説明

海苔養殖方法及び海苔処理方法

【課題】生態系に悪影響を及ぼすことなく、高品質の海苔を効率的に生産することができる海苔養殖方法などを提供する。
【解決手段】海苔網作業船10上に設置された回転ブラシ3と固定ブラシ7との間に海苔網14を挟んだ状態で回転ブラシ3を回転させ、手繰りドラム13で海苔網14を矢線N方向に移動させながら海苔網作業船10を矢線S方向に移動させると、回転ブラシ3及び固定ブラシ7が海苔網14を擦過することにより、海苔網14や海苔の葉体に寄生する有害な病原菌(アカグサレ菌、シログサレ菌、坪状菌など)や雑藻類(アオノリやケイ藻など)が洗浄除去される。また、海苔網14が回転ブラシ3と固定ブラシ7との間を通過する際に、固定ブラシ7の両側にある噴射ノズル5から海苔網14に向かって中性電解水MWが噴出することにより、海苔網14の全面にわたって中性電解水MWが散布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔の養殖方法及び採取後の海苔の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沿岸領域で行われる海苔の養殖においては、アオノリやケイ藻といった海苔以外の他の海藻(いわゆる雑藻類)が海苔の葉体や海苔網に付着または寄生して、養殖中の海苔の生育を阻害したり、海苔の最終製品にまで残留して品質を低下させたりするなどの被害が生じている。このような被害を防止するため、従来、養殖中の海苔網にクエン酸などの酸性剤を散布したり、液状の酸性剤に海苔網を浸漬したりすることが行われている。
【0003】
前述した酸性剤を使用することにより、海苔の葉体や海苔網に寄生する有害な雑藻類を駆除することができるが、酸性剤の酸性度が強過ぎたり、使用量が多過ぎたりすると、海苔網にて生育している海苔の葉体を傷つけたり、死滅させたりすることがある。また、養殖場海域の生態系に悪影響を及ぼす懸念もある。そこで、このような酸性剤の弊害を防止するため、従来の酸性剤の代わりに電解生成酸性水を主成分とする駆除剤を用いた雑藻類駆除技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
一方、養殖場から採取された海苔は大量の海水を用いて撹拌洗浄された後、所定の容器内に海水とともに収容された状態で加工場まで輸送されたり、店舗に陳列されたりしているが、時間の経過に伴って海苔の鮮度は大幅に低下していくので、最終製品である海苔の品質を著しく低下させる要因となっている。
【0005】
このような場合、容器内の海水を頻繁に取り替えることにより、海苔の鮮度低下を抑制することはできるが、大量の海水と多大な労力とを必要とするため、実行が困難である。そこで、摘採した海苔の原藻を電気分解で生成した酸性水を用いて処理することによって原藻の品質を保持する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−155706号公報
【特許文献2】特開平7−155143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された海苔網中の雑藻類駆除技術においては、電解生成酸性水を主成分とする駆除剤が使用されるので、従来のクエン酸などの酸性剤に起因する弊害を低減することはできる。しかしながら、前記駆除剤はpH=3〜6程度の強酸性の薬剤であるため、使い方や使用量などが適切でない場合、海苔の葉体を傷つけたり、生態系に悪影響を及ぼしたりする可能性がある。
【0008】
一方、特許文献2に記載された海苔の加工方法は、摘採した海苔の原藻を電気分解で生成した酸性水を用いて短時間で加工処理することにより、原藻の品質低下を防止するものであるが、前記酸性水はpH=4〜6程度の強酸性の薬剤であるため、加工処理中に海苔の原藻が傷つく可能性を否定できない。
【0009】
本発明が解決しようとする第一の課題は、生態系に悪影響を及ぼすことなく、高品質の海苔を効率的に生産することができる海苔養殖方法を提供することにあり、第二の課題は採取後の海苔の鮮度低下及び品質悪化を防止することのできる海苔処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の海苔養殖方法は、海苔の養殖期間中に、海苔網で生育する海苔に中性電解水を散布する工程若しくは養殖網とともに海苔を中性電解水に浸漬する工程の少なくとも一方を実行することを特徴とする。ここで、中性電解水とは、水素イオン指数pH=6.5〜7.5であって、酸化還元電位が650mV〜800mVの範囲内にある水をいう。
【0011】
