説明

液晶表示装置及びこれを用いた大型液晶表示装置

【課題】本発明は、液晶表示装置を大型化・高解像度化した場合であっても、低消費電力を実現することができる液晶表示装置及びこれを用いた大型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1基板(透明基板103)と、第1基板(透明基板103)と対向する第2基板(透明基板103)と、第1基板(透明基板103)と第2基板(透明基板103)とに挟持された液晶101と、第1基板(透明基板103)上の画素毎に設けられ、液晶101を駆動する駆動回路301と、画素毎又は複数の画素毎に設けられ、液晶を駆動するために発電した電力を供給する光発電素子201とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びこれを用いた大型液晶表示装置に係る発明であって、特に、大型化、高解像度化、低消費電力化が可能な液晶表示装置及びこれを用いた大型液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶を光学シャッターとして用いることで光を制御し、所望の画像を表示するデバイスである。つまり、液晶表示装置は、プラズマディスプレイや有機EL(electro-luminescence)のように自発光型ではなく、非自発光型の表示装置である。そのため、液晶表示装置では、何らかの光源が必要となる。一般にPCなどに利用されている透過型液晶表示装置の場合は、バックライトと呼ばれる光源を背面に設けている。また、携帯端末等に用いられる反射型液晶表示装置等の場合は、フロントライトと呼ばれる光源を前面に設けるか、外光を光源としている。
【0003】
また、液晶表示装置は、一般的に低消費電力であるが、光源を除いた液晶パネル部分の消費電力は特に低い。そのため、光源が不要な反射型液晶表示装置は、電池駆動の機器に広く採用されている。
【0004】
さらに、液晶表示装置は、ゼグメント方式からマトリクス方式へ、パッシブ駆動からアクティブ駆動へと進化することにより、高解像度化、大型化が進んでいる。しかし、液晶表示装置の高解像度化、大型化は、液晶表示装置の低消費電力の特性と相反するものである。液晶表示装置が大型化すると、ソース配線やゲート配線の配線距離が長くなり、当該配線の配線容量が増大し、消費電力が増加する問題があった。
【0005】
また、液晶表示装置が高解像度化すると、1フレーム周期内でのソース配線やゲート配線の電圧変化が多くなり、消費電力が増加する問題があった。さらに、液晶表示装置が大型化・高解像度化すると、各配線に供給される信号の遅延が大きくなり、ソース配線やゲート配線の片側から駆動する方式では所定の期間内に所定の電圧を液晶に印加することが間に合わない問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1又は特許文献2においては、低消費電力を達成するために、太陽電池を設けた液晶表示装置を提案している。
【0007】
【特許文献1】特開2001−184033号公報
【特許文献2】特開2004−191645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1又は特許文献2のように単純に太陽電池を設けただけでは、大型化・高解像度化することによる消費電力の増加及び信号の遅延を解決することができない。また、液晶表示装置において、さらに大型化・高解像度化が進めば、太陽電池をさらに大きくするなどの手段をとる必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、液晶表示装置を大型化・高解像度化した場合であっても、低消費電力を実現することができる液晶表示装置及びこれを用いた大型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る解決手段は、第1基板と、第1基板と対向する第2基板と、第1基板と第2基板とに挟持された液晶と、第1基板上の画素毎に設けられ、液晶を駆動する駆動回路と、画素毎又は複数の画素毎に設けられ、液晶を駆動するために発電した電力を供給する光発電素子とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明に記載の液晶表示装置は、画素毎に設けられ、発電した電力を画素及び駆動回路に供給する光発電素子とを備えるので、液晶表示装置を大型化・高解像度化した場合であっても、低消費電力を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る液晶表示装置では、バックライトを光源とし、表示面に対して垂直な方向に電圧を印加する透過型液晶表示装置について説明する。しかし、本発明に係る液晶表示装置はこれに限られず、表示面に対して水平方向に電圧が印加される液晶表示装置(例えば、IPS(In-plane Switching)方式)や反射型液晶表示装置であっても良い。
【0013】
図1に、本実施の形態に係る液晶表示装置の断面図を示す。図1に示す液晶表示装置では、各画素において、液晶101が対向する透明電極102(例えば、ITO(Indium Tin Oxide))に挟持されている。透明電極102は、ガラスなどの一対の透明基板103上に形成されている。そして、一対の透明基板103は、シール材104で貼り合わされている。また、一方の透明基板103には、画素毎に液晶101を駆動するための駆動回路301が設けられている。他方の透明基板103には、カラー表示のためのカラーフィルタ(図示せず)が形成される場合がある。
【0014】
本実施の形態に係る液晶表示装置では、駆動回路301が形成された透明基板103上の画素周囲に、さらに直列接続された光発電素子201が設けられている。光発電素子201は、駆動回路301及び透明電極102と接続している。なお、光発電素子201は、バックライト光が通過する画素の開口部周辺に設けられており、通常の液晶表示装置に用いられているブラックマトリクス(以下、BMともいう)の位置に設けられている。
【0015】
本実施の形態に係るバックライトには、通常使用される主光源152(例えば、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp))と、それとは別に特定の波長をもったLED401(Light Emitting Diode)とを備えている。LED401は制御用光源(制御用電磁波源)であり、駆動回路301の制御信号である光(電磁波)を供給する。なお、主光源152からの光と、LED401からの光(電磁波)とは導光体151で混ざり合い、液晶パネルに供給される。これにより、LED401からの光を液晶パネル全面に供給する手段を別途設ける必要がなくなる。
