説明

液状物充填包装体用保持容器

【課題】液洩れ防止機能や円滑な注ぎ出し機能、該包装体の懸吊保持機能に優れた、液状物充填包装体用保持容器を提案することにある。
【解決手段】セルフシール逆止機能つきフレキシブル液体注出ノズルを突設してなるフレキシブル包装袋内に液状物を気密下に充填してなる非自立型の液状物充填包装体を、保護するための容器であって、開閉可能な半割状胴体を合わせて一体にした形が、扁平上部を除いて筒状体を呈する自立型の容器本体と、この容器本体の扁平上部に、一端部を支点として起伏回動すると共に幅方向にスライドするように嵌め合わされる蓋体とからなる液状物充填包装体用保持容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物充填包装体用保持容器に関し、とくに、外気の侵入を阻止する向きの逆止機能を示すフィルム状液体注出ノズルを備えるフレキシブル包装袋内に、醤油や液体調味料、飲料の如き液状物を充填してなる非自立型(軟質素材)の包装体を、そのままで卓上等において使用形態になるようするために用いられる自立型硬質素材の保持容器について提案する。
【背景技術】
【0002】
近年、開封した後も包装袋内収容物の酸化を抑えることのできる液体充填用フレキシブル包装袋についての提案がある。例えば、特許文献1〜3には、セルフシール逆止機能つきの、プラスチック積層フィルムからなる液体注出ノズル、即ち、フィルム状逆止ノズルを備えるフレキシブル包装袋が開示されている。
【0003】
この特許文献1〜3に開示されているフレキシブル包装袋は、醤油その他の液体調味料やサラダオイルのような液状物を、液中シール充填するための包装体として用いられるものである。そして、この液状物を充填するための包装体の特徴は、液状の被包装物を袋本体から注出する操作を、何度繰り返したとしても、大気の流入(逆流)がない分、少なくとも袋本体内では、その被包装物が大気に全く触れることがないという点の構成に特徴がある。従って、このような包装袋内に気密に封入されている液状の被包装物は、酸化等による品質の劣化を全く起こすことがないので、充填当初のままの状態を長期に亘って維持できるという利点がある。
【0004】
ところで、液状物が充填された非自立型の軟質包装袋を収納保持することができるとともに、その容器を傾けることで、充填された液状物を該軟質包装袋の注ぎ口から取り出すことができるようにした自立型の硬質容器について、従来、種々のものが提案されている(特許文献4〜10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−15029号公報
【特許文献2】特開2006−315701号公報
【特許文献3】特開2007−326581号公報
【特許文献4】特開2006−264698号公報
【特許文献5】特開2007−1630号公報
【特許文献6】特開2006−160298号公報
【特許文献7】特開平6−48465号公報
【特許文献8】特開平6−92370号公報
【特許文献9】特開平6−127599号公報
【特許文献10】特開平10−218203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献4(図6参照)、特許文献5(図8参照)に開示されているような従来箱形容器は、確かに、本発明において収納対象とする非自立型の液状物充填包装体を保持するための容器の例であるが、単に収納することだけを重視して構成されたものであって、少なくともフィルム状注出ノズルの機能を生かす構造になっていない点で、本発明に適用するにはかなりの改良が必要であった。即ち、液状物充填体を収納したこれらの容器が倒れたような場合、前記注出ノズルからの被包装物の流出を阻止できないばかりか、該容器を傾けたときの被包装物の円滑な注ぎ出しができないとか、あるいは液状物充填包装体の交換ができないか、少なくとも面倒になるという課題を残していた。
【0007】
また、特許文献6に開示の包装構造体は、フィルム状注出ノズルを有する非自立型の液状物充填包装体を保持するための容器の例であるが、該液状物充填包装体の容器内への収納、保持固定が面倒で、その包装体の交換ができないという問題があった。
【0008】
