説明

液状樹脂射出成形装置用開閉バルブ

【課題】液状樹脂を型締め装置の成形型内に射出するための開閉バルブであって、液状樹脂とバルブの可動部分との接触部分が最低限で済み、清掃が容易であって長期に渡る安定した動作が可能な液状樹脂射出成形装置用開閉バルブを得る。
【解決手段】同一軸線上に位置させて順番に独立させて形成した、液状樹脂が流入する軸部入口穴、圧力室及び液状樹脂が射出される軸部出口穴;軸部入口穴と軸部出口穴を連通させる、圧力室の周囲に位置する連絡流路;及び一端部が圧力室内に摺動自在に位置し他端ニードル部が軸部出口穴内に位置して該軸部出口穴を開閉するニードル弁;を有し、軸部入口穴に加圧状態の液状樹脂が供給され、ニードル弁は、圧力室に加圧力が作用したときニードル弁部が軸部出口穴を閉塞し、圧力室内の圧力をリリーフした状態では、液状樹脂の圧力により軸部出口穴を開く液状樹脂射出成形装置用開閉バルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂を用いて成形する射出成形装置に関し、特に型締め装置の成形型内に液状樹脂を注入するための開閉バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
液状樹脂射出成形装置は、常温で液状の複数の異種液状樹脂(一般的に主剤と硬化剤の2液)を定量計量して混合し、型締めされた成形型内に射出注入して加熱成形する成形装置である。液状樹脂を可塑化するエネルギーが不要という大きなメリットがあり、例えばシリコーンゴムの成形に広く用いられている。
【特許文献1】特開平6-63992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この液状樹脂射出成形装置では、成形型内に液状樹脂を注入するときに開き、それ以外のときには閉じる開閉バルブが不可欠である。液状樹脂射出成形装置用の開閉バルブでは、射出する樹脂材料が混合済みであり、粘度が高いことから、定期的な清掃が不可欠である。ところが従来の開閉バルブは、液状樹脂とバルブの可動部分との接触部分が多く、清掃が困難、あるいは長期に渡る安定した動作が得にくく、さらに樹脂密度を均一にすることが困難であった。また、開閉にそれぞれ動力(圧力)を必要とし、その圧力制御が複雑であった。
【0004】
本発明は、液状樹脂とバルブの可動部分との接触部分が最低限で済み、清掃が容易であって長期に渡る安定した動作が可能な液状樹脂射出成形装置用開閉バルブを得ることを目的とする。また本発明は、出口穴を開くときには、閉弁圧力をリリーフするだけでよい開閉バルブを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、液状樹脂を型締め装置の成形型内に射出するための開閉バルブであって、同一軸線上に位置させて順番に独立させて形成した、液状樹脂が流入する軸部入口穴、圧力室及び液状樹脂が射出される軸部出口穴;軸部入口穴と軸部出口穴を連通させる、圧力室の周囲に位置する連絡流路;及び一端部が圧力室内に摺動自在に位置し他端ニードル部が軸部出口穴内に位置して該軸部出口穴を開閉するニードル弁;を有し、軸部入口穴に加圧状態の液状樹脂が供給され、ニードル弁は、圧力室に加圧力が作用したときニードル弁部が軸部出口穴を閉塞し、圧力室内の圧力をリリーフした状態では、液状樹脂の圧力により軸部出口穴を開くことを特徴としている。
【0006】
軸部入口穴は、複数の液状樹脂を混合するスタテッィクミキサーの出口穴に連通させることができる。
【0007】
このスタティックミキサーは、複数の液状樹脂を計量して混合する計量射出ユニットに設けることができる。この計量射出ユニットは、型締め装置に対して昇降運動するもので、下降したとき、スタティックミキサー下部の開閉バルブが型締め装置の上型と下型とで形成される成形空間内に連通する樹脂注入口に係合する。
【0008】
型締め装置は複数を整列させて設けることができる。各型締め装置には、上型を固定したトップビームと、上型と対をなす下型を昇降させる型締めシリンダ装置とを設け、計量射出ユニットはいずれかのトップビーム上に移動可能とし、樹脂注入口は、それぞれのトップビームに設ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液状樹脂射出成形装置用開閉バルブによれば、液状樹脂とバルブの可動部分との接触部分が最低限で済み、清掃が容易であって長期に渡る安定した動作が可能である。また本発明の開閉バルブは、出口穴を開くときには、閉弁圧力をリリーフするだけでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1、図2は、本発明による液状樹脂射出成形装置を四連式型締め装置に適用した実施形態の全体を示している。下部ベース11上には、列状に配置した4カ所の型締め装置毎に独立した複数(四隅の4本)の垂直支持柱12と、各型締め装置用の垂直支持柱12上に独立させて固定した水平方向のトップビーム13が設けられている。各トップビーム13にはそれぞれ樹脂注入口20(図4)が設けられており、トップビーム13の下面にはそれぞれ射出成形上型14が固定され、下部ベース11には、各上型14に対応する射出成形下型15が昇降可能に支持されている。各下型15は、専用の型締めシリンダ装置16によって独立して昇降可能である。樹脂注入口20は、上型14と下型15によって形成される射出成形空間に連通する。
