説明

液体現像剤の製造方法および液体現像剤

【課題】正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を容易に製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤の製造方法は、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料を粗粉砕し、粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、前記粗粉砕物を、ポリアルキレンイミンを含む乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で湿式粉砕し、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る湿式粉砕工程と、前記分散体を攪拌しつつ加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする。ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、300以上200000以下であるのが好ましい。ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンであるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤の製造方法および液体現像剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤として、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを電気絶縁性の担体液(絶縁性液体)に分散した液体現像剤が知られている。
このような液体現像剤を構成するトナー粒子に用いられる結着樹脂としては、一般に、ポリエステル樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られるという特徴を有している。
しかしながら、ポリエステル樹脂は、通常、それ自体が負帯電性のものであるため、正帯電性のトナー粒子(液体現像剤)に適用するのが困難であった。また、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−219380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を容易に製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体中において、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料で構成された樹脂微粒子と、水に溶解したポリアルキレンイミンを含む乳化液とを接触させ、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る化学修飾工程と、
前記分散体を撹拌しつつ加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を容易に製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供することができる。
【0006】
本発明の液体現像剤の製造方法は、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料を粗粉砕し、粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、
前記粗粉砕物を、ポリアルキレンイミンを含む乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で湿式粉砕し、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る湿式粉砕工程と、
前記分散体を撹拌しつつ加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を容易に製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供することができる。
【0007】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記加熱工程における加熱温度は、25℃以上、前記樹脂材料のガラス転移点以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子同士の凝集を防止しつつ、分散体中の水分を効果的に除去することができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ポリアルキレンイミンを含む乳化液のエマルションの平均粒径は、100nm以上10μm以下であることが好ましい。
これにより、樹脂微粒子(トナー粒子)とエマルションとがより接触しやすいものとなり、より効率よく樹脂微粒子表面を化学修飾することができる。
【0008】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記加熱工程における加熱処理は、減圧下にて行うことが好ましい。
これにより、分散体中の水分をより効率よく除去することができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、300以上200000以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の凝集を効果的に防止することができ、トナー粒子の分散安定性を効果的に向上させることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンであることが好ましい。
これにより、トナー粒子の表面を、より好適に改質することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0009】
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ロジン系樹脂の軟化点は、60℃以上190℃以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500以上100000以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0010】
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中において、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料で構成された樹脂微粒子と、ポリアルキレンイミンを含む乳化液とを接触させ、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る化学修飾工程と、前記分散体を撹拌しつつ加熱する加熱工程と、を有する製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を提供することができる。
【0011】
本発明の液体現像剤は、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料を粗粉砕し、粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、前記粗粉砕物を、ポリアルキレンイミンを含むポリアルキレンイミン乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で湿式粉砕し、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る湿式粉砕工程と、前記分散体を撹拌しつつ加熱する加熱工程とを有する製造方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
本発明において、液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散したものである。
《液体現像剤の製造方法》
まず、本発明の液体現像剤の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料と着色剤とを混練し、混練物を得る混練工程と、当該混練物を粗粉砕し、粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、当該粗粉砕物を、水に溶解したポリアルキレンイミンを含む乳化液(ポリアルキレンイミン乳化液)と分散剤とを含む絶縁性液体中において湿式粉砕することにより、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る湿式粉砕工程と、当該分散体を撹拌しつつ加熱する加熱工程とを有している。
本発明では、このように、ポリアルキレンイミン乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料(粗粉砕物)を湿式粉砕する点に特徴を有している。
【0014】
ところで、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性が良く、また、高い定着特性が得られることから、トナー粒子を構成する樹脂材料として広く用いられているが、ポリエステル樹脂は、通常、それ自体が負帯電性のものであるため、正帯電性のトナー粒子(液体現像剤)に適用するのが困難であった。また、ポリエステル樹脂を用いたトナー粒子に、帯電制御剤を添加して正帯電させることも考えられるが、十分な帯電量を得るのが困難であった。
【0015】
これに対して、本発明では、上記のように、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料(粗粉砕物)を、ポリアルキレンイミン乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で湿式粉砕することにより、正帯電の特性を持つポリアルキレンイミンによって、トナー粒子の表面を容易に化学修飾することができ、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を容易に製造することができる。特に、本発明のようにポリアルキレンイミン乳化液を用いることで、単にポリアルキレンイミンを添加した場合と比較して、トナー粒子表面をより効果的に化学修飾することができる。これは、乳化液中の水が、樹脂微粒子(粉砕物)表面の酸性基(カルボキシル基)とポリアルキレンイミンの反応媒体として機能し、酸塩基反応(化学修飾)が起こりやすくなるためであると考えられる。