一方、特許文献7〜10に開示されているような保持容器の場合もまた、少なくとも前記フィルム状液体注出ノズルを備えるフレキシブル包装袋の収納を目的としたものではないため、液洩れ防止機能や円滑な注ぎ出し、さらに、これらの従来容器については、収納された液状物充填包装体内の被包装物の残量の確認が不可能であったり、容器を傾けて液状物を注ぎ出す際、液状物の残量が少なくなった時の液状物の取り出しが困難になったりするという問題があり、こうした課題のない容器の開発が求められていた。
【0009】
本発明の目的は、収納すべき液状物充填包装体の立ち姿にちょうど見合う外観形状を有する保持容器を提案すること、そして、液洩れ防止機能や円滑な注ぎ出し機能、該包装体の懸吊保持機能に優れた、液状物充填包装体用保持容器を提案することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、収納する液状物充填包装体内の残量の確認が容易にでき、注ぎ出し量を調整できるような、デザイン的にも優れた液状物充填包装体用保持容器を提案することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、液状物充填包装体内に気密状態に充填されている被包装物(液状物)が、たとえ保持容器が倒れたときでもキャップのないフィルム状注出ノズルから勝手に流出しないようにすると共に、被包装物(液状物)の注ぎ出し量の調節ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
従来技術が抱えている上述した課題を克服できる保持容器を開発すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者は、収納する液状物充填包装体を懸吊保持したときの形態に類似する外観形状にすること、前記フィルム状液体注出ノズルの特性を活かすことができる形態・構造を有すること、被包装物である液状物の残量が視認できると共にスムーズな注ぎ出しができるようにすること、そして、本来は軟質フィルムからなる非自立型で定形性のないフレキシブル包装袋であるために、独立しては使用できない前記包装体をそのまま卓上で使用できるようにすると共に、デザイン的にも機能的にもその使用形態に適したスマートなものにするというコンセプトの下で、下記の要旨構成に係る液状物充填包装体用保持容器の開発に成功した。
【0013】
即ち、本発明は、フレキシブル包装袋の袋本体の一側縁部に、逆止機能つきフレキシブル液体注出ノズルを突設してなり、その包装袋本体内には液状物を気密下に充填してなる非自立型の液状物充填包装体を、保護するための容器であって、開閉可能な半割状胴体を合わせて一体にした形が、扁平上部を除いて筒状体を呈する自立型の容器本体と、この容器本体の扁平上部に、一端部を支点として起伏回動(スウイング)すると共に幅方向にスライドするように嵌め合わされる蓋体とからなることを特徴とする液状物充填包装体用保持容器である。
【0014】
また、本発明は、フレキシブル包装袋の袋本体の一側縁部に、逆止機能つきフレキシブル液体注出ノズルを突設してなり、その包装袋本体内には液状物を気密下に充填してなる非自立型の液状物充填包装体を、保護するための容器であって、分離可能な2つの半割状胴体を合わせて一体にした形が、扁平上部を除いて筒状体を呈する自立型の容器本体と、この容器本体の扁平上部に、一端部を支点として起伏回動すると共に幅方向にスライドするように嵌め合わされる蓋体とからなることを特徴とする液状物充填包装体用保持容器である。
【0015】
なお、本発明の液状物充填包装体用保持容器においては、
(1)前記容器本体を構成する一対の半割状胴体の扁平上部には、それぞれ外面に、略L字形である案内溝が形成されており、一方、前記蓋体の内面には、それらの案内溝に嵌合する突起が設けられ、該突起が案内溝内を移動して、該蓋体の前記起伏回動ならびに幅(水平)方向へのスライドを可能にするように構成されていること、
(2)前記容器本体の一側縁上部には、この容器内に収納される液状物充填包装体に取付けたフィルム状液体注出ノズルを引き出すためのスリットを、それぞれの半割状胴体の合わせ部分に設けてなること、
(3)前記容器本体は、それぞれの半割状胴体の扁平上部に、対として用いられる突起と嵌合孔からなる懸吊手段を、幅方向に少なくとも2個設けてなること、
