説明

液晶表示装置

【課題】色再現性の高い画像を表示することができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示素子1の観察側とは反対側に、青色LEDと、青色以外の色の蛍光を発する蛍光物質が分散された蛍光層とを有し、前記青色LEDが発する青色光と前記蛍光物質が発する青色以外の色の蛍光とからなる擬似白色光を出射する擬似白色発光素子22を備え、前記擬似白色発光素子22からの出射光を導光板21により導いて液晶表示素子1に向けて照射する面光源20を配置し、前記擬似白色発光素子22から前記液晶表示素子1の観察側の面までの光経路中に、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜からなる吸収フィルタ28を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、光の透過を制御する複数の画素がマトリックス状に配列された液晶表示素子と、前記液晶表示素子の観察側とは反対側に配置され、前記液晶表示素子に向けて照明光を照射する面光源とにより構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
前記液晶表示装置の面光源には、消費電力を少なくするために、発光ダイオードからなる発光素子を備え、前記発光素子からの出射光を前記液晶表示素子に向けて照射するものが利用されている。
【0004】
前記発光ダイオードを用いた面光源においては、前記発光ダイオードの種類及び数を低減するために、青色発光ダイオードと、前記青色発光ダイオードの出射側に設けられ、透明材中に青色以外の色(例えば黄色)の蛍光を発する蛍光物質が分散された蛍光層とを有し、前記青色発光ダイオードが発する青色光と前記蛍光物質が発する青色以外の色の蛍光とにより擬似白色光を出射する擬似白色発光素子が利用されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000―112380号公報
【特許文献2】特開2006―108076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記青色発光ダイオードと、青以外の色の蛍光を発する蛍光物質が分散された蛍光層とにより擬似白色光を出射する擬似白色発光素子を用いた面光源を備えた液晶表示装置は、色再現性の高い画像を表示することができなかった。
【0006】
この発明は、色再現性の高い画像を表示することができる液晶表示装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の液晶表示装置は、
光の透過を制御する複数の画素がマトリックス状に配列された液晶表示素子と、
前記液晶表示素子の観察側とは反対側に配置され、青色発光ダイオードと、前記青色発光ダイオードの出射側に設けられ、青色以外の色の蛍光を発する蛍光層とを有し、前記青色発光ダイオードが発する青色光と前記蛍光層が発する青色以外の色の蛍光とからなる擬似白色光を出射する擬似白色発光素子を備え、前記擬似白色発光素子からの出射光を前記液晶表示素子に向けて照射する面光源と、
前記擬似白色発光素子から前記液晶表示素子の観察側の面までの光経路の少なくとも1箇所に配置され、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜からなる吸収フィルタと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の液晶表示装置は、前記擬似白色発光素子から前記液晶表示素子の観察側の面までの光経路の少なくとも1箇所に、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜からなる吸収フィルタを配置しているため、色再現性の高い画像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1はこの発明の第1の実施例を示す液晶表示装置の斜視図、図2は前記液晶表示装置の一部分の拡大断面図であり、この液晶表示装置は、光の透過を制御する複数の画素14がマトリックス状に配列された液晶表示素子1と、前記液晶表示素子1の観察側(図1及び図2において上側)とは反対側に配置され、前記液晶表示素子1に向けて照明光を照射する面光源20とを備えている。
【0010】
