説明

浴室警告発生装置

【課題】浴室1内に入浴者がいる場合に、人体センサ2で入浴者の移動状態を監視しておき、所定時間連続して人体センサ2が身体の移動を検知しない場合には居間などに警告を発する装置5が設けられている。一方、浴室テレビ4を鑑賞している状態ではあまり身体を動かさないので、入浴者に特に異常が生じていない場合であっても警告が発せられるという不具合が生じる。但し、浴室テレビ4が作動している場合に警告の発生を禁止すると、事故発生時に不都合が生じる。
【解決手段】浴室テレビ4が作動している場合には、作動していない場合よりも警告が発せられるまでの時間を長く設定することにより、無駄な警告発生を抑制すると共に、事故発生の場合に不都合が生じないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴中に入浴者が所定時間移動しない場合に、事故等の発生が考えられるため、警告を発する浴室警告発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入浴は人体に負担をかける場合があり、浴室内で入浴中に意識を失うなどの事故が発生するおそれがある。このような事故が発生すると、早期に発見し適切な手当をする必要がある。そのため、浴室内の人体の移動を検知することのできるセンサを設けて、人体が所定時間移動しない場合に、ブザーなどの警告を発する装置が多数提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、特許文献1により開示されたものは人体から発せられる赤外線を検知するものであるが、超音波を発し、人体で反射して帰ってくる超音波のドップラー効果から人体の移動を検知するセンサや、人体の移動によって生じる音を検知するセンサ等、種々の形式のセンサが用いられている。
【0003】
一方、近年浴室内でテレビを鑑賞するため、浴室の壁面に浴室テレビが設置される場合が増加している。また、浴室の天井などにオーディオスピーカを設置し、入浴中に高音質の音楽を鑑賞する場合が増加している。このようなテレビ装置やオーディオ装置といった視聴覚装置を作動していると、通常の場合より人体の移動しない時間が長くなる。そこで、浴室テレビの作動時間が所定の時間を過ぎると警告を発する装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、浴室内に人体センサを設けて、所定時間経過前に入浴者が浴室から出ると自動的に浴室テレビの電源をオフにする装置が提案されており(例えば、特許文献3参照)、このものでは人体センサによって検知される人体が所定時間動かない場合に警告を発する機能が備えられている。
【特許文献1】特開2005−165993号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2003−106650号公報(請求項1、第1図)
【特許文献3】特開2004−24590号公報(段落0015)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されているような、人体が所定時間動かない場合に警告を発する装置を設置した浴室では、入浴中に浴室テレビやオーディオ装置といった視聴覚装置を作動させてテレビ画像や音楽を鑑賞する際に、頻繁に身体を動かさないと、所定時間毎に警告が発せられるという不具合が生じる。
【0006】
また、特許文献2や特許文献3に記載されたものでは、浴室テレビを作動させてから所定時間が経過すると必ず警告が発せられるので、身体に異常が生じていない場合でも警告が発せられるという煩わしさがある。
【0007】
なお、視聴覚装置を作動している間は特許文献1に記載されているような装置の作動を停止させれば、特許文献2や特許文献3に記載の装置で設定されている1時間や2時間といった長時間警告が発せられないので、万一入浴者に異常が生じた場合に、発見が遅れるという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上述の不具合の生じない浴室警告発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による浴室警告発生装置は、浴室内の人体を検知し、人体が所定時間移動しない場合に所定の警告を発する浴室警告発生装置において、浴室内で視聴可能な視聴覚装置の作動状態を検知し、身体が移動しないと判断して警告を発するまでの上記所定時間を、視聴覚装置が作動していない場合より視聴覚装置が作動している場合の方が長くなるように変更することを特徴とする。
【0010】
視聴覚装置を作動させている状態では、テレビ画面を見たり音楽を聴くため、入浴者の身体の移動は、視聴覚装置が作動していない場合より少なくなる。そのため、身体が移動しない時間が長くなる。そこで、身体を頻繁に移動させるであろう視聴覚装置が作動していない場合よりも、視聴覚装置が作動している場合では警告が発せられるまでの所定時間を長くすることとした。
【0011】