【0016】
また、本実施の形態に係る光発電素子201は、物性的に光起電力をもつ素子であり、PIN接合の半導体が良い特性を示す。なお、PIN接合とは、少数キャリアの再結合を減少させるためにp形層とn形層の間に非ドープ層(i形層)を設けた構造の接合であり、アモルファスシリコン太陽電池において、広く用いられている。また、光発電素子201は、透明基板103上で形成しても良いし、別途製造したものを実装することもできる。
【0017】
本実施の形態に係る駆動回路301は、既存のTFT(Thin Film Transistor)液晶パネルと同様、アモルファスシリコンやポリシリコンTFTの製造工程で作りこむことができる。
【0018】
次に、本実施の形態に係る液晶表示装置の動作を説明する。まず、光発電素子201は、バックライトからの光(主光源からの光)を受け発電する。発電された電圧は、駆動回路301へ供給され、所望の電圧になるよう調整した後、液晶101に印加される。一般に、光発電素子201は、1セルあたりの発電電圧は小さく、数V規模の電圧を必要とする場合は、数セルを直列接続して使用する。但し、発電電圧が大きい光発電素子201であれば、図示しないが、画素毎に1セル設ける構成であっても良い。図2に、光発電素子201で発電された電圧を液晶101に印加する場合の模式図を示す。図2では、3つのセルが直列接続した光発電素子201から、マルチプレクサ302が所望の電圧を取り出し液晶101に印加する。
【0019】
通常の光発電素子201において、一定の光強度下での出力電圧は出力電流の増加と共に減少する。しかし、液晶101に出力電圧を印加する場合、液晶101は等価的にコンデンサとみなすことができるので、充電が終了すると電流は流れなくなる。そのため、最終的に到達する液晶101の印加電圧が、光発電素子201の飽和電圧となる。また、この飽和電圧は光強度依存性が小さく、それが無視できる範囲であれば、電圧レギュレータを置くことなくバックライトを調光(減光)することもできる。なお、光発電素子201は、画素毎、個別に設けても良いし、同じものを周囲の複数の画素で共有しても良い。
【0020】
次に、液晶表示装置に画像を表示させるためには、各画素の駆動回路301に所定の制御信号を送る必要がある。従来の液晶表示装置のように、液晶パネル内にソース配線やゲート配線を引くことでも実現することができる。しかし、背景技術でも説明したように、大型化・高解像化した場合には、配線容量の増大等の理由により、消費電力が増加する問題があった。そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置では、消費電力の低減が可能な別の方法で各画素の駆動回路301に所定の制御信号を伝送する。
【0021】
つまり、本実施の形態に係る液晶表示装置では、液晶パネル内にソース配線やゲート配線を引かずに、各画素の駆動回路301に対して制御用の光(以下、単に電磁波ともいう)を用いて制御信号を伝送している。そのため、本実施の形態に係る液晶表示装置では、各画素の駆動回路301に伝送された電磁波を復調する復調部が必要となる。この復調部は、特定周波数の電磁波を選択する手段(例えば、光学フィルタ)や選択した電磁波から必要な信号を取り出す手段(例えば、光センサ)が必要となる。なお、光のように波長が短くなると、物性的な周波数選択手段を取ることが可能となる。
【0022】
但し、液晶表示装置の場合、画素が非常に多くなるため、全ての画素にキャリア周波教を割り当てて駆動回路301を制御するのは非効率的である。そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置では、画素に電圧を印加するタイミングであるスタートパルス信号のみ隣接する画素間に設けられた配線を伝送させ、駆動回路301の制御タイミングであるクロック信号及び画素に印加するデータ信号には電磁波を利用している。なお、クロック信号とデータ信号とは、異なる周波数(波長)の電磁波を利用する。
【0023】
具体的に、本実施の形態では、バックライトに設けられた特定の波長をもつLED401を使用して、クロック信号やデータ信号を駆動回路301に伝送する。駆動回路301には、図3に示すようにクロック信号を受光する光センサ311及びデータ信号を受光する光センサ312を有し、それぞれの光センサ311,312には異なった波長の電磁波を選択できるフィルタ313が備えられている。なお、図3では、光センサ312が2つ設けられている。
【0024】
バックライト光から、導光体151で主光源152と混色された制御用の光(電磁波)を、フィルタ313で分離している。このフィルタ313は、一般的なカラーフィルタやプリズム、スリット等の干渉フィルタなどを使用することができる。なお、図4に、3つの異なる波長に対して、3つの異なるフィルタの透過率特性が示されている。図4に示されているそれぞれのフィルタを用いることで、制御用の光(電磁波)をそれぞれの波長に分離することができる。
【0025】
制御用光源は、LED401と説明したが、波長範囲としては紫外から赤外の300nmから1μm程度が考えられる。しかし、どのようなパターンの制御信号であっても表示に影響が出ないようにするには、紫外や赤外のような可視光範囲以外の波長を使用するほうが望ましい。これは、制御用光源に可視光の光源を選ぶ場合、制御信号のパターンによって点灯期間と非点灯期間の比率が変わり、表示に影響が出ることが考えられるためである。但し、光センサ311,312の感度が視感度に比べ十分に高い場合、つまり表示面を見ても制御用の光(電磁波)の点灯・非点灯がほとんど視認できない場合、点灯期間と非点灯期間の比率が変化する場合であっても表示に影響が出ることはない。なお、光センサ311,312の感度が視感度に比べ十分に高い場合、主光源152のスペクトルの弱い波長領域を使用したほうが、S/N比が高くとれるため好ましい。
【0026】
次に、本実施の形態に係る液晶表示装置の一つの画素で処理される信号の波形図を図5に示す。ここで、簡略化のために光センサ311,312は、選択された光を受光しているときハイレベルを出力し、光を受光していないときローレベルを出力するものとする。まず、クロック信号用のLED401の点滅を、フィルタ313を介して光センサ311が受光し、これにより光センサ311が全画素同時のクロック信号を生成する。図3では示されていないが、最初に書き込みが行われる画素には、スタートパルス信号用のLED401からの光を光センサで受け、スタートパルス信号を生成する。生成されたスタートパルス信号は、隣接する画素間に設けられた配線を介して、順次隣の画素に伝送される。