中性電解水は、電気分解で生成された酸性水を上回る殺菌力を長期間にわたって発揮するので、養殖網で生育する海苔に中性電解水を散布したり、養殖網とともに海苔を中性電解水に浸漬したりすれば、海苔の葉体や海苔網に寄生する有害な病原菌(アカグサレ菌、シログサレ菌、坪状菌など)や雑藻類(アオノリやケイ藻など)を駆除することができる。また、中性電解水の持つ成長促進作用により海苔の生育状態は良好となり、海苔の最終製品に病原菌や雑藻類が残留することもなくなるため、高品質の海苔を効率的に生産することができる。また、中性電解水は、中性であるため、生態系に悪影響を及ぼすこともない。
【0012】
ここで、前記海苔の種付け期、幼芽期、採苗期、生産期のうちの少なくとも一時期に、前記散布工程若しくは前記浸漬工程の少なくとも一方を実行することが望ましい。このような構成とすれば、海苔の葉体や海苔網に寄生する有害な病原菌や雑藻類を効率良く駆除することができる。
【0013】
また、前記散布工程若しくは前記浸漬工程の少なくとも一方において前記海苔網に対してブラッシングを施すこと望ましい。このような構成とすれば、海苔の葉体や海苔網に寄生する有害な病原菌や雑藻類を速やかに排除することができるだけでなく、海苔網で生育している海苔がブラッシング及び中性電解水の成長促進作用によって活性化され、生育状態や生産量の向上を図ることができる。
【0014】
次に、本発明の海苔処理方法は、養殖場から採取された海苔に中性電解水を添加することを特徴とする。ここで、中性電解水とは、前述と同様、水素イオン指数pH=6.5〜7.5であって、酸化還元電位が650mV〜800mVの範囲内にある水をいう。
【0015】
このような構成とすれば、養殖場から採取された海苔に付着している雑菌類が中性電解水によって駆除されるとともに、海苔の自己消化酵素の働きが抑制されるので、採取後の海苔の鮮度低下及び品質悪化を防止することができる。
【0016】
ここで、養殖場から採取された海苔を撹拌する前に中性電解水を添加することが望ましい。このような構成とすれば、中性電解水を添加した後の撹拌工程において中性電解水が海苔全体に浸透するので、殺菌作用が高まり、採取後の海苔の鮮度低下及び品質悪化の防止に有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、生態系に悪影響を及ぼすことなく、高品質の海苔を効率的に生産することができる海苔養殖方法、並びに、採取後の海苔の鮮度低下及び品質悪化を防止することのできる海苔処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態である海苔養殖方法において使用する海苔網作業船を示す一部省略平面図である。
【図2】図1のA−A線における概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態である海苔養殖方法において使用するその他の海苔網作業船を示す平面図である。
【図4】図3のB−B線における概略断面図である。
【図5】本発明の実施形態である海苔処理方法において使用する撹拌機の垂直断面図である。
【図6】本発明の実施形態である海苔処理方法において使用する保存容器の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1,図2に基づいて、海苔網作業船10を使用した海苔養殖方法について説明する。図1,図2示すように、海苔網作業船10の甲板上に設置された本体フレーム2の上方に、回転駆動部4で駆動される回転ブラシ3が水平に配置され、回転ブラシ3の上方には、固定ブラシ7が、その刷毛7bを回転ブラシ3に向けた状態で、回転ブラシ3と平行に配置されている。回転ブラシ3は、針金を撚り合わせた棒状の芯材3aから放射状に多数の刷毛3bを配列したものであり。固定ブラシ7は棒状の支持部材7aの長手方向に沿って多数の刷毛7bを配列したものである。固定ブラシ7は、回転ブラシ3に向かって弾性的に付勢された状態で上下動可能に保持されている。
【0020】
回転ブラシ3の側方には、海苔網14の引き込み及び繰り出しを行うための手繰りドラム13が、回転ブラシ3と平行に配置されている。回転ブラシ3の上方には、後述する中性電解水を海苔網14に向かって噴出するための噴射ノズル5が、固定ブラシ7を挟んで2本配置されている。海苔網作業船10の一方の舷側には、船体推進手段である複数のサイドスラスタ16が設けられている。
【0021】
回転ブラシ3と固定ブラシ7との間に海苔網14を挟んだ状態で回転ブラシ3を回転させ、手繰りドラム13で海苔網14を矢線N方向に移動させながら海苔網作業船10を矢線S方向に移動させると、回転ブラシ3及び固定ブラシ7が海苔網14を擦過することにより、海苔網14や海苔の葉体に寄生する有害な雑藻類(アオノリやケイ藻など)を洗浄除去することができる。また、回転ブラシ3及び固定ブラシ7の擦過作用により、海苔網14で生育している海苔に適度な刺激が与えられるため、二次芽や三次芽の生育が促進される。
