説明

液等の漏れ防止板及びこの液等の漏れ防止板を備えた包装容器

【課題】弁当箱等の包装容器内の液等の漏れを防止するものでありながら、この包装容器内に容易に装備することが可能な液等の漏れ防止板及びその液等の漏れ防止板を備えた包装容器を提供すること。
【解決手段】底板2の内面及び複数の側板3の内面上に透明な樹脂フィルム4が貼着されている。この樹脂フィルム4の四隅に位置する樹脂フィルム部分4aは、底板2から複数の側板3に亘ってこの複数の側板3間の隙間が覆われるようになっている。この樹脂フィルム部分4aは側板3を液等の漏れ防止板1の内方に折り目Cを介して折れ曲げて起立させることによりこの側板3が起立するのに追従して起立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当箱等の包装容器に収容した惣菜、肉、魚、粉末物等の食品から流れ出す液や粉末あるいは降りかけた汁、タレ、調味液、粉(以下、これらを単に液等という)がこの包装容器から漏れるのを防止する液等の漏れ防止板及びこの液等の漏れ防止板を備えた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、木製又は紙製の弁当箱等の包装容器は基本構成として底板とこの底板の周縁から連設した側壁とを箱状に組み立てて構成されている。この包装容器に食品を収容したとき、側壁間に隙間があればこの隙間から液等が漏れ出すおそれがあった。
【0003】
この包装容器の側壁間の隙間から液等の漏れが生じるのを防止するため、例えば特許文献1には、側壁に連設した複数の紙片を折り曲げたり重ね合わせたりして側壁間の隙間を塞いだものが開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−292053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1の包装容器は一連に繋がった複数の紙片を折り曲げたり重ね合わせたりして角部を組み立てるものであるから、この角部の美観を損ねないように組み立てるのが面倒である。
【0006】
本発明は、一連に繋がった複数の紙片を折り曲げたり重ね合わせたりして角部を組み立てるものではない通常の弁当箱等の包装容器であっても適用でき、この包装容器内に装備することが容易であり、この包装容器内の液等の漏れを確実に防止することができる液等の漏れ防止板及びその液等の漏れ防止板を備えた包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、包装容器内に装備させる液等の漏れ防止板であって、
前記液等の漏れ防止板は、底板(2)と、この底板(2)の周縁に連設して折り曲げにより起立される複数の側板(3)とを有し、この複数の側板(3)間の隙間が覆われるように前記底板(2)から前記複数の側板(3)に亘って樹脂フィルム(4)を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、包装容器の側壁間に請求項1に記載の液等の漏れ防止板を装備させた包装容器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、液等の漏れ防止板に設けた折り曲げにより起立される側板を、予め手等で起立させておくか、あるいは包装容器内に押し込んで起立させることで、底板から複数の側板に亘って設けられた樹脂フィルムが、この複数の側板が起立するのに追従して起立してこれら複数の側板間の隙間を覆うことができる。このため一連に繋がった複数の紙片を折り曲げたり重ね合わせたりして角部を組み立てるものではない通常の弁当箱等の包装容器であっても適用でき、この包装容器内に装備することが容易であり、この包装容器内の液等の漏れを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態である液等の漏れ防止板の側板を起立させた状態を示す図であり、図1(A)は液等の漏れ防止板の斜視図であり、図1(B)は図1(A)をI−Iに沿って切断した端面図である。図2は図1の液等の漏れ防止板の側板を底板と同一平面上に展開した図であり、図2(A)は液等の漏れ防止板の内面を示し、図2(B)は液等の漏れ防止板の外面を示す。図3は上記液等の漏れ防止板を備えた包装容器を示す図であり、図3(A)はこの包装容器の斜視図であり、図3(B)は図3(A)の要部平面図である。図4及び図5は液等の漏れ防止板を備えた包装容器の別実施例を示した図である。
【0011】
本実施形態である紙製又は木製の液等の漏れ防止板1は、弁当箱等の包装容器内に装備させて使用するものであり、矩形状の底板2と、底板周縁に折り目Cを介して連設して折り曲げにより起立される複数の矩形状の側板3とを有する。各側板3の高さは側板3が底板2と同一平面上にある状態(図2を参照)から起立したときの高さが同じになるように設定されている。
【0012】
底板2の内面及び複数の側板3の内面にPPフィルム、PETフィルム等の透明な樹脂フィルム4が貼着されている。この樹脂フィルム4の四隅に位置する樹脂フィルム部分4aは底板2から複数の側板3に亘ってこの複数の側板3間の隙間が覆われるようになっている。
【0013】