【0027】
画素に、図5に示すようなスタートパルス入力が入力され、図3に示すANDゲート314でハイレベルにラッチされると、光センサ312で受光したLED401(データ信号用)の光がレジスタ315に転送される。図5では、スタートパルス入力がハイレベルで、クロック信号が立ち上がった際(図中、破線で示すタイミング)に、光センサ312で受光したデータ0入力及びデータ1入力に基づいてデータ0及びデータ1が変化することになる。
【0028】
図3に示す例では、2種類の光センサ312を設けていることから、データ信号用のLED401は2種類あり、2Bit(4階調)の印加電圧を選択することができる。レジスタ315からD/A変換に必要なデジタルBit情報がマルチプレクサ302に伝送され、マルチプレクサ302は、当該デジタルBit情報に基づいて所定の印加電圧を選択して液晶101に印加している。
【0029】
駆動回路301は、データ信号の転送が終わると、図3のレジスタ316で次の画素のためのスタートパルス信号を生成する。そして、駆動回路301は、図5に示すようなスタートパルス出力をカスケード接続された次の画素に出力する。なお、以降の画素についても図5に示した波形と同じ動作を繰り返すことになる。このように本実施の形態に係る液晶表示装置では、一つの画素に着目すると、次のスタートパルス信号が来るまでの間(1リフレッシュレート期間)は同じデータを保持することになる。
【0030】
従って、通常用いられている液晶表示装置では、少なくとも1水平期間内に所定の印加電圧を画素に書き込む必要があったが、本実施の形態では、書き込み時間が1水平期間に制限されることなく、次のスタートパルス信号が来るまで期間確保することができるため、長く充電期間が取れることができる。よって、光発電素子201の発電能力が弱くても長い時間(数ms)かけて充電することができ、光発電素子201のサイズを小型化することも可能となる。さらに、本実施の形態に係る液晶表示装置では、各画素に設けられた駆動回路301の電源も、光発電素子201により供給されている。
【0031】
上述したように、スタートパルス信号は、電気的な配線により隣接画素間を伝送されている。通常、マトリクス型表示装置における画素の制御は、左から右へとスキャンした後、次の行の左へ帰還するように動作する。しかし、本実施の形態に係る液晶表示装置において、スタートパルス信号を右から左へ帰還させるには、長い配線が必要となる。そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置では、図6に示す一筆書きのようにスタートパルス信号を伝送することで、効果的に配線することができる。なお、図6では、画素701間のスタートパルス信号の伝送方向を矢印702で示している。
【0032】
つまり、本実施の形態では、スタートパルス信号を左から右へとスキャンした後、右から左へとスキャンする。但し、データ信号用のLED401などから伝送されるデータ信号の並びは、一筆書きのスキャンに合わせて並べ替えを行っている。具体的な、画素構造を図7に示す。図7では、画素701と光発電素子201とが駆動回路301で接続され、隣接する画素701の駆動回路301同士がスタートパルス配線703で接続されている。なお、図7では、駆動回路301内の光センサ311,312も図示されている。
【0033】
次に、上述したように、スタートパルス信号の起点となる最初に書き込みが行われる画素のみ、電気的配線若しくは専用の復調部が必要となる。上述したように、専用の復調部を設ける場合、専用波長をもった光源を使用し、当該専用波長を選択し受光するフィルタと光センサを駆動回路301に別途設ける必要がある。一方、電気的配線を設ける場合、当該電気的配線を用いて外部の回路と接続し、当該回路で生成したスタートパルス信号を画素に供給する構成が必要となる。
【0034】
なお、起点となるスタートパルス信号を生成する方法として、一旦主光源152を消灯させて別途用意したセンサで検出することや、一旦主光源152を消灯させて光発電素子201の発電電圧の低下を検出することで、起点となるスタートパルス信号を生成することも考えられる。また、通常の制御信号ではありえない組み合わせの信号を作り、この信号を利用して起点となるスタートパルス信号を生成する方法も考えられる。
【0035】
但し、起点となるスタートパルス信号を生成する方法として、電気的配線を設けること以外の方法を選択する方がメリットは大きい。これは、スタートパルス信号の生成にも電気的配線を使用しなければ、液晶パネルに接続される外部配線が完全になくなるためである。液晶パネルに接続される外部配線がなくなれば、液晶パネルの外周部分に外部配線と接続する接続端子(数mm程度)を設ける必要がない。本実施の形態では、シール材104の部分まで液晶パネルの外形の小さくすることができ、非常に狭額縁の液晶パネルとなる。
【0036】
また、主光源152及び制御用光源(LED401)を有するバックライトも液晶パネルと同様に狭額縁化することで、液晶表示装置を緻密にタイリングして大型液晶表示装置を構成することが可能となる。図8に、液晶表示装置を緻密にタイリングした場合の概念図を示す。液晶パネルを狭額縁化することにより、タイリングした継ぎ目の部分における表示への影響が小さくなる。図8のように液晶表示装置801をタイリングした際、バックライトの光学系も個々に独立させていれば、個々の制御用光源は隣接する液晶パネルを制御する必要がない。そのため、制御用光源の周波数を著しく低減することができる。
【0037】
具体的に、100画素×100画素の液晶表示装置801をタイリングして1000画素×1000画素の大型液晶表示装置とした場合を考える。まず、1000画素×1000画素の全てを1つの制御用光源で制御するには、リフレッシュレートが60Hzであれば60Hz×1000×1000=60MHzの周波数で制御する必要がある。しかし、100画素×100画素の液晶表示装置801毎に独立した制御用光源を有している場合は、リフレッシュレートが60Hzであれば60Hz×100×100=600kHzの周波数で個々の制御用光源を制御すれば良い。
【0038】
