説明

液晶表示パネルのバックライト装置

【課題】光の利用効率が高く、しかも配線基板の設計の自由度が大きい液晶表示パネルのバックライト装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネル2の下面側に配置される長方形の平板部9aと、前記平板部9aの上面側の辺から略135°の挟角で下降方向に傾斜する第1の全反射面9bと、前記第1の全反射面9bに光を導く導く導光部と、からなる導光体9と、前記導光体9の平板部9a下面に貼着された反射板4と、前記平板部9aの下方に配置された配線基板5に実装され前記導光部に向けて光を放射する光源6とにより構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は液晶表示パネルに係わり、特に、そのバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002−289023号公報に開示された従来の液晶表示パネルの照明装置は図6に示すように、液晶表示パネル121の背後に断面テーパ形状の導光体127が配置され、導光体127の下面に反射板131が貼着されている。
【0003】
導光体127の側面は入射面129となっており、入射面129と対向する位置に複数の光源132が配置され、光源132と入射面129の間にフレネルレンズ状の屈折面を有する屈折集光板135が配置されている。なお、光源132は平面視すると屈折集光板135の焦点の位置にある。
【0004】
複数の光源132から放射状に出射された光は屈折集光板135により平行光とされ、導光体127内を平面視において平行に進み、液晶表示パネル121側に出射され、または、反射板131で反射された後、液晶表示パネル121側に出射される。
【0005】
上記特開2002−289023号公報に開示された液晶表示パネルの照明装置では、導光体127がテーパ形状となっているため、導光体127の下に配線基板を配置する場合に、配線基板に実装される電子部品の制限される高さが配置位置によって異なり、配線基板の設計の自由度が小さくなるという問題があった。
【0006】
特開2000−137218号公報に開示された従来の液晶表示パネルの照明装置を図7に示す。図7に示すように、液晶表示パネルであるLCD202の背後に光誘導板204が配置されている。光誘導板204の傾斜した光取り込み面204aの高さは平板部の厚さhより高くなっている。
【0007】
光誘導板204の下側に配置された回路基板201には光源であるLED206が実装されている。光誘導板204の光取り込み面204aと対向する位置にLED206を挟むように反射板208のθの角度傾斜した反斜面208aが配置されている。LED206から出射した光は反射板208の反斜面208aで反射されて、または、直接に光誘導板204の側面に入射され、光誘導板204によりLCD202の背面に導かれる。
【0008】
上記特開2000−137218号公報に開示された従来の液晶表示パネルの照明装置は、LED206からの光が反斜面208aで反射されて光誘導板204に導かれる。ところで、光が物体に入射すると、一部は透過、吸収され、一部が反射される。すなわち、略100%の反射率で反射されることはない。従って、この照明装置は光の利用効率が低くなるという問題があった。
【0009】
実開昭63−65091号公報に開示された従来の液晶表示パネルの照明装置を図8に示す。図8に示す表示部317の背後に凹面部310の形成された光ガイド体309が配置されている。そして、凹面部310には光反射層313が設けられている。
【0010】
光ガイド体309の下側に配置された配線基板306にはデバイス308および発光体307が実装されている。発光体307から出射した光は光ガイド体309の側面に入射され、光ガイド体309により表示部317の背面に導かれる。
【0011】
上記実開昭63−65091号公報に開示された従来の液晶表示パネルの照明装置では、光ガイド体309の下面が凹面形状となっているため、配線基板306に実装されるデバイス308の制限される高さが配置位置によって異なり、配線基板の設計の自由度が小さくなるという問題があった。
【特許文献1】特開2002−289023号公報、段落0008〜段落0012、図1
【特許文献2】特開2000−137218号公報、段落0014、図2
【特許文献3】実開昭63−65091号公報、4頁、第1図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、光の利用効率が高く、しかも配線基板の設計の自由度が大きい液晶表示パネルのバックライト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明の液晶表示パネルのバックライト装置は、液晶表示パネルの下面側に配置される長方形の平板部と、前記平板部の上面側の辺から略135°の挟角で下降方向に傾斜する第1の全反射面と、前記第1の全反射面に光を導く導く導光部と、からなる導光体と、前記導光体の平板部下面に貼着された反射板と、前記平板部の下方に配置された配線基板に実装され前記導光部に向けて光を放射する光源とを含むものである。
【0014】
また、前記液晶表示パネルのバックライト装置において、前記導光部が前記第1の全反射面と略90°の挟角をなす第2の全反射面と前記第2の全反射面に前記光源からの光を導く部分で構成されているものである。
【0015】
また、前記各液晶表示パネルのバックライト装置において、前記平板部の上面側の対向する2つの辺に前記第1の全反射面が夫々連なっているものである。
【0016】
また、前記各液晶表示パネルのバックライト装置において、前記液晶表示パネルと導光体の平板部の間に光散乱板が介装されているものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明の液晶表示パネルのバックライト装置によれば、光の利用効率が高く、しかも配線基板の設計の自由度が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施例1である液晶表示パネルのバックライト装置を示す断面図である。
【図2】同液晶表示パネルのバックライト装置を示す平面図である。
【図3】同液晶表示パネルのバックライト装置を示す分解斜視図である。
【図4】図4(a)は同液晶表示パネルのバックライト装置の導光体を上前方から見た斜視図、図4(b)は同導光体を下後方から見た斜視図である。
【図5】この発明の実施例2である液晶表示パネルのバックライト装置を示す断面図である。
【図6】従来の液晶表示パネルの照明装置の例を示す断面図である。
【図7】従来の液晶表示パネルの照明装置の他の例を示す断面図である。