前記液晶表示素子1は、対向配置された一対の透明基板2,3間に液晶層4が封入され、前記一対の基板2,3の互いに対向する内面にそれぞれ、複数の画素14をマトリックス状に配列させて形成するための透明電極5,7が設けられ、前記一対の基板2,3の外面にそれぞれ偏光板12,13が配置された構成となっている。
【0011】
この液晶表示素子1は、薄膜トランジスタ(以下、TFTという)を能動素子とするアクティブマトリックス液晶表示素子であり、前記一対の基板2,3の一方、例えば観察側とは反対側の基板2の内面に、行方向(画面の左右方向)及び列方向(画面の上下方向)にマトリックス状に配列された複数の画素電極5と、これらの画素電極5にそれぞれ対応した複数のTFT6と、各行の複数のTFT6にゲート信号を供給する複数の走査線及び各列の複数のTFT6にデータ信号を供給する複数の信号線(いずれも図示せず)とが設けられ、他方の基板、つまり観察側の基板3の内面に、前記複数の画素電極5に対向する一枚膜状の対向電極7が設けられている。
【0012】
なお、図2ではTFT6を簡略化しているが、このTFT6は、反対側基板2の基板面上に形成されたゲート電極と、前記基板面上の略全体に前記ゲート電極を覆って設けられた透明なゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜の上に前記ゲート電極と対向させて形成されたi型半導体膜と、このi型半導体膜の両側部の上にそれそれn型半導体膜を介して形成されたドレイン電極及びソース電極とからなっており、前記複数の画素電極5は、前記ゲート絶縁膜の上に形成され、これらの画素電極5にそれぞれ対応したTFT6のソース電極に接続されている。
【0013】
また、前記複数の走査線は、前記反対側基板2の基板面上に、各画素電極行毎にその一側に沿わせて形成され、各行の複数のTFT6のゲート電極にそれぞれ接続されており、前記複数の信号線は、前記ゲート絶縁膜の上に、各画素電極列毎にその一側に沿わせて形成され、各列の複数のTFTのドレイン電極にそれぞれ接続されている。
【0014】
なお、前記反対側基板2は、図1に示したように、観察側基板3の外方に突出する張出部2aを有しており、前記反対側基板2の内面に設けられた複数の走査線及び信号線は、前記張出部2aに搭載されたLSIからなる表示ドライバ18に接続されている。
【0015】
一方、前記観察側基板3の内面には、前記複数の画素電極5と前記対向電極7とが互いに対向する領域からなる複数の画素10にそれぞれ対応させて赤、緑、青の3色のカラーフィルタ8R,8G,8Bが設けられており、その上に、前記対向電極7が形成されている。
【0016】
さらに、前記一対の基板2,3の内面にはそれぞれ、前記電極5,7を覆って配向膜9,10が形成されている。
【0017】
そして、前記一対の基板2,3は、前記複数の画素10の配列領域を囲む枠状のシール材11(図1参照)を介して接合されており、これらの基板2,3間の前記シール材11で囲まれた領域に液晶層4が封入されている。
【0018】
この液晶表示素子1は、前記液晶層4の液晶分子を前記一対の基板2,3間においてツイスト配向させたTN型またはSTN型、液晶分子を基板2,3面に対して実質的に垂直に配向させた垂直配向型、液晶分子を分子長軸を一方向に揃えて基板2,3面と実質的に平行に配向させた非ツイストの水平配向型、液晶分子をベンド配向させるベンド配向型のいずれか、あるいは強誘電性または反強誘電性液晶表示素子であり、前記一対の基板2,3の外面の偏光板12,13は、それぞれの透過軸を予め方向に向けて配置されている。
【0019】
なお、この液晶表示素子1は、一対の基板2,3の内面にそれぞれ複数の画素14を形成するための電極5,7を設けたものであるが、液晶表示素子は、一対の基板のいずれか一方の内面に、複数の画素を形成するための第1の電極と、それよりも液晶層側に前記第1の電極と絶縁して形成された複数の細長電極部を有する第2の電極とを設け、これらの電極間に横電界(基板面に沿う方向の電界)を生じさせて液晶分子の配向状態を変化させる横電界制御型のものでもよい。
【0020】
また、前記面光源20は、板状の透明部材の少なくとも1つの端面に光を入射させる入射端面21aが形成され、2つの板面の一方に前記入射端面21aから入射した光の出射面21bが形成され、他方の板面に前記入射端面21aから入射した光を前記出射面21bに向けて反射する反射面21cが形成され、前記出射面21bを前記液晶表示素子1の観察側とは反対側の面に対向させて配置された導光板21と、この導光板21の入射端面21aに対向させて配置され、前記導光板21の入射端面21aに向けて光を出射する複数(図1では3個)の擬似白色発光素子22とからなっている。