加えて、タイリングすることなく極めて大きな大型液晶表示装置を製作する場合、製造上のマザーガラスの大きさで制約されることになる。例え、マザーガラスの制約を抜きにしても、上述したように配線が長くなり配線容量が肥大化し消費電力が増大する問題が残ることになる。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置では、光発電素子201を用いて駆動に必要な電圧を液晶パネル内部で生成し、個々の駆動回路301の制御にも電磁波を用いているので、基本的に内部に長い配線が不要となり、大型化・高解像度化しても消費電力を極めて低くすることができる。また、本実施の形態に係る液晶表示装置では、液晶パネルを狭額縁化することができるので、タイリングすることで大型液晶表示装置を容易に構成することができるため、マザーガラスサイズの制約を受けずに高解像度の大型液晶表示装置を作成することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態に係る液晶表示装置では、液晶101の駆動に必要な電力を従来BMにより吸収させていた光を有効活用するため、事実上液晶パネルへの投入電力をゼロにすることが可能となる。また、本実施の形態に係る液晶表示装置では、液晶パネルに接続される配線がないので、ワイヤレス液晶パネルとして様々な用途に応用が期待できる。
【0041】
なお、本実施の形態では、バックライトに制御用光源を加えた方式を説明したが、本発明はこれに限られずフロントライトに制御用光源を加えた方式であっても良い。また、反射型の液晶表示装置の場合、制御用光源のみをフロントライト又はバックライトに組み込み、主光源は外光でまかなう方式でも良い。さらに、本発明は、主光源のみをバックライトに、制御用光源をフロントライトに組み込むこともできる。なお、主光源がフロントライトに取り付けられている場合や反射型の場合は、光発電素子201は表示面側の基板に設けられる。
【0042】
(実施の形態2)
液晶表示装置において、カラー表示させる場合、一般的にカラーフィルタを用いて三原色を分離し、個々に透過率を制御して様々な色を表示している。本発明も同様の方式により、カラー表示が可能であり、各画素にカラーフィルタを設けることで実現している。
【0043】
一方、光発電素子201の特性に着目すると、近年、薄膜化された光発電素子201が開発されており、当該光発電素子201は光透過性を有している。加えて、当該光発電素子201は有色性を示すものも開発されている。
【0044】
本実施の形態に係る液晶表示装置では、この有色性を示す薄膜化された光発電素子201をカラーフィルタとして使用する。これにより、個別のカラーフィルタが不要になる。また、光発電素子201の配置場所をBM領域に限定する必要がないため、画素の開口部上にも配置することができ、広い面積に光発電素子201を配置することができる。
【0045】
なお、本実施の形態に係る液晶表示装置では、サブピクセルの配色は一般的なRGB三原色に制限されない。また、本実施の形態に係る液晶表示装置では、液晶101を駆動する制御信号の伝送を、三原色同時に行っても良いし、例えばR→G→B→R→G→…とシーケンシャルに行っても良い。
【0046】
(実施の形態3)
実施の形態1で説明した液晶表示装置では、各画素が4階調で表現されると説明した。しかし、一般的な液晶表示装置では、より多くの階調表現が可能である。そこで、本実施の形態では、液晶表示装置の多階調化について説明する。ここで、液晶表示装置の多階調化には、制御する信号の多数化と、液晶101に印加する電圧の微妙な調整が必要となる。
【0047】
まず、液晶表示装置の多階調化により、制御する信号を多数化するとは、データ信号のデータビットを増やすことである。実施の形態1において、データビットが増えると、その分だけ余計に制御用光源(種類)が必要となる。また、制御用光源の増加に伴い、光センサやフィルタの種類を駆動回路301内に増やす必要がある。但し、制御用光源の種類が増えることは、より狭い波長範囲で動作するバンドパスフィルタを必要とする問題がある。
【0048】
そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置では、単一の制御用光源に、複数の信号を重畳させる方式を用いる。具体的には、1画素の駆動回路301に、図3に示すような2つの光センサ312を設け、当該2つの光センサ312が2回のクロック信号でデータを捕捉している。図9に、本実施の形態に係る液晶表示装置に駆動波形を示す。図9は、クロック信号、スタートパルス入力、データ0入力及びデータ1入力は基本的に図5と同じである。なお、データ0入力及びデータ1入力は、2つの光センサ312のそれぞれに入力されるデータである。
【0049】
図9において、図5と異なる点は、スタートパルス入力の立ち上がりから2回分のクロック信号後にスタートパルス出力が出力されている点である。つまり、データ信号を伝送する期間(スタートパルス入力からスタートパルス出力まで)に含まれるクロック信号数が2倍になっている。これにより、本実施の形態では、1回目のクロック信号の立ち上がり(破線I)で、従来と同様データ0とデータ1とを捕捉し、2回目のクロック信号の立ち上がり(破線II)で、新たにデータ2とデータ3を捕捉することができる。よって、本実施の形態では、実施の形態1の2倍のデータビット(4bit)を得ることができる。
【0050】
以上のように、データ信号を伝送する期間に含まれるクロック信号数を2倍にすることで、制御用光源(データ信号用)の種類の2倍の階調データを得ることができる。同様に、階調情報が必要な場合、データ信号を伝送する期間に含まれるクロック信号数を必要なだけ増やすことで可能となる。すなわち、本実施の形態に係る液晶表示装置では、データ信号用光源の種類をmとし、データ信号を伝送する期間に含まれるクロック信号数nとする場合、m×nビットの階調データを伝送することができる。すなわち、本実施の形態では、データ信号の送信をパラレル−シリアル伝送化している。
【0051】
次に、液晶101に印加する電圧の微妙な調整手法について説明する。まず、図10に、光発電素子201の発電電圧を分圧する分圧回路210と、それを選択するマルチプレクサ302とを有する駆動回路301の一部を示す。図10に示す分圧回路210では、単純な抵抗分圧の例で示されているが、本発明に係る分圧回路210は抵抗に限られず、他の各種手段を使用しても良い。また、図10では、マルチプレクサ302の後段に電圧フォロア等のためのバッファ304が設けられている。しかし、液晶101への書き込み(充電)を所望期間内に終了できるのであれば、バッファ304を特に設ける必要はない。
【0052】