(4)前記容器本体は、略中位以下が円筒状または角筒状でその中位から上端部に向かって次第に扁平形状を呈し、側面形状が略三角形であること、
(5)前記容器本体は、半割状胴体のいずれか少なくとも一方の胴部に窓孔が設けられること、
(6)前記蓋体は、一対の半割状胴体を合せて形造られる容器本体の扁平上部の嵌着状態が、これの起伏(スイング)によって、該容器本体内に収容された液状物充填包装体の液体注出ノズル基端部の締め付けもしくはそれの解放をもたらすように形成されていること、
(7)前記容器本体は、それぞれの半割状胴体の側縁上部に設けられたノズル引出し用スリット部に、ノズル側面の挟持が可能な一対のものからなるノズルストッパーを取付けてなり、前記蓋体の起伏によって、該ノズルストッパー同士の重合もしくは隔離のいずれか一方を導いて、液体注出ノズル基端部を厚み方向に締め付け(挟持)もしくは弛緩(解放)をもたらすように形成されていること、
(8)前記フィルム状液体注出ノズルは、重なり合う2枚の薄い軟質の平坦な積層フィルムを、包装袋本体側のノズル基端部となる部分を除く外周縁部分を相互に融着して、中央部分を注出通路として構成し、該包装袋本体の一側縁上部から突出するように、その基端部を融着接合してなるものであって、包装袋本体を傾動させて被包装物を注出する際に、該液状被包装物が通過することによって、前記注出通路内が濡れた状態となる積層フィルムの内表面どうしが、該注出通路内表面に被包装物が滞留することによる相互の密着作用によって、外気の侵入を阻止する逆止機能を生ずるように形成されたものであること、
が、より好ましい実施形態となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように構成される本発明の液状物充填包装体用保持容器は、以下に述べるような効果を奏するものである。
(1)本発明に係る保持容器を採用すれば、フレキシブル(軟質)包装袋内に醤油その他の調味液等の液状物を充填してなる定形性も自立性もない液状物充填包装体を、そのままで、卓上等において使用に供することができるようになる。とくに、本発明によれば、逆止機能つき液体注出ノズルを有するフレキシブル包装袋内に、所要の液状物を液中シール充填して得られる非自立型の液状物充填包装体の保持容器として好適な容器を提供することができる。
(2)本発明によれば、下部が筒状で上部が扁平になる外観にしたことで、前記液状物充填包装体を懸吊したときの形態に合せることができ、収納保持の状態が安定しており、被包装物の注ぎ出しをスムーズに行うことができるようになる。また、該容器内へ液状物充填包装体の着脱、取り替えを容易に行うことができる。
(3)本発明によれば、上記液状物充填包装体を収納保持するとき、スライド構造を有すると共にスイングする本発明に特有な蓋体を用いることにより、該容器が倒れても開封後の包装袋から液状物の流出を起すことなく、一方で、注ぎ出しやその停止、上記液状物充填包装体の容器内への取り替え格納が容易にできるようになる。
(4)本発明によれば、容器の胴部に窓孔を設けた場合、被包装物の残量や内容物の確認ができる他、該容器本体内に収納された液状物充填包装体の胴部側面を直接加圧することが可能なため、液状物の注ぎ出しおよびその量のコントロールが容易になる。
(5)本発明によれば、容器本体を構成する半割状胴体の側縁上部のノズル引出し口部に、2枚で一対の板状のノズルストッパーを設けた場合、たとえ容器が倒れたような場合でも、キャップレスの液体注出ノズルから液状被包装物が漏れ出すようなことをより完全に防ぐことができると共に、このノズルストッパーの作用によって液状被包装物の注ぎ出しやその停止が却って容易になり、しかも、吐出方向を所期した通りの方向に確実に維持するという指向性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の保持容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の保持容器の側面図である。
【図3】図1の保持容器における半割状胴体の上部を離隔させた状態の斜視図である。
【図4】図1の保持容器における半割状胴体を完全に開いた状態の斜視図である。