【0021】
図3は前記面光源20の発光素子配置側の拡大側面図であり、この面光源20は、前記複数の擬似白色発光素子22からの出射光(擬似白色発光)を、前記導光板21により図に矢線で示したように導いて、前記液晶表示素子1に向けて照射する。
【0022】
なお、この実施例の導光板21は、前記入射端面21aから入射した光を、前記反射面21cと外気(空気)との界面で光を全反射するものであるが、前記導光板21は、前記反射面21cに反射膜を設けたものでもよい。
【0023】
図4は前記擬似白色発光素子22の拡大断面図であり、この擬似白色発光素子22は、樹脂成形品からなる1つの面が開放した箱状の筐体23の内底面の中央部に、青色光を発する青色発光ダイオード(以下、青色LEDという)24を、その出射面を前記筐体23の開放面に向けて配置し、前記筐体23内に、透明材(例えば透明樹脂)26中に、前記青色LED24が発する光により励起されて青色以外の色の蛍光を発する微粒子状の蛍光物質27を分散された蛍光層25を充填した構成のものである。
【0024】
すなわち、この擬似白色発光素子22は、青色LED24と、前記青色LED24の出射側に設けられ、透明材26中に青色以外の色の蛍光を発する蛍光物質27が分散された蛍光層25とを有しており、前記青色LED24が発する青色光と前記蛍光物質27が発する青色以外の色の蛍光とからなる擬似白色光を出射する。
【0025】
前記擬似白色発光素子22の蛍光層25に分散された蛍光物質27は、黄色の蛍光を発する黄色蛍光物質であり、したがって、この擬似白色発光素子22は、前記青色LED24が発する青色光と、黄色蛍光物質27が発する黄色蛍光とにより擬似白色光を出射する。
【0026】
さらに、この液晶表示装置は、図1及び図3に示したように、前記面光源20の導光板21の入射端面21aと前記複数の擬似白色発光素子22との間にそれぞれ配置され、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜からなる吸収フィルタ(以下、多層膜フィルタという)28を備えている。この多層膜フィルタ28は、多数枚の透明フィルムを積層したものであり、透過光を、各透明フィルムの界面により屈折させ、予め定めた波長帯域の光を吸収する。
【0027】
この実施例では、前記多層膜フィルタ28として、585±20nmの波長帯域に吸収ピークを有するものを備えている。
【0028】
図5は前記多層膜フィルタ28の吸収特性図であり、この多層膜フィルタ28は、585±20nmの波長帯域の光を高い吸収率で吸収し、他の波長帯域の光を高い透過率で透過させる特性を有している。
【0029】
前記多層膜フィルタ28は、前記複数の擬似白色発光素子22の出射面(蛍光層25の表面)に一体的に設けられるか、或いは、前記導光板21の入射端面21aに、前記複数の擬似白色発光素子22の配置位置にそれぞれ対応させて貼付けられている。なお、前記導光板21の入射端面21aに多層膜フィルタ28を貼付ける場合は、前記多層膜フィルタ28を、前記導光板21の入射端面21aの全体にわたって設けてもよい。
【0030】
この液晶表示装置は、前記液晶表示素子1の観察側とは反対側に配置された面光源20に、青色LED24と、青以外の色の蛍光を発する蛍光物質27が分散された蛍光層25とを有する擬似白色発光素子22を備えさせ、且つ、前記面光源20の導光板21の入射端面21aと前記複数の擬似白色発光素子22との間に、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜フィルタ28を配置しているため、色再現性の高い画像を表示することができる。
【0031】
この実施例では、前記擬似白色発光素子22として、黄色の蛍光を発する黄色蛍光物質27が分散された蛍光層25を有するものを備え、また前記多層膜フィルタ28として、585±20nmの波長帯域に吸収ピークを有するものを備えているため、充分に色再現性の高い画像を表示することができる。
【0032】
すなわち、図6は、擬似白色発光素子22の出射光の分光分布図、図7は、前記擬似白色発光素子22から出射し、さらに前記多層膜フィルタ28を透過した光の分光分布図である。