なお、浴室内の人体によって操作される時間延長手段を設け、視聴覚装置が作動している状態で上記警告が発せられた場合に、この時間延長手段が操作されないと、入浴者に何らかの事故が生じた可能性があるので、上記警告より緊急度の高い最終警告を発することとした。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、視聴覚装置の作動している場合と作動してない場合とで各々最適な所定時間で警告を発するように構成したので、視聴覚装置を作動させている場合であっても、音楽やテレビ画像の鑑賞の邪魔をすることなく、万一事故が生じたときには早期に入浴者に手当をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照して、1は浴室であり、入浴者がこの浴室1内に出入りするためのドア11が設けられている。また、浴室1の天井には赤外線式の人体センサ2が取り付けられている。この人体センサ2は浴室内の人体の有無の他、人体が浴室1内で移動したか否かを検知することができる。
【0014】
上記ドア11にはドアスイッチ3が取り付けられている。このドアスイッチ3は、本実施の形態では、ドア11が閉められるとオンになるように設定されている。
【0015】
4は浴室1の壁面に取り付けられた浴室テレビである。この浴室テレビ4はチューナ部41が別体に設けられ、チューナ部41は浴室1の天井裏に収納されている。
【0016】
5は警告発生装置の本体であり、所定の異常状態が発生すると浴室テレビ4のスピーカから警告音声を発し、あるいは図外の居間などに警告を発するものである。なお、浴室1の天井にスピーカを設け、そのスピーカから警告を発するようにしてもよい。
【0017】
図2を参照して、ドア11が閉められ(S1)、かつ人体センサ2が浴室1内に入浴者が存在することを検知すると(S2)、本体5内のタイマーTは計時をスタートする(S3)。スタート直後にタイマTを一旦リセットしたあと(S4)、浴室テレビ4が作動しているかを判断する(S5)。
【0018】
浴室テレビ4が作動している場合には入浴者はテレビ画像を鑑賞しているものと考えられる。そのため、鑑賞していない場合より身体の移動周期が長くなると思われる。そこで、入浴者の人体が移動するかを人体センサ2で監視しながら、連続してT1の間、人体が移動しなければ第1警告を発するようにした(S7,S8)。ただし、経過時間がT1に達するまでに入浴者が移動すれば、タイマTをリセットしてT=0から改めて計時することとした(S6,S4)。また、上記第1警告とは、入浴者に対して身体の移動を促すもので、例えば「大丈夫ですか?立ち上がって少し移動してください」というメッセージを浴室1内に発する。
【0019】
これに対して、浴室テレビ4が作動していない状態では、比較的短時間で身体を移動させると考えられるので、上記T1より短いT2の間、身体が移動しないかを監視し(S5,S13)、T2の間に身体センサ2が身体移動を検知しなければ上記の第1警告を発するようにした(S14)。なお、T2の間に身体の移動が検知できた場合にはタイマTをリセットし(S12)、第1警告を聞いて身体を移動させた場合にも同様にもタイマTをリセットするようにした(S15)。
【0020】
ただし、浴室テレビ4が作動している状態、すなわちテレビ画面を鑑賞している場合には、S8で第1警告を発したあと、続けて浴室テレビ4に設けた時間延長スイッチを押すように促すようにした。そして、時間延長スイッチを押すように促しても時間延長スイッチが押されない場合や、S14の第1警告のあとに身体移動が検知できない場合には、第2警告を発するようにした(S16)。この第2警告とは、浴室1内にメッセージを発すると共に、浴室1以外の居間などに、例えば「浴室へ行って入浴者をチェックしてください」というメッセージを発するようにした。
【0021】
なお、時間延長スイッチが押されると、T3の間時間が延長され(S10,S11)、途中で身体の移動がされても、T3経過後に第1警告を発して、再度時間延長がされない場合には第2警告を発するようにした。
【0022】
ところで、上記フロー中に入浴者が浴室1から退出すると、ドアスイッチ3が一旦オフになるので、フローを中断しS1に戻るようにした。また、図示しないが浴室1内に緊急スイッチを設け、緊急スイッチが押されるとフローに関係なく直ちにS16に移動して第2警告が発せられるようにした。なお、その場合であってもドア11が開けられるとフローがリセットされて第2警告が停止するようにしてもよい。
【0023】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】警告を発するステップを示すフロー図
【符号の説明】
【0025】
1 浴室
2 人体センサ
3 ドアスイッチ
4 浴室テレビ
5 警告発生装置の本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内の人体を検知し、人体が所定時間移動しない場合に所定の警告を発する浴室警告発生装置において、浴室内で視聴可能な視聴覚装置の作動状態を検知し、身体が移動しないと判断して警告を発するまでの上記所定時間を、視聴覚装置が作動していない場合より視聴覚装置が作動している場合の方が長くなるように変更することを特徴とする浴室警告発生装置。
【請求項2】
浴室内の人体によって操作される時間延長手段を設け、視聴覚装置が作動している状態で上記警告が発せられた場合に、この時間延長手段が操作されないと上記警告より緊急度の高い最終警告を発することを特徴とする請求項1に記載の浴室警告発生装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−54501(P2007−54501A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245994(P2005−245994)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】