【図8】従来の液晶表示パネルの照明装置のさらに他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下この発明を実施するための形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1はこの発明の実施例1である液晶表示パネルのバックライト装置を示す断面図、図2は同液晶表示パネルのバックライト装置を示す平面図、図3は同液晶表示パネルのバックライト装置を示す分解斜視図、図4は同液晶表示パネルのバックライト装置の導光体を示す斜視図である。
【0021】
図1および図3に示すように、液晶表示パネル2、光散乱板3、反射板4が貼着された導光体1が重ねられてLCDホルダー8により配線基板5にかしめ付けられている。導光体1はアクリル、ポリカーボネート、ABS樹脂等の透明樹脂で形成されており、その形状は図4でに示すように周囲壁が三角形状に形成された箱形形状である。そして、導光体1は配線基板5に箱を伏せたように配置されている。
【0022】
図1に示すように、導光体1の下面に貼着された反射板4と配線基板5との間の空間には電子部品7、7が実装されている。また、配線基板5の導光体1の内面近傍には光源6、6が実装されている。
【0023】
導光体1を配線基板5に伏せたように配置すると、導光体1の箱形の底面を構成する平板部1aは配線基板5に対して上方に位置し、この状態での平板部1a上面の対向する両辺から第1の全反射面1b、1bが略135°の挟角で下降方向に傾斜するように延びている。そして、第1の全反射面1b、1bから第2の全反射面1c、1cが第1の全反射面と略90°の挟角をなすように導光体1の下端まで延びている。
【0024】
光源6、6から光が導光体1の垂直の内面方向に放射されて導光体1内に透過する。図1および図2に代表的な光線の経路を矢印い示している。すなわち、光源6から導光体1内に透過した光は、第2の全反射面1cで全反射されて第1の全反射面1bに向かい、第1の全反射面1bで全反射されて平板部1a内を中央方向に進む。
【0025】
そして、その一部は光散乱板3で散乱されて液晶表示パネル2の背面方向に向かう。平板部1a内を中央方向に進む光の他の一部は導光体1の下面に施されたシボ加工による微笑な凹凸により拡散反射され液晶表示パネル2の背面方向に向かう。
【0026】
また、導光体1の下面を透過した光は白色樹脂、板金、アルミシート等で作られた反射板4で反射されて液晶表示パネル2の背面方向に向かう。このように液晶表示パネル2は散乱された光で照射されるので光むらが生じにくい。
【0027】
上記の全反射は屈折率の大きい媒質から小さい媒質に向けて臨界角を越える入射角で進むときに生じる現象である。この全反射においては光は透過または吸収されることなく略100%反射されるので、光の利用効率が高くなる。
【0028】
また、導光体1内の配線基板5から反射板4までの高さは全域で同一であるため、導光体1内に配置される電子部品7の高さの制限は一定であり配線基板5の設計の自由度が高くなる。
【実施例2】
【0029】
図5はこの発明の実施例2である液晶表示パネルのバックライト装置を示す断面図である。このバックライト装置に使用する導光体9の箱形の底面を構成する平板部9aは配線基板5に対して上方に位置し、この状態での平板部9a上面の対向する両辺から第1の全反射面9b、9bが略135°の挟角で下降方向に傾斜するように延びている。そして、第1の反射面9b、9bから垂直面が下端まで延びており、この垂直面と対向する面に段差が設けられている。
【0030】
配線基板5に実装された光源6、6から光が上方に放射されて導光体1内に透過して第1の全反射面9b、9bに達する。他の構成および作用は実施例1と同様であり、詳細な説明を省略する。このような構成によっもこの発明の効果が得られる。
【0031】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、第1の全反射面や第1の全反射面に光を導く導光部を導光体の上面の1辺のみに設ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明の液晶表示パネルのバックライト装置は、光の利用効率が高く、しかも配線基板の設計の自由度が大きいため、小形の電子機器に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 導光体、1a 平板部、1b 第1の全反射面、1c 第2の全反射面
2 液晶表示パネル
3 光散乱板
4 反射板
5 配線基板
6 光源
7 電子部品
8 LCDホルダー
9 導光体、9a 平板部、9b 第1の全反射面
121 液晶表示パネル
127 導光体
129 入射面
131 反射板
132 光源
135 フレネルレンズ状の屈折面を有する屈折集光板
201 回路基板
202 LCD
204 光誘導板、204a 光取り込み面
206 LED
208 反射板、208a 反斜面
306 配線基板
307 発光体
308 デバイス
309 光ガイド体
310 凹面部
313 光反射層
317 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルの下面側に配置される長方形の平板部と、前記平板部の上面側の辺から略135°の挟角で下降方向に傾斜する第1の全反射面と、前記第1の全反射面に光を導く導く導光部と、からなる導光体と、前記導光体の平板部下面に貼着された反射板と、前記平板部の下方に配置された配線基板に実装され前記導光部に向けて光を放射する光源とを含む液晶表示パネルのバックライト装置。
【請求項2】
前記導光部は前記第1の全反射面と略90°の挟角をなす第2の全反射面と前記第2の全反射面に前記光源からの光を導く部分で構成されている請求項1の液晶表示パネルのバックライト装置。
【請求項3】
前記平板部の上面側の対向する2つの辺に前記第1の全反射面が夫々連なっている請求項1または2の液晶表示パネルのバックライト装置。
【請求項4】
前記液晶表示パネルと導光体の平板部の間に光散乱板が介装されている請求項1から3のいずれかに記載された液晶表示パネルのバックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−286751(P2010−286751A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141883(P2009−141883)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【出願人】(596098128)株式会社山形ケンウッド (13)
【Fターム(参考)】