説明

淡水魚貝類の生息環境を容易とした一部ポラス製品

【課題】 農業排水路、分水工、護岸連節ブロック、水中根固めブロック等に於いてその一部をポラス状とし水生植物の繁茂を容易とし淡水魚貝類の餌の繁殖をも容易とする生態系環境製品を提供出来る様な課題とする。
【解決手段】
製品の一部をポラスとし最大13〜15mm状の祖骨材(吸水率比較的大)に少々の砕砂、植物の稲藁、木の枝を細長く切りそれに荒鋸屑を混合させセメントで練り混ぜたポラス状コンクリートとしコンクリート硬化後の脱型時に噴霧器で納豆菌液を含浸するか最初から植物に混入させて水生植物の繁殖させ淡水魚貝類の餌場を容易ならしめる解決手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の技術は淡水魚貝類の隠れ場又は生息させる事のみを考えた物であった、農業排水路や分水工桝(ます)、護岸連節ブロック、水中根固めブロック等の魚貝類生息場を祖骨材に多少の砕砂(全体の10〜20%)稲藁、木の枝を細長く切りそれに荒鋸屑を混合させセメントで練り混ぜたポラス状コンクリートに納豆菌も付加して成型し水生植物、藻の繁殖を容易とした製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の淡水魚貝類を生息させるプレキャスト製品には次の様なものが有った。
【特許文献1】実公告昭58年第053298号 登録第1557491号 魚床ブロック製品の側壁に貫通孔を空け背面底部に魚貝類の生息の場を設けた製品。
【特許文献2】実公告昭59年第010175号 登録第1572684号 魚床ブロック柵渠の底部にU字溝製品側壁に淡水魚貝類貫通孔をもうけて魚貝類を生息させる製品。
【特許文献3】公開実用新案公報昭60年第181422号 魚巣兼法面緑化構築ブロック、ブロックに多重壁を設けて水中は魚貝類を生息させ渇水以上は植物を繁茂させる様にしたブロックである。
【特許文献4】実公告平2年第035929号 登録第1888422号 大型水路に於いて一方の側壁を段違いとし中央で組み合わせて魚床とした製品。
【特許文献5】実用新案 登録第3022430号 魚床BOXのフーチングを構成した浮上防止水路、側壁の底部背面に魚床を兼ねて浮上防止水路とした製品。
【特許文献6】実用新案登録第3032306号自然にやさしい水路用コンクリート製品、水路内に設けた水路に落ちた小動物を助けスロープの下を魚床とした製品である。
【特許文献7】特許公開 平9年第250120号 株式会社ホクエツで出願したる水鳥や魚貝類その他の水生生物や水辺植物との 調和のとれた環境を考慮した製品。しかし、上記製品とこれらの製品の技術からは 次の様な課題と欠点が有った。 特許文献1は製品の側壁に貫通孔を空け背面底部に魚貝類の生息の場をボックス状に設けた製品であり、淡水魚貝類の隠れ場でありボックス内に植物繁茂させたりここが餌場としての泥溜が構成されず生息環境は考えられないものである。 特許文献2は柵渠の底部にU型を設け一方の側壁に魚の貫通孔を設けたもので、ここを特許文献1は同様植物繁茂させたりここが餌場としたものではなかった。 特許文献3は魚巣兼法面緑化構築ブロックに多重壁を設けて水中は魚貝類を生息させ渇水以上は植物を繁茂させたものではあるが淡水魚貝類の隠れ場のみである。 特許文献4は大型水路に於いて一方の側壁を段違いとし組み合わせて中央を魚床とした製品で植物繁茂させたりここが餌場としては考えていなかったものであるまして、光合成出来ない所、植物が繁茂条件とする泥溜構成を考えておらず植物の繁茂は無理であり淡水魚貝類の隠れ場のみの製品構成であった。 特許文献5は側壁の底部背面に魚床を兼ねて浮上防止水路とした製品であり、これも植物の繁 茂や餌場を考えたものでなかった。 特許文献6は水路内に設けた水路に落ちた小動物を助けスロープの下を魚床とした製品であり植物の繁茂や餌場を考えたものでなかった。 特許文献7は株式会社ホクエツで出願したる水鳥や魚貝類その他の水生生物や水辺植物との調和のとれた環境を考慮した製品であるが、この技術は、実用新案出願公開 昭60−104433号の図面より、発明の属する技術分野の人で有れば容易に発明出来る範囲の技術であり、これも一孔性のもので水中の植物の繁茂や餌場を考えたものでない。そこで、この発明者は、従来のプレキャスト製品の製造と豊富な体験実績から、これらの製品の製造の問題点を熟知して発明の課題を解決するためにいろいろ試作研究を重ねこの出願の製品を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】

