説明

深穴加工用超硬質材料製ロングドリル

【課題】加工が困難な高硬度材に対しても深穴加工を安定して行うことができる長寿命の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルを提供する。
【解決手段】(a) バックテーパ部30の軸方向長さL1 はドリル径Dに対して3D〜6Dの範囲内で、ドリル先端のウェブの厚さW1 は0.30D〜0.45Dの範囲内であり、(b) 平行部32のウェブの厚さW2 は0.25D〜0.40Dの範囲内であり、(c) 逆テーパ部34の軸方向長さを含めて溝切上げ部18eに達するまでの軸方向長さL3 は、1.5D〜3.5Dの範囲内で、その逆テーパ部34におけるウェブの最大厚さW3 は0.30D〜0.45Dの範囲内であり、(d) 切り屑排出溝18のねじれ角は10°〜23°の範囲内である。このような深穴加工用超硬質材料製ロングドリル10によれば、工具の早期折損や異音、振動の発生が抑制されて切削加工が安定して行われるようになり、工具寿命が格段に向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は深穴加工用超硬質材料製ロングドリルに係り、特に、加工が困難な高硬度材に対しても深穴加工を安定して行うことができる長寿命の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
超硬合金等の超硬質工具材料にて構成されているとともに、先端の複数の切れ刃に連続して所定のねじれ角で切り屑排出溝が設けられ、例えばドリル径に対して溝長が5倍以上、更には10倍以上で、穴径に対して穴深さが5〜10倍以上の深穴を加工する深穴加工用超硬質材料製ロングドリルが知られている。特許文献1に記載のドリルはその一例で、切り屑の排出性能を向上させるために、ウェブの厚さがシャンク側へ向かうに従って連続的に小さくなるバックテーパがドリル先端から設けられている。また、特許文献2には、切り屑排出溝の溝切上げ部の手前に、その溝切上げ部に向かうに従ってウェブの厚さが連続的に大きくなる逆テーパを設け、切り屑の排出性能を確保しつつ折損強度を向上させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2004−122288号公報
【特許文献2】特開2003−39218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルにおいても、例えば40HRC程度以上の高硬度の被削材に対して深穴を切削加工する場合には、刃先強度や工具剛性が不足して加工初期に折損したり、加工中に大きな切削音が発生したりするなど、安定した加工が不可能で十分な工具寿命が得られないという問題があった。特許文献1および2を組み合わせ、ドリル先端にバックテーパを設けるとともに、溝切上げ部の手前に逆テーパを設けることも考えられるが、単に組み合わせるだけでは寿命向上に対して必ずしも満足できる効果が得られなかった。なお、溝長がドリル径Dの10倍以上もあるようなロングドリルにおいては、高硬度材に限らず比較的大きなトルクが作用する場合には、上記と同様の問題が生じる。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、加工が困難な高硬度材に対しても深穴加工を安定して行うことができる長寿命の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、第1発明は、超硬合金等の超硬質工具材料にて構成されているとともに、先端の複数の切れ刃に連続して所定のねじれ角で切り屑排出溝が設けられている深穴加工用超硬質材料製ロングドリルにおいて、(a) ウェブの厚さがシャンク側へ向かうに従って連続的に小さくなるバックテーパがドリル先端から設けられたバックテーパ部と、(b) ウェブの厚さが前記バックテーパ部における最小厚さと同じ一定の寸法でそのバックテーパ部に連続してシャンク側へ向かって設けられた平行部と、(c) その平行部と前記切り屑排出溝の溝切上げ部との間に、ウェブの厚さがその溝切上げ部に向かうに従って連続的に大きくなる逆テーパがその平行部に連続して設けられた逆テーパ部と、を有する一方、(d) 前記バックテーパ部の軸方向長さL1 