【図5】図1の保持容器の扁平上部(a)、(b)中央部(c)および下部(c)、(d)の形態を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態の保持容器における半割状胴体を完全に開いた状態の斜視図である。
【図7】図6の保持容器における半割状胴体の上部を離隔させた状態の斜視図である。
【図8】図6の保持容器の斜視図である。
【図9】本発明の小容量タイプの保持容器を示す斜視図である。
【図10】本発明の容器の使用状態の斜視図である。
【図11】フレキシブル包装袋内に液状物を充填してなる、液状物充填包装体の一部切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る液状物充填包装体用保持容器は、セルフシール逆止機能をもつ平坦なフィルム状の液体注出ノズルを有するフレキシブル包装袋内に、被包装物である液状物を液中シール充填してなる非自立型の液状物充填包装体を収納保持するための容器として開発されたものである。とくに、この容器は、充填する液状物自体が不定形であり、しかも包装袋自体も軟質積層フィルムで形造られていて、非自立型であることから、そのままでは自立性も定形性もなく取扱いに不便で使用形態に馴染まない該液状物充填包装体を、液体詰め替え用として用いるのではなく、そのまま卓上等において使用形態になるようにするための保持容器としたところに特徴がある。
【0019】
そのために、本発明のこの保持容器では、前記液状物充填包装体をその上端部で懸吊し保持したときの外形、即ち、下部が円柱状を呈し、上端に向かって次第に扁平状になる形に合わせ、少なくとも本体部分はこれを綺麗に収納できるような形態にすることを目指した。
【0020】
即ち、図1は、この液状物充填包装体用保持容器Cの一実施形態を示す斜視図、図2はそれの側面図である。これらの図に示すように、本発明本実施形態の保持容器Cは、軸方向(縦方向)に沿って2分割された半割状(樋状)胴体1a、1bを向い合わせに接合して一体にした形が、偏平上部2を除いて、筒状体を呈し、例えば、硬質プラスチックや金属薄板などの硬質の素材を成形してなる自立型で開閉の可能な容器本体1と、この容器本体1の頂部に嵌合させる蓋体3とからなるものである。
【0021】
従って、かかる容器本体1は、図5に示すように、高さ方向の中程の部位以下が円(c)または楕円(b)である円筒状で、それから上は上端部に向って次第に扁平形状(a)に変化する形を有し、側面形状が図2に示すとおり略三角形を呈するものである。このような形態にすれば、該容器本体1は、上述したように、正しく、前記液状物充填包装体Bの吊り下げ姿勢下での外形に略類似したものとなり、それの収まり状態がよくなる。なお、底部は角筒状にすることも可能である。
【0022】
このように、容器本体1は、自立するように、底部は略円形もしくは角形にすると共に、本実施形態としては半割状胴体1a、1bを、その底部をヒンジ構造1dとして開閉できるようにする。つまり、開閉の可能なこの半割状胴部1a、1b内には、前記液状物充填包装体Bを着脱可能に収納する。
【0023】
なお、本発明においては、2個一対の前記半割状胴体1a、1bの開閉は、上述した底部のヒンジ構造1dだけでなく、図6の本発明に係る保持容器Cの他の実施形態に示すように凹凸突起1e、1fで底部を嵌合させるような擬似ヒンジ構造であってもよく、この場合、半割状胴体1a、1bは完全に2つに分離可能となる。更に、周縁部に適数個のホゾ、ホゾ穴を設けることによって半割状胴体1a、1bの分離と接合を果すようにしてもよいし、開閉あるいは分離と接合ができればその他の方法であってもよい。
【0024】
ところで、本発明に係る保持容器Cは、そもそも調味液、例えば、醤油やソース、ドレッシングなどの液状物Lを、図11に示すようなフレキシブル包装袋Pの袋本体内に液中シール充填してなる液状物充填包装体Bを、内部に収納しかつ吊り下げ姿勢の下に保持するためのものである。とくに、液状物充填包装体Bを収納するための容器は、上記フレキシブル包装袋Pのもつ特徴、とりわけ、袋本体の一側縁上部に突設した逆止機能を有するフィルム状液体注出ノズルN(以下、単に「注出ノズル」と略して言う)の作用効果が十分に発揮される構成にすることが求められる。
【0025】