【0016】
なお、上記のような効果は、樹脂材料をポリエステル樹脂のみで構成した場合には、得ることができない。すなわち、樹脂材料をポリエステル樹脂のみで構成した場合、ポリアルキレンイミンでトナー粒子表面を十分に化学修飾することができず、十分な正帯電性を発揮させることができない。
また、ロジン系樹脂のみで樹脂材料を構成した場合、安定した特性のトナー粒子を形成することができない。
【0017】
以下、各工程について詳細に説明する。
<混練工程>
本工程では、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料、着色剤等のトナー構成材料を混練し、混練物を得る。
トナー構成材料の混練には、例えば、2軸混練押出機、ニーダー、バッチ式の三軸ロール、連続2軸ロール、ホイールミキサー、ブレード型ミキサー等の各種混練機を用いることができる。
【0018】
[樹脂材料]
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、上述したように、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる樹脂である。
また、後述するようなポリアルキレンイミンによって化学修飾可能な官能基も有している。しかしながら、ポリエステル樹脂のみでトナー粒子を構成した場合には、十分な量のポリアルキレンイミンでトナー粒子表面を化学修飾することができず、十分な正帯電性を発揮させることができない。このため、後述するロジン系樹脂と組み合わせることにより、上述したポリエステル樹脂を用いることによる特性を発揮させつつ、トナー粒子表面をポリアルキレンイミンで十分に化学修飾することができ、得られる液体現像剤は、優れた正帯電性を発揮するものとなる。
【0019】
ポリエステル樹脂の軟化温度は、特に限定されないが、50℃以上130℃以下であるのが好ましく、50℃以上120℃以下であるのがより好ましく、60℃以上115℃以下であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製)における測定条件:昇温速度:5℃/min、ダイ穴径1.0mmで規定される軟化開始温度のことを指す。
また、ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であるのが好ましく、5mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であるのがより好ましい。
【0020】
樹脂材料中におけるポリエステル樹脂の含有率は、50wt%以上99wt%以下であるのが好ましく、60wt%以上95wt%以下であるのがより好ましい。これにより、上述したポリエステル樹脂を用いることによる特性を発揮させることができるとともに、トナー粒子表面をポリアルキレンイミンで十分に化学修飾することができ、得られる液体現像剤は、特に優れた正帯電性を発揮するものとなる。
【0021】
(ロジン系樹脂)
ロジン系樹脂は、トナーの記録媒体への定着性を優れたものとする上で有利であるとともに、ポリアルキレンイミンにより容易かつ確実に改質(化学修飾)される材料である。言い換えると、ロジン系樹脂は、後述するポリアルキレンイミンとの反応性が高い官能基(酸性基)を多数有する材料である。したがって、ポリアルキレンイミンによってロジン系樹脂が一旦改質されると、ポリアルキレンイミンとロジン系樹脂とが化学的に結合するため、改質されたロジン系樹脂からのポリアルキレンイミンの脱離・脱落は非常に起こりにくくなる。すなわち、本発明の製造方法によって得られる液体現像剤において、ポリアルキレンイミンは、トナー粒子を構成するロジン系樹脂(または、ポリエステル樹脂)に強固に結合している。したがって、トナー粒子の定着性を優れたものとしつつ、絶縁性液体中におけるトナー粒子の分散性、分散安定性(長期分散安定性)、および、トナー粒子の正帯電の帯電特性を優れたものとすることができる。
このようなロジン系樹脂としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、フマル酸変性ロジン樹脂、エステルガム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
上述したようなロジン系樹脂の軟化点は、60℃以上190℃以下であるのが好ましく、65℃以上170℃以下であるのがより好ましく、70℃以上160℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500以上100000以下であるのが好ましく、1000以上80000以下であるのがより好ましく、1000以上50000以下であるのがさらに好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0023】
また、ロジン系樹脂の酸価は、40mgKOH/g以下であるのが好ましく、30mgKOH/g以下であるのがより好ましく、5KOH/g以上25mgKOH/g以下であるのがさらに好ましい。これにより、ポリエチレンイミンによるトナー母粒子の表面の化学修飾をより好適に行うことができ、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
また、樹脂材料中におけるロジン系樹脂の含有率は、1wt%以上50wt%以下であるのが好ましく、5wt%以上40wt%以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の長期分散安定性、帯電特性を特に優れたものとしつつ、トナー粒子の定着特性と耐熱保存性をより高い次元で両立することができる。
【0024】
[着色剤]
本発明において用いられる着色剤としては、特に限定されず、例えば、公知の顔料、染料等を使用することができる。
[その他の成分]
また、混練物は、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、公知のワックス、磁性粉末等が挙げられる。
また、混練物の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩等を用いてもよい。
【0025】
<粗粉砕工程>
次に、上記工程で得られた混練物を粗粉砕し、粗粉砕物を得る。
このように混練物を粗粉砕した粗粉砕物を用いることにより、後述する湿式粉砕工程において、より効果的にトナー粒子の粒径を小さくすることができる。また、混練物を経て粗粉砕物を得ることにより、最終的に形成されるトナー粒子の特性のばらつきを小さいものとすることができる。
【0026】
粗粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
粗粉砕工程において得られる粗粉砕物の平均粒径は、30μm以上1000μm以下であるのが好ましい。
粗粉砕の工程は、複数回に分けて行ってもよい。
【0027】
<湿式粉砕工程(微粉砕工程)>
次に、上記工程で得られた粗粉砕物を、ポリアルキレンイミンを含む乳化液(ポリアルキレンイミン乳化液)および分散剤を含む絶縁性液体中で湿式粉砕する(湿式粉砕工程)。これにより、トナー粒子が形成され、当該トナー粒子が絶縁性液体(水分を含む絶縁性液体)中に分散した分散体を得る。
湿式粉砕の方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ジェットミル、ピンミル等の各種粉砕装置、破砕装置を用いて行うことができる。
【0028】
本工程で使用する絶縁性液体は、最終的に得られる液体現像剤を構成する成分であり、ポリアルキレンイミンを含む乳化液を含んでいる。
本発明では、このようにポリアルキレンイミン乳化液および分散剤を含む絶縁性液体を用いてポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料(粗粉砕物)を湿式粉砕する。これにより、得られるトナー粒子の平均粒径を好適なものとしつつ、トナー粒子表面をポリアルキレンイミンによって化学修飾することができる。その結果、分散安定性に優れるとともに、正帯電の帯電特性に優れた液体現像剤を得ることができる。
【0029】
特に、本実施形態では、湿式粉砕と同時に化学修飾処理を行うことで、ポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した液体現像剤を効率よく製造することができる。
なお、液体現像剤を構成する絶縁性液体のすべてを用いて湿式粉砕を行ってもよいし、液体現像剤を構成する絶縁性液体の一部を用いて湿式粉砕を行ってもよい。
【0030】
以下、各成分について説明する。
[ポリアルキレンイミン乳化液]
ポリアルキレンイミンを含む乳化液は、ポリアルキレンイミンが溶解した水溶液と油分とを乳化剤を用いて乳化させることにより得られるものである。特に、油分としては、上述したような絶縁性液体を用いる。これにより、乳化液を絶縁性液体中に添加しやすいものとなる。
【0031】
ポリアルキレンイミンは、多数のアミノ基を有する化合物であり、トナー粒子の表面に存在する樹脂材料(ポリエステル樹脂、ロジン系樹脂)由来の酸性基と反応して、トナー粒子表面を化学修飾し得る成分である。
このようなポリアルキレンイミンがトナー粒子の表面に化学的に付着(結合)することにより、トナー粒子表面に正帯電性のアミノ基が多数存在することとなり、得られる液体現像剤は、優れた正帯電の帯電特性を示すものとなる。すなわち、ポリアルキレンイミン由来のアミノ基がカチオンを引きつけることにより、高い正帯電性を示すことができる。なお、ポリアルキレンイミンによる改質(化学修飾)とは、ポリアルキレンイミンのアミノ基の少なくとも一部と、トナー粒子の表面の樹脂材料に由来する酸性基(主にカルボキシル基)の少なくとも一部とが化学反応(酸塩基反応)し、共有結合(アミド結合)をなしていることをいう。
【0032】