は、ドリル径Dに対して3D〜6Dの範囲内で、ドリル先端のウェブの厚さW1 は0.30D〜0.45Dの範囲内であり、(e) 前記平行部のウェブの厚さW2 は0.25D〜0.40Dの範囲内であり、(f) 前記逆テーパ部の軸方向長さを含めてその逆テーパ部から前記溝切上げ部に達するまでの軸方向長さL3 は、1.5D〜3.5Dの範囲内で、その逆テーパ部におけるウェブの最大厚さW3 は0.30D〜0.45Dの範囲内であり、(g) 前記切り屑排出溝のねじれ角は10°〜23°の範囲内であることを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルにおいて、前記逆テーパ部は、前記平行部と前記溝切上げ部との間の全域に設けられていることを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第1発明の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルにおいて、前記逆テーパ部と前記溝切上げ部との間には、ウェブの厚さがその逆テーパ部における最大厚さと同じ一定の寸法の中間段部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかの深穴加工用超硬質材料製ロングドリルにおいて、前記切れ刃の刃数は2枚または3枚で、前記切り屑排出溝の溝長はドリル径Dの10倍以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このような深穴加工用超硬質材料製ロングドリルによれば、所定の切り屑排出性能を確保しつつ刃先強度や工具剛性が向上し、例えば40HRC程度以上の加工が困難な高硬度材に対して深穴を切削加工する場合でも、工具の早期折損や異音、振動の発生が抑制されて切削加工が安定して行われるようになり、工具寿命の向上に対して顕著な効果が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルは、ドリル直径Dが8mm以下の小径で、切り屑排出溝の溝長がドリル直径Dの10倍以上のものに好適に適用されるが、ドリル直径Dが6mm程度以下の場合や、切り屑排出溝の溝長がドリル直径Dの15倍以上の場合には、更に効果的である。但し、切り屑排出溝の溝長がドリル直径Dの5倍程度以上の深穴加工用の超硬質材料製ロングドリルであれば、ドリル直径Dが8mmより大きいものにも適用され得る。
【0011】
ドリルを構成している超硬質工具材料としては超硬合金が好適に用いられるが、サーメットや立方晶窒化ほう素(CBN)焼結体等の他の超硬質工具材料を採用することもできる。ボデーには、TiAlNやTiCN、ダイヤモンドなどの硬質皮膜をコーティングすることが望ましく、硬質皮膜としては、単層或いは多層構造など種々の態様が可能である。
【0012】
本発明は、2枚刃のドリルに好適に適用されるが、3枚刃以上のドリルにも適用され得る。また、軸心を縦通したりランドに沿ってねじれたりして先端の逃げ面に開口するオイルホールを設け、穴明け加工時に必要に応じて潤滑油剤や冷却エアーなどを供給できるようにすることが望ましい。
【0013】
本発明の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルは、40HRC程度以上、更には45HRC程度以上の金型鋼等の高硬度材に対する穴明け加工に好適に用いられるが、他の被削材の穴明け加工にも使用できることは勿論である。
【0014】
バックテーパ部の軸方向長さL1 をドリル径Dに対して3D〜6Dの範囲内とし、ドリル先端のウェブの厚さW1 を0.30D〜0.45Dの範囲内とし、平行部のウェブの厚さW2 を0.25D〜0.40Dの範囲内とし、逆テーパ部の軸方向長さを含めてその逆テーパ部から溝切上げ部に達するまでの軸方向長さL3 を1.5D〜3.5Dの範囲内とし、その逆テーパ部におけるウェブの最大厚さW3 を0.30D〜0.45Dの範囲内とし、切り屑排出溝のねじれ角を10°〜23°の範囲内としたのは、図3に示すようにそれ等の値を種々変更して行った耐久性試験の結果によるもので、上記各数値範囲を何れも満足する場合に工具寿命が著しく向上した。
【0015】
