説明

液体供給装置

【課題】簡便でコンパクトな構成で、腐食性の高い溶融金属や溶融塩等の高温の液体を、不純物の混入や不純物による閉塞を生じさせることなく、比較的少量の一定流量で安定に供給できる液体供給装置を提供する。
【解決手段】液溜め容器10に収容された溶融液Mを液溜め容器の下方に流出自在な溶融液流出管12の側方周囲を覆いながら溶融液流出管の上端よりも上方に延出すると共に、液溜め容器に収容された溶融液を溶融液流出管の側に導入自在な貫通孔14aを有した異物混入防止管14と、液溜め容器に収容された溶融液内に浸漬するように下降自在な重り30と、が設けられ、貫通孔の上縁の位置が、液溜め容器に収容された溶融液の下限液面よりも低い位置に設定され、液溜め容器に収容された溶融液に対して下降しながら浸漬する重りの単位時間あたりの浸漬体積変化が、一定に設定されると共に、液溜め容器に収容された溶融液が、浸漬体積変化に応じた流量で溶融液流出管から流出自在である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置に関し、特に、高温の溶融金属液や溶融塩液等の液体を一定流量で供給する液体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体を一定流量で供給するには、流量計で検出した液体の流量値を用いて、バルブをフィードバック制御し、流量を一定に保持する機構を採用することが一般的である。ここで、液体が高温であっても腐食性が高くなければ、400℃程度の高温の液体に使用できる耐熱バルブは、高価ではあるが存在している。一方で、400℃程度の高温の液体の流量を測定できる実用的な流量計は存在しないから、かかる高温の液体の流量を制御することには困難が伴う。
【0003】
かかる状況下で、特許文献1は、少なくとも2つの開口部1,4を有し、一方の開口部4から溶融金属を吐出する管を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−254998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示する構成は、溶融金属の吐出状態を制御するためのものではあるが、直径の細い線状溶融液体金属や微細な溶融金属液滴の製造に焦点を当てたものであるため、溶融金属を一定流量で供給する際に必須となる吐出量の安定化に関する技術的な検討が不十分なままである。このため、特許文献1が開示する構成は、溶融金属又は固体金属を追加投入しながら、連続かつ一定流量で、溶融金属を吐出できる構成とはなっておらず、特許文献1は、それを示唆する内容に言及したものでもない。
【0006】
具体的には、特許文献1で開示される構成では、溶融アルミニウムを吐出する実施例において、吐出口の直径は200μmから300μmの範囲にあるが、例えば溶融金属が溶融亜鉛の場合には、この程度の直径の吐出口では、重力によって自然流出させることすらできなかった。
【0007】
次に、吐出口の直径を1mmから2mm程度の範囲に設定して、溶融亜鉛が重力によって自然流出できる大きさにまで拡大してみたところ、溶融亜鉛中にその酸化物等の不純物が含まれていると、吐出口がかかる不純物で閉塞してしまい、溶融亜鉛を一定の流量で連続的に供給することははなはだ困難であった。
【0008】
次に、吐出口の直径を10mmまで拡大することで、溶融亜鉛中に含まれる不純物による吐出口の閉塞は防ぐことが可能となったが、この吐出口の直径では、重力によって溶融亜鉛を吐出口から自然流出させるのみでは溶融亜鉛を少量の一定量で連続的に供給することは不可能であった。
【0009】
そこで、溶融亜鉛中に重りを一定の速度で沈め、溶融亜鉛を直径10mmの管の上端から溢れさせてその内部に流入させ、その下端の吐出口、つまり流出口から流出させる構成を試してみたところ、溶融亜鉛を少量の一定量で連続的に供給することが可能とはなった
。しかし、かかる構成では、溶融亜鉛の表面に浮かぶ不純物は溶融亜鉛と共に流出管へと供給されてしまうので、溶融亜鉛の純度を保つことは困難な傾向があった。
【0010】
一方で、本発明者の検討によれば、400℃を超える高温の液体を一定流量で供給しようとするときに課題となるのは、このような過酷な条件下で使用できる信頼性の高いバルブが安価ではなく、実用的な流量計も存在していないことである。
【0011】
ここで腐食性の高い高温の溶融金属や溶融塩等の液体の流量を制御する機器を新たに作製しようとする場合には、室温付近での腐食性を遙かに超える激しい腐食性や金属間の合金化による浸食があることに配慮して、使用する材料を慎重に決定するか、又は新たに開発しなければならない。しかし、腐食耐性の高い材料は加工性が悪く、バルブを構成する精密部品の製作が極めて難しかったり、又は力学的強度に難点があったりと、全ての条件を満たす適当な材料を得ることははなはだ困難である。
【0012】
つまり、一般的なアプローチに基づく高温対応のバルブや流量計を新たに作製することは、極めて困難な状況にある。また、仮にこれらを作製できたとしても、そのコストは極めて高くなってしまい、産業的に広く利用することができないものである。