次に、別の調整手法を図11に示す。図11では、直列接続された光発電素子201毎に抵抗を設けている。なお、当該抵抗は、光発電素子201以外の部分に形成しても良いし、光発電素子201の内部抵抗であっても良い。また、図11では、光発電素子201の記号の大きさを変えて、それぞれ飽和発電電圧が異なっていることを示している。例えば、図11の光発電素子201は、上から8V、4V、2V、1Vの飽和発電電圧をそれぞれ有している。
【0053】
各光発電素子201には、並列にスイッチ303が設けられている。当該スイッチ303は、光発電素子201に設けられた抵抗に比べ十分低い抵抗値でONすることができる。なお、図11のスイッチ303は、上からビット3、ビット2、ビット1、ビット0と表す。全てのビットのスイッチ303が開いている時は、液晶101に15Vが印加されることになる。そして、例えば、ビット3のスイッチ303を閉じると、液晶101に7Vが印加されることになる。
【0054】
つまり、いずれかスイッチ303(複数でも良い)が閉じて短絡すると、15Vから該当する光発電素子201の飽和電圧分だけ低い電圧が液晶101に印加されることになる。図11に示す回路構成とすることにより、最小の飽和発電電圧分だけの電圧分解能を有することができる。なお、飽和発電電圧を低くするには、光発電素子201自体の特性を調整しても良いし、図示していないが、各光発電素子201と抵抗とに並列するように別の抵抗を挿入することにより、スイッチ303が開いている状態でも光発電素子201の飽和発電電圧以下の電圧を取り出すこともできる。
【0055】
次に、別の調整手法を図12に示す。図12では、D/A変換を行っていたのをサンプル/ホールド型の回路構成にしたものである。この回路構成に対応する制御用光源の受光系の回路図を図13に示す。さらに、図13における駆動波形を図14に示す。図12乃至図14に示すように駆動回路301を構成することでも、任意の印加電圧を液晶101に印加することができる。
【0056】
まず、図14に示す波形において、図5と異なる点は、データ信号が存在しないことと、クロック信号のハイレベル期間とローレベル期間が一定ではないことである。図12乃至図14に示す構成においても、スタートパルス信号は、隣接する画素間に設けられた電気的配線により伝送されるものとする。そして、図14に示すように、画素n−1から伝送されたスタートパルス信号が、画素nにスタートパルス入力として入力される。画素nスタートパルス入力の立ち上がりとクロック信号の立ち下りに同期(破線α)して、画素n放電信号が生成(立ち上がる)される。図13を用いて説明すると、画素nスタートパルス信号のハイレベルとインバータ320で反転されたクロック信号のハイレベルとがANDゲート回路321に入力され、画素n放電信号が生成される。
【0057】
画素n放電信号が生成されると、図12に示す放電スイッチ306がON状態となり、放電スイッチ306に並列に接続されたコンデンサ307が短絡され電荷が引き抜かれる。次に、クロック信号が立ち上がると(破線β)、放電信号が消失し、充電信号が生成される。図13を用いて説明すると、画素nスタートパルス信号のハイレベルとクロック信号のハイレベルとがANDゲート322に入力され、画素n充電信号が生成される。
【0058】
放電信号が消失することで、図12に示す放電スイッチ306がOFF状態となり、画素n充電信号が生成されることで、充電スイッチ305がON状態となる。そして、所定の時間経過しクロック信号が立ち下ると(破線γ)、充電スイッチ305がOFF状態となる。この充電スイッチ305がON状態となっている期間(充電期間)に、所定の電荷がコンデンサ307に充電される。図14では、画素nの充電信号の変化に伴う、画素nの充電電圧の変化が示されている。なお、所定の電荷は、コンデンサ307、光発電素子201の発電電圧、光発電素子201と充電スイッチ305との間に設けられた抵抗及び充電期間で決定される。
【0059】
コンデンサ307に充電された電圧は、次のスタートパルス信号(例えば、1リフレッシュレート期間)が来るまで、バッファ304を介して液晶101に印加される。画素nスタートパルス入力の立ち下がると同時に(破線γ)、図13に示すレジスタ323で次の画素n+1のスタートパルス入力(=画素nスタートパルス出力)も生成される。画素n+1においても同様の駆動が行われる。具体的には、クロック信号が立ち上がると(破線δ)、画素n+1の放電信号が消失し、画素n+1の充電信号が生成される。そして、所定の時間経過しクロック信号が立ち下ると(破線ε)、充電スイッチ305がOFF状態となる。図14では、画素n+1は画素nに比べて長い充電期間を有している。そのため、図14に示す画素n+1の充電電圧は、画素nの充電電圧より高くなっている。
【0060】
画素n+2以降も、同様の駆動を順次繰り返すことで、全ての画素に任意電圧を印加することができる。なお、図12では、コンデンサ307に充電された電圧を、バッファ304を介して液晶101に印加する例を示したが、充電期間を十分長くすることができる場合はバッファ304及びコンデンサ307を省略して、直接液晶101に光発電素子201の発電電圧を印加することも可能である。また、図14では、クロック周期を一定として、ハイレベル期間とローレベル期間との比率(デューティ比)で印加電圧を変化させているが、クロック周期を一定に限定する必要はない。
【0061】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置では、データ信号に複数の信号を重畳させる等の多階調化の手法を適用することで、既存の液晶表示装置と同等の多階調化を実現することができる。なお、本発明は、本実施の形態で示した多階調化の手法に限られず、ディザ手法やパルス幅変調手法などの他の多階調化の手法を適用しても良い。
【0062】
(実施の形態4)
液晶表示装置は、液晶101に直流電圧を印加し続けると、画素の焼き付きと呼ばれる現象が生じる。そのため、一般の液晶表示装置では、フレーム毎などの一定周期で液晶101に印加する電圧の極性を反転させる交流反転駆動を行っている。本発明に係る液晶表示装置においても、一般の液晶表示装置と同様の駆動を行うことが可能である。
【0063】
図15に、本実施の形態に係る光発電素子201及び駆動回路301の一例の構成図を示す。図15に示す光発電素子201は、液晶101に印加する最大電圧の2倍以上の電圧を得ることができるように直列接続されている。図3に示す光発電素子201は3つのセルが直列接続されているが、図15に示す光発電素子201は6つのセルが直列接続されている。
【0064】
