説明

海生生物付着検出装置

【課題】 海水を冷却水として利用する発電所においては、冷却水配管経路内に海生生物、特にフジツボ類が付着すると種々の被害をおよぼすため、海生生物の付着を観察して適切な時期に付着防除対策をする必要があった。
【解決手段】 海水を導入する海水導入配管2と、前記海水導入配管2の流路断面よりも広い流路断面を有し、一側壁を透明の観察窓3にした生物付着室4と、前記生物付着室4に導入された海水を排出する海水排出配管5とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海生生物を付着させ観察する海生生物付着検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海水を冷却水として利用する発電所においては、冷却水配管経路内に海生生物、特にフジツボ類が付着すると、流体抵抗の増加により取水ポンプの負荷の増大、冷却効率の低下、配管の閉塞といった種々の被害をおよぼすため定期的に付着防除対策を施していた。
【0003】
付着防除対策として、利用する海水に薬品を注入するか、スポンジボールなどによる洗浄頻度を増加させるか、定期的に設備を停止してブラシ洗浄するといった作業を行なっている。しかし、これらのメンテナンス作業は多大な費用を要するとともに発電所の設備を運休させることにより稼働率の低下を招いていた。
【0004】
海生生物の中で特に被害を甚大にさせるフジツボ類に絞って、フジツボ類の繁殖時期にのみ付着防止対策を行なうことが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−304796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1のフジツボ類付着防除方法は、予めサンプルから得て記憶しているフジツボ類の固有の体内蛍光分布パターン認識情報と、使用する海水から採取したフジツボ類に光を照射して得られる各個体の蛍光分布パターン情報とを比較し、防除対策の時期を決め、海水への薬品注入や、設備の洗浄を行なうものである。
【0006】
予め体内蛍光分布パターン認識情報を収集するためには、サンプルを多数得る必要がある。サンプルは、使用する海水から得るが、海水の温度や潮流が季節や通年で一定でないため、フジツボ類の成長スピードが異なり、多くのサンプルから認識情報の精度を上げようとすると長期のデータ収集が不可欠となり、時間と手間がかかるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る海生生物付着検出装置は、海水を導入する海水導入配管と、海水導入配管の流路断面よりも広い流路断面を有し、一側壁を透明の観察窓にした生物付着室と、生物付着室の海水を排出する海水排出配管とを備えたものである。
【0008】
生物付着室は、例えば、矩形の箱体で、観察窓は前記箱体の側壁のうち、少なくとも一つの側壁を透明板として構成し、前記海水導入配管を観察室に隣接する側壁に設け、前記海水導入配管を設けた側壁に対向する側壁に前記海水排出配管を設けてもよい。
【0009】
観察窓には付着した海生生物の画像データを取込む画像取込装置を設けてもよい。この場合、画像取込装置をスキャナ装置としてもよい。さらに、画像取込装置で取込んだ画像データを転送する転送装置を設けてもよい。
【発明の効果】
【0010】
この海生生物付着検出装置は、生物付着室の流路断面が海水導入配管の流路断面よりも広く、生物付着室の一側壁を透明の観察窓にしたので、海水導入配管から生物付着室内に流入した海水の流れに、生物付着室内の観察窓上に、海水の流れがよどむ所が形成される。当該流れのよどむ位置は、海生生物を付着しやすく、観察窓上についた海生生物の付着状態を観察することができる。
【0011】
また、生物付着室を、矩形の箱体で、観察窓は前記箱体の側壁のうち、少なくとも一つの側壁を透明板として構成し、前記海水導入配管を観察室に隣接する側壁に設け、前記海水導入配管を設けた側壁に対向する側壁に前記海水排出配管を設けて構成したものは、生物付着室の隅部に海水の流速の遅い淀みを形成することができる。また、海水導入配管と海水排出配管と一直線上に配置した場合は、矩形状となった生物付着室の相対向する海水導入配管と海水排出配管を結ぶ線上を流れる海水の流速が早く、この早い流速から離れた隅部に海水の流速の遅い淀みを形成することができる。これにより、観察窓上において、この淀みが形成された位置に海生生物が付着しやすくなり、観察窓の当該位置で海生生物の付着状態を観察することができる。
【0012】