【0033】
図6のように、青色LED24と、黄色蛍光物質27が分散された蛍光層25とを有する擬似白色発光素子22から出射する光は、450nm付近に急峻な輝度ピークをもち、530〜580nm付近に緩やかな輝度ピークをもった光であり、緑色光と赤色光の色純度が低い。
【0034】
それに対して、前記擬似白色発光素子22から出射し、さらに前記多層膜フィルタ28を透過した光は、図6に示した分光分布の光から、前記多層膜フィルタ28により緑と赤の間の波長帯域(585±20nm)の光を吸収された光であり、この光は、図7のように、450nm付近と、550nm付近と、650nm付近の各波長帯域毎に独立した輝度ピークをもった、青、緑、赤の各色の色純度が高い光、つまり前記擬似白色光よりも白色に近い光である。
【0035】
そして、この実施例の液晶表示装置は、前記面光源20の導光板21の入射端面21aと前記複数の擬似白色発光素子22との間に前記多層膜フィルタ28を配置し、前記擬似白色発光素子22から出射し、さらに前記多層膜フィルタ28により緑と赤の間の波長帯域(585±20nm)の光が吸収された、より白色に近い(青、緑、赤の各色の色純度が高い)照明光を、前記面光源20の導光板21により導いて前記液晶表示素子1へ照射するようにしているため、前記液晶表示素子1の各画素14から前記赤、緑、青の3色のカラーフィルタ8R,8G,8Bにより着色されて出射する赤、緑、青の光の色純度を高くすることができる。
【0036】
図8は、前記多層膜フィルタ28を備えない比較例の液晶表示装置(擬似白色発光素子22から出射した擬似白色光をそのまま液晶表示素子1に向けて照射する液晶表示装置)の青、緑、赤の各画素の出射光の分光分布図、図9は、上記実施例の液晶表示装置の青、緑、赤の各画素の出射光の分光分布図であり、前記多層膜フィルタ28を備えた実施例の液晶表示装置は、前記比較例の液晶表示装置に比べて、出射光の赤、緑、青の光の色純度が高い。
【0037】
また、図10は、前記比較例の液晶表示装置と上記実施例の液晶表示装置の出射光のCIE色度図であり、実施例の液晶表示装置の出射光のx.yコーディネイト値は、前記比較例の液晶表示装置の出射光に比べて、NTSC規格に近い値である。
【0038】
したがって、上記実施例の液晶表示装置によれば、色再現性の高い画像を表示することができる。
【0039】
なお、上記実施例では、前記面光源20の導光板21の入射端面21aと前記複数の擬似白色発光素子22との間に前記多層膜フィルタ28を配置しているが、前記多層膜フィルタ28は、前記擬似白色発光素子22から前記液晶表示素子1の観察側の面(観察側偏光板13の外面)までの光経路内であれば、他の個所に配置してもよい。
【0040】
(第2の実施形態)
図11はこの発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図であり、この実施例は、前記面光源20の導光板21と前記液晶表示素子1との間に前記多層膜フィルタ28を配置したものである。
【0041】
なお、この実施例では、前記導光板21の出射面20aに多層膜フィルタ28を配置しているが、前記多層膜フィルタ28は、前記液晶表示素子1の観察側とは反対側の偏光板12の外面に配置してもよい。
【0042】
(第3の実施形態)
図12はこの発明の第3の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図であり、この実施例は、前記液晶表示素子1の一対の基板2,3のいずれか一方とその外面の偏光板との間(図では観察側基板3と観察側偏光板13との間)に前記多層膜フィルタ28を配置したものである。
【0043】
なお、図12のように、前記液晶表示素子1の観察側基板3と観察側偏光板13との間に前記多層膜フィルタ28を配置した場合は、前記擬似白色発光素子22から出射した前記擬似白色光がそのまま導光板20により導かれて前記液晶表示素子1に入射するが、前記液晶表示素子1の各画素14から出射する光が、前記多層膜フィルタ28により緑と赤の間の波長帯域(585±20nm)の光を吸収され、青、緑、赤の各色の色純度が高い光となって観察側へ出射するため、色再現性の高い画像を表示することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