このようなポリアルキレンイミンは、化学的にトナー粒子表面に付着するので、トナー粒子表面から脱離しづらく、トナー粒子の正帯電の帯電特性を長期にわたって優れたものとすることができるとともに、長期にわたってトナー粒子を絶縁性液体中に安定して分散させることができる。しかしながら、ポリアルキレンイミンを単体で絶縁性液体中に添加した場合、樹脂微粒子の表面の酸性基と十分に反応することができず、十分な正帯電の帯電特性を発揮させることができない。本発明のようにポリアルキレンイミンを乳化状態にした乳化液を用いることで、水が反応時の媒体として機能するため、十分に酸塩基反応を進行させることができる。その結果、トナー粒子の正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
【0033】
アミノ基を有するアミノ変性シリコーン(片末端、両末端、側鎖)では、表面の酸基に対してアミノ基が反応するが、直鎖の構造の周り(側鎖、片末端、両末端)ではアミノの量が少なく、また、官能基の量を増やそうとすると鎖の長さが長くなり、粒子同士の架橋を招き、分散性が低下する。
従って、ポリアルキレンイミンのように、構造的に官能基の量が増加しても、網目のように表面へ結合する分岐構造を有する構造が必要となる。
【0034】
ポリアルキレンイミンとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソプロピレンイミン等が挙げられる。中でも、ポリエチレンイミンを用いるのが好ましい。これにより、トナー粒子の表面を、より好適に改質することができ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性をより優れたものとすることができる。
【0035】
ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、300〜200000であるのが好ましく、10000〜80000であるのがより好ましい。ポリアルキレンイミンの重量平均分子量がこのような範囲であると、トナー粒子表面をより効果的に改質(化学修飾)することができるとともに、ポリアルキレンイミンの比較的長い分子鎖による立体障害によって、トナー粒子同士の凝集を効果的に防止することができ、トナー粒子の分散安定性を効果的に向上させることができる。
【0036】
また、ポリアルキレンイミン乳化液中におけるポリアルキレンイミンのエマルションの平均粒径は、100nm以上10μm以下であるのが好ましく、500nm以上2μm以下であるのがより好ましい。これにより、樹脂微粒子(トナー粒子)とエマルションとがより接触しやすいものとなり、より効率よく樹脂微粒子表面を化学修飾することができる。
【0037】
このような湿式粉砕で形成されるトナー粒子の平均粒径は、0.5μm以上3μm以下であるのが好ましく、1μm以上2.5μm以下であるのがより好ましく、1μm以上2μm以下であるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
【0038】
本工程でのポリアルキレンイミンの使用量は、ロジン系樹脂:100重量部に対し、0.5重量部以上50重量部以下であるのが好ましく、1重量部以上10重量部以下であるのがより好ましい.ポリアルキレンイミンの使用量の使用量が前記範囲内の値であると、最終的に得られる液体現像剤において、過剰のポリアルキレンイミンが絶縁性液体中に溶出する等の不都合を確実に防止しつつ、トナー粒子の長期分散安定性、正帯電の帯電特性を特に優れたものとすることができる。
また、液体現像剤中におけるトナー粒子の含有率は、10wt%以上60wt%以下であるのが好ましく、20wt%以上50wt%以下であるのがより好ましい。
【0039】
[絶縁性液体]
絶縁性液体は、上述したようなトナー粒子を分散する分散媒として機能する。
また、絶縁性液体は、画像形成時において帯電したトナー粒子を転写させるために、高い絶縁性を有する。
絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が1×10Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の比誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
【0040】
絶縁性液体としては、例えば、KF−99、KF−96、KF−995(以上、信越化学工業)、AK35、AK50、AK100、AK350、AK1000(以上、Wacker Chemie AG)、SH200、SH510、SH8400(以上、東レダウコーニング)等のジメチルシリコーンオイルや、ハイドロジェン変性シリコーン化合物等の重合度が20より大きいシリコーンオイル;シクロペンタンシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン等の環状シロキサン化合物やメチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等の重合度が20以下の低分子シロキサン化合物;アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン化学社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、低粘度・高粘度流動パラフィン(和光純薬工業)等の鉱物油(炭化水素系液体);脂肪酸グリセリド、脂肪酸モノエステル、中鎖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステルまたはそれらを含む植物油;オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、酢酸ブチル、イソプロパノール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
[分散剤]
また、湿式粉砕工程において、絶縁性液体中には、分散剤が必要である.これにより、湿式粉砕を効率よく行うことができるとともに、得られるトナー粒子の分散安定性をより高いものとすることができる。
このような分散剤としては、特に限定されないが、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとのグラフト共重合体(以下、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体という)を用いるのが好ましい。これにより、トナー粒子の絶縁性液体への分散安定性を特に優れたものとすることができる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
【0042】
すなわち、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体中の(メタ)アクリル部分は、その骨格にあるカルボニル基によって比較的大きな極性を有している。一方で、ポリシロキサン部分は、比較的極性が小さい。このため、このような各部分を有することにより、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、(メタ)アクリル部分がトナー粒子と親和性が高いものとなり、ポリシロキサン部分が絶縁性液体と親和性が高いものとなる。そして、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体が、トナー粒子と絶縁性液体との間に存在することにより、トナー粒子の絶縁性液体への分散安定性が優れたものとなる。
【0043】
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述したモノマー成分で構成されたアクリル系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらのアルキルエステルの中から選ばれる1種以上のモノマーであって、そのアルキル基の炭素数が4以下であるモノマー(アクリレーツ)で構成されたポリマーが挙げられる。
【0044】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、複数種のアクリル系ポリマーを含んで構成されていてもよい。
アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するアクリル系ポリマーは、アクリレーツおよびアクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アクリレーツおよびアクリル酸エチルヘキシルであることがより好ましい。これにより、上述したようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体の効果をより顕著に得ることができ、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
なお、アクリル系ポリマーは、上記以外のモノマー成分を含んで構成されていてもよい。
【0045】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するポリシロキサンとしては、特に限定されず、例えば、ジメチルポリシロキサン等のジアルキルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等のジアリールポリシロキサン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でもポリシロキサンとしては、ジアルキルシロキサンを含むことが好ましく、ジメチルポリシロキサンを含むことがより好ましい。これにより、上述したようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体の効果をより顕著に得ることができ、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
【0046】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体を構成するポリシロキサンは、その側鎖または末端が、他の官能基等によって置換されていてもよい。例えば、ポリシロキサンの側鎖または末端に対し、アクリル酸、メタクリル酸が付加していてもよい。この場合、液体現像剤中におけるトナー粒子の分散安定性を特に優れたものとすることができる。
また、上記ポリシロキサンは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