また、観察窓に付着した海生生物の画像データを取込む画像取込装置を備えたものは、観察窓における海生生物の付着状態を画像データとして取込める。画像データは画像処理技術等で海生生物の付着状態を評価する種々の方法を利用できる。画像取込装置をスキャナ装置とした場合、側壁に沿って画像データを取込むことができるので、平面な画像データが得られ、画像データに歪みを生じることがない。また、画像取込装置で取込んだ画像データを転送する転送装置を備えたものは、離れた場所でも画像データを見ることができるので、離れた場所で画像処理技術等を用いて評価精度を上げることができる。特に、海水のように設置場所が限られている場合、観察のために人を設置場所に常駐または巡回させる必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る海生生物付着検出装置を図に基づいて説明する。
【0014】
この海生生物付着検出装置1は、図1に示すように、海水を導入する海水導入配管2と、海水導入配管2の流路断面よりも広い流路断面を有し、一側壁を透明の観察窓3にした生物付着室4と、生物付着室4に導入された海水を排出する海水排出配管5とで構成されている。
【0015】
この実施形態では、生物付着室4は、図1に示すように、矩形の箱体に形成され、観察窓3は前記箱体の側壁のうち、少なくとも一つの側壁を透明板として構成し、前記海水導入配管2を観察室3に隣接する側壁の縦壁6aに設け、前記海水導入配管2を設けた側壁の縦壁6aに対向する側壁の縦壁6bに前記海水排出配管5を設けている。図1に示すように、生物付着室4は、側壁7と、この側壁7の周縁から同一方向に延びた縦壁6a,6b、横壁6c,6dとから容器6を構成し、容器6の開口部に平面な透明体からなる観察窓3をシール8を介してねじ9により水密に覆って取付けている。シール8は、ゴム製パッキングの両面に防水グリスを塗布している。なお、シール8の形状や材質は、これに限らず水密にシールをできるものであればよい。
【0016】
生物付着室4の縦壁6aの縦方向中央には、海水導入配管2を設けている。また生物付着室4の縦壁6aに対向する縦壁6bの縦方向中央には、海水排出配管5を設けている。そして海水導入配管2と海水排出配管5を一直線上に配置している。また、図示例では海水導入配管2と海水排出配管5の先端が、縦壁6a,6bの生物付着室4の内周面より突出しているが、縦壁6a,6bの生物付着室4の内周面と同一面であってもよい。そして、海水導入配管2の流路断面よりも生物付着室4の流路断面を広くしている。
【0017】
この実施形態では、生物付着室4の内面は、縦210mm×横300mm×厚み40mmの大きさに形成している。そして、生物付着室4の厚みを、海水の圧力を考慮して10mmで形成している。生物付着室4は、透明なアクリル樹脂から形成している。生物付着室4は、ガラスや金属で形成することもできる。ただし、観察窓3だけは生物付着室4内を観察するために全体をガラスや樹脂などの透明体で形成することが望ましい。また、海水導入配管2と海水排出配管5は、この実施形態では、塩化ビニル樹脂(PVC)からなるパイプで形成されており、内径は24.8mmのものを使用した。
【0018】
以下、このような海生生物付着検出装置1を用いて、発電所等の冷却水配管経路の海生生物の付着状態を観察する場合を説明する。
【0019】
生物付着室4へ海水を導入するため、海水導入配管2の一端を、冷却水として取水している配管から分岐している。海水導入配管2は、例えば、取水口の近傍から直接汲み上げてもよい。
【0020】
海水導入配管2から導入された海水は、図2、図3に矢印Aで示すように、海水導入配管2から生物付着室4内を流動して海水排出配管5から排出される。このとき、生物付着室4の流路断面が海水導入配管2の流路断面より広くなっているので、海水の流れは、海水導入配管2から生物付着室4に導入されたときに淀みが生じて生物付着室4内で海水の流れに遅い箇所が生じる。例えば、この実施形態では、図2,図3で示すように、海水導入配管2と海水排出配管5とを一直線上に設けており、海水導入配管2と海水排出配管5を結ぶ直線上に比べて、生物付着室4の隅部では淀みが生じ海水の流速が遅い箇所が形成される。
【0021】
海生生物は、海水の流れが速いと付着せず、海水の流れがある速度よりも遅いと付着する。この海生生物付着装置1では、海水導入配管2と海水排出配管5に海生生物が付着する速度よりも早い海水を流し、配管内壁に海生生物が付着しないようにしている。そして、生物付着室4では、海水導入配管2から生物付着室4に導入されたときに淀みが生じて生物付着室4内で海水の流れに遅い箇所が生じるので、生物付着室4の淀み位置の観察窓3に海生生物が付着する。したがって、観察窓3を外側から直接的に観察することにより、観察窓3上に付着した海生生物の付着状態を確認することができる。
【0022】
このように、生物付着室4に導入された海水の流れに、遅い箇所を作ることにより、この流速の遅い箇所に位置する観察窓3に海生生物を付着させることができるので、観察窓3上に付着した海生生物の付着状態を観察し、冷却水を使用する復水器等の機器に対する付着防除対策の方法や時期を決定でき、機器の不要な停止を少なくして稼働率を上げることができる。また、防除対策に使用する薬品の濃度や薬品の使用時期、期間も観察しながら決定できるので、無駄な防除対策をしないですむ。また、この海生生物の検出装置1は、海生生物の付着防除のために、海水に薬品を注入した際の、薬品の効果を判定する評価装置としても利用することができる。