逆テーパ部は、平行部と溝切上げ部との間の全域に設けることもできるが(請求項2)、それ等の逆テーパ部と溝切上げ部との間にウェブの厚さが逆テーパ部における最大厚さと同じ一定の寸法の中間段部を設けることも可能で(請求項3)、その場合は、切り屑排出性能や工具剛性を両立する上で例えば前記軸方向長さL3 の1/2以上の範囲を逆テーパ部とすることが望ましい。なお、逆テーパ部を設ける位置は、ドリル先端から形成すべき深穴の穴深さよりもシャンク側の部分、すなわち目的とする穴深さまでドリル加工した状態において被削材から外部に突き出している部分に設けられ、溝長はそれよりも大きな寸法に定められる。
【0016】
ウェブの厚さがシャンク側へ向かうに従って連続的に小さくなるバックテーパ部や、溝切上げ部に向かうに従って連続的に大きくなる逆テーパ部は、例えばウェブの厚さが直線的に変化するように、言い換えれば溝底の回転軌跡形状(ウェブの形状に相当)において、軸心に沿った外形線が直線となるように構成されるが、軸方向において凸形状或いは凹形状に滑らかに湾曲するなど非線形に変化するものでも良い。
【0017】
切り屑排出溝が設けられたボデーの外径は、例えば全長に亘ってドリル直径Dと略同じ寸法であっても良いが、加工穴との干渉を軽減するため、シャンク側程径寸法が多少小さくなるバックテーパを設けたり、先端側の一部にのみバックテーパを設け、それよりシャンク側は一定の外径寸法としたりするなど、種々の態様が可能である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である深穴加工用超硬質材料製ロングドリル(以下、単に深穴加工用ドリルという)10を示す図で、(a) は軸心Oと直角な方向から見た正面図、(b) は軸心Oを含む縦断面図、(c) は軸心Oと直角な横断面図、(d) は先端側から見た底面図である。この深穴加工用ドリル10は、超硬質工具材料である超微粒子超硬合金にて一体に構成されている2枚刃のツイストドリルで、主軸に把持されて回転駆動されるシャンク12とボデー14とを軸方向に同心に備えており、ボデー14の表面にはTiAlNの多層構造の硬質皮膜がコーティングされている。ボデー14の先端には一対の切れ刃16が軸心Oに対して対称的に設けられているとともに、その切れ刃16のすくい面に連続して一対の切り屑排出溝18が軸心Oに対して対称的にボデー14の略全長に亘って設けられている。切り屑排出溝18は、切り屑をシャンク12側へ排出するように右まわりにねじれたねじれ溝であるが、図1の(b) では、切り屑排出溝18の底部によって形成されるウェブ20の厚さ(径寸法)Wの軸方向における変化を明確に示すため、切り屑排出溝18が軸心Oと平行な直溝で示されている。すなわち、図1の(b) のウェブ20の形状は、切り屑排出溝18の溝底の回転軌跡形状に相当する。
【0019】
ボデー14は、その全長に亘って切れ刃16の直径であるドリル径Dと同じ一定の径寸法で構成されている。図1の(a) および(b) におけるボデー14の外周形状は、リーディングエッジの回転軌跡形状に相当する。また、切り屑排出溝18の溝長、すなわちボデー14と略等しい軸方向寸法は、ドリル径Dの15倍以上で、本実施例ではドリル径D=6mmで、溝長=140mmである。なお、図1は各部の寸法を正確な割合で図示したものではない。
【0020】
上記切り屑排出溝18のねじれ角は、10°〜23°の範囲内で例えば15°程度とされている。また、一対のランドには、それぞれ切り屑排出溝18に沿って螺旋状にねじれたオイルホール24が設けられ、一端は先端の逃げ面に開口しているとともに、他端はシャンク12を縦通して端面に開口しており、穴明け加工時に必要に応じて潤滑油剤や冷却エアーなどを供給できるようになっている。また、各ランドの径方向の中間位置には、ドリル径Dと等しい外径寸法で第2マージン26が設けられており、加工穴の内面をバニシ仕上げするとともに、ドリル姿勢を加工穴と同心に保持するようになっている。
【0021】