【0013】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、バルブや流量計を用いることのない簡便でコンパクトな構成で、腐食性の高い溶融金属や溶融塩等の高温で高純度の液体を、不純物の混入や不純物による閉塞を生じさせることなく、比較的少量の一定流量で安定的に供給できる液体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の目的を達成すべく、本発明は、第1の局面において、溶融液を収容自在な液溜め容器と、前記液溜め容器内に立設されて、前記液溜め容器に収容された前記溶融液を前記液溜め容器の下方に流出自在な溶融液流出管と、前記液溜め容器内に立設されて、前記溶融液流出管の側方周囲を覆いながら前記溶融液流出管の上端よりも上方に延出すると共に、前記液溜め容器に収容された前記溶融液を前記溶融液流出管の側に導入自在な貫通孔を有し、前記貫通孔の上縁の位置は、前記液溜め容器に収容された前記溶融液の下限液面よりも低い位置に設定された異物混入防止管と、前記液溜め容器に収容された前記溶融液内に浸漬するように下降自在な重りと、前記液溜め容器に収容された前記溶融液を加熱して保温自在な加熱器と、を備え、前記液溜め容器に収容された前記溶融液に対して下降しながら浸漬する前記重りの単位時間あたりの浸漬体積変化が、一定に設定されると共に、前記液溜め容器に収容された前記溶融液が、前記浸漬体積変化に応じた流量で前記溶融液流出管から流出自在である液体供給装置である。
【0015】
また本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記異物混入防止管における前記貫通孔の上縁の位置は、前記液溜め容器に収容された前記溶融液に発生する不純物の下端位置よりも低い位置に設定され、前記異物混入防止管における前記貫通孔の下縁の位置は、前記液溜め容器の底壁の上面よりも高い位置に設定されたことを第2の局面とする。
【0016】
また本発明は、かかる第1又は第2の局面に加えて、前記液溜め容器に収容された前記溶融液の液面以上の前記液溜め容器内の領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管を備えることを第3の局面とする。
【0017】
また本発明は、かかる第1から第3のいずれかの局面に加えて、前記溶融液流出管が、アルミナ製又は窒化珪素製であることを第4の局面とする。
【0018】
また本発明は、かかる第1から第4のいずれかの局面に加えて、前記重りが、アルミナ
製又は窒化珪素製であることを第5の局面とする。
【0019】
また本発明は、かかる第1から5のいずれかの局面に加えて、前記液溜め容器が、金属製の外筒の内部に、アルミナ製又は窒化珪素製の内筒を配置して構成される2重構造を有することを第6の局面とする。
【0020】
また本発明は、かかる第1から第6のいずれかの局面に加えて、前記溶融液流出管の上端部が、薄肉部であることを第7の局面とする。
【0021】
また本発明は、かかる第1から第7のいずれかの局面に加えて、前記液溜め容器に収容された前記溶融液は、溶融亜鉛液であることを第8の局面とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の局面における液体供給装置においては、液溜め容器に収容された溶融液を液溜め容器の下方に流出自在な溶融液流出管の側方周囲を覆いながら溶融液流出管の上端よりも上方に延出すると共に、液溜め容器に収容された溶融液を溶融液流出管の側に導入自在な貫通孔を有した異物混入防止管と、液溜め容器に収容された溶融液内に浸漬するように下降自在な重りと、が設けられ、貫通孔の上縁の位置が、液溜め容器に収容された溶融液の下限液面よりも低い位置に設定され、液溜め容器に収容された溶融液に対して下降しながら浸漬する重りの単位時間あたりの浸漬体積変化が、一定に設定されると共に、液溜め容器に収容された溶融液が、浸漬体積変化に応じた流量で溶融液流出管から流出自在であることにより、バルブや流量計を用いることのない簡便でコンパクトな構成で、腐食性の高い溶融金属や溶融塩等の高温で高純度の液体を、不純物の混入や不純物による閉塞を生じさせることなく、比較的少量の一定流量で安定的に溶融液流出管から供給することができる。
【0023】
本発明の第2の局面における液体供給装置においては、異物混入防止管における貫通孔の上縁の位置が、液溜め容器に収容された溶融液に発生する不純物の下端位置よりも低い位置に設定され、かつ、異物混入防止管における貫通孔の下縁の位置が、液溜め容器の底壁の上面よりも高い位置に設定されることにより、液溜め容器に収容された溶融液中の不純物が、溶融液中に沈下したり液溜め容器の上面に堆積したような場合であっても、かかる不純物が異物混入防止管の貫通孔を介して溶融液流出管側に侵入することをより確実に防止することができ、腐食性の高い溶融金属や溶融塩等の高温で高純度の液体を、不純物の混入や不純物による閉塞を生じさせることなく、比較的少量の一定流量で安定的に溶融液流出管から供給することができる。