【0023】
また、生物付着室4を容器6と観察窓3で矩形状の箱体に構成することにより、生物付着室4の隅部に生じる淀みに観察窓3を位置させることができるので、隅部の観察を確実にできる。
【0024】
さらに、海水導入配管2と海水排出配管5とを一直線上に設けることにより、矩形状となった生物付着室4の相対向する海水導入配管2と海水排出配管5を結ぶ線上を流れる海水の流速が早く、この早い流速から離れた隅部に海水の流速の遅い淀みを形成することができる。これにより、観察窓3上において、この淀みが形成された位置に海生生物が付着しやすくなり、観察窓の当該位置で海生生物の付着状態を観察することができる。
【0025】
以上、本発明の一実施形態に係る海生生物付着検出装置を説明したが、本発明に係る海生生物付着検出装置は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができるのは勿論である。
【0026】
例えば、図4に示すように、観察窓3の内周面に、海生生物の付着のきっかけとなる凹凸部10,11を形成することができる。この図示例では、観察窓3の内周面で、海水の流入側と流出側の隅部近傍にかけて凹凸部10,11を形成している。このことにより、海生生物が凹凸部10,11に付着しやすくなる。なお、この凹凸部10,11は微細な凹凸でよく、図4の凹凸は説明がわかりやすいように誇張して示している。
【0027】
また、図5に示すように、生物付着室4の内周面に、フィルム12を貼り付けることができる。フィルム12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を使用し、生物付着室4の内周面に貼り付けている。したがって、防除対策の終了後に生物付着室4の内部を掃除する際に、フィルム12の交換をすることにより清掃の手間を省くことができる。観察窓3の生物付着室4の内周面を覆うフィルム12aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の光透過性のフィルム12aとすることにより、光透過性のフィルム12aに付着した海生生物を観察窓3の外方から観察することができる。図5においては、フィルム12,12aの端部を容器6と観察窓3で挟持して、シール8を省略しているが、水密に維持できない場合は、シール8を使用する。フィルム12の材質は、特に限定するものではなく、例えば、ビニル系樹脂,スチレン系樹脂,ポリエチレン系樹脂,ポリアセタール系樹脂,アクリル系樹脂,ポリアミド系樹脂,セルロース系樹脂,ポリカーボネート系樹脂,ポリエステル系樹脂等から選択してもよい。
【0028】
また、図6に示すように、生物付着室4を、観察窓3を除いて光を遮るようにすることができる。このことにより、生物付着室4内に光が到達しないので、光がなければ生きていけない海生生物の付着を防止でき、光がなくても付着成長するフジツボ類を付着させて観察がしやすくなる。具体的には、図6に示すように、生物付着室4を透明体で形成した場合は、生物付着室4の外周面に遮光材13、14を設けることができる。遮光材13は、容器6の外周面に塗料等を塗布して構成する。また、観察窓3の外周面に遮光材14を着脱自在に取付けるものである。なお、観察窓3に設けた遮光材14を着脱自在にした理由は、観察したいときにだけ遮光材14を外して観察するためである。したがって、遮光材14を取り外さない限り、生物付着室4の内面は暗い状態が維持されるので、フジツボ類のように光がなくても生息できる海生生物のみを観察窓3に付着させることができる。また、容器6を透明体で形成しないで遮光性のある材料で形成している場合は、観察窓3の外周面に遮光材14を着脱自在に取付けることにより前述の遮光材13,14をもうけたことと同じ効果が得られる。また、遮光材13,14は完全に光を遮る必要が無く、光が通過しにくい着色を施したものでもよい。
【0029】
また、例えば、図7,図8に示すように、生物付着室4の観察窓3に、観察窓3の状態を画像データとして取込む画像取込装置15を設けることができる。画像取込装置15は、スキャナ装置やカメラ等の記録に残せるものであればよい。図8に示すように、画像取込装置15は、スキャナ装置15sを用いている。このスキャナ装置15sは、特別な構造でなく、市販されているスキャナ装置を用いても十分に使用することができる。この実施形態では、スキャナ装置15sとして、取込画像データが観察窓3の内周面であることを考慮して、被写界深度の深いCCD方式のフラットベッドタイプを採用した。
【0030】
また、実施形態では、スキャナ装置15sは、図8のように、スキャナ装置15sのプラテンガラス16と生物付着室4の観察窓3とを面接触させて取付けている。このとき観察窓3およびプラテンガラス16がともに平面に形成されているので、周囲に隙間を生じることがない。もし、隙間が生じるようならば周囲をシール材で覆っておくとよい。