【0047】
また、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、アクリル系ポリマーとポリシロキサンとがグラフト重合することによって得られる。これにより、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、分岐鎖を多く有するものとなり、嵩高いものとなる。そして、この結果、極性が比較的大きな部分(アクリル系ポリマー部分)と極性が比較的小さな部分(ポリシロキサン部分)とが、十分にその機能を発揮できるものとなる。
上述したようなアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体としては、より具体的には、例えば、KP−541、KP−575、KP−543、KP−545、KP−549等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体は、トナー母粒子:100重量部に対し、1重量部以上40重量部以下含まれていることが好ましく、1重量部以上20重量部以下含まれていることがより好ましい。これにより、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体の効果を十分に得ることができるとともに、液体現像剤の粘度を適正なものとすることができる。
【0049】
また、分散剤としては、例えば、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体や、シリコーンレジン等のシリコーン系分散剤を用いることができる。
なお、本工程において、上述した成分以外の成分(例えば、外添剤等)を添加してもよい。
【0050】
<加熱工程>
次に、上述したような分散体を撹拌しつつ、加熱する(加熱工程)。これにより、液体現像剤が得られる。
ところで、上述したような分散体には、ポリアルキレンイミン乳化液由来の水分が含まれている。水は、極性が高い液体であるため、絶縁性液体中に含まれていると絶縁性液体の電気的特性(絶縁性)を低下させてしまう。
【0051】
本工程では、分散体を撹拌しつつ加熱することで、分散体中の水分を除去することを目的としている。また、このような加熱処理を行うことにより、上述したようなトナー粒子表面の酸性基とポリアルキレンイミンとの酸塩基反応を促進させることができる。
本工程における加熱温度は、25℃以上、上述した樹脂材料のガラス転移点以下であるのが好ましい。これにより、トナー粒子同士の凝集を防止しつつ、分散体中の水分を効果的に除去することができる。
また、本工程における加熱処理は、減圧下にて行うのが好ましく、具体的には、500Pa以下の減圧下で行うのがより好ましい。これにより、分散体中の水分をより効率よく除去することができる。
【0052】
なお、上述した説明では、粗粉砕工程を経て、湿式粉砕工程を行うものとして説明したが、これに限定されず、たとえば、ポリエステル樹脂と、ロジン系樹脂と、ポリアルキレンイミン乳化液とを絶縁性液体に添加して、湿式粉砕することで液体現像剤を製造してもよい。
また、上記説明では、混練物を粗粉砕するものとして説明したが、これに限定されず、混練物でなくてもよい。
【0053】
また、例えば、乳化重合法や乳化合一法等の化学的製法によって形成した樹脂微粒子(ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料で構成された樹脂微粒子)を絶縁性液体中において上述したポリアルキレンイミン乳化液と接触させることで樹脂微粒子の表面をポリアルキレンイミンで化学修飾した(化学修飾工程)後に、得られた分散体に加熱処理を施す(加熱工程)ことによって、液体現像剤を製造してもよい。
【0054】
《画像形成装置》
次に、画像形成装置の好適な実施形態について説明する。画像形成装置は、上述したような本発明の液体現像剤を用いて記録媒体上にカラー画像を形成するものである。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す画像形成装置の一部を拡大した拡大図である。
【0055】
画像形成装置1000は、図1、図2に示すように、4つの現像部30Y、30M、30C、30Kと、中間転写部40と、2次転写ユニット(2次転写部)60と、定着部(定着装置)F40と、4つの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kとを有している。
現像部30Y、30M、30Cは、それぞれ、イエロー系液体現像剤(Y)、マゼンダ系液体現像剤(M)、シアン系の液体現像剤(C)で、潜像を現像し、各色に対応したカラーの単色像を形成する機能を有している。また、現像部30Kは、ブラック系液体現像剤(K)で、潜像を現像し、ブラック(黒)の単色像を形成する機能を有している。
【0056】
現像部30Y、30M、30C、30Kの構成は同様であるので、以下、現像部30Yについて説明する。
現像部30Yは、図2に示すように、像担持体の一例としての感光体10Yと、感光体10Yの回転方向に沿って、帯電ローラ11Yと、露光ユニット12Yと、現像ユニット100Yと、感光体スクイーズ装置101Yと、1次転写バックアップローラ51Yと、除電ユニット16Yと、感光体クリーニングブレード17Yと、現像剤回収部18Yとを有している。
【0057】
感光体10Yは、円筒状の基材とその外周面に形成され、例えばアモルファスシリコン等の材料で構成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図2中の矢印で示すように時計回りに回転する。
感光体10Yは、後述する現像ユニット100Yにより液体現像剤が供給され、表面に液体現像剤の層が形成されるものである。
【0058】
帯電ローラ11Yは、感光体10Yを帯電するための装置であり、露光ユニット12Yは、レーザを照射することによって帯電された感光体10Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット12Yは、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体10Y上に照射する。
現像ユニット100Yは、感光体10Y上に形成された潜像を、本発明の液体現像剤を用いて現像するための装置である。なお、現像ユニット100Yの詳細については後述する。
【0059】
感光体スクイーズ装置101Yは、現像ユニット100Yより回転方向下流側に、感光体10Yに対向して配置されており、感光体スクイーズローラ13Yと、該感光体スクイーズローラ13Yに押圧摺接して表面に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード14Yと、除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部15Yとで構成される。この感光体スクイーズ装置101Yは、感光体10Yに現像された現像剤から余剰なキャリア(絶縁性液体)および本来不要なカブリトナーを回収し、顕像内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。
【0060】
1次転写バックアップローラ51Yは、感光体10Yに形成された単色像を、後述する中間転写部40に転写するための装置である。
除電ユニット16Yは、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に中間転写像が転写された後に、感光体10Y上の残留電荷を除去する装置である。
感光体クリーニングブレード17Yは、感光体10Yの表面に当接されたゴム製の部材で、1次転写バックアップローラ51Yによって中間転写部40上に像が転写された後に、感光体10Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
現像剤回収部18Yは、感光体クリーニングブレード17Yにより除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
【0061】
中間転写部40は、エンドレスの弾性ベルト部材であり、図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ41および一対の従動ローラ44、45に張架されている。また、中間転写部40は、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながらベルト駆動ローラ41により反時計回りに回転駆動される。
【0062】
さらに、中間転写部40は、テンションローラ49によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。このテンションローラ49は、一方の従動ローラ44より中間転写部40の回転(移動)方向下流側でかつ他方の従動ローラ45より中間転写部40の回転(移動)方向上流側に配設されている。
この中間転写部40に、1次転写バックアップローラ51Y、51M、51C、51Kにより、現像部30Y、30M、30C、30Kで形成された各色に対応した単色像が順次転写され、各色に対応した単色像が重ね合わされる。これにより、中間転写部40にフルカラー現像剤像(中間転写像)が形成される。
【0063】
中間転写部40には、このように複数の感光体10Y、10M、10C、10Kに形成した単色像を順次2次転写して重ね合わせて担持し、後述する2次転写ユニット60において一括して紙、フィルム、布等の記録媒体F5に2次転写する。そのため、2次転写行程において記録媒体F5にトナー像を転写するに当たって、記録媒体F5表面が繊維質などによって平滑でないシート材であっても、この非平滑なシート材表面に倣って2次転写特性を向上させる手段として、弾性ベルト部材を採用している。
【0064】
また、中間転写部40には、中間転写部クリーニングブレード46、現像剤回収部47、非接触式バイアス印加部材48からなるクリーニング装置が配置されている。
中間転写部クリーニングブレード46および現像剤回収部47は、従動ローラ45側に配されている。
中間転写部クリーニングブレード46は、2次転写ユニット(2次転写部)60によって記録媒体F5上に像が転写された後に、中間転写部40上に付着した液体現像剤を掻き落として除去する機能を有している。
【0065】