なお、前記フィルム状液体注出ノズルは、重なり合う2枚の薄い平坦な軟質の積層フィルムを、包装袋本体側のノズル基端部となる部分を除く外周縁部分を相互に融着して、中央部分を注出通路として構成し、包装袋本体の一側縁上部から突出するように、その基端部を融着接合したものである。そして、このフィルム状液体注出ノズルは、包装袋本体を傾動させて被包装物を注出する際に、充填された液状被包装物がこのノズルの注出通路を通過することによって、前記注出通路内が濡れた状態となる積層フィルムの内表面どうしが、該注出通路内表面に被包装物が滞留することによる相互の密着作用によって、外気の侵入を阻止するセルフシール逆止機能を生ずるように形成されたものである。
【0026】
従って、フィルム状逆止ノズルNを突設してなる包装袋本体で構成されるフレキシブル包装袋P内に、調味液等を充填してなる液状物充填包装体Bというのは、それ自体を傾動させることによって、所要量の液状被包装物を袋内から注出することができるが、液状物充填包装体Bを元の起立姿勢に復帰させると、前記注出ノズルの開口部から該液状物の流出が停止するようになると共に、常に液体が通路内に残留(滞留)して濡れた状態になる。そのために、その停止と同時に、該積層フィルムの内面どうしは、毛細管作用により相互に強く引き付け合って密着した状態となり、該注出ノズル先端部に設けた前記ノズル開口は密着したままとなり、外気の包装袋本体内への侵入を確実に阻止(逆流防止)することになる。その結果、このようなフィルム状逆止ノズルを備えるフレキシブル包装袋では、袋本体内に充填されている液状の被包装物は、それの注出前はもちろん、注出中および注出後においても、外気との接触から一切遮断されて保護された嫌気性雰囲気の状態になり、袋内調味液の酸化、汚染等が有効に防止されることになる。
【0027】
さらに、本発明に係る容器本体1は、それぞれの半割状胴体1a、1bの中央部近傍または下部寄りの位置に、円形や楕円形、方形などを好適例とする窓孔6、6’が形成される。この窓孔6、6’の役割は、該容器本体1内に格納する前記液状物充填包装体Bの胴部を直に加圧できるようにして、被包装物の前記注出ノズルNからの吐出を促すときに効果的に機能する。それと同時に、該液状物充填包装体B内の被包装物の内容量、とくに残量を確認する上でも有効に働く。
【0028】
こうした要請に応えるために、本発明では、上記の保持容器Cの構成として、上述したとおりの容器本体1と、これの扁平上部1c、1c’に嵌め合わせる蓋体3とを以下のような構成にする。
【0029】
まず、容器本体1については、それの扁平上部、即ち、それぞれの半割状胴部1a、1bの扁平上部2a、2bには、それぞれの外面側に、図3に示すように、幅方向の略中間の位置に略L字形である案内溝4、4’を突設してあると共に、この案内溝4、4’を挟む該扁平上部2a、2bの幅方向の両側の位置には、対として用いられる突起5aとこれに嵌合させる嵌合孔5bとからなる懸吊手段5が幅方向に少なくとも2個設けられる。なお、この懸吊手段5は、突起5aおよび嵌合孔5bに代わり、またはこれと共に粘着層(図示せず)を該扁平上部2a、2bのそれぞれの内面のいずれか少なくとも一方に形成したものであってもよい。
【0030】
ところで、前記フレキシブル包装袋Pは、その上横シール部に前記懸吊手段5の対応する位置に吊り下げ用の複数の吊り孔13(図11)を設けたものが好適に用いられる。
【0031】
なお、前記扁平上部2bに設けた突起5aとしては、図6および図7の他の実施形態として示すようなフック形状としてもよく、この場合、該フック状の突起5aにフレキシブル包装袋Pの吊り孔13を引掛けるようにして掛止することで、該フレキシブル包装袋Pを保持容器内に確実に吊り下げ、保持することができる。
【0032】
また、容器本体1の、図1、図2の図示例では左側である一側縁の前記注出ノズルN対応位置に、ノズル引出し用スリット10を設けると共に、該注出ノズル基端部(袋本体側の取付け部)下縁近傍に一対の係止突起11、11’を設けて、被包装物の注ぎ出しが常に円滑にできるようにフレキシブル包装袋Pの縦ヒートシール部を挟みつけるようにすること、さらにはそれの上方に、図3に示すような好ましくはプラットフォーム12、12’を隆起させてもよい。