樹脂フィルム部分4aは、各側板3が液等の漏れ防止板1の内方への折り目Cを介した折れ曲げにより起立するとき、この側板3に追従して起立する。そしてこの樹脂フィルム部分4aはこの起立方向Dとは反対方向に撓み変形して液等の漏れ防止板1の外側に位置させることができるため、液等の漏れ防止板1を後述するように弁当箱内に装備させたとき、この側板3と包装容器の側壁との間にこの樹脂フィルム部分4aを容易に折り込むことができる。この樹脂フィルム部分4aは底板2と側板3とが同一平面上にある起立前の状態において上記起立方向Dと反対方向に予め撓ませておくことにより、この反対方向に撓み変形して液等の漏れ防止板1の外側に位置させることが容易にできる。樹脂フィルム部分4aは、この樹脂フィルム部分4aにおける側板3の端縁3a間の中心線Lを対称軸にして線対称に三角形状に形成されている。
【0014】
図3に示されるように、液等の漏れ防止板1はこの複数の側板3が起立した状態で紙製又は木製の弁当箱(包装容器の一例)5の各側壁6の内面に沿って装備されている。複数の側板3は弁当箱5の側壁6に当たって起立し、この複数の側板3間の隙間を樹脂フィルム部分4aが覆っている。この樹脂フィルム部分4aは液等の漏れ防止板1の外側に位置し、液等の漏れ防止板1の側板3の外面と弁当箱5の側壁6の内面との間にこの中心線Lを折り目にして折り込まれている。
【0015】
なお液等の漏れ防止板1を弁当箱5内に装備する場合、この液等の漏れ防止板1を複数の側板3が底板2と同一平面上にある状態で弁当箱5内に機械又は手で押し込むことにより、この複数の側板3の外面を弁当箱5の側壁6に当ててこの複数の側板3を起立した状態にしてもよい。また複数の側板3を手で起立させた状態に保持して液等の漏れ防止板1を弁当箱5内に入れてから、この複数の側板3から手を離しこの複数の側板3を弁当箱5の側壁6で当てて起立した状態にしてもよい。
【0016】
弁当箱5内が複数の仕切り板7で複数に仕切られている場合、これら仕切り空間内に液等の漏れ防止板1の側板3を仕切り板7に沿って装備し、この複数の側板3のいずれかを仕切り板7で支持させて起立させてもよいし、この複数の側板3全てを仕切り板7で支持させて起立させてもよい(図4を参照)。また弁当箱に入れたご飯やおにぎりに隣接させてこの液等の漏れ防止板1を装備してご飯やおにぎりによりこの側板3を支持させて起立させてもよい(図5を参照。この図5はおにぎりRにより側板3を支持させて起立させた状態を示す。)。また弁当箱として底板の無い側壁だけの構成であっても、この側壁の内面に液等の漏れ防止板の側板を貼着等の手段で取付けることにより弁当箱として用いてもよい。
【0017】
また本実施形態の液等の漏れ防止板1はこの透明な樹脂フィルム部分4aを通して紙製の底板及び側板の内面に施した模様や色彩を見せることにより美観を高めたものであるが、本発明は樹脂フィルム自体に模様や色彩を加えたものを採用してもよい。この場合、側板間の隙間を覆う樹脂フィルムを液等の漏れ防止板の側板の外面と弁当箱等の包装容器の側壁(仕切り板)の内面との間に折り込ませることにより、この樹脂フィルムが包装容器内側に飛び出して美観を損ねることを防ぐことができる。また本発明の樹脂フィルムは液等の漏れ防止板の隣り合う側板間の隙間から液等が漏れるのを防止できればよく、例えばシート状の厚みのものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本実施形態である液等の漏れ防止板の側板を起立させた状態を示す図であり、図1(A)は液等の漏れ防止板の斜視図であり、図1(B)は図1(A)をI−Iに沿って切断した端面図である。
【図2】図2は図1の液等の漏れ防止板の側板を底板と同一平面上に展開した図であり、図2(A)は液等の漏れ防止板の内面を示し、図2(B)は液等の漏れ防止板の外面を示す。
【図3】図3は上記液等の漏れ防止板を備えた包装容器を示す図であり、図3(A)はこの包装容器の斜視図であり、図3(B)は図3(A)の要部平面図である。
【図4】図4は液等の漏れ防止板を備えた包装容器の別実施例を示した図である。
【図5】図5は液等の漏れ防止板を備えた包装容器の別実施例を示した図である。
【符号の説明】
【0019】
1…液等の漏れ防止板
2…底板
3…側板
4…樹脂フィルム
5…弁当箱(包装容器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器内に装備させる液等の漏れ防止板であって、
前記液等の漏れ防止板は、底板(2)と、この底板(2)の周縁に連設して折り曲げにより起立される複数の側板(3)とを有し、この複数の側板(3)間の隙間が覆われるように前記底板(2)から前記複数の側板(3)に亘って樹脂フィルム(4)を設けたことを特徴とする液等の漏れ防止板。
【請求項2】
包装容器の側壁間に請求項1に記載の液等の漏れ防止板を装備させた包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−292526(P2009−292526A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150161(P2008−150161)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(506117976)オリカ産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】