【0011】
以上の四連式の型締め装置は、各下型15を型締めシリンダ装置16により独立して昇降させて対応する上型14との型締めを行うことができ、型締めの終了した型内に樹脂注入口20を介して独立して液状樹脂を注入できる。図2の符号17は、下降状態の下型15を前方(図2の左方)に取り出すための下型取出シリンダ装置である。下型15は、液状樹脂の成形終了後に下降し、この下型取出シリンダ装置17で前方に押し出される。押し出された下型15からはエジェクタ装置18(図1では左方の型締め装置に図示)により成形品が取り出される。個々の型締め装置の構造は周知であり、これ以上の詳細な説明は省略する。この実施形態では、トップビーム13(樹脂注入口20、上型14、下型15)が各型締め装置毎に独立しており、各上型14と下型15にそれぞれ樹脂注入口20を介して液状樹脂を注入できる点に特徴がある。従って、対をなす4つの上型14と下型15は同一の型である必要がない。
【0012】
4本のトップビーム13上には、四連の型締め装置に共通に一対の平行なガイドレール(リニアモーションガイド)21が固定されており、このガイドレール21上には、図3、図4に全体構造を示す液状樹脂計量射出機構30が走行自在に支持されている。一対のガイドレール21の一方は、4台の型締め装置の整列方向に向くラック21a(図4)を備えており、液状樹脂計量射出機構30の走行基台31上には、このラック21aに噛み合うピニオン21bと、該ピニオン21bを正逆に駆動するサーボモータ32とが備えられている。
【0013】
走行基台31上には、垂直ガイド部材33(図4)が立設固定されており、この垂直ガイド部材33には、昇降台40が昇降自在に支持されている。詳細には、昇降台40は、上部水平板41と下部水平板42とを備え、この上部水平板41と下部水平板42の間が左右の結合ロッド43で結合されている。また、下部水平板42の下方には垂直ガイド板44が固定され、この垂直ガイド板44に、垂直ガイド部材33に設けた左右一対の垂直ガイドレール34に摺動自在にガイドされた垂直リニアガイド45が設けられている。走行基台31上には、左右一対の垂直な昇降シリンダ装置35(図3)の下端部が固定されており、この昇降シリンダ装置35のピストンロッド36の上端部が昇降台40の上部水平板41に固定されている。従って、昇降台40は、走行基台31上において昇降シリンダ装置35によって垂直方向に昇降運動できる。
【0014】
昇降台40には、液状樹脂の計量及び射出(樹脂注入口20への注入)を行う計量射出ユニット50が支持されている。この計量射出ユニット50は、A液(主剤)とB液(硬化剤)とを計量し、計量後に混合しつつ樹脂注入口20(上型14と下型15による成形空間内)に注入射出する機能を持つ。この実施形態でのA液とB液の混合比率は1:1である。
【0015】
計量射出ユニット50は、中間部の切替バルブブロック60、上方の計量部70と射出圧力部80、及び下方の混合射出部90を有している。切替バルブブロック60は、A液とB液を計量部70に送って計量する状態と、計量部70で計量されたA液とB液を射出圧力部80が混合射出部90に送る射出状態とを切り替えるバルブ機構を備えている。
【0016】
A液とB液はそれぞれ、図5、図6に模式的に示すA液タンク61AとB液タンク61BからA液圧送ポンプ62AとB液圧送ポンプ62Bを介して、切替バルブブロック60に形成されているA液供給路63AとB液供給路63Bに送られる。A液供給路63AとB液供給路63Bは、A液用ロータリバルブ(三方弁)64AとB液用ロータリバルブ(三方弁)64Bに接続されていて、該A液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64Bは、A液供給路63AとB液供給路63Bを計量部70側のA液用計量流路65AとB液用計量流路65Bに接続する状態と、A液用計量流路65AとB液用計量流路65Bを混合射出部90側のA液用射出流路66AとB液用射出流路66Bに接続する状態とを択一して作り出す。
【0017】