【0033】
さらに、本発明では、他の実施形態として、図6〜図8にあるように、前記容器本体1のノズル引出し用スリット10部に、ノズル両側面を挟持する2枚で一対の合わせ板状のノズルストッパー15、15’を設けることが好ましい。このノズルストッパー15、15’は、注出ノズルNの支持板となり、被包装物を一定の方向に吐出できるようになると共に、注出ノズルNの基端部を挟みつけるように設けられているため、後述する蓋体3によって、キャップレス(キャップがないこと)注出ノズルNであっても、確実に閉止して液状物の漏れ出しをより完全に防ぐことができ、不測の事態(転倒)に対応する構成である。
【0034】
次に、蓋体3について説明する。この蓋体3の主たる役割は、2つに分かれた容器本体の半割状胴体1a、1b、とくにその扁平上部2a、2bを、嵌合によって接合し、該容器本体1内に膨満形状の前記液状物充填包装体Bを綺麗にかつ弛みを招くことなく格納すること(第1の機能)にある。その他、上述した注出ノズルNの基端部(袋本体側の取付け部)を常態において締め付けることにより、不測の状態(容器の転倒等)が発生した場合にあっても、袋内被包装物が該注出ノズルNの開口から流出することがないようにすること(第2の機能)、および容器本体1内に液状物充填包装体Bを詰め替え(交換)するために行う、前記半割状胴体1a、1bの開閉を助ける機能(第3の機能)を持たせることにある。さらに、図2に示すように、蓋体3の断面形状を逆ハの字形状にすることで、容器の持ち易さと滑り難さを兼備するとともに、持つ位置にも依るものの、液状物充填包装体Bを収納した容器の蓋体3を持って持ち上げるだけで、その重みにより蓋3が開き(図3および図7において、案内突起7が案内溝4、4’内のロの位置まで移動)、袋内被包装物の注出を容易に行うことができること(第4の機能)にある。
【0035】
上記の第1の機能を果すために、本発明では、図3および図7に示すように、蓋体3は2つの扁平上部2a、2bを挟みつけられるように、スリットSをもつ断面逆U形のクリップ形状とし、第2の機能を付与するために、図1および図8に示すように、注出ノズルN側の一端部を支点として他方の遊端部が起伏回動して少しだけスイングするようにして、前述した締め付けとそれの解放ができるようにし、そして、第3の機能の実現のために、該蓋体3は、上記のスイング機能に併せて幅(水平)方向にスライド(往復動)可能に軸支することで、半割状胴体1a、1bを底部のヒンジ構造1d(図4)または凹凸突起1e、1f(図6)を介して開閉するように構成してある。
【0036】
また、図6〜8の他の実施形態においては、前記ノズル引出し用スリット10部に、そこから突出するように一対の板状ノズルストッパー15、15’が配設してあるため、前記第2の機能によって扁平上部2a、2bと共に、該ノズルストッパー15も締め付け、または解放されることになり、注出ノズルNの基端部を常態において締め付けることにより注出口を確実に閉止することができる。
【0037】
また、前記第3の機能を実現するために、本発明では、図3および図7に示すように、半割状胴体の前記扁平上部2a、2bの略中央部、それぞれの外面に、図示のような略L字形である案内溝4、4’を欠設すると同時に、対応する蓋体3側の内面にはそれぞれ案内突起7、7’を設け、そして該扁平上部のいずれか一方、即ち図示例では2b側の軸支部分に長孔状のスライド孔8を設ける。このような構成にすることで、蓋体3は所期した各機能を果すことができるようになる。
【0038】
即ち、図3および図7に示すように、案内突起7、7’が前記案内溝4、4’内のイの位置で該蓋体3は容器本体1の扁平上部2に嵌着して前記注出ノズルNからの被包装物の不測の流出を防止し、ロの位置では注出ノズルNの解放をもたらして注ぎ出し態勢を維持する状態を導き、そして該案内突起7、7’がハの位置にスライドし(支軸9はスライド孔8内を移動する)それ自身はニ方向に大きく回動したとき、図示したとおり、半割状胴体1a、1bの上方に外れてこれらの接合を開放し、収納した前記液状物充填包装体Pの交換が可能になるようにする。
また、図3および図7に示すように、スライドロック用突起14、14’を設けることで、蓋体3は一定の力をかけた時のみ、案内突起7、7’が案内溝4、4’内のハの位置まで移動することから、意図しない容器本体1の開閉や分離を防止することが可能である。
