説明

浴槽加熱装置

【課題】浴槽設置時に浴槽底面部を加熱するように構成したり、浴槽設置時は底面部を加熱できないが、将来底面部の加熱のための増設を可能としたりできる。
【解決手段】底面部1から下方に向けて脚部2を突出する非金属製の浴槽3と、この浴槽3の脚部2が載置される架台4とよりなる。浴槽3の底面部1に金属材5を埋設する。浴槽3の底面部1の金属材5を埋設した部分の下方位置に、浴槽3とは別体の電磁誘導加熱装置6を配置してこの電磁誘導加熱装置6を架台4に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、浴槽加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、非金属製の浴槽の底面部に金属材を埋設すると共に、底面部の下面側の金属材に対応する部位に電磁誘導加熱装置を設け、電磁誘導加熱装置に通電することで、金属材を加熱するようにした浴槽が特許文献1により知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭55−153533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に示された従来例は、金属材及び電磁誘導加熱装置をいずれも浴槽の底面部に一体に設けたものである。そして、従来例は、浴槽の底面部を加熱したいという顧客の要望に対しては、底面部に金属材及び電磁誘導加熱装置を一体に設けた高価な浴槽を新築時に設置することで対応できる。しかし、浴槽設置の初期においては、底面部の加熱が必要ではないが、将来、底面部の加熱が必要になった際に、簡単に増設できるようにしたいという顧客の要望には対応できなかった。
【0005】
本願発明は上記の従来例の問題点に鑑みて発明したものであって、浴槽設置時に浴槽底面部を加熱するように構成したり、浴槽設置時は底面部を加熱できないが、将来底面部の加熱のための増設を可能としたりできる浴槽加熱装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の浴槽加熱装置は、底面部から下方に向けて脚部を突出する非金属製の浴槽と、この浴槽の前記脚部が載置される架台とよりなり、前記浴槽の前記底面部に金属材を埋設し、前記浴槽の底面部の金属材を埋設した部分の下方位置に、前記浴槽とは別体の電磁誘導加熱装置を配置してこの電磁誘導加熱装置を前記架台に設置して成ることを特徴とする。
【0007】
また、前記浴槽の前記底面部の入浴者が腰を下ろす部分に前記金属材を埋設して成ることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、浴槽の底面部に金属材を埋設し、この金属材を誘導加熱する電磁誘導加熱装置が浴槽と別体であるため、浴槽自体のコストが高くならない。したがって、浴槽を設置する際、電磁誘導加熱装置を架台に設置するか、しかいかを選択することで、浴槽設置時に底面部を加熱するように構成するか、あるいは、加熱しないように構成するかを選択できる。そして、浴槽設置時に電磁誘導加熱装置を架台に設置しない場合は、底面部に金属材を埋設した浴槽を架台に設置するだけなのでコストが安くなる。また、将来底面部を加熱した場合は、浴槽とは別体の電磁誘導加熱装置を、金属材の下方の架台に設置することで、簡単に底面部を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】浴槽加熱装置の断面図である。
【図2】同上の浴槽の平面図である。
【図3】同上の電磁誘導加熱装置の斜視図である。
【図4】同上の電磁誘導加熱装置の他の実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
本願発明の浴槽3は、ハーフタイプの浴室7に設置される。ハーフタイプの浴室7は図1に示すように、建物のスラブ8、床、土台、大引等の支持基材上に設置又は掛け渡される架台4上に洗い場用床パン9、浴槽3を設置すると共に、洗い場用床パン9の一端部と浴槽3のフランジ部10との間にエプロン11を設けたものである。したがって、このハーフタイプの浴室7に設置する浴槽3の底面部1の下方には浴槽載置用床パンが存在し無いので、底面部1の下方に浴槽載置用床パンがあるタイプのものに比べると底面部1が冷え易い。図1において符号15は浴室7の壁パネルを示している。
【0012】
そこで、本願発明は、浴槽3の底面部1に金属材5を埋設し、底面部1の金属材5を埋設した部分の下方位置に、浴槽3とは別体の電磁誘導加熱装置6を配置して架台4に設置することで、底面部1を加熱可能としている。
【0013】