現像剤回収部47は、中間転写部クリーニングブレード46により除去された液体現像剤を回収する機能を有している。
非接触式バイアス印加部材48はテンションローラ49に対向する位置に中間転写部40から離間して配設されている。この非接触式バイアス印加部材48は、二次転写後に中間転写部40上に残留する液体現像剤のトナー(固形分)に、このトナーと逆極性のバイアス電圧を印加するものである。これにより、トナーが除電されて中間転写部40へのトナーの静電付着力が低減されるようにしている。この例では、非接触式バイアス印加部材48として、コロナ帯電器が用いられている。
【0066】
なお、非接触式バイアス印加部材48は、必ずしもテンションローラ49に対向する位置に配設する必要はなく、例えば従動ローラ44とテンションローラ49との間の位置等、従動ローラ44より中間転写部の移動方向下流側で、かつ、従動ローラ45より中間転写部の移動方向上流側の任意の位置に配設することができる。また、非接触式バイアス印加部材48はコロナ帯電器以外の公知の非接触式帯電器を用いることもできる。
【0067】
また、1次転写バックアップローラ51Yより中間転写部40の移動方向下流側に、中間転写部スクイーズ装置52Yが配されている。
この中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40上に転写された液体現像剤が望ましい分散状態に至っていない場合に、転写された液体現像剤から余剰の絶縁性液体を除去する手段として設けられている。
【0068】
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部スクイーズローラ53Yと、中間転写部スクイーズローラ53Yに押圧摺接して表面をクリーニングする中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yと、中間転写部スクイーズクリーニングブレード55Yで除去された液体現像剤を回収する現像剤回収部56Yとから構成される。
中間転写部スクイーズ装置52Yは、中間転写部40に1次転写された現像剤から余剰な絶縁性液体を回収し、像内のトナー粒子比率を上げると共に、本来不要なカブリトナーを回収する機能を有する。
【0069】
2次転写ユニット60は、互いに転写材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の2次転写ローラを備えている。これらの一対の2次転写ローラのうち、中間転写部40の移動方向の上流側に配置される2次転写ローラが上流側2次転写ローラ64である。この上流側2次転写ローラ64は、ベルト駆動ローラ41に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
【0070】
また、一対の2次転写ローラのうち、転写材の移動方向の下流側に配置される2次転写ローラが下流側2次転写ローラ65である。この下流側2次転写ローラ65は、従動ローラ44に中間転写部40を介して圧接可能となっている。
すなわち、上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65は、それぞれ、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44に掛けられた中間転写部40に記録媒体F5を当接させて、中間転写部40上に色重ねして形成された中間転写像を記録媒体F5に2次転写する。
【0071】
この場合、ベルト駆動ローラ41および従動ローラ44は、それぞれ上流側2次転写ローラ64、下流側2次転写ローラ65のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ41は、2次転写ユニット60において従動ローラ44より記録媒体F5の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ44は、2次転写ユニット60においてベルト駆動ローラ41より記録媒体F5の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
【0072】
したがって、2次転写ユニット60に搬送されてきた記録媒体F5は、上流側2次転写ローラ64とベルト駆動ローラ41との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側2次転写ローラ65と従動ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの転写材の所定の移動領域で中間転写部40に密着される。これにより、中間転写部40上のフルカラーの中間転写像が、中間転写部40に密着した状態の記録媒体F5に所定時間にわたって2次転写されるので、良好な2次転写が行われる。
【0073】
また、2次転写ユニット60は、上流側2次転写ローラ64に対して、2次転写ローラクリーニングブレード66と、現像剤回収部67とを備えている。また、2次転写ユニット60は、下流側2次転写ローラ65に対して、2次転写ローラクリーニングブレード68と、現像剤回収部69とを備えている。各2次転写ローラクリーニングブレード66、68は、それぞれ2次転写ローラ64、65に当接されて2次転写後に各2次転写ローラ64、65の表面に残留する液体現像剤を掻き落として除去する。また、各現像剤回収部67、69は、それぞれ各2次転写ローラクリーニングブレード66、68によって各2次転写ローラ64、65から掻き落とされた液体現像剤を回収して貯留する。
【0074】
2次転写ユニット60により記録媒体F5上に転写されたトナー画像(転写像)F5aは、定着部(定着装置)F40に送られ、加熱および加圧されて、記録媒体F5上に定着される。
なお、定着温度は、具体的には、80〜160℃であるのが好ましく、100〜150℃であるのがより好ましく、100〜140℃であることがさらに好ましい。
【0075】
次に、現像ユニット100Y、100M、100C、100Kについて、詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的に、現像ユニット100Yについて説明する。
現像ユニット100Yは、図2に示すように、液体現像剤貯留部31Yと、塗布ローラ32Yと、規制ブレード33Yと、現像剤撹拌ローラ34Y、連通部35Yと、回収スクリュー36Yと、現像ローラ20Yと、現像ローラクリーニングブレード21Yとを有している。
【0076】
液体現像剤貯留部31Yは、感光体10Yに形成された潜像を現像するための液体現像剤を貯留する機能を備えており、液体現像剤を現像部に供給する供給部31aYと、供給部31aY等で発生した余剰の液体現像剤を回収する回収部31bYと、供給部31aYと回収部31bYとを仕切る仕切31cYとを備えている。
供給部31aYは、液体現像剤を塗布ローラ32Yに供給する機能を有し、現像剤撹拌ローラ34Yを設置した凹状の部分を有する。また、供給部31aYには、液体現像剤混合槽93Yから連通部35Yを通じて液体現像剤が供給される。
回収部31bYは、供給部31aYに過剰に供給された液体現像剤や現像剤回収部15Y、24Yで生じた余剰な液体現像剤を回収するものである。回収された液体現像剤は、後述する液体現像剤混合槽93Yに搬送され、再利用される。また、回収部31bYは、凹状の部分を有し、その底付近に回収スクリュー36Yが設置されている。
【0077】
供給部31aYと回収部31bYとの境界には、壁状の仕切31cYが設けられている。仕切31cYは、供給部31aYと回収部31bYとを仕切り、回収された液体現像剤の新鮮な液体現像剤への混入を防ぐことができる。また、供給部31aYに過剰の液体現像剤が供給された際に、過剰分の液体現像剤は、仕切31cYを超えて供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。このため、供給部31aYの液体現像剤の量が一定に保持されることができ、塗布ローラ32Yに供給される液体現像剤の液量を一定に維持することができる。このため、最終的に形成される画像の画質が安定したものとなる。
また、仕切31cYには、切欠部が設けられており、切欠部を通じて液体現像剤が供給部31aYから回収部31bYへあふれ出ることができる。
【0078】
塗布ローラ32Yは、液体現像剤を現像ローラ20Yへ供給する機能を備えたものである。
この塗布ローラ32Yは、鉄等金属性のローラの表面に溝が均一かつ螺旋状に形成されニッケルメッキが施された、いわゆるアニロクスローラを呼称されるものであり、その直径は約25mmである。本実施形態では、塗布ローラ32Yの回転方向に対して斜めに複数の溝が、いわゆる切削加工や転造加工等によって形成されている。この塗布ローラ32Yは、反時計回りに回転しながら液体現像剤に接触することによって、溝に、供給部31aY内の液体現像剤を担持して、該担持した液体現像剤を現像ローラ20Yへ搬送する。
【0079】
規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yの表面に当接して、塗布ローラ32Y上の液体現像剤の量を規制する。すなわち、当該規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Y上の余剰液体現像剤を掻き取って、現像ローラ20Yに供給する塗布ローラ32Y上の液体現像剤を計量する役割を果たす。この規制ブレード33Yは、弾性体としてのウレタンゴムからなり、鉄等金属製の規制ブレード支持部材より支持されている。また、規制ブレード33Yは、塗布ローラ32Yが回転して液体現像剤から進出する側(すなわち、図2中右側)に設けられている。なお、規制ブレード33Yのゴム硬度は、JIS−Aで約77度であり、規制ブレード33Yの、塗布ローラ32Y表面への当接部の硬度(約77度)は、後述する現像ローラ20Yの弾性体の層の塗布ローラ32Y表面への圧接部の硬度(約85度)よりも低くなっている。また、掻き取られた余剰の液体現像剤は、供給部31aYに回収され、再利用される。
【0080】
現像剤撹拌ローラ34Yは、液体現像剤を一様分散状態に撹拌する機能を備えたものである。これにより、複数個のトナー粒子が凝集した場合であっても、トナー粒子同士を好適に分散させることができる。特に、本発明の液体現像剤は、分散安定性に優れるとともに再分散性にも優れているため、再利用した液体現像剤であっても、容易に分散させることができる。
【0081】