【0031】
スキャナ装置15sの内部には、図8に示すように、前記プラテンガラス16に沿って移動し観察窓3に斜めの光を照射する光源17と、観察窓3から乱反射した反射光を集光レンズ18に導く反射ミラー19,20,21と、集光レンズ18よりの反射光を受光するイメージセンサ22とを設けている。イメージセンサ22は、受光した光を電気信号に変換し画像信号として出力するもので、ライン型CCD、ライン形カラーCCD等が用いられている。光源17としては、蛍光灯やハロゲンランプ等が用いられている。また、光源17からイメージセンサ22までの光路長が一定となるように光源17,反射ミラー19,20,21が図8中の矢印B方向に同期して往復移動している。
【0032】
また、この実施形態では、スキャナ装置15sは、パソコン23のUSBやRC232C等の外部機器接続用端子に接続しており、パソコン23により動作を制御されている。パソコン23には、記憶装置24,表示装置25が接続されている。記録装置24には、図7に示すように、パソコン23のハードディスクを使用している。記録装置24としては、ハードディスク以外に、半導体メモリ、CD、DVD、テープ等に記録する場合と、プリンタ等から紙に直接印刷して記録する場合がある。表示装置25には、図7に示すように、パソコン23のモニターを使用している。表示装置25としては、CRTや液晶のモニター以外に、液晶プロジェクタ等を用いることができる。
【0033】
このように画像取込装置15を生物付着室4に取付けることにより、観察窓3の状態を画像データとして取込むことができるので、画像データを都度またはまとめて確認することができ、海生生物の付着状態の確認作業の効率化が図れる。
【0034】
また、画像データは、海生生物の付着状態の評価を画像処理技術等を用いた種々の方法で行なえる。これにより、海生生物の付着状態の評価を客観的に行え、評価精度を向上させることができる。さらに、画像データとして記録しておくことにより必要なときに確認や、報告書等への再利用をすることも可能となる。
【0035】
画像取込装置15として、スキャナ装置15sを使用することにより、観察窓3に沿って平面の画像データを取込むことができるので、カメラで記録する場合に比べて、画像に歪みが発生せず、非常に見やすい画像データを得ることができる。スキャナ装置15sで観察窓3の状態を画像データとして取込むことにより、殻径1mm程度からフジツボ幼生を確認することができた。これにより、フジツボ類等の海生生物を早期に検出することができる。
【0036】
生物付着室4の観察窓3と、スキャナ装置15sのプラテンガラス16とを密着させることにより、生物付着室4の内部に外部の光が入らないようにできるので、生物付着室4の内部に光が届きにくく特定の海生生物のみを観察窓3の生物付着室内周面に付着させることができる。また、画像データとして取込むときの光は、スキャナ装置の光源で十分に取込むことができる。さらに、観察窓3に厚みがあっても、スキャナ装置15sのイメージセンサ22としてCCDセンサを使用することにより、CCDセンサによる被写界深度が深いことを利用して観察窓3に付着した海生生物を確実に画像データとして取込むことができる。出願人の実験によれば、観察窓3の厚みが10mmまでならば、海生生物の状態を画像データとして取込むことができた。
【0037】
なお、画像取込装置15のプラテンガラス16と、生物付着室4の側壁7とを別体で構成したが、プラテンガラス16と側壁7を兼用し一方を省略してもよい。
【0038】
また、例えば、図7に示すように、画像取込装置15で取込んだ画像データを転送する転送装置26を設けることができる。この転送装置26は、LANや電話、無線通信等で行なうことができる。図7に示すように、転送装置26をLANで構成する場合は、生物付着室4と同じ場所に設置されたパソコン23と、遠隔地に設置されたパソコン23aのそれぞれにLANカード27,27aを接続して、ハブ28,28a、ルータ29,29aを介してLANに接続する。転送装置26として有線式のLANケーブルを用いたのでは、生物付着室4の設置場所にLANに接続する他の機器がない場合費用が嵩むので、無線LANで対応することもできる。さらに、携帯電話とパソコン23,23aをそれぞれ通信ケーブルで接続して、携帯電話経由で画像データの転送をすることもできる。近年携帯電話会社が、データ通信手段として定額で安価な環境を整えてきているので、設置場所によっては携帯電話を使用する方が安価にできる。
【0039】
また、遠隔地のパソコン23aにも、記録装置24aや表示装置25aを設けておくことにより、生物付着室4に設けたパソコン23をリモート操作で種々動作させて画像データの記録、表示、分析を行える。
【0040】