A液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64Bは、同期して回転駆動されるもので、その端部には同期ギヤ67Aと67Bが一体に設けられており、この同期ギヤ67Aと67Bは、共通駆動ギヤ68に噛み合っている。この共通駆動ギヤ68は、エアアクチュエータ69(図8)によって正逆に回転駆動され、該共通駆動ギヤ68の一方の回動端では、同期ギヤ67Aと67Bを介して、A液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64BがA液供給路63AとB液供給路63BをA液用計量流路65AとB液用計量流路65Bに接続し(図6)、共通駆動ギヤ68の他方の回動端では、A液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64BがA液用計量流路65AとB液用計量流路65BをA液用射出流路66AとB液用射出流路66Bに接続する(図7)。
【0018】
計量部70は、軸線を垂直方向に向けたA液用シリンダ71AとB液用シリンダ71Bとを有し、このA液用シリンダ71AとB液用シリンダ71Bの底部にはそれぞれ、A液用計量流路65AとB液用計量流路65Bが開口している。A液用シリンダ71AとB液用シリンダ71BにはA液用ピストン72AとB液用ピストン72Bが摺動自在に嵌まっている。このA液用ピストン72AとB液用ピストン72Bは、A液用シリンダ71AとB液用シリンダ71B内にA液圧送ポンプ62AとB液圧送ポンプ62Bによって圧送される液体の圧力によって上昇する。この実施形態では、上述のようにA液とB液の混合割合が1:1なので、A液用シリンダ71A(A液用ピストン72A)とB液用シリンダ71B(B液用ピストン72B)は同サイズである。混合比率が異なる場合には、その混合比率に応じてA液用ピストン72AとB液用ピストン72Bが同一の距離だけ上昇するように、A液用シリンダ71A(A液用ピストン72A)とB液用シリンダ71B(B液用ピストン72B)のサイズを異ならせることができる。
【0019】
計量部70の上方の射出圧力部80は、図3、図4に示すように、昇降台40の左右の結合ロッド43に昇降自在に支持された位置決めプレート81を備えている。この位置決めプレート81は、A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bに共通であり、昇降台40の上部水平板41上に固定した油圧射出シリンダ装置82のエクステンションロッド83に結合されており、油圧射出シリンダ装置82によって昇降する。この位置決めプレート81は、A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bには結合されていない。図7に、位置決めプレート81とピストン72A、72Bとの位置関係(結合されていない)を模式的に示した。すなわち、位置決めプレート81は、A液とB液の計量時には、A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bの上昇端を規制することで両液を正確に計量し、逆にA液用シリンダ71AとB液用シリンダ71Bから射出するときには、油圧射出シリンダ装置82の力をエクステンションロッド83を介してA液用ピストン72AとB液用ピストン72Bに伝達する作用をする。
【0020】
位置決めプレート81には、図4に示すように、リニアスケール84の可動部85が結合されており、昇降台40上には、該リニアスケール84の固定部86が固定されている。位置決めプレート81の位置は、このリニアスケール84によって設定することができる。すなわち、油圧射出シリンダ装置82はリニアスケール84によって設定された計量位置まで位置決めプレート81を上昇させる。
【0021】
切替バルブブロック60に位置する混合射出部90は、その上方から順に混合ノズル93、スタテッィクミキサー94、及び開閉バルブ96を有している。混合ノズル93は、A液用射出流路66AとB液用射出流路66Bに連通する入口路91Aと91Bと、スタテッィクミキサー94に連通する単一の出口路92とを有している。
【0022】
スタテッィクミキサー94は、アウタケーシング94X内に多数の流路分割エレメント94Yを収納した周知(市販)のもので、可動部分が存在しない。このスタテッィクミキサー94は、切替バルブブロック60(混合ノズル93)の下面に着脱可能に設けられている。図5は、その着脱構造を示す。アウタケーシング94Xの上端部には、外方円形フランジ94X1が形成されており、切替バルブブロック60の下面には、この外方円形フランジ94X1を支持する固定プレート95Xと着脱プレート95Yが設けられている。固定プレート95Xと着脱プレート95Yは、アウタケーシング94X(外方円形フランジ94X1)の直径部分に対応する突き合わせ縁部95X2と95Y2を有し、この突き合わせ縁部95X2と95Y2に、外方円形フランジ94X1に対応する段付半円形凹部95X3と95Y3とが形成されている。