【0022】
また、海苔網14が回転ブラシ3と固定ブラシ7との間を通過する際に、固定ブラシ7の両側にある噴射ノズル5から海苔網14に向かって中性電解水MWが噴出することにより、海苔網14の全面にわたって中性電解水MWが散布される。従って、回転ブラシ3及び固定ブラシ7で除去できずに海苔網14や海苔の葉体に残留する有害な病原菌(アカグサレ菌、シログサレ菌、坪状菌など)や雑藻類(アオノリやケイ藻など)は中性電解水MWの殺菌作用によって駆除される。
【0023】
このように、海苔の養殖期間中に、海苔網作業船10を使用して、海苔網14で生育する海苔に中性電解水MWを散布することにより、海苔の生育状態は良好となり、海苔の最終製品に雑藻類が残留することもなくなるため、高品質の海苔を効率的に生産することができる。また、中性電解水MWは、中性であるため、養殖場近傍の生態系に悪影響を及ぼすこともない。なお、中性電解水MWを散布する時期は、海苔の種付け期、幼芽期、採苗期、生産期のうちの一時期若しくは複数時期とすることが望ましい。
【0024】
中性電解水の製法は限定しないが、本実施形態で使用した中性電解水MWは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムのうちの1以上を合計0.05重量%〜10重量%含む水溶液を、周波数10Hz〜200Hz及び振幅0.01mm〜15mmの条件で振動させながら、電圧1V〜30V及び電流密度5A/dm2〜300A/dm2の直流電流若しくはパルス電流を印加して電気分解することによって生成されたものである。なお、前記水溶液として、養殖場近傍の海水を使用して中性電解水MWを生成することもできる。
【0025】
また、前述した製法で生成した中性電解水MWの水素イオン指数(pH)は6.5〜7.5であって、酸化還元電位は650mV〜800mVの範囲内にあり、OH,D2(重水素),HD(重水素化水素),HDO(重水)のうちの1以上の活性成分と、1mg/L〜7000mg/Lの残留塩素とを含有しているが、これに限定するものではない。
【0026】
次に、図3,図4に基づいて、その他の海苔網作業船20を使用した海苔養殖方法について説明する。海苔網作業船20には、海苔網14で生育する海苔を中性電解水MWに浸漬するための浸漬装置21が搭載されている。浸漬装置21は、処理液槽23と、処理液槽23内を二つに区画する仕切り板24と、4本の巻き取りローラ25a〜25bと、巻き取りローラ5a〜5bの駆動機構6と、を備えている。海苔網作業船20はFRP製の箱状船であり、船外機(図示せず)により自走可能である。浸漬装置21の両側には作業スペースS1,S2が設けられている。
【0027】
処理液槽23内を区画する仕切り板24の一方の側に巻き取りローラ25a,25bが配置され、他方の側に巻き取りローラ25c,25dが配置されている。仕切り板24は、処理液槽23内に収容された中性電解水MWの水面から突出する高さを有し、中性電解水MWが流通可能な複数の貫通孔41が全面的に設けられている。駆動機構6は、原動機61、伝達主軸62、逆転機63及び減速機64a,64bを備え、原動機61から伝達主軸62への回転伝達と、伝達主軸62から逆転機63への回転伝達と、減速機64a,64bから巻き取りローラ25a〜25dへの回転伝達と、はそれぞれプーリ及びVベルトを介して行われる。
【0028】
図4に示すように、巻き取りローラ25a〜25dは、海苔網を巻き取り、巻き戻すための部材であり、4本とも同じ構造、サイズである。巻き取りローラ25a,25cは、海苔網を海中から引き上げて中性電解水MWに浸漬する際に使用され、巻き取りローラ25b,25dは中性電解水MWに浸漬した海苔網を海中へ戻して再張設する際に使用される。なお、海苔網を再張設する前に、巻き取りローラ25a(または25c)に巻き取った海苔網を巻き戻しながら巻き取りローラ25b(または25d)に巻き取ることにより、海苔網の移し替えが行われる。
【0029】
海苔網作業船20は、図3における上下方向を進行方向として、海中から巻き上げた海苔網14を処理液槽23内の中性電解水MW中へ浸漬するとともに、中性電解水MW中に浸漬した後の海苔網14を海中に再張設する。
【0030】