【0024】
本発明の第3の局面における液体供給装置においては、液溜め容器に収容された溶融液の液面以上の液溜め容器内の領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管を備えることにより、液溜め容器内の溶融液の不要な汚染や化学反応を防止することができる。
【0025】
本発明の第4の局面における液体供給装置においては、溶融液流出管が、アルミナ製又は窒化珪素製であることにより、溶融液が腐食性のある液体であっても、その耐食性を確保することができる。
【0026】
本発明の第5の局面における液体供給装置においては、重りが、アルミナ製又は窒化珪素製であることにより、溶融液が腐食性のある液体であっても、その耐食性を確保することができる。
【0027】
本発明の第6の局面における液体供給装置においては、液溜め容器が、金属製の外筒の内部に、アルミナ製又は窒化珪素製の内筒を配置して構成される2重構造を有することに
より、液溜め容器の強度を確保しながら、溶融液が腐食性のある液体であっても、その耐食性を確保することができる。
【0028】
本発明の第7の局面における液体供給装置においては、溶融液流出管の上端部が、薄肉部であることにより、溶融液流出管の薄肉部以外の部分の強度を確保しつつ、重りを沈めた際に、速やかに溶融金属を溶融液流出管内に導入してその下端部から流出させることができる。
【0029】
本発明の第8の局面における液体供給装置においては、液溜め容器に収容された溶融液が、溶融亜鉛液であることにより、下流のシリコン製造装置等の反応装置に対して、必要な亜鉛を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態における液体供給停止状態の液体供給装置の概略縦断面図である。
【図2】本実施形態における液体供給状態の液体供給装置の概略縦断面図である。
【図3】図3(a)から図3(c)は、各々、本実施形態における液体供給装置の液溜め容器の部分拡大断面図、連絡管の部分拡大断面図及び溶融液流出管の上端部の部分拡大断面図である。
【図4】本実施形態の液体供給装置における実験例の溶融亜鉛液の積算流出量を示す図である。
【図5】本実施形態の液体供給装置における実験例の別条件による溶融亜鉛液の積算流出量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における液体供給装置につき詳細に説明する。なお、図中、x、y、z軸は、3軸直行座標系をなし、z軸に平行な方向が、鉛直方向であり、適宜、z軸の正方向を上方、z軸の負方向を下方、及びx−y平面に平行な方向を側方というものとする。また、各実施形態では、高温に維持され金属に対して腐食性の高い液体として溶融亜鉛液を例に挙げて説明するが、限定的なものではなく、その他の溶融金属液や溶融塩液等も適宜使用可能である。
【0032】
図1は、本実施形態における液体供給停止状態の液体供給装置の概略縦断面図であり、図2は、本実施形態における液体供給状態の液体供給装置の概略縦断面図である。また、図3(a)から図3(c)は、各々、本実施形態における液体供給装置の液溜め容器の部分拡大断面図、連絡管の部分拡大断面図及び溶融液流出管の上端部の部分拡大断面図である。
【0033】
図1及び図2に示すように、本実施形態の液体供給装置1は、その内部に溶融亜鉛液Mを収容自在なように、典型的には鉛直方向に立設されて、その上端及び下端が対応して上壁10a及び底壁10bで閉じられた円筒状の液溜め容器10を備える。ここで、液溜め容器10に収容される溶融亜鉛液Mの液面SPは、x−y平面に平行な面であって、上限液面SUと下限液面SLとで規定される液面範囲内に設定される。
【0034】
液溜め容器10の内部には、典型的には円筒状の溶融亜鉛流出管12が、液溜め容器10の内方に向かって液溜め容器10の底壁10bから立設されて鉛直方向に延在すると共に、典型的には円筒状の異物混入防止管14が、溶融亜鉛流出管12の側方周囲を覆いながら液溜め容器10の内方に向かって液溜め容器10の底壁10bから立設されて鉛直方向に延在する。かかる異物混入防止管14の側壁には、貫通孔14aが設けられる。
【0035】
液溜め容器10の上部には、図示を省略する亜鉛の供給部に連絡して鉛直方向に延在する亜鉛導入管16が、液溜め容器10の上壁10aに装着されて液溜め容器10に連通すると共に、図示を省略するアルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスの供給部に連絡した不活性ガス導入管18が、亜鉛導入管16に連通して装着される。つまり、液溜め容器10の内部には、亜鉛導入管16を介して固体状又は溶融状の亜鉛Mが供給自在であると共に、不活性ガス導入管18を介して不活性ガスGが供給自在である。なお、説明の便宜上、液溜め容器10に供給される亜鉛、液溜め容器10に収容された溶融亜鉛液、及び液溜め容器10から流下する溶融亜鉛液については、全て同じ符号Mを用いる。