(1)農業排水路、排水分水工に於いては排水効果を良くしボックス内は淡水魚貝類の餌場として構成する、又排水路に付いてはボックス底版部を開孔底抜きとし(植物の繁茂と貝が潜れる)泥溜部を構成し、背面盛土の浸透水もボックスに浸透させる。
(2)護岸連節ブロック、水中根固めブロックに於いては水流を抑制するばかりで無く淡水魚貝類の餌場を提供する役目も兼ね備えたものとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)淡水魚貝類の入るボックス部を植物が繁茂し淡水魚貝類の餌場とする為に祖骨材に少々の砕砂に植物の稲藁(いなわら)、木の枝を細長く切りそれに荒鋸屑を混合させセメントで練り混ぜたポラス状コンクリートとて成型し水生植物、藻の繁殖を容易とした淡水魚貝類の環境を良くする製品とする。
(2)農業排水路、排水分水工の桝(ます)においては、製品をポラスとして背面盛土の排水浸透を効率を良くすると同時に植物の稲藁(いなわら)等をコンクリートに使用する事で細長く切った植物が腐っても孔が形成されて排水浸透効果をもたらす様にし、植物の稲藁等に納豆菌液を混合させる事で淡水魚貝類の餌の繁殖を容易とする様にする。
(3)護岸連節ブロック、水中根固めブロックに於いては複雑なポラスブロック部を事前にコンクリートを打設して置き後付け二重打設とし一体とする。
【発明の効果】
【0005】
(1)農業排水路、排水分水工の桝において、魚床部を形成するボックス部のコンクリートに祖骨材と少々の砕砂、それに細長く切った植物の稲藁、木の枝を混合し荒鋸屑等を使用することでポラス状と成り排水浸透効果を良くし又細長く切られた稲藁(いなわら)自体に菌が多く含んでいるのに、これに納豆菌液をポラスコンクリートに含浸するか混合最初から混合する事で淡水魚貝類の餌場を提供出来るものである。
(2)護岸連節ブロックに於いてはポラスブロック部を事前にコンクリートを打設して置き後付二重打設(砂場を堀りビニールを敷いて型の違った大きさの異なる製品を造る)これを連節部本体(施工時低版)に敷いて普通のコンクリート(スランプ8±1.5cm程度)を打設する、水中根固めブロックは、事前に造った頭部ポラス部を床版コンクリートを打設する時、埋設するものである、この様にする事でいろいろな頭部が出来、実際現場に施工された時に淡水魚貝類の餌場となり違った頭部が環境にも優れたものが施工される。
加えて、一つの作用効果の為に製品が考えられているのでは無く多くの作用、効果をもったこれからの水生動植物の調和の取れた生態系を考慮した好ましい製品といえる。
【0006】

この発明の実施するための最良の形態と実施例を下記に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(1)この発明は魚床部をボックス状でポラスを形成し一体製品(小物、高さ1000mm×巾1000mm)以下、組み合わせ製品(大型、高さ1050mm×巾1050mm)以上が望ましく背面盛土の浸透水がボックス内に入る事が望ましい。
(2) この発明はポラスコンクリート表面のアルカリが植物の混入で中和され少しでも早く水生植物が繁茂し淡水魚貝類の餌場と成る事が望ましい。
(3)この発明は農業排水路、分水工桝ばかりで無く護岸連節ブロック、水中根固めブロック等にその技術が利用され又、他の多くの関連製品に利用される事が望ましい。
(4) この発明は植物の繁茂を容易で水の浄化にも成る事が望ましく、細長く切った植物の稲藁等に、もともと多く棲と言われている納豆菌が少しでも長く棲み付かせる為に木の枝、荒鋸屑を使用する事が望ましい。
【実施例】
【0008】