図15では、直列接続した光発電素子201の中央のセル(上から3つ目のセル)と液晶101の一方の電極が接続されている。その一方の電極の電位をゼロとし、他方の電極をマルチプレクサ302により正負任意の電位を選択することができるように構成されている。図15に示す構成により、液晶101に印加する電圧の極性を任意に変化させることができるため、液晶101を交流反転駆動することができる。なお、電圧の極性を変化させる制御は、階調を制御する信号と同じように復調することで可能となる。
【0065】
次に、印加電圧の極性を変化させる別の構成を図16に示す。図16では、光発電素子201を直列接続し、それぞれの光発電素子201の端子と、液晶101の一方又は他方の電極のいずれもが接続できるように、両方の電極にマルチプレクサ302を採用した構成である。液晶101の両電極にマルチプレクサ302を採用することで、それぞれ任意の電位を選択することができる。そのため、各々の選択電位の大小関係により液晶101に印加される電圧の極性を変化させることができる。なお、電圧の極性を変化させる制御は、階調の制御信号と組み合わせて実現することも可能である。なお、図16のように構成することで、図15の場合に比べ光発電素子201の数・面積を減らすことができる。
【0066】
さらに、印加電圧の極性を変化させる別の構成を図17に示す。図17では、光発電素子201及びマルチプレクサ302の数を減らした構成例である。図17では、液晶101の電極が極性選択用スイッチ303を介して光発電素子201と接続された構成である。極性選択用スイッチ303は、極性選択信号によりON・OFFし、液晶101に印加する電圧の極性を変化させている。なお、階調選択は、直列接続した複数の光発電素子201をマルチプレクサ302で選択する構成である。また、極性選択信号は、階調の制御信号と組み合わせて実現することも可能である。
【0067】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置は、液晶101に印加する電圧の極性を所定の周期で反転させるので、画素の焼き付き現象を防止することができる。
【0068】
(実施の形態5)
上述した実施の形態では、制御用光源(LED401)の波長は、バックライトの主光源152の波長と異なるものを選択すると説明してきた。しかし、本発明に係る液晶表示装置は、これに限られず主光源152そのものを制御用光源として使用することも可能である。そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置では、主光源152を制御用光源として使用する構成について説明する。
【0069】
本実施の形態に係る液晶表示装置では、可視光範囲の主光源152を制御用光源として用いるので、制御信号がいかなるパターン(例えば、全画面白と全画面黒)であっても、光源の光強度が一定であることが望ましい。つまり、一つの制御用光源における点灯時の発光強度をI、点灯・非点灯期間の比率の平均値(デューティ比)をDとした場合に、I×Dが一定となれば、人の目が感知する光強度(白表示の際)も一定となる。なお、制御用光源を主光源152とは別に設ける場合であっても、可視光範囲の制御用光源を用いる場合は同様に光源の光強度が一定であることが望ましい。
【0070】
そのため、クロック信号のような、常に一定の周期でON・OFFを繰り返す制御信号の場合は、平均の発光強度Iは一定となる。しかし、データ信号については、I×Dが一定となるように、デューティ比Dに応じて発光強度Iを変更するか、発光強度Iもデューティ比Dも一定にすることが必要と考えられる。
【0071】
デューティ比Dに応じて発光強度Iを変更するの場合、複数の画像データを一旦メモリに保持し、その画像データから、制御用光源がON状態で且つ”1”となる画像データの一定期間内の合計を合計値Sとして算出する。その合計値Sからデューティ比Dを算出する。デューティ比Dは、合計値Sを合計値Sが取りうる最大値で除して求めることができる。具体的に、12Bitが一定期間内の画像データとする場合に、制御用光源がON状態で且つ”1”となる画像データが9Bitであれば、合計値Sは9となり、合計値Sが取りうる最大値が12であるので、デューティ比Dは9/12=0.25となる。
【0072】
その後、発光強度Iを設定し、メモリに保持した画像データを転送する。なお、発光強度Iは、デューティ比Dの逆数(1/D)に比例して設定されるが、合計値Sがゼロであれば発散し設定することができない。
【0073】
これを回避するためには、データ転送がデータ転送期間taとデータ転送休止期間tbとを有する場合において、データ転送休止期間tbに制御用光源を常時点灯すれば良い。このようにすることで、デューティ比Dがゼロとならず、発光強度Iの設定が可能となる。なお、発光強度Iの最大値には限界があるため、データ転送期間taとデータ転送休止期間tbとの比率を適宜調整する必要がある。また、データ転送期間taとデータ転送休止期間tbとが繰り返される周期は、一般に1フレーム周期や、1走査線周期であるが、これに限られず、数画素周期であっても良い。但し、1フレーム周期よりも長くなると、制御号光源のデューティ比Dの変化が、目に感知される周波数より遅くなるため、ちらつきを感じるようになる。
【0074】
一方、発光強度Iもデューティ比Dも一定にする場合は、メモリヘの画像データの保持や発光強度Iを変更する必要がないため、制御を簡略化することができる。いかなるデータ信号であっても、デューティ比Dを一定とするには、クロック信号と同じ周期でデータ信号をトグルすれば良い。具体的な方法を、図18の波形に基づいて説明する。まず、図18の波形は、クロック信号、元のデータ信号及び発光強度Iもデューティ比Dも一定になるように変換したデータ信号を示している。変換したデータ信号は、1データサイクル(クロック周期と同じ周期)の期間にデータ信号の0N期間とOFF期間とが必ず半分ずつ持ち、データ信号の変化点がクロック信号の変化点に対して1/4周期ずれている。
【0075】
図18からも分かるように、変換したデータ信号がラッチされる(図18の場合、クロックの立ち上がり(破線部))点で、元のデータ信号と同じレベルが与えられるようになっている。元のデータ信号から変換したデータ信号を作るには、クロック信号の立ち下りから1/4周期遅れたところで元のデータ信号のON・OFF状態に合わせ、さらに1/2周期(クロック信号の立ち下りから3/4周期)遅れたところで、前に合わせた元のデータ信号の状態と反対の状態にすれば良い。
【0076】