供給部31aY内において、液体現像剤の中のトナー粒子はプラスの電荷を有し、液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yにより撹拌されて一様分散状態になり、塗布ローラ32Yが回転することによって、液体現像剤貯留部31Yから汲み上げられ、規制ブレード33Yによって液体現像剤量が規制されて現像ローラ20Yに供給される。また、現像剤撹拌ローラ34Yによって撹拌されることにより、仕切31cYを超えて回収部31bY側に液体現像剤を安定して溢れさせることができ、液体現像剤が滞留し圧縮することを防ぐことができる。
【0082】
さらに、現像剤撹拌ローラ34Yは、連通部35Y付近に設けられている。このため、連通部35Yから供給された液体現像剤が素早く拡散することができ、液体現像剤が供給部31aYに補給されている場合であっても、供給部31aYの液面を安定したものとすることができる。このような現像剤撹拌ローラ34Yが連通部35Y付近に設けられることにより、連通部35Yが負圧になり、自然に液体現像剤が吸い上げられることができる。
【0083】
連通部35Yは、現像剤撹拌ローラ34Y鉛直下方に対して設けられ、液体現像剤貯留部31Yと連通し、液体現像剤混合槽93Yから液体現像剤を供給部31aYへ吸い上げる部分である。
連通部35Yを現像剤撹拌ローラ34Yの下方に設けることにより、連通部35Yから供給される液体現像剤は、現像剤撹拌ローラ34Yに止められることになり、吹き出しによる液上面の盛り上がりがなく、液上面がほぼ一定に保持され、塗布ローラ32Yに安定して現像剤を供給できる。
また、回収部31bYの底部付近に設けられた回収スクリュー36Yは、円筒状の部材からなり、外周に螺旋状のリブを有し、回収した液体現像剤が流動性を保つ機能を有するとともに、液体現像剤の液体現像剤混合槽93Yへの搬送を促進させる機能を有している。
【0084】
現像ローラ20Yは、感光体10Yに担持された潜像を液体現像剤により現像するために、液体現像剤を担持して感光体10Yと対向する現像位置に搬送する。
現像ローラ20Yは、その表面に、前述した塗布ローラ32Yから液体現像剤を供給することにより、液体現像剤層を形成するものである。
この現像ローラ20Yは、鉄等金属製の内芯の外周部に、導電性を有する弾性体の層を備えたものであり、その直径は約20mmである。また、弾性体の層は、二層構造になっており、その内層として、ゴム硬度がJIS−A約30度で、厚み約5mmのウレタンゴムが、その表層(外層)として、ゴム硬度がJIS−A約85度で、厚み約30μmのウレタンゴムが備えられている。そして、現像ローラ20Yは、前記表層が圧接部となって、弾性変形された状態で塗布ローラ32Yおよび感光体10Yのそれぞれに圧接している。
【0085】
また、現像ローラ20Yは、その中心軸を中心として回転可能であり、当該中心軸は、感光体10Yの回転中心軸よりも下方にある。また、現像ローラ20Yは、感光体10Yの回転方向(図2において時計方向)と逆の方向(図2において反時計方向)に回転する。なお、感光体10Y上に形成された潜像を現像する際には、現像ローラ20Yと感光体10Yとの間に電界が形成される。
なお、現像ユニット100Yにおいて、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yとは、異なる動力源(図示せず)によって、別駆動している。そして、塗布ローラ32Yと現像ローラ20Yと回転速度(線速度)比を変えることで、現像ローラ20Y上に供給される液体現像剤の量を調整することができる。
【0086】
また、現像ユニット100Yは、現像ローラ20Yの表面に当接されたゴム製の現像ローラクリーニングブレード21Yと、現像剤回収部24Yとを有している。この現像ローラクリーニングブレード21Yは、前記現像位置で現像が行われた後に、現像ローラ20Y上に残存する液体現像剤を掻き落として除去するための装置である。現像ローラクリーニングブレード21Yにより除去された液体現像剤は、現像剤回収部24Y内に回収される。
【0087】
また、図1、図2に示すように、画像形成装置1000は、液体現像剤を現像部30Y、30M、30C、30Kに補給する液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kを備えている。これらの液体現像剤補給部90Y、90M、90C、90Kは、それぞれ、液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kと、絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kと、液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kとを備えている。
【0088】
各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kには、それぞれ各色に対応した高濃度の液体現像剤が収納されている。また、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kには、それぞれ絶縁性液体が収納されている。さらに、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kには、各液体現像剤タンク91Y、91M、91C、91Kからの所定量の各高濃度液体現像剤と、各絶縁性液体タンク92Y、92M、92C、92Kからの所定量の各絶縁性液体とが供給されるようになっている。
【0089】
そして、各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体現像剤および各絶縁性液体をそれぞれ備え付けられた撹拌装置により混合撹拌して、各供給部31aY、31aM、31aC、31aKで使用する各色に対応した液体現像剤を作製する。各液体現像剤混合槽93Y、93M、93C、93Kでそれぞれ作製された各液体現像剤は、それぞれ各供給部31aY、31aM、31aC、31aKに供給されるようになっている。
【0090】
また、液体現像剤混合槽93Yには、回収部31bYで回収された液体現像剤が回収され、再利用される。液体現像剤混合槽93M、93C、93Kも同様である。ここで、トナー粒子は、上記のように、ロジン系樹脂を含むトナー母粒子の表面がポリアルキレンイミンで改質されたものであり、トナー母粒子の表面にはポリアルキレンイミンが強固に結合している。このため、回収に伴うストレス(例えば、クリーニングブレードによるストレス)が加えられたトナー粒子1であっても、ポリアルキレンイミンがトナー母粒子から脱離・脱落することが確実に防止されており、また、上記のようなトナー粒子は、絶縁性液体中への再分散性が高い。したがって、回収されたトナー粒子を、好適に画像形成に再利用することができる。
【0091】
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、前述した実施形態では、画像形成装置として、コロナ放電器を有する構成について説明したが、コロナ放電器は無くてもよい。
【実施例】
【0092】
[1]液体現像剤の製造
以下のようにして、液体現像剤を製造した。温度が記載されていない工程については、室温(25℃)で行った。
(実施例1)
[ポリエチレンイミンの乳化液の調製]
まず、ポエリエチレンイミン(日本触媒社製、重量平均分子量:70000、30wt%水溶液):10重量部、精製水:20重量部を用意し、混合希釈し、ポリエチレンイミンの希釈液を得た。
【0093】
次に、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製、KF−96−6cs):31重量部、乳化剤(信越化学工業社製、KF−6038):3重量部を用意し、これらを混合し混合物を調製した。
次に、上記混合物:17重量部を乳化分散機(クレアミックス:エムテクニック社製)10000rpmで撹拌しながら、ポリエチレンイミン水溶液:33重量部を徐々に添加した。120秒撹拌し、ポリエチレンイミン水溶液/シリコーンオイルのW/Oエマルション(乳化液)を得た。なお、乳化液のエマルションの平均粒径は、1.14μmであった。
【0094】
[粗粉砕工程]
(着色剤マスターバッチの調製)
まず、樹脂材料として、ポリエステル樹脂(酸価:10mgKOH/g、ガラス転移点(Tg):55℃、軟化点:107℃):60重量部を用意した。
次に、上記樹脂材料と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の着色剤マスターバッチとした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
【0095】
(粗粉砕物の調製)
上記着色剤マスターバッチ:15重量部、上記ポリエステル樹脂:68重量部、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100):17重量部を2軸混練押出機を用いて混練した。そして、2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。得られた混練物をハンマーミルで粉砕し、粗粉砕物を得た。
【0096】
[湿式粉砕工程]
上記の方法で得られた粗粉砕物:40重量部、ポリエチレンイミン水溶液の乳化液:6.6重量部、分散剤としてのアクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(KP−545、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:デカメチルシクロペンタンシロキサン、固形分:30wt%):20重量部、絶縁性液体としてのジメチルシリコーンオイル(KF−96、信越化学工業社製、50cs):133.4重量部をセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらに直径10mmおよび3mmのジルコニアボールを重量6:4の割合で体積充填率40%になるようにセラミック製ポットに入れ、卓上ポットミルにて回転速度230rpmで48時間湿式粉砕を行った。これにより、表面がポリエチレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得た。
【0097】
[加熱工程]