図13はこの発明の第4の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図であり、この実施例は、前記液晶表示素子1に、表示のコントラスト及び視野を向上させるための位相差板15を備えさせたものであり、この実施例では、前記液晶表示素子1の観察側基板3と観察側偏光板13との間に前記位相差板15を設け、この位相差板15と観察側偏光板13との間に前記多層膜フィルタ28を配置している。
【0045】
なお、この実施例では、前記液晶表示素子1の観察側基板3と観察側偏光板13との間に位相差板15を設けているが、前記液晶表示素子1の観察側とは反対側の基板2とその外面に配置された反対側偏光板12との間に前記位相差板15を設け、この位相差板15と前記反対側偏光板12との間に前記多層膜フィルタ28を配置してもよい。
【0046】
また、この実施例では、前記液晶表示素子1に1枚の位相差板15を備えさせているが、位相差板の数は2枚でもよく、その場合は、2枚の位相差板を重ねて配置し、その間に前記多層膜フィルタ28を配置してもよい。
【0047】
(第5の実施形態)
図14はこの発明の第5の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図であり、この実施例は、前記液晶表示素子1を、その内部(一対の基板2,3間)に封入された液晶層4よりも観察側とは反対側、例えば観察側とは反対側の基板2の内面に、複数の画素14の予め定めた領域(図では画素14の略半分の領域)にそれぞれ対応させて設けられ、観察側から入射した光を反射して前記観察側へ出射する反射表示部14aと、前記観察側とは反対側から入射した光を透過させて前記観察側へ出射する前記反射表示部14a以外の透過表示部14bとを前記複数の画素14毎に形成するための反射膜16を備えた反射/透過型表示素子とし、前記多層膜フィルタ28を、前記面光源20の擬似白色発光素子22から前記液晶表示素子1の前記反射膜16までの光経路の1個所、例えば前記面光源20の導光板21の出射面21bに配置したものである。
【0048】
なお、この実施例では、前記液晶表示素子1の観察側基板3の内面に、各画素14の反射表示部14aにそれぞれ対応させて、透明な液晶層厚調整膜17を設け、観察側から入射した光が液晶層4を往復して透過して前記観察側へ出射する前記反射表示部14aの液晶の複屈折異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値を、前記透過表示部14bのΔndの実質的に1/2に設定している。
【0049】
この実施例の液晶表示装置は、前記液晶表示素子1を反射/透過型表示素子としているため、液晶表示装置の使用環境の光である外光(白色光)を利用する反射表示と、前記面光源20からの照射光を利用する透過表示とを行なうことができる。
【0050】
そして、この実施例では、前記多層膜フィルタ28を、前記擬似白色発光素子22から前記液晶表示素子1の前記反射膜16までの光経路に配置しているため、前記液晶表示素子1に観察側から入射し、前記反射膜16により反射させて前記観察側へ出射する光が前記多層膜フィルタ28を通ることは無く、したがって、前記外光を利用する反射表示の色再現性を低下させることなく、前記面光源20からの照射光を利用する透過表示の色再現性を高くすることができる。
【0051】
(他の実施形態)
なお、上述した各実施例では、前記擬似白色発光素子22から前記液晶表示素子1の観察側の面までの光経路中の1箇所に、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜フィルタ28を配置しているが、前記擬似白色発光素子22から前記液晶表示素子1の観察側の面までの光経路中の複数箇所(2箇所または3個所)に、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜フィルタを配置してもよく、その場合は、前記複数箇所に配置された各多層膜フィルタのトータルの吸収特性を、上記実施例における1つの多層膜フィルタ28の吸収特性と実質的に同じにすればよい。
【0052】
また、上述した各実施例の面光源20は、擬似白色発光素子22からの出射光を導光板21により導いて液晶表示素子1に照射するものであるが、擬似白色発光素子22からの出射光を液晶表示素子1に向けて照射するための導光手段は、他の構成のものでもよい。
