下枠は、下枠本体の浴室側面に、前記縦枠の浴室側面よりも突出した延出部を備え、
前記延出部と浴室床との間が定形水密材で水密され、
前記左右の縦枠の浴室側面と前記延出部の長手方向の端面とに亘って端部部品がそれぞれ取付けられ、
この各端部部品は、前記定形水密材の長手方向端部寄りにそれぞれ接していることを特徴とする浴室サッシ。
【請求項2】
端部部品は、延出部の長手方向の端面を覆う覆い部を有する請求項1記載の浴室サッシ。
【請求項3】
下枠本体の浴室側面と縦枠の浴室側面が面一に連続し、
定形水密材は、前記下枠本体の浴室側面と縦枠の浴室側面とに亘って接し、かつ浴室床に接し、
端部部品は、前記定形水密材の縦枠の浴室側面に接した部分を浴室床に押し付けるようにした請求項1又は2記載の浴室サッシ。
【請求項4】
下枠本体の浴室側面に一体的に設けた延出片と、この延出片に取付けたカバーで延出部とし、
このカバーは下枠本体の上面と連続し、前記延出片が定形水密材に接するようにした請求項1又は2又は3記載の浴室サッシ。
【請求項5】
下枠本体の長手方向の端面と縦枠の内側面とが止水シーラーを介在して接し、かつ延出部の長手方向の端面と端部部品が延出部用止水シーラーを介在して接している請求項1〜4いずれか一項記載の浴室サッシ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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