さらに、半割状胴体1a、1bの側面を一部延長させたリブ形状(板)を追加すれば(図示せず)、液状物充填包装体Bの挟み込みを防止することも可能である。
【0039】
ところで、本発明の他の実施形態として、図7に示すように、扁平上部2a側の、図中の右側端下部には、三角形状の凹部16が形成される。この凹部16は、蓋体3を上方に開いた際に、蓋体3の軸支9側の下側角部と、扁平上部2aとが接触しないようにするために設けられたものであり、これによって蓋体3は、90度近くまで上方に開くことができるようになる。その結果、本容器Cからのフレキシブル包装袋Pの取外し、収納装着が一層容易にでき、詰め替え作業が簡単にできるようになる。
【0040】
なお、本発明の包装容器Cとしては、該容器C内に保持する詰替え用フレキシブル包装袋Pの容量(1リットル、750cc、500cc、250cc、200cc等)に合わせて種々のサイズのものを選択使用することが好ましく、例えば、フレキシブル包装袋Pの容量が小さい場合には、図9に示すような小型の包装容器C(200cc用)を用いることができる。
【0041】
ところで、フレキシブル包装袋P内に充填した液状包装物の注ぎ出しは、前記フィルム状逆止ノズル(注出ノズル)Nの先端部寄りに形成される引き裂き誘導線とノッチnの付加によって特定される開口予定部分を切り取って開封することによって行い、そして、ノッチnの開口後は、図10に示すように、本発明の保持容器Cごと液状物充填包装体Bを、ノズル開口部(注ぎ口)が下方に向く姿勢となるように傾動させることによって果すことができる。この場合、液状被包装物の流出は、基本的には該被包装物押し出し圧力(水頭圧)を受けて行うことができるものである。この場合において、軟質の積層フィルムからなるフィルム状逆止ノズルNは、液状被包装物の水頭圧の作用の他、上述した窓孔6、6’を通じて、手指によって該液状物充填包装体Bの胴部を直接加圧することによって、表・裏の積層フィルムをそれぞれ離隔させられることとなり、注出通路を開通することになる同時に、ノズル開口部をも開放して、被包装物の注出を果す。また、被包装物の注出量は、上記のように保持容器Cの傾動角度や前記液状物充填包装体B胴部の手指による加圧の程度によってコントロールできると共に、前記蓋体3の起伏回動角度による締め付け程度の調整によってもコントロールすることができる。
【0042】
なお、前記フィルム状逆止ノズルNのノズル開口部(注ぎ口)を通じて、被包装物である液状物を注出するときは、軟質積層フィルムからなるフレキシブル包装袋Pの袋本体は、被包装物の注出にもかかわらず、フィルム状逆止ノズルのもつ逆止機能のために、外気の吸い込み(逆流)が全くないので、包装袋本体の方はその注出体積分に相当する量だけ収縮ないしは潰れ変形することになる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の保持容器は、図示例だけに限らず、本発明思想を逸脱しない範囲内において、その構成を部分的に変更することは可能であり、醤油やソース、ドレッシングなどの調味液、各種飲料の他、マヨネーズや化粧料の如き粘稠物を液中シール充填した充填包装体などの保持容器としても使うことができる。
【符号の説明】
【0044】
B 液状物充填包装体
C 保持容器
P フレキシブル包装袋
N フィルム状逆止ノズル
n ノッチ
L 液状被包装物
S スリット
1 容器本体
1a、1b 半割状胴体
2、2a、2b 扁平上部
3 蓋体
4、4’案内溝、
5 懸吊手段
5a 突起
5b 嵌合孔
6、6’ 窓孔
7 案内突起
8 スライド孔
9 支軸
10 ノズル引出し用スリット
11 係止突起
12 プラットフォーム
13 吊り孔
14、14’ スライドロック用突起
15、15’ ノズルストッパー
16 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル包装袋の袋本体の一側縁部に、逆止機能つきフレキシブル液体注出ノズルを突設してなり、その包装袋本体内には液状物を気密下に充填してなる非自立型の液状物充填包装体を、保護するための容器であって、