【0023】
固定プレート95Xと着脱プレート95Yは、少なくとも着脱プレート95Yが着脱ボルト95Y4によって切替バルブブロック60の下面に着脱可能であり、着脱プレート95Yを外すことで、スタテッィクミキサー94を切替バルブブロック60の下面から外すことができる。スタテッィクミキサー94は、内部の流路分割エレメント94Yを定期的に清掃する(付着するA液とB液の混合物を除去する)作業が不可欠であり、このように、スタテッィクミキサー94の着脱が容易な構造とすることにより、スタテッィクミキサー94の清掃作業性を向上させることができる。
【0024】
また、固定プレート95Xと着脱プレート95Yの段付半円形凹部95X3と95Y3は、アウタケーシング94Xの外方円形フランジ94X1と形状が正確に対応しており、両者を密着させることで、スタテッィクミキサー94を正確に位置決めし、芯出しすることができる。段付半円形凹部95X3と95Y3は、正確に平面半円である必要はないが、スタテッィクミキサー94を着脱できかつ確実に支持できるように、平面半円以下で、できるだけ大きくするのがよい。
【0025】
スタテッィクミキサー94の下方に位置する開閉バルブ96は、スタテッィクミキサー94で混合されたA液とB液との混合液を最終的に樹脂注入口20に射出するもので、図9、図10にその詳細を示す。この開閉バルブ96は、スタテッィクミキサー94のアウタケーシング94Xの下端部に固定されるメインハウジング961と、このメインハウジング961の上部内に挿入固定される分流ブロック962と、下部内に挿入される合流ノズルブロック963と、この合流ノズルブロック963をメインハウジング961に固定するための下部ハウジング964と、メインハウジング961の中心部に摺動自在に挿入したニードル弁965とを有している。
【0026】
分流ブロック962は、スタテッィクミキサー94(アウタケーシング94X)の下端部の出口穴に通じる軸部入口穴962aと、この軸部入口穴962aから分岐する複数の周囲分岐流路(連絡流路)962bとを有しており、メインハウジング961は、軸部から外れた周縁にこれらの周囲分岐流路(連絡流路)962bに連通する分岐流路(連絡流路)961aを有している。合流ノズルブロック963は、複数の分岐流路961aを再び結合する逆円錐形流路963aと軸部出口穴963bとを有しており、逆円錐形流路963aと軸部出口穴963bの中心部にニードル弁965が位置している。合流ノズルブロック963の下端部外周は、樹脂注入口20に嵌まる嵌合部963cを構成する。軸部入口穴962aから、周囲分岐流路(連絡流路)962b、分岐流路(連絡流路)961a、逆円錐形流路963a及び軸部出口穴963bに至る流路は、流路面積を徐々に絞る絞り流路である。例えば軸部出口穴963bの断面積は軸部入口穴962aの断面積の50%から70%程度とすることができる。
【0027】
メインハウジング961は、その軸部に軸穴961bを有しており、この軸穴961bの下部にニードル弁965が摺動自在かつ液密に嵌まり、上方に分流ブロック962の閉塞部962cが嵌まっている。軸穴961bには、この閉塞部962cとニードル弁965の上端部との間に圧力室961cが形成され、この圧力室961cに油圧導入口961dが開口している。逆円錐形流路963a、軸部出口穴963b、ニードル弁965は、軸線を中心とする回転対称形状(断面円形)をなしている。
【0028】
以上の開閉バルブ96では、油圧導入口961dから圧力室961cに液体圧力を印加することでニードル弁965の先端のニードル部965aが軸部出口穴963bを閉塞し、一方圧力室961cへの液体圧力をリリーフすると、逆円錐形流路963aに及ぼされる液体圧力により、ニードル弁965は後退して軸部出口穴963bを開くことができる。また、A液とB液の混合液は合流ノズルブロック963内に位置するニードル弁965だけに接触するから、長期に渡り安定した作動を保証することができる。
【0029】
上記構成の本装置の全体的な動作を説明すると次の通りである。ガイドレール21上を走行可能な液状樹脂計量射出機構30をサーボモータ32とラック21a、ピニオン21bにより、型締めシリンダ装置16によって型締めの終了している成形型(上型14と下型15)上のトップビーム13上に移動させる。またエアアクチュエータ69によりA液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64Bを図6の計量状態とする。計量状態とするに先立ち、リニアスケール84で位置決めプレート81の高さ位置を設定し、油圧射出シリンダ装置82により位置決めプレート81を設定された高さ位置に移動させる。この状態では、A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bは自重により下降端に位置し、A液用シリンダ71AとB液用シリンダ71Bの有効容積を実質的にゼロにしている。なお、切替バルブブロック60及び混合射出部90内の各流路内には、それぞれ前工程でのA液とB液あるいはその混合液が残存しているものとする。