【0036】
液溜め容器10の下部には、溶融亜鉛流出管12に連通すると共に、溶融亜鉛流出管12の下端開口12bの周囲を囲みながら鉛直下方に延在する典型的には円筒状の連絡管20が、液溜め容器10の底壁10bに固設される。かかる連絡管20は、接続部材22を介して、亜鉛供給管24に連通され、更に、かかる亜鉛供給管24は、図示は省略するがより下流に設けられたシリコン製造装置等の亜鉛を使用する反応装置に連通される。
【0037】
液溜め容器10の側方周囲には、それを覆いながら鉛直方向に延在する上方加熱炉26が設けられ、また、連絡管20の側方周囲には、それを覆いながら鉛直方向に延在する下方加熱炉28が設けられる。これらの加熱炉26及び28は、液溜め容器10内に溜められる溶融亜鉛液M、及び異物混入防止管14の貫通孔14aを介して溶融亜鉛流出管12内に進入しながらその下端開口12bから連絡管20内を流下する溶融亜鉛液Mを溶融状態に維持できるように、液溜め容器10の内部、連絡管20の内部及びそれらの間を連絡する部分を亜鉛の融点以上の温度に加熱してその温度を維持する。
【0038】
ここで、液溜め容器10の底壁10bの上面を基準として、異物混入防止管14の上端開口14bの高さh1は、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aの高さh2及び溶融亜鉛液Mの上限液面SUの高さhUよりも高く設定されると共に、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aの高さh2は、溶融亜鉛液Mの下限液面SLの高さhLよりも高く設定され、かつ、溶融亜鉛液Mの上限液面SUの高さhUと等しいかより低く設定される。このように、異物混入防止管14の上端開口14bの高さh1を、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aの高さh2及び溶融亜鉛液Mの上限液面SUの高さhUよりも高く設定するのは、液溜め容器10に収容された溶融亜鉛液Mが、異物混入防止管14の上端開口14bを越えてその内部に進入する経路により、溶融亜鉛流出管12の上端開口12a側に到達することを防止するためである。また、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aの高さh2を、溶融亜鉛液Mの下限液面SLの高さhLよりも高く設定し、かつ、溶融亜鉛液Mの上限液面SUの高さhUと等しいかより低く設定するのは、溶融亜鉛液Mの液面SPがその上限液面SUレベルになったときに初めて、かかる溶融亜鉛液Mを、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aを越えさせてその内部に進入させ得るからである。ここで、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aの高さh2を、溶融亜鉛液Mの上限液面SUの高さhUと等しいかより低く設定するといったときの「等しいかより低く」という文言は、溶融亜鉛液Mが溶融亜鉛流出管12の上端開口12aを越えてその内部に進入し得るという意味合いで用いている。
【0039】
併せて、液溜め容器10の底壁10bの上面を基準として、異物混入防止管14の貫通孔14aの上縁の高さh3は、液溜め容器10に収容される溶融亜鉛液Mの下限液面SLの高さhLよりも低く設定される。このように、貫通孔14aの上縁の高さh3を溶融亜鉛液Mの下限液面SLの高さhLよりも低く設定するのは、溶融亜鉛液Mの比重よりも軽い比重を有する不純物、具体的には、大多数は溶融亜鉛液M上に浮び一部は溶融亜鉛液M中にある程度沈んで存在する亜鉛酸化物等の不純物の大部分が、貫通孔14aを介して溶融亜鉛流出管12側に移動することを異物混入防止管14の貫通孔14aよりも上方の側壁で防止して、かかる不純物により溶融亜鉛流出管12が閉塞されることを防止するため
である。
【0040】
ここで、より詳しくは、溶融亜鉛液M中にある程度沈む不純物が存在することを考慮すれば、貫通孔14aの上縁の高さh3は、かかる不純物の比重と溶融亜鉛液Mの比重との差からその不純物の溶融亜鉛液M内への沈下深さを求めて、かかる沈下深さにおける不純物の下端位置よりも貫通孔14aの上縁の位置が下方になるように設定されることがより好ましい。
【0041】
また、貫通孔14aの下縁の高さh4は、液溜め容器10の底壁10bの上面よりも高い位置にあることが好ましい。というのは、何等かの原因で、溶融亜鉛液Mの不純物がより溶融亜鉛液Mの下部に移動して液溜め容器10の底壁10bの上面に堆積したような場合に、かかる不純物が貫通孔14aを介して溶融亜鉛流出管12側に移動することを異物混入防止管14の貫通孔14aよりも下方の側壁で防止できるからである。
【0042】