なお、クロック信号の立ち下りからの周期の遅れは必ずしも1/4周期にする必要はない。但し、周期の遅れが長くなると、画素の駆動回路のセットアップ期間が短くなり、逆に周期の遅れが短くなると、液晶101に印加する電圧のホールド期間が短くなる弊害がある。従って、画素の駆動回路の動作可能周波数に対して、クロック信号の周波数が十分遅ければ、ある程度の幅で調整することができる。
【0077】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置では、制御用光源に可視光範囲を使用する場合や、主光源152を制御用光源としても用いる場合、制御用光源の点灯・非点灯期間の比率に点灯期間の光強度を乗じた値が一定となるように制御するので、人の目に感じる光強度が一定となり、ちらつきを感じない液晶表示装置を構成することができる。また、通常の液晶表示装置でも、バックライトの主光源152としてRGBなどの色を持つLEDが使用されることもあるので、主光源152を制御用光源としても用いる場合は、光源の部品点数を減らすことができ、コストを削減できる。
【0078】
(実施の形態6)
実施の形態5では、バックライトの主光源152を制御用光源としても使用する構成を説明した。特に、RGBなどの色を持つLED等を光源として採用する場合、当該光源のスペクトル幅は狭く、各色を独立して制御することができる。そのため、光源の各色をそれぞれ異なる制御信号の制御用光源として採用することができる。
【0079】
上述のような場合、カラー表示用に一般に使用されているカラーフィルタの一部を、駆動回路301に設けた光センサ311,312のフィルタ313として利用することが可能となる。図19に、カラーフィルタをフィルタ313として利用する液晶表示装置の断面図を示す。図19では、ガラスの透明基板103上にカラーフィルタ110が形成され、当該カラーフィルタ110の間に駆動回路301が形成されている。なお、図19では、画素を構成する透明電極102等は省略している。
【0080】
駆動回路301に設けられた光センサ311,312は、透明基板103及びカラーフィルタ110を通過して光(電磁波)を受光する。カラーフィルタ110は、上述したように、特定の波長の光(電磁波)選択するフィルタ313として機能している。そのため、光センサ311,312は、例えば、RGBのLED401を光源として使用し、RGBのカラーフィルタ110を用いた場合、RGBの光を選択的に受光することができる。
【0081】
但し、これまでの実施の形態で主として説明した構成では、データを捕捉するために、最低でもクロック信号とデータ信号の2種類の光源が必要であった。そのため、一つの画素に設けられる駆動回路301には少なくとも2種類の光センサ311,312を設ける必要があった。しかし、カラーフィルタ110を光センサ311,312のフィルタ313として使用する場合は、1つの画素には1種類のカラーフィルタ110しか設けることができず、1つの画素に2種類の光センサ311,312を設けるのは困難であった。
【0082】
また、単一光を復調してデータ化することも、通常の電気回路であれば容易であるが、液晶表示装置のように限られた各画素内に、そのような回路で実現するには現実的に困難である。
【0083】
そこで、本実施の形態に係る液晶表示装置では、光センサ311,312を図20や図21のように配置することで、上述の問題を解決している。図20では、隣り合う2つの画素の境に光センサ311,312を設けて、隣り合う2種類のカラーフィルタ110を共用している。さらに、図21では、隣接する4つの画素の境に光センサ311,312を設けて、隣接する4種類のカラーフィルタ110を共用している。
【0084】
なお、光センサ311,312自身は、複数の画素で共用しなくても実現可能であるが、その場合、隣接画素に設けられた光センサ311,312の出力を、配線を用いて伝達する必要がある。そのため、光センサ311,312自身を複数の画素で共用しない場合は、構成の複雑化と、配線容量などの影響で信号遅延が生じ動作可能周波数が下がることが考えられる。
【0085】
以上のように、本実施の形態に係る液晶表示装置では、カラーフィルタ110の一部を光センサ311,312のフィルタ313として使用するので、別途フィルタ313を設ける必要がなくコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の回路図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る駆動回路の一部を示す回路図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るフィルタの透過率特性を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る駆動回路の波形を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るスタートパルス信号の伝達を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の配線を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置をタイリングした大型液晶表示装置の平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る駆動回路の波形を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置の回路図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置の回路図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係る液晶表示装置の回路図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る駆動回路の一部を示す回路図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る駆動回路の波形を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置の回路図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置の回路図である。
【図17】本発明の実施の形態4に係る液晶表示装置の回路図である。
【図18】本発明の実施の形態5に係る駆動回路の波形を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態6に係る液晶表示装置の断面図である。