得られた分散体を500mlフラスコに入れ、オイルバスの温度を50℃に保ちながら撹拌し、減圧下にて加熱処理(減圧蒸留)を行った。これにより、分散体中の水分が除去され、液体現像剤が得られた。なお、400Pa減圧下で加熱処理を行った。これにより、液体現像剤が得られた。
【0098】
得られた液体現像剤中における、トナー粒子のDv(50)は、2.34μmであった。なお、得られたトナー粒子の50%体積粒径Dv(50)[μm]は、マイクロトラックMT−3000(日機装株式会社製)にて測定を行った。また、以下に説明する各実施例、各比較例で得られた粒子についても同様にして、粒径を求めた。
また、得られた液体現像剤の25℃における粘度は、100mPa・sであった。
【0099】
また、シアン系顔料の代わりに、マゼンダ系顔料:ピグメントレッド238(山陽色素社製)、イエロー系顔料:ピグメントイエロー180(クラリアント社製)、ブラック系顔料:カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)に、それぞれ変更した以外は、上記と同様にして、マゼンダ系液体現像剤、イエロー系液体現像剤、ブラック系液体現像剤を製造した。
【0100】
(実施例2〜18)
ロジン系樹脂の種類・含有量、ポリエステル樹脂の含有量、ポリエチレンイミンの分子量・使用量、エマルションの平均粒径、分散剤の種類、絶縁性液体の種類等を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0101】
(実施例19)
乳化液の乳化剤として、エマゾールO−10V(花王社製)を用い、媒体(油分)としてジメチルシリコーンオイルの代わりに大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(実施例20)
乳化液の乳化剤として、ノニオンE−202S(日油社製)を用い、媒体(油分)としてジメチルシリコーンオイルの代わりにコスモホワイトP60(コスモ石油社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0102】
(比較例1、2)
ポリエチレンイミンをポリエチレンイミン水溶液の乳化液として粉砕時に添加するのではなく、ポリエチレンイミンを直接添加することによって液体現像剤を製造した以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例3)
ロジン系樹脂を用いず、その分だけポリエステル樹脂の使用量を増やした以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0103】
(比較例4)
ポリアルキレンイミン乳化液を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
(比較例5)
分散剤を添加しなかった以外は、前記実施例1と同様にして各色に対応する液体現像剤を製造した。
【0104】
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の調製に用いた樹脂材料、ポリエチレンイミン、分散剤の種類、絶縁性液体の種類等の製造条件を表1に示した。なお、表中、ロジン変性ポリエステル樹脂(荒川化学工業社製、商品名「TFS−015」、酸価:11.8mgKOH/g、軟化点:79℃、重量平均分子量:1300)をRPESと、ロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業社製、商品名「タマノル135」、酸価:18mgKOH/g以下、軟化点:130〜140、重量平均分子量:15000)をRPHと、ロジン変性マレイン樹脂(荒川化学工業社製、商品名「マルキードNo.1」、酸価:25mgKOH/g以下、軟化点:120〜130、重量平均分子量:3100)をRMと、アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体(KP−545、信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:デカメチルシクロペンタンシロキサン、固形分:30wt%)をKP−545、ソルスパース13940(日本ルーブリゾール社製、分散剤)を13940、ジメチルシリコーンオイル(KF−96、信越化学工業社製、50cs)をKF96、菜種油(日清オイリオ社製、商品名「ハイオレイック菜種油」)をNT、大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製)をME、コスモホワイトP70(絶縁性液体)をP70と示した。
【0105】
【表1】

【0106】
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下のような評価を行った。
[2.1]現像効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の現像ローラ上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、現像ローラの表面電位を300Vとし、感光体の表面電位を500Vで均一に帯電させ、感光体に露光を行い、感光体表面の帯電を減衰させ、表面電位を50Vとした。液体現像剤層が感光体と現像ローラとの間を通過した後の、現像ローラ上のトナー粒子と、感光体上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と現像ローラ上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を現像効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :現像効率が96%以上であり、現像効率に特に優れる。
B :現像効率が90%以上96%未満であり、現像効率に優れる。
C :現像効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :現像効率が80%よりも小さく、現像効率に劣る。
【0107】
[2.2]転写効率
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、画像形成装置の感光体上に前記各実施例および各比較例で得られた液体現像剤による液体現像剤層を形成した。次に、液体現像剤層が感光体と中間転写部との間を通過した後の、感光体上のトナー粒子と、中間転写部上のトナー粒子とをテープで採取した。採取に用いた各テープを記録紙上に貼り付け、それぞれのトナー粒子の濃度を測定した。測定後、中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度を、感光体上で採取されたトナー粒子の濃度と中間転写部上で採取されたトナー粒子の濃度との総和で除した数値に100を掛けた値を転写効率として求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
A :転写効率が96%以上であり、転写効率に特に優れる。
B :転写効率が90%以上96%未満であり、転写効率に優れる。
C :転写効率が80%以上90%未満であり、実用上問題のない。
D :転写効率が80%よりも小さく、転写効率に劣る。
【0108】
[2.3]定着強度
図1、図2に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、定着の設定温度を100℃として、熱定着を行った。
その後、非オフセット領域を確認した後、記録紙上の定着像を消しゴム(ライオン事務機社製、砂字消し「LION 261−11」)を押圧荷重1.2kgfで2回擦り、画像濃度の残存率をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
【0109】
A :画像濃度残存率が96%以上(非常に良い)。
B :画像濃度残存率が90%以上96%未満(良い)。
C :画像濃度残存率が80%以上90%未満(普通)。
D :画像濃度残存率が70%以上80%未満(やや悪い)。
E :画像濃度残存率が70%未満(非常に悪い)。
【0110】
[2.4]正帯電の帯電特性
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−2000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。
測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、□10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。
【0111】
A :電位差が+100mV以上(非常に良い)。
B :電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)。
C :電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)。
D :電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)。
E :電位差が+50mV未満(非常に悪い)。
【0112】
[2.5]分散安定性試験
[2.5.1]方法1
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが0mm。
B :沈降した深さが0mmよりも大きく、2mm以下。
C :沈降した深さが2mmよりも大きく、5mm以下。
D :沈降した深さが5mmよりも大きい。
【0113】
[2.5.2]方法2
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω(rω=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
A:0≦k<0.004
B:0.004≦k<0.008
C:0.008≦k<0.012
D:k≧0.012
【0114】