【0030】
この状態で、A液圧送ポンプ62AとB液圧送ポンプ62Bを駆動すると、A液タンク61A内のA液とB液タンク61B内のB液が、A液供給路63AとB液供給路63B、A液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64B、及びA液用計量流路65AとB液用計量流路65Bを介してA液用シリンダ71AとB液用シリンダ71B内に導入される。A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bは、導入される液体圧力により上昇し、近接スイッチ(図示せず)によって所定の上昇位置に達したことが検出されると、A液圧送ポンプ62AとB液圧送ポンプ62Bが停止する。このときには、A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bは、位置決めプレート81と当接する。以上で計量動作が完了する。
【0031】
計量動作が完了したら、エアアクチュエータ69によりA液用ロータリバルブ64AとB液用ロータリバルブ64Bを図7の射出状態とする。すなわち、A液用計量流路65AとB液用計量流路65Bを、A液用射出流路66AとB液用射出流路66Bに連通させる。このとき迄には、昇降シリンダ装置35により昇降台40を下降させ、計量射出ユニット50の混合射出部90下端部の嵌合部963cを、型締めの終了した上型14と下型15上の樹脂注入口20に嵌合させる。また、開閉バルブ96の油圧導入口961d(圧力室961c)には液体圧力を印加し、ニードル部965aにより軸部出口穴963bを閉じておく。
【0032】
この状態において、油圧射出シリンダ装置82により位置決めプレート81を下降させると、A液用ピストン72AとB液用ピストン72Bが押されて下降し、A液用シリンダ71A内のA液とB液用シリンダ71B内のB液とが混合ノズル93を介してスタテッィクミキサー94に至る。混合ノズル93の出口路92において合流するA液とB液は、スタテッィクミキサー94内を通過するに連れて、静的に混合される。開閉バルブ96の油圧導入口961dへ加えていた流体圧力(ニードル押え油圧)は、油圧射出シリンダ装置82により位置決めプレート81を下降させるのと同時にリリーフする。すると、スタテッィクミキサー94で混合されたA液とB液の混合液の圧力によりニードル弁965が後退し、軸部出口穴963bから混合液が樹脂注入口20内に射出される。射出された混合液は、型締めシリンダ装置16によって型締めされている上型14と下型15の成形空間内に射出される。射出終了後は、常法に従い、上型14と下型15が所定時間、所定温度に加熱され、液状樹脂の成形が行われる。
【0033】
以上の実施形態の開閉バルブ96は、同一軸線上に位置する軸部入口穴962a、圧力室961c、及び軸部出口穴963bを有しており、これらの各穴(室)は、互いに独立している。そして、軸部入口穴962aと軸部出口穴963b(逆円錐形流路963a)は、分岐流路(連絡流路)962b、961aによって連通している。ニードル弁965は、圧力室961cに所定圧以上の流体圧力(油圧)が及ぼされると、そのニードル部965aが軸部出口穴963bに着座して閉じ、圧力室961cに流体圧力が及ぼされない状態では、軸部出口穴963b(逆円錐形流路963a)内の液状樹脂の圧力により後退してそのニードル部965aが軸部出口穴963bから離れて開く。また、液状樹脂に接触する可動部分は、ニードル部965a及びその近傍だけである。このため、開閉動作を確実に行うことができるだけでなく、清掃の頻度を減らすことができる。清掃を行う場合にも、ニードル弁965(ニードル部965a)及び軸部出口穴963b(逆円錐形流路963a)は軸回転対称形状(断面円形)であるため、容易に行うことができる。
【0034】
以上の実施形態では、複数の型締め装置に共通に用いられる計量射出ユニット50の混合射出部90(スタティックミキサー94)に開閉バルブ96を設けており、効率的な液状樹脂の射出成形を行うことができるという利点を有するが、本発明の開閉バルブ96は、型締め装置や計量混合機構の構成に拘わらず用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による液状樹脂射出成形装置を四連式型締め装置に適用した実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】図1の四連式型締め装置上の液状樹脂計量射出機構の拡大正面図である。