併せて、液溜め容器10に収容される溶融亜鉛液Mに関しては、その液面SPが速やかに異物混入防止管14の貫通孔14aを超えて上昇して下限液面SLに達するように、亜鉛Mの供給量や液化タイミング等が設定されており、溶融亜鉛液Mが下限液面SLに達するまでに、その不純物が貫通孔14aに侵入することを防止している。なお、貫通孔14aに関しては、その上縁の高さh3や下縁の高さh4が以上のように設定されているものであれば、その数や形状は任意である。
【0043】
つまり、液溜め容器10の内部に亜鉛導入管16を介して供給された亜鉛Mは、液溜め容器10の内部に溶融亜鉛液Mとして溜まりながら、その不純物を伴うことなく、異物混入防止管14の貫通孔14aを介して溶融亜鉛流出管12の上端開口12aを超えてその内部に溶融亜鉛液Mとして到達自在である。そして、溶融亜鉛流出管12の内部を流下する溶融亜鉛液Mは、その下端開口12bから連絡管20、接続部材22及び亜鉛供給管24の各々の内部を順次流下して、より下流に設けられた反応装置に到達自在である。
【0044】
この際、溶融亜鉛流出管12においては、その内部を流下して下端開口12bから流出する溶融亜鉛液Mは、液溜め容器10に収容される溶融亜鉛液Mの液面SPの高さに応じたいわゆる溶融亜鉛流出管12の絞り効果のない流量を呈するように設定される。また、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aに印加される溶融亜鉛液Mの圧力Pを一定に制御しておけば、溶融亜鉛流出管12の内部を流下してその下端開口12bから流出する溶融亜鉛液Mの流量は、所望の一定値に設定自在である。
【0045】
具体的には、液溜め容器10の内部には、典型的には鉛直方向に延在する円柱状の重り30が収容されている。重り30は、液溜め容器10の上壁10aに装着されたシール部材32を介して、液溜め容器10内から液溜め容器10の鉛直方向上方に突出して延在する操作棒34に連結されている。更に、操作棒34には、アクチュエータ36が連絡されており、かかるアクチュエータ36を手動又は自動で操作することにより、操作棒34を鉛直方向に移動自在であり、対応して、重り30を鉛直方向に移動自在である。
【0046】
つまり、このように操作棒34を移動することにより、重り30は、図1に示す溶融亜鉛液Mの上方に露出された状態と、図2に示す溶融亜鉛液Mに浸漬された状態との間で、所定の速度で移動自在である。ここで、溶融亜鉛流出管12の内部を経てその下端開口12bから流下する溶融亜鉛液Mは、溶融亜鉛流出管12の絞り効果のない流量を呈するように設定されているものであるから、重り30が下降して液溜め容器10に溜められる溶融亜鉛液Mに浸漬される浸漬体積と、対応して、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aを超えてその内部に流入し下端開口12bから流下される溶融亜鉛液Mの量と、は、単位時間あたりの変化量で等しく設定されていることになる。つまり、かかる下端開口12bか
ら流下される溶融亜鉛液Mの流量は、かかる重り30の単位時間あたりの浸漬体積変化を一定に設定すれば、一定に設定されることになる。ここで、x−y平面と平行な面で切った重り30の横断面積を一定に設定し、かつ、重り30の下降速度を一定に設定すれば、かかる下端開口12bから流下される溶融亜鉛液Mの流量は、一定に設定されることになる。
【0047】
具体的には、重り30が鉛直方向に延在する円柱体であるとし、かつ溶融亜鉛流出管12がその下端開口12bから流下する溶融亜鉛液Mの流量に絞り効果を有していないとした場合、x−y平面と平行な面で切った重り30の横断面積s及びアクチュエータ36の駆動による重り30の下降速度vを用いれば、溶融亜鉛流出管12の下端開口12bから流下される溶融亜鉛液Mの流量Rは、R=s×vの関係式で表される。なお、シール部材32は、移動する操作棒34によって摺接されながら液溜め容器10の内部をシールする必要があるため、かかるシール部材32としては、ベローズやグランドパッキン等の部材が採用し得る。
【0048】
さて、かかる液体供給装置1は、高温で金属に対して腐食性の高い溶融亜鉛液等の液体を扱うものであるため、その構成要素には高耐熱性及び高耐腐食性が求められる。
【0049】
かかる観点からは、図3(a)に示すように、液溜め容器10は、典型的には、外側壁がステンレス鋼製等の金属製の外筒10Aで、内側壁が溶融亜鉛液M等の高熱で高腐食性の液体に対して高耐性のセラミック製、具体的にはアルミナ製又は窒化珪素製の内筒10Bである二重壁構造を有することが好ましい。同様に、図3(b)に示すように、連絡管20は、外側壁がステンレス鋼製等の金属製の外筒20Aで、内側壁がセラミック製、具体的にはアルミナ製又は窒化珪素製の内筒20Bである二重壁構造を有することが好ましい。
【0050】