【図20】本発明の実施の形態6に係る液晶表示装置の平面図である。
【図21】本発明の実施の形態6に係る液晶表示装置の平面図である。
【符号の説明】
【0087】
101 液晶、102 透明電極、103 透明基板、104 シール材、110 カラーフィルタ、151 導光板、152 主光源、201 光発電素子、210 分圧回路、301 駆動回路、302 マルチプレクサ、303 スイッチ、304 バッファ、305 充電スイッチ、306 放電スイッチ、307 コンデンサ、311,312 光センサ、313 フィルタ、314,321,322 ANDゲート、315,316,323 レジスタ、320 インバータ、401 LED、701 画素、702 伝送方向の矢印、703 スタートパルス配線、801 液晶表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とに挟持された液晶と、
前記第1基板上の画素毎に設けられ、前記液晶を駆動する駆動回路と、
前記画素毎又は複数の前記画素毎に設けられ、前記液晶を駆動するために発電した電圧を供給する光発電素子とを備える液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
前記光発電素子は、前記画素の開口部周辺に設けられることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
前記光発電素子は、所定の色を有し、光が透過可能な薄膜で形成され、前記画素の開口部に設けられることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の液晶表示装置であって、
前記駆動回路を制御する電磁波を供給する制御用電磁波源をさらに備え、
前記駆動回路は、前記電磁波を復調する復調部を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置であって、
前記電磁波は、紫外から赤外の波長を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶表示装置であって、
前記制御用電磁波源は、バックライトに組み込まれ、
前記バックライトの導光体において、前記電磁波と、前記バックライトの主光源からの光とが混じり合うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の液晶表示装置であって、
前記制御用電磁波源は、フロントライトに組み込まれ、
前記フロントライトの導光体において、前記電磁波と、前記フロントライトの主光源からの光とが混じり合うことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項5乃至請求項7のいずれか1つに記載の液晶表示装置であって、
前記電磁波は、可視光範囲以外の不可視光範囲の波長であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項5乃至請求項7のいずれか1つに記載の液晶表示装置であって、
前記制御用電磁波源は、主光源としても機能することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の液晶表示装置であって、
前記制御用電磁波源は、点灯・非点灯期間の比率が一定であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
請求項9に記載の液晶表示装置であって、
前記制御用電磁波源は、点灯・非点灯期間の比率に点灯期間の光強度を乗じた値が一定であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
請求項4乃至請求項11のいずれか1つに記載の液晶表示装置であって、
前記駆動回路は、前記電磁波のうち特定の波長範囲を選択的に通過させるフィルタをさらに備え、前記フィルタを通過した前記電磁波に基づいて制御されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
請求項12に記載の液晶表示装置であって、
前記フィルタは、カラー表示化のためのカラーフィルタの一部を用いることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の液晶表示装置であって、
前記電磁波は、前記制御回路の駆動タイミングであるクロック信号と、前記画素に書き込むデータ信号とを少なくとも含み、
前記駆動回路は、複数の前記フィルタを用いて前記電磁波から少なくとも前記クロック信号及び前記データ信号をそれぞれ分離することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項15】
請求項12又は請求項13に記載の液晶表示装置であって、
前記電磁波は、前記制御回路の駆動タイミングであるクロック信号を少なくとも含み、
前記駆動回路は、前記クロック信号のハイ期間又はロー期間の長さに基づいて前記液晶に印加する電圧を制御することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項16】
請求項14又は請求項15に記載の液晶表示装置であって、
前記駆動回路は、所定の画素を除き、前記画素の書き込みタイミングであるスタートパルス信号を前記画素間に設けられた配線で伝送することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項17】
請求項14に記載の液晶表示装置であって、
前記データ信号は、複数の信号を重畳させることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれか1つに記載の液晶表示装置であって、
前記駆動回路は、前記液晶に印加する電圧の極性を所定の周期で反転させることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれか1つに記載の液晶表示装置を複数タイリングして形成することを特徴とする大型液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−284977(P2006−284977A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105694(P2005−105694)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】