【図4】図3の左側面図である。
【図5】図3の液状樹脂計量射出機構の計量吐出部を切断して示す斜視図である。
【図6】図5の液状樹脂計量射出機構の計量状態の断面図である。
【図7】図5の液状樹脂計量射出機構の計量樹脂吐出状態の断面図である。
【図8】図6の液状樹脂計量射出機構の流路に沿う断面図である。
【図9】図3の液状樹脂計量射出機構の射出ノズルが閉じた状態を示す断面図である。
【図10】同開いた状態の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
11 下部ベース
12 垂直支持柱
13 トップビーム
14 上型
15 下型
16 型締めシリンダ装置
17 下型取出シリンダ装置
18 エジェクタ装置
20 樹脂注入口
21 ガイドレール
21a ラック
21b ピニオン
30 液状樹脂計量射出機構
31 走行基台
32 サーボモータ
33 垂直ガイド部材
34 垂直ガイドレール
35 昇降シリンダ装置
36 ピストンロッド
40 昇降台
41 上部水平板
42 下部水平板
43 結合ロッド
44 垂直ガイド板
45 垂直リニアガイド
50 計量射出ユニット
60 切替バルブブロック
61A A液タンク
61B B液タンク
62A A液圧送ポンプ
62B B液圧送ポンプ
63A A液供給路
63B B液供給路
64A A液用ロータリバルブ
64B B液用ロータリバルブ
65A A液用計量流路
65B B液用計量流路
66A A液用射出流路
66B B液用射出流路
67A 67B 同期ギヤ
68 共通駆動ギヤ
69 エアアクチュエータ
70 計量部
71A A液用シリンダ
71B B液用シリンダ
72A A液用ピストン
72B B液用ピストン
80 射出圧力部
81 位置決めプレート
82 油圧射出シリンダ装置
83 エクステンションロッド
84 リニアスケール
90 混合射出部
93 混合ノズル
94 スタテッィクミキサー
94X アウタケーシング
94Y 流路分割エレメント
95X 固定プレート
95Y 着脱プレート
96 開閉バルブ
961 メインハウジング
961a 分岐流路(連絡流路)
961b 軸穴
961c 圧力室
961d 油圧導入口
962 分流ブロック
962a 軸部入口穴
962b 周囲分岐流路(連絡流路)
962c 閉塞部
963 合流ノズルブロック
963a 逆円錐形流路
963b 軸部出口穴
963c 嵌合部
964 下ハウジング
965 ニードル弁
965a ニードル部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状樹脂を型締め装置の成形型内に射出するための開閉バルブであって、
同一軸線上に位置させて順番に独立させて形成した、液状樹脂が流入する軸部入口穴、圧力室及び液状樹脂が射出される軸部出口穴;
上記軸部入口穴と軸部出口穴を連通させる、上記圧力室の周囲に位置する連絡流路;及び
一端部が上記圧力室内に摺動自在に位置し他端ニードル部が上記軸部出口穴内に位置して該軸部出口穴を開閉するニードル弁;
を有し、
上記軸部入口穴に加圧状態の液状樹脂が供給され、
上記ニードル弁は、上記圧力室に加圧力が作用したとき上記ニードル弁部が軸部出口穴を閉塞し、上記圧力室内の圧力をリリーフした状態では、液状樹脂の圧力により軸部出口穴を開くことを特徴とする液状樹脂射出成形装置用開閉バルブ。
【請求項2】
請求項1記載の液状樹脂射出成形装置用開閉バルブにおいて、上記軸部入口穴は、複数の液状樹脂を混合するスタテッィクミキサーの出口穴に連通している液状樹脂射出成形装置用開閉バルブ。
【請求項3】
請求項2記載の液状樹脂射出成形装置用開閉バルブにおいて、上記スタティックミキサーは、複数の液状樹脂を計量して混合する計量射出ユニットに備えられており、この計量射出ユニットは、型締め装置に対して昇降運動し、下降したとき、上記開閉バルブが型締め装置の上型と下型とで形成される成形空間内に連通する樹脂注入口に係合する液状樹脂射出成形装置用開閉バルブ。
【請求項4】
請求項3記載の液状樹脂射出成形装置用開閉バルブにおいて、上記型締め装置は複数が整列させて設けられており、各型締め装置は、上型を固定したトップビームと、上記上型と対をなす下型を昇降させる型締めシリンダ装置とを有し、上記計量射出ユニットは、いずれかのトップビーム上に移動可能であり、上記樹脂注入口は、各トップビームに設けられている液状樹脂射出成形装置用開閉バルブ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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