溶融亜鉛流出管12は、構造を簡素化するために溶融亜鉛液M等の高熱で高腐食性の液体に対して高耐性のセラミック製、具体的にはアルミナ製又は窒化珪素製の単一管であるが、その機械的な強度を確保するためには、その肉厚を10mm程度確保する必要がある。ここで、溶融亜鉛液Mは、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aを介してその内部に流入されるので、そこでは速やかに溶融亜鉛液Mが流入される必要がある。よって、図3(c)に示すように、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aを形成する上端部の肉厚をより薄く加工して、かかる上端部に対する溶融亜鉛液Mの接触面積を低減すると共に、溶融亜鉛液Mの圧力が溶融亜鉛流出管12の内方に向けて急峻に下がるように圧力勾配を生じさせることが好ましい。なお、図3(c)では、溶融亜鉛流出管12の内側面にテーパ形状を形成しているが、溶融亜鉛流出管12の外側面にテーパ形状を形成してもよく、またこれらの内側面及び外側面の両テーパ形状を組み合わせてもよい。もちろん、かかるテーパ形状に代えて、段差形状等を付与してもよい。
【0051】
その他の構成要素の重り30及び操作棒34も、溶融亜鉛液M等の高熱で高腐食性の液体に対して高耐性のセラミック製、具体的にはアルミナ製又は窒化珪素製であることが好ましい。
【0052】
なお、溶融亜鉛液M等の高熱で高腐食性の液体に対する高耐性の材料であるアルミナや窒化珪素といったセラミックは、更に、加工する工法や使用する際の強度、ひいては重量及びコストといった液体供給装置1を製造して使用していく上での諸観点をも総合的に考慮して、適宜いずれかを選択的に使用可能である。また、液体が溶融亜鉛液Mである場合に、アルミナを選択する際には、溶融亜鉛液Mに対する耐食性をより十分に確保するために、高純度のアルミナ、具体的には純度が99%以上であるアルミナを用いることが望ましい。
【0053】
以上の構成を有する液体供給装置1は、下流に設けられている反応装置に対して、所定流量の溶融亜鉛液Mを安定的に供給するように動作する。以下、かかる液体供給装置1の動作につき、より詳細に説明をする。
【0054】
まず、不活性ガス導入部から不活性ガス導入管18を介して不活性ガスGを亜鉛導入管16に供給すると共に、亜鉛供給部から亜鉛導入管16に固体状又は溶融状の亜鉛Mを供給して、不要な不純物が混入されたり不要な化学反応が起こることを防止しながら、亜鉛Mを液溜め容器10に供給する。
【0055】
このように液溜め容器10内に供給される亜鉛Mは、それが固体状及び溶融状のいずれであっても、液溜め容器10が上方加熱炉26によって亜鉛の融点以上の温度に既に加熱され維持されているため、液溜め容器10内では必ず溶融亜鉛液Mとして溜められる。この際、液溜め容器10内に供給される亜鉛Mの供給量は、液溜め容器10に溜められる溶融亜鉛液Mの液面SPが速やかに異物混入防止管14の貫通孔14aを超えて上昇して下限液面SLに達するように設定されており、溶融亜鉛流出管12の周囲にも貫通孔14aを介して侵入した溶融亜鉛液Mが下限液面SLを呈して満たされる一方で、溶融亜鉛液Mが下限液面SLに達するまでに、溶融亜鉛液M中の不純物が貫通孔14aに侵入することは実質なく、溶融亜鉛液Mが下限液面SLに達したならば、液溜め容器10への亜鉛Mの供給は停止される。但し、不活性ガス導入管18から供給される不活性ガスGは、溶融亜鉛液M内に不純物を極力発生させないように液溜め容器10内に供給された状態で維持され、上方加熱炉26も、液溜め容器10内での溶融亜鉛液Mを液体として維持するために、それを加熱した状態で維持される。
【0056】
次に、アクチュエータ36を動作させて重り30を所定の一定速度で下降して溶融亜鉛液M中に浸漬していく。この際、溶融亜鉛液M中に浸漬していく重り30の浸漬体積の変化分で、溶融亜鉛液Mの液面SPは一定の上昇速度で上昇していき、引き続き、重り30を一定速度で下降して溶融亜鉛液M中に浸漬していく。すると、溶融亜鉛液Mの液面SPが溶融亜鉛流出管12の上端開口12aに到達した後、溶融亜鉛液Mは、その上端開口12aを超えて溶融亜鉛流出管12の内部に侵入し始める。ここで、貫通孔14aの上縁の高さh3が溶融亜鉛液Mの下限液面SLの高さhLよりも低く設定されているため、溶融亜鉛液Mの比重よりも軽い比重を有する亜鉛酸化物等の不純物は、異物混入防止管14の貫通孔14aよりも上方の側壁でもって貫通孔14aを介して溶融亜鉛流出管12側に移動することが防止されて、かかる不純物により溶融亜鉛流出管12の内部が閉塞されることがない。
【0057】
そして、このように溶融亜鉛流出管12の上端開口12aに侵入した溶融亜鉛液Mは、溶融亜鉛流出管12の内部を流下して、その下端開口12bから連絡管20の内部へと流出する。ここで、連絡管20は、下方加熱炉28によって亜鉛の融点以上の温度に既に加熱され維持されているため、溶融亜鉛液Mは、連絡管20内をそのまま液体状で流下し、更に、接続部材22及び亜鉛供給管24の各々の内部を順次流下して、より下流に設けられた反応装置に供給される。
【0058】