前記ウェブ20は、(a) ウェブの厚さWがシャンク12側へ向かうに従って直線的に小さくなるバックテーパがドリル先端から設けられたバックテーパ部30と、(b) ウェブの厚さWがバックテーパ部30における最小厚さと同じ一定の寸法W2 でそのバックテーパ部30に連続してシャンク12側へ向かって設けられた平行部32と、(c) その平行部32と切り屑排出溝18の溝切上げ部18eとの間に、ウェブの厚さWが溝切上げ部18eに向かうに従って直線的に大きくなる逆テーパがその平行部32に連続して設けられた逆テーパ部34と、を備えている。そして、上記バックテーパ部30の軸方向長さL1 は、ドリル径Dに対して3D〜6Dの範囲内で例えば5D(=30mm)であり、ドリル先端のウェブの厚さW1 は0.30D〜0.45Dの範囲内で例えば0.40D(=2.4mm)である。平行部32のウェブの厚さW2 は、0.25D〜0.40Dの範囲内で例えば0.35D(=2.1mm)である。また、逆テーパ部34は、平行部32と溝切上げ部18eとの間の全域に設けられており、その軸方向長さL3 は、1.5D〜3.5Dの範囲内で例えば2.5D(=15mm)であり、その逆テーパ部34におけるウェブの最大厚さW3 は0.30D〜0.45Dの範囲内で例えば0.40D(=2.4mm)である。
【0022】
上記バックテーパ部30および逆テーパ部34は、何れもウェブ20の厚さWが直線的に変化するように、言い換えれば溝底の回転軌跡形状(図1(b) に示すウェブ20の形状に相当)において、軸心Oに沿った外形線が直線となるように構成されている。切り屑排出溝18は、研削砥石による研削加工によって螺旋状に設けられており、研削砥石と工具素材とを相対的に接近・離間させることによりウェブの厚さWを増減変化させることができる。なお、平行部32の軸方向長さL2 は、溝長からバックテーパ部30、逆テーパ部34、および溝切上げ部18eの軸方向長さを差し引いた残りの寸法で、溝長が140mmの本実施例では約86mmである。
【0023】
上記深穴加工用ドリル10は、逆テーパ部34が平行部32と溝切上げ部18eとの間の全域に設けられていたが、図2に示す深穴加工用ドリル50のように、逆テーパ部34と溝切上げ部18eとの間に、ウェブの厚さWが逆テーパ部34における最大厚さと同じ一定の寸法W3 の中間段部52を設けた二段構造とすることもできる。この場合も、逆テーパ部34の軸方向長さL3aを含めて逆テーパ部34から溝切上げ部18eに達するまでの軸方向長さL3 は、1.5D〜3.5Dの範囲内で例えば2.5D(=15mm)とされ、その逆テーパ部34におけるウェブの最大厚さ、言い換えれば中間段部52のウェブの厚さW3 は、0.30D〜0.45Dの範囲内で例えば0.40D(=2.4mm)とされる。また、逆テーパ部34の軸方向長さL3aと中間段部52の軸方向長さL3bとの割合は、L3a≧L3bとすることが望ましく、例えばL3a≒L3bとされる。
【0024】
ここで、図3に示すようにバックテーパ部30の有無や長さL1 、ウェブの最大厚さW1 、平行部32のウェブの厚さW2 、逆テーパ部34の有無や長さL3 、形状(上記中間段部52の有無で、中間段部52が無い場合が「テーパ」、中間段部52を有する場合が「二段」)、ウェブの最大厚さW3 、および切り屑排出溝18のねじれ角が異なる多数の試験品(テスト1〜25)を用意し、以下の加工条件で深穴の穴明け加工を行って耐久性を調べた結果を説明する。各試験品の基本的な諸元は前記実施例と同じで、超硬合金にて構成されているとともに、ドリル径D=6mm、全長190mm、溝長140mmで、オイルホール付きの2枚刃のツイストドリルであり、ボデー14の表面にはTiAlNの多層構造の硬質皮膜がコーティングされている。図3における「バックテーパ部」、「平行部」、「逆テーパ部」の欄の各数値の単位はmmで、括弧内はドリル径Dに対する割合である。
【0025】
《加工条件》
・被削材:プラスチック金型用鋼(52HRC)
・穴深さ:105mm(17.5D)貫通
・切削速度:30m/min
・送り量:0.06mm/rev
・ステップ:9mmピック(ピック時に0.1mm戻し)
・使用機械:立形マシニングセンタ
・切削油:水溶性切削油
・クーラント圧:7MPa
【0026】
図3において、網掛けを施した試験品は比較品で、各比較品において網掛けを施した欄は、本発明の数値範囲から外れている項目である。そして、この図3の結果から明らかなように、バックテーパ部30および逆テーパ部34を何れも備えていない比較品(テスト1)や、バックテーパ部30のみを備えている比較品(テスト2〜9)は勿論、バックテーパ部30および逆テーパ部34を共に備えている比較品(テスト10〜18、21、22、25)においても、加工穴数は35以下で十分な耐久性が得られない。これに対し、本発明品(テスト19、20、23、24)によれば、中間段部52を有するか否かに拘らず50穴以上の穴明け加工が可能で、耐久性が格段に向上する。