次に、この出願発明を実施例により説明するが、この発明は実施例に限定されるものではない。
【0009】
「図1」はこの発明の農業排水路のポラス部拡大図付き実施例の施工断面概要斜視図であり、「図2」は水中根固めブロック実施例の概要図である。
【0010】
Aは農業排水路、Bは護岸連節ブロック、Cは魚床ボックス、Dはポラスコンクリート、横型枠E、縦型枠E−1、1は水路側壁、2は魚貝類貫通孔、3は淡水魚貝類、4は妻板普通コンクリート、5は祖骨材、5−1は砕砂、6は稲藁、6−1は木の枝、6−2は荒鋸屑、7は排水水抜き、8は水生植物、9は底抜き、10は天版部、11は背面盛土、12ジョイントフック
本発明は、実施例「図1」よりA農業排水路について説明すると、普通の排水路側壁にやや大きく(光が入って光合成出来る範囲)開孔部1、を1個か2個を設けた背面に最大13〜15mm状の祖骨材5(吸水率2.5〜3%以下の砕石が望ましい)、に少々の砕砂5−1、植物の稲藁6、木の枝6−1、を細長く切り(10〜20mm程度)それに荒鋸屑6−2、を混合させセメントで練り混ぜたポラスコンクリートD(スランプ5cm以下)、として造り上げ硬化後の脱型時に噴霧器で納豆菌液を含浸するか植物 (6、6−1、6−2)に納豆菌液を混合さして成型し水生植物や藻8、淡水魚貝類の餌の繁殖を容易としてなる底抜き9、で泥溜(水生植物の生息、淡水魚貝類の潜る場)が出来る様に一体として纏め上げるか図示して無いが底抜き8、ボックス状に組まれて一体とする農業排水路。
【0011】
次に実施例「図2」の護岸連節ブロックB、について説明すると天端型枠無しの立ち上がりと輪廓のみの横型枠E、と縦型枠E−1、とを組み天端より低くコンクリートを打込み、事前に打ったポラスコンクリート最大13〜15mm状の祖骨材5(吸水率2.5〜3%以下の砕石が望ましい)、に少々の砕砂5−1、植物の稲藁6、木の枝6ー1、を細長く切り(10〜20mm程度)それに荒鋸屑6−2、を混合させ、ポラスコンクリートD、として造り上げ有る程度硬化後に噴霧器で納豆菌液を含浸するか植物に納豆菌液を混合さして最初から成型し水生植物や藻7、淡水魚貝類の餌の繁殖を容易として造り上げるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1はこの発明の農業排水路のポラス部拡大図付き実施例の施工断面概要斜視図。
【図2】図2は護岸連節ブロックの実施例の概要図。
【符号の説明】
【0013】
A 農業排水路
B 護岸連節ブロック
C 魚床ボックス
D ポラスコンクリート
E 横型枠
E−1 縦型枠
1 水路側壁
2 魚介類貫通孔
3 淡水魚貝類
4 妻板普通コンクリート
5 祖骨材(13〜15mm)
5−1 砕砂
6 稲藁
6−1 木の枝
6−2 荒鋸屑
7 排水水抜き
8 水生植物(藻)
9 底抜き
10 天版部
11 背面盛土
12 ジョイントフック















【特許請求の範囲】
【請求項1】
淡水魚貝類を生息させる農業排水路、分水工に使用されるコンクリート桝において魚床部を最大13〜15mm状の祖骨材に少々の砕砂、植物の稲藁、木の枝を細長く切りそれに荒鋸屑を混合させセメントで練り混ぜたポラス状コンクリートと硬化後の脱型時に噴霧器で納豆菌液を含浸するか植物に納豆菌液を混合して成型し水生植物草、藻、淡水魚の餌の繁殖を容易としてなる農業排水路、分水工。
【請求項2】
護岸連節ブロック、水中根固めブロックの表面に最大13〜15mm状の祖骨材に少々の砕砂、植物の稲藁、木の枝を細長く切りそれに荒鋸屑を混合させセメントで練り混ぜたポラス状コンクリートとしコンクリート硬化後の脱型時に噴霧器で納豆菌液を含浸し水生植物、藻、淡水魚貝類の餌の繁殖を容易としてこれを一体としてなるブロック。


















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−209545(P2009−209545A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51862(P2008−51862)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(391006588)東北石材ブロック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】