【0053】
さらに、上述した各実施例では、擬似白色発光素子22として、黄色蛍光物質27を分散した蛍光層25を有するものを備えているが、擬似白色発光素子は、緑色の蛍光を発する緑色蛍光物質と、赤色の蛍光を発する赤色蛍光物質とを分散した蛍光層を有するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示装置の斜視図。
【図2】第1の実施例の液晶表示装置の一部分の拡大断面図。
【図3】第1の実施例における面光源の発光素子配置側の拡大側面図。
【図4】擬似白色発光素子の拡大断面図。
【図5】多層膜フィルタの吸収特性図。
【図6】青色LEDと、黄色蛍光物質が分散された蛍光層とを有する擬似白色発光素子の出射光の分光分布図。
【図7】擬似白色発光素子から出射し、さらに多層膜フィルタを透過した光の分光分布図。
【図8】多層膜フィルタを備えない比較例の液晶表示装置の出射光の分光分布図。
【図9】第1の実施例の液晶表示装置の出射光の分光分布図。
【図10】前記比較例の液晶表示装置と第1の実施例の液晶表示装置の出射光のCIE色度図。
【図11】この発明の第2の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図。
【図12】この発明の第3の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図。
【図13】この発明の第4の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図。
【図14】この発明の第5の実施例を示す液晶表示装置の一部分の拡大断面図。
【符号の説明】
【0055】
1…液晶表示素子、2,3…基板、4…液晶層、5…画素電極、6…TFT、7…対向電極、8R,8G,8B…カラーフィルタ、12,13…偏光板、14…画素、14a…反射表示部、14b…透過表示部、15…位相差板、16…反射膜、17…液晶層厚調整膜、20…面光源、21…導光板、22…擬似白色発光素子、24…青色LED、25…蛍光層、26…透明材、27…蛍光物質、28…多層膜フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の透過を制御する複数の画素がマトリックス状に配列された液晶表示素子と、
前記液晶表示素子の観察側とは反対側に配置され、青色発光ダイオードと、前記青色発光ダイオードの出射側に設けられ、青色以外の色の蛍光を発する蛍光層とを有し、前記青色発光ダイオードが発する青色光と前記蛍光層が発する青色以外の色の蛍光とからなる擬似白色光を出射する擬似白色発光素子を備え、前記擬似白色発光素子からの出射光を前記液晶表示素子に向けて照射する面光源と、
前記擬似白色発光素子から前記液晶表示素子の観察側の面までの光経路の少なくとも1箇所に配置され、緑と赤の間の波長帯域の光を吸収する急峻な吸収特性を有する多層膜からなる吸収フィルタと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
擬似白色発光素子の蛍光層は、黄色の蛍光を発する黄色蛍光物質を含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
吸収フィルタは、585±20nmの波長帯域に吸収ピークを有していることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶表示素子は、その内部に封入された液晶層よりも観察側とは反対側に、複数の画素の予め定めた領域にそれぞれ対応させて設けられ、前記観察側から入射した光を反射して前記観察側へ出射する反射表示部と、前記観察側とは反対側から入射した光を透過させて前記観察側へ出射する前記反射表示部以外の透過表示部とを前記複数の画素毎に形成するための反射膜を備えた反射/透過型表示素子であり、吸収フィルタは、擬似白色発光素子から前記液晶表示素子の前記反射膜までの光経路に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−85232(P2008−85232A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266022(P2006−266022)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】