浴槽3は、合成樹脂のような非金属製であり、底面部1の下面に下方に向けて脚部2を突出し、また、図2に示すように、底面部1の入浴者が腰を下ろす部分(底面部1のお尻が接する部分)に金属板のような金属材5を埋設している。一般に入浴者は底面部1の排水孔16を設けた側に足を位置させ、排水孔16から離れた側に腰を下ろす。したがって、
底面部1の入浴者が腰を下ろす部分は、浴槽3を平面視で長手方向に二分して排水孔16が存在しない側の片側半分を入浴者が腰を下ろす部分と見なしてこの部分に図2に示すように金属材5を埋設する。なお、本発明において金属材5は底面部1に完全に埋設されるもののみに限定されず、金属材5の下面が底面部1の下面側において露出するように埋設するものであってもよい。
【0014】
電磁誘導加熱装置6は浴槽3とは別体に形成してあり、電磁誘導コイル12、高周波発生回路13、温度検知装置14を備えている。図3、図4にはそれぞれ電磁誘導加熱装置6の一例及び他例を示している。なお、電磁誘導加熱装置6には電源コードを有しているが、添付図面においては電源コードの図示を省略している。
【0015】
電磁誘導加熱装置6の高さは浴槽3の脚部2の下方への突出長さと同一又は短く設定してある。
【0016】
架台4には浴槽3の脚部2を設置するための脚部設置部4aと、電磁誘導加熱装置6を設置するための加熱装置設置部4bを設けている。
【0017】
そして、浴槽3は、脚部2を架台4の脚部設置部4aに載置することで架台4に設置される。
【0018】
加熱装置設置部4bは浴槽3を架台4に設置した状態で、底面部1に埋設した金属材5の下方の架台4部分に設けられ、この加熱装置設置部4bに電磁誘導加熱装置6が載置自在となっている。
【0019】
浴槽3を架台4に設置する時に、同時に電磁誘導加熱装置6を架台4に設置すると、浴槽3の設置初期の段階から浴槽3の底面部1を加熱できる構造とすることができる。
【0020】
底面部1を加熱するには、高周波発生回路13により電磁誘導コイル12に高周波の電流を流すことで、高周波誘導加熱により金属材5に渦電流が発生し、抵抗により金属材5が発熱する。温度検知装置14は金属材5が過熱しないように高周波発生回路13により電磁誘導コイル12への通電制御を行う。
【0021】
したがって、お湯を溜めた直後浴槽3の底面部1はあまり冷たさを感じないが、冬季など時間が経過するにつれ底面部1が冷えていきお尻の冷たさが感じる場合は、金属材5を発熱させてお尻が接触する部分を加熱して冷たさを感じないようにする。
【0022】
ここで、浴槽3を架台4に設置する時、電磁誘導加熱装置6を設置し、浴槽3の設置初期の段階から浴槽3の底面部1を加熱できるようにしてもよいが、浴槽3を架台4に設置する際は電磁誘導加熱装置6を設置せず、後で必要に応じ設置するようにしてもよい。
【0023】
浴槽3の設置の初期の段階で底面部1の加熱を必要としない場合は、底面部1に金属材5を埋設した浴槽3を架台4に設置するのみで、電磁誘導加熱装置6は設置しない。したがって、浴槽3の設置段階におけるコストを低減できる。
【0024】
そして、後で底面部1の加熱が必要になった場合は、後付で電磁誘導加熱装置6を架台4の加熱装置設置部4bに設置する。この場合、電磁誘導加熱装置6の高さは浴槽3の脚部2の下方への突出長さと同一又は短く設定しておくことで、エプロン11を取り外し、浴槽3の底面部1と架台4の上面部との間の隙間に電磁誘導加熱装置6を支障なく差し込んで設置できる。また、この後付けの工事は、エプロン11を取り外すだけでよいので、大掛かりな工事や浴槽3の交換が必要でない。
【符号の説明】
【0025】
1 底面部
2 脚部
3 浴槽
4 架台
5 金属材
6 電磁誘導加熱装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部から下方に向けて脚部を突出する非金属製の浴槽と、この浴槽の前記脚部が載置される架台とよりなり、前記浴槽の前記底面部に金属材を埋設し、前記浴槽の底面部の金属材を埋設した部分の下方位置に、前記浴槽とは別体の電磁誘導加熱装置を配置してこの電磁誘導加熱装置を前記架台に設置して成ることを特徴とする浴槽加熱装置。
【請求項2】
前記浴槽の前記底面部の入浴者が腰を下ろす部分に前記金属材を埋設して成ることを特徴とする請求項1記載の浴槽加熱装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−174636(P2011−174636A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37822(P2010−37822)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】