このように、海苔の養殖期間中に、海苔網作業船20を使用して、海苔網14で生育する海苔を海苔網14とともに中性電解水MWに浸漬すれば、中性電解水MWの殺菌力により、海苔の葉体や海苔網14に寄生する有害な病原菌(アカグサレ菌、シログサレ菌、坪状菌など)や雑藻類(アオノリやケイ藻など)を駆除することができる。これにより、海苔網14における海苔の生育状態は良好となり、海苔の最終製品に雑藻類が残留することもなくなるため、高品質の海苔を効率的に生産することができる。また、中性電解水MWは、中性であるため、養殖場近傍の生態系に悪影響を及ぼすこともない。なお、中性電解水MWに海苔網14を浸漬する時期は、海苔の種付け期、幼芽期、採苗期、生産期のうちの一時期若しくは複数時期とすることが望ましい。
【0031】
次に、図5,図6に基づいて本発明の実施形態である海苔処理方法について説明する。図5に示す撹拌機50は、養殖場から摘採した海苔Lを海水SWなどとともに収容可能な撹拌容器51と、撹拌容器51内で上下運動したり遊星運動したりする複数の撹拌部材52と、撹拌部材52を駆動する電動機53などを備えている。
【0032】
撹拌容器51内に収容された海苔L及び海水SWに対して淡水を添加して海水SWを希釈してその比重を下げることにより、海苔Lに付着したり混在しているケイ藻を分離した後、中性電解水MWを撹拌容器51内へ注入して元の比重に戻す。この後、電動機53を作動させて撹拌部材52を上下運動及び遊星運動させることにより、撹拌容器51内の海苔Lの撹拌洗浄を行う。
【0033】
これにより、養殖場から採取された海苔L中に残存している雑菌類が中性電解水MWによって駆除されるとともに、海苔Lの自己消化酵素の働きが抑制されるので、採取後の海苔Lの鮮度低下及び品質悪化を防止することができる。
【0034】
本発明の海苔処理方法においては、養殖場から採取された海苔Lに対して中性電解水MWを添加する時期は特に限定しないので、図6に示すように、海苔Lを運搬したり、保管したりする際に使用される保存容器60内に海水SWとともに収容された海苔Lに対して中性電解水MWを添加してもよい。保存容器60内の海苔Lに中性電解水MWを添加することにより、前述と同様、海苔L中に残存している雑菌類が中性電解水MWによって駆除されるとともに、海苔Lの自己消化酵素の働きが抑制されるので、採取後の海苔Lの鮮度低下及び品質悪化を防止することができる。
【0035】
本発明に係る海苔養殖方法及び海苔処理方法は海苔以外の各種海藻類の養殖技術あるいは処理技術としても有効に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係る海苔養殖方法及び海苔処理方法は、沿岸漁業の一つとして行われる海苔その他の海藻類の養殖業の分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
10,20 海苔網作業船
2 本体フレーム
3 回転ブラシ
3a 芯材
3b,7b 刷毛
4 回転駆動部
5 噴射ノズル
6 駆動機構
7 固定ブラシ
7a 支持部材
13 手繰りドラム
14 海苔網
16 サイドスラスタ
21 浸漬装置
23 処理液槽
24 仕切り板
25a〜25d 巻き取りローラ
41 貫通孔
50 撹拌機
51 撹拌容器
52 撹拌部材
53 電動機
61 原動機
62 伝達主軸
63 逆転機
64a,64b 減速機
L 海苔
MW 中性電解水
SW 海水
T 保存容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔の養殖期間中に、海苔網で生育する海苔に中性電解水を散布する散布工程若しくは海苔網とともに海苔を中性電解水に浸漬する浸漬工程の少なくとも一方を実行することを特徴とする海苔養殖方法。
【請求項2】
前記海苔の種付け期、幼芽期、採苗期、生産期のうちの少なくとも一時期に、前記散布工程若しくは前記浸漬工程の少なくとも一方を実行することを特徴とする請求項1記載の海苔養殖方法。
【請求項3】
前記散布工程若しくは前記浸漬工程の少なくとも一方において前記海苔網に対してブラッシングを施すことを特徴とする請求項1または2記載の海苔養殖方法。
【請求項4】
養殖場から採取された海苔に中性電解水を添加することを特徴とする海苔処理方法。
【請求項5】
養殖場から採取された海苔を撹拌する前に中性電解水を添加することを特徴とする請求項4記載の海苔処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−193812(P2011−193812A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64784(P2010−64784)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000244316)
【出願人】(510078355)
【Fターム(参考)】