この際、溶融亜鉛流出管12の下端開口12bから流出する溶融亜鉛液Mは、溶融亜鉛流出管12の絞り効果のない流量を呈するものであるから、その液面SPの上限液面SUは、溶融亜鉛流出管12の上端開口12aと実質等しい程度の若干高い状態で維持されると共に、その流量は、液溜め容器10に溜められる溶融亜鉛液Mに対する重り30の単位時間あたりの浸漬体積変化と等しくなる。つまり、反応装置に供給される溶融亜鉛液Mの流量は、かかる重り30の単位時間あたりの浸漬体積変化を一定に設定すれば、一定に設定されることになる。ここで、更に、x−y平面と平行な面で切った重り30の横断面積
を一定に設定すれば、反応装置に供給される溶融亜鉛液Mの流量は、重り30の下降速度を一定に設定すれば、一定に設定されることになる。
【0059】
なお、不活性ガス導入管18から供給された不活性ガスGは、液溜め容器10内の溶融亜鉛液Mの液面SPに接触しながらそれ以上の液溜め容器10内の領域に充満しながら、その余剰分が溶融亜鉛流出管12、連絡管20、接続部材22及び亜鉛供給管24の各々の内部を順次通過して、反応装置に供給されることになる。
【0060】
次に、以上の構成を有する本実施形態の液体供給装置1を用いた実験例につき、以下、具体的に説明する。
【0061】
(実験例)
本実験例では、亜鉛導入管16から供給された亜鉛Mを、外側がステンレス製外円筒10Aであり、内側がアルミナ製内円筒10Bである二重構造を有する液溜め容器10内に溶融亜鉛液Mとして収容した。溶融亜鉛流出管12は、外径30mm及び内径10mmのアルミナ製の円筒とし、更に、図3(c)に示すように、上端開口12aをテーパ状に削り、上端部での肉厚は1mmとした。異物混入防止管14は、外径70mm及び内径50mmのアルミナ製の円筒で、液溜め容器10の底壁10bの上面から50mmの位置を中心として直径20mmの貫通孔14aを有する構成とした。つまり、かかる貫通孔14aを上縁は、液溜め容器10の底壁10bの上面から60mmの位置にあり、液溜め容器10内に溜められた溶融亜鉛液Mの下限液面SLよりも若干低い位置にあった。
【0062】
不活性ガスGとしてはアルゴンガスを採用して、それを不活性ガス導入管18から液溜め容器10内に、0.5L/minの流量で供給した。ここで不活性ガス導入管18から供給されたアルゴンガスは、液溜め容器10内をアルゴン雰囲気に維持しながら、溶融亜鉛流出管12を介して定常的に排気される。
【0063】
重り30は、アルミナ製の円柱で、その横断面は直径180mmの円形とした。かかる重り30の移動速度は、アクチュエータ36によって、1μm/sec以上6mm/sec以下の範囲内で調整でき、実際に重り30の下降速度を変更することで、溶融亜鉛流出管12から流出する溶融亜鉛液Mの流量を制御した。
【0064】
そして、溶融亜鉛流出管12から流出する溶融亜鉛液Mの積算流出量Aを1分間毎に順次測定したところ、重り30を35μm/secで下降した場合には、積算流出量Aは図4に示すような時間変化を示し、重り30を71μm/secで下降した場合には、積算流出量Aは図5に示すような時間変化を示した。この際、何れの場合にも、溶融亜鉛流出管12には、閉塞が発生することはなかった。
【0065】
図4及び図5に示すように、溶融亜鉛流出管12から流出する積算流出量Aの時間に対する傾きはほぼ一定であり、安定した一定の溶融亜鉛液Mの流量が得られていることが分かる。このとき単位時間あたりの流出量は、35μm/secで重り30を下降した場合には約174g/minであり、71μm/secで重り30を下降した場合には約352g/minであると各々見積もられた。
【0066】
以上の構成の本実施形態においては、液溜め容器に収容された溶融液を液溜め容器の下方に流出自在な溶融液流出管の側方周囲を覆いながら溶融液流出管の上端よりも上方に延出すると共に、液溜め容器に収容された溶融液を溶融液流出管の側に導入自在な貫通孔を有した異物混入防止管と、液溜め容器に収容された溶融液内に浸漬するように下降自在な重りと、が設けられ、貫通孔の上縁の位置が、液溜め容器に収容された溶融液の下限液面よりも低い位置に設定され、液溜め容器に収容された溶融液に対して下降しながら浸漬す
る重りの単位時間あたりの浸漬体積変化が、一定に設定されると共に、液溜め容器に収容された溶融液が、浸漬体積変化に応じた流量で溶融液流出管から流出自在であることにより、バルブや流量計を用いることのない簡便でコンパクトな構成で、腐食性の高い溶融金属や溶融塩等の高温で高純度の液体を、不純物の混入や不純物による閉塞を生じさせることなく、比較的少量の一定流量で安定的に溶融液流出管から供給することができる。
【0067】
特に、溶融液に溶融亜鉛液を用いれば、下流のシリコン製造装置等の反応装置に対して、必要な亜鉛を提供することができる。例えば、太陽電池用ポリシリコンを製造する技術として、近年、注目を集めている亜鉛還元法は、亜鉛ガスで四塩化珪素を還元して、高純度のポリシリコンを低コストで生産する技術である。かかるプロセスでは、還元剤の亜鉛を、時間あたりの供給量が一定で、安定した供給速度で、反応管に供給することが必要である。亜鉛の沸点は930℃なので、亜鉛ガスの温度は、これ以上の高温であり、これの流量を制御できるバルブや流量計は、もちろん存在しない。しかし、溶融亜鉛液を対象とすれば、本実施形態の構成を適用することができるので、安定な低速度での溶融亜鉛液の供給を実現することができる。本実施形態では、かかる用途に最適に用い得ることをも想定しており、亜鉛還元法の反応容器の接続部には亜鉛気化器が接続されるが、かかる亜鉛気化器に、低速で溶融亜鉛液を供給することで、亜鉛還元反応管への亜鉛ガスの定速供給を実現し得るものであるといえる。