【0027】
このように、本実施例の深穴加工用ドリル10または50によれば、所定の切り屑排出性能を確保しつつ刃先強度や工具剛性が向上し、加工が困難な40HRC程度以上の高硬度材に対して深穴を切削加工する場合でも、工具の早期折損や異音、振動の発生が抑制されて切削加工が安定して行われるようになり、工具寿命の向上に対して顕著な効果が得られる。
【0028】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例である深穴加工用超硬質材料製ロングドリルを示す図で、(a) は正面図、(b) は切り屑排出溝を直溝で示した縦断面図、(c) はボデーの中間位置における拡大断面図、(d) は先端側から見た拡大底面図である。
【図2】本発明の別の実施例を示す図で、図1の(b) に相当する縦断面図である。
【図3】図1、図2の深穴加工用超硬質材料製ロングドリルの各部の寸法が異なる種々の試験品を用いて耐久性試験を行った結果を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10、50:深穴加工用超硬質材料製ロングドリル 16:切れ刃 18:切り屑排出溝 18e:溝切上げ部 20:ウェブ 30:バックテーパ部 32:平行部 34:逆テーパ部 52:中間段部 D:ドリル径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超硬合金等の超硬質工具材料にて構成されているとともに、先端の複数の切れ刃に連続して所定のねじれ角で切り屑排出溝が設けられている深穴加工用超硬質材料製ロングドリルにおいて、
ウェブの厚さがシャンク側へ向かうに従って連続的に小さくなるバックテーパがドリル先端から設けられたバックテーパ部と、
ウェブの厚さが前記バックテーパ部における最小厚さと同じ一定の寸法で該バックテーパ部に連続してシャンク側へ向かって設けられた平行部と、
該平行部と前記切り屑排出溝の溝切上げ部との間に、ウェブの厚さが該溝切上げ部に向かうに従って連続的に大きくなる逆テーパが該平行部に連続して設けられた逆テーパ部と、
を有する一方、
前記バックテーパ部の軸方向長さL1 は、ドリル径Dに対して3D〜6Dの範囲内で、ドリル先端のウェブの厚さW1 は0.30D〜0.45Dの範囲内であり、
前記平行部のウェブの厚さW2 は0.25D〜0.40Dの範囲内であり、
前記逆テーパ部の軸方向長さを含めて該逆テーパ部から前記溝切上げ部に達するまでの軸方向長さL3 は、1.5D〜3.5Dの範囲内で、該逆テーパ部におけるウェブの最大厚さW3 は0.30D〜0.45Dの範囲内であり、
前記切り屑排出溝のねじれ角は10°〜23°の範囲内である
ことを特徴とする深穴加工用超硬質材料製ロングドリル。
【請求項2】
前記逆テーパ部は、前記平行部と前記溝切上げ部との間の全域に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の深穴加工用超硬質材料製ロングドリル。
【請求項3】
前記逆テーパ部と前記溝切上げ部との間には、ウェブの厚さが該逆テーパ部における最大厚さと同じ一定の寸法の中間段部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の深穴加工用超硬質材料製ロングドリル。
【請求項4】
前記切れ刃の刃数は2枚または3枚で、前記切り屑排出溝の溝長はドリル径Dの10倍以上である
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の深穴加工用超硬質材料製ロングドリル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−194774(P2008−194774A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31576(P2007−31576)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000103367)オーエスジー株式会社 (180)
【Fターム(参考)】