開閉可能な2つの半割状胴体を合わせて一体にした形が、扁平上部を除いて筒状体を呈する自立型の容器本体と、この容器本体の扁平上部に、一端部を支点として起伏回動すると共に幅方向にスライドするように嵌め合わされる蓋体とからなることを特徴とする液状物充填包装体用保持容器。
【請求項2】
フレキシブル包装袋の袋本体の一側縁部に、逆止機能つきフレキシブル液体注出ノズルを突設してなり、その包装袋本体内には液状物を気密下に充填してなる非自立型の液状物充填包装体を、保護するための容器であって、
分離可能な2つの半割状胴体を合わせて一体にした形が、扁平上部を除いて筒状体を呈する自立型の容器本体と、この容器本体の扁平上部に、一端部を支点として起伏回動すると共に幅方向にスライドするように嵌め合わされる蓋体とからなることを特徴とする液状物充填包装体用保持容器。
【請求項3】
前記容器本体を構成する一対の半割状胴体の扁平上部には、それぞれ外面に、略L字形である案内溝が形成されており、一方、前記蓋体の内面には、それらの案内溝に嵌合する突起が設けられ、該突起が案内溝内を移動して、該蓋体の前記起伏回動ならびに幅方向へのスライドを可能にするように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液状物充填包装体用保持容器。
【請求項4】
前記容器本体の一側縁上部には、この容器内に収納される液状物充填包装体に取付けたフィルム状液体注出ノズルを引き出すためのスリットを、それぞれの半割状胴体の合わせ部分に設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状物充填包装体用保持容器。
【請求項5】
前記容器本体は、それぞれの半割状胴体の扁平上部に、対として用いられる突起と嵌合孔からなる懸吊手段を、幅方向に少なくとも2個設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の液状物充填包装体用保持容器。
【請求項6】
前記容器本体は、略中位以下が円筒状または角筒状でその中位から上端部に向かって次第に扁平形状を呈し、側面形状が略三角形であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の液状物充填包装体用保持容器。
【請求項7】
前記容器本体は、半割状胴体のいずれか少なくとも一方の胴部に窓孔が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の液状物充填包装体用保持容器。
【請求項8】
前記蓋体は、一対の半割状胴体を合せて形造られる容器本体の扁平上部の嵌着状態が、これの起伏によって、該容器本体内に収容された液状物充填包装体の液体注出ノズル基端部の締め付けもしくはそれの解放をもたらすように形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の液状物充填包装体用保持容器。
【請求項9】
前記容器本体は、それぞれの半割状胴体の側縁上部に設けられたノズル引出し用スリット部に、ノズル側面の挟持が可能な一対のものからなるノズルストッパーを取付けてなり、前記蓋体の起伏によって、該ノズルストッパー同士の重合もしくは隔離のいずれか一方を導いて、液体注出ノズル基端部を厚み方向に締め付けもしくは弛緩をもたらすように形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の液状物充填包装体用保持容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−179961(P2010−179961A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277268(P2009−277268)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り (1)コンバーティング総合情報誌 コンバーテック 第37巻 第9号 通巻第438号、平成21年9月15日、株式会社 加工技術研究会 発行 (2)日経トレンディー 通巻第297号 平成21年10月1日、日経BP社 発行
【出願人】(000006770)ヤマサ醤油株式会社 (56)
【Fターム(参考)】