【0068】
なお、本発明においては、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明においては、バルブや流量計を用いることのない簡便でコンパクトな構成で、腐食性の高い溶融金属や溶融塩等の高温で高純度の液体を、不純物の混入や不純物による閉塞を生じさせることなく、比較的少量の一定流量で安定的に供給できる液体供給装置を提供するができるものであり、その汎用普遍的な性格から溶融金属液や溶融塩液等の供給装置に広範に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0070】
1…液体供給装置
10…容器
10A…外筒
10B…内筒
10a…上壁
10b…底壁
12…溶融亜鉛流出管
12a…上端開口
12b…下端開口
14…異物混入防止管
14a…貫通孔
14b…上端開口
16…亜鉛導入管
18…不活性ガス導入管
20…連絡管
20A…外筒
20B…内筒
22…接続部材
24…亜鉛供給管
26…上方加熱炉
28…下方加熱炉
30…重り
32…シール部材
34…操作棒
36…アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融液を収容自在な液溜め容器と、
前記液溜め容器内に立設されて、前記液溜め容器に収容された前記溶融液を前記液溜め容器の下方に流出自在な溶融液流出管と、
前記液溜め容器内に立設されて、前記溶融液流出管の側方周囲を覆いながら前記溶融液流出管の上端よりも上方に延出すると共に、前記液溜め容器に収容された前記溶融液を前記溶融液流出管の側に導入自在な貫通孔を有し、前記貫通孔の上縁の位置は、前記液溜め容器に収容された前記溶融液の下限液面よりも低い位置に設定された異物混入防止管と、
前記液溜め容器に収容された前記溶融液内に浸漬するように下降自在な重りと、
前記液溜め容器に収容された前記溶融液を加熱して保温自在な加熱器と、
を備え、
前記液溜め容器に収容された前記溶融液に対して下降しながら浸漬する前記重りの単位時間あたりの浸漬体積変化が、一定に設定されると共に、前記液溜め容器に収容された前記溶融液が、前記浸漬体積変化に応じた流量で前記溶融液流出管から流出自在である液体供給装置。
【請求項2】
前記異物混入防止管における前記貫通孔の上縁の位置は、前記液溜め容器に収容された前記溶融液に発生する不純物の下端位置よりも低い位置に設定され、前記異物混入防止管における前記貫通孔の下縁の位置は、前記液溜め容器の底壁の上面よりも高い位置に設定された請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記液溜め容器に収容された前記溶融液の液面以上の前記液溜め容器内の領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給管を備える請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記溶融液流出管が、アルミナ製又は窒化珪素製である請求項1から3のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項5】
前記重りが、アルミナ製又は窒化珪素製である請求項1から4のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項6】
前記液溜め容器が、金属製の外筒の内部に、アルミナ製又は窒化珪素製の内筒を配置して構成される2重構造を有する請求項1から5のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項7】
前記溶融液流出管の上端部が、薄肉部である請求項1から6のいずれかに記載の液体供給装置。
【請求項8】
前記液溜め容器に収容された前記溶融液は、溶融亜鉛液である請求項1から7のいずれかに記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−10130(P2013−10130A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145573(P2011−145573)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(503107255)株式会社キノテック・ソーラーエナジー (18)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】