このように転送装置26を備えることにより、生物付着室4に取付けた画像取込装置15の画像データを転送できるので、転送先で種々使用をすることができる。例えば、パソコン23により定期的動作させて、観察窓3の状態を画像データとして取込むことができる。この画像データは別途場所に設置されているパソコン23aの記録装置24aに都度転送してもよいし、まとめて一定時間毎に転送してもよい。また、同時に画像を表示装置25aに表示して観察してもよい。画像取込装置15による画像データの取込は、画像取込装置15を接続したパソコン23から行なってもよいし、別途場所に設置されたパソコン23aの設定で、遠隔地からパソコン23を操作して、画像取込装置15を動作させるようにしてもよい。
【0041】
画像取込装置15で取込んだ画像データを別途場所に転送装置26により転送できるので、遠隔地で画像データの確認作業を行なえ、画像確認のための手間が少なくなり、観察のために人を設置場所に常駐または巡回させる必要がない。また、別途場所に設置したコンピュータで画像データの分析ができるので、観察窓3の海生生物の付着状態の分析が行え、人為的に行なう作業に比べて評価精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図は本発明の海生生物の付着装置の斜視図である。
【図2】図1の横断面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】図2相当の凹凸部を備えた横断面図である。
【図5】図2相当のフィルムを備えた横断面図である。
【図6】図2相当の遮光材で生物付着室を覆った状態を示す横断面図である。
【図7】図1の海生生物付着検出装置に画像取込装置を取付けてLANに接続した状態を示す構想図である。
【図8】図7の海生生物付着検出装置と画像取込装置の関係を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 海生生物付着検出装置
2 海水導入配管
3 観察窓
4 生物付着室
6 容器
6a,6b 縦壁
6c,6d 横壁
7 側壁
8 シール
10,11 凹凸部
12,12a フィルム
13,14 遮光材
15 画像取込装置
15s スキャナ装置
16 プラテンガラス
17 光源
18 集光レンズ
19,20,21 反射ミラー
22 イメージセンサ
23,23a パソコン
24 記録装置
24a 記録装置
25 表示装置
25a 表示装置
26 転送装置
27,27a カード
28,28a ハブ
29,29a ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水を導入する海水導入配管と、前記海水導入配管の流路断面よりも広い流路断面を有し、一側壁を透明の観察窓にした生物付着室と、前記生物付着室に導入された海水を排出する海水排出配管とを備えた海生生物付着検出装置。
【請求項2】
前記生物付着室は、矩形の箱体で、観察窓は前記箱体の側壁のうち、少なくとも一つの側壁を透明板として構成し、前記海水導入配管を観察室に隣接する側壁に設け、前記海水導入配管を設けた側壁に対向する側壁に前記海水排出配管を設けたことを特徴とする請求項1に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項3】
前記海水導入配管と海水排出配管を一直線上に設けたことを特徴とする請求項2に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項4】
前記観察窓の内周面に、海生生物の付着のきっかけとなる凹凸を形成したことを特徴とする請求項1に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項5】
前記生物付着室の内周面に、フィルムを貼り付けたことを特徴とする請求項1に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項6】
前記生物付着室は、観察窓を除いて光を遮るように構成したことを特徴とする請求項1に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項7】
前記観察窓に付着した海生生物の画像データを取込む画像取込装置を備えた請求項1に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項8】
前記画像取込装置が、スキャナ装置であることを特徴とする請求項7に記載の海生生物付着検出装置。
【請求項9】
前記画像取込装置で取込んだ画像データを転送する転送装置を備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の海生生物付着検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−37490(P2007−37490A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227027(P2005−227027)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】