[2.6]リサイクル性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を用いて、それぞれ、図1、図2に示すような画像形成装置により、所定パターンの画像を10000枚の記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。この画像形成は、各色の液体現像剤タンクから対応する各色の撹拌装置への液体現像剤の供給を停止した状態で行った。10000枚の記録紙への画像形成を行った後、固形分含有率が20wt%となるように、撹拌装置に回収されたトナー粒子を絶縁性液体で希釈することにより再生した液体現像剤(リサイクル液体現像剤)について、以下に述べるような2種類の方法(方法1、方法2)のよる試験を行い、リサイクルについての適応性(リサイクル性)を評価した。
【0115】
[2.6.1]方法1
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤10mLを試験管(口径12mm、長さ120mm)に入れ、10日間静置後の沈降した深さを測定し、以下の4段階の基準に従って評価した。
A :沈降した深さが1mm以下。
B :沈降した深さが1mmよりも大きく、3mm以下。
C :沈降した深さが3mmよりも大きく、6mm以下。
D :沈降した深さが6mmよりも大きい。
【0116】
[2.6.2]方法2
各実施例および各比較例についてのリサイクル液体現像剤45.5mLを遠沈管に入れ、回転半径5cm、回転数500、1000、2000、4000、5000rpm、3分間の条件で遠心分離機(コクサン社製)にかけた後、各回転数における沈降した深さを測定した。
遠心加速度rω(rω=1118×回転半径(cm)×1分当たりの回転数(rpm)×10−8×g(重力加速度))を横軸にとり、沈降した深さを縦軸にとって、上記測定結果に基づいてプロットした。各プロットに基づいて、1次近似により傾きkを求め、下記基準に従い評価した。なお、kの値が低いほど、分散安定性が高いと言える。
【0117】
A:0≦k<0.006
B:0.006≦k<0.010
C:0.010≦k<0.014
D:k≧0.014
これらの結果を表2に示す。
【0118】
【表2】

【0119】
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤は、帯電特性(正帯電の帯電特性)および、トナー粒子の長期分散安定性に優れていた。また、発明の液体現像剤は、リサイクル性にも優れていた。また、本発明の液体現像剤は、現像効率、転写効率、定着強度にも優れていた。これに対し、比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
また、図1、図2に示すような画像形成装置により、各色の液体現像剤混合槽から対応する各色の供給部へ液体現像剤が供給されるようにして、記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)への50000枚連続の画像形成を行ったところ、本発明では、50000枚目においても優れた画質の画像を形成することができ、画質の低下が認められなかったのに対し、比較例では、明らかな画質の低下が認められた。
【0120】
また、実施例1の分散剤を、KP−575(アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(信越化学工業社製、共重合体成分:アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチルポリシロキサン、溶媒:デカメチルシクロペンタンシロキサン、固形分:30wt%))、KP−543(アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(信越化学工業社製,共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:酢酸ブチル、固形分:50wt%))、KP−549(アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、固形分:40wt%))、KP−550(アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:イソドデカン、固形分:40wt%))、KP−541(アクリル−ポリシロキサングラフト共重合体溶液(信越化学工業社製、共重合体成分:アクリル酸アルキル/ジメチルポリシロキサン、溶媒:イソプロパノール、固形分:60wt%))のそれぞれに変更した液体現像剤を製造し、それぞれの液体現像剤について上記と同様の評価を行ったところ、同様の評価が得られた。
【符号の説明】
【0121】
1000…画像形成装置 10Y、10M、10C、10K…感光体 11Y…帯電ローラ 12Y…露光ユニット 13M、13Y…感光体スクイーズローラ 14M、14Y…クリーニングブレード 15M、15Y…現像剤回収部 16Y…除電ユニット 17Y…感光体クリーニングブレード 18Y…現像剤回収部 20Y、20M、20C、20K…現像ローラ 21Y…現像ローラクリーニングブレード 24Y…現像剤回収部 30Y、30M、30C、30K…現像部 31Y…液体現像剤貯留部 31aY…供給部 31bY…回収部 31cY…仕切 32Y…塗布ローラ 33Y…規制ブレード 34Y…現像剤撹拌ローラ 35Y…連通部 36Y…回収スクリュー 40…中間転写部 41…ベルト駆動ローラ 49…テンションローラ 44、45…従動ローラ 46…中間転写部クリーニングブレード 47…現像剤回収部 48…非接触式バイアス印加部材 51Y、51M、51C、51K…1次転写バックアップローラ 52Y、52M、52C、52K…中間転写部スクイーズ装置 53Y…中間転写部スクイーズローラ 55Y…中間転写部スクイーズクリーニングブレード 56Y…現像剤回収部 60…2次転写ユニット 64…上流側2次転写ローラ 65…下流側2次転写ローラ 66、68…2次転写ローラクリーニングブレード 67、69…現像剤回収部 90Y、90M、90C、90K…液体現像剤補給部 91Y、91M、91C、91K…液体現像剤タンク 92Y、92M、92C、92K…絶縁性液体タンク 93Y、93M、93C、93K…液体現像剤混合槽 100Y…現像ユニット 101Y…感光体スクイーズ装置 F40…定着部(定着装置) F5…記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性液体中において、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料で構成された樹脂微粒子と、水に溶解したポリアルキレンイミンを含む乳化液とを接触させ、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る化学修飾工程と、
前記分散体を攪拌しつつ加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。
【請求項2】
ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料を粗粉砕し、粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、
前記粗粉砕物を、ポリアルキレンイミンを含む乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で湿式粉砕し、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る湿式粉砕工程と、
前記分散体を攪拌しつつ加熱する加熱工程と、を有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。
【請求項3】
前記加熱工程における加熱温度は、25℃以上、前記樹脂材料のガラス転移点以下である請求項1または2に記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項4】
前記ポリアルキレンイミンを含む乳化液のエマルションの平均粒径は、100nm以上10μm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項5】
前記加熱工程における加熱処理は、減圧下にて行う請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項6】
前記ポリアルキレンイミンの重量平均分子量は、300以上200000以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項7】
前記ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンである請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項8】
前記ロジン系樹脂の軟化点は、60℃以上190℃以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項9】
前記ロジン系樹脂の重量平均分子量は、500以上100000以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項10】
絶縁性液体中において、ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料で構成された樹脂微粒子と、ポリアルキレンイミンを含む乳化液とを接触させ、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る化学修飾工程と、前記分散体を攪拌しつつ加熱する加熱工程と、を有する製造方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。
【請求項11】
ポリエステル樹脂とロジン系樹脂とを含む樹脂材料を粗粉砕し、粗粉砕物を得る粗粉砕工程と、前記粗粉砕物を、ポリアルキレンイミンを含むポリアルキレンイミン乳化液と分散剤とを含む絶縁性液体中で湿式粉砕し、表面がポリアルキレンイミンで化学修飾されたトナー粒子が絶縁性液体中に分散した分散体を得る湿式粉砕工程と、前記分散体を攪拌しつつ加熱する加熱工程とを有する製造方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−221100(P2011−221100A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87284(P2010−87284)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】